JP2011016178A - ウォータージェットピーニング方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】WJP施工対象物における残留応力の改善効果をより精度良く確認することができるウォータージェットピーニング方法を提供する。
【解決手段】走査されているノズルから高圧の水流を噴射し、この水流に含まれた気泡が潰れて発生する衝撃波をWJP施工対象物に当てる(S5)。WJP施工対象物の表面付近の引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。衝撃波が圧力センサによって検出され、衝撃波発生頻度を求める。得られた衝撃波発生頻度が設定値よりも大きいかが判定される(S7)。衝撃波発生頻度が設定値よりも大きいとき、高圧ポンプを停止し、ノズルからの水流の噴射を停止する(S10)。衝撃波発生頻度が設定値以下であるとき、高圧ポンプの運転条件を変更する(S8)。ノズルから噴射される水流の圧力が増大され、衝撃波発生頻度が設定値以下である箇所に対するWJPの施工が行われる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ウォータージェットピーニング方法及びその装置に係り、特に、原子炉内の構造物の引張残留応力をウォータージェットピーニング(Water Jet Peening)により圧縮残留応力に改善するのに好適なウォータージェットピーニング方法及びその装置に関する。
原子炉の構成部材の溶接部及び熱影響部などの表面近傍に残留応力が存在する場合には、この溶接部及びこれの熱影響部などにウォータージェットピーニング(以下、WJPと称する)を施工して構成部材の表面付近に存在する引張残留応力を圧縮残留応力に改善することが行われている。WJPは、応力を改善する構成部材を水中に浸漬させた状態で、水中でノズルから高圧の水流を噴射して行われる。噴射された水流に含まれる気泡が潰れることによって衝撃波が生じる。この衝撃波が水中の構成部材の表面に衝突することによって、その構成部材の表面付近の引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。このため、構成部材における応力腐食割れ(SCC)の発生が抑制される。WJPによる応力改善方法は、例えば、特許第2841963号公報、特許第3530005号公報、特開平8−71919号公報及び特開平6−47668号公報に記載されている。
構成部材に対するWJPの施工において、WJPの施工状態を確認する方法が、特開平8−71919号公報及び特開平6−47668号公報に提案されている。
特開平8−71919号公報では、原子炉圧力容器の底部に取り付けられてこの底部を貫通している導管にWJPを施工している。このWJPの施工は、その導管の、原子炉圧力容器内の部分に対して行われる。その導管のWJP施工対象部付近で水中に存在するノズルから高圧の水流が噴射され、水流に含まれる気泡が潰れることによって発生する衝撃波が、原子炉圧力容器内で導管の表面に衝突する。原子炉圧力容器の外側でその導管の外面に取り付けられているAEセンサ(アコースティック・エミッション)が、WJP施工時において、導管の、原子炉圧力容器内の部分に衝撃波が衝突したときに発生する音響信号を検出してAE信号(音響パワー)を出力する。このAE信号に基づいて、WJPを施した導管に対して残留応力が十分に改善されたか否かを確認する。残留応力が十分改善されていない場合には、噴射される水流の噴射条件(噴射圧力)の制御、及びノズル位置の調節を行う。
特開平6−47668号公報は、WJPの施工時において高圧高速の水流を噴射するノズルの噴射口近傍でノズルに、圧電セラミック(PZT)センサを設置することを記載している。ノズルから高圧の水流が噴射されているとき、PZTセンサはノズルに生じる衝撃パルス(キャビテーション発生イベント)を検知する。検知された衝撃パルスに基づいてPZTセンサから出力された信号の周波数分布が、周波数解析装置で解析される。周波数分布の解析結果を入力する判定装置が、その周波数分布から得られた卓越周波数及びこの振幅とこれらの設定値との比較結果に基づいて、制御信号を出力する。卓越周波数に基づいてノズルとWJP施工対象物の表面との距離が調節され、卓越周波数の振幅に基づいてノズルに水を供給するポンプの吐出圧力が調節される。
特許第2841963号公報 特許第3530005号公報 特開平8−71919号公報 特開平6−47668号公報
特開平8−71919号公報に記載されたWJPでは、WJP施工時に、導管の、原子炉圧力容器内の部分に衝撃波が衝突したときに発生する音響信号(弾性波)を、原子炉圧力容器の外側で導管の外面に取り付けられたAEセンサで検出している。しかしながら、このAEセンサは、ノズルから噴射された水流に含まれた気泡が潰れて発生する衝撃波により導管に発生した弾性波だけでなく、噴射された水流が導管に直接衝突したときの衝撃力によって導管に発生する弾性波も検出してしまう。ところで、導管の表面付近に存在する引張残留応力を圧縮残留応力への改善には気泡が潰れて発生する衝撃波が大きく貢献する。このため、噴射された水流が導管に直接衝突したときの衝撃力によって発生する弾性波は、WJPによる導管の残留応力の改善が十分であるか否かの判定の結果に対する信頼性を低下させる。また、導管が複数本存在してこれらの導管に順番にWJPを施工する場合には、WJPを施工する導管に合せてAEセンサを設置する導管も変える必要がある。すなわち、WJP施工が終了した導管からAEセンサを取り外し、次にWJPを施工する導管にAEセンサを取り付けるという手間が発生する。
