JPH0873724A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH0873724A
JPH0873724A JP23447594A JP23447594A JPH0873724A JP H0873724 A JPH0873724 A JP H0873724A JP 23447594 A JP23447594 A JP 23447594A JP 23447594 A JP23447594 A JP 23447594A JP H0873724 A JPH0873724 A JP H0873724A
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健一 石和
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秀行 糸井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】離型性、耐熱性、転写性に優れた、光ディスク
等の光学用途に適したポリカ−ボネ−ト樹脂組成物を提
供する。 【構成】末端ヒドロキシル濃度が2〜40モル%であ
り、かつゲル浸透クロマトグラフィーで測定した分子量
分布(Mw/Mn)が2.0〜2.8である芳香族ポリ
カーボネート樹脂100重量部、及び脂肪族カルボン酸
と多価アルコールとの部分エステル0.01〜0.1重
量部を含む光学用ポリカーボネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスク、レンズ、
プリズム等の光学用成形品を製造するのに適した成形
性、耐熱性等に優れたポリカーボネート(以下、PCと
称する場合がある)樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりPC樹脂は、透明性、耐熱性、
機械強度に優れた材料として、光学用途、例えば光ディ
スク、情報ディスク、レンズ、プリズム等に広く用いら
れてきている。そしてそれに伴い、熱安定性や離型性の
改良が強く求められるようになってきた。
【0003】光ディスク、情報ディスク、レンズ等は、
主として射出成形によって製造されるため、金型から離
型する際に離型抵抗が大きいと、成形品のそりを生じ、
光学歪みの原因となる。それ故、成形の際に離型剤の使
用が必要である。特に光ディスクでは、成形時におい
て、スタンパーの1μm以下の凹凸を正確に転写するこ
とが要求される。この転写は、樹脂の流動性及び離型剤
の性能により大きく影響される。更に、光ディスクの射
出成形は、通常300〜400℃の高温で行われるた
め、樹脂の熱安定性も同様に要求される。
【0004】従来、PC樹脂の離型剤としては、パラフ
ィン、シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂
肪酸部分エステルなどが知られている。特に、光ディス
ク用PC樹脂の離型性を改良するために、脂肪酸部分エ
ステル、特に多価アルコールの部分エステルが用いられ
ている。多価アルコールの部分エステルとしては、脂肪
酸モノグリセリドが挙げられる。
【0005】例えば、特公平2−48081号公報に
は、光学用成形品の型転写の改良を目的として、PC樹
脂中に、C16〜C22の飽和脂肪酸モノグリセリドをPC
樹脂100重量部に対して0.01〜0.2重量部添加
する発明が開示されている。また、特公昭55−414
1号公報には、帯電防止を目的として、PC樹脂中に、
脂肪族モノグリセリドをPC樹脂100重量部に対して
0.1〜5重量部添加する発明が開示されている。更
に、特公昭47−41092号公報には、離型性の向上
を目的として、PC樹脂中に、飽和一価カルボン酸と多
価アルコールとの部分エステルをPC樹脂100重量部
に対して0.05〜5重量部添加する発明が開示されて
いる。
【0006】これらの発明では、十分な離型性を得るた
めには多量の飽和一価カルボン酸と多価アルコールの部
分エステルを添加する必要がある。しかしながら、脂肪
族部分エステルは、分子構造中にヒドロキシル基を含有
しており熱分解を起し易い。それ故、PC樹脂中に脂肪
族部分エステルを多量に添加すると、成形時に焼け、或
はシルバーストリークが起るなどの不具合が生じるとい
う問題を有する。また、脂肪族モノグリセリドを多量に
含有するPC樹脂は、上記の熱安定性に関する欠点の
他、光ディスクの製造の際に行われる連続成形におい
て、金型表面が汚染されるという問題を生じる。一方、
上記の熱安定性及び金型表面の汚染の問題は、PC樹脂
中の脂肪族モノグリセリド或いは多価アルコ−ルの部分
エステルの添加量を極端に少なくすることにより解消さ
れるが、かかる場合はPC樹脂の金型からの離型性が不
足し、特に光ディスク等の製造の場合は、スタンパーか
らのミクロンオーダーの高度な転写が得られないという
問題を有する。
【0007】また、他の離型剤、例えば、多価アルコー
ルのフルエステルを用いる場合は、脂肪族モノグリセリ
ド或いは多価アルコールの部分エステルと同程度の添加
量であれば、熱安定性に関する問題は生じない。しかし
ながら、ミクロンオーダーの高度な転写が十分でないと
いう問題を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、離型
性、耐熱性及び転写性に優れたPC樹脂組成物を提供す
ることであり、更に詳しくは、光ディスク等の光学用途
に適したPC樹脂組成物を提供することである。
【0009】
【発明を解決するための手段】本発明は、末端ヒドロキ
シル濃度が2〜40モル%であり、かつゲル浸透クロマ
トグラフィーで測定した分子量分布(Mw/Mn)が
2.0〜2.8である芳香族ポリカーボネート樹脂10
