JPH0892537A - 水溶性ホットメルト接着剤 - Google Patents

水溶性ホットメルト接着剤

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JPH0892537A
JPH0892537A JP6258932A JP25893294A JPH0892537A JP H0892537 A JPH0892537 A JP H0892537A JP 6258932 A JP6258932 A JP 6258932A JP 25893294 A JP25893294 A JP 25893294A JP H0892537 A JPH0892537 A JP H0892537A
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water
rosin
hot melt
melt adhesive
soluble
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JP6258932A
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Inventor
Masahiro Asami
正廣 浅見
Kazunori Nakao
一徳 中尾
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水溶性ホットメルト接着剤の接着性、熱安定
性、耐熱クリープ性および高速接着性を改善する。 【構成】 ポリビニルアルコール(PVA)100重量
部に対して、水溶性又は水分散性ロジン類10〜250
重量部と、可塑剤1〜100重量部とを組合せ、水溶性
ホットメルト接着剤の熱安定性、接着性などを高める。
PVAの平均重合度は30〜700程度、鹸化度は40
〜95モル%程度である。前記ロジン類には、ロジン、
ロジ変性マレイン酸樹脂などのロジン誘導体若しくはそ
の塩が含まれ、ロジン類の酸価は30〜300(mgK
OH/g)程度である。可塑剤には、PVA用可塑剤、
例えば、グリセリンなどの多価アルコールが含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱クリープ性、高速
接着性、溶融状態での熱安定性が改善された水溶性ホッ
トメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ホットメルト接着剤は、溶剤型接着剤と
異なり、溶融・塗布という簡単な操作で被着体を接着で
きるとともに、有機溶剤を必要とせず環境汚染の虞がな
いという利点を有する。そのため、近年、紙、衣類や木
工などの種々の接着分野にホットメルト接着剤が使用さ
れている。特に紙用接着剤の分野では、包装材の接着、
製本、製袋、段ボール箱の貼合などにホットメルト接着
剤が幅広く利用されている。これらのホットメルト接着
剤には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂が広く利用されているとともに、接着性を
改善するため、粘着付与剤としての石油樹脂、テルペン
系樹脂、ロジンやロジン誘導体を添加している。しか
し、これらの樹脂は溶剤可溶性であり、水に対しては溶
解しない。
【0003】一方、森林保護、資源の再利用や公害問題
などの点から、故紙の回収および再生について検討され
ている。しかし、水不溶性のホットメルト接着剤を用い
ると、簡単な操作で故紙を回収および再生することが困
難であり、資源を再利用する上で大きな障害となる。
【0004】このような点に鑑み、水溶性ホットメルト
接着剤が提案されている。例えば、特開昭51−776
32号公報には、ポリビニルアルコールと、エチレンオ
キサイドが付加した多価アルコールとを含むホットメル
ト接着剤が開示されている。このホットメルト接着剤
は、水溶性であるものの、耐熱クリープ性が不十分であ
るだけでなく、溶融状態では熱安定性が劣る。そのた
め、長時間に亘りホットメルト接着に利用することが困
難である。
【0005】特開平5−5084号公報には、平均重合
度30〜3000で鹸化度60モル%以上のポリビニル
アルコール(以下、単にPVAと称する場合がある)1
00重量部と水10〜50重量部とを主成分とする含水
ゲル、又はこの含水ゲルにグリセリンなどの有機物系可
塑剤を添加したホットメルト接着剤が開示されている。
このホットメルト接着剤も、水溶性であり、耐熱クリー