特開平6−47668号公報に記載されたWJPでは、PZTセンサをWJPの施工に用いるノズルに取り付けているので、特開平8−71919号公報に記載されたWJPで生じる上記の各問題が解消される。しかしながら、PZTセンサをノズルに取り付けているので、特開平6−47668号公報に記載されたWJPでは、以下に述べる新たな問題が生じる。ノズルにPZTセンサを設けている関係上、このPZTセンサは狭い噴射口を通過する気泡を含んだ高圧水の流動振動に基づいた衝撃パルスを検出する。すなわち、特開平6−47668号公報に記載されたWJPでは、検出された衝撃パルスが、噴射口を通過する高圧水流に含まれた気泡の数の影響を強く受ける。
後述するように、WJP施工対象物の表面に向かってノズルから高圧の水流を噴射する場合には、多数の気泡を含む高圧の水流がノズルに形成された狭隘な噴射口を通過するので、気泡が潰れなくても大きな流動ノイズが発生する。ノズルに設けられたPZTセンサは、その流動ノイズも検出してしまう。しかしながら、噴射口を通過する高圧水流に含まれた全ての気泡が、この水流がノズルから噴射された後で必ず潰れるとは限らない。特開平6−47668号公報では、潰れない気泡(衝撃波を発生しない気泡)によってノズルで発生する流動ノイズも検出する。このため、特開平6−47668号公報でも、WJP施工対象物での残留応力の改善効果を精度良く確認することができない。
本発明の目的は、ウォータージェットピーニング施工対象物における残留応力の改善効果をより精度良く確認することができるウォータージェットピーニング方法及びその装置を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ノズルから水中に噴射された水流に含まれた気泡が潰れて発生する衝撃波を、ウォータージェットピーニング施工対象物に当て、この水中で発生したその衝撃波を水中に配置された衝撃波検出装置によって検出し、検出された衝撃波の発生頻度を求めることにある。
ウォータージェットピーニング施工時に発生する衝撃波を衝撃波検出装置によって検出し、衝撃波の発生頻度を求めるので、WJP施工対象物の残留応力の改善に直接貢献する衝撃波の発生頻度に基づいて、WJP施工対象物の残留応力の改善効果をより精度良く確認することができる。
本発明によれば、ウォータージェットピーニング施工対象物における残留応力の改善効果をより精度良く確認することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1のウォータージェットピーニング方法に用いられるウォータージェットピーニング装置の構成図である。 図1に示すウォータージェットピーニング装置を用いた場合の制御手順を示すフローチャートである。 実施例1において残留応力の改善が良好に行われた状態での、圧力センサの出力信号及び衝撃波発生頻度の表示例の説明図である。 実施例1において残留応力の改善が不足している状態での、圧力センサの出力信号及び衝撃波発生頻度の表示例の説明図である。 ノズルから噴射された水流内での気泡の形態を模式的に示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2のウォータージェットピーニング方法に用いられるウォータージェットピーニング装置の構成図である。 図6に示すウォータージェットピーニング装置のターンテーブル付近の斜視図である。 図6に示すウォータージェットピーニング装置のノズルが設けられる移動装置の拡大図である。 本発明の他の実施例である実施例3のウォータージェットピーニング方法に用いられるウォータージェットピーニング装置の構成図である。 図9に示すノズル付近の拡大図である。 図9に示すウォータージェットピーニング装置での制御手順を示すフローチャートである。 実施例3においてウォータージェットピーニング施工中での2つのAEセンサの出力信号の一例を示す説明図である。 実施例3において残留応力の改善が良好に行われた状態での、圧力センサの出力信号及び衝撃波発生頻度の表示例の説明図である。 実施例3において残留応力の改善が不足している状態での、AEセンサの出力信号及び衝撃波発生頻度の表示例の説明図である。
WJPによる構成部材の残留応力は、ノズルから噴射された高圧の水流が構成部材の表面に直接衝突したときの衝撃力によって改善されるのではなく、実質的には、噴射された水流に含まれた気泡が潰れて生じる衝撃波が構成部材に衝突することによって改善されるのである。
ノズルから噴射された高圧の水流に含まれた気泡が潰れて発生する衝撃波による構成部材の残留応力改善について、さらに詳細に説明する。水中に配置されたノズルから噴射される高圧の水流が、多数の気泡を含んでいる。気泡は、ノズルから噴射される高圧の水流に含まれているだけでなく、ノズルから水中に噴射された水流内でも発生する。水中に配置されたノズルから高圧の水流を噴射したとき、ノズルの周囲に存在する静止水とノズルから噴射された水流の境界に生じるせん断力によって多数の渦が発生し、これらの渦の近傍で局所的な圧力変動が起こる。このとき、局所的に負圧になった領域では気泡が発生する。
ノズルから噴射される時点で高圧の水流に含まれていた気泡、及び噴射後の水流内で発生した気泡は、負圧下で成長し、陽圧下で収縮する。陽圧がさらに増大したとき、発生した気泡が潰れる。気泡が潰れる際に、極めて大きな衝撃波を放出する。このような気泡の発生、成長・収縮、圧壊の過程をキャビテーションと呼んでいる。キャビテーションが発生すると大きな衝撃波が放出され、この衝撃波が構成部材に衝突することによって、構成部材の表面付近の引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。
