JP3221035B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP3221035B2
JP3221035B2 JP06120092A JP6120092A JP3221035B2 JP 3221035 B2 JP3221035 B2 JP 3221035B2 JP 06120092 A JP06120092 A JP 06120092A JP 6120092 A JP6120092 A JP 6120092A JP 3221035 B2 JP3221035 B2 JP 3221035B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はVTR,オーディオ,コ
ンピュータ等に用いられる高密度磁気記録再生用磁気ヘ
ッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年VTRを始めとする磁気テープ装
置,フレクシブル磁気ディスク装置,リジッド磁気ディ
スク装置等の磁気記録装置の広帯域高密度化が進められ
ている。高密度磁気記録に適する高保磁力媒体用のヘッ
ドとしてはヘッドコア材料を従来のフェライトヘッドよ
り高めたセンダスト合金やパーマロイ合金あるいは非晶
質金属磁性材料を用いたメタルヘッド等が提案されてい
る。
【0003】これらセンダスト合金膜やCoZrNb等
の非晶質金属膜等の飽和磁束密度は、磁性フェライトに
比べ約2倍の8〜11KG(8〜1.1T)を有する。
上記メタルヘッドはコアの大部分を非結晶又は結晶化ガ
ラス基板,非磁性MnNi(MnO−NiO)多結晶基
板やCaTiO3 多結晶基板等の多結晶セラミックス基
板で構成したものであり、作動ギャップ近傍の高飽和磁
束金属磁性膜によって高い磁束を発生し、高保磁力媒体
への記録再生を可能としたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、更なる
記録の広帯域高密度化を行うため記録媒体の高保磁力化
が一段と進み、例えば、媒体保磁力が150kA/m (約
1900Oe )以上あるいはヘッドギャップ長が0.2
5μm 以下を必要とする高密度記録においては、従来の
センダストや非晶質金属膜を用いた磁気ヘッドでは良好
な記録再生性能を得ることが出来ない。
【0005】また、これら高密度記録用ヘッドにおいて
は、媒体と対向し摺動する面に用いる基板は、従来の単
結晶磁性フェライトによるヘッドと少なくとも同等以上
の優れた摺動性能(耐磨耗性,金属磁性膜との耐偏磨耗
性,摺動潤滑性)を全て併せ持ち、且つ、狭トラック・
狭ギャップ化が進み従来に比べよりヘッド化工程上の加
工性に優れる必要がある。
【0006】ところが、従来のメタルヘッドに用いるガ
ラス,結晶化ガラス基板,CaTiO3 等の多結晶セラ
ミックス基板を用いたヘッドは、上記摺動上の諸特性を
全て併せ持つことは難しく、ヘッド工程上の加工性能を
も同時にもつことは困難であるという問題点があった。
【0007】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、上記欠点を解決し、加工性に優れ、信頼性が高く広
帯域高密度磁気記録再生特性に優れた磁気ヘッドを提供
しようというものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、1)の構成の磁気ヘッドを提供しようと
するものである。即ち、 1)金属軟磁性体膜が磁路を構成する磁気ヘッドにおい
て、記録媒体と対向し摺動する面を、少なくとも非磁性
単結晶フェライトと前記金属磁性体膜の一部とから形成
する一方、前記金属磁性体膜を実質的に5乃至40nm
の粒径を有する超微細結晶で形成し、かつ前記非磁性単
結晶フェライトの組成割合として、Fe23を42.0
乃至53.5mol%、TiO2を8.0乃至12.0
mol%、残部をZnOとしたことを特徴とする磁気ヘ
ッド。
【0009】
【実施例】以下本発明の実施例につき説明する。図1は
本発明の第1〜6実施例に係る磁気ヘッドの第1の基本
構成図である。厚さ200nmの非磁性薄膜2を介して
一層の厚さが5μm のCoZrNb等から成る非晶質金
属磁性の軟磁性体膜3,3を積層し、非磁性TiZn単
結晶フェライト(TiO2 - ZnO- FeO3 )より成
る非磁性単結晶フェライト基板4,4でサンドイッチ
し、一対のコア半体5,5をギャップ形成材を介して突
き合わせ接合して作動ギャップ6を形成したものであ
る。また、コア半体5,5の接合及び作動ギャップ6の
接合には、低融点ガラスを用い、作動ギャップ長を0.
