JPH0873519A - ペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法 - Google Patents

ペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法

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JPH0873519A
JPH0873519A JP23223594A JP23223594A JPH0873519A JP H0873519 A JPH0873519 A JP H0873519A JP 23223594 A JP23223594 A JP 23223594A JP 23223594 A JP23223594 A JP 23223594A JP H0873519 A JPH0873519 A JP H0873519A
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JP
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vinyl chloride
chloride resin
organic liquid
resin
dispersion
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JP23223594A
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Toshihiko Hori
登志彦 堀
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液
に、水に難溶であってかつ塩化ビニル樹脂を溶解又は膨
潤させない有機液体を添加することにより塩化ビニル樹
脂を集合体として水相より分離して回収する方法におい
て、30℃において100センチポアズ以上1000セ
ンチポアズ以下の粘度を有する塩化ビニル樹脂有機液体
分散液を添加することを特徴とするペースト加工用塩化
ビニル樹脂の製造方法。 【効果】 本発明方法により、プラスチゾル中で容易に
単一粒子にほぐれ、低温においても良好な分散状態を与
えるペースト加工用塩化ビニル樹脂粒子集合体を高収率
で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペースト加工用塩化ビ
ニル樹脂の製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、本発明は、塩化ビニル樹脂の水性分散液から、粉末
粒子にほぐれやすく、分散性の良好なペースト加工用塩
化ビニル樹脂粉体を、微分散されている特定粘度の塩化
ビニル樹脂分散有機液体を用いて製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂の重要な加工法の一つに
ペースト加工がある。塩化ビニル樹脂のペースト加工
は、ペースト加工用に製造された塩化ビニル樹脂を、可
塑剤、安定剤のほか、必要に応じて顔料、充填剤などの
配合剤とともに混合して液状のプラスチゾルとし、この
液状のプラスチゾルを注型、コーティング、浸漬などの
手段で賦型し、加熱溶融固化させることによって成形品
を得るものである。したがって、ペースト加工用塩化ビ
ニル樹脂には、粒径が非常に微細で可塑剤中に分散して
自由にブラウン運動を行い沈降しないこと、適切な粒度
分布を有すること、表面が平滑で内部が緻密な球形粒子
であること、可塑剤と混合するとき凝集することなく容
易に分散して安定なゾルを形成すること、常温では可塑
剤に膨潤されがたく熟成粘度変化が小さく、高温で溶融
する際には容易に迅速に均一にゲル化することなど、さ
まざまな性能が要求される。これらの要求性能の中でも
ゾル分散特性は特に重要である。ペースト加工用塩化ビ
ニル樹脂は、通常単一粒子が多数凝集して樹脂粒子粉体
を形成しているが、プラスチゾル中において、この集合
体が単一粒子にほぐれる必要があり、もしそのまま粗大
粒子として残存していると、プラスチゾルの流動性に影
響を与えるばかりでなく、プラスチゾルの輸送時の目づ
まり、コーティング加工時の筋引きなどのトラブルや、
成形品にした場合に、成形品表面の肌の荒れ及び光沢低
下、さらには成形品の強度低下などの不都合を引き起こ
す。このようなペースト加工上の問題点を改善するため
