JPH0871919A - ウォータージェットピーニング施工装置 - Google Patents

ウォータージェットピーニング施工装置

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JPH0871919A
JPH0871919A JP21011294A JP21011294A JPH0871919A JP H0871919 A JPH0871919 A JP H0871919A JP 21011294 A JP21011294 A JP 21011294A JP 21011294 A JP21011294 A JP 21011294A JP H0871919 A JPH0871919 A JP H0871919A
Authority
JP
Japan
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water
water jet
nozzle
jet
sensor
Prior art date
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Pending
Application number
JP21011294A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunori Satou
一教 佐藤
Fumio Manabe
二三夫 真鍋
Katsuya Shigehiro
勝矢 重弘
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 残留応力が十分に改善される施工条件になっ
ているか等を施工中に監視することで、水中施工に伴う
困難さを解決することができるウォータージェットピー
ニング施工装置を提供する。 【構成】 キャビテーションを伴う水中高速水噴流を衝
突させることにより、水中構造物の残留応力改善、切
断、掘孔あるいは洗浄等を行う、いわゆるウォータージ
ェットピーニング施工装置において、加工対称部位に対
する噴流の衝突状態、ノズル1における噴射圧力あるい
は噴射衝突時間など施工状態の適切さを判断するための
センサ10を加工対称部材6近傍に配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中における高速水噴
流に発生するキャビテーションを利用し、構造材をピー
ニング施工する、いわゆるウオータージェットピーニン
グ技術に係わり、特に遠隔操作における水中ピーニング
施工の状態を外部から監視する技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】応力腐食割れ(SCC)を起こすポテン
シャルのある熱影響部(溶接部)を有する既設構造物の
表面残留応力は、小さな鋼球を気流の勢いで吹きつける
ショットブラスト、砂粒を用いるサンドブラスト、氷粒
を用いるクライオブラスト等によるピーニング処理によ
り、残留応力を引っ張り方向(亀裂を拡大させる方向)
から圧縮方向へ改善する対策が取られる。このようなピ
ーニング技術は、残留応力対策あるいは表面硬化処理と
して、各種機械構造物や部品加工に広く用いられてい
る。
【0003】しかし、このような操作のできない環境に
ありながら、是非ともピーニングしなければならない構
造物も多い。例えば、冷却水を張った状態の特殊な熱交
換器や反応槽、あるいは海洋構造物の溶接部は、何れも
水を除いての作業は物理的あるいは経済的に大変難し
い。
【0004】また、ブラスト粒子を水中から全量回収す
ることは不可能に近い。氷粒を用いれば回収は不要であ
るが、経済的なメリットは出にくい。なお、ピーニング
施工は、上記応力腐食割れのみならず、疲労強度の向上
に対しても効果的である。
【0005】高速ウォータージェットの利用は、ユニー
クな加工、採鉱あるいは洗浄技術として広く知られる
が、これを表面応力改善に利用する試みがウェスチング
ハウス・エレクトリック社により行われた(特開昭62
−63614号公報)。
【0006】水噴流によるピーニングは、水冷効果もあ
って局所的な温度上昇を防げるというメリットもある。
しかしこれは、水噴流の軸動力を有効に利用できる大気
中の作業であり、この技術を水中施工法としてそのまま
