JPH0989498A - 酸化スケールの除去装置及び方法 - Google Patents

酸化スケールの除去装置及び方法

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JPH0989498A
JPH0989498A JP24793095A JP24793095A JPH0989498A JP H0989498 A JPH0989498 A JP H0989498A JP 24793095 A JP24793095 A JP 24793095A JP 24793095 A JP24793095 A JP 24793095A JP H0989498 A JPH0989498 A JP H0989498A
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nozzle
heat transfer
transfer tube
oxide scale
water
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JP24793095A
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English (en)
Inventor
Kazunori Satou
一教 佐藤
Yuji Fukuda
祐治 福田
Masaharu Moronaga
雅晴 諸永
Manabu Orimoto
学 折本
Fumio Manabe
二三夫 真鍋
Koichi Kurosawa
孝一 黒沢
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既設缶において、定期点検補修時に容易に適
用可能であり、短期間で、仕上がり良好に、水蒸気酸化
スケールを除去できる酸化スケールの除去装置及び方法
を提供する。 【解決手段】 ボイラ等の伝熱管内壁に生じる水蒸気酸
化膜に代表される酸化スケールの除去装置において、伝
熱管(伝熱管直管部4)内に、高速で伝熱管内水中に水
噴流を噴射するノズル2を設け、このノズル2からの噴
流により生じるキャビテーション(キャビテーションを
伴う衝突噴流6)を利用して酸化スケール5を除去する
ようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてボイラ等
の伝熱管の予防保全技術に係わり、さらに詳しくは伝熱
管内壁に生成する水蒸気酸化スケールを、キャビテーシ
ョンを伴う高速水噴流を利用して除去しようとする技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボイラの過熱器や再熱器に利用されてい
るステンレス鋼管やボイラ用耐熱鋼管の管内壁には、高
温水蒸気の作用により水蒸気酸化スケール(以下、単に
酸化スケールともいう)が生成する。この酸化スケール
は硬度が高く、その主成分はFe3 4 やCr2 3
あり、ステンレス鋼材中のMoの偏析も見られる。特に
大型の火力発電用ボイラでは、最近になり主蒸気温度が
高温化し、このような酸化スケールが生成しやすい条件
になってきている。
【0003】この酸化スケールは、ボイラの停止時や再
起動時において、伝熱管の熱収縮や膨張の繰り返しによ
って伝熱管母材内壁から酸化スケールの破片となって剥
離する。
【0004】このような酸化スケールの破片は、伝熱管
のベント部等に堆積して伝熱管内を閉塞したり、伝熱管
の粉破やボイラ差圧の上昇といったトラブルの要因にな
る。主蒸気配管のバルブに堆積すれば、下流のバルブの
閉塞やバルブの損耗といった問題が生じる。また、酸化
スケールの破片が蒸気タービンまで飛行すれば、タービ
ンのブレード等に損傷を与える。
【0005】最近になり、負荷調整用の役割を担う火力
発電用のボイラは、頻繁に起動・停止や負荷上昇・下降
を繰り返すようになってきており、このような水蒸気酸
化スケールの剥離の問題がクローズアップされている。
【0006】特に主蒸気配管等の大径管では、ボイラ停
止時に、熱応力によって酸化スケールが既に部分的に剥
離している(図13参照)。このように、部分的な離脱
があると、そこを切っ掛けとして、ボイラの再起動時
に、連鎖的に酸化スケールが剥がれ出すという問題もあ
る。
【0007】従来から、水蒸気酸化スケールの除去方法
として、 (1)酸洗(化洗)法 (2)ショットピーニング(ブラスト)法 が試みられているが、後述するように問題が多く、確立
した技術に至っていないのが実情である。
【0008】一方、新しい伝熱管加工時に(ボイラに据
