JPH089752A - 棚下作業用台車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保守管理や収穫作業を行う際の作業範囲を広
げることにより作業能率を高めることができ、併せて着
座姿勢での作業性の安全向上を図ること。 【構成】 荷台５０上部に作業椅子６０を回動自在に配
設したので、保守管理や収穫作業を行う際、作業椅子の
背もたれに体を預けた状態で作業を行うことができ、楽
な着座姿勢での作業が可能となるばかりか、作業椅子６
０を回動させることにより着座姿勢での手の届く作業範
囲を広げることができるため、作業能率が高められる。
またロック機構７０のハンドル７９Ａを、たとえば時計
方向に回すことにより、回動支持部材６３が軸受部材７
１とベアリングリテーナ７７との間で挟持され、作業椅
子６０の回動に対して所定の回転トルクが与えられるの
で、作業椅子６０の回動方向に対する安定性を高めるこ
とができ、作業の集中力の欠落が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ぶどう園や梨園等の果
樹園において、棚下を自走する棚下作業用台車に係り、
特に荷台に設けた作業椅子の位置を変更可能とした棚下
作業用台車に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ぶどうや梨等の栽培は、園場に
形成された棚に枝をはわし、その棚に果樹を成らせる
が、これらの果樹の保守管理又は収穫を行う場合、管理
や収穫作業の効率化を図るために、図７及び図８に示す
ような自走式の棚下作業車が使用されている。

【０００３】すなわち、棚下作業車１の荷台２の下部側
には、エンジン３の駆動力によって駆動されるクローラ
形式の走行装置４が配設されている。荷台２の上部側に
は作業椅子５及びクラッチペダル６が配設されており、
更に荷台２の前部側には各種操作レバーを有した操縦部
７が設けられている。また作業椅子５は、荷台２に対し
て支持部材８を介し回動自在に取り付けられている。

【０００４】このような構成では、作業椅子５に着座
し、操縦部７の操作レバーを操作するとともに、クラッ
チペダル６を踏み込むことによってエンジン３からの駆
動力が走行装置４に伝えられ、棚下作業車１を走行させ
ることができる。

【０００５】また、保守管理や収穫作業を行う際には、
作業椅子５の背もたれに体を預けた状態で作業を行うこ
とができるため、楽な着座姿勢での作業が可能となる。

【０００６】更には、作業椅子５に着座しての作業方向
の向きを変える場合、着座姿勢の状態で荷台２に対し足
をふんばることで作業椅子５を回動させることができ、
所定の位置で作業椅子５の回動を停止させる場合には、
同様に荷台２に対し足をふんばることで作業椅子５の回
動を阻止することができるようになっている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の棚下作業車１では、保守管理や収穫作業を行う場
合、作業椅子５の背もたれに体を預けた状態の楽な姿勢
で作業を行うことができるものの、作業範囲は着座姿勢
で手の届く範囲に限られてしまうことから、作業時の作
業範囲が狭く作業能率が低下してしまうという不具合が
あった。

【０００８】また、作業椅子５に着座しての作業方向の
向きを変える場合、上述したように、荷台２に対して足
をふんばり作業椅子５を回動させるとともに、同様に、
荷台２に対して足をふんばることで、作業椅子５の回動
を阻止することができるものの、支持部材８は荷台２に
対して単に回動自在に配設されているにすぎないため、
作業椅子５の回動方向に対する安定性に欠けてしまうば
かりか、ふんばっている足側に気が向けられてしまい、
作業の集中力が欠けてしまうおそれがあり、着座姿勢で
の作業性の安全向上を図る上で妨げとなっている。

【０００９】本発明は、このような事情に対処してなさ
れたもので、保守管理や収穫作業を行う際の作業範囲を
広げることにより作業能率を高めることができ、併せて
着座姿勢での作業性の安全向上を図ることができる棚下
作業用台車を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の棚下作業用台車
は、上記目的を達成するために、下方に走行装置が配設
された台車フレーム上部の一側部寄りに、前記走行装置
を駆動するエンジン及び前記走行装置の各種走行モード
を選択する各種操作レバーを有した操作部を配設し、更
に前記台車フレーム上部の他側部寄りに荷台を載置する
とともに、この荷台上部に作業椅子が可動自在に配設さ
れ、この配設された作業椅子に対して所定の回転トルク
を与えるとともに、前記作業椅子の可動状態を阻止する
ロック機構が設けられていることを特徴とする。