展開できる保証はない。
【0007】水中では、噴流の軸動圧力の減衰がかなり
早い。これは、周囲水の抵抗と同じ液相であるがため
に、噴流の水中への拡散が早いことに起因する。水中に
おいて、気相中水噴流なみの軸動圧力を得るためには、
従来式の高圧ポンプでは対応しきれず、超高圧装置が必
要になり、コスト的に大変不利な技術になってしまう。
一方、水中における高速水噴流には、噴流の乱れと、そ
れと周囲水との剪断作用の複合効果により図19に示す
ように激しいキャビテーションが発生する。
【0008】なお、図19において、1801はノズ
ル、1802は高圧水、1803は周囲水、1804は
液芯(コア)、1805はキャビテーションクラウド、
1806は渦キャビテーション、1807は残存気泡で
ある。
【0009】キャビテーションを促進し、多量に発生す
る気泡の崩壊・衝撃圧力、特に渦キャビテーションの気
泡列の衝突による衝撃圧を有効に利用できれば、気相中
水噴流なみのピーニング効果をさほど高くない噴射圧力
で達成できる。
【0010】このように、水中高速水噴流を適正な条件
で施工対象物に衝突させれば、キャビテーション気泡崩
壊時の衝撃パルスの繰り返しにより、ショットピーニン
グと同様の残留応力改善効果を得ることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図16は水中高速水噴
流を噴射する際に用いるノズルの構造例を示すものであ
る。
【0012】このノズルは、高圧水供給流路1504か
ら噴出孔1506にかけての径収縮部(しぼり部)15
05におけるしぼり角度θが小さく、高圧水1502が
緩やかに減圧加速されるタイプである。
【0013】なお、1501はノズル本体、1503は
中心軸である。
【0014】図17もノズルの構造の一例を示すもので
ある。
【0015】このノズルは、しぼり角度θが大きく、径
収縮部(しぼり部)1605において、急激に減圧加速
される。噴出孔1606において、強い縮流が生じやす
く、図16に示したノズルに比べると、噴流に激しいキ
ャビテーションが生じやすいものの圧力損失が大きく、
ポンプに負荷が掛かりやすいというきらいがある。
【0016】なお、1601はノズル本体、1602は
高圧水、1603は中心軸、1604は高圧水供給流路
である。
【0017】図18はノズルから噴流軸に沿うスタンド
オフ距離に沿うスタンドオフ距離と噴流のキャビテーシ
ョンから発生する衝撃圧の分布を模式的に描いたもので
ある。
【0018】スタンドオフ距離に対して、衝撃圧分布は
2つのピークを有する分布となる。ノズル1701に近
い第1ピークは、噴流のエネルギーが局部に集中する。
この第1ピークは鋭く尖っており、スタンドオフ距離が
少しでもずれると、衝撃圧のレベルは減少する。
【0019】一方、下流の第2ピークは、衝撃エネルギ
ーが広く分散する。また、第2ピークの分布形状は緩や
かであり、第1ピークとは異なり、スタンドオフ距離が
多少ずれても衝撃圧のレベルは急変しない。
【0020】なお、1702は高圧水、1703はキャ
ビテーションを伴う水中水噴流である。
【0021】前述した図19は水中水噴流の現象を模式
的に描いたものである。第1ピークは、ノズル1801
から噴出直後において、噴流中心の「液芯(コア)」1
804が衝突する領域にほぼ相当する。第1ピークは、
この「液芯(コア)」1804の変動とキャビテーショ
ンクラウド1805の成長とが連成した結果生じたもの
である。
【0022】一方、第2ピークは、キャビテーションク
ラウドが分裂し、噴流の界面剪断層において渦キャビテ
ーション1806が活発に生成する領域にほぼ相当して
いる。なお、第1ピークのスタンドオフ距離方向に対す
る位置は、噴射圧力が増加すると下流へシフトする。
【0023】以上のように、水中水噴流は空間的に大き
く構造が異なるため、噴流の衝突位置が異なると、加工
対象材料が受ける影響も全く異なってしまう。水中水噴
流においては、ノズルの条件設定が極めて重要である
が、ノズルの水中位置決め操作(マニュピレーション)
は必ずしも容易ではない。
【0024】ノズルの位置決めに失敗すると、加工対象
物に噴流が衝突しないことも起こりうる。また、上記し
た第1ピークは、壊食(エロージョン)を起こし易いた
