JP3308766B2 - 原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法及びその装置 - Google Patents

原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法及びその装置

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JP3308766B2
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reactor pressure
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属の表面に存在する
表面引張残留応力の改善方法に係わり、特に、原子炉圧
力容器内構造物の表面の引張残留応力の改善に好適な原
子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法とその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子炉圧力容器内構造物に用い
るオーステナイトステンレス鋼等の金属材料は、原子炉
の高温水中に置かれた場合、その溶接部またはその近傍
において応力腐食割れ(以下、IGSCCと略す)が発
生することが知られている。
【0003】IGSCCは、材料の鋭敏化,引張応力,
腐食環境の三因子が重畳した条件下で発生する。材料の
鋭敏化は、溶接熱などによって結晶粒界にCr炭化物が
析出する結果、粒界の極近傍部にCr欠乏層が形成され
てこの粒界近傍Cr欠乏部が腐食に対し鋭敏になること
(鋭敏化という)によって起こる。引張応力は、外力に
よる応力と溶接・加工によって材料表面に発生する引張
残留応力とが重畳することによって発生する。腐食環境
は、溶存酸素を含む高温水によって生じる。IGSCC
はこれらの3因子の中から1つの因子を取り除くことに
より防止できる。
【0004】このIGSCCを防止するために、引張応
力の発生の原因となる材料表面の残留応力を改善する公
知技術例として、例えば以下のものがある。
【0005】特開昭62−63614 号公報 この公知技術は、熱交換器等の管の内部に高圧水ショッ
トピーニング装置を挿入し、回転ノズル部から高圧液体
ジェットを噴出してピーニングを行うことにより、管の
引張残留応力を圧縮残留応力に転化するものである。
【0006】特開平5−78738号公報 この公知技術は、原子炉圧力容器内構造物の表面を水中
でウォータージェットを用いてピーニングすることによ
り、構造材表面の引張残留応力を効果的に圧縮残留応力
に転化するものである。
【0007】特開昭53−21021 号公報 この公知技術は、オーステナイト系ステンレス鋼管の外
周にコイルを設けて加熱した後、管内面に冷却水を噴出
して急冷することにより、管内表面の引張残留応力を圧
縮残留応力に転化するものである。
【0008】特開昭60−258409号公報 この公知技術は、金属材料の表面に低温の小球等を高速
で吹き付けてショットピーニングを行うことにより、材
料表面の引張残留応力を圧縮残留応力に転化するもので
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知技術には以下の課題が存在する。
【0010】すなわち、公知技術は、大気中において
ノズルから噴出するウォータージェットを材料表面に当
ててその衝突動圧でピーニングを行うものである。した
がって水中で処理する必要のある原子炉圧力容器内構造
物の場合には、金属表面に到達するまでに、周囲水の抵
抗によって噴流が拡散し流速が低下してしまうので、ピ
ーニング効果を有効に得ることができない。よって原子
炉圧力容器内構造物へ適用するのが困難であった。
【0011】また公知技術においては、ウォータージ
ェットの水撃作用によってのみピーニングを行うことか
ら、キャビテーションを発生させるだけの極めて大きな
流速が必要であり、よって装置に大馬力のポンプが必要
となる等、大がかりかつ複雑な構成となり好ましくなか
った。
【0012】さらに公知技術は、配管が適用対象であ
って対象物の外周に加熱コイルを巻き付ける構成である
ので大型構造物には適用できず、よって原子炉圧力容器
内構造物の残留応力改善に適用するのは困難であった。
【0013】また公知技術は、水中で小球等を吹き付
けるのは上記同様周囲水の抵抗により困難であり、ま
た炉内で作業を行う場合に吹き付けた小球等を回収する
ことが非常に面倒であるので原子炉圧力容器内構造物へ
の適用は困難であった。
【0014】本発明の第1目的は、熱衝撃ひずみを利用
することにより、簡易な構成で原子炉圧力容器内構造物
の残留引張応力を改善できる原子炉圧力容器内構造物の
残留応力改善方法を提供することであり、第2目的はそ
の方法を実施するに好適な装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記第1目的を達成する
ために、本発明の方法は、炉水が入れられた原子炉圧力
容器内で前記炉水中に浸漬されている炉内構造物表面の
第1の領域に対し、前記炉水及び前記炉内構造物のいず
れの温度よりも低温の水流(高速噴出水流によるウォ
ータージェットをノズルから噴出させ水中環境下で当て
ることにより前記第1の領域の表面層を冷却する第1の
手順と、前記第1の領域に対する前記ウォータージェッ
トの当たりを停止する第2の手順とを有する。
【0016】好ましくは、前記第2の手順は、前記ウォ
ータージェットを噴出しつつ前記ノズルを移動すること
により、前記ウォータージェットを前記原子炉圧力容器
