JP2826017B2 - 水中におけるウオータージエツトピーニング方法 - Google Patents
水中におけるウオータージエツトピーニング方法Info
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Description
の残留応力低減技術に係わり、水中においてキヤビテー
シヨンを伴うウオータージエツトを鋼材の表面に衝突さ
せることによつて、引張り方向に過大残留応力が残る鋼
材表面を、圧縮応力が作用するまで改質するためのウオ
ータージエツトピーニング方法に関するのである。
シヤルのある熱影響部(HAZ)を有する既設構造物の
表面応力は、小さな鋼球を気流の勢いで吹き付けるシヨ
ツトブラスト、砂粒を用いるサンドブラスト、氷粒を用
いるクライオブラスト等によるピーニング処理を施し、
応力を引つ張り方向(亀裂を拡大させる方向)から圧縮
方向へと改善する。このようなピーニング技術は、残留
応力改善対策として各種機械構造物あるいは歯車等の部
品加工時に広く用いられている。
い環境にありながら是非ともピーニングしなければなら
ない構造物も多い。例えば、軽水炉のように水を張つた
状態の特殊な熱交換器や反応槽、あるいは海洋中・湖水
中構造物の溶接部は、いずれも水を除いての作業は物理
的あるいは経済的にも不可能に近い。またブラスト粒子
を水中から回収することは大変な難作業である。氷粒を
用いれば回収は不要であるが、経済的なメリツトは出に
くい。
れのみならず、疲労強度の向上に対しても効果的であ
る。
ウオータージエツトの利用は、ユニークな加工、採鉱あ
るいは洗浄技術として知られるが、これを表面応力改善
に利用する試みが、ウエスチングハウスエレクトリツク
社により行われた(特開昭62−63614号公報)。
水噴流によるピーニングは、水冷効果もあつて局所的な
温度上昇を防げるというメリツトもある。しかしこれ
は、水噴流の軸動力を有効に利用できる大気中の作業に
限つての効果であり、この技術を、水中水噴流としてそ
のまま展開できる保証はない。水中では、噴流軸動圧力
の減衰がかなり速い。これは、周囲水の抵抗と同じ液相
であるがために拡散が速いことに起因する。水中におい
て、気相中水噴流なみの軸動力を得るためには、超高圧
装置が必要になり、コスト的にも大変不利な技術になつ
てしまう。
体、902は高圧水、903は中心軸、904は高圧水
供給流路、905は径収縮部(しぼり部)、906は噴
出孔である。
と、それと周囲水との剪断作用との複合効果により、図
13に示すように激しいキヤビテーシヨンが発生する。
このキヤビテーシヨンを促進し、多量に発生する気泡の
崩壊衝撃圧力を有効に利用できれば、従来から広く用い
られているシヨツトピーニングやシヨツトブラスト以上
のピーニング効果を、水中において発揮できる可能性が
ある。
ル、1002は高圧水、1003は連続流としてのキヤ
ビテーシヨンクラウド、1004は分裂したキヤビテー
シヨンクラウド、1005は渦糸キヤビテーシヨン、1
006は微細気泡、1007は周囲水である。
シヨン噴流を利用する先行技術の2例である。図14に
示すノズルは、キヤビテーシヨンを活発にするために提
案されたものである。図15の例は、キヤビテーシヨン
を付着物除去に利用しようという提案である。エンジン
部品等に付着するスラツジを、水槽内において、水噴流
に発生するキヤビテーシヨンを利用して除去することを
意図したものである。これらは、これまで流体機器に損
傷を与える有害現象とされてきたキヤビテーシヨンを高
速水噴流として積極的に利用しようとした数少ない例で
ある。
本体、1102はオリフイス部、1103は円錐開口
部、1104は円錐空洞部、1105は配管部材、11
06は高圧噴出装置、1107は噴射加工対象物であ
る。
1202は被洗浄部品、1203はノズル、1203a
はノズル先端、1203bは噴出孔、1204は水、1