めに残留応力改善には適していない。逆に、第2ピーク
は、噴流のエネルギーが広く分散するため水中切断や水
中掘孔には不敵である。
【0025】ところで、ウォータージェットピーニング
による水中施工の監視は、水中カメラを用いても可能で
ある。しかし、水が濁って視界が不良な状況に対しては
無力であるし、多量に発生するキャビテーションが視野
を遮ってしまう。また、狭い個所へは、カメラを付設し
たノズルを近づけにくいという問題がある。
【0026】本発明はこのような背景に基づいてなされ
たものであり、残留応力が十分に改善される施工条件に
なっているか等を施工中に監視することで、水中施工に
伴う困難さを解決することができるウォータージェット
ピーニング施工装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明においては、WJ
P(ウォータージェットピーニング)施工状態を監視
し、その加工性能と信頼性を確保するために次のような
手段を採用する。
【0028】AE(アコースティック・エミッション)
センサを、容器外部にまで貫通している加工対象部材に
設置し、AE信号を音響パワーIとして算出し、このI
のレベルに基づいてWJPの施工状態を監視する。
【0029】音響パワーIが小さ過ぎれば、ノズルが加
工対象部材に近接し過ぎているか、あるいは噴流が加工
対象部材にうまく衝突していない、すなわち、「的はず
れ」状態にあると判断される。このような場合には、施
工を続けても、残留応力の改善効果が小さい。
【0030】対策として、マニュピレータを駆動し、ノ
ズルの位置決めを再調整する。また、Iが小さくなる一
つの原因として、ノズルからの噴射圧力、即ちポンプの
吐出圧力が低過ぎることも考えられる。ノズルの位置決
めを調整しても、Iのレベルが低い場合にはこのような
ケースも有り得るので、ポンプの噴射条件が誤って設定
されていないか、またはリーク個所等を再確認する。
【0031】音響パワーIが要求されるレベルよりも極
端に大きな場合は、スタンドオフ距離xが、いわゆる前
出した噴流衝撃圧の「第1ピーク」に相当する領域にあ
る可能性がある。
【0032】このような時には、加工対象部材が壊食
(エロージョン)や大規模な破壊といったトラブルを起
こすおそれがあるので、「第2ピーク」相当のスタンド
オフ距離まで加工部材からノズルを遠ざけるか、あるい
は噴射圧力を下げることで対応する。
【0033】また、AE信号の周波数分布において、特
定の周波数のレベルが圧倒的に卓越したり、あるいは周
波数分布が激しく変動するように、明らかに異常な挙動
と判断される変化が生じた場合は、加工対象部材に壊食
(エロージョン)や亀裂発生、あるいは破壊等の極端な
現象が生じる場合があるので、ポンプを緊急停止し、加
工部の点検を行う。
【0034】なお、上記した音響パワーIは、次のよう
に定義される。
【0035】I=Σ(Np)j・(Pp)j2 ここに、 (Pp)j…音響パルス(イベントとも呼ばれる)のj
番目の大きさの振幅 (Np)j…音響パルスのj番目の大きさの個数(事象
数) 上記したAE法は、圧延機の滑り軸受の損傷状態監視な
どに広く用いられている(例えば、「AE法で設備診断
や製品検査」日経メカニカル1993/10−4,P.
30〜)。
【0036】本発明は、このAE法をウォータージェッ
トピーニング法へ適用するものであり、AE法を以下に
述べる新規な評価手段として用いることに本発明の特徴
がある。
【0037】(1)加工対象物に対する噴流の衝突状態
の監視に適用すること。
【0038】(2)残留応力の改善効果(圧縮方向残留
応力の発生)の確認に用いること。
【0039】(3)AEの事象信号データを基に、上記
した音響パワーI値を用いて評価すること。
【0040】
【作用】ノズルを加工対象面に近づけ過ぎた場合、例え
ばスタンドオフ距離x/D<10(x;ノズルと加工対
象面間のスタンドオフ距離、D;ノズルの噴出孔径)と
なった場合、音響パワーIの値は小さく、結局、残留応
力の改善量Δσ〔Δσ=σ2 −(−σ1 ),σ2 ;WJ
P施工後の圧縮残留応力、−σ2 ;施工前の引っ張り残
留応力〕も、必要な性能を満足しなくなる。
【0041】このような場合には、Iの監視結果に基づ
き、ノズルを加工対象面から遠ざけねばならない。第1
