JP4498348B2 - ねじ込み式鋼管杭 - Google Patents
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ねじ込み式鋼管杭は、前述のように、鋼管杭に回動力を与えることにより、先端部又はその近傍に取付けた翼のねじ作用で鋼管杭を地盤に埋設するようにしたものであり、低振動、低騒音、無排土で施工できると共に、広い翼の面積を利用して大きな先端支持力を得ることができるという特徴を備えている。
ところで、大きな水平力や曲げモーメントに対して経済的に対応するために、杭頭部近傍を拡径するという考えが従来から提案されており、既に場所打ちコンクリート杭では広く実用化されているが、既製杭の分野では実用化されていない。
(1)低振動、低騒音、無排土施工が可能で、かつ大きな先端支持力が得られるねじ込み式鋼管杭の適用範囲を大径鋼管杭まで拡大すること。
(2)鋼管杭を回転貫入することにより、拡径部内に土砂が入らないため、コンクリート等の固化材の打設が容易であること。
(3)拡大された杭頭部とこれに打設されたコンクリート等の固化材により、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに対応することのできる剛性を得ること。
また、上記の上部鋼管の外周に該上部鋼管より大径の翼を設けた。
さらに、上記の鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し、上部鋼管より大径の翼を該上部鋼管の先端部に設けた。
図1は本発明の実施の形態1に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。図において、1は頭部を拡大したねじ込み式鋼管杭(以下、単に鋼管杭という)で、下部鋼管2と、下部鋼管2より大径で、下部開口部に下部鋼管2の外径より若干大きい開口部4aを有するドーナツ状の鋼板4が接合された上部鋼管3と、下部鋼管2の先端部に設けた下部鋼管2より大径の翼10と、下部鋼管2の上部内と上部鋼管3内に打設され、両者の一体化をはかると共に、水平抵抗の増強のためのコンクリート、モルタル、ソイルセメント等の固化材(以下、セメント等の固化材という)5とからなっている。6は下部鋼管2内に上部鋼管3の鋼板4とほぼ同じ位置に設けられ、内部に打設されたコンクリート等の固化材5の落下を防止するための閉塞板である。なお、鋼管杭1の全長に亘ってコンクリート等の固化材5を打設する場合は、閉塞板6は不要である。
先ず、図5(a)に示すように、地上に立設された下部鋼管2に、上方から鋼板4に設けた開口部4aを嵌合し、上部鋼管3を翼10上に同心的に載置する。勿論、上部鋼管3の下から下部鋼管2を挿入してもよい。このとき、下部鋼管2の杭頭部は、上部鋼管3の杭頭部から上方に突出している。
下部鋼管2が若干貫入されると、モータ21の下降に伴って回転軸22に設けた圧下部材23が上部鋼管3を圧下し、図5(b)に示すように、上部鋼管3は下部鋼管2の貫入に伴って地中に圧入される。このとき、上部鋼管3の周囲の土砂は、下部鋼管2の翼10によって攪拌されて間もないため摩擦抵抗が小さく、下部鋼管2の貫入に伴って容易に貫入することができる。また、上部鋼管3が所定深度に達するまでは、土砂は管外横方向に圧縮されるため、上部鋼管3内に土砂が侵入することはない。
下部鋼管2が所定の深度(例えば、支持層)に達したときはモータ21を停止し、図6(b)に示すように、モータ21を下部鋼管2から取外して引上げる。なお、下部鋼管2の頭部が地上面より下方になる場合は、ヤットコを用いて打ち込んでもよい。
このとき、下部鋼管2の杭頭部は、上部鋼管3内に1D1(D1 は下部鋼管2の外径)以上突出していることが望ましい。
しかし、時間の経過と共に、間隙水圧の消散などの要因により地盤強度が回復し、基礎杭としての供用時には大きな周面摩擦力が発揮される。
本例の施工方法も前述の施工方法と同様であるが、鋼板4bをテーパ状にしたため、上部鋼管3の地中への圧入の際の抵抗を低減することができる。
図1に示すような鋼管杭1において、先端部に外径1016mmの鋼製翼11a,11bを交差して取付けた外径508mm、長さ26mの下部鋼管(下杭)2と、外径800mm、長さ10mの上部鋼管3とを打設した。15mの深さまで下部鋼管2と上部鋼管3を同時に貫入し、その後継杭して40mまで下部鋼管2を貫入させて打止めた。このとき、下部鋼管2の杭頭部を上部鋼管3内に1m突出させた。
施工自体は通常ねじ込み式鋼管杭の場合とほとんど変らない能率であった。貫入終了後上部鋼管3内及び下部鋼管2の杭頭部近傍にコンクリートを打設して一体化をはかり、問題なく頭部を拡径した鋼管杭1を構築することができた。
また、上部鋼管3を下部鋼管2の推進力を利用して同時に地中に貫入するようにしたので、上部鋼管3内に土砂が侵入するのを防止することができ、これにより、鋼管内の清掃等を行うことなくコンクリート等の固化材5を打設して下部鋼管2と上部鋼管3の一体化をはかることができる。
さらに、拡大された上部鋼管3と内部に打設したコンクリート等の固化材5とにより大きな剛性が得られるため、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに効果的に対応することができる。