噴射された水流内で気泡が発生してから潰れるまでの状態を、図5に模式的に示している。水3内に配置されたノズル6にポンプ(図示せず)から高圧水31が供給される。高圧水31がノズル6の噴射口30から水中に噴射されたとき、水中に微小な気泡が多数発生して塊状となったキャビテーションクラウド32が発生する。発生した複数のキャビテーションクラウド32内で、一つ、または、数個の気泡が潰れたとき、衝撃波が放出される。気泡が潰れて発生する衝撃波が構成部材の表面に繰り返し当たることによって、構成部材の表面付近に存在する残留応力が改善される。噴射された水流内で一つ、または、数個の気泡が潰れて衝撃波が発生するとき、その気泡の周囲に存在する多数の気泡が衝撃波によって押し流される。このため、押し流される気泡群が連なっている渦糸キャビテーション33が形成される。さらには、気泡が押し流されてしまったために気泡が消滅したかのように見えるスポット34が観察される。図5において、35は粗い気泡である。
構成部材の応力改善効果をもたらすのは、気泡が潰れて生じる衝撃波である。発明者らは、その応力改善効果が、ノズルから噴射される水流に含まれた気泡の数、及びその水流が噴射された水中に存在する気泡の数によってではなく、潰れた気泡の数(気泡が潰れる頻度)、すなわち、衝撃波の発生頻度によって確認できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて成されたのである。
ノズルから噴射する水流の圧力及び流量、及びノズルとWJP施工対象物の表面との間の距離(スタンドオフ)などのWJP施工条件をそれぞれの設定値に保持した場合には、噴射された水流が構成部材の表面に直接衝突するときの衝撃力がほぼ一定になる。しかしながら、ノズルから噴射された水流内でのキャビテーションの発生メカニズムは複雑であるので、衝撃波が必ずしも想定通りの頻度で発生しない。そこで、衝撃波の発生頻度を監視することによって、WJP施工中において構成部材の応力改善効果を確認することができる。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1のウォータージェットピーニング方法を、図1及び図2を用いて説明する。
本実施例のウォータージェットピーニング方法を説明する前に、本実施例に用いるウォータージェットピーニング装置(以下、WJP装置という)1を、図1を用いて説明する。WJP装置1は、ノズル6、水供給装置7、ノズル走査装置10、圧力センサ(衝撃波検出装置)16、信号処理装置39及び制御装置22,23を備えている。信号処理装置39は、ディスクリ19及びカウンタ(衝撃波計数装置)20を有する。制御装置(第2制御装置)22はノズル走査装置10の走査を制御する制御装置であり、制御装置(第1制御装置)23はポンプ5を制御する制御装置である。
ノズル走査装置10は、支柱11、移動装置12,14,38、第1アーム13及び第2アーム37を有する。支柱11が、基台15に取り付けられ、上下方向に伸びている。上下方向に移動する移動装置12が支柱11に移動可能に設けられる。水平方向でX方向に伸びる第1アーム13が移動装置12に設置されている。第1アーム13に沿ってX方向に移動する移動装置14が、第1アーム13に移動可能に設置されている。水平方向でX方向に直交するY方向に伸びる第2アーム37が移動装置14に取り付けられている。移動装置38が、第2アーム37に移動可能に設置される。上下方向に伸びる支持部材36が移動装置38に取り付けられる。ノズル6が支持部材36の先端部(下端部)に取り付けられる。基台15は、水槽(容器)4が設置された床に設置される。
水供給装置7が、高圧ポンプ5、給水ホース8及び高圧ホース9を有する。給水ホース8が、水槽4の底部付近に取り付けられ、高圧ポンプ5に接続される。高圧ホース9が、高圧ポンプ5及びノズル6に接続される。高圧ホース5のノズル6側は、支持部材36に取り付けられる。
圧力センサ16が、移動装置38に取り付けられた支持部材17に設置されている。圧力センサ16は移動装置38に取り付けられた増幅器18に接続される。増幅器18が、ディスクリ19及び表示装置21に接続される。表示装置21が操作盤26に設けられる。カウンタ20が、ディスクリ19及び表示装置21に接続される。制御装置22が移動装置12,14及び38に接続され、操作盤26が制御装置22,23に接続される。制御装置23がポンプ5に接続され、高圧ホース9に取り付けられた圧力計24及び流量計25が制御装置23に接続される。
WJP装置1を用いて行う本実施例のウォータージェットピーニング方法を、説明する。本実施例のウォータージェットピーニング方法では、図2に示す各ステップの操作または判定が実施される。
水槽4内に水3が充填され、WJP施工対象物である構成部材2が、水槽4内の水3の中に設置される。この構成部材2は、プラント、例えば、建設される原子力プラントに設置される構成部材である。構成部材2は、運転を経験した原子力プラントから、原子力プラントの停止中に取り外された構成部材であってもよい。図1では、構成部材2は模式的に簡略化した形状で示されている。
ノズルをWJPの開始位置に移動させる(ステップS1)。オペレータが、WJPを開始する位置情報、すなわち、ノズル6の噴射口の位置情報を操作盤26に入力する。ノズル6の位置情報は、X方向、Y方向、及びZ方向(上下方向)の各座標値で示される。制御装置22が、その位置情報を入力し、入力したこの位置情報に基づいて移動装置12,14及び38を駆動する。ノズル6の先端が、移動装置12の移動によって入力したZ方向の座標値に、移動装置14の移動によって入力したX方向の座標値に、移動装置38の移動によってY方向の座標値に位置決めされる。Z方向の座標値によって、ノズル6と構成部材2との間の距離、すなわち、スタンドオフが、設定された距離に保持される。圧力センサ16は、構成部材2よりもノズル6側で水3の中に配置される。