3μm、ギャップ深さを25μmとしてVTR用のリン
グ型ヘッドとして形成したものである。
【0010】また、第1〜6実施例に係る磁気ヘッド
は、図2に示すような第2の基本構成としてもよい。こ
の場合の構成は、非磁性単結晶フェライト基板4,4の
バックコア側にセンダスト又はCoZrNbから成る非
晶質金属磁性膜7,7を設けた構造とするものである。
なお、前記第1の基本構成と同一構成要素には、同一符
号を付してある。
【0011】前記構成要素の内、非磁性単結晶フェライ
ト基板4は、本発明の各実施例に係る磁気ヘッドの主要
構成要素の一つを成すもので、まず、これにつき説明す
る。非磁性単結晶フェライト基板4,4は、亜鉛フェラ
イト基板を用いた。この亜鉛フェライト基板Fe2 3
−ZnOは、最適のTiO2 を添加すると共に、Fe2
3 の量の最適化を図ることで、室温非磁性でしかも所
要の熱膨張系数を有し、且つ、安定的に単結晶の育成が
可能な組成として、次ぎの要件を満たすものが用いられ
る。
【0012】 (a)Fe2 3 …42〜53.5mol% (b)TiO2 …8〜12.0mol% (c)ZnO …残部(35〜50mol%)
【0013】以下、この根拠につき説明する。図3
(A),(B)は、熱膨張係数α及びキュ−リ−温度T
cと組成との関係を示した図である。同図に示すよう
に、熱膨張係数α及びキュ−リ−温度TcとはFe2
3 濃度に対して略比例し、Fe2 3 濃度が53.5m
ol近辺のとき、熱膨張係数αが略90×10-7/℃キ
ュ−リ−温度Tcが略−25℃の関係を有している。
【0014】例えば、ここで、この非磁性単結晶フェラ
イト基板4が使用される装置の環境温度範囲を考慮する
と、0℃〜40℃前後の範囲で非磁性であることが必要
で、しかも、Fe2 3 濃度を略53.5mol%以下
にする必要がある。また、Fe2 3 濃度を小さくする
と熱膨張係数αも小さくなるが、この熱膨張係数αは低
αの金属薄膜の使用を考慮すると、90×10-7/℃近
辺以上とする必要がある。このためにはFe2 3 濃度
を略42mol%以上にする必要があり、こらの条件が
既述の一つの要件とされるものである。
【0015】次に、他の二つの要件につき、非磁性単結
晶フェライト基板4の各実施例と比較例とを用いて説明
する。 単結晶フェライト基板の第1実施例 (a)〜(c)の各成分を次の組成比で混合して非磁性
単結晶フェライト試料を製造した。 (a)Fe2 3 …46.1mol% (b)ZnO …43.8mol% (c)TiO2 …10.1mol%
【0016】単結晶フェライト基板の第2実施例 (a)Fe2 3 …51.1mol% (b)ZnO …39.7mol% (c)TiO2 … 9.2mol%
【0017】単結晶フェライト基板の第3実施例 (a)Fe2 3 …52.0mol% (b)ZnO …23.4mol% (c)TiO2 … 9.6mol%
【0018】単結晶フェライト基板の比較例1 (a)〜(c)の各成分を次の組成比で混合して比較例
としての非磁性単結晶フェライト試料を製造した。 (a)Fe2 3 …53.5mol% (b)ZnO …41.2mol% (c)TiO2 … 5.3mol%
【0019】単結晶フェライト基板の比較例2 (a)Fe2 3 …56.2mol% (b)ZnO …35.2mol% (c)TiO2 … 8.5mol%
【0020】単結晶フェライト基板の比較例3 (a)Fe2 3 …53.7mol% (b)ZnO …32.2mol% (c)TiO2 …14.1mol%
【0021】そして、これらの各試料について、熱膨張
係数α及びキュ−リ−温度Tcを求めた。この結果を、
表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、TiO2 を5.
