JPH0887710A - 軟磁性薄膜及びそれを用いた磁気ヘッド、磁気記録装置 - Google Patents

軟磁性薄膜及びそれを用いた磁気ヘッド、磁気記録装置

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JPH0887710A
JPH0887710A JP6220585A JP22058594A JPH0887710A JP H0887710 A JPH0887710 A JP H0887710A JP 6220585 A JP6220585 A JP 6220585A JP 22058594 A JP22058594 A JP 22058594A JP H0887710 A JPH0887710 A JP H0887710A
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magnetic
thin film
film
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JP6220585A
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Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Moichi Otomo
茂一 大友
Yoshitsugu Koiso
良嗣 小礒
Takayuki Kumasaka
登行 熊坂
Takeshi Miura
岳史 三浦
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/08Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers
    • H01F10/10Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers characterised by the composition
    • H01F10/12Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers characterised by the composition being metals or alloys
    • H01F10/13Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals
    • H01F10/131Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals containing iron or nickel

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Feを主体とする磁性膜において、その磁気
特性を維持しつつ耐食性を向上させる。 【構成】 磁気ヘッドの軟磁性膜1として、Fe−半金
属系の合金に、磁性元素以外に(Al,Ru)或いは
(Al,Rh)を同時に含み、一定温度で熱処理するこ
とにより軟磁気特性を発現させた磁性薄膜を用いる。 【効果】 (Al,Ru)或いは(Al,Rh)を同時
添加することにより、飽和磁束密度及び軟磁気特性の劣
化を著しく小さく抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微結晶析出型の軟磁性
膜に係り、特に、高性能でしかも高信頼性を有する軟磁
性薄膜、及びその軟磁性薄膜を用いて作製した磁気ヘッ
ド、磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にともな
い、小型でしかも高密度な記憶装置へのニーズが高まっ
ている。この中で、磁気記録装置は高密度記録、ダウン
サイジングへの研究が急速に進められている。高密度記
録を実現するためには、記録した微小磁区が安定に存在
するように高保磁力を有する記録媒体と、この媒体に記
録できる高性能な磁気ヘッドが必要となる。高保磁力媒
体を十分に磁化して信号を記録するためには、強い磁界
を発生できる高飽和磁束密度を有する磁気ヘッド材料が
必要となる。
【0003】現在、提案されている高飽和磁束密度を有
する磁性材料には、Fe−C系やFe−N系等がある。
これらの磁性材料は、軟磁気特性を発現させるために、
アルゴンや窒素等の不活性ガス気流中において、必要に
応じて3〜10kOe程度の磁界を印加しながら、一定
温度で熱処理を行っていた。磁気ヘッドがメタル・イン
・ギャップ(MIG)型ヘッドである場合には、ヘッド
作製工程にガラスボンディング工程を含み、熱処理温度
はこのボンディング温度により決定されていた。磁性膜
の軟磁気特性は析出してくる微結晶粒子サイズに依存す
ることから、良好な軟磁気特性を有する磁性膜を得るた
めには、この結晶粒子サイズを制御しなければならな
い。さらに、これらの磁性材料は、Feを主体としてい
るために、大気中の酸素や水と反応して水酸化物や酸化
物を生成し、磁気特性、特に保磁力や飽和磁束密度の変
動を生じるために、磁気ヘッドの性能が低下する場合が
あった。
【0004】前記磁性材料を用いた磁気ヘッドの実用化
に当っては、これら磁気特性の変動を抑制することが必
要であり、その一つの方法として、磁性元素以外に耐食
性を向上させるための元素を添加することが提案されて
いる(特開平3−20444号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの実験によ
ると、磁性膜の組成調整を行い最適化しても、必ずしも
飽和磁束密度及び軟磁気特性、特に、保磁力と耐食性と
がバランスした十分な特性が得られるとは限らなかっ
た。例えば、耐食性を確保すると磁気特性、特に飽和磁
束密度及び保磁力が劣化し、本来のFe−C系やFe−
N系の材料が有する性能(例えば、高飽和磁束密度)が
得られずに磁気ヘッドの性能が低下してしまい、記録を
行なった場合にエラーやノイズの原因となったり、高密
度記録ができない場合があった。逆に、磁気特性を確保
すると十分な耐食性が確保できず、磁気ヘッドの信頼性
が低下する場合があった。また、各種元素を添加して
も、元素添加により飽和磁束密度の低下や磁歪定数の増
大が起こり、良好に記録ができなかったり、再生時に出
力波形が歪んだりして、記録−再生特性に問題が生じる
ことがあった。
【0006】本発明の目的は、高飽和磁束密度を有する
Feを主体とする磁性膜において、その磁気特性を維持
しつつ耐食性を向上させることにより、高性能でしかも
高信頼性を有する軟磁性薄膜を提供すること、及びその
軟磁性薄膜を用いた高性能でしかも高信頼性を有する磁
気ヘッド、磁気記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による軟磁性薄膜
は、Feを主体とし、これにTa,Hf,Ti,Nb又
はZrの群から選ばれる少なくとも1種類の元素を5〜
20at%の範囲、より好ましくは5〜15at%の範
囲で含み、C,B,Si又はNの群から選ばれる少なく
とも1種類の元素を1〜20at%の範囲、より好まし
くは5〜15at%の範囲で含み、さらにAlと、Rh
又はRuより選択される1種類の元素の2元素を軟磁気
特性が劣化しない範囲で含む。添加するAlは0.5〜