え付ける前に)、内壁面にショットトピーニング(ブラ
スト)する水蒸気酸化防止技術が開発されている〔例え
ば、1)木下・正宗;「表面冷間加工による水蒸気酸化
防止効果の持続性」,火力原子力発電;vol.27,
No.3,(昭50−11),263、2)加根魯ほか
3名;「ショットブラスト加工ステンレス鋼管の特
性」,火力原子力発電;vol.27,No.3,(昭
52−10),399〕が、加工コストが高いなどの問
題がある。
【0009】このような対策は、新缶としてのボイラに
は適用できるものの、稼動中の数多くの既設ボイラの対
策へは反映しにくい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、水蒸
気酸化スケールを取り除く従来技術は、酸洗法とショッ
トピーニング(ブラスト)法である。
【0011】酸洗法には、以下の問題がある。
【0012】(1)薬剤を処理するための大掛かりな廃
液処理設備が必要になる。
【0013】(2)薬剤供給用の補助配管系を新たに設
けなければならない。
【0014】(3)スケール除去処理の時間が長くかか
る。
【0015】一般的なショットピーニング法を図15に
示す。図16は、ショットピーニング施工設備の系統図
である。また、図18と図19は、ショットピーニング
法に関する先行技術の例である。
【0016】図18(特開昭54−43836号公報)
は、被処理管1501の長手方向にスリット1503を
設け、残留応力の除去に関するショットピーニングの施
工状態を監視しようとする方法を示すものである。本発
明で対象とするのは、ボイラの既設伝熱管であり、この
ようなスリットを設ける技術とは直接係わらない。
【0017】一般のショットピーニングでは、図18に
示すように、管内面ショットピーニング装置1502を
回転させる。このように回転させると、ノズルの損耗が
早く、ノズルを頻繁に交換しなければならないという問
題があった。
【0018】図19(実開昭63−17765号公報)
は、ノズルの寿命に関する問題を解決するため、スプラ
イン1609からグリット1610を供給し、軸対象の
噴射方向変更治具1604から管内壁へ向けて噴射する
技術である。なお、図中、1602は調心ブラシ、16
03はブラシ取り付けねじ、1605は噴射方向変更治
具、1606は取り付けねじ、1607はノズル、16
08は突出部、1611は段部である。
【0019】以上述べたようなショットピーニング(ブ
ラスト)法には、次のような問題がある。
【0020】(1)噴出部であるノズルが管内で偏る
と、図17に示すように、伝熱管1401の内壁で、水
蒸気酸化スケール1402が離脱した個所(α)と取り
残した部分が生じる。このような中途半端な処理では、
ボイラの再起動時に、残ったスケールが剥離しやすくな
り、未処理の場合よりもかえって危険になる。
【0021】(2)ショットピーニング法は、鉛直管の
内面施工には有利であるが、水平管やベンド部の施工は
かなり難しい。ノズルが重み(自重)で管底部に偏る
し、離脱した酸化スケールや、グリットと呼ばれる鋼粒
が管底部に溜まるので、図17のような処理ムラが発生
しやすくなる。
【0022】(3)ショットピーニング法では、一般に
ノズル先端部が大きく、内径の小さな伝熱管内へはアク
セスしにくい(最近の貫流変圧型のボイラでは、高温高
圧化のために伝熱管の蒸気流路が細くなっている)。特
にベンド部を断管せずに通過させるのはかなり難しい。
【0023】(4)処理伝熱管内からは離脱した酸化ス
ケールのみならず、大量のグリット(鋼粒)が排出する
ため、これらの清掃処理に多大な時間を要する。
【0024】(5)グリット(鋼粒)群の衝突によって
生じる摩擦熱で、伝熱管の組織が熱的影響を受ける。従
って、伝熱管の寿命が短縮するおそれがある。
【0025】(6)除湿・乾燥等の前処理が必要であ
る。
【0026】本発明の目的は、上記した問題を解決し、
既設缶において、定期点検補修時に容易に適用可能であ
り、短時間で、仕上がり良好に、水蒸気酸化スケールを
除去できる酸化スケールの除去装置及び方法を提供する
ことにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的は、ボイラ等の
伝熱管内壁に生じる水蒸気酸化膜に代表される酸化スケ
ールの除去装置において、伝熱管内に、高速で伝熱管内
水中に水噴流を噴射するノズルを設け、このノズルから
の噴流により生じるキャビテーションを利用して酸化ス
ケールを除去するようにした第1の手段により達成され
る。
【0028】また、ボイラ等の伝熱管内壁に生じる水蒸
気酸化膜に代表される酸化スケールを、伝熱管内にはっ
