JPH0880663A - 被記録材、その製造方法、インクジェット記録方法及び印字物の製造方法 - Google Patents

被記録材、その製造方法、インクジェット記録方法及び印字物の製造方法

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JPH0880663A
JPH0880663A JP6218359A JP21835994A JPH0880663A JP H0880663 A JPH0880663 A JP H0880663A JP 6218359 A JP6218359 A JP 6218359A JP 21835994 A JP21835994 A JP 21835994A JP H0880663 A JPH0880663 A JP H0880663A
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靖子 林
悌互 ▲榊▼原
Teigo Sakakibara
Shunichiro Nishida
俊一郎 西田
Masataka Kawahara
正隆 川原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面光沢、印字画像の発色性、インク受容
性、乾燥性に優れ、曲折、白化現象が生じ難い被記録材
等を提供する。 【構成】 ポリアクリル酸塩系等の吸水性ポリマーと、
アルコキシシラン類の加水分解・重縮合反応により生成
するゲル等のシリカ化合物と、ポリビニルアルコールと
を含有するインク受容層が基材上に設けられた被記録
材、その製造方法、この被記録材を用いたインクジェッ
ト記録方法および印字物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを用いた記録方
法、とりわけインクジェット記録法に好適に用いられる
被記録材に関し、更に詳しくは、表面光沢が十分であ
り、印字画像の発色性、インク受容性および印字後の表
面の乾燥性に優れ、印字乾燥後の曲折が生じ難く、イン
ク受容層成膜後の白化現象が生じ難い被記録材、その製
造方法、その被記録材を用いたインクジェット記録方
法、および印字物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録法は、種々のインク
(記録液)吐出方式、例えば静電吸引方式、圧電素子を
用いて記録液に機械的振動また変異を与える方式、記録
液を加熱して発泡させその圧力を利用する方式等によ
り、インクの小滴を発生させて飛翔させ、それらの一部
または全部を紙などの被記録材に付着させる記録法であ
り、騒音の発生が少なく、高速印字や多色印字が可能な
記録法として注目されている。インクジェット記録法に
使用されるインクとしては、安全性、記録特性の面から
主に水を主成分とするものが使用され、ノズルの目詰ま
り防止および吐出安定性の向上のために多価アルコール
等が添加されている場合が多い。
【0003】そして、従来よりインクを用いた記録方法
(とりわけインクジェット記録法)に使用される被記録
材としては、通常の紙や、インクジェット記録用紙と称
される基材上に多孔質のインク受容層を設けてなる被記
録材が使用されている。
【0004】しかし、記録の高速化や多色化など、イン
クジェット記録装置等の性能の向上と普及に伴い、被記
録材に対してもより高度で広範な特性が要求されつつあ
る。即ち、高解像度高品質の記録画像を得るには被記録
材は、 (1)インクの被記録材への受容が可及的速やかである
こと。 (2)インクドットが重複した場合でも、後で付着した
インクが前に付着したドット中に流れ出さないこと。 (3)インク液滴が被記録材上に拡散し、インクドット
の径が必要以上に大きくならないこと。 (4)インクドットの形状が真円に近く、またその円周
が滑らかであること。 (5)インクドットのOD(光学濃度)が高く、ドット
周辺がぼけないこと。 等の基本的諸要求を満足させる必要がある。
【0005】更に、スライドやOHP(オーバーヘッド
プロジェクター)等の光学機器により、記録画像をスク
リーン等へ投影してそれらの画像を観察するのに用いる
もの、カラー印刷のポジ版を作製する際の色分解版、液
晶等のカラーディスプレイに用いるCFM(カラーモザ
イクフィルター)等の用途に使用する被記録材において
は、主に記録画像の透過光が問題となる。したがって、 (6)透光性、特に直線透過率に優れたもの。であるこ
とが前述の一般的な被記録材(とりわけインクジェット
記録用被記録材)の要求性能に加重されて要求される。
