JPH07328860A - ウォータージェットピーニング装置およびウォータージェットピーニング法 - Google Patents

ウォータージェットピーニング装置およびウォータージェットピーニング法

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JPH07328860A
JPH07328860A JP12920094A JP12920094A JPH07328860A JP H07328860 A JPH07328860 A JP H07328860A JP 12920094 A JP12920094 A JP 12920094A JP 12920094 A JP12920094 A JP 12920094A JP H07328860 A JPH07328860 A JP H07328860A
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JP
Japan
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water
cooling water
temperature
furnace
reactor
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JP12920094A
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English (en)
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Kazunori Satou
一教 佐藤
Fumio Manabe
二三夫 真鍋
Katsuya Shigehiro
勝矢 重弘
Toshio Matsubara
敏夫 松原
Koichi Kurosawa
孝一 黒沢
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Hitachi Ltd
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P10/20Recycling

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炉内冷却水の水温レベルを適正化し、また、
気泡核の調整を図ることができるウォータージェットピ
ーニング装置およびウォータージェットピーニング法を
提供する。 【構成】 キャビテーションを伴う水中高速水噴流10
7を衝突させることにより、原子炉圧力容器構造物の残
留応力改善を行うウォータージェットピーニング法にお
いて、ピーニング施工前あるいはピーニング施工中に、
原子炉冷却水再循環ポンプ102を駆動し、炉内および
冷却水ループ内で冷却水を循環させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キャビテーションを伴
う水中高速水噴流を衝突させることにより、原子炉圧力
容器構造物の残留応力改善を行うウォータージェットピ
ーニング装置およびウォータージェットピーニング方法
に係り、特に炉内水温を好適なピーニング施工条件にす
るための水温制御および炉内水の攪拌技術に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】応力腐食割れ(SCC)を起こすポテン
シャルのある構造物に対して、鋼球(ショット)を気流
の勢いを借りて吹きつけるショットピーニングによる処
理を行うことにより、残留応力を引張方向から圧縮方向
へ改善するピーニング方法が知られている。
【0003】このピーニング技術は、残留応力除去対策
として、各種機械構造物あるいは部品加工時に広く用い
られている。
【0004】しかし、このようなショットピーニング操
作のできない環境でありながら、是非ともピーニングし
なければならない構造物もある。その代表例が、軽水炉
の如く冷却水を張ったような特殊な大型熱交換器であ
る。水を抜くことは難しい作業であるし、ショットの回
収は不可能に近い。鋼球の代わりに氷粒を用いれば(ク
ライオブラストと呼ばれる)回収は不要であるが、経済
的なメリットが出にくいし、施工部位が氷粒で冷却さ
れ、熱応力が発生する可能性や、局部的な低温脆性破壊
(亀裂)が生じる恐れがある。
【0005】高速ウォータージェットの利用は、ユニー
クな加工、採鉱、あるいは洗浄技術として知られるが、
これを表層応力改善に利用する試みが特開昭62−63
614号公報に開示されている。水噴流によるピーニン
グは、水冷効果もあって、局所的な温度上昇を防げると
いうメリットもある。