0重量部、及び脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの
部分エステル0.01〜0.1重量部を含むポリカーボ
ネート樹脂組成物である。本発明はまた、上記芳香族ポ
リカーボネート樹脂の粘度平均分子量が12,000〜
18,000である、上記ポリカーボネート樹脂組成物
である。本発明はまた、上記部分エステルが炭素数12
〜24の飽和一価脂肪酸酸のモノグリセリド及び/又は
ジグリセリドである上記ポリカーボネート樹脂組成物で
ある。
【0010】本発明に用いるPC樹脂は、ホスゲン法或
いは溶融重合法により得ることができるが、好ましく
は、例えば、特開平4−175368号公報に記載のご
とく、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを
溶融重合することにより得ることができる。上記芳香族
ジヒドロキシ化合物は特に限定されないが、下記式(化
1)
【0011】
【化1】 (式中、Xは、
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】 、−O−、−S−、−SO−又は−SO2 −であり、R
1 及びR2 は水素原子又は一価の炭化水素基であり、場
合により一緒になって環を形成しても良く、R3 は二価
の炭化水素基であり、またフェニレン基の水素原子は、
1以上の一価の炭化水素基又はハロゲン基で置換されて
も良い)で示される化合物が挙げられる。上記一価の炭
化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブ
チル、t−ブチル、ペンチル基等のアルキル基等を挙げ
ることができる。上記二価の炭化水素基としては、メチ
レン、エチリデン、プロピリデン基等を挙げることがで
きる。
【0014】上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、
具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパンなどのビス(ヒド
ロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒド
ロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキ
シアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−
ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジア
リールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−
ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジ
アリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−
ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリ
ールスルホン類などを挙げることができる。これらのう
ち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(以下、ビスフェノールAと称する場合有り)が特に好
ましい。
【0015】上記炭酸ジエステルとしては、具体的に
は、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、
ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシル
カーボネートなどが挙げられる。これらのうち、ジフェ
ニルカーボネートが特に好ましい。
【0016】上記炭酸ジエステルは、好ましくは50モ
ル%以下更に好ましくは30モル%以下の量のジカルボ
ン酸或はジカルボン酸エステルを含有してもよい。この
ようなジカルボン酸或はジカルボン酸エステルとして
は、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、デカン
二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフ
タル酸ジフェニル、セバシン酸ジフェニル、デカン二酸
ジフェニル、ドデカン二酸ジフェニルなどが挙げられ
る。このようなジカルボン酸或はジカルボン酸エステル
を炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリエステルポ
リカーボネートが得られる。
【0017】本発明で用いるポリカーボネートを製造す
るに際しては、上記炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロ
キシ化合物1モルに対して、1.01〜1.30モル、
好ましくは1.01〜1.20モル、もっと好ましくは
1.01〜1.10モルの量で用いられるのが望まし
い。大きな末端ヒドロキシル濃度を望む場合、該モル比
を小さくする。
【0018】ポリカーボネートを製造するに際して、芳
香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルと、1分子
中に3個以上の官能基を有する多官能化合物とを用いる
こともできる。上記多官能化合物としては、フェノール
性水酸基又はカルボキシル基を1分子中に3個以上有す
る化合物が好ましく、特にフェノール性水酸基を3個含
有する化合物が好ましい。具体的には、1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α−メチル−