【００１１】

【作用】本発明の棚下作業用台車では、荷台上部に作業
椅子を可動自在に配設したので、保守管理や収穫作業を
行う際、作業椅子の背もたれに体を預けた状態で作業を
行うことができるため、楽な着座姿勢での作業が可能と
なるばかりか、着座姿勢をとりつつ作業椅子を移動させ
ることができるので、着座姿勢で手の届く作業範囲を広
げることができる。

【００１２】また、ロック機構により作業椅子の可動に
対して所定の回転トルクを与えることができるため、作
業椅子の可動方向に対する安定性を高めることができ、
作業の集中力の欠落を防止することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例の詳細を図面に基づい
て説明する。図１乃至図３は、本発明の棚下作業用台車
の一実施例を示すものである。これらの図に示すよう
に、棚下作業用台車のメインフレーム１０の下部には、
クローラ形式の走行装置２０が配設されている。走行装
置２０は、後述するエンジン３０からの駆動力を伝達す
る駆動部２１やゴムクローラ２２等を備えて構成されて
いる。

【００１４】メインフレーム１０の前部側には、走行装
置２０に対して駆動力を与えるためのエンジン３０が搭
載されている。エンジン３０の上部には、各種操作レバ
ーを有した操作部４０が配設されている。操作部４０
は、サイドクラッチレバー４１，４２、走行レバー４
３、主クラッチレバー４４を備えて構成されている。

【００１５】ここで、操作部４０の取付け位置は、後述
する各作業椅子６０に着座した状態でも操作が楽に行え
る位置に配設されている。また、操作部４０は、メイン
フレーム１０の前部側に設けられているため、上記作業
椅子６０に着座した状態に限らず、地上からでも操作す
ることができるようになっている。

【００１６】メインフレーム１０の後部側には、荷台５
０が取付けられている。荷台５０の前後には、ガイドパ
イプ５１が取付けられている。荷台５０の両サイドに
は、支持軸５３を介してサイドフレーム５２が可倒自在
に取付けられている。

【００１７】また、荷台５０は、図示省略の油圧ジャッ
キによって左右いずれかに傾けられるようになっている
ため、園場が傾斜している場合であっても重力に対して
垂直になるように傾けることができることから、安定し
た状態での保守管理や収穫作業を行うことができる。な
お、ここでは、油圧ジャッキによって荷台５０を傾ける
場合について例示しているが、これに限らず、手動式に
よって行うようにしてもよく、この場合には、たとえば
伸縮部材にパンタグラフ式ジャッキを用いることにより
荷台５０を傾けることができる。

【００１８】荷台５０には、下部に略コ字型の足場６７
を有した作業椅子６０が回動自在に取付けられている。
すなわち、作業椅子６０の下部に取付けられている支持
部材６１の下端部にはアーム部材６２を介して回動支持
部材６３が取付けられており、この回動支持部材６３が
荷台５０に対して回動自在とされることにより、作業椅
子６０が回動自在とされる。

【００１９】回動支持部材６３にはロック機構７０が配
設されており、作業椅子６０の回動位置を設定した後、
ロック機構７０を作用させて作業椅子６０の回動を固定
することができるようになっている。なお、ロック機構
７０の詳細については、後述する。

【００２０】また、上記の作業椅子６０の下部に設けら
れている足場６７にあっては、着座姿勢にて作業椅子６
０を旋回させた際に、作業者の足が荷台５０から離れた
場合であっても、足場６７に足をかけることによって安
定した着座姿勢をとることができるようになっている。

【００２１】荷台５０には、中空の軸受部材６４，６
５，６６が取付けられており、それぞれの軸受部材６
４，６５，６６に回動支持部材６３を差し込むことによ
り、作業椅子６０を荷台５０上に回動自在に配設するこ
とができるようになっている。したがって、荷台５０上
には、必要に応じて作業椅子６０が３個まで配設可能と
されている。

【００２２】ちなみに、二人で作業を行う場合には、荷
台５０に２個の作業椅子６０が取付けられるが、この場
合には荷台５０の両側に設けられている軸受部材６４，
６６に作業椅子６０の回動支持部材６３を差し込む。一
方、一人で作業を行う場合には、荷台５０の中心部に設
けられている軸受部材６５に作業椅子６０の回動支持部
材６３を差し込んで使用する。