【0006】しかし、これは水噴流の軸上動圧力を有効
に利用できる大気(気相)中の作業であり、この技術を
水中水噴流によるピーニングとしてそのまま適用できる
保証はない。水中では噴流軸動圧力の減衰がかなり速
い。これは周囲水の抵抗と同相であるがために噴流の拡
散が速いことに起因する。水中で気相中噴流なみの軸上
動圧力を得るためには、超高圧が必要になり、コスト的
にも大変不利な技術になってしまう。
【0007】一方、水中水噴流には、噴流と周囲水との
剪断作用によるキャビテーションが発生する。このキャ
ビテーションをうまくコントロールして発生した気泡を
効果的に利用できれば、あまり噴射圧力を高めずに(す
なわち、超高圧ポンプを用いずに)、気相中水噴流なみ
の効果を上げることができると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】水中の高速水噴流には
激しいキャビテーションが発生する。停止中の原子炉圧
力容器の冷却水中において、溶接部を中心とする構成材
に対し、前述のようなキャビテーションを伴う高速水噴
流を衝突させれば、残留応力を引張方向から圧縮方向へ
と改善することができる。
【0009】このような施工例を図7に示す。一般にこ
の技術をウォータージェットピーニング(WJP)と呼
んでいる。なお、図において、701はノズル、702
は高圧水、703はキャビテーションを伴う水中水噴
流、704は下鏡、705は炉内冷却水、706は貫通
円管体、707はスタブチューブ、708,709は溶
接部である。
【0010】原子炉圧力容器内の冷却水中でピーニング
施工する場合、この圧力容器が巨大であるため、容器の
高さ方向に対して、水温や水中の含有基体量(キャビテ
ーションの気泡核となる)に大きな分布が生じる。これ
ら水温や含有基体量は、キャビテーションの形態に対し
て重要な役割を果たす。
【0011】まず、水温の影響について述べる。炉内の
冷却水の水温が凝固点(氷点)に近ければ、水中に浮遊
する気泡核の揺らぎも小さく、キャビテーション気泡は
活性化されず、数少ないながら成長してもその成長速度
は遅く、材料に及ぼす力学的影響力も乏しい。
【0012】一方、炉内冷却水の平均的水温が飽和温度
(沸騰点)に近い場合、もし、水中に局所的な温度の偏
差があれば、僅かな水中の乱れによって沸騰(boil
ing)が起き始める。
【0013】特に、水中高速水噴流のように著しく激し
い乱れを伴う場合には、このような沸騰現象が活発にな
ってくる。炉内冷却水中にある気泡核が、沸騰現象に費
やされれば、いわゆる水からの「脱気」効果になってし
まい、結果的にキャビテーションは抑制される。
【0014】以上のような問題のために、ピーニング施
工に際しては、炉内冷却水を適切な水温範囲に調節する
必要がある。ピーニング施工に対しては、周囲水圧が大
気圧に近い炉胴体の上方部の場合を例にとれば、水温は
10〜90℃の範囲に、さらに望ましくは40〜60℃
の水温領域にコントロールするのがよい。
【0015】しかるに、定期点検で原子炉を停止する
と、炉内冷却水の水温は低下し続けるが、ピーニング施
工前あるいはピーニング施工中に昇温する必要がある。
【0016】図6に示すような投げ込みヒータ方式で
は、巨大な熱容量を有する原子炉に適用する場合、水温
の上昇速度が遅く、最適な水温に達するまでに長時間待
機しなければならない。作業者が格納容器を外した建屋
内で待機することを考慮すれば、被爆抑制という観点か
らも好ましいとは言えない。
【0017】また、同じく図6のような攪拌器618を
用いても、炉内の冷却水中に大きな循環流れは作りにく
い。結果的に図6のような施工システムは、小型の設備
を対象とする場合には適していても、原子炉圧力容器全
体を対象とするケースでは効果的とは言いがたい。
【0018】なお、図6において、601は容器、60
2はノズル、603は激しいキャビテーションを伴う噴
流、604は加工対象物、605は高圧噴射ポンプ、6
06は貯水槽、607は熱源、608はヒータ(あるい
はクーラ)、609はヒータヘッド、610はヒータ
(あるいはクーラ)、611は循環ポンプ、612はバ
ルブ、613はフィルタ、614はリザーバ、615は
水、616は温度センサ、617はコントローラ、61
9は温度センサ、620はコントローラ、621は水で
ある。
【0019】一方、炉内の冷却水中には、キャビテーシ
ョン気泡核が量的な分布を以て存在している。炉内挿入
物を出し入れするために、空気が溶け込む冷却水の水面
近くは含有気体量が多い。
【0020】これに対し、圧力容器の底部では、逆に含
有気体量が少なくなっている。実際の冷却水水面は、圧
力容器胴体の上部にあるウエル(井戸状構造体)にある