た水に生じるキャビテーションを利用して除去するよう
にした第2の手段により達成される。
【0029】
【発明の実施の形態】最初に本発明の概要を説明する。
【0030】まず、伝熱管内に水(ボイラの給水でも、
酸洗液でも構わない)をはり、この中に高圧水を噴射す
るためのノズルを挿入する。このノズルへは、高圧ホー
スを通じて、プランジャポンプから高圧水が連続的に供
給される。ノズルには、複数個の噴出孔が開口してお
り、ここから管内水中に高速水噴流を噴出させる。この
水中高速水噴流には激しいキャビテーションが発生す
る。
【0031】またノズルの出口近傍では、水噴流が、短
い水柱状に断続的に分裂している。このような「水柱の
断続的分裂領域」あるいは「キャビテーションが発達し
た領域」の噴流を、前述した水蒸気酸化スケールに衝突
させて、酸化スケール層を粉々に破壊し、伝熱管母材か
ら剥離させる。
【0032】施工開始時には、まず酸化スケールに損傷
を与えるために、上記した「水柱の断続的分裂領域」を
利用し、ノズルを伝熱管内壁に近づけて、ノズルをゆっ
くりと移動させる。酸化スケールが連続的に剥離するよ
うになれば、広範な面積のスケールを効率よく除去処理
するために、上記した「キャビテーションが発達した領
域」を酸化スケールに衝突させる。
【0033】ノズルの移動は、 (1)ウインチとワイヤで、高速水噴流の噴出方向と同
じ方向へ引っ張る。
【0034】(2)ノズルから、進行方向とは逆方向に
水流を噴出し、これを推進力とする。 (3)高速水噴流の噴出方向とは逆方向(高圧ホースの
方向)にノズルを引っ張る。
【0035】等の方法で行う。
【0036】従って、ショットピーニング等とは異な
り、小径伝熱管内の処理時には、ノズルを回転させる必
要はない。一方、内径(直径)が400mmを超える主
蒸気連絡管内壁のスケールはつりの場合は、ノズルに挿
着したアームを連絡管内壁に沿って回転させる。ノズル
は、この連絡管内壁に沿って螺旋状に進むことになる。
伝熱管内に水(この水はボイラ給水を直接用いても、あ
るいは酸洗液を用いてもよい)をはった状態で、管内に
挿入したノズルの噴出孔から高速で水噴流を噴射する
と、噴流自身及び噴流の周りに激しいキャビテーション
が発生する。
【0037】キャビテーションの夥しい数の気泡は、酸
化スケール層上で崩壊し、衝撃圧パルスを発生する。こ
のような数多くの点状の高速圧力が加わる点は、大まか
にショットピーニングと同じである。キャビテーション
気泡の崩壊によって、酸化スケール層が破壊し、粉々に
なって伝熱管の母材表面から離脱する。
【0038】また、ノズル出口と酸化スケール間の距離
(スタンドオフ距離)が短い場合には、ノズルから噴出
する液柱状の噴流が断続的に分裂し、酸化スケールに衝
突する。この作用は、繰り返し衝撃により岩石を破壊す
るインパクト式の掘削機のメカニズムに類似する。
【0039】一方、粉々に破壊された酸化スケールの破
片群は、伝熱管内において生じる強力な攪拌作用によっ
て、未はつりの酸化スケールに衝突し、酸化スケール層
に損傷を与える。
【0040】要するに、本発明では、以上に述べたよう
な3つの作用 (1)キャビテーション気泡の崩壊により生じる衝撃力 (2)ノズルから噴出する液柱状塊の断続的衝突 (3)酸化スケール破片の衝突 が組み合わさり複合したものである。
【0041】伝熱管の端部、即ち本発明になるWJP
(ウォータージェットピーニング)の施工開始部では、
酸化スケールは未だ破壊していないため、上記(3)の
作用は期待できない。連鎖的な破壊・剥離を誘発するた
め、まず酸化スケール層を損傷させるには、上記(2)
の作用を利用するのが合理的である。この(2)は、噴
流の「第1ピーク」を利用する。まず、初めにノズルを
酸化スケールの表面に近づけ、酸化スケールに傷を与え
る。
【0042】(1)と(3)は広範囲な面積を施工する
作用であるので、後続して特に(1)のメカニズムを利
用するため「第2ピーク」のスタンドオフ距離までノズ
ルを酸化スケールから離す。なお、ここで述べた「第1
ピーク」と「第2ピーク」は、噴流軸方向に対して衝撃
圧が2つのピークを有する特徴的な分布形状となること
から、ノズルに近いピークを第1ピーク、下流のピーク
を第2ピークと呼ぶことに由来している。この両ピーク
の特性については後述する。それぞれ材料に作用するメ
カニズムが異なり、それらを有効に利用することで、酸
化スケールのはつりを効率よく行うことができる。
【0043】以下、添付図面を参照しながら具体的に説
明する。
【0044】図1は、本発明を具体化したスケール除去
方法の構成を描いたものである。