205は管路である。
から高速で水噴流を噴射すると、ノズルの噴出孔から供
給されるキヤビテーシヨン核や噴出後における噴流と周
囲水との剪断渦の作用によつて、爆発的に激しいキヤビ
テーシヨンが発生する。従つて、水中における高速水噴
流は、発達したキヤビテーシヨンが支配的な構造とな
る。
プのキヤビテーシヨン(キヤビテーシヨンクラウドと渦
糸キヤビテーシヨン)が共存する。このキヤビテーシヨ
ン中にある無数の多くの気泡は、固体面に衝突する際、
固体面あるいは固体面のごく近傍において瞬時に崩壊
し、衝撃圧を発生する。この衝撃圧の発生が、夥しい数
の気泡の回数だけ繰り返され、材料の表面に力学的な影
響を与える。
に生じていた引張り方向(亀裂があればそれを拡大させ
る方向)の残留応力を圧縮方向へと改善する。これがキ
ヤビテーシヨンを伴う水中高速水噴流におけるピーニン
グ効果である。
ヤビテーシヨンの強さ(Intensity)によつて
大きく左右される。キヤビテーシヨン気泡の生成量が少
なく、それら気泡の成長速度が小さい場合には、衝撃圧
力が弱くピーニング効果が乏しくなる。このような場
合、ノズルにおける高圧水の噴射圧力や噴射水量を上昇
させたり、あるいは加工対象面への噴流衝突時間を長く
して対応しなければならず、ピーニングの施工効率は低
下してしまう。噴射圧力を高め、噴射水量を増やす場合
には、ポンプの大型化(大容量化)が必要になり、イニ
シヤルおよびランニングコストも上昇する。
多くあるが、使用する水、即ち噴射する水と加工対象物
のある周囲水(環境水)の水質については、水中にある
気泡核と水温の影響力が極めて大きい。気泡核(これが
通常溶解気体と言われる)に関しては、キヤビテーシヨ
ン気泡の発生頻度に関与する。一方、水温は、様々な作
用によりキヤビテーシヨン気泡の初生(気泡核が励起さ
れ急成長を開始すること)、成長、流動等に影響を及ぼ
す。まず、水の粘度が、気泡の成長や流動に対し力学的
に作用する。
度が大きければ、気泡の初生は起きにくく成長もしにく
く、また噴流内を移動しにくくなる。さらに水温によつ
て、水や水蒸気あるいは水中に溶触する気体等の物性が
変化する。気泡の成長に関与する溶解気体の界面を通じ
ての気泡内への拡散や気泡内への水の蒸発速度、あるい
は気液界面の張力が、水の温度によつて支配される。
和温度以外にもキヤビテーシヨン以外の気泡生成、即ち
サブクール沸騰が生じる。この現象が生じると、いわゆ
る「脱気」によつて、キヤビテーシヨン気泡になり得る
べき水中の気泡核が沸騰気泡へと変化してしまう。ま
た、沸騰気泡のクツシヨン作用により、キヤビテーシヨ
ンの発生する衝撃圧が緩和されてしまうという問題があ
る。
な水温に係わる問題を解決し、定期点検中原子炉内の冷
却水の水温条件を利用し、ピーニングに好適なキヤビテ
ーシヨンを発生させる最適水温を選定することにある。
て、水をノズルから高速で噴射して水中にある加工対象
物に衝突させることにより、加工対象物の残留応力を軽
減するウオータージエツトピーニング方法において、前
記加工対象物が置かれている周囲の水ならびにノズルか
ら噴射する水のうち少なくともいずれか一方の水の温度
を、前記周囲水の水圧に対する飽和温度よりも30℃以
上85℃以下の範囲で低く保持することにより達成され
る。
冷却水中において、当該原子炉圧力容器本体または炉内
部材に対して、前記冷却水をノズルから噴射衝突させる
ことにより原子炉圧力容器本体または炉内部材の残留応
力を軽減するウオータージエツトピーニング方法におい
て、 前記ノズルから噴射する水の温度を冷却水の水圧に
対する飽和温度よりも30℃以上85℃以下の範囲で低
く保持することにより達成される。
件を例として取り上げる。水温が低すぎる場合には、水
の粘度が大きく気泡の発生・成長は抑制され、また水中
溶解ガスの気泡内への拡散や蒸発も活発ではない。従つ
て、水温が15℃以下の場合は、キヤビテーシヨンは十
