JPH089341B2 - 移動農機の走行伝動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、移動農機の走行伝動装置に関し、コンバ
イン、トラクター、運搬車等の走行伝動に利用できる。

従来の技術 操向クラッチを作動するためのプッシュシリンダー
は、走行伝動装置を内装する伝動ケースの上部外側や左
右外側等に設けて、操向クラッチを作動するよう連動構
成する。

発明が解決しようとする問題点 走行伝動装置を内装する伝動ケースは、内部に変速装
置や操向クラッチ等を設けるものであるから、上下に高
い構成となり易く、しかも左右両側部では走行軸から各
走行装置へ伝動させるため、これら高さ及び幅方向の制
限を受け易い。従って、操向クラッチを作動するための
油圧によるプッシュシリンダーを、これら伝動ケースの
上部乃至左右側部を設ける形態では、他の機体構成部分
の障害にない易く、着脱等も行い難い。

問題点を解決するための手段 この発明は、クローラ形態の走行装置９を有する移動
農機において、機体の前部には、上部の入力軸１から入
力して変速装置２により変速伝動すると共に操向クラッ
チ３を操作可能にして下部の走行軸４へ伝動回転する走
行伝動装置５を内装した伝動ケース６を設け、この伝動
ケース６の前側に、走行伝動装置５の操向クラッチ３を
作動するための油圧によるプッシュシリンダー７と、こ
の下方にあってこの油圧用オイルを濾過するオイルフィ
ルター８とを取り付けたことを特徴とする移動農機の走
行伝動装置の構成とする。

発明の作用 入力軸（１）を伝動回転して、変速装置（２）、操向
クラッチ（３）等の走行伝動装置（５）を経て、走行軸
（４）を伝動回転することにより、走行装置が走行伝動
される。この走行伝動の変速は、変速装置（２）の変速
操作によって行われ、又、操向は、操向クラッチ（３）
の作動によって行われる。この操向がプッシュシリンダ
ー（７）によって油圧で行われるときは、このプッシュ
シリンダー（７）の作動が伝動ケース（６）内の操向ク
ラッチ（３）を入切りして走行軸（４）への伝動により
操向、旋回等を行わせる。

このプッシュシリンダー（７）を作動するための油圧
は循環途中でオイルフィルター（８）を経る間に濾過さ
れる。このオイルフィルター（８）は、伝動ケース
（６）の前側で、該プッシュシリンダー（７）の下方に
位置して設けられているため、オイルフィルター（８）
の交換、分解時等においては、操作が容易であり、この
ときオイルの一部が漏出しても下方部が容器によって受
け易い。

発明の効果 このように走行伝動装置５を内装する伝動ケース６を
機体の前部に設け、この伝動ケース６の前側に、走行伝
動装置５の操向クラッチ３を作動するプッシュシリンダ
ー７を設けるため、このプッシュシリンダー７と操向ク
ラッチ３との関係位置を短くして、これらの連動構成を
簡単化できると共に、他の作業装置部等の障害になり難
く、空間的余裕のある機体の前部においてプッシュシリ
ンダー７やオイルフィルター８の点検、整備等が行なえ
るため、日常点検が容易であり、しかもオイルフィルタ
ー８からのオイル漏れによって汚されることも少ないた
め、分解、組付等の作業が容易である。

実施例 なお、図例第１図〜第３図において、コンバインの走
行車体（34）の前端部に伝動ケース（６）を設け、入力
軸（１）を上位にし走行軸（４）を下位にして、この左
右の走行軸（４）の両側にはクローラ形態の走行装置
（９）のスプロケット（10）を設けて、伝動回転する構
成である。伝動ケース（６）は左右両側から合せた割形
に設けられ、上部に入力軸（１）、バック軸（11）、変
速軸（12）等を設け、これより下方へ中間軸（13）、操
向軸（14）、及び走行軸（４）等を配設している。