【0045】比較的内径の小さな(直径15〜50mm
程度)の伝熱管直管部4内にノズル1を挿入する。ノズ
ル1には高圧ホース2が接続されており、このホース2
を通じて高圧水3が供給される。
【0046】またノズル1には複数の噴出孔7が開口し
ており、ここから高速水噴流を噴射する。施工対象の伝
熱管内は水がはった状態になっており、これが周囲水8
である。この水中に噴射された高速水噴流には、激しい
キャビテーションが発生し、キャビテーションを伴う衝
突噴流6となって伝熱管内壁の水蒸気酸化スケール5へ
衝突する。
【0047】この水蒸気酸化スケール5は、キャビテー
ション気泡の急激な崩壊あるいは水噴流が分裂した水塊
の衝突によるいずれも衝撃的な作用により粉々に破砕さ
れ、伝熱管の内壁から除去される。なお、ノズル1に
は、スペーサガイド9が設けてあり、ノズル1が伝熱管
直管部4のほぼ中央位置にくるようになっている。
【0048】図2には、本発明になる手法を伝熱管ベン
ド部10へ応用した実施例の構成を示す。
【0049】図1とほぼ同様であるが、本発明はこのよ
うなベンド部10へ容易にノズル1をアクセスできて十
分な施工を行えることに特徴がある。高圧ホース2に
は、柔軟で弾力性に優れるタイプを用いる。
【0050】図3は、内径の比較的大きな(直径300
〜800mm程度)主蒸気連絡管301の内壁に付着す
る酸化スケールを除去する具体化例を示すものである。
【0051】このような場合は、水蒸気連絡管301の
中心部に回転機具304を設けて、ここを中心にして、
ノズル302を回転させて、スケールのはつり施工を行
う。無論、主蒸気連絡管301の内部には、周囲水30
5がはられている。
【0052】後述する(図10)ように、水中高速水噴
流の軸方向に対する衝撃圧の分布は、2つのピークを有
する大変に特徴的なものとなる。ノズルに近いピークを
第1ピーク、また下流のピークを第2ピークと呼ぶ。
【0053】図4は、このうち第2ピークを利用する施
工例を示したものである。
【0054】ノズル402の噴出孔からは、高速噴流が
斜めに噴出し、キャビテーションを伴う噴流406とな
って、伝熱管401の内壁に付着している水蒸気酸化ス
ケールへ衝突する。
【0055】図5に示すように、このノズル402にお
いては、噴出孔408が、中心軸404に対して角度θ
だけ広がる角度で開口している。噴出孔408の出口と
衝突点までの距離であるスタンドオフ距離xs は、伝熱
管401の周囲水圧が高まらない限り、高圧水の圧力が
70MPa(約700kgf/cm2 )の場合は、およ
そ70mm<xs <130mmの範囲にある。
【0056】このように、第2ピークは、ノズルと伝熱
管内壁上の衝突点との距離をある程度確保しなければな
らないために、噴流を斜めに衝突させるようにする。
【0057】一方、ノズル402に近い第1ピークは、
水噴流の断続的分裂・衝突とキャビテーションが連成す
る作用により生じる。
【0058】図6(a),(b)には、この第1ピーク
を利用する加工例を示す。
【0059】伝熱管401内に挿入した近接ノズル40
9の側面には、複数の噴出孔412が開口しており、こ
こから高速水噴流が噴出する。
【0060】この噴流は、水柱塊411として分裂し、
伝熱管内壁に突き刺さるようにして高速で衝突する。ま
た、衝突噴流410には、キャビテーションも発生す
る。近接ノズル409の側面に開口する側壁噴出孔41
2は、直孔部412′と座ぐり開口部412″とからな
る。なお、図4において、403は高圧水、405は噴
流中心軸、407は高圧ホースである。
【0061】図7は、伝熱管703内でノズル701を
進行させる方法の具体化の一例を示すものである。
【0062】この方式では、二重管構造の給水管704
を通じて、スケールはつり用の高速水噴流に利用する高
圧水705と、ノズル推進用水706をノズル701へ
供給する。
【0063】このノズル推進用水706は、ノズル70
1の後ろにおける開口部から、低速の推進用噴流707
となって噴射され、この反動でノズル701が前方へ進
むようになっている。
【0064】この推進用噴流707とスケールはつりに
用いるキャビテーションを伴う噴流702を同時に噴射
するのは実質的に不可能なので、同一位置でノズル70
1を停止し、一定時間噴射してスケールはつり施工を実
施した後に、推進用噴流を噴出させて所定の距離だけノ
ズル701を前方に進めるようにすればよい。なお、図
中708はスペーサガイド、709はノズル701の進
行方向を示す。
【0065】図8は、高圧ホース710自体(高圧ホー
ス710を補強する部分)を、高圧水705の供給方向