分に活性化していると言えず、従つてピーニング効果も
さほど高いとは言えない。
と、水中における局所的な高温場において、サブクール
沸騰(沸騰温度以下で生じる疑沸騰現象であり、いわゆ
る「脱気」現象に類似)が始まる。従つて、70℃以上
の水温域の水中水噴流の現象は、キヤビテーシヨンとサ
ブクール沸騰が混在したものとなる。
と、この気泡のクツシヨン作用により、キヤビテーシヨ
ンによる衝撃は大幅に緩和されてしまう。また、沸騰に
よる蒸発気泡内へ水中の溶解ガスが拡散してしまい、キ
ヤビテーシヨンの生成・発達に寄与するべき水中溶解ガ
スは、沸騰現象の活性化へと偏つてしまうことになる。
従つて、結果的にピーニングの効果は低下する。
15℃以上70℃以下の条件に、ピーニング効果を生み
出すための最適な水温の条件が存在することになる。こ
の水温域は、水の粘度も低下して気泡の運動も活発にな
り、キヤビテーシヨン気泡の生成・成長に好適である。
ここまでは、加工対象物の周囲にある、いわゆる「環
境」水の条件について述べたが、ノズルから噴射する噴
射水の温度についても、温度がキヤビテーシヨン現象に
及ぼす影響は同じである。高圧環境にある水中の場合に
は、その圧力相当の飽和温度(沸点)から30℃〜85
℃のサブクール度(沸点から低温側への温度差)に、水
温を設定することでピーニング効果を高め、必要な応力
改善効果を得ることができる。
ツトピーニング方法を模式的に示したものである。
(環境水)4内にある水中構造物5の施工対象物〔熱影
響部(HAZ)〕6に対し、ノズル1から15℃〜70
℃に温度設定された高圧水2を高速で噴射し衝突させ
る。ノズル1から噴射された高圧水2は、激しいキヤビ
テーシヨンを伴う高速水噴流3となつて、施工対象物
〔熱影響部(HAZ)〕6に衝突する。激しいキヤビテ
ーシヨンを伴う高速水噴流3内には莫大な数のキヤビテ
ーシヨン気泡があり、これが施工対象物6の表面あるい
は表面のごく近傍において崩壊し、夥しい回数の衝撃圧
パルスを発生する。
表面における結晶粒は潰れるように塑性変形し、施工対
象物6の残留応力状態は、引張り方向から圧縮方向へと
改善される。このような作用で残留応力が改善されるこ
とになり、応力腐食割れ(SCC)発生に不可欠な3要
因(材料の鋭敏化、腐食環境および応力)のうち一つが
除去されることになる。
面の加工硬化作用により、水中構造物5の疲労強度も向
上する。水温を15℃〜70℃、より好ましくは40℃
〜60℃に設定することは、前述するようにキヤビテー
シヨンの発生を促進することにつながり、結果的にピー
ニング施工の効率が著しく改善される。
ズル1から噴射する高圧水2の水温を共に最適範囲15
℃〜70℃に設定した。しかし、このような水温の最適
設定は、何れか一方の水に対して行つても効果が生じ
る。これは、キヤビテーシヨンの気泡核が、周囲水(環
境水)4からは「周囲核(ambient nucle
i)」として、また高圧水2からは「流入核(infl
ow nuclei)」として高速水噴流3中に供給さ
れ、いずれも高速水噴流3中のキヤビテーシヨン現象に
強く関与するからである。より望ましくは、周囲水(環
境水)4の水温を最適条件にすべきである。
において高圧水2に加圧される時に圧縮消滅するのに対
し、周囲水(環境水)4中の「周囲核」は、高速水噴流
3の乱れによつてその発生頻度が増幅(この増幅状態も
水温の影響を強く受ける)されるからである。
り外した状態において、本発明になるウオータージエツ
トピーニング方法を実施工する場合の系統を模式的に描
いたものである。
はクーラ210により所定の最適水温に加熱あるいは冷
却される。この実施例では、水215の表面が大気に開
放されており、水深もさほど大きくないので、ピーニン
グ施工部と大気圧との圧力差は小さい。
00℃)に対する30℃〜85℃のサブクール度、即ち
水温15℃〜70℃が最適水温となる。この水215の