内構造物表面の第2の領域に当てる手順である
【0017】また好ましくは、前記第2の手順は、前記
ノズルからの前記ウォータージェットの噴出を停止する
手順である
【0018】さらに好ましくは、前記ウォータージェッ
トの前記ノズルからの噴き出し初速度は100m/s以
上700m/s以下である
【0019】さらに好ましくは、前記ウォータージェッ
トの前記ノズルからの噴き出し初速度は200m/s以
上400m/s以下である。
【0020】さらに好ましくは、前記ウォータージェッ
トの前記ノズルからの噴き出し初速度は250m/s以
上350m/s以下である
【0021】さらに好ましくは、前記ウォータージェッ
トの水源として、原子炉水を冷却した低温水を昇圧して
用いる
【0022】さらに好ましくは、前記ウォータージェッ
トの水源として、原子炉外の低温水を昇圧して用いる
【0023】さらに好ましくは、前記ウォータージェッ
トの水源として、原子炉外の低温純水を昇圧して用い
【0024】さらに好ましくは、キャビテーション気泡
を内包する前記ウォータージェットを用いて前記第1の
領域のピーニングによる応力改善を行う。
【0025】さらに好ましくは、前記ノズルは、高圧水
流入方向と高速水流の噴出方向とが所定の角度を有する
エルボ型ノズルである
【0026】さらに好ましくは原子炉圧力容器内に接
続されたポンプを用いて前記原子炉圧力容器内と前記ポ
ンプとの間で炉水を循環させることにより前記原子炉圧
力容器内の炉水の温度を調整する
【0027】さらに好ましくは炉水の温度を40℃〜
80℃に調整する
【0028】上記第2目的を達成するために、本発明の
装置は、上記方法に使用する装置であって、前記ウォー
タージェットとして用いる水を冷却する冷却手段と、前
記冷却手段で冷却した前記を貯めるタンクと、前記タ
ンク内の前記を昇圧する昇圧手段と、前記昇圧手段で
昇圧した前記水を前記ウォータージェットとして噴射す
るノズルと、前記ノズルを移動する駆動装置とを備え
る。
【0029】
【作用】一般に、原子炉圧力容器内構造物には、機械加
工や溶接等により降伏応力に近い引張残留応力が始めか
ら存在していることが多い。
【0030】本発明においては、第1の手順で、この引
張応力残留状態の原子炉圧力容器内構造物表面の第1の
領域に対し、低温の高速噴出水流によるウォータージェ
ットを当てさせて冷却を行うことにより、この第1の領
域において、ウォータージェットがあたっている表面層
のみが低温となり表面層直下との間に過渡的な温度差Δ
Tが発生する。よって、この表面層に引張の熱衝撃応力
が加わって引張ひずみが生じるとともに、表面層が部分
的に降伏する。そして、第2の手順で、第1の領域に対
するウォータージェットの当たりが停止されすなわち冷
却が終了されて昇温されることにより、この温度差ΔT
がなくなり熱衝撃応力が消失するので、原子炉圧力容器
内構造物の第1の領域の表面層は部分的降伏状態から弾
性的に変形が戻り、引張応力が緩和された状態若しくは
圧縮残留応力状態に改善される。また、第2の手順で、
ウォータージェットを噴出しつつノズルを移動し、原子
炉圧力容器内構造物表面の第1の領域とは別の第2の領
域にウォータージェットを当てさせることにより、ノズ
ルからのウォータージェットの噴出を停止することな
く、第1の領域を昇温させる第2の手順を実現できる。
【0031】さらに、第2の手順で、ノズルからのウォ
ータージェットの噴出を停止することにより、ノズルを
移動させることなく、第1の領域を昇温させる第2の手
順を実現できる。
【0032】また、ウォータージェットのノズルからの
噴き出し初速度は100m/s以上700m/s以下で
あることにより、冷却における熱伝達率が高くなって急
冷効果が高められ、十分な残留応力改善効果を得ること
ができる。
【0033】さらに、ウォータージェットのノズルから
の噴き出し初速度は200m/s以上400m/s以下
であることにより、原子炉圧力容器内構造物から剥離し
たスケールが研削作用をなして有害効果をもたらす可能
性が少なく、かつ噴射反力や放射性環境の影響を考えて
も高圧ホース・高圧ポンプ等装置の十分な信頼性・耐久
性を得ることができる。
【0034】また、ウォータージェットのノズルからの
噴き出し初速度は250m/s以上350m/s以下で
あることにより、ノズルの操作性及び高圧ホース引き回
しにおける取扱い性が良好となる。
【0035】さらに、ウォータージェットの水源とし
て、原子炉水を冷却した低温水を昇圧して用いることに
より、改善処理作業中の炉水量がほぼ一定に保たれる。
【0036】また、ウォータージェットの水源として、
原子炉外の低温水を昇圧して用いることにより、ウォー
タージェットへの低温水供給手段を実現することができ
る。さらに、ウォータージェットの水源として、原子炉
外の低温純水を昇圧して用いることにより、作動水の添
加そのものによって高温炉水が汚れることがない。よっ
て炉水の汚染を最小にしつつウォータージェットへの低
温水供給手段を実現することができる。
【0037】また、ウォータージェットは、キャビテー
ション気泡を内包する高速ジェット水であることによ
り、高速乱流が生じて冷却効果が高まるので、より高い
熱衝撃応力を発生させ、残留応力改善効果を高めること
ができる。さらにこのキャビテーション気泡が表面に
たって崩壊する際に高圧力を発生し、原子炉圧力容器内
構造物の表面に面圧応力を誘起する。よって、ウォータ
ージェットによる熱的な残留応力改善効果に、いわゆる
ピーニングによる残留応力改善効果が加わり、最も高い
残留応力改善効果を得ることができる。
【0038】さらに、ノズルは、高圧水流入方向と高速
水流の噴出方向とが所定の角度を有するエルボ型ノズル