α,α′,α′−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,4−ジエチルベンゼン、α,α′,α″−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプ
ロピルベンゼン、フロログリシン、4,6−ジメチル−
2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプ
タン−2、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゼン、2,2−ビス−4,4−(4,4′−ジ
ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルプロパン、トリメ
リット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ピロ
メリット酸などを挙げることができる。これらのうち、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンが好まし
い。上記多官能化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物1
モルに対して、通常0.03モル以下、好ましく0.0
01〜0.02モル、さらに好ましくは0.001〜
0.01モルの量で用いられるのが望ましい。
【0019】本発明に用いるポリカーボネートは、アル
カリ性化合物触媒を用いて、上記のような芳香族ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルと必要に応じて上記多官
能化合物を溶融重縮合して製造する。アルカリ性化合物
としては、特にアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ
土類金属化合物が挙げられる。
【0020】上記アルカリ性化合物としては、アルカリ
金属又はアルカリ土類金属などの金属の有機酸塩、無機
酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物或はアルコラートな
どが好ましく。これらの化合物は単独或は二種以上組合
わせて用いることができる。
【0021】上記アルカリ金属化合物としては、具体的
には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水
素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチ
ウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、
ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステ
アリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホ
ウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸
ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リ
ン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸
水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、
二カリウム塩、二リチウム塩、フェノールのナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0022】上記アルカリ土類金属化合物としては、具
体的には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化
マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシ
ウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸
水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、
炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどを挙げることができる。
【0023】上記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類
金属化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、10-4モル以下、好ましくは10-7〜10-5モル、
更に好ましくは10-7〜3×10-6モル、特に好ましく
は10-7〜2×10-6モルの量で用いられるのが望まし
い。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の
量が、上記範囲内であると、重合活性を維持できると共
に、ポリカーボネートの性質に悪影響を及さない量で後
述する酸性化合物を添加することにより、これらの化合
物が示す塩基性を十分に中和或は弱めることができ、色
相、耐熱性、耐水性及び耐候性に優れ、かつ長時間の溶
融安定性に優れたポリカーボネートが得られる。アルカ
リ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が上記上限を
超えると、後述する方法で前記アルカリを中和しても耐
熱性、耐水性、成形滞留安定性などを優れたレベルに維
持することは困難となる傾向が生じる。
【0024】本発明では、触媒として、上記アルカリ性
化合物とともに、他の塩基性化合物及びホウ酸化合物を
用いることができる。
【0025】上記塩基性化合物としては、例えば、高温