10at%の範囲とし、Ru又はRhは0.5〜5at
%の範囲とする。このとき、AlとRu又はRhの和は
1〜15at%の範囲、好ましくは3〜15at%の範
囲とする。
【0008】ここで、Ta,Hf,Ti,Nb又はZr
の群から選ばれる少なくとも1種類の元素を5〜20a
t%の範囲としたのは、5at%未満であるとα−Fe
が急激に成長し、保磁力が1Oeを超えて増大し、ヘッ
ド特性として不適であり、20at%を超えると逆に非
磁性になり、磁気ヘッド材料には適さないからである。
なお、5〜15at%の範囲とすると、保磁力が1Oe
以下となりμ≧1000となるので、より好ましい。本
発明による磁性膜において、Ta,Hf,Ti,Nb,
Zrは、磁気特性の面でも耐食性の面でも同等の効果を
有する。
【0009】C,B,Si又はNの群から選ばれる少な
くとも1種類の元素を1〜20at%の範囲としたの
は、1at%未満ではα−Feが急激に成長し、保磁力
が1Oeを超えてしまうからであり、20at%を超え
ると逆に非磁性になり、磁気ヘッド材料として不適であ
るからである。なお、5〜15at%の範囲とすると、
保磁力が1Oe以下となりμ≧1000となるので、よ
り好ましい。本発明による磁性膜において、C,B,S
i,Nは、磁気特性の面でも耐食性の面でも同等の効果
を有する。
【0010】Alを0.5〜10at%の範囲としたの
は、0.5%未満とすると磁性膜の磁気特性は向上する
が耐食性が確保できず、10at%を超えると飽和磁束
密度の劣化及び磁歪定数の急激な増大をきたすからであ
る。Ru又はRhを0.5〜5at%の範囲としたの
は、0.5at%未満とするとAlの添加効果が大きく
なって磁歪定数が大きくなり、5at%を超えると透磁
率μが急激に劣化し1000未満となるからである。ま
た、AlとRu又はRhの和を1〜15at%の範囲と
したのは、1at%未満とすると磁性膜の耐食性が確保
できず、15at%を超えると磁性膜の磁気特性が急激
に劣化するからである。なお、3〜15at%の範囲と
すると磁気特性、特に磁歪定数を実用的な範囲とするこ
とができると同時に耐食性を確保することができるの
で、より好ましい。本発明による磁性膜において、Ru
とRhは、磁気特性の面でも耐食性の面でも同様の効果
を有する。
【0011】本発明によると、磁性薄膜の磁気特性とし
て、高密度記録を行うために必要な飽和磁束密度1.4
T以上、磁気ヘッドとしての良好な作動(良好な記録再
生)に必要な保磁力1Oe以下、比透磁率1000以
上、情報再生ヘッドとして良好な作動に必要とされる磁
歪定数5×10-6以下を実現することができる。本発明
による軟磁性薄膜においては、Al及びRu(又はR
h)の添加濃度を制御することにより、磁性膜の磁気特
性が前記所望の特性となるように制御することも可能で
ある。この場合、Alを増大させると耐食性は向上する
が、磁歪定数も増大する。一方、Ru又はRhを添加す
ると耐食性は向上するが、結晶粒子の成長を促進するこ
とにより保磁力など磁気特性が劣化する。しかし、添加
濃度の増大にともなう磁歪定数の変化がAl単独の添加
の場合より小さくできるという特徴がある。そこで、こ
れらの2元素を同時に添加することにより磁気特性の変
化を最小限に抑制して耐食性を大きく向上させることが
できる。具体的には、添加するAlとRu(又はRh)
の比を制御することにより、磁性膜の磁気特性を所望の
範囲に制御すると同時に、耐食性を向上させることがで
きる。原子%で表したAlとRuの濃度比Al/Ru、
又はAlとRhの濃度比Al/Rhは、1〜5の範囲と
するのが好ましい。
【0012】前記合金磁性膜は、加熱処理により、微結
晶を析出させ、軟磁気特性を発現させることができる。
熱処理後の磁性膜は、X線的に回折ピークを有し、且
つ、そのFe相の結晶粒子サイズが平均で10nm以下
であることが好ましい。熱処理による結晶化において
は、Al及びRu(或いはRh)を添加し、それらの元
素をFe相中へ固溶させることにより、Fe相の成長が
抑制できる。また、結晶粒子サイズを10nm以下とす
ることにより、耐食性が大きく養成される。これは、磁
性膜の耐食性に結晶粒子サイズが大きく関与しているか
らである。この合金磁性膜を加熱処理した後の磁性薄膜
は、少なくともFeの微結晶相と炭化物、窒化物、或い
は、硼化物の微結晶相の少なくとも2相に分離析出して
いる。
【0013】本発明による軟磁性薄膜は、磁気ヘッドコ
アの少なくとも1部に用いて磁気ヘッドを構成すること
ができる。磁気ヘッドとしては、メタル・イン・ギャッ
プ型磁気ヘッドが特に好適である。この磁気ヘッドを用
いると、移動する情報記録媒体に磁気的性質を用いて情
報を記録する磁気記録装置を構成することができる。記
録する情報は、画像情報及び/又は音声情報とすること
ができ、移動する情報記録媒体としては、磁気テープも
しくは円板上に磁気記録媒体層が形成された磁気ディス
クを用いることができる。
【0014】
【作用】微結晶析出型軟磁性膜において、微小結晶を有
する磁性膜を安定に得ることができ、その結果、良好な
軟磁気特性を有する磁性膜が安定して得られ、しかも、
α−Fe相の結晶粒子サイズが10nm以下の微結晶と
なるので磁性膜の耐食性が高いものが得られる。そのた
め高信頼性を有する軟磁性薄膜が得られ、これを用いて
作製した磁気ヘッド、さらに、それを用いた磁気記録装
置の信頼性も高まる。
【0015】特に、Alと、Rh又はRuの2元素同時
添加により、軟磁気特性の劣化を抑えながら、磁性膜の
耐食性を大きく向上させることができる。これは、熱処
理後の微結晶析出磁性膜では、Fe相と炭化物、硼素化
物、或いは窒化物の相の2層に分離し、しかもこれらの
添加元素はFe相中へ固溶しているために、結晶粒子の
成長が抑制されると同時に、Feの耐食性が向上すると
いう2つの効果のためである。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。 〔実施例1〕磁性薄膜として、Fe−Ta−C−Al−
Ru合金膜を用いた。磁性膜の成膜はスパッタ法によっ
て行なった。スパッタのターゲットには、Fe,Ta,
C,Fe3Al,Ruの各元素の粉体を熱間静圧プレス
法(HIP法)により成型したものを用いた。ターゲッ
トの組成は(Fe75Ta1015)1-X(Al60Ru40 X
で、X=0.05,0.07,0.125の3種類とし
た。ここで、比較例として、X=0.15、及びAl及
びRuをそれぞれ0.4at%添加したものも合わせて
作製した。このHIP法により形成したターゲットを用
いると、薄膜化しても得られた膜の組成はほとんど変わ
らず、ターゲット組成とほぼ同じであり、しかも、膜中
に含有する酸素濃度の低減を図ることができた。この合
金ターゲットを用い、放電ガスにArを用いてフェライ
ト基板上にスパッタした。形成した磁性膜の膜厚は5μ
mである。スパッタ条件は、放電ガス圧力が5mTor
r、投入RF電力が400Wである。これらの値は、用
いるスパッタ装置や、膜の内部応力制御の観点により変
わるものでありこの値に固定されるものではない。
【0017】このようにして作製した磁性膜の磁気特性
を表1に示す。X=0.05,0.07,0.125,
及び0.15の4種類及びAl及びRuをそれぞれ0.