に、これに用いる樹脂粉体を、通常Tylerふるい3
25メッシュ全通のような微細な粉体として供給する方
法が提案されている。このための樹脂の製造方法として
は、塩化ビニル又は塩化ビニルを主体とする単量体混合
物をラジカル発生型重合開始剤とし乳化剤の存在下に、
乳化重合あるいは微細懸濁重合することによって粒径
0.05〜5μmの球形樹脂の水性分散液を得、この水
性分散液をスプレー乾燥する方法が採られているが、水
分を蒸発乾燥するには多量のエネルギーを必要とする欠
点がある。また、こうした方法で得られた従来の樹脂は
微細な粉体であるため、製品の袋詰め時、並びにプラス
チゾル製造に際しての開袋投入及び混合時の粉体飛散な
ど、作業環境の悪化を引き起こすばかりでなく、粉体流
動性が悪いため、自動計量、自動輸送が困難となってい
る。かかるペースト加工用樹脂の現状の問題点を解決す
るために、ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液
から塩化ビニル樹脂を、水に難溶であって、かつ塩化ビ
ニル樹脂を溶解又は膨潤させない有機液体を、水性分散
液に添加することにより、塩化ビニル樹脂を集合体とし
て水相より分離せしめ、これをそのままあるいは造粒さ
せたのち乾燥することによって塩化ビニル樹脂を回収す
る方法が特公平1−42282号公報に提案されてい
る。しかしながら、この方法によって種々の問題点は一
応改善されているが、脱水後の湿潤樹脂集合体のまとま
りが強く、乾燥工程でのブロッキングの発生、乾燥の不
均一、分散性の不良や粗大粒子の存在による成形品の表
面の粒状突起の発生などの欠点が依然として存在する。
また、有機液体の使用量を低減すると樹脂集合体の収率
が低下するという欠点があり、少ない量の有機液体でペ
ースト加工用塩化ビニル樹脂集合体を形成しうる方法の
開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、塩化ビニル樹脂の水性分散液から、粉末
粒子にほぐれやすく、分散性の良好なペースト加工用塩
化ビニル樹脂を、少量の有機液体を用いて製造する方法
を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニル樹
脂の水性分散液に特定の粘度を有し、水に微分散された
塩化ビニル樹脂分散有機液体を添加することにより、良
好な性能を有する塩化ビニル樹脂集合体が得られること
を見いだし、その知見に基づいて本発明を完成した。す
なわち、本発明は、ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水
性分散液に、水に難溶であってかつ塩化ビニル樹脂を溶
解又は膨潤させない有機液体を添加することにより塩化
ビニル樹脂を集合体として水相より分離して回収する方
法において、該有機液体の用法が、30℃において10
0センチポアズ未満の粘度を有する有機液体に塩化ビニ
ル樹脂粒子を分散させて100センチポアズ以上100
0センチポアズ以下の粘度を有する分散液として用いる
ものであることを特徴とするペースト加工用塩化ビニル
樹脂の製造方法を提供するものである。
【0005】本発明方法は、基本的には塩化ビニル樹脂
の水性分散液を調整する第1工程、第1工程で得られた
水性分散液を回分式槽型混合機に導き、30℃において
100センチポアズ以上1000センチポアズ以下の粘
度を有する有機液体を添加する第2工程、塩化ビニル樹
脂集合体の水性分散液から、塩化ビニル樹脂集合体を分
離回収する第3工程、及び回収した塩化ビニル樹脂集合
体を乾燥する第4工程から構成される。本発明において
用いられるペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液
は、通常の乳化重合又は微細懸濁重合により製造された
塩化ビニルの単独重合体、又は塩化ビニルを主体とした
(通常は70重量%以上)共重合体、例えば、塩化ビニ
ルと酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレ
ン、ブテン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル又はマレイン酸などの単量体との
共重合体の水性分散液のことであって、通常のペースト
加工に供しうるものであれば特に制限なく使用すること
ができる。本発明において用いられる塩化ビニル樹脂の
水性分散液は、通常塩化ビニル樹脂を10〜70重量%
