JP3604202B2 - 水溶性ホットメルト接着剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱クリープ性、高速接着性、溶融状態での熱安定性が改善された水溶性ホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト接着剤は、溶剤型接着剤と異なり、溶融・塗布という簡単な操作で被着体を接着できるとともに、有機溶剤を必要とせず環境汚染の虞がないという利点を有する。そのため、近年、紙や木工などの種々の接着分野にホットメルト接着剤が使用されている。特に紙用接着剤の分野では、包装材の接着、製本、製袋、段ボール箱の貼合などにホットメルト接着剤が幅広く利用されている。これらのホットメルト接着剤には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂が主成分として使用されている。しかし、これらの樹脂は溶剤可溶性であり、水に対しては溶解しない。
【0003】
一方、森林保護、資源の再利用や公害問題などの点から、故紙の回収および再生について検討されている。しかし、水不溶性のホットメルト接着剤を用いると、簡単な操作で故紙を回収および再生することが困難であり、資源を再利用する上で大きな障害となる。
【0004】
このような点に鑑み、水溶性ホットメルト接着剤が提案されている。例えば、特開昭51−77632号公報には、ポリビニルアルコールと、エチレンオキサイドが付加した多価アルコールとを含むホットメルト接着剤が開示されている。特開昭58−10438号公報には、アルカリで重合度200以下のポリ酢酸ビニルを鹸化度30〜80モル%に処理し、エチレングリコールなどの融剤を添加したホットメルト接着剤が開示されている。これらのホットメルト接着剤は、水溶性であるものの、耐熱クリープ性が不十分であるだけでなく、溶融状態では熱安定性が劣る。そのため、長時間に亘りホットメルト接着に利用することが困難である。
【0005】
特開平5−5084号公報には、平均重合度30〜3000で鹸化度60モル%以上のポリビニルアルコール(以下、単にPVAと称する場合がある)100重量部と水10〜50重量部とを主成分とする含水ゲル、又はこの含水ゲルにグリセリンなどの有機物系可塑剤を添加したホットメルト接着剤が開示されている。このホットメルト接着剤も、水溶性であり、耐熱クリープ性は比較的良好である。しかし、溶融状態では接着剤自体の熱安定性、高湿度下での耐熱クリープ性(耐湿熱クリープ性)が低いだけでなく、初期接着性の指標となるセットタイムが長いため、ホットメルト接着剤の利点である高速接着には適さず、実用的でない。 特開平6−49423号公報には、平均重合度30〜4000で鹸化度95モル%以上のPVAと、平均重合度30〜4000で鹸化度50〜95モル%のPVAと、水とで構成された水溶性ホットメルト接着剤が開示されている。このホットメルト接着剤は、耐熱クリープ性、安定性が比較的良好であり、初期接着性もかなり改善されている。しかし、この接着剤のセットタイムは5秒程度であり、未だ高速接着には適さない。しかも、溶融状態での熱安定性も低い。
【0006】
このように水溶性ホットメルト接着剤にはPVAが使用されているものの、未だ熱安定性が小さいため、連続的に長時間に亘り被着体の接着に供することが困難あるとともに、セットタイムが長いため、被着体を高速接着できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、熱安定性の高い水溶性ホットメルト接着剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、高速接着性に優れる水溶性ホットメルト接着剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐熱クリープ性、高湿度下での耐熱クリープ性(すなわち耐湿熱クリープ性)に優れる水溶性ホットメルト接着剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、溶融状態で高い熱安定性を有するとともに、高速接着性、耐熱クリープ性および耐湿熱クリープ性に優れ、長期間に亘り安定して高い接着強度で被着体を接着できるホットメルト接着剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、PVAなどの酢酸ビニル系水溶性高分子と親水性可塑剤を含む系に、粘着付与剤、疎水性熱可塑性ポリマーおよびワックスを組み合わせると、耐熱クリープ性、高速接着性、溶融状態での熱安定性の高い水溶性ホットメルト接着剤が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の水溶性ホットメルト接着剤は、酢酸ビニル系水溶性高分子、粘着付与剤、疎水性熱可塑性ポリマー、ワックスおよび水溶性又は水分散性可塑剤を含む接着剤であって、さらにフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを組み合わせた安定剤又はフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とイオウ含有安定剤とを組み合わせた安定剤を含有し、前記酢酸ビニル系水溶性高分子は、鹸化度0〜30モル%のスルホン酸変性酢酸ビニル系水溶性高分子又はその塩であり、前記酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、前記粘着付与剤の割合は75〜250重量部であり、前記ワックスの割合は5〜50重量部である。この接着剤において、酢酸ビニル系水溶性高分子の平均重合度は30〜700程度であってもよく、粘着付与剤は軟化点100〜150℃の非水溶性粘着付与剤であってもよい。疎水性熱可塑性ポリマーはエチレン共重合体であってもよく、メルトフローレート200〜2500g/10分を有するホットメルト接着性ポリマーであってもよい。さらに、ワックスの融点は50〜120℃程度であってもよく、可塑剤としては多価アルコールなどのPVA用の種々の可塑剤が含まれる。