【0006】従来の表面画像観察用の被記録材の多く
は、特にインクの吸収速度を速める目的で表面に多孔性
のインク受容層を設け、その多孔性空隙中に記録液を受
容させ、定着させる方式を用いていた。しかし、多孔性
である故に被記録材の表面には光沢が無かった。
【0007】一方、インク受容層としてポリアクリル酸
等の吸水性ポリマーを用いることも試みられている。特
にポリアクリル酸およびポリアクリル酸の中和塩からな
る吸水性ポリマーは、製膜性が良く吸水量が多い上、透
明性に優れており、インク中の水分の受容性・光沢をほ
ぼ満足させる。しかし、この吸水性ポリマーは一般に水
溶性であるものが多く、インク受容時に被記録材表面が
膨潤し、記録画像に接触すると被記録材の表層が剥離
し、記録画像が損なわれてしまうという問題点がある。
また、高分子単体を表面層に用いた場合、表面が非多孔
性になり易く、記録実施後インク中の多価アルコール等
の不揮発成分が被記録材料面に長時間残存し、インクの
乾燥定着時間が長くなるので、インクのにじみが生じた
り、上記と同じく記録画像に接触すると記録画像が損な
われてしまう。また、ポリアクリル酸は、水分蒸発時の
体積収縮率が大きいので印字後に曲折を起こしやすいと
いう問題もある。
【0008】これに対し、耐水性に優れ、且つ体積収縮
率が小さく、吸水速度の速いポリビニルアルコール等の
樹脂を上記吸水性ポリマーに混合して用いる方法もあ
る。しかし、ポリアクリル酸とポリビニルアルコールは
一般に相溶性が悪く、製膜後にフィルム表面が白化して
しまうという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
クを用いた記録方法(とりわけインクジェット記録法)
に好適に用いられる被記録材であって、表面光沢が十分
であり、更に印字画像の発色性、インク受容性および印
字後の表面の乾燥性に優れ、印字乾燥後の曲折が生じ難
く、更にインク受容層成膜後の白化現象が生じ難い被記
録材、その製造方法、その被記録材を用いたインクジェ
ット記録方法、および印字物の製造方法を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の被記録材は、基
材と、該基材上に設けられたインク受容層とを有する被
記録材であって、該インク受容層が、吸水性ポリマー
と、シリカ化合物と、ポリビニルアルコールとを含有す
ることを特徴とする被記録材である。
【0011】本発明の被記録材の製造方法は、基材と、
該基材上に設けられたインク受容層とを有する被記録材
の製造方法において、該インク受容層を、少なくとも吸
水性ポリマーと、シリカ化合物と、ポリビニルアルコー
ルにより形成することを特徴とする被記録材の製造方法
である。
【0012】本発明の記録方法は、上記本発明の被記録
材に対してインクの小滴を飛翔させて、該インク受容層
に該インクを付着させることを特徴とするインクジェッ
ト記録方法である。
【0013】本発明の印字物の製造方法は、上記本発明
の被記録材にインクジェット記録方法により製造するこ
とを特徴とする印字物の製造方法である。
【0014】
【作用】被記録材のインク受容層は、記録時に記録装置
や記録器具の記録手段からインクを受容する部分であ
り、このインクの受容は、一般に、インク受容層表面に
付着したインクがインク受容層の組織内の微細な空隙に
主に溶解または膨潤作用に伴い入り込むことによって行
なわれる。この様なインク受容に大きな影響を与える要
因として、インク受容層の構造およびインク受容層を構
成している材料の物性が挙げられる。即ち、インク受容
層の構造が、インクが浸透し易い構造であり、且つイン
ク受容層がインクを受容し、収容するのに適当な空隙容
量を有していること、更に、インク受容層を構成してい
る材料がインクとの親和性を有していることが重要とな
る。
【0015】したがって、用いられるインクが水性であ
る場合は、被記録材のインクを吸収し、受容する部分
(即ちインク受容層)を構成する材料に、親水性を有す
る材料を用いることは、優れたインク受容性を得るため
に非常に効果的である。更に、インクにはノズルの目詰
まり防止や、粘度調整等のためにグリセリン、ジエチレ
ングリコール等の多価アルコールが通常は含有されてい
る。この場合、インク受容層は水だけでなくこれらの不
揮発性液媒体も同時に受容しなければならないので、イ
ンク受容層は親水性のほかに、これらの不揮発性媒体と
も親和性の高いことが必要になる。
【0016】また、インク受容層として満たすべき他の
条件として、インクを吸収した際に膨潤した被記録材が
接触により剥離しないこと、また印字乾燥後に曲折(一