であることにより、狭い空間での作業においても原子炉
圧力容器内構造物表面に対しできるだけ直交して当たる
噴流とすることができ、より高い熱衝撃応力を発生させ
ることができる。
【0039】さらに、炉水をポンプで原子炉圧力容器と
の間で循環させることにより稼働中のポンプの発熱が循
環中の炉水に伝わり、その炉水を昇温する作用が得ら
れ、ノズルから噴出する流体の水温との差温を拡大して
より高い熱衝撃応力を発生させることができる。
【0040】さらに、前述のポンプによる炉水の昇温で
炉水を40℃〜80℃に調整してノズルから噴出する流
体の水温との差温を自然では得られにくいほどに拡大し
てより高い熱衝撃応力を発生させることをコントロール
された確実なものとする。
【0041】本発明の装置によれば、本発明の方法を実
施するのに適した装置が提供される。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図8により説
明する。
【0043】まず、本発明の原理を示すための実施例を
図2により説明する。すなわち、本発明は、原子炉圧力
容器内構造物表面に低温高速ウォータージェットを衝突
させることにより、引張熱衝撃応力を発生させて残留応
力を改善する方法である。この方法の原理を、図2に示
す装置を参照して説明する。
【0044】図2において、高温槽3の中に40℃〜1
00℃の高温水2が満たされており、この高温水2に水
没して金属体1がセットされている。また高温水2中に
は水没してノズル4が設けられており、高圧ポンプ5で
昇圧された低温(例えば20℃)の冷水6が導管7を介
しノズル4に導かれ、このノズル4から高速水流による
冷水ジェット8が噴射されて金属体1の表面に衝突す
る。そして、このようにして冷水ジェット8を噴射しつ
つ、ノズル4を金属体1の表面に沿って図示水平方向
(図示矢印参照)に移動させていく。
【0045】次に、本実施例の残留応力改善作用を図3
を用いて説明する。図3は、金属体1の応力σ−ひずみ
ε曲線である。縦軸の応力は上方が引張応力、下方が圧
縮応力を表し、横軸のひずみは右方向が引張ひずみ、左
方向が圧縮ひずみを表す。
【0046】一般に、機械加工や溶接等により、金属体
1の表面には降伏応力程度の引張残留応力が存在してい
ることが多い。この初期状態は図3の応力−ひずみ曲線
上では点で表される。
【0047】そして、金属体1の表面層は始め高温水2
と同温度であるが、冷水ジェットにより衝突される一定
の領域(以下適宜、衝突領域という)は、上記のように
冷水ジェット8で急冷されることにより表面層直下との
間に過渡的な温度差ΔTを発生する。そしてこの表面層
と表面層直下との温度差ΔTにより、表面層に熱衝撃に
よる引張応力Δσと引張ひずみΔεとが発生する。この
ときの引張応力Δσ及び引張ひずみΔεはそれぞれ、 Δε={α×ΔT/(1−ν)}×F Δσ=E×Δε α:線膨張係数 ν:ポアソン比 F:ひずみ拘束度係数(この場合F≒1) E:縦弾性係数 で表される。ここで例えば原子炉点検時における残留応
力改善作業を想定した場合、オーステナイトステンレス
鋼又はインコネルの物性を考慮して線膨張係数α=17
×10-6,ポアソン比ν=0.3 ,ひずみ拘束度係数F
=1,E=2×105MPa とし、また点検時の炉水に
おける比較的高い水温を考慮してΔT=60℃とする
と、発生する引張応力Δσ≒300MPaとなり、また
引張ひずみΔε≒0.15% となる。
【0048】このとき金属体1に加工等による初期残留
応力が存在しなければ、金属体1に約300MPaの熱
衝撃応力がそのまま発生することになるが、前述のよう
に既に降伏応力に近い引張応力が残留している場合は、
Δε≒0.15% のひずみが加わる一方で表面層は部分
的に降伏するので応力はそれほど高くはならず、すなわ
ち図3において点から点へと移動する。
【0049】その後、冷水ジェット8の衝突により急冷
された金属体1の衝突領域が再び高温水2と同じ温度に
昇温されることにより、過渡的に生じた温度差ΔTは消
失する。よって先に発生した熱衝撃応力が消失し、金属
体1表面層の衝突領域は部分的降伏状態から弾性拘束に
より弾性的に変形が戻り、図3においてからへと移
動する。
【0050】すなわち、本実施例の残留応力改善方法に
おいては、以上の原理により、はじめの引張残留応力
状態であったものを、の圧縮残留応力状態に改善する
ことができる。
【0051】なお、冷水ジェット8があまり低温でなく
表面層と表面層直下との過渡的温度差ΔTが比較的低い
場合であっても、その値に応じて図3における点→点
→点のように変化させることができ、初期の引張残
留応力状態である点の状態からより引張応力の小さい
の状態へと改善することができる。
【0052】また、上記実施例においては通常のノズル
4を用いたが、これに代わって例えばキャビテーション
を促進するタイプのノズルを用いてもよい。このタイプ
のノズルとしては、特開平4−362124 号公報に一例が示
されており、本発明においても採用できる。
【0053】キャビテーションを促進するタイプのノズ
ルを用いた例を図4により説明する。図2と同等の部材
には同一の符号を付す。
【0054】図4において、図2に示された原理を示す
実施例と異なる点は、導管7の先にノズル4でなくキャ
ビテーションを促進するタイプのノズル18(例えばジ
ェット水噴き出し形状が末広がりのホーン型ノズル)を
設け、これによりキャビテーション気泡を内包する冷水
キャビテーション噴流19を噴射することである。その
他の構成は図2の実施例と同様である。
【0055】以上のように構成した本実施例によれば、
キャビテーション気泡を内包する冷水キャビテーション