ため、そこの含有気体がキャビテーション気泡核として
特に炉底部のピーニング施工に寄与することは実質的に
あり得ない。従って、圧力容器の冷却水を大規模に強制
循環させてやる必要がある。
【0021】水中において、キャビテーション現象を利
用してピーニング施工する場合、多くのキャビテーショ
ン気泡は潰れて消滅するが、一部の気泡が炉内冷却水中
に残り浮遊する。原子炉の再起動時を考えれば、これら
の気泡を速やかに水面から排出しなければならない。
【0022】即ち、フラッシング(脱気)作業をできる
だけ短縮したい訳であり、このことからも炉内冷却水中
に大規模な循環を強制的に作り出す必要がある。
【0023】原子炉のような大型容器の場合、軽水炉の
炉内冷却水循環システムをうまく利用するのが得策であ
る。
【0024】本発明の目的は、上記した問題点を解決
し、炉内冷却水の水温レベルを適正化し、また、気泡核
の調整を図ることができるウォータージェットピーニン
グ装置およびウォータージェットピーニング法を提供す
ることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、以下のような構成、方法を採用する。
【0026】すなわち、ピーニング施工前あるいはピー
ニング施工中に、原子炉に付設されている再循環ポンプ
により、冷却水ループ〔原子炉圧力容器(RPV)再循
環水出口ノズル→再循環ポンプ→RPV再循環水入口ノ
ズル〕に冷却水を循環し、冷却水の温度をコントロール
(主として上昇)する。
【0027】また、再循環ポンプにより炉内冷却水を攪
拌することにより、 (1)炉内水温の分布をなくして均一化する。 (2)含有気体量(キャビテーション気泡核の量)の分
布をなくし均一化する。 このような手法を用いることで、炉内冷却水中におい
て、局所的な高温部(沸騰点に達する部分)あるいは低
温部が消滅し、また、気泡核量も極端に多い個所や少な
い領域もなくなり、水中水噴流に発生するキャビテーシ
ョン状態の再現性が確保される。
【0028】
【作用】上記した本発明による手段を用いると、即ち、
WJPの施工前あるいはWJPの施工中に、再循環ポン
プにより炉内冷却水を冷却水ループ内において循環する
ことにより、以下に記すようなWJP施工にとって有効
な作用が生じる。
【0029】(1)再循環ポンプの摩擦熱により水が加
熱されるため、炉内水温がWJP施工にとって好適な条
件まで迅速に上昇する。この好適な水温範囲は、例えば
水面から僅かに浅い施工個所の場合には周囲水圧は大気
圧にほぼ等しく、40〜60℃である。
【0030】特にこの水温領域において、キャビテーシ
ョンが活発になる。この水温域では、気泡核の揺らぎが
著しくなり、また、気泡の成長速度や圧壊速度が増大
し、さらに水の粘性低下のために気泡が水中を動きやす
くなる。
【0031】このような作用により、水中水噴流に伴う
キャビテーションのパワーが増強すると、WJP施工に
よる残留応力の改善効果が大きくなる。再循環ポンプを
用いれば、短時間のうちに水温を上昇させることが可能
である。再循環ポンプを用いない他の方式に比べれば、
水温設定までの時間が著しく短くて済む。
【0032】(2)再循環ポンプで冷却水を循環させる
ことにより、軽水炉圧力容器内の冷却水が攪拌される。
この強制対流の作用により、炉内の水温が均一化する。
局所的な冷水域あるいは沸騰点に近い高温域もなくなる
ので、(1)に述べた水温領域よりもさらに低温側およ
び高温側でも、キャビテーション・インテンシティが高
まり、WJPの施工性能が向上する。炉内水が一様な温
度になるので、炉内構造物の色々な部位を一度に加工で
きるようになる。また、各部位の残留応力改善量も一定
になり、加工の信頼性も上がる。
【0033】(3)上記(2)と同様の再循環ポンプに
よる攪拌作用により、炉内冷却水中の含有気体量も均等
になる。従って、キャビテーション気泡核の分布も均一
になる。攪拌作用がない場合、水面に近い個所では含有
気体量が多く、逆に炉底部には少ない、というきらいが
あった。従って、攪拌作用により、炉底部の溶接部位の
WJP施工性能が向上する。
【0034】(4)攪拌作用の一つとして、炉内水中に
上昇流れが生じる。これによって、残存気泡(キャビテ
ーションが消滅した後に残る比較的大きな気泡で、水中
含有気体が気体塊として析出したもの)を浮上させて、
水面から除去することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0036】図1は、本発明を具体化した原子炉圧力容
器内のWJP施工の一例を示すものである。
【0037】定期点検のために停止している原子炉にお
いて、上鏡を取り外し、冷却水114をウエル115の