9〜10.14mol%と変化させて育成を行ったが、
TiO2 が5.3mol%及び14.1mol%(比較
例1,3)の場合には、インゴット中にクラックが生じ
て結晶性の悪い単結晶しか得られなかった。特に、Ti
2 が14.1mol%の比較例3は、インゴットから
測定用試料を切断できず測定不能であった。また、比較
例2はFe2 3 を上述した52.5mol%以上の5
6.2mol%としたもので、比較例1,3と同様にイ
ンゴット中にクラックが生じて結晶性の悪い単結晶しか
得られなかった。
【0024】これに対し、TiO2 が9〜10mol%
の単結晶フェライト基板の実施例1〜3では、熱膨張係
数α及びキュ−リ−温度Tcとも略満足できる結果が得
られ、且つ、クラックのないインゴットが得られた。こ
のことより、室内非磁性で、しかも所要の熱膨張係数α
を有し、且つ安定的に単結晶の育成が可能な組成として
は、上述の範囲が好ましいことが分かる。
【0025】また次ぎに、他の主要構成要素である軟磁
性体膜3の構成につき詳述する。軟磁性体膜3は、従来
のセンダストや非晶質金属膜に比べ高い飽和磁束密度
(Bs)の値を13〜19.5KG有し、実質的に5〜
40nmの微結晶体からなる金属膜を用いた。Coを主成
分とする膜としてCoZrNbN膜(Bs1.3T)及
びCoFeZrN膜(Bs14KG)を用い、Feを主
成分とする膜としてFeZrN膜(Bs15KG)、F
eTaN膜(Bs15.5KG)、FeSiN膜(Bs
1.8KG)及びFeSiMoN膜(Bs19KG)を
用いた。
【0026】これらの金属磁性膜の成膜方法は、反応性
スパッタ法によりマグネトロンスパッタ法により行った
が、一対の対向するターゲットによる対向スパッタ法に
より行ってもよい。成膜は2×10-3Pa以下の真空に
した後、アルゴン(Ar)及び窒素(N2)を流量計
(マスフロー・コントローラ)により所定の流量にそれ
ぞれ調整導入し反応性スパッタを行った。
【0027】その後、500℃以上の所定の温度で熱処
理を加え結晶粒径を実質的に5〜40nmとし、高飽和
磁束密度の低保磁保力(Hc≦0.5Oe)で、且つ、
高透磁率(μ≧1500)の低磁歪(|λs|≦2×1
-6)の最適なヘッド材料を得た。ここで、実質的とし
たのは、結晶粒が非常に小さく計測限界に近いためTE
Mによる観察とX線回折パターンのピークの半値幅から
所謂シェラーの式を用い、平均の粒径を求める方法を採
用したことによる。
【0028】この場合において、本発明者等は、結晶粒
径が実質的に40nm以上となる成膜条件あるいは熱処理
条件のもとでは、微結晶金属結晶膜のHcが1Oe以上
に増大すると共に、透磁率が500以下に急激に低下す
ることからヘッドとしては使用出来ないことを確認し
た。また、CoZrNbN,CoFeZrN,FeZr
N,FeTaN膜は、X線回折において、成膜時には概
ね非晶質状態と同様のハローパターンを示すが、ヘッド
として効果的な特性(例えば、前述したように保磁保力
Hc≦0.5Oe、透磁率μ≧1500、磁歪|λs |
<2×10-6を満足するような特性)を得るためには、
実質的に5nm以上の結晶粒径を有するものであることも
確認した。更にまた、特に高いBS を有するFeSi
N,FeSiMoN膜においても、成膜時からヘッド材
料として優れた軟磁気特性を有するためには、実質的に
5nm〜40nmの粒径を持つ微結晶状態であることも確
認している。
【0029】以下、前記した条件を満足する非磁性単結
晶フェライト基板4及び軟磁性体膜3を用いた各実施例
の磁気ヘッドにつき、表2を用いて説明する。表2は、
本発明の各実施例の磁気ヘッドと各比較例(従来例)の
ヘッドとを従来より高い1900Ocの抗磁力を有する
メタルテープを用い、500時間の走行を行った際の各
項目における比較結果である。なお、各比較例1〜5
(従来例)のヘッドは、本第1実施例のヘッドと同一構
造を呈し、非磁性単結晶フェライト基板4及び軟磁性体
膜3に相当する部分の組成を夫々表2の組成としたもの
である。
【0030】比較項目としては、500時間走行後の媒
体摺動面の偏磨耗量、脱粒の有無、媒体成分の付着によ
る変色の有無、ヘッド化工程における加工容易性、そし
て、500時間走行後の記録密度60kFRPI(1イ