これらの成分の割合は、例えば、酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、粘着付与剤75〜230重量部、疎水性熱可塑性ポリマー5〜50重量部、ワックス7〜40重量部、可塑剤10〜100重量部程度であってもよい前記安定剤の割合は、ホットメルト接着剤100重量部に対して0.1〜10重量部程度であってもよく、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との割合は、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度であってもよい。
なお、本明細書において、「水溶性ホットメルト接着剤」とは、水に対して完全に溶解するホットメルト接着剤だけでなく、水に分散するホットメルト接着剤も包含する意味に用いる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
酢酸ビニル系水溶性高分子としては、水溶性であり、被着体に対する接着強度、塗工性などを損わない範囲で種々の酢酸ビニル系高分子が使用できる。酢酸ビニル系水溶性高分子には、例えば、スルホン酸変性ポリ酢酸ビニル、スルホン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体などのスルホン酸変性酢酸ビニル系高分子又はこれらの塩、ポリビニルアルコールなどが含まれる。スルホン酸変性酢酸ビニルのスルホン酸基の導入量は特に制限されず、例えば、0.1〜30モル%(好ましくは1〜20モル%)程度であってもよい。また、スルホン酸変性酢酸ビニル系高分子の塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられ、ナトリウム塩などを用いる場合が多い。
酢酸ビニル系水溶性高分子の平均重合度は、例えば、30〜700、好ましくは50〜600、さらに好ましくは100〜500程度である。平均重合度が30未満では、ホットメルト接着剤の耐熱接着性(耐熱クリープ性)が低下し、重量物の接着に適さない虞があり、平均重合度が700を越えると溶融時の粘度上昇による接着作業性が低下するとともに、水溶性も低下する。
【0011】
酢酸ビニル系水溶性高分子の鹸化度は、接着性、水溶性などを損わない範囲で選択でき、例えば、70モル%以下(例えば、0〜70モル%)の範囲内で選択でき、スルホン酸変性酢酸ビニル系高分子において、鹸化度は0〜30モル%程度であってもよい。また、ポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度は、例えば、30〜70モル%、好ましくは35〜70モル%、さらに好ましくは40〜60モル%程度であり、鹸化度40〜70%程度のPVAを用いる場合が多い。特に、平均重合度30〜700及びケン化度70モル%以下の特定の酢酸ビニル系水溶性高分子は高い接着性と水溶性を示し、粘着付与剤、疎水性熱可塑性ポリマー、ワックスおよび水溶性可塑剤と組み合わせることにより、高速接着性、溶融状態での接着剤の熱安定性、耐湿熱クリープ性の高い水溶性ホットメルト接着剤が得られる。
【0012】
なお、ホットメルト接着剤に、石油樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂などの粘着付与剤を添加すると、接着性が向上することが知られている。しかし、水溶性のPVAなどに粘着付与剤を単に添加しても、PVAなどとの相溶性が十分でなく、接着性が向上しないだけでなく、溶融状態での熱安定性が改善されず、水溶性も発現しない。これに対して、本発明では、ホットメルト接着剤が水溶性でありながら、非水溶性の慣用の粘着付与剤であっても有効に利用でき、接着強度などを大きく改善できる。
【0013】
粘着付与剤(タッキファイヤー)としては、慣用の成分、例えば、例えば、石油樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン及びロジン誘導体、およびこれらの水素添加物などが例示できる。これらの粘着付与剤は、単独で又は二種以上混合して使用できる。
【0014】
粘着付与剤の軟化点は、接着性が向上する範囲で選択できるが、高い接着力および耐熱クリープ性を発現しつつ初期接着性の指標となるセットタイムを短縮するためには、軟化点100〜150℃、好ましくは110〜150℃、さらに好ましくは120〜140℃程度である。軟化点が低いと、水溶性ホットメルト接着剤の耐熱クリープ性、耐湿熱クリープ性が低下し、高過ぎると酢酸ビニル系水溶性高分子との相溶性が低下しやすい。
【0015】