プ性は比較的良好である。しかし、溶融状態では接着剤
自体の熱安定性が低いだけでなく、初期接着性の指標と
なるセットタイムが長いため、ホットメルト接着剤の利
点である高速接着には適さず、実用的でない。
【0006】特開平6−49423号公報には、平均重
合度30〜4000で鹸化度95モル%以上のPVA
と、平均重合度30〜4000で鹸化度50〜95モル
%のPVAと、水とで構成された水溶性ホットメルト接
着剤が開示されている。このホットメルト接着剤は、耐
熱クリープ性、安定性が比較的良好であり、初期接着性
もかなり改善されている。しかし、この接着剤のセット
タイムは5秒程度であり、未だ高速接着には適さない。
しかも、溶融状態での熱安定性も低い。
【0007】このように水溶性ホットメルト接着剤には
PVAが使用されているものの、未だ熱安定性が小さい
ため、連続的に長時間に亘り被着体の接着に供すること
が困難あるとともに、セットタイムが長いため、被着体
を高速接着できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、熱安定性の高い水溶性ホットメルト接着剤を提供す
ることにある。
【0009】本発明の他の目的は、高速接着性に優れる
水溶性ホットメルト接着剤を提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、接着性および
耐熱クリープ性に優れる水溶性ホットメルト接着剤を提
供することにある。
【0011】本発明の別の目的は、高い熱安定性を有す
るとともに、長期間に亘り安定して高い接着強度で被着
体を接着できるホットメルト接着剤を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、PVAと、水溶
性又は水分散性ロジン誘導体と、親水性可塑剤とを組合
せると、耐熱クリープ性、高速接着性、溶融状態での熱
安定性の高い水溶性ホットメルト接着剤が得られること
を見いだし、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明の水溶性ホットメルト接
着剤は、PVA、水溶性又は水分散性ロジン又はロジン
誘導体若しくはその塩(以下、単に「ロジン類」と称す
ることがある)、および水溶性又は水分散性可塑剤を含
んでいる。前記PVAには、水溶性、接着性及び作業性
を損わない種々のPVA、例えば、平均重合度30〜7
00および鹸化度40〜95モル%のPVAなどが含ま
れる。前記ロジン類は、例えば、酸価30〜300(m
gKOH/g)程度、軟化点80〜200℃程度を有し
ていてもよい。ロジン類は、ロジン変性マレイン酸樹脂
又はエステル型ロジン変性マレイン酸樹脂などのよう
に、アルコール可溶性であってもよい。また、可塑剤に
は、多価アルコールなどのPVA用の種々の可塑剤が含
まれる。水溶性ホットメルト接着剤は、さらに、フェノ
ール系酸化防止剤などの酸化防止剤を含んでいてもよ
い。
【0014】なお、本明細書において、「水溶性又は水
分散性ロジン又はロジ誘導体」とは、ロジン又はその誘
導体がアンモニウム塩を形成したとき、水溶性又は水分
散性を示すことを意味する。
【0015】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】ポリビニルアルコール(PVA)として
は、被着体に対する接着強度、塗工性などを損わない範
囲で種々のPVAが使用でき、例えば、平均重合度は、
30〜700、好ましくは50〜500、さらに好まし
くは100〜400程度であり、平均重合度100〜5
00程度のPVAを用いる場合が多い。平均重合度が3
0未満では、ホットメルト接着剤の耐熱接着性(耐熱ク
リープ性)が低下し、重量物の接着に適さない虞があ
り、平均重合度が700を越えると溶融時の粘度上昇に
よる接着作業性が低下するとともに、水溶性も低下す
る。
【0017】PVAの鹸化度は、接着性、水溶性などを
損わない範囲で選択でき、例えば、40〜95モル%、
好ましくは45〜90%、さらに好ましくは50〜75
%程度であり、ケン化度45〜75%程度のPVAを用
いる場合が多い。鹸化度が40モル%未満では、PVA
が軟質化するとともに、ホットメルト接着剤の耐熱クリ
ープ性が低下し、鹸化度が90モル%を越えると水溶性
が低下する。
【0018】本発明の特色は水溶性ロジン類を併用する
点にある。この点に関し、ロジン又はロジン誘導体は粘