ノズル6がWJPの開始位置に設定された後、高圧ポンプを起動する(ステップS2)。オペレータが操作盤26から高圧ポンプ5の起動操作を行うことによって、ポンプ起動信号が操作盤26から制御装置23に入力される。このとき、制御装置23は高圧ポンプ5を起動する。高圧ポンプ5は、初期値の運転条件で運転される。高圧ポンプ5の起動によって水槽4内の水3が給水ホース8を通して高圧ポンプ5に導かれる。制御装置23は、圧力計24及び流量計25のそれぞれの計測値に基づいて、高圧ポンプ5から吐出される水の圧力及び流量を制御する。水3は、高圧ポンプ5により初期値の設定圧まで昇圧され、初期値の流量で、高圧ホース9を通してノズル6に供給される。高圧ポンプ5からの高圧水の供給によって、気泡を含む高圧の水流27がノズル6から水槽4内に噴射される。噴射された水流27内の気泡28が水中で潰れて衝撃波29が発生する。この衝撃波29は、構成部材2に衝突すると共に、圧力センサ16によって検出される。衝撃波29を検出した圧力センサ16の衝撃波検出信号40が、増幅器18で増幅された後、表示装置21に入力されて表示される(図3及び図4参照)。表示装置21には、増幅器18から出力された衝撃波検出信号40を用いた後述の処理によって得られた衝撃波発生頻度42の情報が併せて表示される(図3及び図4参照)。
衝撃波発生頻度が衝撃波発生頻度の第1設定値より大きいかを判定する(ステップS3)。表示装置21には、一点鎖線で示される、衝撃波発生頻度の第1設定値43が表示される。オペレータは、表示装置21に表示された画像情報を見ることによって、衝撃波発生頻度42が第1設定値43よりも大きいかを容易に判定することができる。
衝撃波発生頻度42が第1設定値43以下である場合には、高圧ポンプの運転条件を変更する(ステップS4)。オペレータは、操作盤26を操作して高圧ポンプ5の運転条件(高圧ポンプ5の吐出圧力(または吐出流量の設定値))の設定値を変更する。すなわち、吐出圧力(または吐出流量)の設定値が増加される。制御装置23は、高圧ポンプ5の変更された運転条件に基づいて高圧ポンプ5を制御する。高圧ポンプ5から増加された圧力等で水流が噴射され、後述するように、衝撃波発生頻度42が得られる。
ステップS3で衝撃波発生頻度が衝撃波発生頻度の第1設定値よりも大きいと判定されたとき、ノズルの走査を開始する(ステップS5)。ノズル6を設定された方向に走査する。この走査は、オペレータが操作盤26にノズル走査開始位置(以下、走査開始位置という)、走査方向(X方向またはY方向)及びノズル走査終了位置(以下、走査終了位置という)を入力することによって行われる。制御装置22が、操作盤26から走査開始信号、及び走査方向及び走査終了位置の各情報を入力し、該当する移動装置(移動装置14または移動装置38)に走査開始信号を出力する。オペレータが操作盤26に入力した走査方向がX方向であるとき、移動装置14が第1アーム13に沿って移動し、ノズル6をX方向における走査開始位置から走査終了位置まで移動させる。
操作盤26から出力された走査開始信号は制御装置23にも入力される。制御装置23は、走査開始信号に基づいて高圧ポンプ5を駆動する。このため、移動装置14が移動してノズル6がX方向に移動している間、ノズル6から高圧の水流が噴射される。噴出された水流内の気泡が潰れて発生する衝撃波29が、ノズル6の走査方向で、順次、構成部材2の表面に当てられる。ノズル6の移動が構成部材2に存在してX方向に伸びている溶接部及びこれの熱影響部に沿って行われるので、その衝撃波29の作用によって、溶接部及び熱影響部の表面付近に存在している引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。
移動装置38に取り付けられた圧力センサ16も、ノズル6と共に移動装置14の移動方向であるX方向に移動する。圧力センサ16は、移動しながら、衝撃波29を検出して衝撃波検出信号40を出力する。この衝撃波検出信号40は、増幅器18で増幅された後、ディスクリ19に入力される。ディスクリ19は、衝撃波検出信号40のうち衝撃波検出信号40の設定値41(図3及ぶ図4参照)よりも大きな衝撃波検出信号だけを通過させる。ディスクリ19から出力された衝撃波検出信号40が、カウンタ20に入力されてカウンタ20で計数される。ディスクリ19は、設定値41よりも大きな衝撃波検出信号40を入力したとき、気泡28が潰れて衝撃波29が発生したと自動的に判定してこの衝撃波検出信号40を通過させている。ディスクリ19から出力された衝撃波検出信号40の、カウンタ20での計数値が表示装置21に入力される。カウンタ20で計数された単位時間当たりのその計数値が、衝撃波発生頻度42であり、表示装置21に表示される(図3及び図4参照)。
ノズルが走査終了位置に到達したとき、ノズルの走査を停止する(ステップS6)。前述したX方向における走査終了位置にノズル6が到達したとき、制御装置22が移動装置14に停止信号を出力する。この停止信号の出力によって移動装置14が停止し、ノズル6のX方向における走査が終了する。X方向におけるノズル6の位置を検出するエンコーダ(図示せず)が移動装置14に設けられており、このエンコーダから出力された、X方向におけるノズル6の位置信号が、制御装置22に入力される。制御装置22は、この位置信号がX方向での走査終了位置になったとき、停止信号により移動装置14の移動を停止する。
ノズル走査中で衝撃波発生頻度が第1設定値よりも常に大きいかを判定する(ステップS7)。オペレータは、表示装置21に表示された画像情報を見て、ノズル6の走査中で衝撃波発生頻度42が第1設定値43(二点鎖線)よりも常に大きいかを判定する。