粘着付与剤の使用量は、接着力や安定性を損なわない範囲で選択でき、例えば、前記酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、50〜250重量部(例えば、75〜250重量部)、好ましくは75〜230重量部、さらに好ましくは100〜220重量部程度であり、100〜200重量部程度である場合が多い。
【0016】
疎水性熱可塑性ポリマーには、酢酸ビニル系水溶性高分子に対して相溶性を有し、水に対して不溶なポリマー、例えば、エチレン系共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジルエステル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体などのエチレンとカルボキシル基含有単量体との共重合体など)、ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、ナイロン11,ナイロン12などのポリアミド、ポリウレタン、変性ポリエステルなどのポリエステルなどが含まれる。これらの熱可塑性ポリマーは、単独で又は二種以上混合して使用できる。
好ましい熱可塑性ポリマーには、酢酸ビニル系水溶性高分子に対して高い相溶性を有するホットメルト接着性を有するポリマー、例えば、柔軟性、相溶性、流動性などに優れるエチレン系重合体(特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体など)、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、単にEVAと称する場合がある)が含まれる。
【0017】
前記疎水性熱可塑性ポリマーの分子量などは、PVAなどの酢酸ビニル系水溶性高分子との相溶性、耐熱クリープ性などを損わない限り特に制限されず、広い範囲から選択できる。例えば、EVAなどのエチレン系重合体としては、JISK6760に規定のメルトフローレート(メルトインデックス)が200〜2500g/10分、好ましくは250〜2300g/10分、さらに好ましくは300〜2200g/10分程度の重合体が使用でき、200〜2000g/10分程度の重合体を用いる場合が多い。EVAのメルトフローレートが200g/10分未満では、ホットメルト接着剤の均一性が低下し、2500g/10分を越えると、分子量の低下に伴って耐熱クリープ性が低下しやすい。
【0018】
疎水性熱可塑性ポリマーの使用量は、接着剤の水溶性を損なわず、耐湿熱クリープ性や熱安定性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、PVAなどの酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは10〜35重量部程度であり、10〜30重量部程度である場合が多い。酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対する熱可塑性ポリマーの使用量が5重量部未満であると、高湿度下での耐熱クリープ性(耐湿熱クリープ性)や熱安定性が低下しやすく、50重量部を越えると水溶性が低下しやすい。
【0019】
前記ワックスには、種々のワックス、例えば、カナウバワックスなどの植物系ワックス、セラックワックスなどの動物系ワックス、モンタンワックス、セレシンワックスなどの鉱物系ワックス、ポリエチレンワックスなどの合成炭化水素系ワックス、カルボキシル基変性ポリエチレンワックスなどの変性ワックス、水添鯨油などの水素化ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックスなどが含まれる。これらのワックスは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいワックスには、相溶性、接着性および耐熱性の点から、例えば、パラフィンワックスなどの石油系ワックスが含まれる。
【0020】
ワックスの融点は、耐熱クリープ性、耐湿熱クリープ性、柔軟性および耐寒性などを損わない範囲で選択でき、例えば、50〜120℃、好ましくは55〜110℃、さらに好ましくは60〜100℃程度であり、65〜105℃程度である場合が多い。ワックスの融点が50℃未満では耐熱クリープ性、耐湿熱クリープ性が低下しやすく、120℃を越えると柔軟性および耐寒性が低下しやすい。
【0021】
ワックスの使用量は、水溶性、耐湿熱クリープ性や熱安定性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは7〜40重量部、さらに好ましくは10〜35重量部程度であり、10〜25重量部程度である場合が多い。酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対する熱可塑性ポリマーの使用量が5重量部未満であると、耐湿熱クリープ性や熱安定性が低下しやすく、50重量部を越えると水溶性が低下しやすい。
【0022】