程度含有するものである。このような水性分散液として
は、重合終了後の塩化ビニル樹脂の水性分散液をそのま
ま使用してもよいし、必要ならば一部脱水し、あるいは
水を添加して用いてもよい。塩化ビニル樹脂の含有量が
10重量%未満では廃水量が製品量に比べて多くなりす
ぎ不経済であるし、塩化ビニル樹脂の含有量が70重量
%を超えると、水性分散液と有機液体との混合液の粘度
が著しく上昇し操業が困難となる。
【0006】本発明方法においては、水に難溶であっ
て、塩化ビニル樹脂の分離回収時において塩化ビニル樹
脂を溶解又は膨潤させない有機液体であり、かつ30℃
において100センチポアズ未満、好ましくは10セン
チポアズ以上70センチポアズ以下の粘度を有するもの
が用いられる。30℃における粘度が100センチポア
ズ以上の有機液体を使用すると、プラスチゾル調製時の
分散が粒子によりまちまちなものになる。本発明方法に
おいて用いられる有機液体は、30℃における粘度が1
00センチポアズ未満、好ましくは10センチポアズ以
上70センチポアズ以下であり、かつ水に難溶であっ
て、塩化ビニル樹脂を水性分散液から分離処理する温度
において塩化ビニル樹脂を溶解又は膨潤させないもので
あれば特に制限なく使用することができ、例えば、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−
オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸
ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシ
ル、フタル酸ウンデシル、テトラヒドロフタル酸ジ−2
−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジ−2−エ
チルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、エ
ポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、
リン酸トリクレジルなどを挙げることができる。
【0007】本発明方法において、上記有機液体には塩
化ビニル樹脂粒子を分散させる必要がある。塩化ビニル
樹脂粒子を分散させることにより、有機液体は見掛け上
粘度の高い分散液になる。ペースト加工用塩化ビニル樹
脂の水性分散液に粘度の高い上記分散液を添加混合する
ことにより、これをバインダーとしてペースト加工用塩
化ビニル樹脂の、可塑剤に分散し易い集合体を形成する
ことができる。バインダーの粘度が高いと、それがペー
スト加工用塩化ビニル樹脂粒子間に介在することにより
集合体がタイトに密着しないで済むものと考えられる。
このような集合体を乾燥して得られる顆粒状の樹脂粒子
集合体は、プラスチゾル調製に際して可塑剤中に単一粒
子にほぐれやすく、分散性の良いものとなる。この目的
に必要な上記塩化ビニル樹脂有機液体分散液の粘度は3
0℃において100センチポアズ以上1000センチポ
アズ以下で、好ましくは150センチポアズ以上500
センチポアズ以下である。この粘度が100センチポア
ズ未満の塩化ビニル樹脂有機液体分散液を用いて得られ
る塩化ビニル樹脂集合体はプラスチゾルにする時ほぐれ
かたが十分でない。一方1000センチポアズを越える
塩化ビニル樹脂有機液体分散液を使用すると、塩化ビニ
ル樹脂集合体の粘度が不揃いでプラスチゾル調製時の分
散が不均一なものになる。上記有機液体に分散させるた
めの塩化ビニル樹脂は塩化ビニルを主体とした(通常は
70重量%以上)樹脂粒子であれば特に限定されない。
該塩化ビニル樹脂は乳化重合又は微細懸濁重合によるペ
ースト加工用塩化ビニル樹脂であれば好ましいが、懸濁
重合による粒子であってもよい。有機液体に分散する該
塩化ビニル樹脂の濃度は特に限定されないが、通常は約
10〜50重量%である。この濃度は樹脂粒子の粒径、
形状、有機液体への濡れの良否等を勘案し、前記の分散
液粘度の範囲で調整することができる。本発明で用いら
れる塩化ビニル樹脂粒子有機液体分散液は塩化ビニル樹
脂の水性分散液の粘度に比較すると高粘度であるので、
あらかじめ微分散された状態にしておくことにより、塩
化ビニル樹脂の水性分散液の中での偏在を防ぎ、均一に
分散して塩化ビニル樹脂の集合体の形成に効果を発揮す
ることもできる。有機液体の水中への微分散を助けるた