4at%添加した場合は、いずれもHc≦1Oe,Bs
≧1.4T,μ≧1000,λ≦3×10-6であり、磁
気ヘッドに好適な軟磁気特性を有していることがわか
る。また、比較のために、Alのみ、Rhのみ、及びR
uのみを添加した系の添加濃度と磁気特性との関係も表
1に併せて示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1から、Rh,Ru又はAlを単独で添
加した場合には、その添加濃度が高くなるとともに急激
に磁歪定数が増大し、その増加率は、(Al,Ru)複
合添加の場合と比較して大きいことがわかる。また、R
uを添加していくと、添加濃度の増大とともに急激に保
磁力が増大した。その増加率は、(Al,Ru)複合添
加の場合と比較して大きいことがわかる。この傾向は、
(Al,Rh)複合添加の場合も同じであった。特に、
Rhを単体で添加すると、磁歪定数の変化が非常に大き
いが、複合添加により元素に依存しないでほぼ同じ変化
率となった。このように、(Al,Ru)又は(Al,
Rh)を複合添加すると、添加元素による磁気特性の劣
化が、Al、Rh又はRu等の1元素のみを添加した磁
性膜より小さかった。
【0020】次に、本実施例の磁性膜の組織を透過型電
子顕微鏡により観察し、粒子サイズを求めた。その結
果、α−Fe相が約9nm〜12nm程度であった。ま
た、TaC相は約3nm〜5nmであった。また、電子
線回折により格子間隔を求めると、α−Fe相がFeT
aC磁性膜における値が0.20nmであり、添加元素
の濃度の増加とともに増大し、X=0.125の場合が
0.25nmであった。このことから、添加した(A
l,Ru)はFe相中に固溶していると考えられる。
【0021】大きさが15mm×15mmで厚さ0.4
mmである結晶化ガラス基板上に、前記各磁性膜を形成
(厚さ5μm)し、その端部をパラフィンで覆い、0.
5規定塩化ナトリウム水溶液中に500時間浸漬し、そ
の表面を目視検査して、孔食の発生の有無を調査した。
その結果を表1の右に“耐食性”として示す。耐食性の
評価は、孔食の発生が全くないものを○、孔食が1個所
でも発生していれば×とした。表1に示したように、X
=0.05,0.08,0.125の場合は、目視観察
から腐食の発生はまったく見られなかった。また、50
0時間浸漬した後、磁気特性を測定した結果、成膜直後
の特性となんら違いは見られなかった。また、80℃で
95%RH環境中へこの磁性膜を2000時間以上放置
したが、腐食の発生は見られず、磁気特性は成膜直後と
なんら違いはなかった。これに対して、Al及びRuを
それぞれ0.4at%添加した磁性膜、さらに、Al又
はRuを単独で添加した磁性膜については、磁気ヘッド
に好適な磁気特性が得られる範囲で、腐食が発生しない
組成は見出せなかった。
【0022】本実施例の軟磁性薄膜1を単結晶のフェラ
イト基板2上に形成して、図1に概略構造を示すMIG
(メタルインギャップ)型ヘッドを作製した。用いた磁
性膜の組成は、(Fe75Ta1015)1-X(Al60
40X で、X=0.05である。ギャップ部3の形成
は、フェライト基板2上に形成した軟磁性薄膜1上に、
SiO2 を200nmの膜厚に形成した後にCrを10
0nmの膜厚に形成して行った。これを窒素気流中にて
600℃で1時間熱処理し、同一形状のヘッド基板を低
融点ガラス4によりボンディングした。基板と磁性膜の
間に両者の接着性の向上のために、Al,Cr,SiO
2 ,SiNx ,Cr23 等からなる接合層を設けても
よい。
【0023】この磁気ヘッドを用いて、VTR装置を作
製し、磁気テープを走行させて画像情報を記録した。相
対速度36m/s、データレート46.1Mbps、ト
ラック幅40μmの条件でハイビジョンのディジタル情
報を記録したところ、S/Nは40dB以上が得られ
た。このヘッドの耐食性を0.5規定塩化ナトリウム水
溶液中への浸漬試験法、及び、高温高湿度環境中での結
露試験法により評価した。まず、図1に示す形状のMI
G型ヘッドチップを0.5規定塩化ナトリウム水溶液中
へ500時間浸漬させた。その後、このヘッドを再び装
置にセットして記録再生特性を測定した。その結果、浸
漬前となんら記録再生特性に違いは見られなかった。ま
た、高温高湿度環境中での結露試験法による評価は、先
のMIGヘッドをペルチェ素子上に固定して10℃に保
ち、全体を60℃、相対湿度95%環境中へ放置して行
った。その結果、ヘッド全体に、結露が生じた。この状
態で2000時間以上この環境中へ放置したが、腐食の
発生や記録や再生信号の劣化は見られなかった。
【0024】これまでVTR用の磁気ヘッドを例に説明
してきたが、本発明は磁気ディスクやヘリカルスキャン
を用いた磁気テープ装置等に対しても適用できる。ま
た、以上は、Fe−Ta−C−Al−Ru合金膜を磁性
膜に用いた場合であるが、添加元素としてRuの替わり
にRhを用いても同様の効果が得られた。この他、Ta
をZr,Hf,Ti,Nbに代えた磁性膜について、同
様の評価をしたところ、次の表2に示すように、磁気特
性及び耐食性についてFe−Ta−C−Al−Ru合金
膜の場合と同等の結果が得られた。
【0025】