着付与剤(タッキファイヤー)として水不溶性ホットメ
ルト接着剤に使用されている。このような粘着付与剤を
PVAと混合しても、水溶性が発現しないだけでなく、
PVAに対する粘着付与剤の相溶性が小さいため、接着
力が向上せず、溶融状態での接着剤自体の熱安定性も改
善されない。これに対してPVAと水溶性又は水分散性
ロジン類(親水性ロジン類)とを組合せると、水溶性を
損なうことなく、ホットメルト接着剤の熱安定性を大き
く改善できる。さらに、親水性ロジン類の添加により、
セットタイムを顕著に短縮できるとともに、耐熱接着性
(耐熱クリープ性)および被着体に対する接着強度が大
きく向上する。
【0019】ロジン類には、例えば、ガムロジン、ウッ
ドロジン、トールオイルロジン、不均化ロジン、水添ロ
ジン、重合ロジンなど(以下、これらを単にロジンと総
称する場合がある)、これらのロジンから誘導されるロ
ジン誘導体などが含まれる。ロジン誘導体には、カルボ
キシル基が残存又は導入された化合物、例えば、ロジン
と多価アルコールとのエステル(ロジンエステル)、ロ
ジンと多塩基酸(例えば、無水マレイン酸)との反応生
成物(ロジン−無水マレイン酸付加体で構成されたロジ
ン変性マレイン酸樹脂など)、ロジン−無水マレイン酸
付加体と多価アルコールとのエステル、多価アルコール
の存在下でロジンと無水マレイン酸とを反応させて生成
したエステル(エステル型ロジン変性マレイン酸樹脂)
などが含まれる。
【0020】前記多価アルコールには、例えば、ジオー
ル(エチレングリコール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ヘキサンジオールなどのアルキ
レングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレン
グリコールなどのポリオキシアルキレングリコールな
ど);グリセリン、ペンタリスリトール、ジペンタエリ
スリトールなどが例示される。これらの多価アルコール
は一種または二種以上使用できる。なお、ロジン類の酸
価の調整には一価アルコールを併用してもよい。
【0021】このようなロジン類は単独又は二種以上組
合せて使用してもよい。これらのロジン類のうち、ロジ
ン誘導体、特にロジン変性無水マレイン酸樹脂、ロジン
と無水マレイン酸と多価アルコールとの反応生成物であ
るエステル型ロジン変性マレイン酸樹脂を用いる場合が
多い。
【0022】ロジン類は、親水性、すなわち水溶性又は
水分散性(好ましくは水溶性)であればよく、その酸価
は、例えば、30〜300(mgKOH/g)、好まし
くは50〜280(mgKOH/g)、さらに好ましく
は75〜250(mgKOH/g)程度であり、酸価1
00〜250(mgKOH/g)(例えば、100〜2
20(mgKOH/g))程度のロジン類を用いる場合
が多い。酸価が30(mgKOH/g)未満ではホット
メルト接着剤の水溶性が低下し易く、酸価が300(m
gKOH/g)を越えるとPVAに対する相溶性が低下
し、均一なホットメルト接着剤および溶融混合物を得る
ことが困難である場合が多い。なお、ロジンの酸価は1
30〜183(mgKOH/g)程度であるため、ロジ
ンを単独で用いてもよい。
【0023】前記ロジン類のうち、PVAとの相溶性の
高いロジン類が好ましく、このようなロジン類には、メ
タノール、エタノールなどのアルコールに対して可溶な
ロジン類が含まれる。アルコール可溶性のロジン類に
は、メタノール100gに対して少なくとも1g以上溶
解するロジン類が含まれる。
【0024】ロジン類の軟化点は、接着性、PVAとの
混和性などを損わない範囲で選択でき、接着性を高める
ためには、例えば、80〜200℃、好ましくは100
〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃程度で
あり、軟化点110〜170℃程度のロジン類を用いる
場合が多い。なお、ロジンの軟化点は、通常、60〜8
0℃程度であり、重合ロジンの軟化点は90〜100℃
程度である。
【0025】耐熱クリープ性を高めるとともに、初期接
着性の指標となるセットタイムを短縮するため、ロジン
類の重量平均分子量は、約500〜10000、好まし
くは700〜5000程度であり、重量平均分子量10
00〜3000程度である場合が多い。分子量が小さな
ロジン類を用いると、耐熱クリープ性が低下し、セット
タイムが長くなる虞があるとともに、分子量が大き過ぎ