【００２３】図４は、上記のロック機構７０の詳細を示
すものである。同図に示すように、荷台５０には、中空
の軸受部材６５（６４，６６）の上端部側が溶接部分５
４で固着されている。回動支持部材６３の中間部位に
は、軸受部材６８が溶接部分６８ａで固着されている。
回動支持部材６３が軸受部材６５に装着された状態で
は、軸受部材６８が軸受部材６５の上端縁部に当接し、
回動支持部材６３の回動を支持している。回動支持部材
６３の上端部側には、リング部材６９が溶接部分６９ａ
で固着されている。

【００２４】軸受部材６５の下端部側には、中心部にネ
ジ部を有した軸受部材７１が溶接部分７２で固着されて
いる。回動支持部材６３内部には、下端部側にネジ部７
３を有したシャフト７４が挿入されており、そのネジ部
７３は軸受部材７１の中心部に螺着されている。

【００２５】シャフト７４の上端部側には、カラー７５
がピン７６によって抜け止めされた状態で取付けられて
いる。カラー７５とシャフト７４の上端部側に一体的に
設けられているフランジ７８との間には、ベアリングリ
テーナ７７に保持されたスラストベアリング７７ａが介
在されている。更に、シャフト７４の上端部には、挿通
孔７９ａを有したハンドル支持部７９が設けられてい
る。挿通孔７９ａには、ハンドル７９Ａが遊挿されてい
る。

【００２６】ハンドル７９Ａを、たとえば時計方向に回
すと、シャフト７４の下端部のネジ部７３が軸受部材７
１の中心部にネジ込まれ、シャフト７４が下方に引き込
まれることにより、回動支持部材６３が軸受部材７１と
ベアリングリテーナ７７との間で挟持されるので、回動
支持部材６３の回動が阻止される。

【００２７】このような構成の棚下作業用台車は、次の
ようにして使用される。すなわち、園場の棚下で、図５
に示すように、たとえば二人で作業を行う場合には、上
述した両側の軸受部材６４，６６に回動支持部材６３を
差し込み、荷台５０に対して２個の作業椅子６０を取付
ける。

【００２８】作業椅子６０の取付けを終え、棚下作業用
台車を走行させる場合、作業椅子６０に着座した状態
で、操作部４０のサイドクラッチレバー４１，４２、走
行クラッチレバー４３及び前後進クラッチレバー４４を
操作し、エンジン３０からの駆動力を駆動部２１を介し
て走行装置２０に伝え、ゴムクローラ２２を駆動させ
る。

【００２９】棚下作業用台車を作業位置に移動させた
後、作業椅子６０の背もたれに体を預け手を伸ばしての
保守管理や収穫作業を楽な着座姿勢で行うことができ
る。

【００３０】また、作業椅子６０の回動に対して所定の
回転トルクを与える場合には、ロック機構７０のハンド
ル７９Ａを操作する。すなわち、ハンドル７９Ａを、た
とえば時計方向に回し、シャフト７４の下端部のネジ部
７３を軸受部材７１の中心部にネジ込むことにより、シ
ャフト７４が下方に引き込まれる。シャフト７４が下方
に引き込まれることにより、回動支持部材６３が軸受部
材７１とベアリングリテーナ７７との間で挟持されるた
め、回動支持部材６３が軸受部材７１及び軸受部材６５
を介して荷台５０側に固定される。したがって、ハンド
ル７９Ａによる締め具合いに応じて、回動支持部材６３
に対し必要とする回転トルクが得られるため、作業状況
に応じてハンドル７９Ａによる締め具合いを調整する。

【００３１】このとき、カラー７５とフランジ７８との
間にスラストベアリング７７ａが介在されているので、
ハンドル７９Ａによる締め具合いに応じ回動支持部材６
３に対して必要とする回転トルクが与えられた状態にお
いて、作業椅子６０を回動させた場合であっても、シャ
フト７４のネジ部７３と軸受部材７１のネジ部との螺着
力が変化しないので、調整した所定の回転トルクを維持
することができる。

【００３２】棚下作業用台車の走行方向を向いた状態で
の作業時において手の届く範囲の作業を終えた後、着座
姿勢の状態で足をふんばり、所定の回転トルクが与えら
れた作業椅子６０を、たとえば図５に示したように、棚
下作業用台車の進路方向に対して直交する方向である、
互いに逆向きとなる方向に向けることによって着座姿勢
での手の届く範囲が広げられることから、広範囲での作
業が可能となる。

【００３３】このとき、作業椅子６０の回動に対して所
定の回転トルクが与えられていることから、作業椅子６
０の回動方向に対する安定性が高められ、作業を集中し
て行うことができる。またこのとき、各作業椅子６０の
下部に設けられている略コ字型の足場６７に足をかける
ことによってより安定した着座姿勢をとることができ
る。