ステップS5により構成部材2の表面に対してWJP施工を行い、ステップS6でWJP施工を停止したときにおいて、表示装置21に表示された圧力センサ16の衝撃波検出信号40、及び衝撃波発生頻度42の一例を図3に示す。衝撃波検出信号40は増幅器18で増幅された信号である。図3に示した表示例では、時間T0から時間T1の間で高圧ポンプ5が停止しており、時間T1から時間T2の間で高圧ポンプ5の起動操作を行っている。衝撃波発生頻度42が第1設定値43よりも十分に大きくなったことを確認した後に、ノズル6の走査を開始した。図3に示された衝撃波発生頻度42は、ノズル6の走査中において、第1設定値43よりも常に大きくなっている。このため、ステップS7の判定が「Yes」になり、高圧ポンプ5が停止される(ステップS10)。オペレータが操作盤26から入力したポンプ停止指令に基づいて、制御装置23が高圧ポンプ5を停止させる。構成部材2に形成された1つの溶接部に沿ったWJPの施工が終了する。
ステップS8及びS9の操作の後でステップS5におけるノズル6の操作を行うことによって、増幅された圧力センサ16の衝撃波検出信号40、及び衝撃波発生頻度42が、図4に示すように、表示装置21に表示されたとする。この表示例では、ノズル6の走査中にキャビテーションの勢いが弱まり、時間T3以降では衝撃波発生頻度42が第1設定値43を下回ってしまった。このような図4に示す状態では、ステップS7の判定は「No」になる。
この後、高圧ポンプの運転条件を変更する(ステップS8)。オペレータは、操作盤26を操作して高圧ポンプ5の運転条件(高圧ポンプ5の吐出圧力または吐出流量の設定値)を変更する。そして、ノズルの走査方向を逆方向に変更する(ステップS9)。オペレータは、操作盤26を操作して、ステップS5で設定した、ある方向(例えば、X方向)における走査終了位置を走査開始位置に、そして、ステップS5で設定した走査開始位置を走査終了位置に設定する。
その後、ステップS5の走査が行われる。制御装置22がステップS9で設定されたそれらの位置情報を入力するので、移動装置14が前回と逆の方向に移動する。高圧の水流を噴射しているノズル6が、ステップS9で設定した走査開始位置から走査終了位置まで移動される。ノズル6が走査終了位置に到達したとき、ノズル6の走査を停止する(ステップS6)。ステップS7の判定が行われる。
ステップS8及びS9の操作の後でステップS5におけるノズル6の走査を行うことによって、図3に示すような、増幅された圧力センサ16の衝撃波検出信号40、及び衝撃波発生頻度42が、表示装置21に表示されたとする。図3に示された衝撃波発生頻度42は、ノズル6の走査中において、第1設定値43よりも常に大きくなっている。このため、ステップS7の判定が「Yes」になり、ステップS10の操作で、上記したように、高圧ポンプ5が停止される(ステップS10)。構成部材2に形成された1つの溶接部に沿ったWJPの施工が終了する。
衝撃波発生頻度42が第1設定値43を下回っているときには、WJP施工対象の溶接部において、衝撃波発生頻度42が第1設定値43を上回っている箇所を除き、衝撃波発生頻度42が第1設定値43を下回っている箇所に対して主にWJPを施工すればよい。このため、ステップS9において、ステップS5で設定した走査開始位置及び走査終了位置の替りに、衝撃波発生頻度42が第1設定値43を下回っている箇所を重点に走査開始位置及び走査終了位置をそれぞれ新たに設定し、WJPの再施工区間を設定しても良い。WJPの再施工区間の両端部では、若干、衝撃波発生頻度42が第1設定値43を上回っている箇所を含んでいる。新たに設定した再施工区間に対してWJPを再施工することによって、これらの間における衝撃波発生頻度42が第1設定値43を上回り、WJPの再施工に要する時間を短縮できる。
構成部材2において、X方向に他の溶接部が存在する場合、及びY方向にも溶接部が存在する場合には、ステップS5でそれぞれの溶接部及び熱影響部に対して、順番に走査開始位置及び走査終了位置を設定し、WJPを順次施工する。構成部材2に存在する全ての溶接部等に対するWJPの施工が終了したとき、構成部材2に対するWJPの施工が終了する。
本実施例は、ノズル6から高圧の水流を噴射してこの水流内の気泡28が潰れて発生する衝撃波29を構成部材2の表面に当てて構成部材2にWJPを施工している間、圧力センサ16が衝撃波29を検出する。衝撃波29は、潰れた気泡28から発生し、潰れなかった気泡28からは発生しない。したがって、本実施例において、圧力センサ16で衝撃波29を検出することは、衝撃波29を発生した気泡28、すなわち、WJP施工に貢献した気泡28を検出することになる。本実施例は潰れなかった気泡28を検出しない。本実施例は、圧力センサ16から出力された衝撃波29の検出信号を計数することによって衝撃波発生頻度42を求める。本実施例は、気泡が潰れたときに発生して残留応力の改善に貢献する衝撃波29を検出して衝撃波発生頻度42を求めるので、この衝撃波発生頻度42に基づいてWJP施工対象物の残留応力の改善効果をより精度良く確認できる。
本実施例では、圧力センサ16が、ノズル6ではなく、移動装置38に設けられた支持部材36に取り付けられている。このため、圧力センサ16による、ノズル6の噴射口を通過する気泡を含んだ高圧水の流動振動に基づいた衝撃パルスの検出が、著しく抑制される。これも、WJP施工対象物における残留応力の改善効果の確認精度の向上に貢献する。
特に、衝撃波発生頻度を表示装置21に表示するので、オペレータがWJP施工対象物における残留応力の改善効果を容易に把握することができる。
本実施例は、残留応力の改善効果の確認を衝撃波発生頻度に基づいて行っているので、WJP施工対象物において残留応力の改善効果が不十分な箇所を精度良く確認することができる。また、残留応力の改善効果が不十分な箇所が存在する場合には、WJP装置1を用いて、その箇所を対象にWJPをより短時間に再施工することができる。
本実施例は、衝撃波発生頻度に基づいてWJP施工対象物における残留応力の改善効果を精度良く確認することができるので、残留応力の改善効果を確認するための評価のマージンを小さくすることができる。このため、そのマージンを小さくできる分、ノズル6に高圧水を供給する高圧ポンプ5の容量を小さくすることができる。