噴流19を用いるので、高速乱流が生じて冷却効果が高
まってより高い熱衝撃応力が発生し、残留応力改善効果
を高めることができる。またこのキャビテーション気泡
が表面に衝突して崩壊する際に高圧力を発生し、金属体
1の表面に面圧応力を誘起するので、熱的な残留応力改
善効果に、いわゆるピーニングによる残留応力改善効果
が加わり、最も高い残留応力改善効果を得ることができ
る。
【0056】次に、上記原理に基づく本発明の第1の実
施例を図1及び図5並びに図6により説明する。本実施
例は、上記原理に基づき沸騰水型原子炉の炉心シュラウ
ドの残留応力の改善を行う実施例である。
【0057】まず、本実施例による原子炉圧力容器内構
造物の残留応力改善方法を行うのに先立ち、原子炉21
の圧力容器9の上蓋が外されて図示しない蒸気乾燥器・
気水分離器・燃料集合体が順次撤去され、上部格子板1
0の上まで完全に高温(40℃〜100℃)、好ましく
は炉水が沸騰して炉水中の残留応力改善作業の監視等、
作業がしにくくなるのを防止、あるいは後述の再循環ポ
ンプに無理がかから無いようにするために、余裕を持た
せて40℃〜80℃、の炉水11で水没状態とする。こ
の状態を図5に示す。
【0058】またこの炉水11の温度は、以下のように
高温とする。
【0059】図1のごとく、原子炉圧力容器内の炉水を
ノズルAから再循環配管Bを通して再循環ポンプCで吸
込み、原子炉圧力容器内のジェットポンプDに供給し、
そのジェットポンプDの出口Eから原子炉圧力容器内に
吹き出し、炉水は図1の点線矢印のように流動する。
【0060】このように原子炉圧力容器内と再循環ポン
プとの間で炉水を循環しているうちに、再循環ポンプの
稼働中における摩擦に基づく発熱が炉水に伝わり、炉水
を昇温する。
【0061】その再循環ポンプの駆動時間や駆動動力を
制御することにより炉水の温度をコントロールする。
【0062】再循環ポンプの代わりに原子炉圧力容器内
と循環流路を構成する他のポンプを駆動してポンプの摩
擦熱で炉水水温を調整することであってもよいが、再循
環ポンプを炉水の昇温の為に使用すれば、再循環ポンプ
自体が原子炉圧力容器に最初から付随しているから、新
たにポンプを用意したり、加熱器を原子炉圧力容器内に
用意する必要が無くて残留応力改善作業が容易である。
【0063】次に、原子炉21外に設けられた低温水タ
ンク12及び高圧ポンプ15に導管17を介し接続され
たノズル14を、図示しない駆動機構で圧力容器9内に
導入し、炉心シュラウド13の所定の位置に対向するま
で移動させる。この駆動機構は、例えば特開平5−78738
号公報に記載のウォータージェットピーニング装置の構
成と同様のものであり、すなわち、圧力容器9の上部に
設けられ圧力容器9の周方向に移動自在な周方向移動台
車と、その周方向移動台車の上面に設けられ圧力容器9
の径方向に移動自在な径方向移動台車と、径方向移動台
車に吊設され複数段に分割されて上下方向に伸縮するマ
ストとを有しており、ノズル14はそのマストの再下端
に取り付けられている。
【0064】また特に図示しないが、導管17も例えば
この駆動機構のマスト同様に分割された構造となってお
り、上下方向又は径方向に伸縮可能である。
【0065】このような駆動機構及び導管17の構成に
より、導管17の高圧ポンプ15への接続を維持しつ
つ、ノズル14は圧力容器9の径方向・上下方向へ移動
され圧力容器9内の所定の位置へスムーズに導入され
る。
【0066】次に、低温水タンク12の冷水(例えば2
0℃)を高圧ポンプ15で昇圧して導管17に供給し、
これをノズル14から高速の冷水ジェット8として高温
の炉水11中の炉心シュラウド13の所定の場所に衝突
させる。この状態を図1に示す。
【0067】このとき、冷水ジェット8と炉心シュラウ
ド13表面層との熱伝達率を高くして急冷効果を高め、
十分な残留応力改善効果を得るために、冷水ジェット8
の噴射速度は100m/s以上が好ましく、かつ高圧ポ
ンプ15の性能上の制限により700m/s以下が好ま
しい。
【0068】さらに、冷水ジェット8がある程度高速と
なると炉心シュラウド13からスケールが剥離しこのス
ケールが研削作用をなして有害効果をもたらす可能性が
あること、及び噴射反力・放射線環境の厳しさから高圧
ホース・高圧ポンプ等の装置の信頼性・耐久性に十分な
余裕を見込む必要があること、を考慮すると冷水ジェッ
ト8の噴射速度は200m/sから400m/sが好ま
しい。
【0069】またさらにノズルの操作性・高圧ホースの
引き回しの取扱い性を考慮すると250m/sから35
0m/sが最も好ましい。
【0070】その後、このノズル14からの冷水ジェッ
ト8の噴出を継続したまま、前述した図示しない駆動機
構によりノズル14を上下方向に移動させ、ノズル14
を往復させて同一の場所について複数回繰り返し冷水ジ
ェット8を衝突させる。ノズル14が下方に移動した状
態を図6に示す。またこのときの移動方向は上下方向で
なく径方向又は周方向であってもよく、あるいは上下方
向移動と径方向移動又は周方向移動とを同時に行っても
良い。
【0071】本実施例によれば、まず、引張応力残留状
態の炉心シュラウド13表面において冷水ジェット8が
衝突し冷却を行うので、表面層に引張の熱衝撃応力が加
わって引張ひずみが生じるとともに表面層が部分的に降
伏する。その後、ノズル14が移動されてその部分的に
降伏した表面層には冷水ジェット8が衝突しなくなり、
同時に高温の炉水11で昇温される。よって表面層に加
わっていた熱衝撃応力が消失するので、この表面層は部
分的降伏状態から弾性的に変形が戻り、引張応力が緩和
された状態若しくは圧縮残留応力状態に改善される。し
