JP2840027B2 - ウォータージェットピーニング法 - Google Patents

ウォータージェットピーニング法

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JP2840027B2
JP2840027B2 JP12767094A JP12767094A JP2840027B2 JP 2840027 B2 JP2840027 B2 JP 2840027B2 JP 12767094 A JP12767094 A JP 12767094A JP 12767094 A JP12767094 A JP 12767094A JP 2840027 B2 JP2840027 B2 JP 2840027B2
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cavitation
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二三夫 真鍋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中物体にキャビテー
ションを伴う水中高速水噴流を衝突させるウォータージ
ェットピーニング法に係わり、特に高速水噴流の周囲圧
の変わる環境下における加工対象面とノズル間の好適施
工距離の決定技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】応力腐食割れ(SCC)を起こすポテン
シャルのある構造物に対して、鋼球(ショット)を気流
の勢いを借りて吹きつけるショットピーニングによる処
理を行い、残留応力を引張方向から圧縮方向へと改善す
る。
【0003】このようなピーニング技術は、残留応力の
除去対策として各種機械構造物あるいは部品加工時に広
く用いられている。
【0004】しかし、このようなショットピーニング操
作のできない環境でありながら、是非ともピーニングし
なければならない構造物もある。その代表例が、軽水炉
のように冷却水を張ったような特殊な大型熱交換器であ
る。水を抜くことは難しい作業であるし、ショットの回
収は不可能に近い。
【0005】鋼球の代わりに氷粒を用いれば(クライオ
ブラストと呼ばれる)回収は不要であるが、経済的なメ
リットが出にくいし、施工部位が氷粒で急冷され、熱応
力が発生する可能性や、局部的な低温脆性破壊(亀裂)
が生じるおそれがある。
【0006】高速ウォータージェットの利用は、ユニー
クな加工、採鉱、あるいは洗浄技術として知られるが、
これを表層応力改善に利用する試みが特開昭62−63
614号公報に開示されている。水噴流によるピーニン
グは、水冷効果もあって、局所的な温度上昇を防げると
いうメリットもある。
【0007】しかし、これは水噴流の軸上動圧力を有効
に利用できる大気(気相)中の作業であり、この技術を
水中水噴流によるピーニングとしてそのまま適用できる
保証はない。水中では噴流軸動圧力の減衰がかなり速
い。これは周囲水の抵抗と同相であるがために噴流の拡
散が速いことに起因する。水中で気相中噴流なみの軸上
動圧力を得るためには、超高圧が必要になり、コスト的
にも大変不利な技術になってしまう。
【0008】一方、水中水噴流には、噴流と周囲水との
剪断作用によるキャビテーションが発生する。キャビテ
ーションをうまくコントロールして発生した気泡を効果
的に利用できれば、あまり噴射圧力を高めずに(超高圧
ポンプを用いずに)、気相中水噴流なみの効果を上げる
ことができると考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】水中の高速水噴流には
激しいキャビテーションが発生するが、このキャビテー
ション現象を原子炉構造物の残留応力改善に適用するこ
とが可能である。
【0010】このキャビテーション現象を図14に模式
的に示す。
【0011】図14において、801はキャビテーショ
ンノズル、802は高圧水、803は周囲水、804は
液芯(コア)部、805はキャビテーションクラウド、
806は渦キャビテーション、807は気泡核を含む周
囲水の流入、808は残存気泡である。
【0012】水中水噴流のキャビテーションから発生す
る衝撃圧の分布は、噴流の軸方向に対して、図12に示