上部まで張った状態にしている。ピーニング用の水とし
て、原子炉冷却水ループ以外の純水、もしくは炉内冷却
水が直接用いられる。この水は、高圧噴射ポンプ104
により昇圧され、高圧水供給ライン105を通じて炉内
へ導かれ、ノズル106から冷却水114の中へ高速で
噴射される。冷却水114中の高速噴流には激しいキャ
ビテーションが発生する。
【0038】この実施例における加工部位は、炉底(下
鏡板)におけるスタブチューブ108の熱影響部(溶接
部)である。
【0039】本発明の特徴は、このピーニング施工の直
前(高圧水を噴射する直前)もしくはピーニングの際中
に、原子炉に付帯する再循環ポンプ102を駆動し、炉
内で冷却水114を循環させることである。
【0040】この実施例では、原子炉圧力容器101の
外部に再循環ポンプ102を設けたが、改良型軽水炉
(ABWRもしくはAPWR)では後述するように、原
子炉圧力容器に内装した再循環ポンプ〔内部(インター
ナル)再循環ポンプ〕を利用する。
【0041】冷却水114は、原子炉圧力容器101の
再循環水出口ノズル117から出て、冷却水循環ライン
103を通り、再循環ポンプ102により昇圧され、再
循環水入口ノズル110を通じて炉内に入り、ジェット
ポンプ119を経て原子炉圧力容器101の底部へ再流
入する。
【0042】このようにして再流入した冷却水114
は、炉内において循環流や上昇流を作り出す。さらに、
この冷却水114は、再循環流量が多いほど温度上昇は
速く、また、再循環ポンプ102の作動時間が長いほど
冷却水114の水温は高く上昇する。
【0043】このようにして、再循環ポンプ102を運
転することにより、炉内水温をピーニングに最適な範囲
内へと導くわけである。
【0044】一方、原子炉圧力容器101内における冷
却水114の炉内における循環・上昇作用は、炉内の水
温分布を平均化し、また、炉内の含有気体量の偏在も解
消する効果がある。
【0045】なお、図1において、107は水中高速水
噴流、109はハウジングチューブ、111は循環流、
112は浮上する気泡、113は燃料交換台車、116
は水封部、118は炉心シュラウドである。
【0046】図2には、原子炉圧力容器201内に内部
再循環ポンプ202を設けた改良型軽水炉におけるピー
ニング施工の実施例を示す。
【0047】この炉においては、昇温する冷却水213
内に、内部再循環ポンプ202があるため、ポンプ自体
の昇温も速く、炉内の冷却水213の上昇速度も大き
い。
【0048】従って、図2のような改良型炉では、温度
設定を迅速に行うことが可能である。
【0049】なお、図2において、204は高圧噴射ポ
ンプ、205は高圧水供給ライン、206はノズル、2
07は水中高速水噴流、208はサポート部位、210
は循環流、211は浮上気泡、212は施工足場、21
4はウエル、215は炉心シュラウドである。
【0050】図3は、炉内冷却水302の水温Twと気
体含有量αの炉高方向に対する変化をまとめたものであ
り、再循環ポンプを運転することによる効果を示すもの
である。
【0051】再循環ポンプを運転する前(無対策の場
合)は、冷却水302の水温Twは全般的に低く、自然
対流の影響により、水面303に近いほど高く、炉底3
04に近づくほど低いという傾向がある。
【0052】これに対して本発明の実施例のように、再
循環ポンプを用いる場合には、水温Twのレベルが適正
値まで上昇し、さらに炉高方向による偏差も極めて小さ
くなっていることがわかる。
【0053】一方、気体の含有量は、無対策の場合、冷
却水302の水面303が最も多く、炉底304で最少
となる分布になっている。
【0054】これに対して本発明の実施例の場合は、炉
高方向に対する気体含有量の偏在がなくなり、極めて平
均化されている。
【0055】以上の水温Twならびに気体含有量αの均
等化は、再循環ポンプにより炉内が攪拌・循環されたた
めである。なお、図中の301は原子炉圧力容器を示
す。
【0056】炉内冷却水の水温Twは、前述したよう
に、ウォータージェットピーニングの施工効率が十分確
保できる条件に設定する。
【0057】図4に示すように、ピーニング施工に際
し、平均水温Twの範囲を、系圧力(周囲水圧のことで
あり、炉の加工部位によって異なる)に相当する飽和温
度(沸騰点)Tsatから、10℃〜90℃の範囲のサ
ブクール度の領域に設定する。飽和温度Tsat−水温
Tw<10℃の条件になると、部分的な沸騰現象が始ま
るので、キャビテーション現象を有効に活用しようとす
る観点からは適切ではない。
【0058】また、飽和温度Tsatからのサブクール
度をあまり大きく取り過ぎると、系圧力相当の水の凝固
温度(氷点あるいは融解点)Tsolに近づいてしま