【表2】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe76Ta9C15)0.90(Al80Rh20)0.10 1.52 0.20 3000 6×10-7 ○ (Fe76Ta9C15)0.85(Al80Rh20)0.15 1.42 0.30 2600 1×10-6 ○ (Fe76Ta9C15)0.95(Al80Rh20)0.05 1.55 0.14 3500 7×10-7 ○ (Fe76Zr9C15)0.95(Al80Ru20)0.05 1.52 0.18 3000 5×10-7 ○ (Fe76Zr9C15)0.90(Al80Ru20)0.10 1.47 0.22 2400 6×10-7 ○ (Fe76Zr9C15)0.85(Al80Ru20)0.15 1.42 0.32 2000 8×10-7 ○ (Fe78Hf7C15)0.95(Al80Ru20)0.05 1.55 0.20 3500 6×10-7 ○ (Fe78Hf7C15)0.90(Al80Ru20)0.10 1.50 0.28 3000 7×10-7 ○ (Fe78Hf7C15)0.85(Al80Ru20)0.15 1.45 0.30 2300 9×10-7 ○ (Fe78Ti7C15)0.95(Al80Ru20)0.05 1.53 0.20 3000 6×10-7 ○ (Fe78Ti7C15)0.90(Al80Ru20)0.10 1.46 0.25 2300 9×10-7 ○ (Fe78Ti7C15)0.85(Al80Ru20)0.15 1.41 0.28 1900 9×10-7 ○ (Fe76Nb9C15)0.90(Al80Ru20)0.10 1.45 0.30 1800 7×10-7 ○ (Fe76Nb9C15)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.30 1800 7×10-7 ○ (Fe78Nb9C13)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.30 1800 7×10-7 ○ (Fe76Nb9C15)0.90(Al75Rh25)0.10 1.40 0.40 1500 8×10-7 ○ (Fe78Nb9C13)0.90(Al75Rh25)0.10 1.40 0.40 1500 8×10-7 ○ (Fe76Nb9C15)0.92(Al80Rh20)0.08 1.40 0.40 2000 8×10-7 ○ (Fe76Ta5Zr4C15)0.90(Al75Rh25)0.10 1.40 0.40 1800 9×10-7 ○ (Fe76Ta5Hf4C15)0.95(Al75Rh25)0.05 1.45 0.40 2300 6×10-7 ○ (Fe76Ta5Ti4C15)0.85(Al75Rh25)0.15 1.40 0.40 1400 1×10-6 ○ (Fe76Ta5Nb4C15)0.93(Al75Rh25)0.07 1.49 0.40 1800 7×10-7
【0026】一方、本発明の組成範囲から外れる組成と
すると、以下の表3に示すように、耐食性は優れるもの
の、磁気ヘッド材料として不適当な磁気特性を有する磁
性膜しか得られなかった。
【0027】
【表3】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe76Ta10C14)0.80(Al75Rh25)0.20 1.20 3.50 800 4×10-6 ○ (Fe76Zr10C14)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 3.50 800 1×10-6 ○ (Fe76Hf10C14)0.80(Al75Ru25)0.20 1.25 3.50 800 1×10-6 ○ (Fe76Ti10C14)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 3.50 800 1×10-6 ○ (Fe76Nb10C14)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 3.50 800 1×10-6 ○ (Fe76Nb10C14)0.80(Al75Rh25)0.20 1.20 3.50 800 5×10-6
【0028】〔実施例2〕磁性薄膜として、Fe−Ta
−N−Al−Ru合金膜を用いた。磁性膜の成膜はスパ
ッタ法によって行った。スパッタのターゲットには、F
e,Ta,Fe3Al,Ruの各元素の粉体を熱間静圧
プレス法(HIP法)により成型したものを用いた。タ
ーゲットの組成は(Fe85Ta15)1-X(Al60Ru40
X で、X=0.05,0.07,0.125の3種類と
した。比較例として、X=0.15及びAl及びRuを
それぞれ0.4at%添加したものも合わせて作製し
た。このHIP法により形成したターゲットを用いる
と、薄膜化しても得られた膜の組成はターゲットの組成
とほとんど変わらなかった。この合金ターゲットを用
い、放電ガスにAr−N2 混合ガス(混合比:Ar/N
2 =94/6)を用いて単結晶フェライト基板上にスパ
ッタした。形成した磁性膜の膜厚は5μmである。スパ
ッタ条件は、放電ガス圧力が5mTorr、投入RF電
力が400Wである。
【0029】このようにして作製した磁性膜の磁気特性
を表4に示す。ここで、形成された磁性膜の組成は、
(Fe72Ta1513)1-X(Al60Ru40X でX=0.