たがって応力腐食割れの発生を防止することができる。
そしてこのとき分解・解体をする必要がなく、しかも簡
易な構成で簡単に作業を行うことができる。
【0072】またこのとき炉心シュラウド13表面層に
酸化スケール・汚濁物が付着していた場合には、酸化ス
ケール・汚濁物が冷水ジェット8の急冷により収縮して
表面層との境界でせん断ひずみが発生し、これらの剥離
が容易となる。すなわち炉心シュラウド13表面汚染物
の洗浄を促進することができる。よってこれら酸化スケ
ール等に誘起される隙間加速応力腐食割れ,疲労割れ等
を防止できる。さらに、ノズル14を往復させて同じ場
所に繰り返して冷水ジェット8の噴出を行うので、洗浄
作用がより一層高められる。
【0073】なお、上記実施例においては、残留応力の
改善を行う対象である原子炉圧力容器内構造物として、
炉心シュラウド13を例として挙げたが、これに限られ
るものではなく、他の炉内機器や壁面等にも適用でき
る。
【0074】また、上記実施例においては、ノズル14
から噴出される冷水ジェットの温度を20℃としたが、
これに限られず、炉水11及び対象となる原子炉圧力容
器内構造物のいずれの温度よりも低温であればよくこの
場合も同様の効果を得るが、温度差が大きいほど熱衝撃
応力による十分な残留応力改善効果が期待できるので、
冷水ジェット8の温度は0℃〜40℃が好ましい。
【0075】さらに、上記実施例においては、ノズル1
4から冷水ジェット8を噴出しつつノズル14を移動さ
せることにより、冷水ジェット8による表面層の急冷と
その後の炉水11による表面層の昇温を実現したが、こ
れに限られず、例えば導管17に開閉可能な弁手段等を
設け、ノズル14を固定したままこの弁手段を閉じ状態
とすることによりノズル14からの冷水ジェット8の噴
出を停止させてもよく、この場合も同様の効果を得る。
この方法は、例えば複数個のノズル14を設け、対象と
なる原子炉圧力容器内構造物の広い範囲にわたって残留
応力改善を一度に又は短期間に行う場合に特に好適であ
る。
【0076】また、上記実施例においては、導管17の
先に通常のノズル14を設けたが、図4に示した変形例
におけるキャビテーションを促進するタイプのノズル1
8を用いることもでき、この場合前述したように最も高
い残留応力改善効果を得ることができるとともに、表面
汚染物の洗浄効果についても、最も高い効果を得ること
ができる。
【0077】本発明の第2の実施例を図7により説明す
る。本実施例は、冷水ジェットの水に純水を使用する場
合の実施例である。
【0078】本実施例の残留応力の改善方法における、
冷水ジェットを噴出させる手順を図7に示す。第1の実
施例と同等の部材には同一の符号を付す。
【0079】図7において、第1の実施例で図1に示し
た手順と異なる点の1つは、低温水タンク12の代わり
に低温純水タンク28を設け、これによって作動水とし
て純水を使用することである。すなわち、低温純水タン
ク28内の純水は高圧ポンプ15で昇圧されて、導管1
7を介しノズル14から高速の純水冷水ジェット16と
して噴出する。
【0080】また図7において図1と異なるもう1つの
点は、剥離した酸化スケールや汚濁物を吸い上げる吸引
ホース27を設けたことである。この吸引ホース27
は、ノズル14と同様の図示しない駆動機構により又は
ノズル14の駆動機構により圧力容器9内に導入され、
ノズル14と同様に上下方向・径方向に移動可能であ
る。また吸引ホース27は、圧力容器9外において図示
しない汚染物処理装置に接続されており、吸引された酸
化スケール等はこの汚染物処理装置において処理され
る。なお吸引ホース27で吸引しきれなかったものは、
原子炉21に備付けられた図示しない浄化装置で炉水循
環処理される。
【0081】上記以外の構成及び手順は第1の実施例と
ほぼ同様である。
【0082】本実施例によれば、作動水に純水を用い純
水冷水ジェット16をノズル14から噴出するので、作
動水の添加そのものによっては炉水11が汚れることは
ない。よって炉水の汚染を最小限に抑えることができ
る。
【0083】なお、上記実施例においては、低温純水タ
ンク28を設けたが、これを設けず、炉水補給その他の
作業のために原子力プラントに備えらている純水貯水タ
ンクから分岐する配管を設けこの配管を介し純水を得る
構成でも良く、この場合別途タンクを設ける必要がない
という効果がある。またこの純水貯水タンク内の純水の
温度は約20℃であるので、そのまま純水冷水ジェット
16の作動水に用いるのに好適である。
【0084】また、上記実施例においては、作動水に原
子炉外の水を用いたが、これに代わって原子炉水を用い
ても良い。この変形例を図8を用いて説明する。図7と
同等の部材には同一の符号を付す。
【0085】図8において、図7に示した第2の実施例
と異なる点は、吸引ホース27が、吸引ポンプ31を介
して、汚染物と純水とを分離する浄化装置32及び冷却
器33に接続され、さらに炉水冷水タンク29に接続さ
れていることである。すなわち、吸引ホース27から吸
引された炉水は、浄化装置32で汚染物が分離されて浄
化され冷却器33で冷却された後、炉水冷水タンク29
に供給される。炉水冷水タンク29内の炉水は高圧ポン
プ15で昇圧されて、導管17を介しノズル14から高
速の炉水冷水ジェット30として噴出する。なお浄化装
置32で分離された汚染物は、図示しない汚染物処理装
置に送られて処理される。
【0086】本変形例によれば、第2の実施例同様、作
動水の添加によって炉水11が汚れることがない。また
炉水冷水ジェット30と高圧ポンプ15への供給水とが
閉ループとなることから原子炉内の炉水11がほぼ一定
に保たれるので、処理終了時の炉内水位調整がほとんど