可塑剤としては、水溶性又は水分散性の親水性可塑剤が使用でき、PVAなどの酢酸ビニル系水溶性高分子に可塑性を付与するPVA用の可塑剤を用いる場合が多い。このような可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコールなどのアルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシアルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールやそれらの誘導体(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類、カルビトール類、前記多価アルコールとアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドなど)との付加物など);多価アルコールとホウ酸とのエステル(例えば、硼酸エチレングリコールエステルなど)、エチレン尿素、尿素などが例示される。これらの可塑剤は一種又は二種以上使用できる。
【0023】
親水性、特にPVA用可塑剤を用いると、組成物の熱溶解性が向上し、接着後のホットメルト接着剤の体積収縮による接着不良を抑制できるとともに、柔軟性を付与できる利点がある。これらの可塑剤のうち、水溶性多価アルコール、例えば、2以上のヒドロキシル基を有する多価アルコール、特にポリオキシエチレン単位を有する多価アルコールおよびグリセリンが好ましい。このような可塑剤、特にグリセリンを用いると、ホットメルト接着剤の耐熱性および可撓性を向上できる。
【0024】
可塑剤の使用量は、接着性、耐熱性などを損わない範囲で選択でき、例えば、酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜70重量部程度であり、30〜75重量部程度である場合が多い。可塑剤の使用量が10重量部未満では均一に溶融するのが困難であり、接着不良が生じ易く、100重量部を越えると耐熱クリープ性および接着性が低下し易い。
【0025】
本発明のホットメルト接着剤は、溶融状態での接着剤の熱安定性が向上し、塗布装置のストックタンク内で180℃程度の高温の溶融状態で数時間以上に亘り貯溜しても、ホットメルト接着剤は、殆ど変色せず、炭化物の生成や”皮張り”現象が生じない。なお、前記EVAなどの疎水性熱可塑性ポリマーやパラフィンワックスなどのワックスを水溶性ホットメルト接着剤に添加すると、均一に混和できなかったり水溶性が低下する場合が多い。これに対して、前記成分を組み合わせることにより、ホットメルト接着剤の水溶性を損うことなく、耐熱クリープ性のみならず耐湿熱クリープ性や熱安定性を向上できる。さらに、接着強度が大きく、セットタイムが短いので高速接着に適しているとともに、耐熱クリープ性が高く、高い温度でも大きな接着強度が発現する。そのため、本発明のホットメルト接着剤は、高い水溶性および実用的な安定性を有しており、長期間に亘り安定に使用できる。
【0026】
本発明の水溶性ホットメルト接着剤は、安定性、特に熱安定性を高めるため、種々の安定剤を含んでいてもよい。これらの安定剤については、成書「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」((株)化学工業社,1970年発行)第147頁〜第304頁、第1041頁〜第1054頁を参照できる。
前記安定剤としては、熱可塑性樹脂に一般的に使用される酸化防止剤などの安定剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−ウ−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンなどのフェノール系安定剤(酸化防止剤);フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジ−2−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系安定剤(酸化防止剤);4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのイオウ含有安定剤(酸化防止剤);トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどのリン系安定剤(酸化防止剤);2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノンなどのヒドロキノン系安定剤(酸化防止剤);6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系安定剤(酸化防止剤);メルカプトヘンゾイミダゾールなどの他の安定剤などが含まれる。
【0027】
これらの安定剤は単独で又は二種以上組合せて使用できる。二種以上安定剤を組合せて使用すると、ホットメルト接着剤の熱安定性を向上できる。好ましい安定剤には、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤が含まれ、両者を併用するのが好ましい。フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度の範囲から選択できる。さらに、イオウ含有安定剤を、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤と組み合わせても高い熱安定性が発現する。
【0028】
安定剤の使用量は、接着性などに悪影響を及ぼさない範囲で選択でき、例えば、ホットメルト接着剤100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部、さらに好ましくは0.3〜5重量部程度である。安定剤の添加量が少な過ぎると熱安定性が低下しやすく、多過ぎると耐熱クリープ性が低下しやすい。
【0029】
