JP3135220B2 - 鍔付拡底鋼管杭 - Google Patents

鍔付拡底鋼管杭

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JP3135220B2
JP3135220B2 JP09042979A JP4297997A JP3135220B2 JP 3135220 B2 JP3135220 B2 JP 3135220B2 JP 09042979 A JP09042979 A JP 09042979A JP 4297997 A JP4297997 A JP 4297997A JP 3135220 B2 JP3135220 B2 JP 3135220B2
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喜久雄 礒田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、土木建築物の基
礎となる地盤部分の補強を行うために使用する鍔付拡底
鋼管杭に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土木建築工事において、建築物の基礎と
なる地盤部分の支持力については古くから重要性が認識
されており、地盤に対する支持力を高めるために鋼管杭
等を使用した地盤の補強工法が各種開発されている。
【0003】このような地盤の補強方法に使用する鋼管
杭等としては、例えば図4に示すような切放しのストレ
ート形状を有し、地中への打設が容易であってしかも価
格が安い鋼管杭100や、図5に示すような先端部分に
羽根101Aを設け、上からの圧入力が小さくても木ね
じ効果で貫入がスムースなスクリュウ鋼管杭等が知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
鋼管杭を使用すると、打設後の長期支持力に劣ること、
砂質地盤では初期沈下が起こりやすいこと、硬質地盤へ
の打設に不向きであること等の問題がある。
【0005】また、スクリュウ鋼管杭101を使用すれ
ば、杭の製作コストが高くつくこと、スクリュウ部分が
邪魔になり運搬や保管が面倒であること、貫入時に鋼管
先端周辺の地層を荒らすから、直立性を保持しにくいこ
と、杭の周辺が沈下し易いこと等の問題がある。
【0006】そこで、この発明は、上記した事情に鑑
み、初期沈下が起こり難く土中支持力に安定性があると
ともに、硬質地盤への貫入が容易であり、しかも運搬・
保管・現場加工が容易であり、さらに鋼管先端周辺の地
層を荒らさず直立性を保持し易いばかりか圧密効果や精
度が得やすい鍔付拡底鋼管杭を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ちの発明は、中空筒
に形成された本体の先端部の内部に底蓋を固着し、こ
の底蓋に外部に突出する刃を固着した鋼管杭の先端側を
土中に回転圧入した後に本体の先端側に拡底スクリュウ
を挿入して溶着して成る鍔付拡底鋼管杭であって、拡
底スクリュウ筒は本体の先端側に挿入する円筒部と、こ
の円筒部の外周のほぼ中間の高さ位置にかつ水平方向に
ほぼ円板状に形成された鍔部と、この鍔部の一部を半径
方向に切断しその切断部分を互いに逆方向に30〜45
度の角度 だけ傾斜するように折曲させて形成された傾斜
羽根とから成り、前記鍔部の直径Wは円筒部の外径Dの
2.5〜3倍に形成し、本体の先端部から鍔部までの長
さLは本体の外径寸法のほぼ2倍に形成し、互いに逆方
向に傾斜する傾斜羽根の開き角度αは60度前後に形成
たものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下この発明の一実施例について
添付図面を参照しながら説明する。
【0009】図1は、この発明に係る鍔付拡底鋼管杭を
示す概略図である。この鍔付拡底鋼管杭は、適宜の材料
(例えば構造用炭素鋼等の材料)で形成された一定強度
を有する中空円筒状(ストレート状)の本体1と、本体
1の先端側に固着した拡底スクリュウ筒2とを備えてい
る。
【0010】本体1には、先端部に、底蓋11とこの底
蓋11から外部(先端側)に突出する刃12とを設けて
ある。なお、底蓋11や刃12部分の詳細については同
一出願人によって既に出願(特願平8−131106
号)されている明細書に記載されているので、これを参
照されたい。
【0011】拡底スクリュウ筒2は、本体1の外径寸法
よりも大幅に大きな外径寸法W(この実施例では2.5
倍程度、断面積で6.25倍程度)を有する概略円筒状
のものであって、例えば本体1と同様の構造用炭素鋼等
の材料で形成されており、円筒部21と、鍔部22と、
傾斜羽根23とを備えている。この拡底スクリュウ筒の
外径の大きさとしては、例えば本体1の外径寸法の1.