05,0.07,及び0.125の3種類及びAl及び
Ruをそれぞれ0.4at%添加した場合は、いずれも
Hc≦1Oe,Bs≧1.4T,μ≧1000,λ≦3
×10-6であり、磁気ヘッドに好適な軟磁気特性を有し
ていることがわかる。また、比較のために、X=0.1
5の場合、Alのみ、及び、Ruのみを添加した系の添
加濃度と磁気特性との関係も表4に合わせて示す。
【0030】
【表4】
【0031】表4から、Ru又はAlを単独で添加した
場合には、その添加濃度が高くなるとともに急激に磁歪
定数が増大し、その増加率は、(Al,Ru)複合添加
の場合と比較して著しく大きいことがわかる。また、R
uを添加していくと、添加濃度の増大とともに急激に保
磁力が増大した。その増加率は、(Al,Ru)複合添
加した場合と比較して、大きいことがわかる。この効果
は、(Al,Rh)複合添加した場合も同じであった。
この系では、Rhのみを添加すると、Ru添加の場合よ
り磁歪定数の増加率は大きいが、2元素同時添加により
(Al,Ru)複合添加の場合とほぼ同じ変化率にでき
る。
【0032】次に、これらの膜の組織を透過型電子顕微
鏡により観察し、粒子サイズを求めた。その結果、α−
Fe相は、粒子形状の長辺の寸法が約8nm〜12nm
程度で、平均で9.5nmであった。TaN相は約3n
m以下であり、平均で2.2nmであった。また、電子
線回折により格子間隔を求めると、α−Fe相が、Fe
TaC磁性膜における値が0.20nmであり、添加元
素の濃度増加とともに増大し、X=0.125の場合が
0.25nmであった。このことは、添加した(Al,
Ru)がFe相中に固溶していることを示している。こ
れらの結果は実施例1のFe−Ta−C系の場合と比較
して、大きな違いはなかった。
【0033】上記の磁性膜を0.5規定塩化ナトリウム
水溶液中に500時間浸漬させ、実施例1と同様にして
耐食性を評価した。その結果、表4に示すように、X=
0.05,0.07,0.125の場合には、目視観察
から腐食の発生はまったく見られなかった。また、50
0時間浸漬した後で磁気特性を測定したところ、成膜直
後の特性となんら違いはなかった。また、80℃で95
%RH環境中へ本実施例の磁性膜を2000時間以上放
置したが、腐食の発生は見られず、磁気特性も成膜直後
となんら違いはなかった。これに対して、Al及びRu
をそれぞれ0.4at%添加した磁性膜、さらに、Al
或いはRuを単独で添加した磁性膜は、磁気ヘッドに好
適な磁気特性が得られる範囲では、腐食が発生しない組
成を見出すことができなかった。
【0034】本実施例の軟磁性薄膜用いて、実施例1と
同様にして、図1に概略を示すMIG型ヘッドを作製し
た。磁性膜の組成は、(Fe72Ta1513)1-X(Al60
Ru 40X で、X=0.05である。この磁気ヘッドを
用いて、VTR装置を作製し、磁気テープを走行させ画
像情報を記録した。相対速度36m/s、データレート
46.1Mbps、トラック幅40μmの条件でハイビ
ジョンのディジタル情報を記録したところ、S/Nは4
0dB以上が得られた。
【0035】このヘッドの耐食性を0.5規定塩化ナト
リウム水溶液中への浸漬試験法、及び、高温高湿度環境
中での結露試験法により評価した。まず、MIG型ヘッ
ドチップを0.5規定塩化ナトリウム水溶液中へ500
時間浸漬させた。その後、このヘッドを再び装置にセッ
トして記録再生特性を測定した。その結果、浸漬前後で
記録再生特性に違いは見られなかった。高温高湿度環境
中での結露試験法による評価は、MIGヘッドをペルチ
ェ素子上に固定して10℃に保ち、全体を60℃、相対
湿度95%環境中へ放置して行った。その結果、ヘッド
全体に、結露が生じた。この状態で2000時間以上こ
の環境中へ放置したが、腐食の発生や記録や再生信号の
劣化は見られなかった。
【0036】以上は、Fe−Ta−N−Al−Ru合金
膜を磁性膜に用いた場合であるが、Ruの代わりにRh
を用いても同様の効果が得られた。この他、TaをZ
r,Hf,Ti,Nbに変えた磁性膜について、同様の
評価をしたところ、次の表5に示すように、磁気特性及
び耐食性についてFe−Ta−N−Al−Ru合金膜の
場合と同等の結果が得られた。
【0037】
【表5】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Ta9N13)0.90(Al80Rh20)0.10 1.45 0.30 2500 8×10-7 ○ (Fe78Ta9N13)0.95(Al80Rh20)0.05 1.50 0.30 3000 6×10-7 ○ (Fe78Ta9N13)0.85(Al80Rh20)0.15 1.40 0.30 1500 1×10-6 ○ (Fe78Zr9N13)0.95(Al80Ru20)0.05 1.55 0.25 2800 5×10-7 ○ (Fe78Zr9N13)0.90(Al80Ru20)0.10 1.50 0.25 2500 6×10-7 ○ (Fe78Zr9N13)0.85(Al80Ru20)0.15 1.45 0.25 2000 8×10-7 ○ (Fe78Hf9N13)0.95(Al80Ru20)0.05 1.55 0.25 3000 5×10-7 ○ (Fe78Hf9N13)0.90(Al80Ru20)0.10 1.50 0.25 2500 6×10-7 ○ (Fe78Hf9N13)0.85(Al80Ru20)0.15 1.45 0.25 2200 8×10-7 ○ (Fe78Ti9N13)0.95(Al80Ru20)0.05 1.50 0.28 2600 6×10-7 ○ (Fe78Ti9N13)0.90(Al80Ru20)0.10 1.45 0.28 2200 8×10-7 ○ (Fe78Ti9N13)0.85(Al80Ru20)0.15 1.40 0.28 2000 1×10-6 ○ (Fe78Nb9N13)0.95(Al80Ru20)0.05 1.55 0.25 3000 5×10-7 ○ (Fe78Nb9N13)0.90(Al80Ru20)0.10 1.50 0.25 2700 6×10-7 ○ (Fe78Nb9N13)0.85(Al80Ru20)0.15 1.40 0.25 2400 8×10-7 ○ (Fe78Ta5Zr4N13)0.95(Al80Rh20)0.05 1.45 0.30 2300 5×10-7 ○ (Fe78Ta5Hf4N13)0.90(Al80Rh20)0.10 1.40 0.30 2300 8×10-7 ○ (Fe78Ta5Ti4N13)0.90(Al80Rh20)0.10 1.40 0.30 2300 8×10-7 ○ (Fe78Ta5Nb4N13)0.90(Al80Rh20)0.10 1.40 0.30 2300 8×10-7