るとPVAとの相溶性や耐寒接着性が低下する場合があ
る。
【0026】ロジン類の塩を形成するための塩基には、
種々の有機塩基又は無機塩基が使用できる。有機塩基に
は、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどのジ
アルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン
などのトリアルキルアミン;ジメチルアミノエタノール
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの
アルカノールアミン;モルホリン、ピリジン、ピペリジ
ンなどの複素環式アミンなどが含まれる。無機塩基に
は、例えば、アンモニア、カリウム、ナトリウムなどの
アルカリ金属、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸
塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素
塩などが含まれる。ロジン類の塩を用いると、ホットメ
ルト接着剤組成物の水溶性を高めることができる。
【0027】ロジン類の使用量は、PVAの種類などに
応じて選択でき、例えば、PVA100重量部に対して
10〜250重量部、好ましくは30〜230重量部、
さらに好ましくは50〜200重量部程度であり、30
〜200重量部程度である場合が多い。ロジン類の使用
量が10重量部未満では高い接着性を発現させるのが困
難であり、250重量部を越えると耐熱クリープ性が低
下する場合がある。
【0028】可塑剤としては、水溶性又は水分散性の親
水性可塑剤が使用でき、PVA用の可塑剤を用いる場合
が多い。このような可塑剤としては、例えば、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、テトラメチレングリコールなどのアルキレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−
プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシアルキ
レングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコー
ルやそれらの誘導体(例えば、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテルなどのセロソルブ類、カルビトール類、前記多価
アルコールとアルキレンオキサイド(エチレンオキサイ
ドなど)との付加物など);多価アルコールとホウ酸と
のエステル(例えば、硼酸エチレングリコールエステル
など)、エチレン尿素、尿素などが例示される。こらの
の可塑剤は一種又は二種以上使用できる。
【0029】親水性、特にPVA用可塑剤を用いると、
組成物の熱溶解性が向上し、接着後のホットメルト接着
剤の体積収縮による接着不良を抑制できるとともに、柔
軟性を付与できる利点がある。これらの可塑剤のうち、
水溶性多価アルコール、例えば、2以上のヒドロキシル
基を有する多価アルコール、特にポリオキシエチレン単
位を有する多価アルコールおよびグリセリンが好まし
い。このような可塑剤、特にグリセリンを用いると、ホ
ットメルト接着剤の耐熱性および可撓性を向上できる。
【0030】可塑剤の使用量は、接着性、耐熱性などを
損わない範囲で選択でき、例えば、PVA100重量部
に対して1〜150重量部、好ましくは10〜125重
量部、さらに好ましくは15〜100重量部程度であ
り、10〜100重量部程度である場合が多い。可塑剤
の使用量が1重量部未満ではPVAとロジン類とを均一
に溶融するのが困難であり、接着不良が生じ易く、15
0重量部を越えると耐熱クリープ性および接着性が低下
し易い。
【0031】本発明のホットメルト接着剤は、接着強度
が大きく、セットタイムが短いので高速接着に適してい
るとともに、耐熱クリープ性が高く、高い温度でも大き
な接着強度が発現する。特に前記ロジン類と可塑剤(特
にPVA用可塑剤)とを併用すると、溶融状態での接着
剤の熱安定性が向上し、180℃程度の高温で数時間以
上の長時間保持しても、ホットメルト接着剤は、殆ど変
色せず、炭化物の生成や”皮張り”現象が生じない。そ
のため、本発明のホットメルト接着剤は、高い水溶性お
よび実用的な安定性を有しており、長期間に亘り安定に
使用できる。