ピークの領域にほぼ相当する10<x/D<20の位置
にノズルを設置した場合には、音響パワーIは急増す
る。
【0042】この第1ピークにおいては、水噴流のエネ
ルギーが加工面の局部に集中するため、音響パワーIは
1010にも達することがある。Δσを増加させる効果よ
りも、加工面に壊食(エロージョン)を起こす可能性が
あるため、残留応力改善施工には必ずしも適していな
い。むしろ、この第1ピークの利用は、水中構造物の切
断や掘孔といった施工に相応しいといえる。
【0043】スタンドオフ距離20<x/D<70の領
域では、音響パワーIが低下し、従って残留応力の改善
量Δσも小さくなる。第2ピークに相当する70<x/
D<140の領域では、音響パワーIが増大する。これ
は、加工対象物に対して、強い力学的作用を及ぼしてい
る証拠であり、結果的に残留応力も広い面積にわたり改
善される。
【0044】また、Δσの値も、前出の20<x/D<
70の領域に比べると格段に増加する。I値が小さくノ
ズルの位置が不適切と判断された場合には、第2ピーク
の位置になるように、つまりI値がおよそ108 〜10
9 のレベルに達するように、ノズルの位置を再設定すれ
ばよい。
【0045】なお、この第2ピークの領域は、スタンド
オフ距離に対しては比較的鈍感であり、ノズルの位置が
目標から多少ずれてもI値は低下せず、目標とする残留
応力改善がほぼ達成される。
【0046】一方、加工対象物が円柱の場合は、第2ピ
ークの領域を用いれば、噴流が円柱の中心から多少ずれ
ても(噴流の中心軸が円柱の法線と一致していないケー
スを指す)、音響パワーIは大きな値が得られる。
【0047】これは、円柱の側壁から後流にかけて生じ
る強い渦流の作用により、キャビテーションが円柱の背
後にまで回り込み、円柱背面部の内部応力に影響が及ぶ
からである。結果的に、円柱体の広い面積部分の残留応
力が圧縮側に改善される。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0049】図1は残留応力を改善し応力腐食割れ(S
CC)を防止するために、熱交換器の圧力容器3内部に
おける導管6とスタブチューブ7の溶接部8に対し、キ
ャビテーションを伴う水中水噴流2を衝突させてピーニ
ング施工を行う状況を示す実施例である。
【0050】熱交換器の圧力容器3内の冷却水4中にお
いて、ノズル1から高圧水(イ)を冷却水4中に噴射す
る。圧力容器底部5から外部へ貫通する導管6に対し
て、AE(アコースティック・エミッション)センサ1
0は、ピーニング施工部すなわち実施例においては導管
6とスタブチューブ7の溶接部8に対し、出来るだけ近
い位置に設置するようにする。9は溶接部である。
【0051】図2は導管202に設置したAEセンサ2
01からの信号のフローと、WJP施工制御・駆動系の
系統図をブロック図としてまとめたものである。
【0052】AEセンサ201からの信号は、信号解析
装置203においてAE事象が解析され、音響パワーI
が求められる。これに基づく指令が、ノズルのマニュピ
レータ駆動用信号プロセッサ204およびポンプ駆動用
信号プロセッサ205に送られ、それぞれマニュピレー
タ制御装置206およびポンプ用制御装置207を駆動
させる。
【0053】噴射圧力の変更が必要になった場合には、
ポンプ用制御装置207がポンプの吐出圧力を変化させ
る。あるいは、ノズルの位置決めに問題があると判断さ
れた場合には、マニュピレータ用制御装置206によ
り、ノズルを移動させる。加工条件設定の不備により、
加工対象物に壊食(エロージョン)等の破壊現象を生じ
るおそれのある場合には、ポンプを緊急停止し、施工条
件を見直すことになる。なお、導管が狭い場合に林立す
るような場所では、加工対象導管202の隣接導管へ
も、AEセンサ201を設置すればよい。加工対象導管
202で生じた衝突噴流が、隣接する導管群へ再衝突す
ることによる影響を把握できるからである。この場合
は、信号解析装置203はマルチチャンネル型を用い
る。
【0054】次に、ノズルの位置設定と、キャビテーシ
ョンを伴う水中水噴流の衝突挙動の関係について述べ
る。
【0055】図3はノズル301が加工対象円柱体30
3に近く、すなわちスタンドオフ距離がほぼ第1ピーク