高圧ポンプ5の容量を小さくしない場合には、そのマージンを小さくできる分、ノズル6の移動速度を速くすることができる。このため、WJPの施工時間をさらに短縮することができる。
本発明の他の実施例である実施例2のウォータージェットピーニング方法を、図6を用いて説明する。本実施例のウォータージェットピーニング方法は、例えば、沸騰水型原子力プラントの原子炉圧力容器内に設置された炉内構造物を対象に実施される。この炉内構造物は、例えば、炉心シュラウドである。
沸騰水型原子力プラントの原子炉付近の構造を、図6を用いて説明する。沸騰水型原子力プラントの原子炉50は、原子炉圧力容器51、炉心シュラウド52、炉心支持板54、上部格子板55及びジェットポンプ56を備えている。炉心シュラウド52、炉心支持板54、上部格子板55及びジェットポンプ56は、原子炉圧力容器51内に設置される。炉心を取り囲む炉心シュラウド52内には、炉心の下端に位置する炉心支持板54が設置され、炉心の上端に位置する上部格子板55が設置される。複数のジェットポンプ56が、原子炉圧力容器51と炉心シュラウド52の間に形成される環状のダウンカマ57内に配置される。
本実施例のウォータージェットピーニング方法に用いられるWJP装置1Aは、実施例1で用いられるWJP装置1においてノズル走査装置10及び信号処理装置39をノズル走査装置10A及び信号処理装置39Aに替えた構成を有する。WJP装置1Aの他の構成はWJP装置1と同じである。
ノズル走査装置10Aについて説明する。ノズル走査装置10Aは、図6、図7及び図8に示すように、移動装置58A,58B、ポスト部材62、昇降体63及びターンテーブル65を有する。ターンテーブル65が、炉心シュラウド52の上部フランジ53の上面に設置された環状のガイドレール66に旋回可能に設置される。図示されていないが、ターンテーブル65には、ガイドレール66の上面に接触する複数の車輪が設けられる。少なくとも1つの車輪(図示せず)を回転させるモータ(図示せず)がターンテーブル65に設けられる。移動装置58A,58Bがターンテーブル65上に設置される。
同じ構成を有する移動装置58A,58Bを、移動装置58Aを例にとって説明する。移動装置58Aは、図8に示すように、装置本体59、2本のアーム60及びボールネジ80を有する。2本のアーム60が、装置本体59のケーシングを貫通しており、スライド可能にそのケーシングに取り付けられる。2本のアーム60の両端部が連結部材61A,61Bによって連結されている。装置本体59のケーシングを貫通するボールネジ80が、回転可能に連結部材61A,61Bに取り付けられる。装置本体59のケーシング内には、図示されていないが、モータが設置され、このモータの回転軸に取り付けられた歯車(図示せず)が、ボールネジ80に噛み合う歯車(図示せず)と噛み合っている。このモータの駆動によってそれらの歯車が回転し、ボールネジ80が原子炉圧力容器51の半径方向に移動する。原子炉圧力容器51の軸方向に伸びるポスト部材62が、連結部材61Bに取り付けられる。昇降体63が、ポスト部材62に沿って移動できるように、ポスト部材62に取り付けられる。昇降体63を上下動させるモータ64がポスト部材62の上端部に設けられる。
ノズル6、圧力センサ16及び監視カメラ67が昇降体63に設置される。
本実施例では、炉心シュラウド52の上端部の外面に対してWJPが施工される。本実施例では、炉心シュラウド52がWJP施工対象物である。沸騰水型原子力プラントの運転が停止された後、原子炉圧力容器51の上蓋が取り外され、原子炉圧力容器51内に設置されている蒸気乾燥器及び気水分離器が取り外されて原子炉圧力容器51の外に搬出される。これらの搬出は、原子炉圧力容器51が設置されている原子炉建屋内の天井クレーン(図示せず)を用いて行われる。これらの取り外し及び搬出作業を行うとき、原子炉圧力容器51の真上に位置する原子炉ウエル68内に、水3が充填されている。
ガイドレール66が、その天井クレーンを用いて上部フランジ53上まで移送され、上部フランジ53に設置される。移動装置58A,58Bが設置されたターンテーブル65が、天井クレーンによって搬送され、ガイドレール66上に設置される。ノズル6、圧力センサ16及び監視カメラ67を有する昇降体63が取り付けられたポスト部材62が、ターンテーブル65の搬送前に、移動装置58A,58Bのそれぞれに設置されている。ターンテーブル65がガイドレール66に設置されたとき、移動装置58A,58Bのそれぞれに設けられたポスト部材62が、ダウンカマ57内に配置される。
高圧ポンプ5及び操作盤26が原子炉建屋内の運転床69の上に置かれ、信号処理装置39A、制御装置22,23及び表示装置21が操作盤26に設けられる。信号処理装置39Aは、増幅器18、ディスクリ19及びカウンタ20を有する。運転床69は原子炉ウエル68を取り囲んでいる。高圧ポンプ5に接続された2本の高圧ホース9が、移動装置58A,58Bにそれぞれ取り付けられ、移動装置58Aに設けられたノズル6及び移動装置58Bに設けられたノズル6に別々に接続されている。移動装置58Aに設けられた圧力センサ16に接続された信号線70が増幅器18に接続される。増幅器18がディスクリ19及び表示装置21に接続される。移動装置58Bに設けられた圧力センサ16に接続された信号線70も、別の増幅器18を介して表示装置21及び別の信号処理装置39Aのディスクリ19に接続される。2つの信号処理装置39Aのそれぞれのカウンタ20が表示装置21に接続される。制御装置22に接続される制御信号線71が、移動装置58A,58Bのそれぞれに設けられたモータ64、装置本体59のケーシング内に設けられたモータ、及びターンテーブル65に設けられてターンテーブル65の車輪を回転させるモータにそれぞれ接続される。それぞれのモータにはエンコーダ(図示せず)が設けられ、各エンコーダは、モータによって移動される部材の移動距離、すなわち、その部材の移動後の位置を検出する。