3〜2倍程度の範囲が好ましい。またこの形成材料とし
ては高張力鋼等、その他のものが適用可能である。さら
に、この拡底スクリュウ筒2の取り付け位置は、本体1
の先端部から鍔部22までの長さLがこの本体1の外径
寸法のほぼ2倍の距離となるところに設けてある。
【0012】図2に示すこの実施例の円筒部21は、ス
トレートな筒状(外径寸法D)を有しており、外径Dと
ほぼ同一かそれよりやや短い長さSに形成されている。
なお、この長さSは拡底スクリュウ筒2の直進性と強度
を確保するのに十分であればよく、特に同等であること
は必要ではない。鍔部22は、直径W(外径寸法Dの
2.5乃至3倍程度)の大きさに形成された略円板状を
有するものからなり、筒部21のほぼ中間に取付け(溶
着)てある。傾斜羽根23は、鍔部22の一部(この実
施例では1箇所)に形成されており、鍔部22を半径方
向に切断する(これによって土が逃げる隙間も同時に形
成される)とともに、その切断部分を互いに逆方向に角
度θだけ傾斜する(ほぼ45度に傾斜させてあるが、3
0〜45度の範囲が好ましい)ように折曲させてある。
また、この傾斜羽根23の開き角度(α)範囲は図3に
示すように60度前後であり、この傾斜羽根23の一方
(先端側に向かうもの)には、ほぼ等脚台形状の補強板
24が鍔部2との間に溶着されている。
【0013】このような構成の鍔付拡底鋼管杭は、保管
から運搬までの間は本体1と拡底スクリュウ筒2とをそ
れぞれ別個に、しかもコンパクトにまとめて収納でき、
作業現場での打杭の際に、吊り下げた本体1の先端(下
端)側に拡底スクリュウ筒2を挿入して(一定深さ本体
1のみを土中に打込んだのち)溶着させる。また、この
実施例では最後まで打ち込んだのち、中空の本体1内部
にコンクリート(若しくはモルタル等)を流し込んでお
くようになっており、この硬化後の強度によって水平剪
断力応力を増大させることができるから、支持層が傾斜
した滑りの発生し易い剪断土層等に好適である。
【0014】従ってこの実施例によれば、本体1より
も外径寸法が大幅に大きな鍔部22を持った拡底スクリ
ュウ筒2を回転させながら地中に圧入していく(この回
転圧入方法については、先の特願平8−131106号
の明細書に詳しいので、これを参照されたい。)から、
図1において、ドットAで示す本体1よりも大きく拡大
した領域に亘り、圧密作用(圧入時に土壌が硬く圧縮さ
れた状態)が発生し、その上先端部に発生する所謂モン
ロー効果によってその圧密な土壌の領域が鍔部22の下
方に大きく広がって膨らんでいるから、支持力が一層増
大する。また、この鍔部22は、従来のようなスクリ
ュウパイルと異なり、水平方向に形成してあるから、有
効断面積が大きく確保できるばかりか、捩じれ変位の発
生もない。しかもこの実施例では、刃12とともに傾
斜羽根23を設けており、回転圧入する際に羽根23の
間から土を効率よく排出できるので、この排出した土が
本体1周辺に充填され、鉛直安定性(杭周辺の空洞化防
止)をもたらす。さらに、この傾斜羽根23より先の
本体1部分がセンタドリル効果によって下孔を精度よく
掘削していくので、直進性も飛躍的に高まる。
【0015】これによって、従来では地盤の支持強度が
N値10程度(一般地層)までしか適用できなかった鋼
管杭での改良工事(これ以下のN値ではコストの嵩むセ
メントミルク等を混ぜた地盤改良工法を行っていた)
が、この実施例の鍔付拡底鋼管杭を使用することによ
り、支持強度がN値3程度の軟弱地層でも所要の地耐力
が得られ(鉛直方向の支持強度を従来の6倍強に増大さ
せることができる)、鋼管杭による地盤改良工事が可能