【００３４】一方、園場が傾斜している場合では、図示
省略の油圧ジャッキを駆動し、たとえば図６に示すよう
に、荷台５０を垂直方向に対して水平状態に傾けること
により、各作業椅子６０の着座姿勢が安定する。

【００３５】なお、一人で作業を行う場合には、上述し
たように、荷台５０の中心に位置する軸受部材６５に回
動支持部材６３を挿入し、１個の作業椅子６０を取付
け、上述したように、棚下作業用台車を作業位置に移動
させた後、着座姿勢をとって保守管理や収穫作業を行
う。また、棚下作業用台車の走行方向を向いた状態での
作業時において手の届く範囲の作業を終えた後、着座姿
勢の状態で足をふんばり、作業椅子６０を棚下作業用台
車の進路方向に対して直交する方向である、左右方向に
向けることによって着座姿勢での手の届く範囲が広げら
れることから、一人で作業を行う場合であっても広範囲
での作業が可能となる。

【００３６】このように、本実施例では、荷台５０上部
に作業椅子６０を回動自在に配設したので、保守管理や
収穫作業を行う際、作業椅子の背もたれに体を預けた状
態で作業を行うことができ、楽な着座姿勢での作業が可
能となるばかりか、棚下作業用台車の走行方向を向いた
状態での作業時において手の届く範囲の作業を終えた
後、着座姿勢の状態で足をふんばり、作業椅子６０を棚
下作業用台車の進路方向に対して直交する方向に向ける
ことにより、着座姿勢での手の届く作業範囲を広げるこ
とができるため、作業能率が高められる。

【００３７】また、本実施例では、ロック機構７０のハ
ンドル７９Ａを、たとえば時計方向に回すことにより、
回動支持部材６３が軸受部材７１とベアリングリテーナ
７７との間で挟持され、作業椅子６０の回動に対して所
定の回転トルクが与えられるので、作業椅子６０の回動
方向に対する安定性を高めることができ、作業の集中力
の欠落が防止される。

【００３８】なお、本実施例では、棚下作業用台車の走
行装置２０をクローラ式とした場合について説明した
が、この例に限らずタイヤ式としてもよい。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の棚下作業
用台車によれば、荷台上部に作業椅子を可動自在に配設
したので、保守管理や収穫作業を行う際、作業椅子の背
もたれに体を預けた状態で作業を行うことができるた
め、楽な着座姿勢での作業が可能となるばかりか、着座
姿勢をとりつつ作業椅子を移動させることができるの
で、着座姿勢で手の届く作業範囲を広げることができ
る。

【００４０】また、ロック機構により作業椅子の可動に
対して所定の回転トルクを与えることができるため、作
業椅子の可動方向に対する安定性を高めることができ、
作業の集中力の欠落を防止することができる。したがっ
て、保守管理や収穫作業を行う際の作業範囲を広げるこ
とにより作業能率を高めることができ、併せて着座姿勢
での作業性の安全向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の棚下作業用台車の一実施例を示す側面
図である。

【図２】図１の棚下作業用台車を示す背面図である。

【図３】図１の棚下作業用台車を示す低面図である。

【図４】図１の棚下作業用台車のロック機構を示す断面
図である。

【図５】図１の棚下作業用台車の使用状態を示す図であ
る。

【図６】図１の棚下作業用台車の園場が傾斜している場
合での使用状態を示す図である。

【図７】従来の棚下作業用台車を示す側面図である。

【図８】図７の棚下作業用台車を示す背面図である。

【符号の説明】

１０ メインフレーム ２０ 走行装置 ２１ 駆動部 ２２ ゴムクローラ ３０ エンジン ４０ 操作部 ５０ 荷台 ６０ 作業椅子 ７０ ロック機構 ７１ 軸受部材 ７４ シャフト ７５ カラー ７７ ベアリングリテーナ ７７ａ スラストベアリング ７８ フランジ ７９Ａ ハンドル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下方に走行装置が配設された台車フレー
   ム上部の一側部寄りに、前記走行装置を駆動するエンジ
   ン及び前記走行装置の各種走行モードを選択する各種操
   作レバーを有した操作部を配設し、更に前記台車フレー
   ム上部の他側部寄りに荷台を載置するとともに、この荷
   台上部に作業椅子が可動自在に配設され、この配設され
   た作業椅子に対して所定の回転トルクを与えるととも
   に、前記作業椅子の可動状態を阻止するロック機構が設
   けられていることを特徴とする棚下作業用台車。