本実施例のウォータージェットピーニング方法においても、実施例1と同様に、図2に示す各操作または判定が実行される。炉心シュラウド52では、軸方向に伸びる溶接部が炉心シュラウド52の周方向に複数箇所存在し、周方向に伸びる溶接部が炉心シュラウド52の軸方向に複数箇所存在する。本実施例において、WJPはこれらの溶接部に沿って施工される。
例えば、炉心シュラウド52の周方向に伸びるある溶接部に沿ってWJPを施工するとする。ステップS1で、移動装置58A,58Bに設けられた各ノズル6をWJPの開始位置に移動させる。オペレータが、操作盤26から、炉心シュラウド52の周方向、軸方向及び半径方向のそれぞれの位置情報を入力する。制御装置22が、これらの位置情報に基づいてWJP装置1Aに設けられた3つのモータを駆動し、ノズル6を上記した1つの溶接部に対向するように指定された走査開始位置に位置決めする。移動装置58A,58Bの各装置本体59にそれぞれ設けられたモータの駆動によってボールネジ80が回転し、各ポスト部材62が炉心シュラウド52の半径方向に移動する。ポスト部材62のこの移動によって、ノズル6と炉心シュラウド52のWJP施工面である外面との間の距離、すなわち、スタンドオフが設定値にセットされる。モータ64の駆動によって昇降体63がポスト部材62沿って炉心シュラウド52の軸方向に移動し、ノズル6が炉心シュラウド52の軸方向の所定位置に位置決めされる。
その後、ステップS2の操作が実行される。高圧ポンプ5が駆動され、昇圧された高圧水が高圧ホース9を通して移動装置58A,58Bに設けられた各ノズル6に供給される。初期値の圧力及び初期値の流量で各ノズル6から高圧水が、設置された上部格子板54付近で炉心シュラウド52の外面に向って噴射される。噴射された水流に含まれた気泡が潰れて発生した衝撃波が圧力センサ16で検出される。この衝撃波の検出によって圧力センサ16から出力された検出信号に基づいてカウンタ20により衝撃波発生頻度が求められる。この衝撃波発生頻度に基づいて、ステップS3の判定が行われる。この判定が「No」である場合には、ステップS4において高圧ポンプの運転条件を変更し、再度、ステップS3の判定を行う。ステップS4の判定が「Yes」のとき、ステップS5のノズル6の走査を開始する。移動装置58A,58Bに設けられた各ノズル6が、高圧の水流を噴射しながら、炉心シュラウド52の周方向に伸びるある溶接部に沿って移動する。この移動は、ターンテーブル65をガイドレール66に沿って旋回させることによって行われる。この溶接部及び熱影響部に対するWJPが施工される。本実施例では、2つのノズル6が180°反対方向に位置しているので、各ノズル6が周方向に、例えば、190°移動したとき、ステップS6の操作が行われ、ノズル6の走査が停止される。
表示装置21に表示された衝撃波発生頻度に基づいてステップS7の判定が行われる。この判定が「Yes」のとき、高圧ポンプ5の運転が停止される(ステップS10)。炉心シュラウド52の周方向に伸びる1つの溶接部に対するWJPの施工が停止される。ステップS10の判定が「No」のとき、ステップS8及びS9の操作が行われ、該当する溶接部において設定されたWJPの再施工区間に対してWJPが再施工される。再施工後のステップS10の判定が「Yes」になったとき、高圧ポンプ5の運転が停止される。
炉心シュラウド52に周方向に形成された別の溶接部、炉心シュラウド52に軸方向に形成された溶接部に対しても、同様にWJPが施工される。
本実施例も、実施例1で生じた各効果を得ることができる。
本発明の他の実施例である実施例3のウォータージェットピーニング方法を、図9、図10及び図11を用いて説明する。
本実施例に用いるWJP装置1Bを、図9を用いて説明する。WJP装置1Bは、実施例2で用いたWJP装置1Aにおいて信号処理装置39を信号処理装置39Bに替え、圧力センサ16の替りにAEセンサ(衝撃波検出装置)72,72Aを用いた構成を有する。WJP装置1Bの他の構成は、WJP装置1Aと同じである。WJP装置1Bの構成は、WJP装置1Aと異なる部分について説明する。
支持部材36Aが、昇降体63に設置されたノズル6の軸方向に伸びて昇降体63に取り付けられる。衝撃波変換板73,73Aが、ノズル6の軸方向において異なる位置で支持部材36Aに設置されている(図10参照)。衝撃波変換板73が衝撃波変換板73Aよりもノズル6の先端側に位置しており、衝撃波変換板73Aが衝撃波変換板73から距離LAEだけ離れている。AEセンサ72が衝撃波変換板73に設置され、AEセンサ72Aが衝撃波変換板73Aに設置される。衝撃波変換板73,73Aが、設置されたそれぞれのAEセンサよりもノズル6の先端側に位置している。
信号処理装置39Bは、アナログ/デジタル変換器(A/D変換器)74、検出時間決定装置75、時間差判定装置(衝撃波決定装置)76、衝撃波計数装置77及び記憶装置78を有する(図9参照)。A/D変換器74が検出時間決定装置75に接続され、検出時間決定装置75が時間差判定装置76に接続される。時間差判定装置76が衝撃波計数装置77に接続される。記憶装置78が、検出時間決定装置75、時間差判定装置76、衝撃波計数装置77及び制御装置22,23に接続される。信号処理装置39Bは、図9においてハードイメージで表されているが、パーソナルコンピュータ内でプログラム化されている。信号処理装置39Bは原子炉ウエルを取り囲む運転床上に設置された操作盤26に取り付けられている。高圧ポンプ5は運転床上に設置される。
増幅器18,18Aが昇降体63に取り付けられる。増幅器18が、AEセンサ72及びA/D変換器74に接続される。増幅器18Aが、AEセンサ72A及びA/D変換器74に接続される。増幅器18,18Aには、防水対策が施されている。