【0038】一方、本発明の組成範囲から外れる組成と
すると、以下に示す表6のように、耐食性が優れ、か
つ、磁気ヘッド材料として適切な磁気特性を有する磁性
膜は得られなかった。
【0039】
【表6】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Ta9N13)0.80(Al80Rh20)0.20 1.20 1.30 800 3×10-6 ○ (Fe78Zr9N13)0.80(Al80Ru20)0.20 1.18 3.50 500 3×10-6 ○ (Fe78Hf9N13)0.80(Al80Ru20)0.20 1.20 1.30 700 5×10-6 ○ (Fe78Ti9N13)0.97(Al80Ru20)0.03 1.50 0.35 1900 8×10-7 × (Fe78Nb9N13)0.97(Al80Ru20)0.03 1.50 0.35 1900 8×10-7 × (Fe78Ta5Zr4N13)0.97(Al80Rh20)0.03 1.50 0.35 1900 8×10-7 ×
【0040】〔実施例3〕C,B,Si,Nの群から選
択する元素をBとして磁性薄膜を作製した。磁性膜の成
膜はスパッタ法によって行なった。スパッタのターゲッ
トには、作製すべき磁性膜の組成元素の粉体を熱間静圧
プレス法(HIP法)により成型したものを用いた。H
IP法により形成したターゲットを用いると、薄膜化し
ても得られた膜の組成はほとんど変わらず、ターゲット
組成とほぼ同じであった。この合金ターゲットを用い、
放電ガスにArを用いて、フェライト基板上にスパッタ
した。形成した磁性膜の膜厚は5μmである。スパッタ
の条件は、放電ガス圧力が5mTorr、投入RF電力
が400Wである。このようにして作製した磁性膜の磁
気特性、及び耐食性を前記実施例1と同様にして評価し
た。結果を表7に示す。
【0041】
【表7】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Ta12B10)0.90(Al80Ru20)0.10 1.45 0.32 1800 8×10-7 ○ (Fe78Ta12B10)0.95(Al80Ru20)0.05 1.50 0.32 2400 6×10-7 ○ (Fe78Ta12B10)0.85(Al80Ru20)0.15 1.40 0.32 1300 9×10-7 ○ (Fe78Ti12B10)0.95(Al80Ru20)0.05 1.50 0.40 2000 9×10-7 ○ (Fe78Ti12B10)0.90(Al80Ru20)0.10 1.45 0.40 1600 9×10-7 ○ (Fe78Ti12B10)0.85(Al80Ru20)0.15 1.40 0.40 1300 1×10-6 ○ (Fe78Zr12B10)0.95(Al80Ru20)0.05 1.50 0.38 2000 9×10-7 ○ (Fe78Zr12B10)0.90(Al80Ru20)0.10 1.45 0.38 1600 9×10-7 ○ (Fe78Zr12B10)0.85(Al80Ru20)0.15 1.40 0.38 1300 1×10-6 ○ (Fe78Hf12B10)0.95(Al75Ru25)0.05 1.50 0.30 2400 7×10-7 ○ (Fe78Hf12B10)0.90(Al75Ru25)0.10 1.45 0.30 2100 8×10-7 ○ (Fe78Hf12B10)0.85(Al75Ru25)0.15 1.40 0.30 1900 8×10-7 ○ (Fe78Nb12B10)0.95(Al75Ru25)0.05 1.50 0.30 2200 6×10-7 ○ (Fe78Nb12B10)0.90(Al75Ru25)0.10 1.45 0.30 2000 8×10-7 ○ (Fe78Nb12B10)0.85(Al75Ru25)0.15 1.40 0.30 1700 1×10-6 ○ (Fe78Ta12B10)0.90(Al75Rh25)0.10 1.40 0.30 2000 7×10-7 ○ (Fe78Ti12B10)0.90(Al75Rh25)0.10 1.40 0.30 1800 7×10-7 ○ (Fe78Zr12B10)0.90(Al75Rh25)0.10 1.40 0.30 1800 9×10-7 ○ (Fe78Hf12B10)0.90(Al75Rh25)0.10 1.45 0.30 2200 7×10-7 ○ (Fe78Nb12B10)0.90(Al75Rh25)0.10 1.45 0.30 1800 9×10-7 ○ (Fe78Ta6Ti6B10)0.90(Al75Ru25)0.10 1.40 0.32 1800 8×10-7 ○ (Fe78Ti6Zr6B10)0.90(Al75Ru25)0.10 1.40 0.32 1700 7×10-7 ○ (Fe78Zr6Hf6B10)0.90(Al75Ru25)0.10 1.40 0.32 1700 9×10-7 ○ (Fe78Hf6Nb6B10)0.90(Al75Rh25)0.10 1.43 0.33 2000 7×10-7
【0042】一方、本発明の組成範囲から外れる組成と
すると、以下の表8に示すように、耐食性は優れるもの
の、磁気ヘッド材料として不適当な磁気特性を有する磁
性膜しか得られなかった。
【0043】
【表8】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Ta12B10)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 10.88 900 8×10-7 ○ (Fe78Ti12B10)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 10.88 800 8×10-7 ○ (Fe78Zr12B10)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 10.88 800 9×10-7 ○ (Fe78Hf12B10)0.80(Al75Ru25)0.20 1.30 10.28 900 7×10-7 ○ (Fe78Nb12B10)0.80(Al75Ru25)0.20 1.20 10.30 900 9×10-7 ○ 表7及び表8から明らかなように、添加元素濃度は磁気