さらに、本発明の水溶性ホットメルト接着剤には、接着性、熱安定性などを損なわない範囲で他の添加剤、例えば、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、滑剤、ワックス、充填剤、着色剤(顔料や染料)、香料などを添加してもよい。
【0030】
本発明の水溶性ホットメルト接着剤は、慣用の方法により調製できる。例えば、前記酢酸ビニル系水溶性高分子、粘着付与剤、疎水性熱可塑性ポリマー、ワックスおよび可塑剤を、必要に応じて安定剤や添加剤とともに、加熱溶融し均一に混合した後、冷却することによりホットメルト接着剤を得ることができる。前記成分の接着剤組成物の加熱溶融温度は、各成分の種類および組成割合などに応じて選択でき、例えば、溶融温度〜200℃、好ましくは130〜190℃程度である。加熱溶融温度が200℃を越えると酢酸ビニル系水溶性高分子の分解が開始する虞がある。
【0031】
ホットメルト接着剤の形態は特に制限されず、種々の形状、例えば、粉粒状、ペレット状、フィルム状、テープ状、紐状、棒状などであってもよい。ホットメルト接着剤は、慣用の方法、例えば、前記形態のホットメルト接着剤を加熱溶融し、ノズル又はローラー型コーターなど適用手段を備えたホットメルト接着機を用いて、被着体に塗工し、冷却することにより被着体を接着できる。また、粉粒状、フィルム状、テープ状、紐状などのホットメルト接着剤を被着体間に介装し、ヒートプレスにより接着させることもできる。
【0032】
本発明のホットメルト接着剤は、種々の被着体、例えば、紙類、繊維製品、プラスチック類、金属、陶磁器を含むセラミックス、コンクリート、セメント製品、ガラス、木材などを接着する上で有用である。特に紙類の接着に利用すると、水溶性という特性を利用して、故紙に付着している接着剤を水により容易に溶解もしくは分散させることができ、故紙を効率よく回収、再生できる。そのため、使用後の再生が望まれているクラフト紙などで構成された紙製袋を製造する際の接着、物品を充填した後の袋の接着に好適である。
【0033】
【発明の効果】
本発明のホットメルト接着剤は、粘着付与剤、疎水性熱可塑性ポリマーおよびワックスを含んでいるにも拘らず、酢酸ビニル系水溶性高分子および可塑剤と組み合わせているため、水溶性が高い。そのため、古紙の回収を損うことがない。また、溶融状態での熱安定性が高いため、接着剤の変色や劣化により、接着面および被着体の美観を損ねることがないだけでなく、炭化物などが生じないため、長期間に亘り安定して高い接着強度で被着体を接着できる。すなわち、例えば、ホットメルト接着機を用いても、配管パイプを閉塞することなく、ホットメルト接着機を安定かつ連続的に運転でき、接着作業性を大巾に改善できる。さらに、本発明の水溶性ホットメルト接着剤は、前記成分を含んでいるため、接着性が高く、セットタイムを短くでき、高速接着性に優れ、被着体を短時間に接着できる。さらに、接着性、耐熱クリープ性や耐湿熱クリープ性が高いので、重量物や重量物を収容する容器を接着しても、高い接着強度を維持できる。特に、回収した再生することが期待されているクラフト紙を重ねた紙製袋の製造時又は物品を充填した後の紙製袋の接着に有用である。
【0034】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
平均重合度250および鹸化度0モル%のスルホン酸変性酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301,ナトリウム塩)35重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)40重量部、グリセリン15重量部、メルトフローレート2500g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル(株),ELVAX200W)5重量部、融点75℃の精製パラフィンワックス(日本製ろう(株),HNP−9)5重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)0.3重量部、リン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)0.3重量部およびチオエーテル系安定剤(旭電化工業(株):AO−412S)0.3重量部を、160℃で加熱し、溶融混合した後、25℃に冷却することにより、ホットメルト接着剤を得た。
【0035】
実施例2
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子に代えて、平均重合度480および鹸化度45モル%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株),L0302)を用いる以外、実施例1と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。
【0036】
実施例3
実施例1の軟化点135℃の水添石油樹脂および融点75℃のパラフィンワックスに代えて、軟化点125℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),スーパーエステルA−125)および融点100℃のポリエチレンワックス(BASF社製,AL3)を用いる以外、実施例1と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。
【0037】
実施例4