で易分解性或いは揮発性の含窒素化合物、具体的には、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4 NO
H)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4
NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(B
4 NOH)、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロ
キシド(Ph−CH2 (Me)3 NOH)などのアルキ
ル、アリール、アルアリール基などを有するアンモニウ
ムヒドロオキシド類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミンな
どの三級アミン類、R2 NH(式中、Rはメチル、エチ
ルなどのアルキル、フェニル、トルイルなどのアリール
基などである)で示される二級アミン類、RNH2 (式
中、Rは上記と同じである)で示される一級アミン類、
2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールな
どのイミダゾール類、或いはアンモニア、テトラメチル
アンモニウムボロハイドライド(Me4 NBH4 )、テ
トラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4 NB
4 )、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレ
ート(Bu4 NBPh4 )、テトラメチルアンモニウム
テトラフェニルボレート(Me4 NBPh4 )などの塩
基性塩などを挙げることができる。これらのうち、テト
ラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、特に金属不純
物の少ない電子用テトラアルキルアンモニウムヒドロキ
シド類が好ましい。
【0026】上記ホウ酸化合物としては、ホウ酸及びホ
ウ酸エステルなどを挙げることができる。ホウ酸エステ
ルとしては、一般式、 B(OR)n (OH)3-n (式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基、フェニ
ルなどのアリール基などであり、nは1、2又は3であ
る)で示されるホウ酸エステルが挙げられる。上記ホウ
酸エステルとしては、具体的には、ホウ酸トリメチル、
ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリヘキ
シル、ホウ酸トリヘプチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ
酸トリトリル、ホウ酸トリナフチルなどが挙げられる。
【0027】本発明では、具体的には、(a)アルカリ
金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と、
(b)含窒素塩基性化合物と、からなる触媒が好ましく
用いられる。
【0028】この際、(a)アルカリ金属化合物及び/
アルカリ土類金属化合物は上記の量で用いられ、(b)
含窒素塩基性化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モ
ルに対して、10-6〜10-1モル、好ましくは10-5
10-2モルの量で用いられる。上記(b)含窒素塩基性
化合物の量が上記範囲であると、エステル交換反応、重
合反応が十分な速度で進行し、更に色相、耐熱性及び耐
水性などに優れたポリカーボネートが得られる点で好ま
しい。
【0029】このように、(a)アルカリ金属化合物又
はアルカリ土類金属化合物と、(b)含窒素塩基性化合
物を組合わせた触媒は、高い重合活性を有して高分子量
のポリカーボネートを生成させることができ、しかも得
られるポリカーボネートは、更に耐熱性及び耐水性に優
れ、その上色調が改良され、透明性に優れている。
【0030】また、本発明では、(a)アルカリ金属化
合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と、(c)ホウ
酸又はホウ酸エステルと、からなる触媒が好ましく用い
られ、さらに(a)アルカリ金属化合物及び/又はアル
カリ土類金属化合物と、(b)含窒素塩基性化合物と、
(c)ホウ酸又はホウ酸エステルとからなる触媒が好ま
しく用いられる。
【0031】このような(a)アルカリ金属化合物又は
アルカリ土類金属化合物及び(b)含窒素塩基性化合物
は、上記したような量で用いられることが好ましい。
【0032】また(c)ホウ酸又はホウ酸エステルは、
芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、10-8〜1
-1モル好ましくは10-7〜10-2モル更に好ましくは
10-6〜10-4モルの量で用いられる。(c)ホウ酸又
はホウ酸エステルの量が芳香族ジヒドロキシ化合物1モ
ルに対して10-8〜10-1モルであると、熱老化後の分
子量の低下が起こりにくい、更に色相、耐熱性及び耐水
性に優れたポリカーボネートが得られる点で好ましい。
【0033】特に(a)アルカリ金属化合物又はアルカ
リ土類金属化合物と、(b)含窒素塩基性化合物と、
(c)ホウ酸又はホウ酸エステルとからなる三者を組合
せた触媒は、高い重合活性を有して高分子量のポリカー
ボネートを生成させることができ、しかも得られるポリ
カーボネートは、更に耐熱性及び耐水性に優れ、その上
色調が更に改良され、透明性に優れている。
【0034】このような触媒を用いた芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルと必要に応じて多官能化合物