水温は、温度センサ216により検知され、コントロー
ラ217により制御される。容器201が大きい(特に
高さ方向)場合、容器201内の水215に対流が生
じ、高さ方向に温度勾配が生じやすくなる。そのため、
攪拌機218により水215を攪拌し、容器201内の
水215に温度の偏在が生じないようにしてある。一
方、ノズル202から噴射するための水221は、貯水
槽206に貯えられ、ヒータあるいはクーラ208によ
り所定の最適水温に制御される。
は、高圧噴射ポンプ205により加圧され、ノズル20
2から激しいキヤビテーシヨンを伴う噴流203として
噴射され、加工対象物204に衝突する。容器201内
の水は、底部から排出され、フイルタ213でピーニン
グに伴い発生する細かな金属破片(酸化被膜等が剥離し
た破片等)やゴミを除去され、リザーバ214に貯えら
れた後、循環ポンプ211で汲み上げられ、貯水槽20
6へと戻されて再利用される。
はバルブ、219は温度センサ、220はコントローラ
である。
状態で加圧下にある(密閉状態ではなくとも、水深の大
きい個所の場合は実質的に加圧環境下の条件となる)加
工対象物225をピーニングする例であり、基本的な系
統は図2と同様である。ヒータあるいはクーラの系統は
省略してある。容器221内の水222の飽和温度は、
加圧下のために100℃よりも高くなる。従つて、水2
22の圧力に相当する飽和温度から30℃〜85℃のサ
ブクール度に、容器221内の周囲(環境)水である水
222およびノズル223から噴射する水の温度を設定
する。
圧が2気圧(約0.2MPa)の場合、その圧力に相当
する水の飽和温度が約120℃である。従つて、120
℃から30℃〜85℃のサブクール度、即ち35℃〜9
0℃をピーニング効果促進用の水温として選定すればよ
いことになる。
範囲上限におけるサブクール沸騰とキヤビテーシヨンの
関係に基づくものであり、粘度とキヤビテーシヨンの関
係は概ね温度のみで決まつてくるため温度範囲下限は大
気圧下の水のそれとほぼ等しくても十分である。従つ
て、設定する水温の範囲は、2気圧の条件の場合、35
℃〜90℃とすればよい。
4はキヤビテーシヨンを伴う噴流、226は高圧噴射ポ
ンプ、227は圧力センサ、228はコントロールユニ
ツト、229はドレインバルブ、230はリザーバ、2
31はフイルタである。
℃に温度制御されている炉内冷却水中においてほぼ同じ
温度の冷却水を用いる。ノズルから噴射する水について
は、外部(原子炉冷却水ループ以外)から供給して用い
ることも不可能ではないが、 .大量の噴射水を常温から約50℃まで昇温するため
のエネルギーコストが高い。
同様に、pH、電気伝導度あるいは溶存O2 濃度を調整
し、プリコートフイルタを用いて微小浮遊固形物を除去
する準備に多大な労力を要する。
これまで用いてきた冷却水(放射能に汚染された物質を
含む水)が増大することになる。
本発明を具体化することは、炉内冷却水を合理的に循環
利用することと、キヤビテーシヨンの活性化に対して丁
度良い温度に制御されている炉内冷却水の温度環境を巧
みに利用することが組み合わさるため、大変有利なもの
と言える。
テーシヨン気泡核となる含有気体の量も少なく、キヤビ
テーシヨンの活性化に対しては不利である。従つて、炉
内冷却水を直接利用することの最大のメリツトは、ここ
まで述べてきたように、冷却水の水温条件がキヤビテー
シヨンの活性化にとつて最適である、と言う点にある。
対象材料への影響力が、水温Twによつてどのように異
なるかを調べるために2種類の実験を行つた。
07中において、ノズル301から噴出するキヤビテー
シヨンを伴う高速噴流304を、試験片306に対して
所定の時間だけ衝突させて、キヤビテーシヨン壊食(エ
ロージヨン)によつて生じる質量損失(いわゆる減肉
量)Δmを測定する実験を示したものである。実験は、