相当になっている場合を示している。
【0056】このような状態では、噴流中心の液芯(コ
ア)306が衝突するため、加工対象円柱体303の表
層には壊食(エロージョン)が生じやすい。
【0057】従って、残留応力改善を目的とする場合に
は、ノズル301を後方へ離すか、あるいは高圧水30
2の噴射圧力を下げる対策をする。
【0058】なお、304は衝突噴流、305はキャビ
テーションを伴う水中水噴流、307は周囲水である。
【0059】図4には残留応力改善や洗浄に対して適切
な第2ピーク相当のスタンドオフ距離xにおいて、キャ
ビテーションを伴う水中水で、噴流404を加工対象円
柱体403へ衝突させた状況を示す。
【0060】なお、401はノズル、402は高圧水、
405は周囲水である。
【0061】図5は図4と同様に、第2ピーク相当のス
タンドオフ距離xにおいて、噴流を衝突させているもの
の、ノズル501の中心軸506が加工対象円柱体50
3の法線に一致せず、オフセット距離εが生じた場合を
示している。
【0062】このような場合は、加工対象円柱体503
の側面から後面にかけて生じる大規模な渦流の作用によ
り、噴流が加工対象円柱体503の背後に回り込む。
【0063】従って、後述するように円柱の背後にまで
キャビテーションの影響が及ぶことになり、音響パワー
Iは、図4の場合と類似したものになる。
【0064】なお、502は高圧水、504はキャビテ
ーションを伴う水中水噴流、505は周囲水である。
【0065】図6はノズル601の位置設定の不備のた
めに、キャビテーションを伴う水中水噴流604が加工
対象円柱体603に衝突していない状況を示したもので
ある。
【0066】このようなケースでは、AEセンサから求
める音響パワーIのレベルは極端に低くなるか、あるい
は隣接する別の導管に設置したAEセンサからの音響パ
ワーIが増大するために容易に見極めがつく。対策とし
て、ノズル601の位置決めの再調整を行う。
【0067】なお、602は高圧水、605は周囲水で
ある。
【0068】次に、本発明の作用を実証するために行っ
た試験の結果について述べる。
【0069】図7に示すように、試験では、平板状の鋼
板705の背後にAEセンサ706を設け、ノズル70
1の位置やノズル701からの噴射条件を変化させる。
【0070】なお、702は高圧水、703はキャビテ
ーションを伴う水中水噴流、704は周囲水である。
【0071】図8はスタンドオフ距離x(ノズル701
と鋼板705間の距離)に対する音響パワーIの変化を
まとめたものである。
【0072】ノズル701が鋼板に極端に近い場合に
は、Iのレベルはかなり低い。スタンドオフ距離xが第
1ピーク相当の領域になると、音響パワーIのレベルは
急増するが、ノズル701を少し後ろに離すと(スタン
ドオフ距離xを少し長くする)、Iは急減してしまう。
第2ピークに相当するx≦100μmの領域では、音響
パワーIの分布はなだらかな形状となり、またIのレベ
ルも局所的に高くなる第1ピークを除けば相対的に高
い。
【0073】この結果は、第2ピークを用いた場合には
材料に対して強い力学的影響を与えることを示唆するも
のである。
【0074】図9は円柱を噴流の衝突対象とした結果を
示すものであり、音響パワーIをスタンドオフ距離に対
する結果としてまとめたものである。
【0075】横軸のスタンドオフ距離xは、第2ピーク
におけるスタンドオフ距離x(*)で割ることにより無
次元化している。また、縦軸の音響パワーIも、第2ピ
ークにおいて得られる音響パワーI(*)で割ることに
より無次元化して表している。
【0076】この結果から、I/I(*)も2つのピー
クを有する分布となることが分かる。また、噴流が衝突
しない場合、つまり図6のような場合には、I/I
(*)のレベルもかなり低くなってしまう。
【0077】図10ないし図13は、それぞれ図3ない
し図6に示した噴流の衝突条件に対して、円柱の表面上
に発生する衝撃圧分布を示すものである。
【0078】このような衝撃圧分布は、感圧フィルムを
円柱表面上に貼付する方法により求めることができる。
【0079】図10は第1ピークにほぼ相当するスタン
ドオフ距離で噴流を加工対象円柱体303に衝突させた
場合の衝撃圧分布である。衝撃圧分布901は、噴流の
衝突中心に局所的に集中するものとなる。