すように2つのピークを有する形状となる。このよう
に、2山の分布となるのは、2つの異なる現象が重なり
合うからである。
【0013】このメカニズムを図13とともに説明すれ
ば、水中水噴流のキャビテーションから発生する衝撃圧
の分布は同図に示すように、最初の第1ピーク(I)
と、次の第2ピーク(II)とを有する。
【0014】ノズルの出口に近い第1ピークでは、噴流
の中心に噴流の液芯(コア)部が残っており、この液芯
部が伸び縮みして断続的に振動し、さらにこの液芯部の
動きに連成して周囲のキャビテーションが発達する。
【0015】この第1ピークは形状が尖っており、第1
ピークにおけるすそ野部までを含めたスタンドオフ距離
(ノズル出口から噴流軸方向の任意点までの距離)xの
範囲も、この現象に相当する部分の噴流を材料に衝突さ
せると、材料の狭い部分にエネルギーが集中し、エロー
ジョン(壊食)が生じるおそれがある。
【0016】一方、下流における第2ピークは、噴流界
面の高速乱流剪断層における渦キャビテーションの発達
が支配的な部分である。この第2ピークを中心とした領
域は、衝撃圧の分布形状がなだらかであり、相当するス
タンドオフ距離xの範囲も広く、ノズルの精密な位置決
めが不要であるというメリットがある。
【0017】実際の原子炉施工においては、エロージョ
ンを防ぐ目的と、材料の広い面積をピーニングするため
に、この第2ピークの領域を使うのが好適といえる。ち
なみに、前者の第1ピークでは、噴射圧力を下げるかも
しくはノズルを小刻みに動かしてエロージョンの発生を
防ぐ必要がある。
【0018】以上のような噴流から発生する衝撃圧の分
布形状は、周囲水圧の影響を受ける。定期点検中の原子
炉の底部には、原子炉のサイズや圧力容器上部のウエル
部の水位にもよるが、2〜3kgf/cm2 の静水圧が
加わってくる。このように、冷却水の水圧が高い条件下
では、水中水噴流に発生するキャビテーションの形態が
異なってくる。まず、キャビテーション気泡の数が減少
する。
【0019】これは、夥しい数だけある気泡の中で、脆
弱な気泡が周囲水圧が高いために圧縮されて消滅してし
まうためである。消滅せずに残った気泡は、パワフルで
あり、さらに余剰な気泡群による、いわゆるクッション
効果も乏しくなるため、数少ない気泡であっても、十分
なピーニングが可能になる。
【0020】一方、噴流のキャビテーションから発生す
る衝撃圧分布(噴流軸方向に対する)の形状も、周囲水
圧によって変化する。
【0021】例えば、最も重要な変化は、2番目のピー
クが上流(ノズルへ近い方)へとシフトすることであ
る。この特性は、高い周囲水圧下ほど、渦キャビテーシ
ョンの発生、成長また消滅も、低圧下の場合に比べて早
まる結果生じる。渦キャビテーションの挙動が周囲圧の
影響を受けるのは、渦キャビテーションの発達ゾーンで
ある噴流界面の乱流剪断層における乱れの状態(渦の大
きさや渦の発生頻度等)が、周囲圧力により強く支配さ
れるためである。
【0022】周囲水圧の影響を考慮せず、低圧下で求め
た第2ピークおよびその近傍のスタンドオフ距離を最適
施工条件として採用すれば、高圧下では、キャビテーシ
ョンが消滅する噴流域に相当するため、ピーニング施工
の有効領域からはずれ、ピーニングの効果が減少してし
まう。
【0023】その結果、噴射衝突時間を長くしたり、噴
射圧力を高めたりしなければならないなど、ピーニング
の効率に係わる問題が多く生じるようになる。
【0024】本発明の目的は、上記した問題点を解決
し、周囲水、特にその圧力条件が変化しても、噴流のキ
ャビテーションの現象を有効に活用できるウォータージ
ェット法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、次のような手段を採用す
る。
【0026】基本的には、周囲水圧Pambの増大によ
り、第2ピークを中心とする丘陵状衝撃圧分布形状域が
噴射ノズルの出口に近づく特性に着目する。原子炉内冷
却水の水面と加工部位間の距離、即ち、水深より、周囲
水圧Pambを求め、予め求めておいた周囲水圧Pam
bと第2ピーク相当のスタンドオフ距離x(2p)の関
係(後述)に基づいて、x(2p)を設定し、噴射ノズ
ルの位置決めを行う。このように、施工条件を最適に設
定することで、加工部位が水深方向に異なり周囲水圧が
