JPH089576B2 - 1−(置換フェニル)エタノール誘導体 - Google Patents

1−(置換フェニル)エタノール誘導体

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JPH089576B2
JPH089576B2 JP62255326A JP25532687A JPH089576B2 JP H089576 B2 JPH089576 B2 JP H089576B2 JP 62255326 A JP62255326 A JP 62255326A JP 25532687 A JP25532687 A JP 25532687A JP H089576 B2 JPH089576 B2 JP H089576B2
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和利 宮沢
尚之 吉田
昌和 金親
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な有機化学物及びそれを含む液晶組成
物に関し、更に詳しくは光学活性基を有する有機化合物
及びそれを含有する液晶組成物に関する。
〔従来の技術〕
液晶表示素子は、回路、駆動方式ならびにセル製造技
術の向上、そして特に素子に封入される液晶組成物の特
性改善によって急速な用途の拡大がなされてきた。しか
しながら、液晶表示素子には後述のように改善すべき点
が山積みされている。
たとえば、視野角の狭いこと、コントラストが悪いこ
と、応答速度が遅いこと、いまだ表示容量が小さいこ
と、そして周囲の温度変化による表示品質の低下などが
挙げられる。これらのうちでも周囲の温度変化による表
示品質の低下はしきい値電圧Vthの温度変化に起因され
る。
近年普通に使われている手段として、液晶組成物に光
学活性物質を微量添加することにより、液晶分子の逆ツ
イストを抑えて液晶分子に右まわりあるいは左まわりの
らせん構造を与え、表示品質を保つ方法がある。例えば
TN(twisted nematic)型表示素子、および最近提案さ
れたSBE(supertwisted birefrigence effect)型表示
素子の場合等に有利な影響を与えることができる。
しかしながら、ドーピング剤(dopant)として添加す
る光学活性物質の有するねじれ能力が低すぎると必要な
ピッチを得るために該ドーピング剤を比較的高い濃度で
添加する必要が生じ、他の物質パラメーターに不利な影
響をおよぼすことは明白である。このため高いねじれ能
力すなわち液晶中に添加したときに同一添加量にてより
短いピッチを発現する能力を持つ光学活性物質が待望さ
れてきた。
例えば、BDH社製CB-15や最近報告された特開昭62-813
54号、特開昭62-81355号記載の化合物はネマチック液晶
組成物に1重量%添加するだけで10μm前後のピッチを
発現する能力を有しており、ある意味では実用可能な光
学活性物質といえる。
しかしながら、一般的な公知の光学活性物質は、前記
の化合物も含め、温度の上昇につれてその添加による液
晶物質のピッチを増加せしめ、しばしば望ましくない影
響をおよぼしている。例えばSBE方式においては、温度
変化による液晶組成物の固有ピッチPが変化し、それに
よって表示素子のセル厚dと液晶組成物の固有ピッチP
の比P/dの値も変化する。通常P/dが2以下になっている
が、これが温度変化によって2以上になると270度ツイ
ストが90度ツイストに変わってしまう。
また、表示容量の増大のための改善という点では、表
示素子に電圧を印加していった際の透過率の変化の急峻
性の改善が必要である。G.バウアーとW.フェーレンバッ
クは第15回フライブルク液晶会議(1985)において270
度ツイストにすると急峻性が大幅に改善されるという計
算結果を報告しているが、ここでも固有ピッチの温度に
よる変化をなくすことが必要となってくる。
この問題を解決するための方法として近年、負の温度
特性を持つ光学活性化合物、すなわち温度上昇にともな
い固有ピッチが減少する物質がみい出され、これを従来
の正の温度特性を有する光学活性物質と適量混合するこ
とにより温度による固有ピッチの変化のない組成物が得
られている(特願昭61-179194号、江本ら)。
しかしながら、現在報告されている負の温度特性を持
つ物質はいずれも液晶物質に対するねじれ能力が低く必
要なピッチを得るためにはかなり高い濃度で添加するこ
とが必要となっており、種々の悪影響をもたらしている
と考えられる。これらの諸問題を解決するためにピッチ
が短く、しかも負の温度特性を持つ物質が望まれてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らは、好適な特性を有する液晶組成物を実現
するために必要な特性、即ち負の温度特性を有し、高い
ねじれ能力を有する光学活性化合物を発明するために鋭
意努力を重ねた結果、本発明に到達した。
本発明の目的は、好適な特性を有する液晶組成物を実
現するために必要な特性、特に負の温度特性を有し、ね
じれ能力の極めて高い光学活性化合物を提供することで