【0080】一方、図11には、第2ピークのスタンド
オフ距離でピーニング施工をした場合の衝撃圧分布を示
す。
【0081】衝撃圧分布1001は、加工対象円柱体4
03の真後ろ、すなわちノズルの位置と正反対方向には
発生していないものの、加工対象円柱体403の表面の
かなり広い領域において発生することがわかる。
【0082】図12はノズルの中心軸が加工対象円柱体
503の法線に一致していない場合の施工例であるが、
ノズルの設置位置に対してオフセットの生じた方向へ偏
るものの、加工対象円柱体503の側面を中心として、
加工対象円柱体403のかなり広い部分において衝撃圧
が発生している。なお、1101は衝撃圧分布を示す。
【0083】図13は図6に示すように、噴流が加工対
象円柱体に衝突しなかった場合の結果を示すものであ
る。加工対象円柱体603の側面に、僅かに衝撃圧分布
1201が見られるに過ぎない。
【0084】図14には上記したようにして求めた衝撃
圧PshとAEセンサから求めた音響パワーIの相関を
まとめて示す。
【0085】横軸の衝撃圧Pshは、第2ピークにおけ
る最大衝撃圧力Psh(*)により割って、Psh/P
sh(*)として無次元表記している。縦軸も、図9と
同様に第2ピークにおける最大衝撃圧力I(*)を基準
として無次元表記されている。
【0086】これらのデータは、スタンドオフ距離を変
化させて行った全実験の結果をまとめたものである。P
sh/Psh(*)〜I/I(*)の結果から、I/I
(*)は衝撃圧力Psh/Psh(*)に対し一義的に
まとまり、I/I(*)はPsh/Psh(*)に対し
はっきりとした相関のあることが確認された訳である。
【0087】図15は音響パワーI/I(*)と残留応
力改善量の関係をまとめたものである。いずれも噴流の
衝突時間を一定として求めた実験結果である。AEセン
サにより求めた音響パワーIは、第2ピークにおける音
響パワーI(*)を基準として無次元表記した。
【0088】また、ピーニング施工後に得られた圧縮残
留応力σ1 から、施工前の引っ張り応力−σ2 を引くこ
とにより求めた残留応力改善量Δσ=σ1 −(−σ2
も、第2ピークにおける残留応力改善量Δσ(*)を基
準として無次元化されている。Δσ/Δσ(*)の結果
は、I/I(*)に対してはっきりと直線状に求めら
れ、十分な相関関係のあることが認められる。
【0089】この結果から、音響パワーIのレベルの監
視は、施工中における残留応力の改善効果を確保するた
めに、大変に有効な手段であることが分かる。
【0090】本発明は本分中で実施例として説明した軽
水炉(BWR)下部における導管溶接部の残留応力改善
のみならず、他の用途にも広く利用することができる。
ここでは、2例を挙げる。
【0091】(1)海水における構造物の水中施工(例
えば、切断や開孔)においても、同一部材であれば界面
に出たその構造物にAEセンサを設けることで、本発明
になる技術をほぼそのまま適用することができる。十分
な防水保護をすれば、施工部に近い海水中の位置にAE
センサを設置することも可能である。
【0092】(2)水中水噴流を用いて、船舶底部にお
ける付着生物のはつりや洗浄を行う場合、底板に損傷を
与えないように監視する技術へも本発明を適用すること
ができる。
【0093】
【発明の効果】本発明になるウォータージェットピーニ
ング施工装置による効果をまとめると、次のようにな
る。
【0094】(1)容器内における加工対象構造物に対
し、水中において噴流が適正な位置で衝突しているか否
かを確認することができる。
【0095】(2)所定の施工後に、加工対象構造物の
残留応力が十分に改善されているか否かを確認すること
ができる。
【0096】(3)上記(1)の効果に関連し、ノズル
の位置決め等の設定が容易になり、施工時間を大幅に短
縮することができる。
【0097】(4)上記(1)および(2)の効果に関
連し、水噴流の噴射条件を適宜制御し、加工効率が最大
になるようにポンプ等を操作することが可能になる。
【0098】(5)上記(1)および(2)の効果に関
連し、ノズルの位置決め不適切やポンプの誤動作等に起
因するピーニング加工対象物のエロージョン(壊食)の