般にカールという)を起こさないことが重要である。
【0017】更に、インクは速やかに吸収され、被記録
材表面で拡散しないことが重要であるが、他方、インク
ドット径が小さすぎると画像濃度が低下するため、適切
なドット径の広がりも必要である。また、印字画像の発
色性も求められる条件である。
【0018】本発明者らは上記の如き種々の点を考慮し
つつ鋭意研究の結果、基材上に設けられたインク受容層
が、吸水性ポリマーと、シリカ化合物と、ポリビニルア
ルコールとを含有するときには前述の種々の条件を満た
し、且つ、光沢・透光性および記録画像の画質を同時に
満足する被記録材が得られることを知見し、本発明を完
成するに至った。特に、本発明のインク受容層を形成す
る手段として、金属アルコキシドの加水分解を利用した
シリカ化合物のゾルゲル反応を、ポリアクリル酸および
ポリアクリル酸中和物とポリビニルアルコールの混合溶
液中で行なう態様では、上記の異種高分子間の相溶性を
飛躍的に増し、ポリアクリル酸の吸水力とポリビニルア
ルコールの耐水性、低曲折性を兼ね備え、且つ製膜後に
白化現象を起こさないインク受容層を得ることができ
る。
【0019】更に、本発明において、インク受容層のシ
リカ化合物が、アルコキシシラン類の加水分解・重縮合
反応により生成するゲルからなる態様においては、この
ゲルの微細孔構造および吸水性ポリマーの膨潤作用によ
りインクの吸収速度が速まるので、インクドットの拡散
が小さく、高画質を達成でき、より優れた特性が得られ
る。更に、吸水性ポリマーとゲルを同時に用いたことに
より印字画像の発色性が良好であり、またドット径の適
度な広がりにより画像濃度を向上できる。
【0020】以下、本発明の各種態様を詳細に説明す
る。
【0021】本発明の被記録材は、一般に支持体として
の基材とその表面に設けたインク受容層とからなるもの
である。このインク受容層の厚さは1〜100μm程度
が望ましく、2〜30μm程度が好ましい。また、必要
に応じて被記録材の吸水性を高めるために、インク受容
層と基材の間に、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、
ポリウレタン等の吸水層を設けることもできる。
【0022】本発明の被記録材のインク受容層に用いる
吸水性ポリマーは、その吸水性に基づきインクを吸収
し、受容する特性をインク受容層に付与できるものであ
れば特に制限無く各種の吸水性ポリマーを使用できる
が、特に、少なくともポリアクリル酸類とポリアクリル
酸の中和塩とからなるポリアクリル酸塩系吸水性ポリマ
ーが好ましい。また、このポリアクリル酸の中和塩は、
少なくともLi、Na、Kおよびアミン化合物の1種以
上を含有するものであることが好ましい。
【0023】インク受容層の全固形分(100重量%)
中の吸水性ポリマーの重量比率は、30重量%以上95
重量%以下が好ましく、50重量%以上90重量%以下
が更に好ましい。この吸水性ポリマーの重量比率が大き
過ぎる場合は、インク吸収による膨潤が著しくなり受容
層へのベタつきを生じる傾向にある。一方、吸水性ポリ
マーの重量比率が小さ過ぎる場合は、インク吸収量が不
十分となり印字画像がにじみ易い傾向にある。
【0024】本発明の被記録材のインク受容層に用いる
シリカ化合物は、アルコキシシラン類の加水分解・重縮
合反応により生成するゲルからなるものが望ましい。即
ち、金属アルコキシドの加水分解−重合反応を利用した
ゾルゲル反応によりゲル化して得たものが好適に使用で
きる。
【0025】このアルコキシシラン類としては、Si−
(OR)4 (但しRは置換基を有してもよいアルキル
基、フェニル基、アルコキシ基を示す。)で表される化
合物の少なくとも1種以上からなるものが好ましい。具
体的には、テトラエチルシリケート、テトラメチルシリ
ケート等が挙げられる。また、4官能シロキサンに限ら
れず、ジクロロシラン、トリクロロシラン等のハロゲン
化ケイ素やアルコキシシラン類等も用いることができ
る。
【0026】インク受容層の全固形分(100重量%)
中のシリカ化合物の重量比率は、1重量%以上80重量
%以下が好ましく、3重量%以上50重量%以下が更に
好ましい。このシリカ化合物の重量比率が大き過ぎる場
合は、インク吸収層としての柔軟性が小さくなりひび割
れ等が生じる傾向にある。一方、シリカ化合物の重量比
率が小さ過ぎる場合は、インク吸収層の微細孔が形成さ
れにくくインク吸収速度が遅くなりインクのにじみが生
じ易い傾向にある。
【0027】本発明の被記録材のインク受容層に用いる
ポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)は、イン
ク受容層の全固形分(100重量%)中のPVAの重量
比率は、10重量%以上80重量%以下が好ましく、2
0重量%以上70重量%以下が更に好ましい。このPV
Aの重量比率が大き過ぎる場合は、ゲルの微細孔による
インク吸収量が減少するのでインクのにじみが生じ易い
傾向になる。一方、PVAの重量比率が小さ過ぎる場合
は、濃度・発色性が低下し、また膨潤による接触時の膜
剥がれ・印字後のカールが生じ易い傾向になる。
【0028】本発明におけるPVAのケン化度の好まし
い範囲としては30%以上100%未満であり、更に好
ましくは50%以上100%未満である。ケン化度が小
さ過ぎる場合は、インク中の水分に対する吸収速度が遅
くなりインクのにじみが生じ易い傾向にある。また、P
VAのケン化度が大き過ぎる場合は、インク中の多価ア
ルコール等に対する吸収速度が遅くなり印字直後の接触
時にインクの付着が生じ易い傾向にある。
【0029】本発明においてインク受容層の支持体とし
て用いる基材としては、透明性、不透明性を問わず、従
来より知られる何れの基材も使用できる。好適な透明性
基材としては、例えばポリエステル系樹脂、ジアセテー
ト樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル系樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系
樹脂、セロハン、セルロイド等のフィルムまたは板、お
よびガラス板等が挙げられる。好適な不透明性基材とし
ては、例えば一般の紙、布、木材、金属板、合成紙等の
他、上記の透明性基材を公知の手段により不透明性化処
理したもの等が挙げられる。
【0030】本発明の被記録材のインク受容層を形成す
る方法としては、少なくとも吸水性ポリマーと、シリカ
化合物と、PVAとからインク受容層を形成できる方法
であれば特に制限無く用いられる。但し、シリカ化合物
がアルコキシシラン類の加水分解・重縮合反応により生
成するゲルからなる態様においては、特に、金属アルコ
キシドの加水分解−重合反応を利用したゾルゲル反応
を、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸中和物からな
るポリアクリル酸塩系等の吸水性ポリマーとPVAの混
合溶液中で行なう方法が望ましい。この方法によれば、
特に、上記の異種高分子間の相溶性を飛躍的に増し、ポ
リアクリル酸の吸水力とPVAの耐水性、低曲折性を兼
ね備え、且つ製膜後に白化現象を起こさないより優れた
インク受容層を得ることができる。具体的には、ゲルを
形成すべきシリカ化合物と、ポリアクリル酸およびポリ
アクリル酸中和物とPVAの混合溶液を基材上に塗布等
により供給し、加熱等することによって混合溶液中で金
属アルコキシドの加水分解を利用したシリカ化合物のゾ
ルゲル反応を生じさせて、シリカ化合物のゲル化により
塗布膜を硬化させて、インク受容層を形成する方法が好
ましい。
【0031】また、必要に応じて前述の塗工方法の他に
キャストコーティング法を用いたり、光沢ロールによる
光沢出しをしてもよい。
【0032】また例えば、基材の裏面に樹脂コートを施
して、印字後の体積収縮によるカールを更に防止するこ
ともできる。使用できる樹脂としては、一般的な熱可塑
性樹脂・熱硬化性樹脂が挙げられる。また、表面に形成
したインク受容層と同一のコート層を設けてもよい。
【0033】本発明の被記録材のインク受容層には、上
記必須成分以外に必要に応じて各種のポリマーを併用で
きる。本発明においてPVAと混合して使用できる他の
ポリマーの好ましい例としては、アルブミン、ゼラチ
ン、カゼイン、澱粉、カチオン澱粉、アラビアゴム、ア
ルギン酸ソーダ等の天然樹脂;ポリアミド、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルピロリドン、四級化ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジウム
ハライド、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリアクリル酸ソーダ、SBRラテックス、NBR
ラテックス、ポリビニルホルマール、ポリメチルメタク
リレート、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、フェノール樹
脂、アルキッド樹脂等の合成樹脂などが挙げられ、これ
ら樹脂の1種以上が所望により使用される。