図8は本発明の実施の形態2に係る鋼管杭の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、上部鋼管3の下部開口部に、鋼板に代えて翼15(以下、上部翼という)を設けたものである。すなわち、下部鋼管2の先端部に設けた翼10(以下、下部翼という)とほぼ同じ構造で、中心部に下部鋼管2が挿入される開口部15aを有し、上部鋼管2の外径D2 より大きい外径D4 の上部翼15を設けたものである。
例えば、上部翼15の外径D4 に対応する外形の円形鋼板の内側を、同心的に下部翼10に対応する外径D3 により切断すると共に、これらを2分割して鋼製翼11a,11b、16a,16bを形成し、それぞれ下部鋼管2と上部鋼管3の下端部に設けた取付部8a,8bに溶接により接合したものである。
本例によれば、翼の製作が容易になり、また材料を節減することができる。
この場合は、例えば、上部鋼管3の外径D2 より大径D4 の円形鋼板の中心部に、上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しい開口部を設けてドーナツ状に形成し、これを二分割して鋼製翼16a,16bを構成する。そして、この鋼製翼16a,16bを、上部鋼管3の外周面に下部翼10と同じ角度で交差して取付ければよい。
図11は本発明の実施の形態3に係る鋼管杭の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、実施の形態1の下部鋼管2の上部外周に、上部鋼管3の外径D2 より大きい外径D4 の上部翼17を設けたものである。この上部翼17を設けるにあたっては、例えば、外径D4 の円形鋼板の中心部に、下部鋼管2の外径D1 とほぼ等しい径の開口部を設けてドーナツ状に形成し、これを2分割して平板状の鋼製翼18a,18bを構成する。そして、この鋼製翼18a,18bを、下部鋼管2の外周面に下部翼10と同じ角度で交差して取付けたものである。
本実施の形態は、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
図12は本発明の実施の形態4の説明図である。図において、1は実施の形態1に係る鋼管杭であるが、翼10の中心部には後述のオーガーを挿通するための開口部10aが設けられており、また、モータ21はそれぞれ独立して可逆に回転する外軸24と内軸25を備えている。
31は下部鋼管2内に挿入されてオーガーヘッド32が翼10の開口部10aから突出したオーガーで、軸方向にはセメントミルクや地盤固化用薬液などの硬化性流動物を先端部に圧送するための貫通穴33が設けられており、オーガーヘッド32にはこの貫通穴33が開口する噴出口34が設けられている。35は一端が硬化性流動物のプラントに接続されたホースで、他端はオーガー31に設けた貫通穴33に、オーガー31が自在に回転しうるように接続されている。
ついで、下部鋼管2及びホース35をモータ21から外してオーガー31を引上げれば、施工が終了する。そして、硬化性流動物と混合されて軟化した土砂は時間の経過に伴って固化し、大きな先端支持力を発揮する。
このように構成することにより、オーガーヘッド32が翼10に先行して土砂を掘削軟化するので、下部鋼管2の貫入が容易になり、また、土砂と硬化性流動物との混合物の一部がスパイラル羽根により下部鋼管2内にとり込まれると共に、下部鋼管2の周囲に押し出されるので、固化したのち大きな先端支持力及び周面摩擦力を得ることができる。
本実施の形態は、実施の形態2,3にも実施することができる。
また、下部鋼管2の先端部に1つの段差部を設け、この段差部の下端部から1周して上端部に達するレ字状の取付部を設け、この取付部に円形鋼板等を複数に分割した平板状の鋼製翼を連続して取付けて螺旋状の翼を構成してもよく、さらに、この取付部に、円形鋼板等の中心部に小孔を設け、この小孔から外周部にかけて1か所を切断し、曲げ加工して形成した螺旋状翼を取付けてもよい。
2 下部鋼管
3 上部鋼管
4,4b 鋼板
5 コンクリート等の固化材
10 翼(下部翼)
15,17 上部翼
20 杭打ち機
21 モータ
31 オーガー
32 オーガーヘッド
33 貫通穴
Claims (4)
- 少なくとも先端部又はその近傍に翼を有する下部鋼管と、該下部鋼管が挿入される開口部が設けられた鋼板を有する前記下部鋼管より大径の上部鋼管とを備え、地中に前記下部鋼管及び該下部鋼管の上部外周に前記上部鋼管を貫入して下部鋼管の杭頭部は上部鋼管内に下部鋼管の外径以上突出させ、
少なくとも前記下部鋼管の上部内及び上部鋼管内にコンクリート等の固化材を打設し、前記下部鋼管と前記上部鋼管とを一体化させたことを特徴とするねじ込み式鋼管杭。 - 下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
- 上部鋼管の外周に該上部鋼管より大径の翼を設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
- 鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し、上部鋼管より大径の翼を該上部鋼管の先端部に設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
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