ンチあたり6万回の磁化反転数となる記録密度)の時の
各ヘッドの記録再生出力を、比較例4のヘッドの記録再
生出力を基準(0出力)とした時の出力比較を示してあ
る。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、各実施例の磁気
ヘッドは、媒体と対向し摺動する面に、従来の金属磁性
膜に比べ高い飽和密度を有し実質的に5〜40nmの超
微細結晶金属磁性膜を用いたことで、従来のメタルヘッ
ドに比べ、偏磨耗が殆ど無く、脱粒も無く、しかも、優
れた摺動潤滑性などの摺動性能を持った信頼性の高い、
高密度記録再生出力特性の優れた磁気ヘッドが得られ
た。更に、従来のメタルヘッドに比べ、より精密加工を
必要とする広帯域高密度記録のヘッドとしてヘッド加工
性にも優れている。特に、第1及び第2実施例のヘッド
は、高BsのFeSiNやFeSiMoN超微細結晶膜
を用いたことで、他のヘッドに比べ更に高い出力特性が
得られた。
【0033】更に、前記FeSiNの超微細結晶膜にお
いて、特に、Fea b Sic なる組成式で表される原
子%を 5≦b≦10 2≦c≦6 a+b+c=100 なる関係を有して形成した時に、500℃以上の高温処
理を行って磁気ヘッドを作製する場合に、低保磁力H
c、高飽和磁束密度Bs、及び高透磁率μの磁気ヘッド
を提供できるものとなる。
【0034】また同様に、FeNSiMoの超微細結晶
膜おいて、例えば、MoをMとした場合、Fea b
c d なる組成式で表される原子%を 5≦b≦10 2≦c≦6 0.3 ≦d≦3 a+b+c+d=100 なる関係を有して形成した時に、前記FeSiNの超微
細結晶膜の構成の効果に加え、耐蝕性に優れた磁気ヘッ
ドを提供できるものとなる。そして、Moの他にRu、
Ti、Cr、Y、Coの中から選ばれる少なくとも1種
以上の元素で構成しても同様の効果が得られるものとな
る。
【0035】これらのことは、すでに、本出願人が平成
3年12月13日付けの特許願で詳細に述べているが、
これらについても本発明の主要構成要素となるため、以
下に詳述する。これらのFeSiN及びFeNSiMo
の超微細結晶膜の成膜方法は、本出願人の公開にかかる
特開平3−134138号に開示された方法と略同一方
法により行っているので、ここでは、説明を省略する。
【0036】図4は窒素量を一定とした場合のSi含有
量に対する磁気特性の変化を示した図である。また、図
5は熱処理温度による磁気特性の変化を示した図であ
る。図4は熱処理温度550℃での磁気特性であり、S
iが6at% (原子%)のときのHcは1Oe以上になって
いる。しかしながら、図5に示したようにSiが6at%
でも、熱処理温度が500℃のときは0.5 Oe以下の低H
cが得られる。熱処理温度500℃の場合のSi含有量
と磁気特性の関係を図6に示す。この図からも分かるよ
うに、Siが2〜6at% のときにHc≦0.5 Oeの優れた
軟磁性膜が得られ、この時のBsは18kG以上となって
いる。
【0037】図7は磁性合金をスパッタにより成膜する
際の窒素流量とHc,λs (磁歪)の関係を示した図で
ある。また、図8は窒素流量と成膜後の磁性膜中の窒素
含有量との関係を示した図である。但し、窒素流量と磁
性膜中の窒素含有量の関係は、用いる成膜装置によって
異なる場合がある。窒素含有量はTiN基板を標準試料
としてEPMA(電子プローブ・マイクロ・アナライ
ザ)およびXPS(X線光電子分光分析法)を用いて定
量分析を行ったが、±20%程度の誤差が見込まれる。
そして、図9は、図8に基づいて図7を磁性膜中の窒素
含有量に対するHc,λs の変化に書き換えた図であ
る。また、図10は熱処理温度500℃の場合の結果を
示したものである。
【0038】これらの図より、窒素含有量5〜11.5at%
のときにHc≦0.5 Oeの優れた軟磁気特性を示す磁性膜
が得られることが分かる。また、透磁率μの比較例を表
3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】同表に示すように窒素含有量5〜10at%
のときにμ≧2000の高μ材料が得られる。従って、
Siが2〜6at% で、窒素が5〜10at% であるとき、
500℃の高温処理においてもHc≦0.5 Oe、且、μ