ノズル301の出口から試験片306までのスタンドオ
フ距離Zを変化させた。なお、図において、302は高
圧水、303は中心軸、305は跳ね返り噴流、308
はエロージヨン痕である。
フ距離Zに対して、質量損失Δmは図5のような曲線と
なる。ここでは、Δmがピークを示すスタンドオフ距離
におけるΔmを以て、代表質量損失として評価すること
とする。
ンを伴う噴流404の発生する空間衝撃圧Pshを、噴
流404の軸方向に対して求めようとするものである。
キヤビテーシヨンを伴う噴流404の中心軸403から
半径方向約5mmの位置において、中心軸403に平行
に感圧フイルム405を設置し、キヤビテーシヨンを伴
う噴流404から発生する衝撃圧を求める。
2は高圧水、406は周囲水である。
shの分布は、図7のような2つのピークを有するカー
ブとなるが、ここではよりピークの高い2番目のピーク
における衝撃圧Pshの値を以て衝撃圧を代表させるこ
ととする。この他に、図7に示された第2ピークの位置
に相当するスタンドオフ距離Zにおいて、残留応力の改
善量Δσを測定し、ピーニングによる効果を実証する。
℃で変化させた水中(実験で用いた水槽の深さは約0.
5mであり、噴流に周囲から加わる水圧は、大気圧にほ
ぼ等しいと考えてよい)において行う。水温Twは、水
槽内の水およびノズルから噴射する水の温度を一致させ
る。以上のような方法により、ピーニング効果に及ぼす
水温Twの影響を明らかにする。
ヨンによる質量損失Δmは、常温Tw=20℃において
P1 =70MPaとした場合における基準質量損失Δm
* で割り、無次元表記した。両噴射圧力の条件におい
て、50℃近傍でΔm/Δm*が最大となる特性が認め
られる。従つて、激しいキヤビテーシヨンを伴う水中高
速水噴流の場合、水温Tw=50℃の場合が材料に対す
る破壊力が最も大きいということが分かる。
の空間衝撃圧力Pshと水温Twの関係を、図8と同様
に、噴射圧力P1 をパラメータとしてまとめたものであ
る。噴流から発生する衝撃圧力Pshは、常温Tw=2
0℃において噴射圧力P1 =70MPaとした条件の衝
撃圧力Psh* を基準として無次元化して表した。この
場合も、基本的には図8に示したTw〜Δm/Δm* の
特性と同様に、Tw≦50℃においてピークを有する特
性が得られることが分かる。水温Tw≦50℃の条件に
おいて、キヤビテーシヨンが最も活発になることが、以
上図8および図9の結果から伺われる。
水温Twに対する変化が生じる理由について説明する。
ヨン・インテンシテイの変化を模式的にまとめたもので
ある。ここで、キヤビテーシヨン・インテンシテイと
は、図8で用いたエロージヨンによる質量損失Δm、図
9における衝撃圧力Psh、発生する気泡の数、あるい
は噴流が発するノズルの音圧レベル等のことを指してい
る。
れば水温Tw<40℃の領域においては、水の粘度が
高くそのため渦の発生状態も弱く、結果的にキヤビテー
シヨンの発生は不活発になる。15℃<Tw<70℃、
より望ましくは40℃<Tw<60℃の領域では、水
の粘度や表面張力等物性値の変化によりキヤビテーシヨ
ンが著しく活発になる。気泡核生成の頻度が増し、気泡
の成長速度も増大する。また気泡の崩壊(収縮)速度も
大きくなるため、結果的にキヤビテーシヨンは、より高
い衝撃圧力を発生することになる。
利用する場合、この水温の条件が、最も効率よくピーニ
ングできることになる。60℃<Tw<100℃の領域
においては、サブクール沸騰が開始し、水中での脱気
と気泡同士の合体現象が次第に支配的になり、キヤビテ
ーシヨンの寄与は次第に縮小してしまう。水温Twが1
00℃を超えると〔通常の水において圧力一定(大気
圧)の場合、平均水温が100℃以上になることはない
が、局所的に100℃を超える過熱状態になることがあ
る〕、水は完全に沸騰状態となり、キヤビテーシヨン・
インテンシテイは更に低下する。以上のようなメカニズ