ある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、一般式 (但し、上式に於てR1、R2は炭素数1〜20のアルキル基
又はアルコキシ基を示し、1、m、nはそれぞれ0又は
1を示し、1+mは1以上であり、Xは臭素原子又はシ
アノ基を示し、 はそれぞれ独立に、 で表される光学活性化合物、少なくともその1種を含有
する液晶組成物および該液晶組成物を使用してなる電気
光学素子である。
〔化合物の製法〕
次に本発明の(I)式の化合物の製造方法について述
べる。
(I)式の化合物は例えば次の経路により好適に製造
できる。
(a)X=F,Cl,Brの場合 (但し上式に於てR1,R2,1,m,n, は上述と同一の意味を示し、XはF,Cl,Brのいづれかを
示す。) 即ち、(II)式で示される光学活性アルコールに(II
I)式で示される種々のカルボン酸類を反応させること
により(I)式の化合物を得ることができる。
(b)X=CNの場合 (但し上式に於てR1,R2,1,m,n, は上述と同一の意味を示す。) 即ち、前記(a)で得られたX=Brである化合物をシ
アノ化することにより(I)式におけるX=CNである化
合物を得ることができる。
〔発明の作用効果〕
本発明の化合物の第一の特徴は、液晶組成物のドーピ
ング剤として用いたときに、わずかな添加量において高
いねじれ構造を誘起することにある。後述の実施例3に
於て示すように、ねじれ構造を有しない液晶組成物に1
重量%添加したときのピッチが25℃に於て7.4μmと短
く、より少量の添加で最適化されたねじれ構造を有した
液晶組成物すなわちカイラル液晶組成物を調整すること
が可能である。
このことは現在ドーピング剤として知られている光学
活性化合物、例えばBDH社製の商品名C−15が63μm、
商品名CN-15でさえ10μmでしかないことを考えると、
驚くべき特性であることがわかる。
更に本発明の化合物の第二の特性は、負の温度特性を
有していることにある。実施例3に於て示すように、温
度特性δPはt1=20℃、t2=40℃に於て−0.189と負の
特性を示しており、一般的に知られている正の温度特性
を持つ化合物群から任意に選択されたものと、適当量混
和することにより、ピッチの温度特性が平坦である。す
なわちδP=0であるカイラル組成物を容易に提供する
ことが可能になる。
本発明の化合物のこれら数々の優れた特性はすべて骨
に起因しており、この骨格を持たずして上記の特性を発
現することはできない。換言すれば、上記の骨格を分子
構造中に含んでさえいれば、優れた特性を発現できるの
であって、上式中のA,B部分にはさまざまな構造を置き
換えることができることはいうまでもない。上記骨格の
基本となる の化合物は、本願出願人により特願昭62-255325号とし
て特許出願されている。
更に本発明の化合物は、その高いねじれ能力のため、
最適化されたねじれ構造を有するカイラル液晶組成物を
得るために必要な添加量がわずかでよい。そしてそのた
めさまざまな種類の液晶物質と混和することが可能であ
り、その対象となり得る液晶物質としてはシッフ塩基
類、ビフェニル類、フェニルシクロヘキサン類、フェニ
ルピリジン類、フェニルピリミジン類、フェニルジオキ
サン類、シクロヘキシルビフェニル類、桂皮酸エステル
類、フェニルエステル類など、あるいはそれらから任意
に選択され組み合わされてなる液晶組成物があげられ
る。
また、本発明の化合物を添加して生じるカイラル液晶
組成物、すなわちねじれ構造を有する液晶組成物とは、
カイラルネマチック組成物のみに限らず、スメクチック
相特にスメクチックC相にねじれ構造を持たせたカイラ
ルスメクチックC相を有する組成物をも意味している。
近年、カイラルスメクチックC相を利用した新しい駆動
方式についての研究が盛んに行なわれているが(クラー
クら;Applid Phys.lett.,36,899(1980))、スメクチ
ックC相を有する化合物あるいは組成物に本発明の化合
物を添加することによりカイラルスメクチックC相を誘
起することができる。この場合、自発分極が大きければ
大きい程、応答速度が大きいといわれているが、後述の
実施例4でも示す通り10.4nc/cm2という大きな自発分極
を示す組成物を得ることができる。
〔実施例〕
以下実施例により本発明の化合物につき更に詳細に説
明する。
実施例1 R−4−ペンチルオキシビフェニル−4′−カルボン
酸1−(2−ブロモフェニル)エチルエステル((I)
式に於て1=m=1,n=0,R1=C5H11O−,R2=H,X=Br, のもの)の製造: R−1−(2−ブロモフェニル)エタノール ▲〔α〕23.5 D▼=+33.5(C=3.52 CHCl3)4g、4−
ペンチルオキシビフェニル−4′−カルボン酸6g、ジシ
クロヘキシルカルボジイミド7g、ジメチルアミノピリジ
ン0.4g、ジクロロメタン100mlの混合物を室温に於て2
時間撹拌したのち不溶物を濾別した。濾液の酸洗、アル
カリ洗および水洗し、溶媒を留去し残渣をエタノール・
酢酸エチルの混合溶媒から再結晶を行い、7.6gのR−4
−ペンチルオキシビフェニル−4′−カルボン酸1−
(2−ブロモフェニル)エチルエステルを得た。mp101.