【0034】また、インク受容層には、インクの吸収速
度を高めるためにSiO2 、Al23 等の無機粒子を
分散させることが好ましい。PVAと無機粒子の混合比
率は、PVA30〜80重量%に対し無機粒子成分が7
0〜20重量%であることが望ましく、PVA50〜8
0重量%に対し無機粒子成分が50〜20重量%である
ことが好ましい。無機粒子が多過ぎる場合はフィルムの
白濁が顕著になり透明性が悪化する傾向にある。また、
無機粒子が少な過ぎる場合は、インク吸収速度を高める
効果が得られにくい傾向にある。
【0035】また、インク受容層には、クレー、タル
ク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫
酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、合成ゼオライト、酸
化亜鉛、リトポン、サチンホワイト等の充填剤を分散さ
せることもできる。
【0036】また、インク受容層には、分散剤、蛍光染
料、pH調節剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤
等の公知の各種添加剤を包含させることもできる。
【0037】本発明の被記録材は、以上の様な必須また
は任意の主材料を用いて形成すればよいが、被記録材全
体として透光性であることを必要とする場合は、基材お
よびインク受容層の双方とも透光性にすればよい。この
態様の被記録材は、例えば光学機器により記録画像をス
クリーン等へ投影するOHP等に用いられ、透過光観察
用被記録材として有用である。
【0038】この様な透光性被記録材は、前記の様なP
VA単独またはPVAと無機粒子の混合物、あるいは他
の透光性ポリマーとの混合物から、透光性インクの受容
層を形成することにより調整することができる。ここで
透光性インクとは、被記録材の直線透光率が10%以上
であるインクをいう。直線透光率が10%以上であれ
ば、例えばOHPにより記録画像をスクリーンへ投影し
て、記録画像の細部を鮮明に観察できる。直線透光率
(%)とは、サンプルに垂直に入射し、サンプルを透過
し、サンプルから少なくとも8cm以上離れた入射光路
の延長線上にある受光側スリットを通過し、検出器に受
光される直線光の分光透過率を、例えば323型日立自
記分光光度計(日立製作所製)等を使用して測定し、更
に測定された分光透過率より色の三刺激値のY値を求
め、次式(I)より求めた値である。
【0039】T=Y/Y0 ×100 (I) (T:直線透光率、Y:サンプルのY値、Y0 :ブラン
クのY値) 即ち、本発明でいう直線透光率は、直線光に対するもの
であり、拡散透光率(サンプルの後方に積分球を設けて
拡散光をも含めて透光率を求める)や、不透明度(サン
プルの裏に、白および黒の裏当てを当ててそれらの比か
ら求める)等の拡散光により透光性を評価する方法とは
異なる。
【0040】光学技術を利用した機器などで問題となる
のは直線光の挙動であるから、それらの機器で使用しよ
うとする被記録材の透光性を評価する上で、被記録材の
直線透光率を求めることは特に重要である。例えばOH
Pで投影画像を観察する場合、記録部と非記録部とのコ
ントラストが高く、鮮明で見易い画像を得るには、投影
画像における非記録部が明るいこと、すなわち被記録材
の直線透光率がある一定以上の水準にあることが要求さ
れる。OHPでのテストチャートによる試験では、この
目的に適した画像を得るためには、被記録材の直線透過
率が2%以上、より鮮明な画像を得るには10%以上で
あることが必要とされる。したがって、この目的に適し
た被記録材は、その直線透過率が10%以上であること
が必要である。ただし、本発明の被記録材は必ずしも無
色である必要はなく、着色された被記録材であってもよ
い。
【0041】また、本発明でいう光沢のある表面とは、
JIS Z8741に基づく45°鏡面光沢が30%以
上であることをいう。このタイプの被記録材は、特に表
面光沢に優れ、フルカラーで鮮明性に優れた表面画像観
察用の被記録材として特に有用である。この態様におけ
る被記録材は透明性でも不透明性でもよく、前記の透明
性および不透明性のいずれの基材も使用することができ
る。また、これらの基材上に形成するインク受容層も透
明性でも不透明性でもよい。インク受容層の形成に使用
する材料および方法等は前述の方法と同様であるが、前
記の充填剤等をインク受容層の表面が平滑性を保持でき
る限り、インク受容層が不透明になる程度に使用しても
かまわない。
【0042】以上、本発明の被記録材の代表的な態様を