とは逆方向へ戻すようにしてノズル701を移動させる
実施例を示すものである。
【0066】図9に示す実施例は、ノズル701の先端
にワイヤ711を設け、高圧水705の供給方向と同一
方向(符号712で示す方向)へノズル701を引っ張
る方法を示すものである。
【0067】図10は、噴流の軸方向距離に対する噴流
から発生する衝撃圧の分布を模式的に描いたものであ
る。
【0068】ノズルに近い第1ピークは、尖ったピーク
形状をしており、噴流の衝突エネルギーが狭い部分に集
中する。短い時間のうちに材料(酸化スケール)に対し
て激しい破壊効果を及ぼす。
【0069】一方、下流の第2ピークは、噴流の軸方向
距離の比較的長い距離で広がっている。この位置の噴流
における衝突エネルギーは、広い面積の酸化スケール上
に分散する。これら2つの特徴的なピークの噴流領域を
うまく使い分ければ、効果的な噴流加工を行うことがで
きる。
【0070】第2ピークでは、主として夥しい数のキャ
ビテーション気泡が崩壊する際に発生する衝撃圧力を利
用する。
【0071】図11は、単一のキャビテーション気泡1
001(実際の噴流ではこのような気泡が狭い空間に多
数存在する)が時間の経過とともに潰れる様相を模式的
に描いたものである。
【0072】この間の時間は、数マイクロ秒のオーダー
であり、極めて高速の現象である。気泡1001は、気
泡の上方部の界面が下向きに突き出すように変形しなが
ら収縮する。この下向きの変形部は、最終的には突起形
になり(マイクロジェットと呼ばれる)、この突起が酸
化スケール1003に衝突し、酸化スケール層を破壊す
る(1007)。
【0073】実際の噴流中では、このような気泡崩壊に
よる衝撃パルスが高頻度で繰り返されるので、酸化スケ
ール層が伝熱管の母材表面からほぼ完全に除去される。
なお、図中、1002は伝熱管、1004は時間の進
行、1005は気泡の収縮、1006は衝撃圧発生、1
008は周囲水を示す。
【0074】図12は、図6に示した第1ピーク利用施
工における現象を描いたものである。
【0075】噴出孔から噴出した水噴流は、即座には周
囲水1008中には拡散せず、激しく変動(1012)
する液柱1010となる。この液柱1010は断続的に
分裂し、液柱状塊1011となって、酸化スケール10
03に衝突する。さらに分裂した液柱状塊1011の周
囲には、キャビテーション1013が発生する。要する
に第1ピークでは、液柱状塊1011とキャビテーショ
ン1013が連成し、酸化スケール1003に衝撃力が
加わり、酸化スケール1003の層が破壊される。
【0076】第1ピークでは、以上のように衝撃的な加
工エネルギーが加工対象物の狭い部分に集中する、とい
う特徴がある。1009はノズルである。
【0077】破片となった酸化スケールは、伝熱管内壁
上の酸化スケールに繰り返し衝突する。このような作用
と、キャビテーションの複合効果を利用する状況を図1
3に示す。
【0078】キャビテーションを伴う噴流1017の周
囲には、大規模な循環渦1016が生じる。酸化スケー
ルの破片1014は、この循環渦1016に巻き込まれ
て、噴流外周を循環し、酸化スケール層1003に損傷
を与える。1015は衝突破片を示す。
【0079】以上のように、本発明では、 (1)キャビテーション (2)液柱状塊 (3)酸化スケール破片の衝突 という3つのメカニズムにより酸化スケールが除去され
るが、全ての作用が常時働くというわけではない。
(3)は、ある程度まで酸化スケールの破壊が進んでか
ら有効に作用する。酸化スケールに未だ損傷が無い状況
の場合、即ち、施工開始時には、上記メカニズムのうち
(2)を利用すれば効果的である。施工開始時には第1
ピークを利用し、酸化スケール層の破壊が進んだ時点
で、(2)と(3)が組み合わさり作用する第2ピーク
を利用するわけである。
【0080】このような施工手順を図14に示す。
【0081】施工開始時には、第1ピークを利用する
(I)。この場合、ノズルのトラバース速度Vtは低く
抑える。ある程度まで酸化スケールの破損が進めば、ノ
ズルのトラバース速度Vtを速めて、第2ピークへ切り
替える(II′)。なお、Iのように、第1ピークを一貫
して利用し続けてもよい。この場合、伝熱管の母材部に
壊食(エロージョン)による損傷を与えないように、ノ
ズルのトラバース速度Vtを大きくする。
【0082】本発明におけるウォータージェットを利用
する管内面のピーニング法は、ボイラの伝熱管内壁の水
蒸気酸化スケールはつりだけではなく、原油や化学製品
の輸送管、あるいは火力・原子力発電所における熱交換