変化する場合においても、十分な残留応力の改善効果を
上げることができる。
【0027】ちなみに、この第2ピークに関しては、ス
タンドオフ距離xをピーク相当の位置x(2p)に厳密
に定めるのではなく、x(2p)で求まる衝撃圧の最大
値Psh(Max)の少なくとも75%以上の大きさの
衝撃圧が発生する領域、つまり、 Psh≧Psh(Max)×0.75 (2)(図1
1に示す) となるスタンドオフ距離の領域内に入るようにノズルを
位置決めし、ピーニング施工に利用する。第2ピークに
相当する2番目の丘陵状衝撃圧分布形状領域において、
この分布形状はなだらかであり、前記(2)式を満足す
るスタンドオフ距離xの範囲はかなり広い。
【0028】
【作用】周囲水圧Pambの高い環境下でノズルをWJ
P施工部位に近づけ、第2ピーク相当域(Pambが高
いほどノズルに近づく)を中心とする2番目の丘陵状衝
撃圧分布形状領域のスタンドオフ距離において、十分に
発達したキャビテーション、特に材料に対して強い力学
的効果をもたらす渦キャビテーションを利用することに
より残留応力は十分に改善される。
【0029】このようにパワフルなキャビテーション気
泡が材料の表面で急速に圧壊すると、強い衝撃圧が発生
し、材料の結晶粒を押しつぶし、引張方向の残留応力を
圧縮方向へと改善する。
【0030】この作用は、周囲水圧Pambが大気圧に
近い場合、すなわち水面からみて浅い部位の施工の場合
とほぼ同じである。
【0031】以上のような作用により、水中構造物を含
む水中物体の如何なる水深の加工対象部をピーニングす
る場合も、部材表層の残留応力をSCC対策として必要
なレベル(例えば、材料表面からの深さ100μmの部
分において圧縮方向応力を60kgf/mm2 以上)に
まで改善することが可能になる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は、軽水炉底部におけるピーニング施工の具
体化例を示すものである。
【0033】高圧水2は、キャビテーションノズル1か
ら炉内冷却水3中に高速で噴射され、キャビテーション
を伴う水中水噴流4となる。この噴流4は、原子炉圧力
容器の底部における下鏡板5に貫通係止されたスタブチ
ューブ6と、内管7との溶接部9に衝突する。噴流中に
多量に生じているキャビテーション気泡の崩壊により発
生する衝撃圧の作用により、この溶接部9を中心とする
スタブチューブ6と内管7に生じている引張方向の引張
残留応力が圧縮方向へと改善される。
【0034】ノズル1の位置を僅かに下方に平行移動す
るか、もしくはノズル1の傾きを僅かに鉛直に近い角度
へと変化させるだけで、下鏡板5とスタブチューブ6と
の溶接部8に生じている残留応力の改善が可能である。
【0035】ノズル1と加工点とのスタンドオフ距離x
には、最適範囲が存在する。このスタンドオフ距離xの
範囲は、図12に示すように噴流衝撃圧Pshの2番目
のピークを中心とする衝撃圧分布が緩やかな丘陵状の形
となる領域である。この最適範囲に相当するスタンドオ
フ距離x(2p)は、周囲水圧Pambが高くなると、
図7に示すように、上流側(ノズル1に近い方向)へシ
フトする。
【0036】即ち、原子炉圧力容器において、底部に近
い水深の大きな部位ほど、その部位に近づけるように、
ノズル1を移動させる。周囲水圧Pambと最適スタン
ドオフ距離x(2p)は、後述するように、実験式によ
り一義的に定まっており、この式に応じてノズル1の位
置を移動させる。
【0037】このようにすることで、原子炉圧力容器に
おいて、如何なる水深の部位であっでも、十分に残留応
力を改善することが可能になる。
【0038】図2は、点検のために停止し、上鏡板を取
り除いた原子炉圧力容器201において、冷却水203
をはった状態で炉底部をウォータージェットピーニング
施工する一例を示すものである。
【0039】この実施例では、ウエル204の上部まで
冷却水203をはっている。このように大量の冷却水2
03を満たしているということは、冷却水203が遮蔽
材になるため、作業者の被曝防止の観点から好ましい。
ウエル204の上部には燃料交換台車206が配置さ
れ、この上にノズル208に高圧水を供給するための高
圧ポンプ205が設置されている。
【0040】この高圧ポンプ205から、高圧水供給ラ