う。
【0059】以上のような水温Twの設定範囲は、圧力
容器の水面に近い場合(図1および図2では、ウエルの
上部まで冷却水を満たしているが、この水位を下げるこ
とを想定する)で、系圧力がほぼ大気圧に等しい条件
で、10℃<Tw<90℃となる。
【0060】即ち、大気圧下の飽和温度Tsat=10
0℃であるので、この温度から10℃〜90℃のサブク
ール度であれば、Twの範囲は10℃〜90℃になる訳
である。
【0061】図5は、水温Tw℃とキャビテーションの
強さ(インテンシティ)の関係を模式的にまとめたもの
である。水中水噴流におけるキャビテーション・インテ
ンシティの評価には、様々な手法が用いられるが、例え
ば、(1)壊食(エロージョン)によって破壊・脱離し
た破片のトータル質量、(2)感圧フィルム上の衝撃圧
レベル、(3)キャビテーションを伴う高速水噴流を衝
突させる前と後における残留応力の改善量、(4)発生
するノイズのパワー、等により求まる物理量が、キャビ
テーション・インテンシティと見做すことが可能であ
る。
【0062】図5の結果から明らかなように、水温Tw
の増加とともにキャビテーション・インテンシティは増
大し、ピークに達した後はTwとともに減少する傾向が
ある。
【0063】再循環ポンプを利用しない従来技術(無対
策)の場合、水温Twが凝固点あるいは飽和温度(沸
点)に近い領域において、キャビテーション・インテン
シティが急激に低下する。
【0064】これに対して本発明の場合は、上記したピ
ーニング施工の水温Twの範囲における上,下限に近い
領域において、キャビテーション・インテンシティが増
加している。この増加が、本発明を実施したことによる
効果である。
【0065】キャビテーション・インテンシティが増加
した理由は、炉内水中に局所的な温度や気体含有量の偏
在がなくなり、発達しかけたキャビテーションが減衰す
るようなことが極めて起こりにくくなるためと考えられ
る。
【0066】例えば、静水中に局所的な高温部と低温部
があったとすると、高温部ではキャビテーションを減衰
させるような大気泡が発生し、一方、低温部ではキャビ
テーション気泡が消滅してしまう可能性がある。
【0067】従って、再循環ポンプによる攪拌は、ピー
ニング施工にとって大変効果的といえる。このような水
温の偏在は、特にTwの上,下限のような微妙な水温領
域において、キャビテーションの形態に重要に係わって
くる。同様の再循環ポンプ利用の効果は、キャビテーシ
ョンの気泡核となる含有気体量についても成り立つ。局
所的に溶解気体の多い水中では、大量に気泡が発生し、
クッション効果によりキャビテーションを減衰させる
し、溶解気体が少なければキャビテーションの発生も乏
しくなる。
【0068】本発明に係るウォータージェットピーニン
グ装置、方法の適用は、実施例として本文中に述べた経
年軽水炉の定期点検中(炉は停止している)の施工に限
らない。
【0069】例えば、新しく製造した軽水炉の試運転中
にも実施することができる。即ち、燃料棒の装填前に冷
却水を再循環ポンプでゆっくり循環させながら、炉内構
造物における溶接部を対象にウォータージェットピーニ
ング施工を行い、残留応力を改善することが可能であ
る。この場合、一般に水温は低く、ポンプによる循環水
量を少なくすれば、30℃未満である。
【0070】一方、再循環ポンプによる循環水量を増加
させれば、水温は上昇し、水面に近い浅水下の部位では
前述したように、キャビテーションが最も活発になる水
温領域、即ち、ほぼ40〜60℃の温度範囲になる。ま
た、定検中の施工と同様に、この場合においても、ポン
プによる炉水循環により、炉内水の含有気体量の偏り、
つまり言い換えれば、キャビテーション気泡核分布に偏
在がなくなり、WJP施工の信頼性が確保される。
【0071】
【発明の効果】本発明に係るウォータージェットピーニ
ング装置、ウォータージェットピーニング法による効果
をまとめると以下のようになる。
【0072】(1)再循環ポンプにより、冷却水を循環
することで、炉内冷却水の温度を迅速に制御(上昇)す
ることができる。
【0073】(2)上記(1)の効果により、キャビテ
ーションの生成・成長が活発になり、WJPにとって最
適な領域への水温設定が容易で自在になる。
【0074】(3)上記(2)の効果により、施工効率
を高めて、WJPの施工時間を短縮し、ランニングコス
トを削減することができる。
【0075】(4)上記(2)の効果により、残留応力
の改善効果(残留応力の引張方向から圧縮方向への応力
改善量)を大きくし、WJP施工の信頼性を高めること
が可能になる。
【0076】(5)炉内冷却水の攪拌作用により、炉内
水温を均一化できる。従って、炉内構造物の部位に係わ