特性及び耐食性に対して最適範囲が存在することがわか
る。
【0044】〔実施例4〕C,B,Si,Nの群から選
択する元素をSiとして磁性薄膜を作製した。磁性膜の
成膜はスパッタ法によって行なった。スパッタのターゲ
ットには、作製すべき磁性膜の組成元素の粉体を熱間静
圧プレス法(HIP法)により成型したものを用いた。
HIP法により形成したターゲットを用いると、薄膜化
しても得られた膜の組成はほとんど変わらず、ターゲッ
ト組成とほぼ同じであった。この合金ターゲットを用
い、放電ガスにArを用いて、フェライト基板上にスパ
ッタした。形成した磁性膜の膜厚は5μmである。スパ
ッタの条件は、放電ガス圧力が5mTorr、投入RF
電力が400Wである。このようにして作製した磁性膜
の磁気特性、前記実施例1と同様にして評価した耐食性
を表9に示す。
【0045】
【表9】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Ta7Si15)0.95(Al70Ru30)0.05 1.50 0.30 2300 6×10-7 ○ (Fe78Ta7Si15)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.30 2000 8×10-7 ○ (Fe78Ta7Si15)0.85(Al70Ru30)0.15 1.40 0.30 1800 8×10-7 ○ (Fe78Ta7Si15)0.95(Al70Rh30)0.05 1.50 0.35 2000 7×10-7 ○ (Fe78Ta7Si15)0.90(Al70Rh30)0.10 1.45 0.35 1800 9×10-7 ○ (Fe78Ta7Si15)0.85(Al70Rh30)0.15 1.40 0.35 1500 1×10-6 ○ (Fe78Ti7Si15)0.95(Al70Ru30)0.05 1.50 0.38 2300 7×10-7 ○ (Fe78Ti7Si15)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.38 2000 7×10-7 ○ (Fe78Ti7Si15)0.85(Al70Ru30)0.15 1.40 0.38 1800 8×10-7 ○ (Fe78Zr7Si15)0.95(Al70Ru30)0.05 1.50 0.38 2300 7×10-7 ○ (Fe78Zr7Si15)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.38 2000 7×10-7 ○ (Fe78Zr7Si15)0.85(Al70Ru30)0.15 1.40 0.38 1800 8×10-7 ○ (Fe78Hf7Si15)0.95(Al70Ru30)0.05 1.50 0.30 2300 6×10-7 ○ (Fe78Hf7Si15)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.30 2000 8×10-7 ○ (Fe78Hf7Si15)0.85(Al70Ru30)0.15 1.40 0.30 1800 8×10-7 ○ (Fe78Hf7Si15)0.95(Al70Rh30)0.05 1.50 0.35 2000 7×10-7 ○ (Fe78Hf7Si15)0.90(Al70Rh30)0.10 1.45 0.35 1800 9×10-7 ○ (Fe78Hf7Si15)0.85(Al70Rh30)0.15 1.40 0.35 1500 1×10-6 ○ (Fe78Nb7Si15)0.95(Al70Ru30)0.05 1.50 0.30 2300 6×10-7 ○ (Fe78Nb7Si15)0.90(Al70Ru30)0.10 1.45 0.30 2000 8×10-7 ○ (Fe78Nb7Si15)0.85(Al70Ru30)0.15 1.40 0.30 1800 8×10-7 ○ (Fe78Nb7Si15)0.95(Al70Rh30)0.05 1.50 0.35 2000 7×10-7 ○ (Fe78Nb7Si15)0.90(Al70Rh30)0.10 1.45 0.35 1800 9×10-7 ○ (Fe78Nb7Si15)0.85(Al70Rh30)0.15 1.40 0.35 1500 1×10-6
【0046】一方、本発明の組成範囲から外れる組成と
すると、以下の表10に示すように、耐食性は優れるも
のの、磁気ヘッド材料として不適当な磁気特性を有する
磁性膜しか得られなかった。
【0047】
【表10】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Ta7Si15)0.80(Al70Ru30)0.20 1.20 3.50 800 2×10-6 ○ (Fe78Ta7Si15)0.80(Al70Rh30)0.20 1.20 2.80 700 4×10-6 ○ (Fe78Ti7Si15)0.80(Al70Ru30)0.20 1.20 3.50 800 2×10-6 ○ (Fe78Zr7Si15)0.80(Al70Ru30)0.20 1.20 3.50 800 2×10-6 ○ (Fe78Hf7Si15)0.80(Al70Ru30)0.20 1.20 3.50 800 2×10-6 ○ (Fe78Hf7Si15)0.80(Al70Rh30)0.20 1.20 2.80 800 4×10-6 ○ (Fe78Nb7Si15)0.80(Al70Ru30)0.20 1.20 3.80 800 2×10-6 ○ (Fe78Nb7Si15)0.80(Al70Rh30)0.20 1.20 2.80 800 4×10-6 ○ 表9及び表10から明らかなように、Bs≧1.4、H
c≦1.0Oeの磁気特性を有し、かつ耐食性を確保で
きる添加元素濃度領域が存在していることがわかる。
【0048】〔実施例5〕磁性膜としてNとBを混在さ
せたFe−Nb−B−N−Al−Ru合金膜、及びCと
Siを混在させたFe−Ta−C−Si−Al−Ru合
金膜、Fe−Hf−C−Si−Al−Ru合金膜を形成
した。磁性膜の成膜はスパッタ法によって行った。スパ
ッタのターゲットには各元素の粉体を熱間静圧プレス法
により成形したものを用いた。
【0049】Fe−Nb−B−N−Al−Ru合金膜の
成膜には、ターゲットとして(Fe 85Nb105)
0.90(Al80Ru20)0.10 を用い、放電ガスにAr−N
2 混合ガス(混合比:Ar/N2 =90/10)を用い