器伝熱管内壁の洗浄へも直接利用できる。
【0083】このような管(チューブ)類の内面洗浄に
は、これまでスポンジボールを取り付けたピグ等が用い
られてきているが、本発明を利用すれば、極めて短時間
に洗浄処理することが可能になる。キャビテーション現
象を利用すれば、通常の水流に比べて、洗浄能力は格段
に高まる。
【0084】一方、キャビテーションを利用するもう一
つの効果は、洗浄処理後に管内面の耐食性が向上するこ
とである。
【0085】なお、上記した管類の内面洗浄は、本文中
で述べた水蒸気酸化スケールの除去に比べると、キャビ
テーションが激しくなくても洗浄効果が上がるので、ノ
ズルからの噴射圧力は低くても十分であり、噴射ポンプ
も小型のタイプで、またホース類も低い耐圧の細いタイ
プで対応することが可能である。
【0086】
【発明の効果】本発明の効果をまとめると、次のように
なる。
【0087】(1)ボイラ伝熱管の内壁に生成した水蒸
気酸化スケールを、効率よく短時間で除去することがで
きる。これにより、ボイラの予防保全対策が十分に行え
るようになる。
【0088】(2)プラントの再起動後に酸化スケール
の破片が蒸気タービンへ飛来し、ブレードを損傷させる
ことが無くなる。この他、配管途中のバルブ等の補機類
を損傷させることが無くなる。
【0089】(3)酸洗(化学洗浄)法とは異なり、大
掛かりな付設配管や排水処理設備が不要となる。
【0090】(4)ショットピーニング法と異なり、管
の内壁上の酸化スケールを、一様に、しかもほぼ完全に
除去することができる。
【0091】(5)ショットピーニング法とは異なり、
噴出部の構造がシンプルでコンパクトであり、水平管・
鉛直管のいずれにも適用可能で、さらにベンド部へも容
易に適用できる。
【0092】(6)抜管による工場への持ち帰りは不要
であり、発電所の現場において施工ができる。従って、
長い伝熱管でも、途中で切断することなく数十mの施工
を一度に行える。
【0093】(7)ショットピーニングとは異なり、グ
リットと呼ばれる小さな固体粒子(砂や鋼球)の回収が
不要である。
【0094】(8)スケール除去後に、管内壁面上の耐
食性が向上する。即ち、酸化スケールの再付着が起きに
くくなる(成長速度が低下する)。
【0095】(9)従来技術である酸洗法あるいはショ
ットピーニング法と比較して低コストである。
【0096】(10)なお、コスト的には上昇するが、
本発明と酸洗法を組み合わせれば(酸洗液を直接高圧噴
射する)、極めて短時間で、ほぼ完全に酸化スケールを
除去することができる。
【0097】(11)キャビテーションによるピーニン
グ作用により、管内壁の残留応力が圧縮方向に改善され
る。これにより、応力腐食割れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る、ウォータージェットピ
ーニングによる管内壁のスケール除去方法の模式図であ
る。
【図2】本発明の実施例に係る、ボイラの長い伝熱管に
おけるスケール除去方法の模式図である。
【図3】本発明の実施例に係る、比較的直径の大きな主
蒸気連絡管内壁におけるスケール除去方法の模式図であ
る。
【図4】管内における高圧水の噴射状況を示す模式図で
ある。
【図5】高圧水を噴射するノズルの先端構造図である。
【図6】図4とは噴射条件を異ならせた実施状況を示す
模式図である。
【図7】ノズルの施工位置を進める方法の実施例を示す
模式図である。
【図8】ノズルの施工位置を移動させる方法の他の実施
例を示す模式図である。
【図9】ノズルの推進方法を示す模式図である。
【図10】水中高速水噴流の特性図である。
【図11】スケール除去のメカニズムを示す模式図であ
る。
【図12】スケールはつりのメカニズムを示す模式図で
ある。
【図13】スケールはつりのメカニズムの他の例を示す
模式図である。
【図14】ノズルの送り速度等施工条件を示す説明図で
ある。
【図15】従来技術であるショットピーニング方法を示
す要部の模式図である。
【図16】従来技術であるショットピーニング方法を示
す全体の模式図である。
【図17】従来技術のショッピーニング方法における問
題点であり、本発明において解決すべき課題を示すため
の伝熱管の断面図である。
【図18】ショットピーニング法に類する先行技術の一
例を示す被処理管の斜視図である。
【図19】ショットピーニング法に関する先行技術の他