イン207を通じて高圧水が送られ、ノズル208から
水中高速水噴流209が冷却水203中に噴射されて、
炉底におけるWJP施工部位(スタブチューブ)202
に衝突する。なお、図中の210は水封部である。
【0041】このような原子炉の炉底では、加工部位に
大きな水頭静水圧が加わる。原子炉圧力容器201の大
きさにもよるが、図2に示す状況では、冷却水203か
らWJP施工部位(スタブチューブ)202までの水位
1 は約25m以上になり、炉底における静水圧は少な
くとも2kgf/cm2 となる。
【0042】図3に示す実施例は、冷却水203の水位
を、原子炉圧力容器201における胴体部上端まで下げ
た実施例を示すものである。
【0043】この状況でも、炉底水圧は1.5kgf/
cm2 になる。冷却水203の水位を下げれば、ノズル
208を駆動するマニュピレータの水力抵抗が少なく、
施工は容易になる。
【0044】次に、噴流を作り出すために用いるキャビ
テーションノズルの形状について述べる。
【0045】図4は、高圧水902をゆっくり減圧加速
するため、径収縮部(しぼり部)904におけるしぼり
角度θを小さくしたノズルの構造例である。
【0046】このノズルでは、減圧加速部が緩やかであ
るため、キャビテーションの発達は必ずしも十分ではな
いが、圧力損失が小さい。
【0047】なお、同図において、901はノズル本
体、903は高圧水供給流路、905は噴出孔、906
は中心軸である。
【0048】図5には図4の例とは逆に、減圧加速部を
急峻にしたキャビテーションノズルの構造例を示す。
【0049】このノズルは、直角に流路が収縮するた
め、急激な縮流が生じて、この縮流が気泡核生成のきっ
かけとなり、前記図4のノズルに比べるとキャビテーシ
ョンが活発に生成する。しかしながら、圧力損失が大き
く、高圧ポンプの負担が増加する。
【0050】なお、同図において、1001はノズル本
体、1002は高圧水、1003は高圧水供給流路、1
004は噴出孔、1005は中心軸である。
【0051】図6は、噴出孔1105の出口に拡大空洞
部1106を設けたノズルの構造例である。このノズル
の特徴は、拡大空洞部1106内に生じる渦流の作用に
ある。この作用は、次のように大きく2つに分類でき
る。
【0052】(1)拡大空洞部1106内の循環渦(渦
流)が、噴出孔1105から噴出された直後の噴流に強
い圧力変動を加える。この圧力変動が、キャビテーショ
ン気泡核の励起や気泡の成長を促進する。
【0053】(2)同じように、循環渦の作用により、
噴流の周囲に浮遊する気泡核が、拡大空洞部1106内
において噴流の上流側、即ち、噴出孔1105の出口側
へ逆流する。このようにして気泡核は、いわゆる周囲核
(Ambient nuclei)として噴流中へ断続
的に供給され、噴流に発生するキャビテーションは著し
く活発なものとなる。
【0054】なお、同図において、1101はノズル本
体、1102は高圧水、1103は高圧水供給流路、1
104は径収縮部(しぼり部)、1107は中心軸であ
る。
【0055】図11は、噴流軸方向のスタンドオフ距離
(ノズルの出口からの距離)xに対する噴流から発生す
る衝撃圧Pshの分布形状を模式的に示したものであ
る。
【0056】この図から明らかなように、衝撃圧Psh
の分布形状は、2つのピークを有する大変特徴的なもの
である。
【0057】ノズルの噴出孔に近い最初の第1ピークの
形状は鋭く尖っており、スタンドオフ距離xの狭い領域
に発生する。この第1ピーク発現のメカニズムは、噴出
孔から噴出した直後の噴流における液芯(コア)の断続
的振動と、これに連成して発達するキャビテーションの
相互作用にある。下流の第2ピークは、ゆるやかな丘陵
形状をしており、相当するスタンドオフ距離xの範囲も
かなり広い。
【0058】この第2ピークは、噴流界面の乱流剪断層
内で成長する渦キャビテーションの発達によって生じた
ものである。一般に、第2ピークを中心とする領域は、
加工面に衝突する際に、噴流の衝突エネルギーが分散す
るため、広い面積の部分の加工が可能になる。エネルギ
ーの分散があるため、加工面に壊食は起こりにくく、残
留応力改善の効果のみが生じる。
【0059】これに対し第1ピークは、狭い部分に噴流
の衝突エネルギーが集中するため、壊食を起こすおそれ