【0032】本発明の水溶性ホットメルト接着剤は、安
定性、特に熱安定性を高めるため、種々の酸化防止剤
(安定剤)を含んでいてもよい。これらの安定剤につい
ては、成書「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便
覧」((株)化学工業社,1970年発行)第147頁
〜第304頁、第1041頁〜第1054頁を参照でき
る。
【0033】前記安定剤としては、熱可塑性樹脂に一般
的に使用される安定剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリ
デンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネー
ト、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t
−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、トリエチレングリコール ビス[3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル
−ウ−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン
などのフェノール系酸化防止剤;フェニル−α−ナフチ
ルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−
ジ−2−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェ
ニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミ
ン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレ
ンジアミンなどのアミン系酸化防止剤;ジミリスチルチ
オジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネー
ト、ジステアリルチオジプロピオネートなどのイオウ系
酸化防止剤;トリイソデシルホスファイト、トリフェニ
ルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどのリン
系酸化防止剤;2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、
2,5−ジ−t−アミルヒドロキノンなどのヒドロキノ
ン系酸化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチ
ル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系酸化防
止剤;メルカプトヘンゾイミダゾールなどの他の酸化防
止剤などが含まれる。これらの安定剤は単独で又は二種
以上組合せて使用できる。二種以上安定剤を組合せて使
用すると、ホットメルト接着剤の熱安定性を向上でき
る。好ましい安定剤には、フェノール系酸化防止剤及び
/又はリン系酸化防止剤が含まれ、両者を併用するのが
好ましい。フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤
との割合は、例えば、前者/後者=5/95〜100/
0(重量比)、好ましくは10/90〜90/10(重
量比)、さらに好ましくは25/75〜75/25(重
量比)程度である。
【0034】安定剤の使用量は、接着性などに悪影響を
及ぼさない範囲で選択でき、例えば、ロジン類100重
量部に対して0〜5重量部、好ましくは0.05〜3重
量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部程度である。
安定剤の添加量がロジン誘導体100重量部に対して5
重量部を越えると耐熱クリープ性が損なわれ易いととも
に、経済的にもコスト高となり易い。
【0035】さらに、本発明の水溶性ホットメルト接着
剤には、接着性、熱安定性などを損なわない範囲で他の
成分、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド系樹脂、
ポリエステル系樹脂などの水不溶性又は水溶性ホットメ
ルト接着剤用ポリマー、粘着付与剤(例えば、石油樹
脂、テルペン樹脂、ロジンエステルなどのロジン誘導