実施例1の軟化点135℃の水添石油樹脂および融点75℃のパラフィンワックスに代えて、軟化点125℃のテルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株),YSレジンTO−125)および融点74℃のセレシンワックス(日興リカ(株)製,セレシン#810)を用いる以外、実施例1と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。
【0038】
実施例5
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子、軟化点135℃の水添石油樹脂および融点75℃のパラフィンワックスに代えて、それぞれ、平均重合度480および鹸化度45モル%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株),L0302)、軟化点125℃の水添C石油樹脂(丸善石油化学(株),マルカレッツH−925)および融点83℃のカルナバワックス(加藤洋行(株)製,Prime Yellow)を用いる以外、実施例1と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。
【0039】
実施例6
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301)25重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)50重量部、グリセリン15重量部、メルトフローレート2500g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル(株),ELVAX200W)5重量部、融点75℃の精製パラフィンワックス(日本製ろう(株),HNP−9)5重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)1.6重量部、リン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)1.6重量部およびチオエーテル系安定剤(旭電化工業(株):AO−412S)1.6重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0040】
実施例7
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301)30重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)40重量部、グリセリン20重量部、メルトフローレート650g/10分のエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井デュポンポリケミカル(株),N2065H)5重量部、融点75℃の精製パラフィンワックス(日本製ろう(株),HNP−9)5重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)0.3重量部およびリン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)0.3重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0041】
実施例8
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301)30重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)40重量部、グリセリン10重量部、メルトフローレート2500g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル(株),ELVAX200W)10重量部、融点75℃の精製パラフィンワックス(日本製ろう(株),HNP−9)10重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)0.5重量部、リン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)0.1重量部およびチオエーテル系安定剤(旭電化工業(株):AO−412S)0.3重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0042】
実施例9
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301)35重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)40重量部、グリセリン15重量部、メルトフローレート1100g/10分のエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)(日本ユニカー(株),MB910)5重量部、融点69℃のパラフィンワックス(日本製ろう(株),パラフィン155F)5重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)0.1重量部、リン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)0.5重量部およびチオエーテル系安定剤(旭電化工業(株):AO−412S)0.3重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0043】