との重縮合反応は、従来知られている芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応条件と同様な
条件下で行うことができるが、具体的には、第一段目の
反応を80〜250℃好ましくは100〜230℃更に
好ましくは120〜190℃の温度で0〜5時間好まし
くは0〜4時間更に好ましくは0〜3時間常圧で、両者
を反応させる。次いで反応系を減圧にしながら反応温度
を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと
の反応を行い、最終的には5mmHg以下好ましくは1
mmHg以下の減圧下で240〜320℃の温度で芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応
を行う。上記のような重縮合反応は、連続式で行っても
よく又バッチ式で行ってもよい。又上記の反応を行うに
際して用いられる反応装置は、槽型であっても管型であ
っても塔型であってもよい。
【0035】本発明に用いる芳香族ポリカーボネート
は、このようにして得られた反応生成物、即ちポリカー
ボネートに、酸性化合物を添加することができる。上記
酸性化合物は、触媒として用いられたアルカリ金属化合
物、アルカリ土類金属化合物などのアルカリ性化合物を
中和することができれば、ルイス酸化合物であってもブ
レンステッド酸化合物或いはイオウ原子を含む強酸のエ
ステルであってもよい。また、特にブレンステッド酸化
合物は、25℃の水溶液中でのpKaが5以下、好まし
くは3以下である。pKaがこのような値を示す酸性化
合物を用いることにより、触媒として用いられたアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属を中和でき、得られるポリ
カーボネートを安定化させることができるという利点が
ある。
【0036】ルイス酸化合物としては、具体的には、
(CH3 COO)2 Za、Sb2 3 、B(OP
h)3 、ホウ酸亜鉛、リン酸ホウ素などホウ素化合物、
B(OCH3 )3 、B(OEt)3 、B(OPh)3
どのホウ酸エステル、ステアリン酸アルミニウム、ケイ
酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物、炭酸ジルコ
ニウム、アルコキシドジルコニウム、ヒドロキシカルボ
ン酸ジルコニウムなどのジルコニウム化合物、リン化ガ
リウム、アンチモン化ガリウムなどのガリウム化合物、
酸化ゲルマニウム、有機ゲルマニウムなどのゲルマニウ
ム化合物、テトラ及びヘキサオルガノスズ、
【0037】
【化4】 などのスズ化合物、酸化アンチモン、アルキルアンチモ
ンなどのアンチモン化合物、酸化ビスマス、アルキルビ
スマスなどのビスマス化合物、ステアリン酸亜鉛などの
亜鉛化合物、アルコキシチタン、酸化チタンなどのチタ
ン化合物などを挙げることができる。なお、上記式中、
Phはフェニル基、Etはエチル基、Buはブチル基を
表す。また、ブレンステッド酸化合物としては、具体的
には、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポ
リリン酸、ホウ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、
アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン12酸、L−アス
コルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ギ酸、酢酸、
クエン酸、グルタミン酸、サリチル酸、ニコチン酸、フ
マル酸、マレイン酸、シュウ酸、ベンゼンスルフィン
酸、トルエンスルフィン酸及びベンゼンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、
アクリル酸メチル−スルホン化スチレン共重合体などの
スルホン酸類の化合物等を挙げることができる。
【0038】イオウ原子を含む酸のエステルとしては、
ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸
のメチル、エチル、ブチル、オクチル或いはフェニルエ
ステル、ベンゼンスルホン酸のメチル、エチル、ブチ
ル、オクチル或いはフェニルエステルなどの酸残基部分
のpKaが3以下の化合物が用いられる。
【0039】このような酸性化合物のうち、イオウ原
子、リン原子などを含有する酸性化合物が好ましく、特
にイオウ原子を含有する酸性化合物が好ましい。反応生
成物に加えられる酸性化合物は、反応生成物として得ら
れたポリカーボネートに加えることにより、残存するア
ルカリ性化合物による影響を中和或いは弱めることがで
きる量で用いられる。例えばポリカーボネート中に残存
するアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化
合物1モルに対して、0.01〜500モル、好ましく
は0.1〜100モル、更に好ましくは0.1〜50モ
ル、特に好ましくは0.5〜30モルの量で用いられ
る。
【0040】特に酸性化合物がルイス酸又は3より大き
いpKaを有するブレンステッド酸である場合には0.
01〜500モル好ましくは0.1〜50モル更に好ま
しくは0.1〜30モルの量で用いられ、また酸性化合
物が3以下のpKaを有するブレンステッド酸或いはイ
オウ原子を含む酸のエステルである場合には、0.01
〜500モル好ましくは0.1〜15モル更に好ましく
は0.1〜7モルの量で用いられる。
【0041】本発明のPC樹脂の末端ヒドロキシ濃度