2〜102.2℃。またこのものは元素分析、MFR−スペクト
ル、IR−スペクトルによると標題化合物に一致してい
る。
実施例2 R−4−ペンチルオキシビフェニル−4′−カルボン
酸1−(2−ジアノフェニル)エチルエステル(上述
(I)式に於て1=m=1,n=0,R1=C5H11O−,R2=H,X
=CN, のもの)の製造: 実施例1で製造したR−4−ペンチルオキシビフェニ
ル−4′−カルボン酸1−(2−ブロモフェニル)エチ
ルエステル6g、シアン化第一銅2.1g、ジメチルフォルム
アミド40mlの混合物を150℃に於て6時間撹拌した。放
冷後塩化第一鉄6.4g、20%塩酸7mlの混合物を加え60〜7
0℃に於て20分撹拌した。トルエンを加え水洗したのち
溶媒を留去し残渣をエタノールから再結晶することによ
り2.8gのR−4−ペンチルオキシビフェニル−4′−カ
ルボン酸1−(2−シアノフェニル)エチルエステルを
得た。mp112.5〜112.8℃。また、このものは元素分析、
MFR−スペクトル、IR−スペクトルによると標題化合物
に一致している。
実施例3(使用例1) ネマチック液晶組成物(市販のメルク社(株)製ZLI-
1132を使用した)に本発明の実施例1および2の化合物 を1重量%添加し、カイラルネマチック液晶組成物を調
製した。このカイラルネマチック液晶組成物を平行処理
を施したくさび型セルに注入しこれを偏光顕微鏡下で観
察したところ、らせんピッチが次表の通りに観察され
た。
ただし前述のδP20〜1は温度特性を表現するパラメ
ーターであり次式で定義される。
P(t):t℃におけるピッチ長 t :温度 以上の様に発現するピッチは極めて短く、その上、温
度上昇に伴い、ピッチ長が短くなるという特性を有して
おり本発明の化合物が優れた液晶組成物のピッチ調節剤
であることが判明した。
実施例4(使用例2) 次の相転移点を持ち、ラセミ体である化合物、 80重量%に実施例2の化合物20重量%を添加しカイラ
ルスメクチックC液晶組成物を製造した。その相転移点
は次の通りであった。
この組成物の自発分極値を測定したところ10.4nc/cm2
であった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (但し、上式に於てR1、R2は炭素数1〜20のアルキル基
    又はアルコキシ基を示し、1、m、nはそれぞれ0又は
    1を示し、1+mは1以上であり、Xは臭素原子又はシ
    アノ基を示し、 はそれぞれ独立に、 で表される光学活性化合物。
  2. 【請求項2】一般式 (但し、上式に於てR1、R2は炭素数1〜20のアルキル基
    又はアルコキシ基を示し、1、m、nはそれぞれ0又は
    1を示し、1+mは1以上であり、Xは臭素原子又はシ
    アノ基を示し、 はそれぞれ独立に、 で表される光学活性化合物を少なくとも1種含有し、少
    なくとも2成分以上からなることを特徴とする液晶組成
    物。
  3. 【請求項3】一般式 (但し、上式に於てR1、R2は炭素数1〜20のアルキル基
    又はアルコキシ基を示し、1、m、nはそれぞれ0又は
    1を示し、1+mは1以上であり、Xは臭素原子又はシ
    アノ基を示し、 はそれぞれ独立に、 で表される光学活性化合物を少なくとも1種含有し、少
    なくとも2成分以上からなる液晶組成物を使用してなる
    電気光学素子。
JP62255326A 1987-10-09 1987-10-09 1−(置換フェニル)エタノール誘導体 Expired - Lifetime JPH089576B2 (ja)

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US07/239,277 US4904409A (en) 1987-10-09 1988-09-01 Optically active-1-(2-halogen-substituted-phenyl)-ethanol and its derivative
EP88309168A EP0311329B1 (en) 1987-10-09 1988-10-03 Liquid crystal compositions comprising optically active 1-[2-halogen-substituted-phenyl]-ethanols and derivatives thereof
DE3889408T DE3889408T2 (de) 1987-10-09 1988-10-03 Flüssigkristalline Mischungen enthaltend optisch aktive 1-[2-Halogen-substituierte-phenyl]-äthanole und Derivate davon.

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CHEMICAL ADSTVACTS=1969 *
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