不要となるか、若しくは著しく簡略化できる。また冷却
器33を設けたので、温度差Δを大きくすることがで
き、大きな残留応力改善効果を得ることができる。
【0087】本発明の第3の実施例を図9により説明す
る。本実施例は、ノズルとしてエルボ型ノズルを用いる
場合の実施例である。
【0088】本実施例の残留応力の改善方法における、
冷水ジェットを噴出させる手順を図9に示す。第1及び
第2の実施例と同等の部材には同一の番号を付す。
【0089】図9において、第1の実施例と異なる点
は、導管17を介した冷水の流入方向(図示下方向の矢
印参照)と高速の冷水ジェット25の噴出方向が角度θ
をなすエルボ型ノズル24を用い、例えば図示するよう
な円筒状部材34内の狭い空間26においても作業可能
としたことである。その他のノズル以外の構成及び手順
等は第1の実施例とほぼ同様である。
【0090】本実施例によれば、ノズルとしてエルボ型
ノズル24を用いるので、スペースの広いところのみな
らず、狭い空間26における作業においても冷水ジェッ
ト25を原子炉圧力容器内構造物表面に対して直交衝突
噴流とすることができる。よって、より高い熱衝撃応力
を発生させることができ、残留応力改善効果と洗浄効果
とを高めることができる。
【0091】なおθは180°から90°まで、作業す
る空間26の狭隘の程度に応じて選ばれるが、より高い
残留応力改善効果と洗浄効果とを得る観点から90°が
望ましい。
【0092】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、次の効果が得
られる。即ち、第1の手順で、この引張応力残留状態の
原子炉圧力容器内構造物表面の第1の領域に対し、低温
の高速噴出水流によるウォータージェットを当てさせて
冷却を行うので、表面層に引張の熱衝撃応力が加わって
引張ひずみが生じるとともに表面層が部分的に降伏す
る。そして、第2の手順で、第1の領域に対するウォー
タージェットの当たりが停止されすなわち冷却が終了さ
れて昇温されるので、熱衝撃応力が消失して原子炉圧力
容器内構造物の第1の領域の表面層は部分的降伏状態か
ら弾性的に変形が戻り、引張応力が緩和された状態若し
くは圧縮残留応力状態に改善される。よって応力腐食割
れの発生を防止することができる。またこのとき表面層
に酸化スケール・汚濁物が付着していた場合には、酸化
スケール・汚濁物が急冷により収縮して表面層との境界
でせん断ひずみが発生しこれらの剥離が容易となるの
で、原子炉圧力容器内構造物表面汚染物の洗浄を促進す
ることができる。よってこれら酸化スケール等に誘起さ
れる隙間加速応力腐食割れ,疲労割れ等を防止できる。
そしてこのとき作業対象の原子炉機器の分解・解体をす
る必要がなく、しかも簡易な構成で簡単に作業を行うこ
とができる。
【0093】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、ノズルを移動することによりノズ
ルからの噴流の当たる位置が移動して第2手順が施さ
れ、更にはその移動先である次の部位に対する残留応力
改善作業の第1手順が間断無く行える効果が得られる。
【0094】請求項3の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、ノズルからの噴流を停止すること
により簡単に残留応力改善作業の第2手順が達成でき
る。
【0095】請求項4の発明によれば、請求項1,2,
3のいずれか一項の発明による効果に加えて、ウォータ
ージェットのノズルからの噴き出し初速度は100m/
s以上700m/s以下であるので、冷却における熱伝
達率が高くなって急冷効果が高められ、十分な残留応力
改善効果を得ることができる。よって、十分な残留応力
改善効果を得ることができる。
【0096】請求項5の発明によれば、請求項1,2,
3のいずれか一項の発明による効果に加えて、請求項4
の発明で得られる効果を得る際にあたり、さらに、ウォ
ータージェットのノズルからの噴き出し初速度は200
m/s以上400m/s以下であるので、原子炉圧力容
器内構造物から剥離したスケールが研削作用をなして有
害効果をもたらす可能性が少なく、かつ噴射反力や放射
性環境の影響を考えても、高圧ホース・高圧ポンプ等装
置の十分な信頼性・耐久性を得ることができる。
【0097】請求項6の発明によれば、請求項1,2,
3のいずれか一項の発明による効果に加えて、請求項
4,5の発明で得られる効果を得る際にあたり、ウォー
タージェットのノズルからの噴き出し初速度は250m
/s以上350m/s以下であるので、ノズルの操作性
及び高圧ホース引き回しにおける取扱い性が良好とな
る。
【0098】請求項7の発明によれば、請求項1〜6
いずれか一項の発明による効果に加えて、ウォータージ
ェットの水源として、原子炉水を冷却した低温水を昇圧
して用いるので、改善処理作業中の炉水量がほぼ一定に
保たれ、改善処理終了後の炉内水位調整がほとんど不要
となるか若しくは著しく簡略化できる。
【0099】請求項8の発明によれば、請求項1〜6
いずれか一項の発明による効果に加えて、ウォータージ
ェットの水源として、原子炉外の低温水を昇圧して用い
るので、原子炉水を用いるのに比べて原子炉水の汲み上
げ系統と汲み上げた原子炉水による放射能汚染対策設
備、並びにその放射線汚染した設備の廃棄作業量が減少
する効果が得られる。
【0100】請求項9の発明によれば、請求項1〜6
いずれか一項の発明による効果に加えて、ウォータージ
ェットの水源として、原子炉外の低温純水を昇圧して用
いるので、作動水の添加そのものによって原子炉圧力容
器内の高温炉水が汚れることがない。よって炉水の汚染