がある。従って、狭隘部の施工等で、どうしてもノズル
を離すことができず、第1ピークの領域を使う場合に
は、ノズルを小刻みに動かしたり、噴射圧力を下げる等
の工夫が必要になる。
【0060】これらの噴流衝撃圧のピークは、周囲水圧
Pambの影響を強く受けて、図示するようにPamb
に依存して移動する。即ち、周囲水圧Pambが高まる
と、実線で示すように両ピーク特にピーニング施工にと
って重要な第2ピークに相当するスタンドオフ距離x
(2p)が上流側へシフトする。
【0061】周囲水圧Pamb(ゲージ、単位kgf/
cm2 )と第2ピーク相当のスタンドオフ距離x(2
p)の関係を表すと、
【0062】
【数2】
【0063】ここにx(2p)* は、大気圧下つまり浅
い水面下の場合における第2ピーク相当のスタンドオフ
距離を表す。
【0064】実際のピーニング施工では、このピークポ
イントのみを選び、ノズルを精密に位置決めするという
方法は採用せず、図11に示すように、第2ピークを前
後する幅広い領域のスタンドオフ距離を採用する。
【0065】この領域は、第2ピークにおける最大衝撃
圧をPsh(Max)とすれば、 Psh>0.75×Psh(Max) (4) の条件にほぼ相当する。
【0066】これに基づき、x(2p)を、これを中心
とする周辺範囲で表現するように(3)式を修正すれ
ば、
【0067】
【数3】
【0068】となる。
【0069】従って実際の施工では、水深と水温から求
める水の密度に基づき、周囲水圧Pambを評価し、前
記(5)式を満足する範囲において、ノズルと加工面間
のスタンドオフ距離を設定すればよい。
【0070】図8、図9は、周囲水圧Pambが低い場
合と、高い場合の現象を示したものである。これらの図
において、401はノズル、402は高圧水、403は
キャビテーションクラウド、404は渦キャビテーショ
ンである。
【0071】周囲水圧Pambが低い場合には図8に示
すように、キャビテーションクラウド403が大きく膨
張する。これに対して、周囲水圧Pambが高い場合に
は図9に示すように、水中において、脆弱な気泡が潰れ
て消滅するため、キャビテーションクラウド403は細
く短い。
【0072】このように、周囲水圧Pambが高い場合
には、キャビテーション全体が縮小する。周囲水圧Pa
mbは、気泡の消滅挙動以外にも、気泡の運動形態に影
響を及ぼす。従って周囲水圧Pambが高ければ、気泡
の運動に対して流動抵抗が大きくなり、気泡の周囲水中
への拡散が乏しく、キャビテーションの広がりが見掛け
上小さくなる。
【0073】図10は、周囲水圧に対する衝撃圧分布に
おける第2ピーク相当スタンドオフ距離の変化をまとめ
て示した特性図である。図中の斜線の部分がピーニング
施工領域に相当し、周囲水圧の違いによって第2ピーク
相当スタンドオフ距離が片対数図上でほぼ比例関係的に
変化する。
【0074】水深、言い換えれば周囲水圧に応じて、ス
タンドオフ距離、噴射圧力あるいは噴射衝突時間を変化
させる本発明に係る技術は、ここまで実施例として取り
上げて説明してきた軽水炉施工にとどまらず、適用範囲
は広い。
【0075】例えば、海水中あるいは湖水中底部の岩盤
の掘削や屈孔施工、もしくは水中鋼構造物の切断や洗浄
施工へ直接応用することができる。
【0076】さらに、ドックの水中において船舶底部の
付着物洗浄作業や溶接部のピーニング施工に適用するこ
とができる。船舶に限らず、本発明のようにウォーター
ジェットピーニングを水中で行えば、水滴飛沫や高周波
騒音の発生を防止することができるという効果もある。
【0077】
【発明の効果】本発明による効果をまとめると以下のよ
うになる。
【0078】(1)ウォータージェットピーニングを効
果的に実施できるようになる。これによって、水中物体
の残留応力が改善されるので、応力腐食割れ(SCC)
の危険ポテンシャルが除去され、さらに疲労強度が向上
する。従って、水中物体の構造信頼性や耐久性が向上
し、寿命を拡大できるようになる。
【0079】(2)水深の異なる部位のWJP施工を合
理的に行えるために、施工時間を大幅に短縮できる。こ
れによって、WJPの施工コストを低減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る水中におけるウォーター