≧2000である優れた磁気ヘッド用軟磁性合金が得ら
れることになる。
【0041】次に、磁性膜の飽和磁歪λs とガラスモー
ルド前後の磁性膜の磁気特性の変化について説明する。
表4はλs の異なる磁性膜におけるガラスモールド前後
のHcを示した表である。
【0042】
【表4】
【0043】λs が3×10-6の場合にはガラスモール
ド前のHcは0.3 Oeと低いが、ガラスモールド後は1
OeとHcが増大している。これに対し、試料2〜4の
ように|λs |≦2×10-6であれば、ガラスモールド
後の磁気特性の劣化はほとんどなく、Hc≦0.5 Oeの
磁性合金が得られる。
【0044】従って、|λs |≦2×10-6である磁性
合金を用いれば、ガラスモールド工程を含む磁気ヘッド
においても、コアとなる磁性合金の特性を十分に引き出
すことのできる、高性能の磁気ヘッドを得ることができ
る。
【0045】図9において、Hc≦0.5 Oeとなる窒素含
有量5at% 以上の範囲で、且つ|λs |≦2×10-6
なる領域を窒素とSiの含有量の差で表すと以下のよう
になる。ここで、b,cはFea Nb Sic における窒
素とSiの含有比率である(a+b+c=100)。 Si 2.3at% の場合 2.7 ≦(b−c)≦ 4.3 Si 3.2at% の場合 2.7 ≦(b−c)≦ 6.0 Si 6.0at% の場合 2.2 ≦(b−c)≦ 5.5
【0046】同様に熱処理温度を500℃とした図10
においては以下の通りである。 Si 2.3at% の場合 2.7 ≦(b−c)≦ 6.0 Si 3.2at% の場合 2.2 ≦(b−c)≦ 5.3 Si 6.0at% の場合 2.7 ≦(b−c)≦ 4.1
【0047】また、熱処理600℃の場合は図9とほぼ
同様のλs 変化であった。以上の実験結果から、2.2 ≦
(b−c)≦6.0 で、かつSi2〜6at% ,N5〜10
at% とすることによって、500℃以上の熱処理後でも
Hc≦0.5 Oe,μ≧2000,|λs |≦2×10-6
である、優れた軟磁性合金を得ることができ、この磁性
合金を用いることによってガラスモールド工程後も磁気
特性の劣化のない、高性能な磁気ヘッドを得ることがで
きる。
【0048】図11は組成の異なる磁性膜を5%塩水に
浸漬し、浸漬前の飽和磁束MS (0)に対する浸漬後の飽
和磁束MS (t) の割合をVSMを用いて、一定時間毎に
測定した結果である。なお、繁雑をさけるため図示はし
てないが、Fe88Si4 Cr1 7 及びFe88Si4
1 7 の組成物についても同様な実験を行っており、
この場合にも、Fe88Si4 Ru1 N7 及びFe88.5
4 Ti1 Ru0.5 7 とほぼ同様な結果を得ている。
【0049】これらの測定結果において、FeNにSi
を添加することによって、僅かに耐蝕性が向上し、更に
Zrを添加することによっても耐蝕性は向上する。しか
し、その差は僅かであり磁気ヘッドとして用いた場合、
使用される環境によっては腐蝕による問題が生じる恐れ
があるものである。ところが、本発明人等は、FeNS
i膜にMo,Ru,Ti,Cr,Y,Coの中から選ば
れる少なくとも1種類以上の元素を添加することによっ
て、耐蝕性が飛躍的に向上することを見出した。
【0050】更に、Mo,Ru,Ti,Cr,Y,Co
なる群の中から選ばれる2種類以上の元素の組合せとし
て、MoとRuの混合物またはYとRuの混合物を選ぶ
と、特に優れた耐蝕性が得られ、既に多方面で実用化さ
れているセンダスト合金スパッタ膜とほぼ同等の耐蝕性
が得られることも分かった。
【0051】ここで、Mo,Ru,Ti,Cr,Y,C
oの中から選ばれる1種類以上の元素の添加量について
説明する。これらの元素の合計の含有量が0.3 at% 以下
であると、耐蝕性に対する顕著な効果が現れない。例え
ば、図11に示したように、Mo 0.2at% の場合はMo
を添加していない磁性膜と同等の耐蝕性しか得られな
い。このことは他の元素の場合も同様であった。また、
これらの元素の合計量が3at% を越えると軟磁気特性、
特に500℃の高温で処理を行ったときの磁性特性が劣
化してしまう。
【0052】従って、Mo,Ru,Ti,Cr,Y,C
oの中から選ばれる1種類以上の元素の合計量が0.3 〜