めには、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性
剤を添加することができる。これらの界面活性剤の添加
量は有機液体に対して0.5〜10重量%程度が適当で
ある。また、塩化ビニル樹脂有機液体分散液の水中への
微分散のために、高速攪拌機、振動攪拌機、超音波攪拌
などの手段を用いることができる。本発明方法において
は、塩化ビニル樹脂有機液体分散液は平均液滴径10〜
100μmの微分散状態で使用する。平均液滴径が10
0μmを超えると有機液体が偏在し、本発明の目的は達
せられない。また、平均液滴径を10μmより小さくし
ても、そのために投入するエネルギーに見合う利点は見
られない。上記有機液体は、一般には融点が20℃以下
であり、常圧における沸点が塩化ビニル樹脂の分離回収
時の温度以上、好ましくは200℃以上のものが望まし
いが、本発明方法に用いる粘度を有する有機液体は、ほ
ぼこれらの条件を充足している。
【0008】本発明に用いる有機液体が水に難溶である
ことが要求される理由は以下の2点にある。第1には、
水性分散液との混合のあと、分離すべき水相への同伴量
を減少させて、有機液体の損失を防ぎ、廃水処理費用を
軽減させるためであり、第2には、水に分散した塩化ビ
ニル樹脂粒子を有機液体を介して集合せしめるには、樹
脂粒子と水との間に有機液体が粒子表面に存在すること
が必要であるためである。また、本発明に用いる有機液
体が、本発明における分離回収時の温度において樹脂を
溶解又は膨潤させるものである場合には、樹脂粒子が変
形、変質を起こすため不都合である。なお、本発明で使
用する有機液体は、大部分が製品樹脂に残留するため、
ペースト加工時の操作性、加工性及び成形品の品質に対
して悪影響を与えるものは避けなければならない。以上
の点からすれば、有機液体として通常ペースト加工に用
いられる液状配合剤を使用するのが一番自然で合理的で
ある。本発明方法において用いられる塩化ビニル樹脂有
機液体分散液の使用量は、塩化ビニル樹脂100重量部
当り0.1〜5重量部、好ましくは1〜3重量部であ
る。該使用量が0.1重量部未満であると、水性分散液
中の塩化ビニル樹脂の集合体の形成が不十分であり、有
機液体の使用量が5重量部を超えると、空搬ダクトに塩
化ビニル樹脂粉体が付着したり、塩化ビニル樹脂集合体
が固くなりペースト調製時に分散性が悪くなるので好ま
しくない。本発明においては、塩化ビニル樹脂の集合体
形成のためのバインダーとして塩化ビニル樹脂を分散さ
せた有機液体分散液を用いるので、従来の有機液体のみ
からなるバインダーに比して有機液体の使用量としては
分散質の塩化ビニル樹脂の占める体積に相当する分だけ
少なくて済むことになる。これにより従来時として発生
した有機液体の偏在による不均一な集合体の形成は、バ
インダーが希釈された状態なので大幅に低減することが
できた。また、30℃において100〜1000センチ
ポアズの有機液体のみからなるバインダーを使うより
も、本発明の粘度の低い有機液体を樹脂粒子を分散させ
て見掛け上、同粘度域の流体としてバインダーに用いる
方が、冬期の寒冷時のプラスチゾル中の粒子分散性が良
い長所がある。
【0009】本発明方法において、ペースト加工用塩化
ビニル樹脂の水性分散液と塩化ビニル樹脂有機液体分散
液の混合には、回分式槽型混合機を好適に使用すること
ができる。回分式槽型混合機としては、攪拌機や邪魔板
を有する公知の混合機が用いられる。混合の程度は、塩
化ビニル樹脂の有機液体による集合能率に大きな影響を
与えるため、好ましくは混合機の単位容積当たりの混合
動力が1kW/m3 以上であって、混合時間との積が4
kW・Hr/m3 以上であることが望ましい。本発明方
法においては、回分式槽型混合機において、塩化ビニル
樹脂の水性分散液と塩化ビニル樹脂有機液体分散液との
混合液を、通常20〜70℃、かつ使用する有機液体が
塩化ビニル樹脂を溶解又は膨潤させない温度で攪拌する
が、高温になるほど有機液体により塩化ビニル樹脂が膨
潤されやすくなるので、50℃以下で攪拌混合すること
が有利である。この温度が70℃を超えると有機液体の
塩化ビニル樹脂への吸収が速まるばかりか、塩化ビニル
樹脂が軟化し合体化して最終製品がもはやペースト加工
に適合しなくなるおそれがある。かかる操作により、粒
子径50〜500μm、平均100〜300μmの粒状
の集合体を形成させることができる。次に、有機液体を
介して集合した塩化ビニル樹脂集合体を水相から分離回