となる。しかも、この鍔付拡底鋼管杭1には底蓋11が
あるから、換言すれば先端部分に底蓋11を設けて先端
部分を閉塞構造としており、底蓋11から本体1内部に
は土等が侵入することがなく、効率的な圧入作用を実現
できる。
【0016】
【発明の効果】以上説明してきたようにこの発明によれ
ば、本体よりも大きな外径寸法の鍔部とこの鍔部の一部
に設けた傾斜羽根とを有する拡底スクリュウ筒を備えた
から、本体の領域に比べて大幅に拡大した土中断面領域
に亘り、圧密効果とモンロー効果とを発生できる。
【0017】また、この発明によれば、拡底スクリュウ
筒に大きな断面積を有する鍔部を設けたから、初期沈下
をもたらす虞れもなく土中支持力に大きな安定性をもた
らし、安定した支持力を長期間に亘り発揮することが可
能である。
【0018】しかもこの発明によれば、打杭現場で鍔付
拡底鋼管杭の本体先端側に拡底スクリュウ筒を溶接して
固着する構成のものであるから、保管や運搬等が容易で
あって、作業性が良好であるとともに製造コストの削減
にもつながるなど、各種の優れた効果がもたらされる。
【0019】さらに、この発明によれば、拡底スクリュ
ウ筒の鍔部の一部に傾斜羽根を設けたから、回転しなが
ら圧入させることにより、譬え圧入力が小さくても貫入
が極めてスムースに行えるから、硬質地盤へも確実に貫
入させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に使用する鋼管杭の要部を示す破断
図。
【図2】この発明に係る鋼管杭の拡底スクリュウ筒を正
面図。
【図3】同拡底スクリュウ筒の平面図。
【図4】従来の鋼管杭を示す概略断面図。
【図5】他の鍔付拡底鋼管杭を示す破断図。
【符号の説明】
1 本体 2 拡底スクリュウ筒11 底蓋 12 刃 21 円筒部 22 鍔部 23 傾斜羽根
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/22 - 5/72

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空筒状に形成された本体(1)の先端
    部の内部に底蓋(11)を固着し、この底蓋(11)に
    外部に突出する刃(12)を固着した鋼管杭の先端側を
    土中に回転圧入した後に本体(1)の先端側に拡底スク
    リュウ筒(2)を挿入して溶着して成る鍔付拡底鋼管杭
    であって、 拡底スクリュウ筒(2)は本体(1)の先端側に挿入す
    る円筒部(21)と、この円筒部(21)の外周のほぼ
    中間の高さ位置にかつ水平方向にほぼ円板状に形成され
    た鍔部(22)と、この鍔部(22)の一部を半径方向
    に切断しその切断部分を互いに逆方向に30〜45度の
    角度だけ傾斜するように折曲させて形成された傾斜羽根
    (23)とから成り、 前記鍔部(22)の直径Wは円筒部(21)の外径Dの
    2.5〜3倍に形成し、 本体(1)の先端部から鍔部(22)までの長さLは本
    体(1)の外径寸法のほぼ2倍に形成し、 互いに逆方向に傾斜する傾斜羽根(23)の開き角度α
    は60度前後に形成し たことを特徴とする鍔付拡底鋼管
    杭。
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JP2005171621A (ja) * 2003-12-11 2005-06-30 Porta- Seizo Kk 鋼管杭及び鋼管杭の打ち込み工法

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