らず、残留応力の十分な改善効果を得ることが可能にな
る。局所的な温度偏差がなくなるため、WJPの好適施
工領域となる水温をより低温側およびより高温側〔加工
対象部の位置の周囲水圧に相当する飽和温度(沸騰点)
に近い側〕へと拡大することができる。
【0077】(6)上記(5)と同じく、炉内冷却水の
攪拌作用により、キャビテーション気泡核が炉内冷却水
中に一様に分散するようになる。これによって、炉内の
いかなる位置にあっても、気泡核の偏在に起因する加工
むらの発生を防ぐことができる。
【0078】(7)WJP施工中に再循環ポンプを駆動
することにより、炉内冷却水中に浮遊する残存気泡を速
やかに上昇させて水面から除去することができる。この
作用により、加熱水中における二相流励起振動や構造物
に発生するキャビテーションの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る停止した原子炉内冷却水
の循環、即ち、水温調節および炉内水攪拌の状態を示す
模式図である。
【図2】改良型軽水炉を対象にした他の実施例に係る模
式図である。
【図3】炉内水温および炉内含有気体量の分布を示す説
明図である。
【図4】炉内水圧相当の飽和温度からのサブクール度の
表現、および凝固点(氷点)との温度差の表現で、ピー
ニングに好適な水温の範囲を規定した説明図である。
【図5】水温とキャビテーション強度の関係と、ピーニ
ング施工に好適な温度範囲を具体的に示す説明図であ
る。
【図6】先行技術に係る炉内水温調整法の一例を示す構
成図である。
【図7】ウォータージェットピーニング法の基本的概念
を示す模式図である。
【符号の説明】
101 原子炉圧力容器 102 再循環ポンプ 103 冷却水循環ライン 104 高圧噴射ポンプ 105 高圧水供給ライン 106 ノズル 107 水中高速水噴流 108 スタブチューブ 109 ハウジングチューブ 110 再循環水入口ノズル 111 循環流 112 浮上する気泡 113 燃料交換台車 114 冷却水 115 ウエル 116 水封部 117 再循環水出口ノズル 118 炉心シュラウド 119 ジェットポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重弘 勝矢 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 松原 敏夫 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビテーションを伴う水中高速水噴流
    を衝突させることにより、原子炉圧力容器構造物の残留
    応力改善を行うウォータージェットピーニング装置にお
    いて、 ピーニング施工前あるいはピーニング施工中に、原子炉
    冷却水再循環ポンプを駆動する手段を設けたことを特徴
    とするウォータージェットピーニング装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、前記冷却水の炉
    内冷却温度を、その冷却水系の水圧に対応する凝固温度
    以上でかつ飽和温度未満のサブクール度に設定すること
    を特徴とするウォータージェットピーニング装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載において、原子炉
    冷却水中に温度測定手段を設けたことを特徴とするウォ
    ータージェットピーニング装置。
  4. 【請求項4】 キャビテーションを伴う水中高速水噴流
    を衝突させることにより、原子炉圧力容器構造物の残留
    応力改善を行うウォータージェットピーニング法におい
    て、 ピーニング施工前あるいはピーニング施工中に、原子炉
    冷却水再循環ポンプを駆動し、炉内および冷却水ループ
    内で冷却水を循環させることを特徴とするウォータージ
    ェットピーニング法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載において、前記冷却水の炉
    内冷却温度を、その冷却水系の水圧に対応する凝固温度
    以上でかつ飽和温度未満のサブクール度に設定すること
    を特徴とするウォータージェットピーニング法。
  6. 【請求項6】 請求項4および5記載において、原子炉
    冷却水中に温度測定手段を設け、設定基準温度との偏差
    を基に冷却水再循環ポンプを駆動し、炉内冷却水の温度
    を調整することを特徴とするウォータージェットピーニ
    ング法。
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