入力軸（１）の外側端には、原動機側のプーリ（31）
からクラッチプーリ（32）を介してベルト（33）伝動さ
れるプーリ（15）、及びこの入力軸（１）を経て刈取装
置を出力伝動しうる出力プーリ（40）等を設けている。
変速装置（２）は、入力軸（１）と変速軸（12）、中間
軸（13）及びバック軸（11）との間に、異形のギヤ（1
6）（17）（18）等を常時噛合させて、この変形軸（1
2）上に沿って移動自在の変速キー（19）を、この変速
軸（12）上のギヤ（17）の内周部の係合部に選択係合す
ることによって、入力軸（１）から変速軸（12）への変
速を行う構成としている。（20）は該変速キー（19）を
操作するための変速アームである。

中間軸（13）から伝動回転されるセンターギヤ（21）
と、このセンターギヤ（21）に対して左右両側からクラ
ッチ咬合する操向クラッチ（３）とを操向軸（14）上に
設け、伝動ケース（６）に前後方向の軸（42）回りに回
動自在に支持させたクラッチアーム（22）によって、該
操向クラッチ（３）を軸方向へ左右へ移動させる構成と
している。この操向クラッチ（３）の左右両側端には操
向ブレーキ（23）を設け、操向クラッチ（３）をセンタ
ーギヤ（21）との咬合から外して操向クラッチを切りに
した状態で、更にこの操向クラッチ（３）を外方へ移動
操作することにより、操向ブレーキ（23）を働かせて、
この働かせた側の走行軸（４）の付回りを制止する。

（24）は駐車アームで、この駐車アーム（24）を回動
させて該一側の操向ブレーキ（23）を制動させると、左
右の操向クラッチ（３）はセンターギヤ（21）に咬合っ
た状態では、左右の走行軸（４）に同時に制動されるか
ら駐車ブレーキとなる。

（25）は走行軸（４）のギヤで、各対応する操向クラ
ッチ（３）のギヤに対して常時噛合状態にある。

左右のクラッチアーム（22）には、作動アーム（26）
を伝動ケース（６）の前部側に設け、この作動アーム
（26）に手動操作で回動される操作軸（27）のアーム
と、プッシュシリンダー（７）によるピストン（28）と
を、左右各別に作動するよう設け、操向クラッチ（３）
を、操作軸（27）によっても、又プッシュシリンダー
（７）によっても自在に入切操作することができる。こ
のうち（29）は伝動ケース（６）の一側方へ突出させた
操作軸（27）の回動アームで、手動操作できるよう操向
レバーやペタル等に連動させている。又、プッシュシリ
ンダー（７）は、伝動ケース（６）の前側にこの前側面
とほゞ直交する方向の取付面を設けて着脱自在に取付
け、油圧ポンプからの油圧を受けて該ピストン（28）を
この伝動ケース（６）内方へ作動させることができる。
ピストン（28）は伝動ケース（６）の孔に嵌合させたス
リーブ内を摺動自在に設けている。

該プッシュシリンダー（７）は、操向制御用の方向セ
ンサによるソレノイドバルブの作動によって切替えられ
る油圧回路にあり、方向センサによって走行方向を検出
して指令される側のプッシュシリンダー（７）のピスト
ン（28）が押出されて、操向クラッチ（３）を切る。

オイルフィルター（８）は、該プッシュシリンダー
（７）の下方において着脱自在に設け、該プッシュシリ
ンダー（７）で使用される油圧用のオイルを濾過するも
ので、伝動ケース（６）の底部と該プッシュシリンダー
（７）との間に設けられ、この該プッシュシリンダー
（７）との間のオイルギャラリー（30）は、伝動ケース
（６）に一体成形している。

（35）はクラッチプーリ（32）を入切作動するための
油圧によるクラッチ作動シリンダーで、操縦装置の変速
レバー（36）に設けたスイッチ操作によって伸縮させ
て、クラッチプーリ（32）による伝動クラッチを、この
変速レバー（36）による変速操作と一定のタイミングの
もとに入切操作する構成である。（37）はこのクラッチ
作動シリンダー（35）を油圧により伸縮作動する油圧回
路のソレノイドバルブで、（38）は刈取装置を車体（3
4）に対して昇降させるための油圧回路の昇降バルブ
で、操作レバーの前後方向の回動操作によって連動機構
（39）を経て切替操作する構成としている。この操作レ
バーは、昇降バルブ（38）の連動と共に、操向クラッチ
（３）をも手動操作する関係に設け、操向クラッチ
（３）の操作軸（27）端のアームに連結して、操作レバ
ーを左右の方向へ回動することにより回動した側の操向
クラッチ（３）を切りにすることができる。