を最小限に抑えることができる。このとき炉水補給その
他の作業のために原子力プラントに備えられている純水
貯水タンクを流用することができ、この場合、別途低温
水供給手段を設ける必要がない。
【0101】請求項10の発明によれば、請求項1〜9
のいずれか一項の発明による効果に加えて、ウォーター
ジェットは、キャビテーション気泡を内包する高速ジェ
ット水であるので、高速乱流が生じて冷却効果が高まる
ので、より高い熱衝撃応力を発生させ、残留応力改善効
果を高めることができる。またこのキャビテーション気
泡が表面に当たって崩壊する際に高圧力を発生し、原子
炉圧力容器内構造物の表面に面圧応力を誘起する。よっ
て、ウォータージェットによる熱的な残留応力改善効果
に、いわゆるピーニングによる残留応力改善効果が加わ
り、最も高い残留応力改善効果を得ることができる。ま
たこのとき原子炉圧力容器内構造物表面汚染物の洗浄に
ついても、最も高い効果を得ることができる。
【0102】請求項11の発明によれば、請求項1〜1
のいずれか一項の発明による効果に加えて、ノズル
は、高圧水流入方向と高速水流の噴出方向とが所定の角
度を有するエルボ型ノズルであるので、ノズルの向きを
変えられないほどに狭い空間での作業においても原子炉
圧力容器内構造物表面に対しできるだけ直交して当たる
噴流状態に近づけることができ、その表面に高い熱衝撃
応力を発生させることができる。よって残留応力改善効
果・洗浄効果を高めることができる。
【0103】請求項12の発明によれば、請求項1〜1
1のいずれか一項の発明による効果に加えて、ポンプで
炉水を循環することにより炉水温度を高めに調整でき、
且つ循環による撹拌効果で炉水温度の不均一化が抑制で
き、高い熱衝撃応力で確実に残留応力改善効果が得られ
る。
【0104】請求項13の発明によれば、請求項12の
発明による効果に加えて、炉水温度を沸騰領域に近づけ
ること無く、残留応力改善作業が行いやすい。
【0105】請求項14の発明によれば、請求項1の方
法を実施するのに適した装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による残留応力改善方法
の手順を示す断面図である。
【図2】本発明の原理を示す実施例による残留応力改善
方法の手順を示す断面図である。
【図3】図2に示した金属体の応力−ひずみ曲線図であ
る。
【図4】本発明の原理を示す実施例の変形例による残留
応力改善方法の手順を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例による残留応力改善方法
の手順を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例による残留応力改善方法
の手順を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例による残留応力改善方法
の手順を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例による残留応力改善方法
の手順を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施例の変形例による残留応力
改善方法の手順を示す断面図である。
【符号の説明】
1…金属体、2…高温水、3…高温槽、4,14…ノズ
ル、5,15…高圧ポンプ、6…冷水、7,17…導
管、8,25…冷水ジェット、9…圧力容器、10…上
部格子板、11…炉水、12…低温水タンク、13…炉
心シュラウド、16…純水冷水ジェット、18…キャビ
テーションを促進するタイプのノズル、19…冷水キャ
ビテーション噴流、21…原子炉、24…エルボ型ノズ
ル、26…狭い空間、27…吸引ホース、28…低温純
水タンク、29…炉水冷水タンク、30…炉水冷水ジェ
ット、31…吸引ポンプ、32…浄化装置、33…冷却
器、34…円筒状部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 和雄 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 林 英策 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 守中 廉 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 服部 成雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 佐藤 一教 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 バブコック日立株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−79626(JP,A) 特開 平2−284790(JP,A) 特開 昭57−56191(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24C 1/10

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉水が入れられた原子炉圧力容器内で前記
    炉水中に浸漬されている炉内構造物表面の第1の領域に
    対し、前記炉水及び前記炉内構造物のいずれの温度より
    も低温の水流によるウォータージェットをノズルから噴
    出させ水中環境下で当てることにより前記第1の領域の
    表面層を冷却する第1の手順と、 前記第1の領域に対する前記ウォータージェットの当た
    りを停止する第2の手順と、を有することを特徴とする