ジェットピーニングの施工状態を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例に係る軽水炉の水深下における
ウォータージェットピーニングの施工状態を示す模式図
である。
【図3】本発明の実施例に係る軽水炉の水深下における
ウォータージェットピーニングの施工状態を示す模式図
である。
【図4】本発明のウォータージェットピーニングに使用
するノズル構造の一例を示す断面図である。
【図5】本発明のウォータージェットピーニングに使用
するノズル構造の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明のウォータージェットピーニングに使用
するノズル構造のさらに他の例を示す断面図である。
【図7】周囲水圧により、水中水噴流から発生する衝撃
圧分布形状が変化する様子を示す説明図である。
【図8】周囲水圧が低い場合の周囲水圧とキャビテーシ
ョンの状況の関係を示す模式図である。
【図9】周囲水圧が高い場合の周囲水圧とキャビテーシ
ョンの状況の関係を示す模式図である。
【図10】周囲水圧に対する衝撃圧分布における第2ピ
ーク相当スタンドオフ距離の変化をまとめた説明図であ
る。
【図11】第2ピークの位置を中心とする衝撃圧分布の
丘陵領域を定義する説明図である。
【図12】水中水噴流のキャビテーションから発生する
衝撃圧分布の形状を示す説明図である。
【図13】水中水噴流のキャビテーションから発生する
衝撃圧分布の形状を示す説明図である。
【図14】水中水噴流に発生するキャビテーションの様
相を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 高圧水 3 炉内冷却水 4 キャビテーションを伴う水中水噴流 5 下鏡板 6 スタブチューブ 8 溶接部 9 溶接部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平6−47667(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23P 17/00 B08B 3/10 C21D 7/06 B24C 1/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中物体にキャビテーションを伴う水
    噴流を衝突させるウォータージェットピーニング法に
    おいて、 前記水中水噴流を噴出するキャビテーションジェットノ
    ズルから水中物体の施工対象面までの距離を、その水
    流の周囲の水圧に応じて変化させることを特徴とするウ
    ォータージェットピーニング法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、前記キャビテー
    ションジェットノズルと施工対象面との間が、当該ノズ
    ル下流に形成される衝撃圧分布における第1ピークの次
    の極小点よりも下流の領域すなわち第2ピークの領域
    スタンドオフ距離(ノズルと加工物間の直線距離)に相
    当していることを特徴とするウォータージェットピーニ
    ング法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載において、前記噴流衝撃圧
    の最大値の少なくとも0.75倍以上のレベルで衝撃圧
    が発生する領域を、第2ピーク領域として設定すること
    を特徴とするウォータージェットピーニング法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載において、前記スタンドオ
    フ距離xを、 【数1】 に基づいて設定することを特徴とするウォータージェッ
    トピーニング法。
  5. 【請求項5】 請求項2記載において、前記周囲水の水
    面から施工対象物までの水深を測定し、予め求めておい
    た水深と前記噴流衝撃圧分布の第2ピーク領域までのス
    タンドオフ距離との関係に基づいて、施工対象面に対す
    るキャビテーションジェットノズルの位置決めを行うこ
    とを特徴とするウォータージェットピーニング法。
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