て単結晶フェライト基板上にスパッタした。スパッタ条
件は、放電ガス圧力が5mTorr、投入RF電力が4
00Wである。形成した磁性膜の膜厚は5μmである。
Fe−Ta−C−Si−Al−Ru合金膜の成膜には、
ターゲットとして(Fe78Ta710Si5)0.95(Al
80Ru20)0.05 を用い、放電ガスにArを用いてフェラ
イト基板上にスパッタした。スパッタ条件は、放電ガス
圧力が5mTorr、投入RF電力が400Wである。
形成した磁性膜の膜厚は5μmである。
【0050】Fe−Hf−C−Si−Al−Ru合金膜
の成膜には、ターゲットとして(Fe78Hf710
5)0.95(Al80Ru20)0.05 を用い、放電ガスにAr
を用いてフェライト基板上にスパッタした。スパッタ条
件は、放電ガス圧力が5mTorr、投入RF電力が4
00Wである。形成した磁性膜の膜厚は5μmである。
この様にして作製した磁性膜の磁気特性、前記実施例1
と同様にして評価した耐食性を表11に示す。
【0051】
【表11】 Bs(T) Hc(Oe) μ λ 耐食性 (Fe78Nb7B5N10)0.90(Al80Ru20)0.10 1.45 0.30 1800 7×10-7 ○ (Fe78Ta7C10Si5)0.95(Al80Ru20)0.05 1.50 0.30 2000 8×10-7 ○ (Fe78Hf7C10Si5)0.95(Al80Ru20)0.05 1.50 0.22 2000 5×10-7
【0052】以上、実施例1〜5で説明したように、F
e−N,Fe−C系,Fe−B系,Fe−Si系のいず
れの合金を用いても同様の効果を得ることができる。た
だし、作製プロセスをも含めて考えると、Fe−N系は
雰囲気ガス濃度変動に弱いがターゲットの形成が容易で
あり、またFe−Si系はプロセス変動に弱いことが欠
点である。一方、Fe−N系及びFe−C系は耐熱性に
優れているので総合的に考えると、Fe−N系及びFe
−C系が最も優れている。
【0053】
【発明の効果】磁性元素以外の添加元素として、(A
l,Ru)或いは(Al,Rh)を同時添加することに
より、Al,Ru又はRhを単独で添加する場合より飽
和磁束密度及び軟磁気特性の劣化を著しく小さく抑制で
きるので、磁気ヘッドとして高性能を維持しつつ、高耐
食性を有する磁性膜が得られる。本発明の磁性膜を用い
ることにより、高性能でしかも高信頼性を有する磁気ヘ
ッド、さらに磁気記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタル・イン・ギャップ(MIG)型磁気ヘッ
ドの構造を示す模式図。
【符号の説明】
1…軟磁性薄膜、2…フェライト基板、3…ギャップ
部、4…低融点ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊坂 登行 茨城県勝田市稲田1410番地 株式会社日立 製作所AV機器事業部内 (72)発明者 三浦 岳史 茨城県勝田市稲田1410番地 株式会社日立 製作所AV機器事業部内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主体とし、Ta,Zr,Hf,T
    i又はNbの群から選ばれる少なくとも1種類の元素を
    5〜20at%の範囲で含み、C,B,Si又はNの群
    から選ばれる少なくとも1種類の元素を1〜20at%
    の範囲で含み、Alを0.5〜10at%の範囲で含
    み、Ru又はRhを0.5〜5at%の範囲で含み、A
    lとRu又はRhの和が1〜15at%であることを特
    徴とする軟磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 Feを主体とし、Ta,Zr,Hf,T
    i又はNbの群から選ばれる少なくとも1種類の元素を
    5〜15at%の範囲で含み、C,B,Si又はNの群
    から選ばれる少なくとも1種類の元素を5〜15at%
    の範囲で含み、Alを0.5〜8at%の範囲で含み、
    Ru又はRhを0.5〜5at%の範囲で含み、Alと
    Ru又はRhの和が3〜15at%であることを特徴と
    する軟磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 原子%で表したAlとRuの濃度比Al
    /Ru、又はAlとRhの濃度比Al/Rhが1〜5の
    範囲であることを特徴とする請求項2記載の軟磁性薄
    膜。
  4. 【請求項4】 飽和磁束密度が1.4T以上、保磁力が
    1Oe以下、比透磁率が1000以上、磁歪定数が5×
    10-6以下であることを特徴とする請求項1、2又は3
    記載の軟磁性薄膜。
  5. 【請求項5】 加熱処理により微結晶を析出させ、それ
    によりその薄膜がX線的に回折ピークを有し、且つ、F
    e相の結晶粒のサイズが平均で10nm以下であること
    を特徴とす請求項1〜4のいずれか1項記載の軟磁性薄
    膜。
  6. 【請求項6】 少なくともFe相の微結晶と炭化物相、
    窒化物相又は硼化物相の微結晶が析出し、Alと、Rh
    又はRuの大部分がFe相中へ固溶していることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項記載の軟磁性薄膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の軟磁
    性薄膜を磁気ヘッドコアの少なくとも一部に用いたこと
    を特徴とする磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 メタル・イン・ギャップ型であることを
    特徴とする請求項7記載の磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載の磁気ヘッドを用い
    て、移動する磁気記録媒体に情報を記録することを特徴
    とする磁気記録装置。
  10. 【請求項10】 画像情報及び/又は音声情報を記録す
    ることを特徴とする請求項9記載の磁気記録装置。
  11. 【請求項11】 情報記録媒体として磁気テープ又は円
    板上に磁気記録媒体層が形成されたものを用いることを
    特徴とする請求項9又は10記載の磁気記録装置。
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