実施例10
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301)35重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)40重量部、グリセリン15重量部、メルトフローレート350g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株),ウルトラセン681)5重量部、融点69℃のパラフィンワックス(日本製ろう(株),パラフィン155F)5重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)0.1重量部、リン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)0.1重量部およびチオエーテル系安定剤(旭電化工業(株):AO−412S)0.1重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0044】
比較例1
平均重合度1000および鹸化度88モル%のポリビニルアルコール(クラレ(株),PVA−210)80重量部およびグリセリン20重量部を用い、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0045】
比較例2
実施例1の酢酸ビニル系水溶性高分子(日本合成化学工業(株),L0301)30重量部、軟化点135℃の水添石油樹脂(荒川化学(株),アルコンM−135)40重量部、メルトフローレート160g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株),ウルトラセン680)15重量部、融点47℃のパラフィンワックス(日本製ろう(株),115F)15重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)0.3重量部およびリン系安定剤(旭電化工業(株),PEP−36)0.3重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0046】
比較例3
実施例2の平均重合度480および鹸化度45モル%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株),L0302)20重量部、軟化点160℃の重合ロジンエステル(荒川化学(株),ペンセルD−160)55重量部、グリセリン25重量部、フェノール系安定剤(旭電化工業(株),AO−70)10重量部を用いる以外、実施例1と同様にしてホットメルト接着剤を得た。
【0047】
前記実施例および比較例の配合処方を表1〜表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003604202
【0049】
【表2】
Figure 0003604202
上記実施例および比較例で得られたホットメルト接着剤の熱溶融性、熱安定性、水溶性、接着強度、セットタイム、耐熱クリープ性および耐湿熱クリープ性を次のようにして評価した。
(1)熱溶融性:
180℃に加熱したステンレス板上に、試料をのせ、30分後の溶融状態を観察し、下記の基準で評価した。
◎:完全に溶融状態にある
○:僅に未溶融物がある
△:一部が溶融状態である
×:溶融しない。
【0050】
(2)熱安定性:
180℃に加熱したステンレス板上に、試料をのせ、8時間後の試料の色調の変化、炭化物の発生を有無を観察し、下記の基準で評価した。
◎:皮張り、着色、炭化物が認められない
○:着色しているもののその程度が小さく、皮張り、炭化物が認められない
△:濃く着色しているものの、皮張り、炭化物が認められない
×:皮張りまたは炭化物の発生が認められる。
【0051】
(3)水溶性:
30℃の蒸溜水100gに試料1gを入れ、緩く撹拌しながら、1時間毎に溶解状態を観察し、下記の基準で水溶性を評価した。
◎:2時間未満で完全に溶解する
○:2〜4時間で完全に溶解する
△:4〜8時間で完全に溶解する
×:8時間後も溶解しない。
【0052】
(4)接着強度:
塗工温度180℃、塗工量3g/mの条件で、ホットメルト接着剤を25mm幅のKライナー紙に塗工し、オープンタイム2秒で貼り合わせ、2kg/25mm×25mmの荷重で10秒間圧締し、試験片を作製した。試験片を20℃、65%RHで24時間養生した後、180°剥離により接着部の剥離状態を観察した。なお、材料破壊が生じれば実用上問題のない接着強度と言える。
【0053】
(5)セットタイム:
塗工温度180℃、塗工量3g/mの条件で、ホットメルト接着剤を25mm幅のKライナー紙に塗工し、オープンタイム2秒で貼り合わせ、2kg/25mm×25mmの荷重で圧締し、試験片を作製した。そして、圧締時間を変えて、試験片を剥離したとき、5個の試験片のうち4個以上の試験片が材料破壊するまでの時間をセットタイムとした。なお、セットタイムが10秒以内であれば、高速接着適性がある。
【0054】
(6)耐熱クリープ性:
塗工温度180℃、塗工量3g/mの条件で、ホットメルト接着剤を25mm幅のKライナー紙に塗工し、オープンタイム2秒で貼り合わせ、2kg/25mm×25mmの荷重で10秒間圧締し、試験片を作製した。試験片を20℃、65%RHで24時間養生し、40℃の恒温槽内で10分間放置した後、180°剥離するため上端を固定し、下端に100gの荷重を作用させ、昇温速度1℃/分で昇温した。そして、接着部分が破壊した温度を耐熱クリープ性として評価した。耐熱クリープ性が55℃以上であれば、実用的には問題が生じない。