例示して本発明を説明したが、勿論本発明はこれらの態
様に限定されるものではない。
【0043】また、本発明の被記録材を用いれば、この
被記録材に対してインクの小滴を飛翔させて、インク受
容層にインクを付着させるインクジェット記録方法を良
好におこなうことができ、必要であればフルカラーの記
録も良好に行うこともでき、更には本発明の被記録材に
インクジェット記録方法を行うことによって良好な印字
物を製造することができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に詳細に説
明する。なお、文中、「部」とあるのは特に示さない限
り「重量部」を意味する。
【0045】<実施例1>透光性基材として厚さ100
μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式
会社製)を使用し、このフィルム上にロールコーティン
グ法によりポリウレタン樹脂を膜厚0.5μm程度に塗
工・乾燥し支持体を得た。この支持体上に下記の組成の
塗工液(1a)(1b)を混合した液を、乾燥後の膜厚
が25μmとなるようにアプリケーターにより塗工し、
110℃で10分間の条件で乾燥して基材上にインク受
容層を形成した。
【0046】塗工液(1a) ポリアクリル酸(20%水溶液) 100部 LiOH(10%水溶液) 20部 ベンジルアミン 18部 PVA(10%水溶液、ケン化度80%)40部 MeOH 30部 塗工液(1b) テトラエチルシリケート 4部 2N−塩酸 0.04部 MeOH 17部 この様にして得た被記録材は無色透明なものであった。
この被記録材に対し、インクジェットコピー機(キヤノ
ン製、商品名PIXELJET)に、同機用インクを用
いてインクジェット記録を行なったところ、画像の発色
性は良好で、印字直後の記録画像に接触しても表層の剥
がれは無く、印字後2分以内に記録画像表面のインクは
乾燥した。更にドットのにじみが無く、ベタ部の濃度も
十分であった。また、印字後乾燥してもカールの程度は
小さかった。これらの評価結果を表1に示す。なお、各
評価項目は、具体的には下記の測定方法に従った。
【0047】(1)インク定着時間 記録実施後、被記録材を室温下に放置し、記録画像に
0.5kg/cm2 の加圧で普通紙を押し当て、紙にイ
ンクおよび表層の剥離部が付着しなくなる時間を測定し
た。
【0048】(2)OHP適性 光学機器の代表例として測定したもので、記録画像をO
HPによりスクリーンに投影し、目視により観察して判
定したもので、非記録部が明るく、記録画像のOD(オ
プチカルデンシティ)が高く、コントラストの高い鮮明
で見易い投影画像の得られるものを(○)とし、非記録
部がやや暗く記録画像のODがやや低く、ピッチ巾0.
5mm、太さ0.25mmの線が明瞭に判別できないも
のを(△)とし、非記録部がかなり暗く、記録画像のO
Dがかなり低く、ピッチ巾1mm、太さ0.3mmの線
が明瞭に判別できないもの、または非記録部と記録画像
の見分けがつかないものを(×)とした。
【0049】(3)直線透光率 323型日立自記分光光度計(日立製作所株式会社製)
を使用し、サンプルから受光側のマドまでの距離を約9
cmに保ち、分光透過率を測定し、前記(I)式により
求めた。
【0050】(4)光沢 JIS Z8741に基づき被記録材表面の45°鏡面
光沢を測定した。
【0051】<実施例2>実施例1の塗工液の代わりに
下記の組成の塗工液(2a)(2b)を用いたほかは実
施例1と同様の方法で無色透明の透光性被記録材を得
た。
【0052】塗工液(2a) ポリアクリル酸(20%水溶液) 100部 LiOH(10%水溶液) 20部 ベンジルアミン 20部 PVA(10%水溶液、ケン化度80%)30部 MeOH 30部 塗工液(2b) テトラエチルシリケート 2部 テトラメチルシリケート 2部 2N−塩酸 0.04部 MeOH 17部 この被記録材に対して実施例1と同様の評価を行なった
ところ、同様に良好な結果を得た。その結果を表1に示
す。
【0053】<実施例3>実施例1の塗工液の代わりに
下記の組成の塗工液(3a)(3b)を用いたほかは実
施例1と同様の方法で無色透明の透光性被記録材を得
た。
【0054】塗工液(3a) ポリアクリル酸(20%水溶液) 100部 NaOH(10%水溶液) 20部 ベンジルアミン 18部 PVA(10%水溶液、ケン化度80%)20部 MeOH 30部 塗工液(3b) テトラエチルシリケート 2部 テトラメチルシリケート 2部 4N−酢酸 0.7部 MeOH 17部 この被記録材に対して実施例1と同様の評価を行なった