収するには、集合体の形状に応じて公知の方法、例え
ば、粒子径差を利用してろ布、金網などを用いる真空脱
水法や遠心脱水法、あるいは比重差を利用した遠心沈降
分離法などを用いることができる。
【0010】分離工程において分離された塩化ビニル樹
脂集合体は、次に乾燥工程に送られ、付着水分が除去さ
れる。この乾燥工程においては、ペースト加工時の分散
性を損なわないような条件を設定することが必要であ
る。すなわち乾燥工程中の塩化ビニル樹脂の温度は、通
常70℃以下、好ましくは50℃以下となるようにす
る。すなわち、形成された塩化ビニル樹脂集合体の粒子
径分布に近い状態の粒状を再現するように条件を選ぶ。
乾燥装置としては、被乾燥物の温度を低く維持するため
には減圧の攪拌乾燥機の使用が好ましく、また、樹脂の
粒度が比較的揃っていれば低温乾燥、操業能率向上の点
から、流動床式乾燥機が適当であるが、広く公知の乾燥
装置が使用可能である。乾燥工程においては装置を適当
に選ぶことによって不定形の、あるいは粒度分布の広い
樹脂を製品として得ることも可能であるが、押出型造粒
機などのペレット形成機を工程中に組み込むことによっ
て粒子形状を均質化することも可能である。この場合
も、造粒時に熱や圧力により樹脂が溶融したり有機液体
を吸収したりして、ペースト混練時の分散性を損なうよ
うなことがあってはならない。以下に、本発明の態様を
列挙する。 (1)ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液に、
水に難溶であってかつ塩化ビニル樹脂を溶解又は膨潤さ
せない有機液体を添加することにより塩化ビニル樹脂を
集合体として水相より分離して回収する方法において、
該有機液体の用法が、30℃において100センチポア
ズ未満の粘度を有する有機液体に塩化ビニル樹脂粒子を
分散させて100センチポアズ以上1000センチポア
ズ以下の粘度を有する分散液として用いるものであるこ
とを特徴とするペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方
法。 (2)有機液体の30℃における粘度が10センチポア
ズ以上70センチポアズ以下である上記(1)記載のペ
ースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法。 (3)塩化ビニル樹脂有機液体分散液を水に微分散させ
て添加する上記(1)又は(2)記載のペースト加工用
塩化ビニル樹脂の製造方法。 (4)アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤
を該有機液体に対し0.5〜10重量%さらに添加した
上記(3)記載のペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造
方法。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例における各特
性は下記の方法により判定した。 (1)ゾル分散特性 100mlの容器に25℃にてジ−2−エチルヘキシル
フタレート100gを、次いで樹脂20gを入れ、5℃
に24時間置いた後、得られたプラスチゾルを重量既知
のTyler標準篩60メッシュ(目開き250μm)
にの上に載せて通す。ミネラルスピリットで上記100
mlの容器に付着しているプラスチゾルを流し落としつ
つ篩の上に残った未分散粒子に付着の可塑剤をもミネラ
ルスピリットで洗い落とし、篩の上に残った未分散粒子
付着のミネラルスピリットをメタノールで洗浄、除去
し、乾燥して重量を求める。未分散粒子量を数1により
求める。
【数1】 (2)回収率 集合体状の塩化ビニル樹脂の回収率を数2により求め
る。
【数2】
【0012】実施例1 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液を噴霧乾燥
して得られた塩化ビニル樹脂粉末50gとフタル酸ジイ
ソノニル150gを擂潰機で混練分散し、30℃で11
0センチポアズの分散液を作成した。次いで同じペース
ト加工用塩化ビニル樹脂の乾燥前の水性分散液を、あら
かじめ目開き250μmの金網を張ったスクリーンに通
し、通過した水性分散液に水を加えて固形分含有量35
重量%に調整した。次に調整した水性分散液11kgを
直径20cm、内容量12リットルの槽型混合装置に入
れ、1100rpmで攪拌を開始すると同時に混合装置
底部より上記の分散液200gを60分かけて注入を一