【0055】
(7)耐湿熱クリープ性:
塗工温度180℃、塗工量3g/mの条件で、ホットメルト接着剤を25mm幅のKライナー紙に塗工し、オープンタイム2秒で貼り合わせ、2kg/25mm×25mmの荷重で10秒間圧締し、試験片を作製した。試験片を20℃、65%RHで24時間養生し、50℃、65%RHの恒温槽内で10分間放置した後、180°剥離するため上端を固定し、下端に100gの荷重を作用させ、1時間放置し、接着部分が破壊するまでの時間を耐湿熱クリープ性として下記の基準で評価した。耐湿熱クリープ性が1時間以上であれば、実用的には問題が生じない。
【0056】
◎:1時間以上維持する
○:40分〜1時間未満で破壊が生じる
△:20〜40分で破壊が生じる
×:0〜20分で破壊が生じる。
結果を表3および表4に示す。
【0057】
【表3】
Figure 0003604202
【0058】
【表4】
Figure 0003604202
表より明らかなように、実施例の水溶性ホットメルト接着剤は、比較例のホットメルト接着剤に比べて、接着強度が大きいだけでなく、熱安定性、耐熱クリープ温度、耐湿熱クリープ時間が高く、セットタイムが短い。

Claims (10)

  1. 酢酸ビニル系水溶性高分子、粘着付与剤、疎水性熱可塑性ポリマー、ワックス及び水溶性又は水分散性可塑剤を含む水溶性ホットメルト接着剤であって、この接着剤がさらにフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを組み合わせた安定剤又はフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とイオウ含有安定剤とを組み合わせた安定剤を含有し、前記酢酸ビニル系水溶性高分子が、鹸化度0〜30モル%のスルホン酸変性酢酸ビニル系水溶性高分子又はその塩であり、前記酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、前記粘着付与剤の割合が75〜250重量部であり、前記ワックスの割合が5〜50重量部である水溶性ホットメルト接着剤
  2. 酢酸ビニル系水溶性高分子が、平均重合度30〜700を有する請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  3. 粘着付与剤が軟化点100〜150℃の非水溶性粘着付与剤である請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  4. 疎水性熱可塑性ポリマーがエチレン共重合体である請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  5. 疎水性熱可塑性ポリマーがメルトフローレート200〜2500g/10分を有するホットメルト接着性ポリマーである請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  6. ワックスが融点50〜120℃を有する請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  7. 可塑剤が多価アルコールである請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  8. 酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、粘着付与剤75〜230重量部、疎水性熱可塑性ポリマー5〜50重量部、ワックス7〜40重量部、可塑剤10〜100重量部を含む請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  9. 安定剤の割合が、ホットメルト接着剤100重量部に対して0.1〜10重量部であり、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との割合が、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)である請求項1記載の水溶性ホットメルト接着剤。
  10. 平均重合度50〜600の酢酸ビニル系水溶性高分子100重量部に対して、軟化点110〜150℃の粘着付与剤75〜250重量部、メルトフローレート250〜2300g/10分を有するホットメルト接着性の疎水性熱可塑性ポリマー10〜40重量部、融点55〜110℃のワックス7〜40重量部、ポリビニルアルコール用可塑剤20〜80重量部を含む水溶性ホットメルト接着剤であって、この接着剤が、さらにフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを組み合わせた安定剤又はフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とイオウ含有安定剤とを組み合わせた安定剤を含有し、前記酢酸ビニル系水溶性高分子が、鹸化度0〜30モル%のスルホン酸変性酢酸ビニル系水溶性高分子又はその塩である水溶性ホットメルト接着剤
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