体)、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、滑剤、ワック
ス、充填剤、着色剤(顔料や染料)、香料などを添加し
てもよい。
【0036】なお、本発明の水溶性ホットメルト接着剤
は、水不溶性ホットメルト接着剤用ポリマー、水不溶性
粘着付与剤などを比較的多量に添加しても安定性が高
い。例えば、前記水溶性又は水分散性ロジン類と水不溶
性粘着付与剤とを、前者/後者=50/50〜100/
0(重量比)の範囲(例えば、70/30〜90/10
(重量比))程度の範囲で併用しても、熱安定性などは
さほど損われない。
【0037】本発明の水溶性ホットメルト接着剤は、慣
用の方法により調整できる。例えば、前記PVA、ロジ
ン類および可塑剤を、必要に応じて安定化剤や添加剤と
ともに、加熱溶融し均一に混合した後、冷却することに
よりホットメルト接着剤を得ることができる。前記成分
の接着剤組成物の加熱溶融温度は、各成分の種類および
組成割合などに応じて選択でき、例えば、溶融温度〜2
00℃、好ましくは100〜180℃、さらに好ましく
は130〜170℃程度の範囲から選択でき、130〜
180℃程度で接着剤組成物を加熱溶融する場合が多
い。加熱溶融温度が200℃を越えるとPVAの分解が
開始する虞がある。なお、冷却温度は前記接着剤組成物
の溶融温度以下であればよく、通常、作業性の点から室
温又はそれ以下である場合が多い。
【0038】ホットメルト接着剤の形態は特に制限され
ず、種々の形状、例えば、粉粒状、ペレット状、フィル
ム状、テープ状、紐状、棒状などであってもよい。ホッ
トメルト接着剤は、慣用の方法、例えば、前記形態のホ
ットメルト接着剤を加熱溶融し、ノズル又はローラー型
コーターなど適用手段を備えたホットメルト接着機を用
いて、被着体に塗工し、冷却することにより被着体を接
着できる。また、粉粒状、フィルム状、テープ状、紐状
などのホットメルト接着剤を被着体間に介装し、ヒート
プレスにより接着させることもできる。
【0039】本発明のホットメルト接着剤は、種々の被
着体、例えば、紙類、繊維製品、プラスチック類、金
属、陶磁器を含むセラミックス、コンクリート、セメン
ト製品、ガラス、木材などを接着する上で有用である。
特に水溶性という特性を利用して故紙を回収・再生する
ためには、紙類の接着に有用である。すなわち、水溶性
が高いので、故紙に付着している接着剤を水により容易
に溶解もしくは分散させることができ、故紙を効率よく
回収、再生できる。そのため、使用後の再生が望まれて
いるクラフト紙などで構成された紙製袋を製造する際の
接着、物品を充填した後の袋の接着に好適である。
【0040】
【発明の効果】本発明のホットメルト接着剤は、PV
A、ロジン類および可塑剤を含んでいるため、熱安定性
が高い。そのため、接着剤の変色や劣化により、接着面
および被着体の美観を損ねることがないだけでなく、炭
化物などが生じないため、長期間に亘り安定して高い接
着強度で被着体を接着できる。すなわち、例えば、ホッ
トメルト接着機を用いても、配管パイプを閉塞すること
なく、ホットメルト接着機を安定かつ連続的に運転で
き、接着作業性を大巾に改善できる。また、前記成分を
含んでいるため、本発明の水溶性ホットメルト接着剤
は、セットタイムが短く、高速接着性に優れ、被着体を
短時間に接着できる。さらに、接着性、耐熱クリープ性
が高いので、重量物や重量物を収容する容器を接着して
も、高い接着強度を維持できる。
【0041】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0042】実施例1 平均重合度180および鹸化度65モル%のPVA(信
越化学工業(株):SMR−8M)40重量部、酸価1
28および軟化点127℃のメタノール可溶性ロジン変
性マレイン酸樹脂(ハリマ化成(株)、ハリエスターM
SR−4)40重量部、グリセリン20重量部、フェノ
ール系安定剤(旭電化工業(株):AO−70)0.2
重量部およびリン系安定剤(旭電化工業(株):HP−
10)0.2重量部を、160℃で加熱し、溶融混合し
た後、25℃に冷却することにより、ホットメルト接着
剤を得た。
【0043】実施例2 実施例1のPVAを60重量部、酸価205および軟化
点160℃のメタノール可溶性ロジン変性マレイン酸樹
脂(ハリマ化成(株)、ハリエスターAS−5)30重
量部、グリセリン10重量部、実施例1のフェノール系
安定剤0.2重量部および実施例1のリン系安定剤0.