変速レバー（36）の把手部のスイッチをONにすると、
ソレノイドバルブ（37）の切替えによってクラッチ作動
シリンダー（35）が伸長されてクラッチプーリ（32）が
ベルト（33）から離れて、入力軸（１）の主クラッチが
切りになる。この状態において変速レバー（36）を操作
することにより、変速アーム（20）等を経て変速キー
（19）が切替えられる。変速後該スイッチをOFFすれば
主クラッチが入りに戻って入力軸（１）が回転して、走
行伝動装置（５）を経て走行軸（４）を伝動する。又、
主クラッチの入りによって出力プーリ（40）から刈取装
置を伝動する。

操作レバーによって操向操作するときは、左右への操
作側の回動アーム（29）、操作軸（27）、作動アーム
（26）等を経て操向クラッチ（３）が切りになり、操向
乃至旋回を行わせる。又、方向センサによる自動操向制
御では、方向センサからソレノイドバルブを経てプッシ
ュシリンダー（７）のピストン（28）を作動させて、上
記と同様に操向クラッチ（３）を切る。

又、操作レバーによって刈取装置を昇降するときは、
前後方向操作により昇降バルブ（38）を切替えて刈取装
置を車体（34）に対して昇降し、刈取高さを制御した
り、刈取姿勢や非刈取姿勢とする。

伝動ケース（６）内の潤滑油を、この伝動ケース
（６）内からオイルポンプによって、吸入口に設けてい
るオイルフィルターを経て吸入し、このオイルを昇降バ
ルブ（38）、ソレノイドバルブ（37）等の油圧回路を経
て、操向クラッチ（３）操作用のプッシュシリンダー
（７）に送り、オイルギャラリー（30）を経てオイルフ
ィルター（８）に至り、このオイルフィルター（８）で
は細塵を濾過して伝動ケース（６）内へ戻る循環行程と
している。

第４図、第５図の実施例において、上例と異なるとこ
ろは、変速装置（２）は、入力軸（１）上のギヤ（16）
を軸方向へ移動操作することによって、変速軸（12）上
のギヤ（17）又はバック軸（11）上のギヤ（18）に噛合
させて変速伝動する形態であり、中間軸（13）上には、
該変速軸（12）上のギヤ（17）と噛合する副変速ギヤ
（41）を設けて、副変速伝動を行う形態としている。
又、プッシュシリンダー（７）は、伝動ケース（６）の
前側面に対してほゞ平行な取付面として前方に向けて突
出して取付けられ、操向クラッチ（３）のクラッチアー
ム（22）の軸（42）は上下方向に沿わせて設けている。

（43）は伝動ケース（６）に形成する昇降バルブ（3
8）のオイルギャラリーで、リリーフバルブによって油
圧を伝動ケース（６）内へ戻すものである。駐車ブレー
キは、駐車アーム（24）でカム（44）を軸（14）回りに
回動することによって操向ブレーキ（23）を制動する構
成としている。

【図面の簡単な説明】

図はこの発明の実施例を示すもので、第１図は側面図、
第２図は正面図、第３図は正断面図、第４図は別実施例
の一部断面せる側面図、第５図は正断面図である。 図中、符号（１）は入力軸、（２）は変速装置、（３）
は操向クラッチ、（４）は走行軸、（５）は走行伝動装
置、（６）は伝動ケース、（７）はプッシュシリンダ
ー、（８）はオイルフィルターを示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クローラ形態の走行装置９を有する移動農
   機において、機体の前部には、上部の入力軸１から入力
   して変速装置２により変速伝動すると共に操向クラッチ
   ３を操作可能にして下部の走行軸４へ伝動回転する走行
   伝動装置５を内装した伝動ケース６を設け、この伝動ケ
   ース６の前側に、走行伝動装置５の操向クラッチ３を作
   動するための油圧によるプッシュシリンダー７と、この
   下方にあってこの油圧用オイルを濾過するオイルフィル
   ター８とを取り付けたことを特徴とする移動農機の走行
   伝動装置。