括で注入した。その後1100rpmでさらに攪拌混合
を120分継続したところ、粒状樹脂の水分散液が得ら
れた。この分散液を通気量80ml/sec・cm2
ろ布を用いて真空ろ過し粒状樹脂を分離して湿潤粒状樹
脂が得られた。これを小型流動乾燥機で乾燥したところ
3920gの粒状塩化ビニル樹脂が得られた。この粒状
塩化ビニル樹脂についてゾル分散特性を求めた。
【0013】実施例2 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液を、あらか
じめ目開き250μmの金網を張ったスクリーンに通
し、通過した水性分散液に水を加えて固形分含有量35
重量%に調整した。次に調整した水性分散液11kgを
直径20cm、内容量12リットルの槽型混合装置に入
れ、1100rpmで攪拌を開始すると同時に混合装置
底部より、別途、容量500mlのステンレス製ビーカ
ーにフタル酸ジイソノニル(30℃で41センチポア
ズ)100gに同一ペースト加工用塩化ビニル樹脂粉末
50gを擂潰機で混練分散した、30℃で350センチ
ポアズの分散液150g及び水150gを入れ、高速攪
拌機を用いて1100rpmで10分間攪拌し微分散せ
しめたものを、一括で注入した。その後1100rpm
でさらに攪拌混合を120分継続したところ、粒状樹脂
の水分散液が得られた。この分散液を通気量80ml/
sec・cm2 のろ布を用いて真空ろ過し、これを小型
流動乾燥機で乾燥したところ3950gの粒状塩化ビニ
ル樹脂が得られた。この粒状塩化ビニル樹脂についてゾ
ル分散特性を求めた。
【0014】比較例1 実施例1で用いたと同じペースト加工用塩化ビニル樹脂
の水性分散液を、あらかじめ目開き250μmの金網を
張ったスクリーンに通し、通過した水性分散液に水を加
えて固形分含有量35重量%に調整した。次に調整した
水性分散液11kgを直径20cm、内容量12リット
ルの槽型混合装置に入れ、1100rpmで攪拌を開始
すると同時に混合装置底部よりトリメリット酸トリオク
チル(30℃における年度62センチポアズ)200g
を60分かけて注入した。その後1100rpmでさら
に攪拌混合を120分継続したところ、粒状樹脂の水分
散液が得られた。その分散液を通気量80ml/sec
・cm2 のろ布を用いて真空ろ過し粒状樹脂を分離し
た。これを小型流動乾燥機で乾燥したところ3760g
の粒状塩化ビニル樹脂が得られた。この粒状塩化ビニル
樹脂についてゾル分散特性を求めた。
【0015】比較例2 トリメリット酸トリオクチルの代わりにフタル酸ジイソ
ノニルを用いたほかは比較例1と同様に行い、同様に乾
燥して3580gの粒状塩化ビニル樹脂を得た。実施例
1、実施例2、比較例1及び比較例2の結果を表1に示
す。
【0016】
【表1】
【0017】本発明の実施例1及び2は共に回収率が高
く、かつ5℃の低温でもプラスチゾルでの未分散粒子は
少ない。高粘度の可塑剤をバインダーに用いた比較例1
では回収率は高水準ではあるが、低温での未分散粒子が
多い。また低粘度の可塑剤をバインダーに用いた比較例
2は塩化ビニル樹脂を分散させなかった分各実施例の有
機液体より多量用いるため収率を悪くしている。
【0018】
【発明の効果】本発明によりプラスチゾル中で容易に単
一粒子にほぐれ、低温においても良好な分散状態を与え
る塩化ビニル樹脂粒子集合体を高収率で得ることができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分
    散液に、水に難溶であってかつ塩化ビニル樹脂を溶解又
    は膨潤させない有機液体を添加することにより塩化ビニ
    ル樹脂を集合体として水相より分離して回収する方法に
    おいて、該有機液体の用法が、30℃において100セ
    ンチポアズ未満の粘度を有する有機液体に塩化ビニル樹
    脂粒子を分散させて100センチポアズ以上1000セ
    ンチポアズ以下の粘度を有する分散液として用いるもの
    であることを特徴とするペースト加工用塩化ビニル樹脂
    の製造方法。
JP23223594A 1994-08-31 1994-08-31 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法 Pending JPH0873519A (ja)

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