2重量部を用い、実施例1と同様にしてホットメルト接
着剤を得た。
【0044】実施例3 実施例1のPVAを30重量部、実施例1のロジン変性
マレイン酸樹脂50重量部、グリセリン20重量部、お
よび実施例1のフェノール系安定剤0.5重量部を用
い、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0045】実施例4 平均重合度240および鹸化度65モル%のPVA(信
越化学工業(株)製、SMR−10M)40重量部、実
施例1のロジン変性マレイン酸樹脂40重量部、グリセ
リン20重量部、およびフェノール系安定剤(吉富製薬
(株)、BHTスワノックス)0.3重量部を用い、実
施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0046】実施例5 安定剤を用いることなく、平均重合度330および鹸化
度88モル%のPVA((株)クラレ製、PVA−20
3)40重量部、実施例1のロジン変性マレイン酸樹脂
40重量部およびグリセリン20重量部を、実施例1と
同様にして加熱溶融混合し、ホットメルト接着剤を得
た。
【0047】実施例6 実施例1のロジン変性マレイン酸樹脂40重量部に代え
て、実施例1のロジン変性マレイン酸樹脂30重量部、
酸価16および軟化点125℃のロジンエステル樹脂
(荒川化学(株):スーパーエステルA−125)10
重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメル
ト接着剤を得た。なお、上記ロジンエステルは水不溶性
である。
【0048】実施例7 グリセリン20重量部に代えて、ポリエチレングリコー
ル#600を20重量部用いる以外、実施例1と同様に
してホットメルト接着剤を得た。
【0049】実施例8 実施例1のPVA40重量部、実施例1のロジン変性マ
レイン酸樹脂30重量部、グリセリン30重量部、実施
例1のフェノール系安定剤0.2重量部および実施例1
のリン系安定剤0.2重量部を用いる以外、実施例1と
同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0050】比較例1 実施例1のPVA65重量部、グリセリン35重量部、
実施例1のフェノール系安定剤0.2重量部および実施
例1のリン系安定剤0.2重量部を用いる以外、実施例
1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0051】比較例2 実施例1のロジン変性マレイン酸樹脂40重量部に代え
て、実施例6で用いた水不溶性ロジンエステル40重量
部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接
着剤を得た。
【0052】比較例3 実施例1のPVA50重量部、実施例1のロジン変性マ
レイン酸樹脂50重量部、実施例1のフェノール系安定
剤0.2重量部および実施例1のリン系安定剤0.2重
量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト
接着剤を得た。
【0053】上記実施例および比較例で得られたホット
メルト接着剤の熱溶融性、熱安定性、水溶性、接着強
度、セットタイム、および耐熱クリープ性を次のように
して評価した。なお、比較例3のホットメルト接着剤
は、熱溶融性が悪く、均一な溶融混合物が得られなかっ
たため、接着強度、セットタイム、耐熱クリープ性の評
価ができなかった。
【0054】(1)熱溶融性:180℃に加熱したステ
ンレス板上に、試料をのせ、30分後の溶融状態を観察
し、下記の基準で評価した。
【0055】◎:完全に溶融状態にある ○:僅に未溶融物がある △:一部が溶融状態である ×:溶融しない (2)熱安定性:180℃に加熱したステンレス板上
に、試料をのせ、8時間後の試料の色調の変化、炭化物
の発生を有無を観察し、下記の基準で評価した。
【0056】◎:皮張り、着色、炭化物が認められない ○:着色しているもののその程度が小さく、皮張り、炭
化物が認められない △:濃く着色しているものの、皮張り、炭化物が認めら
れない ×:皮張りまたは炭化物の発生が認められる (3)水溶性:30℃の蒸溜水100gに試料1gを入
れ、緩く撹拌しながら、1時間毎に溶解状態を観察し、
下記の基準で水溶性を評価した。
【0057】◎:2時間未満で完全に溶解する ○:2〜4時間で完全に溶解する △:4〜8時間で完全に溶解する ×:8時間後も溶解しない (4)接着強度:塗工温度180℃、塗布量3g/mの
条件で、ホットメルト接着剤を25mm幅のKライナー