ムにより、ピーニングに好適な水温が、15℃<Tw<
70℃、より好ましくは図に示すように、40℃<Tw
<60℃の条件にあることが分かる。
く、キヤビテーシヨンが不活発な部分、はキヤビテー
シヨン強度最大の条件部分、はサブクール沸騰気泡に
よるクツシヨン効果により衝撃圧が抑制される部分、
は沸騰によりキヤビテーシヨンが抑制される部分であ
る。
を測定し、水温Twを選択することにより応力改善効果
を高めるという本発明の効果を実証したものである。応
力改善量Δσは、ピーニング施工後の圧縮残留応力σ2
から、ピーニング前の引張り残留応力−σ1 を引いて求
めたものである。このΔσは、常温Tw=20℃におい
て噴射圧力P1 =70MPaとした場合における応力改
善量Δσ* を基準として、無次元表記した。応力改善量
Δσ/Δσ* は、図10に示した傾向と同様に、Tw≦
50℃において最大となる。以上より、Twの選定が鋼
材の残留応力の改善効果を高めることが確認された。
水炉型原子炉内機器の残留応力改善(応力腐食割れの防
止と疲労強度の向上)へ適用されるが、施工を行う定期
検査中の炉内水温はおよそ50℃であり、本発明の利用
は極めて好都合なものである。
大変に広い。一般に表面応力改善にあたつては、熱を加
えない、つまり金属組織の変態を伴わない低温処理の方
が格段に好ましい。この点からも本発明は有利であり、
ボイラの耐圧部材の表面応力改善へも応用することがで
きる。
(デスケーリング)、表面仕上げ加工(ポリシング)あ
るいは水中削孔(サブマージド・ドリリング)等へも応
用することが可能である。
とめると次のようになる。
射能廃棄物を増やすことがない。
ーニング効率が大幅に向上する。
が短縮する。従つて、ランニングコストを低減できる。
らの噴射流量や噴射圧力を低減することが可能になる。
従つて、ポンプや配管、ジヨイント類の小型軽量化が達
成できる。これは、イニシヤルコストを低減できるとい
うことである。
ける施工の場合、本発明による設定水温15〜70℃
は、加工対象物やピーニング関連機器類にトラブルをも
たらさない。熱膨張による部材の変形や割れ、あるいは
ジヨイントの緩み等は発生せず、施工の信頼性を高く保
つことができる。
念図である。
ける施工系統図である。
における施工系統図である。
図である。
ある。
念図である。
ある。
性図である。
性図である。
テイの変化を模式的に示す説明図である。
示す模式図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 水中において、水をノズルから高速で噴
射して水中にある加工対象物に衝突させることにより、
加工対象物の残留応力を軽減するウオータージエツトピ
ーニング方法において、 前記加工対象物が置かれている周囲の水ならびにノズル
から噴射する水のうち少なくともいずれか一方の水の温
度を、前記周囲水の水圧に対する飽和温度よりも30℃
以上85℃以下の範囲で低く保持することを特徴とする
水中におけるウオータージエツトピーニング方法。 - 【請求項2】 運転停止中の原子炉内の冷却水中におい
て、当該原子炉圧力容器本体または炉内部材に対して、
前記冷却水をノズルから噴射衝突させることにより、原
子炉圧力容器本体または炉内部材の残留応力を軽減する
ウオータージエツトピーニング方法において、 前記ノズルから噴射する水の温度を、冷却水の水圧に対
する飽和温度よりも30℃以上85℃以下の範囲で低く
保持する ことを特徴とする水中におけるウオータージエ
ツトピーニング方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載において、前記水
温が40℃から60℃の範囲に規制されていることを特
徴とする水中におけるウオータージエツトピーニング方
法。
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