    原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の原子炉圧力容器内構造物の
    残留応力改善方法において、前記第2の手順は、前記ウ
    ォータージェットを噴出しつつ前記ノズルを移動するこ
    とにより、前記ウォータージェットを前記原子炉圧力容
    器内構造物表面の第2の領域に当てる手順であることを
    特徴とする原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の原子炉圧力容器内構造物の
    残留応力改善方法において、前記第2の手順は、前記ノ
    ズルからの前記ウォータージェットの噴出を停止する手
    順であることを特徴とする原子炉圧力容器内構造物の残
    留応力改善方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載の原子
    炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、前記
    ウォータージェットの前記ノズルからの噴き出し初速度
    は100m/s以上700m/s以下であることを特徴
    とする原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれか一項に記載の原子
    炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、前記
    ウォータージェットの前記ノズルからの噴き出し初速度
    は200m/s以上400m/s以下であることを特徴
    とする原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれか一項に記載の原子
    炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、前記
    ウォータージェットの前記ノズルからの噴き出し初速度
    は250m/s以上350m/s以下であることを特徴
    とする原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜のいずれか一項に記載の原子
    炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、前記
    ウォータージェットの水源として、原子炉水を冷却した
    低温水を昇圧して用いることを特徴とする原子炉圧力容
    器内構造物の残留応力改善方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜のいずれか一項に記載の原子
    炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、前記
    ウォータージェットの水源として、原子炉外の低温水を
    昇圧して用いることを特徴とする原子炉圧力容器内構造
    物の残留応力改善方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜のいずれか一項に記載の原子
    炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、前記
    ウォータージェットの水源として、原子炉外の低温純水
    を昇圧して用いることを特徴とする原子炉圧力容器内構
    造物の残留応力改善方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜のいずれか一項に記載の原
    子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、
    ャビテーション気泡を内包する前記ウォータージェット
    を用いて前記第1の領域のピーニングによる応力改善を
    行うことを特徴とする原子炉圧力容器内構造物の残留応
    力改善方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、
    前記ノズルは、高圧水流入方向と高速水流の噴出方向と
    が所定の角度を有するエルボ型ノズルであることを特徴
    とする原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれか一項に記載の
    原子炉圧力容器内構造物の残留応力改善方法において、
    原子炉圧力容器内に接続されたポンプを用いて前記原子
    炉圧力容器内と前記ポンプとの間で炉水を循環させるこ
    とにより前記原子炉圧力容器内の炉水の温度を調整する
    ことを特徴とする原子炉圧力容器内構造物の残留応力改
    善方法。
  13. 【請求項13】請求項12記載の原子炉圧力容器内構造
    物の残留応力改善方法において、炉水の温度を40℃〜
    80℃に調整することを特徴とする原子炉圧力容器内構
    造物の残留応力改善方法。
  14. 【請求項14】請求項1に記載の方法に使用する装置で
    あって、前記ウォータージェットとして用いる水を冷却
    する冷却手段と、前記冷却手段で冷却した前記を貯め
    るタンクと、前記タンク内の前記を昇圧する昇圧手段
    と、前記昇圧手段で昇圧した前記水を前記ウォータージ
    ェットとして噴射するノズルと、前記ノズルを移動する
    駆動装置とを備えた原子炉圧力容器内構造物の残留応力
    改善装置。
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