の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 高圧ホース 3 高圧水 4 伝熱管直管部 5 水蒸気酸化スケール 6 キャビテーションを伴う衝突噴流 7 噴出孔 8 周囲水 9 スペーサガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 折本 学 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 真鍋 二三夫 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイラ等の伝熱管内壁に生じる水蒸気酸
    化膜に代表される酸化スケールの除去装置において、 伝熱管内に、高速で伝熱管内水中に水噴流を噴射するノ
    ズルを設け、このノズルからの噴流により生じるキャビ
    テーションを利用して酸化スケールを除去するようにし
    たことを特徴とする酸化スケールの除去装置。
  2. 【請求項2】 ボイラ等の伝熱管内壁に生じる水蒸気酸
    化膜に代表される酸化スケールを、伝熱管内にはった水
    に生じるキャビテーションを利用して除去することを特
    徴とする酸化スケールの除去方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載において、伝熱管内に挿入
    したノズルから高速で伝熱管内水中に噴射する噴流によ
    りキャビテーションを生ぜしめることを特徴とする酸化
    スケールの除去方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載において、ウォー
    タージェットピーニング施工開始時には、伝熱管端部の
    酸化スケール層に対し、水噴流の噴射時間を長くする
    か、噴射圧力を高めるかの少なくともいずれかを実行
    し、噴流の第1ピークの距離にノズルを位置決めし、酸
    化スケール層を破壊に至らしめる損傷を与えることを特
    徴とする酸化スケールの除去方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の初期施工に継続し、噴流
    の第2ピーク領域を利用し、管内壁の酸化スケール層を
    連続的に除去することを特徴とする酸化スケールの除去
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載において、前記ノズルに、
    ノズルと管内壁間の距離を一定に保つためのガイド部材
    を装着したことを特徴とする酸化スケールの除去装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載において、前記ノズルをウ
    ィンチで懸引することにより、伝熱管内を進行・移動さ
    せることを特徴とする酸化スケールの除去装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載において、前記ノズルに、
    ノズルの進行・移動方向とは逆向きに水流を噴射する噴
    射手段を設け、逆噴出水流の駆動により、ノズルを伝熱
    管内で進行移動させることを特徴とする酸化スケールの
    除去装置。
  9. 【請求項9】 請求項3記載において、高速水噴流の噴
    射方向とは逆向きにノズルを進行・移動させることを特
    徴とする酸化スケールの除去方法。
  10. 【請求項10】 ボイラ等の伝熱管内壁に生じる水蒸気
    酸化膜に代表される酸化スケールを、伝熱管内にはった
    酸洗液に生じるキャビテーションを利用して除去するこ
    とを特徴とする酸化スケールの除去方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100446826B1 (ko) * 2000-02-03 2004-09-04 미츠비시 쥬고교 가부시키가이샤 증기발생기용 스케일 제거장치
US6976419B1 (en) 1999-11-04 2005-12-20 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Surface pit forming method and member with surface pit
CN107990302A (zh) * 2017-12-21 2018-05-04 华电电力科学研究院 一种防止过热器和再热器氧化皮堵塞的装置及方法
JP2021032422A (ja) * 2019-08-16 2021-03-01 三菱パワー株式会社 配管内部の清掃方法、配管構造およびボイラ

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