発生を未然に防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱交換器に適用した本発明に係るウォータージ
ェットピーニング施工装置の概念図である。
【図2】AEセンサ、そのデータ処理系およびウォータ
ージェットピーニング施工装置の制御系の系統図であ
る。
【図3】ウォータージェットピーニング(WJP)用ノ
ズルが熱交換器の管体に近づき過ぎた状態を示す模式図
である。
【図4】噴流が管体に対して適切な位置で衝突する状態
を示す模式図である。
【図5】WJP用ノズルが熱交換器の管体に対してオフ
セットのある状態で位置決めした場合を示す模式図であ
る。
【図6】噴流が管体に接触しない状態を示す模式図であ
る。
【図7】AEを用いる試験法の概念図である。
【図8】AEセンサからのイベント信号を音響パワーと
して整理した結果の例を示す特性図である。
【図9】音響パワーとスタンドオフ距離の関係を示す特
性図である。
【図10】図3に示した施工状態において、管体に発生
する圧力分布を示す模式図である。
【図11】図4に示した施工状態の管体に発生する圧力
分布を示す模式図である。
【図12】図5に示した施工状態において、管体に発生
する圧力分布を示す模式図である。
【図13】図6に示した施工状態において、管体に発生
する圧力分布を示す模式図である。
【図14】管体における衝撃圧とAEの音響パワーの相
関を示す特性図である。
【図15】AEの音響パワーと残留応力の改善効果の関
係を示す特性図である。
【図16】WJPに用いるノズルの一例を示す断面図で
ある。
【図17】WJPに用いるノズルの他の例を示す断面図
である。
【図18】水中の高速水噴流に発生する衝撃圧分布を示
す模式図である。
【図19】水中の高速水噴流の現象を描いた模式図であ
る。
【符号の説明】
1 ノズル 2 キャビテーションを伴う水中水噴流 3 熱交換器の圧力容器 4 冷却水 5 圧力容器底部 6 導管 7 スタブチューブ 8,9 溶接部 10 AEセンサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビテーションを伴う水中高速水噴流
    を衝突させることにより、水中構造物の残留応力改善、
    切断、掘孔あるいは洗浄等を行う、いわゆるウォーター
    ジェットピーニング施工装置において、加工対称部位に
    対する噴流の衝突状態、ノズルにおける噴射圧力あるい
    は噴射衝突時間など施工状態の適切さを判断するための
    センサを加工対称部材近傍に配置したことを特徴とする
    ウォータージェットピーニング施工装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、前記センサをア
    コースティック・エミッションセンサとすることを特徴
    とするウォータジェットピーニング施工装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載において、軽水炉型の原子
    炉に挿設する炉内外導管部に前記センサを設けたことを
    特徴とするウォータジェットピーニング施工装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載において、前記センサをア
    コースティック・エミッションセンサとすることを特徴
    とするウォータジェットピーニング施工装置。
  5. 【請求項5】 請求項2および4記載において、アコー
    スティック・エミッション信号から音響パワーIを求
    め、I値を基準として、ノズルの位置や加工対称部に対
    するノズルの姿勢である噴流の衝突状態、噴射圧力もし
    くは噴射時間のうち少なくとも一つ以上の噴流衝突条件
    を変更する制御手段を備えたことを特徴とするウォータ
    ジェットピーニング施工装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載において、当該加工対象導
    管に隣接する導管へも、アコースティック・エミッショ
    ンセンサを設置したことを特徴とするウォータジェット
    ピーニング施工装置。
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