紙に塗工し、オープンタイム2秒で貼り合わせ、2kg
/25mm×25mmの荷重で10秒間圧締し、試験片
を作製した。試験片を20℃、65%RHで24時間養
生した後、180°剥離により接着部の剥離状態を観察
した。なお、材料破壊が生じれば実用上問題のない接着
強度と言える。
【0058】(5)セットタイム:塗工温度180℃、
塗布量3g/mの条件で、ホットメルト接着剤を25m
m幅のKライナー紙に塗工し、オープンタイム2秒で貼
り合わせ、2kg/25mm×25mmの荷重で圧締時
間を変えて、試験片を作製した。
【0059】そして、圧締時間を変えて、試験片を剥離
したとき、5個の試験片のうち4個以上の試験片が材料
破壊するまでの時間をセットタイムとした。なお、セッ
トタイムが10秒以内であれば、高速接着適性がある。
【0060】(6)耐熱クリープ性:塗工温度180
℃、塗布量3g/mの条件で、ホットメルト接着剤を2
5mm幅のKライナー紙に塗工し、オープンタイム2秒
で貼り合わせ、2kg/25mm×25mmの荷重で2
秒間圧締し、試験片を作製した。
【0061】試験片を20℃、65%RHで24時間養
生し、40℃の恒温槽内で30分間放置した後、180
°剥離するため上端を固定し、下端に100gの荷重を
作用させ、昇温速度1℃/分で昇温した。そして、接着
部分が破壊した温度を耐熱クリープ性として評価した。
耐熱クリープ性が55℃以上であれば、実用的には問題
が生じない。
【0062】結果を表に示す。なお、表中、参考までに
ホットメルト接着剤における成分の概算割合を示す。
【0063】
【表1】 表より明らかなように、実施例の水溶性ホットメルト接
着剤は、比較例のホットメルト接着剤に比べて、接着強
度が大きいだけでなく、熱安定性、耐熱クリープ温度が
高く、セットタイムが短い。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール、水溶性又は水分
    散性のロジン又はロジン誘導体若しくはその塩、および
    水溶性又は水分散性可塑剤を含む水溶性ホットメルト接
    着剤。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールが、平均重合度3
    0〜700および鹸化度40〜95モル%を有する請求
    項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  3. 【請求項3】 ロジン又はロジン誘導体が酸価30〜3
    00(mgKOH/g)を有する請求項1記載の水溶性
    ホットメルト接着剤。
  4. 【請求項4】 ロジン又はロジン誘導体が軟化点80〜
    200℃を有する請求項1記載の水溶性ホットメルト接
    着剤。
  5. 【請求項5】 ロジン又はロジン誘導体がアルコール可
    溶性である請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  6. 【請求項6】 ロジン又はロジン誘導体が、ロジン変性
    マレイン酸樹脂又はエステル型ロジン変性マレイン酸樹
    脂である請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  7. 【請求項7】 可塑剤が多価アルコールである請求項1
    記載のホットメルト接着剤。
  8. 【請求項8】 ポリビニルアルコール100重量部に対
    して、ロジン又はロジン誘導体若しくはその塩10〜2
    50重量部、可塑剤1〜150重量部を含む請求項1記
    載の水溶性ホットメルト接着剤。
  9. 【請求項9】 さらに酸化防止剤を含む請求項1記載の
    水溶性ホットメルト接着剤。
  10. 【請求項10】 平均重合度50〜500および鹸化度
    45〜90モル%のポリビニルアルコール100重量部
    に対して、酸価50〜280(mgKOH/g)のロジ
    ン誘導体又はその塩30〜230重量部、ポリビニルア
    ルコール用可塑剤10〜125重量部を含む水溶性ホッ
    トメルト接着剤。
  11. 【請求項11】 ロジン誘導体が、酸価100〜250
    (mgKOH/g)、軟化点100〜180℃を有し、
    アルコール可溶性である請求項10記載の水溶性ホット
    メルト接着剤。
  12. 【請求項12】 さらに、少なくともフェノール系酸化
    防止剤を含む請求項10記載の水溶性ホットメルト接着
    剤。
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