は、FTIRの3600cm-1での吸収強度を測定する
ことにより決定される。全末端基濃度は、塩化メチレン
溶液(20℃)で測定した[η](極限粘度)値をもと
に、以下の式より、粘度平均分子量(M)を求めること
により、計算される。
【0042】
【数1】[η]=1.23×10-4×M0.83 本発明のPC樹脂組成物の製造に用いるPC樹脂の末端
ヒドロキシル濃度の上限は40モル%、好ましくは30
モル%、更に好ましくは20モル%であり、下限は2モ
ル%、好ましくは5モル%である。末端ヒドロキシル濃
度が上記上限を越えると、製造されるPC樹脂自体の熱
安定性が悪化するので好ましくなく、一方上記下限未満
だと十分な離型性が得られず、また金型汚れを生じるの
で好ましくない。
【0043】本発明で用いるPC樹脂のゲル浸透クロマ
トグラフィーによって測定された分子量分布(Mw/M
n)は、上限は2.8、好ましくは2.5であり、下限
は2.0である。分子量分布の調整は、例えば、分子量
分布を広くする場合は末端封止剤(単官能モノマー)を
入れることにより、一方、分子量分布を狭くする場合は
高温で溶融する際滞留時間を長くすることにより行うこ
とができる。更に、溶融重合法の場合は、芳香族ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を調整すること
により分子量分布を調整することができ、又高温・高真
空での重合ゆえ、分子量分布は狭くなる傾向を示す。
【0044】従来、上記部分エステルを離型性のために
十分な量でPC樹脂に加えると、樹脂組成物の熱安定性
が低下し、また金型汚れが発生しやすかった。本発明に
従う分子量分布を持つPC樹脂に部分エステルを加える
と、このような問題が解消され、良好な離型性及び転写
性が達成される。
【0045】本発明で用いるPC樹脂の粘度平均分子量
は、好ましくは12,000〜18,000である。粘
度平均分子量が上記下限未満だと機械強度が不十分であ
り、また上記上限を超えると流動性が不十分で光学歪み
を生じやすくなるので好ましくない。
【0046】本発明のPC樹脂組成物は、上記PC樹脂
100重量部に、脂肪族カルボン酸と多価アルコールの
部分エステルを、上限は0.1重量、好ましくは0.0
8重量部、下限は0.01重量部、好ましくは0.03
重量部の量で添加することにより得ることができる。上
記上限より多いと熱安定性が悪いという欠点を有し、上
記下限より少ないと十分な離型性及びミクロンオ−ダ−
の高度な転写を得ることが出来ないという欠点を有す
る。
【0047】上記脂肪族カルボン酸としては、特に限定
されず、また、飽和及び不飽和脂肪族カルボン酸を共に
用いることができる。例えば、水素添加された動物油を
用いることができる。上記脂肪族カルボン酸としては、
飽和一価脂肪酸が好ましく、炭素数12〜24のものが
特に好ましい。炭素数が上記範囲より少ないと、製造さ
れたPC樹脂組成物の熱安定性が上記範囲のものに比べ
劣り、またガスの発生が起るので好ましくない。一方炭
素数が上記範囲より大きいと、PC樹脂組成物の離型性
が上記範囲内のものに比べ劣るので好ましくない。上記
脂肪族カルボン酸としては、具体的には、ドデシル酸、
ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタ
デシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、
ベヘン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。
【0048】上記多価アルコールとしては、特に限定さ
れず、2価、3価、4価、5価、6価等いずれも用いる
ことができるが、エチレングリコール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが好
ましく、グリセリンがとくに好ましい。
【0049】本発明で用いる脂肪族カルボン酸と多価ア
ルコールとの部分エステルは、慣用のエステル化反応に
より得ることができる。
【0050】本発明のPC樹脂組成物は、上記成分の他
に、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応
じて樹脂の混練時、成形時に、慣用の添加剤、例えば顔
料、染料、補強材、充填剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、
耐候剤、紫外線吸収剤、滑剤、その他の離型剤、結晶化
剤、可塑剤、流動性改善剤、帯電防止剤、エラストマ
ー、安定化剤等を添加することができる。
【0051】耐熱安定剤としては、フェノール系化合
物、リン系化合物又はカルボン酸エステル等を挙げるこ
とができる。
【0052】フェノ−ル系化合物としては、例えば、n
−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3′,5′−
ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネ−ト、テトラキス
[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t
−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリル(4−ヒドロ
キシ−3−メチル−5−t−ブチル)ベンジルマロネ−
ト、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフ
ェノール等が挙げられる。
【0053】リン系化合物としては、リン酸エステル及
び亜リン酸エステルなどが挙げられる。リン酸エステル
の例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホ
スフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホ
スフェート、トリデシルホスフェート、トリオクタデシ
ルホスフェート、ジステアリルペンタエリスリチルジホ
スフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェー
ト、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート
等のトリアルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホ
スフェート等のトリシクロアルキルホスフェート;トリ
フェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ト
リス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェ
ニルジフェニルホスフェート等のトリアリールホスフェ
ートなどが挙げられる。亜リン酸エステルの例として
は、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイ
ト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイ
ト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリ
ノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオ
クタデシルホスファイト、トリステアリルホスファイ
ト、トリス(2−クロロエチル)ホスファイト、トリス
(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイト等のトリア
ルキルホスファイト;トリシクロヘキシルホスファイト
等のトリシクロアルキルホスファイト;トリフェニルホ
スファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホス
ファイト等のトリアリールホスファイト;フェニルジデ
シルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジ
フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソオク
チルホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホス
ファイト等のアリールアルキルホスファイト;更にはジ
ステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエチスリチ
ルジホスファイトなどの、一般式P(OR)3 (ここ
で、Rは夫々独立して、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化
水素基又は芳香族炭化水素基である。)で表せる亜リン
酸エステルが挙げられる。或いは、次亜リン酸、ピロリ
ン酸、ポリリン酸などを用いてもよい。これらも中で
も、より好ましくは亜リン酸エステル、特に、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを使
用する。カルボン酸エステルの例としては、n−オクタ
デシル−3(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−
ブチルフェニル)プロピオネ−トや種々のアリサイクリ
ックジエポキシカルボキシレ−トなどを挙げることがで
きるが、これらに限定されない。
【0054】上記耐熱安定剤は、単独で用いても二種以
上を混合して用いてもよい。これらの化合物は、ポリカ
ーボネート100重量部に対して、0.1重量部以下の
量にて用いられるのが好ましい。
【0055】その他の添加剤については、より具体的に
は特開平4−175368号公報に記載されている。
【0056】本発明の樹脂組成物を製造するための方法
は、溶融混練法であれば良い。少量の溶剤の使用も可能
であるが、一般に必要ない。装置としては特に押出機、
バッッバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げる
ことができ、これらを回分的又は連続的に運転する。成
分の混合順は特に制限されない。
【0057】本発明のPC樹脂組成物は、熱安定性、離
型性及びミクロンオーダーの高度な転写性に優れてお
り、また連続成形時においては金型の汚れが生じにくい
という効果を有する。これは、(1)用いたPC樹脂の
分子量分布が狭くかつ低分子量物が少ないので、部分エ
ステルのような低分子量物を比較的多量に添加しても熱
安定性の悪化を引き起さず、また連続成形時においても
金型の汚れを引き起こさない、そして(2)用いたPC
樹脂の末端ヒドロキシル基と部分エステルの相乗効果に
より、少量の部分エステルの添加でも優れた離型性及び
ミクロンオーダーの高度な転写性を示す、ためと考えら
れる。
【0058】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に詳細に説明
する。「部」は重量部である。なお、以下の実施例及び
比較例では、次のPC樹脂、及び脂肪族カルボン酸と多
価アルコールとのエステルを用いた。 (A)PC樹脂 PC(1):実施例用 ビスフェノールA(日本GEプラスチック社製)0.4
4キロモルとジフェニルカ−ボネート(エニイ社製)
0.46キロモルとを250リットル槽型撹拌槽に仕込
み、窒素置換をした後に140℃で溶解した。次にこれ
を180℃まで昇温し、更に30分間撹拌した。次に触
媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを0.
11モル及び水酸化ナトリウムを0.00044モル添
加し、温度を240℃まで上昇させると同時に圧力を徐
々に30mmHgまで下げた。温度圧力を一定に保ち留
出するフェノールの量を測定し、留出するフェノールが
なくなった時点で窒素にて大気圧に戻した。反応に要し
た時間は2時間であった。得られた反応物の極限粘土
[η]は、0.12dl/gであった。
【0059】次にこの反応物をギヤポンプで昇圧し、遠
心式薄膜蒸発機に送入し、反応を進めた。薄膜蒸発機の
温度、圧力はそれぞれ270℃、2mmHgにコントロ
ールした。蒸発機下部よりギヤポンプにて270℃、
0.2mmHgにコントロールされた2軸横型撹拌重合
槽に40kg/時間で送り込み、滞留時間30分間にて
重合させた。得られたポリマーの粘度平均分子量は、1
5500であり、末端ヒドロキシル濃度は15モル%。
GPC測定による分子量分布は2.2であった。 PC(2):比較例用 ビスフェノールA0.44キロモルとジフェニルカ−ボ
ネ−ト0.48キロモルとを用いて、水酸化ナトリウム
を0.00011モル添加した以外は、PC(1)の製
造と同様にして行った。反応に要した時間は4時間であ
った。次にこの反応物にPC(1)と同様の処理を行っ
た。得られたポリマーの粘度平均分子量は15500、
末端ヒドロキシル濃度は3モル%であった。GPC測定
による分子量分布は3.0であった。
【0060】PC(3):比較例用 ビスフェノールA0.44キロモルとジフェニルカ−ボ
ネ−ト0.443キロモルとを用いて、PC(1)の製
造と同様にして行った。得られたポリマーの粘度平均分
子量は15500、末端ヒドロキシル濃度は50モル%
であった。GPC測定による分子量分布は2.2であっ
た。
【0061】PC(4):比較例用 ビスフェノールAとホスゲンを用いて慣用の方法で重合
し、慣用の如くパラクミルフェノールを用いて末端封止
した。得られたポリマーの粘度平均分子量は1550
0、末端ヒドロキシル濃度は0モル%、GPC測定によ
る分子量分布は3.0であった。
【0062】得られたPC樹脂の末端ヒドロキシル濃
度、分子量分布(Mw/Mn)及び粘度平均分子量を表
1にまとめて示す。
【0063】
【表1】 (B)脂肪族カルボン酸と多価アルコールとのエステル SMG:ステアリン酸モノグリセリド(実施例用) STG:ステアリン酸トリグリセリド(比較例用) PETS:ペンタエリスリトールテトラステアレート
(比較例用)。
【0064】実施例1〜3及び比較例1〜7 下記表2に示す割合(重量比)の成分を、一軸押出機
(L/D=17.5)を用いて設定温度260℃で溶融
混練し、ペレットを作成した。得られたペレットについ
て以下の評価を行った。 (1)離型性 ニッケル製のスタンパーを用い、シリンダー温度350
℃、金型温度80℃、1サイクル7秒の条件で、CD成
形機にて、φ120のコンパクトディスク基板を連続1
0,000ショット成形し、ディスク又はスプルーの金
型への残りを不良率(%)として評価した。 (2)転写性 (1)の方法にて得たディスク基板に転写されたピット
を光学顕微鏡(800倍)で観察し、評価した。実施例
及び比較例のそれぞれについて、ディスク基板10枚を
評価した。 (3)スタンパーの汚れ (1)の方法にて、10,000ショット成形後の金型
及びスタンパーの状態を目で観察し、評価した。 (4)熱安定性 (1)の成形条件で、15分間成形を止め樹脂を滞留さ
せた後、再び成形を開始し、得られたディスク基板の色
相と表面状態を評価した。表面状態は、目視にて観察し
た。色相(YI)は、X,Y,Z値を日本電色工業
(株)製のColor andColor Defference Meter ND-1001
DP を用いて透過法で測定し、黄色度(YI)を、
【0065】
【数2】 YI=(1.277X−1.060Z)×100/Y にて算出した。結果を表3に示す。表において、「シル
バ−」とはシルバ−ストリ−クの略である。
【0066】
【表3】 本発明のPC樹脂組成物は、全ての評価項目において優
れた性質を示した。比較例2〜4から明らかなごとく、
従来のPC樹脂及び離型性のために十分量の脂肪族モノ
グリセリドから成るPC樹脂組成物は、熱安定性が悪
く、金型汚れが生じた。フルエステルを用いた比較例6
及び7においては、離型性及び転写性が劣る。
【0067】
【発明の効果】本発明のPC樹脂組成物は、熱安定性に
優れ、連続成形時においては金型の汚れが生じにくく、
更には離型性に優れ、光ディスクの製造において要求さ
れるミクロンオーダーの高度な転写にも適している。そ
れ故、光学用樹脂組成物として、非常に有用なものであ
る。
【表2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端ヒドロキシル濃度が2〜40モル%
    であり、かつゲル浸透クロマトグラフィーで測定した分
    子量分布(Mw/Mn)が2.0〜2.8である芳香族
    ポリカーボネート樹脂100重量部、及び脂肪族カルボ
    ン酸と多価アルコールとの部分エステル0.01〜0.
    1重量部を含むポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 該芳香族ポリカーボネートの粘度平均分
    子量が12,000〜18,000である、請求項1記
    載の組成物。
  3. 【請求項3】 該部分エステルが炭素数12〜24の飽
    和一価脂肪酸のモノグリセリド及び/又はジグリセリド
    である請求項1又は2記載の組成物。
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