3at% であるとき、磁気特性を損なわずに耐蝕性を飛躍
的に向上させることができるものとなる。
【0053】以上の各実施例のヘッドでは、リング型の
VTR用のヘッドとして説明したが、これに限らず、磁
気テープ装置,フレクシブル磁気デスク装置,リジッド
磁気ディスク装置用などの磁気ヘッドにも適用できるこ
とは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】本願発明に係わる磁気ヘッドによれば、
金属軟磁性体膜が磁路を構成する磁気ヘッドにおいて、
記録媒体と対向し摺動する面を、少なくとも非磁性単結
晶フェライトと前記金属磁性体膜の一部とから形成する
一方、前記金属磁性体膜を実質的に5乃至40nmの粒
径を有する超微細結晶で形成し、かつ前記非磁性単結晶
フェライトの組成割合として、Fe23を42.0乃至
53.5mol%、TiO2を8.0乃至12.0mo
l%、残部をZnOとしたので、従来の金属磁性膜とガ
ラスや多結晶体とを用いたヘッドに比べ、偏磨耗特性、
摺動潤滑性等の摺動性能に優れ高い信頼性を有し、ヘッ
ド化工程上の加工性に優れ、且つ、高い記録再生出力特
性を有し、更に、より一層の電磁変換特性に優れ、且
つ、加工性に優れた磁気ヘッドを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例に係る磁気ヘッドの第1の基
本構成図である。
【図2】本発明の各実施例に係る磁気ヘッドの第2の基
本構成図である。
【図3】熱膨張係数α及びキュ−リ−温度Tcと組成と
の関係を示した図である。
【図4】窒素量を一定とした場合のSi含有量に対する
磁気特性の変化を示した図である。
【図5】熱処理温度による磁気特性の変化を示した図で
ある。
【図6】熱処理温度500℃の場合のSi含有量と磁気
特性の関係を示した図である。
【図7】磁性合金をスパッタにより成膜する際の窒素流
量とHc,λs の関係を示した図である。
【図8】窒素流量と成膜後の磁性膜中の窒素含有量との
関係を示した図である。
【図9】図8を基に、図7を磁性膜中の窒素含有量に対
するHc,λs の変化に書き換えた図である。
【図10】図9における熱処理温度500℃の場合の結
果を示した図である。
【図11】組成の異なる磁性膜を塩水に浸漬し、浸漬前
の飽和磁束に対する浸漬後の飽和磁束の割合をVSMを
用いて、一定時間毎に測定した結果を表した図である。
【符号の説明】
2 非磁性薄膜 3 軟磁性体膜 4 非磁性単結晶フェライト基板 5 コア半体 6 作動ギャップ 7 磁性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川窪 俊久 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 小野里 紀夫 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 日本ビクター株式会社内 審査官 中野 浩昌 (56)参考文献 特開 平2−113411(JP,A) 特開 昭64−39607(JP,A) 特開 平3−203307(JP,A) 特開 昭64−27009(JP,A) 特開 平3−134138(JP,A) 特開 昭64−42108(JP,A) 特開 平1−209707(JP,A) 特開 平4−53013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/127 - 5/255

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属軟磁性体膜が磁路を構成する磁気ヘッ
    ドにおいて、 記録媒体と対向し摺動する面を、少なくとも非磁性単結
    晶フェライトと前記金属磁性体膜の一部とから形成する
    一方、前記金属磁性体膜を実質的に5乃至40nmの粒
    径を有する超微細結晶で形成し、かつ前記非磁性単結晶
    フェライトの組成割合として、Fe23を42.0乃至
    53.5mol%、TiO2を8.0乃至12.0mo
    l%、残部をZnOとしたことを特徴とする磁気ヘッ
    ド。
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