ところ、同様に良好な結果を得た。その結果を表1に示
す。
【0055】<実施例4>実施例1のポリエチレンテレ
フタレートフィルムの代わりに基材としてアート紙を使
用したほかは実施例1と同様の方法で被記録材を得た。
得られた被記録材は、白色で、光沢のあるものであっ
た。この被記録材に対して、実施例1と同様の評価を行
なったところ、同様に良好な結果を得た。その結果を表
1に示す。
【0056】<比較例1>実施例1で得られた支持体上
に、塗工液(C1)を実施例1と同様に塗工・乾燥し
た。
【0057】塗工液(C1) ポリアクリル酸(10%水溶液) 40部 Sn23 (5%水溶液) 8部 Al23 (5%水溶液) 10部 MeOH 42部 得られた被記録材は、無色透明なものであった。この被
記録材に対して、実施例1と同様の評価を行なったとこ
ろ、印字直後にはベタ部フィルムの付着が見られ、印字
後7分以上たっても、紙へのインク付着が見られた。ま
た、印字乾燥後のカールが大きかった。その結果を表1
に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】以上の様に本発明の被記録材は、表面光
沢が十分であり、更に印字画像の発色性、インク受容性
および印字後の表面の乾燥性に優れ、印字乾燥後の形状
変化(曲折)が生じ難く、更にインク受容層成膜後の白
化現象が生じ難い被記録材であり、更に必要であれば透
明性に優れた被記録材にすることもできる。
【0060】また、本発明の被記録材の製造方法は、上
記の様な優れた特性の被記録材を簡易かつ良好に製造で
きる方法である。
【0061】また、本発明のインクジェット記録方法お
よび印字物の製造方法は、上記の様な優れた特性の被記
録材を用いることによって、良好な記録画像が形成でき
る方法であり、必要であれば、良好なフルカラーの記録
も可能である。
フロントページの続き (72)発明者 川原 正隆 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、該基材上に設けられたインク受
    容層とを有する被記録材であって、該インク受容層が、
    吸水性ポリマーと、シリカ化合物と、ポリビニルアルコ
    ールとを含有することを特徴とする被記録材。
  2. 【請求項2】 シリカ化合物が、アルコキシシラン類の
    加水分解重縮合反応により生成するゲルからなる請求項
    1記載の被記録材。
  3. 【請求項3】 アルコキシシラン類が、Si−(OR)
    4 (但しRは置換基を有してもよいアルキル基、フェニ
    ル基、アルコキシ基を示す。)で表される化合物の少な
    くとも1種以上からなる請求項2記載の被記録材。
  4. 【請求項4】 吸水性ポリマーが、少なくともポリアク
    リル酸類とポリアクリル酸の中和塩とからなる請求項
    1、2または3記載の被記録材。
  5. 【請求項5】 ポリアクリル酸の中和塩が、少なくとも
    Li、Na、Kおよびアミン化合物の1種以上を含有す
    る請求項4記載の被記録材。
  6. 【請求項6】 基材と、該基材上に設けられたインク受
    容層とを有する被記録材の製造方法において、該インク
    受容層を、少なくとも吸水性ポリマーと、シリカ化合物
    と、ポリビニルアルコールにより形成することを特徴と
    する被記録材の製造方法。
  7. 【請求項7】 シリカ化合物が、アルコキシシラン類の
    加水分解・重縮合反応により生成するゲルからなる請求
    項6記載の被記録材の製造方法。
  8. 【請求項8】 アルコキシシラン類と、吸水性ポリマー
    と、ポリビニルアルコールとを含む混合溶液を基材上に
    供給した後、加水分解・重縮合反応により前記アルコキ
    シシラン類をゲル化してインク受容層を形成する請求項
    7記載の被記録材の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至5の何れかの項記載の被記
    録材に対してインクの小滴を飛翔させて、該インク受容
    層に該インクを付着させることを特徴とするインクジェ
    ット記録方法。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至5の何れかの項記載の被
    記録材にインクジェット記録方法により製造することを
    特徴とする印字物の製造方法。
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