記憶装置28は、WJP施工対象物に形成された溶接部に対するWJPの走査開始位置及び走査終了位置、衝撃波検出信号の設定値、衝撃波発生頻度の第1設定値43及び第2設定値79(図13参照)、及びAEセンサ72とAEセンサ72Aの衝撃波検出の時間差の正常範囲(下限値及び上限値)の情報を記憶している。第2設定値79は第1設定値43よりも大きくなっている。
本実施例のウォータージェットピーニング方法を、図9及び図11を用いて具体的に説明する。本実施例におけるWJP施工対象物は、炉心シュラウド52である。沸騰水型原子力プラントの運転が停止された後、ノズル走査装置10Aが、実施例2で述べたように、水3が充填された原子炉圧力容器51内で炉心シュラウド52の上部フランジ66上に設置される。このとき、移動装置58A,58Bの、ノズル6を設置した昇降体63が移動するそれぞれのポスト部材62が、原子炉圧力容器51と炉心シュラウド52の間に配置される。
本実施例では、ステップS1,S3,S5,S6及びS11〜S14が制御装置22で実行され、ステップS2,S4,S14及びS10が制御装置23で実行される。
ステップS1の制御が行われる前に、オペレータは、炉心シュラウド52に形成された、軸方向に伸びる複数の溶接部及び周方向に伸びる複数の溶接部について、それぞれの走査開始位置及び走査終了位置を予め操作盤26に入力する。入力されたこれらの走査開始位置及び走査終了位置の各情報は、制御装置22を経て記憶装置78に記憶される。
例えば、炉心シュラウド52の周方向に伸びるある溶接部に沿ってWJPを施工するものとする。本実施例は、炉心シュラウド52に形成された実施例2と同様に、ステップS1の制御が制御装置22によって、ステップS2の制御が制御装置23によって行われる。ステップS1の制御では、制御装置22が、記憶装置78に記憶されている、周方向に伸びる1つの溶接部に関する走査開始位置の情報を入力する。
ステップS1及びS2の制御が終わった後、衝撃波発生頻度が衝撃波発生頻度の第1設定値より大きいかを判定する(ステップS3)。本実施例では、衝撃波発生頻度が、後述するように、衝撃波計数装置77で求められる。制御装置22が、衝撃波計数装置77から入力した衝撃波発生頻度が、記憶装置78から入力した衝撃波発生頻度の第2設定値79(図13参照)よりも大きいかを判定する。この判定結果が「No」であるとき、制御装置22が運転条件変更信号を制御装置23に出力する。その後、高圧ポンプの運転条件が変更される(ステップS4)。運転条件変更信号を入力したとき、制御装置23が、高圧ポンプ5の運転条件(高圧ポンプ5の吐出圧力または吐出流量の設定値)を変更する。制御装置23は、変更された運転条件に基づいて高圧ポンプ5を制御する。高圧ポンプ5が圧力を増大した水を吐出する。高圧ポンプ5から増加された圧力等で水流27が噴射され、後述するように、衝撃波発生頻度42が求められる。
制御装置22が、ステップS3の判定で入力した衝撃波発生頻度に基づいて「Yes」と判定したとき、ステップS5の制御を実行する。ステップS5の制御を実行する際、制御装置22が、炉心シュラウド52に形成された1つの溶接部に関する走査終了位置の情報を、記憶装置78から入力する。ノズル6が既に走査開始位置に位置決めされており、制御装置22は、WJP装置1Aに設けられた、ターンテーブル65の車輪を回転させるモータに走査開始信号を出力する。このモータが駆動されてターンテーブル65が旋回し、高圧の水流27が噴射しているノズル6が周方向に伸びる溶接部に沿って走査終了位置まで移動する。
水流27は、炉心シュラウド52の外面に向ってノズル6から噴射される。噴射された水流に含まれている複数の気泡28の一部が潰れて衝撃波29が発生する。これらの衝撃波29は、炉心シュラウド52に形成された該当する溶接部及びこの熱影響部に衝突する。このため、溶接部及びこの熱影響部の表面付近に存在する引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。ノズル6と共に周方向に移動しているAEセンサ72,72Aは、水3の中を伝播するそれらの衝撃波29を検出し、複数の衝撃波検出信号を出力する。具体的には、AEセンサ72が衝撃波29の衝突により衝撃波変換板73内で発生した音波を検出し、AEセンサ72Aが衝撃波29の衝突により衝撃波変換板73A内で発生した音波を検出する。AEセンサ72,72Aから出力された各衝撃波検出信号が、増幅器18,18Aによって増幅され、A/D変換器74に入力される。A/D変換器74は、各衝撃波検出信号をデジタル信号に変換し、表示装置21及び検出時間決定装置75に出力する。
1つの気泡が潰れて発生した衝撃波をAEセンサ72,72Aで受信したとき、これらのAEセンサにおいてこの衝撃波の検出に時間差が生じる。この理由を、図10を用いて説明する。気泡28aが潰れて衝撃波が発生したとき、AEセンサ72への衝撃波の伝播経路は84aであり、AEセンサ72Aへの衝撃波の伝播経路は85aで示される。衝撃波は水3中を音速(≒1500m/s)で伝播するので、AEセンサ72とAEセンサ72Aとの間で生じる、衝撃波の検出時間の差は、伝播経路84aと伝播経路85aの長さの差に基づいて発生する。
ここで、気泡が潰れる範囲が一点鎖線83で示す範囲であると想定する(図10参照)。AEセンサ72とAEセンサ72Aが距離LAEだけ離れているので、一点鎖線83よりも内側の範囲内において異なる位置で、複数の気泡、例えば、気泡28a,28b,28cが潰れて衝撃波がそれぞれ発生したとしても、AEセンサ72とAEセンサ72Aにおける各衝撃波の検出時間に差が生じる。気泡28b,28cが潰れて発生した各衝撃波のAEセンサ72への伝播経路は84b、84cであり、これらの衝撃波のAEセンサ72Aへの伝播経路は85b、85cである。各衝撃波が水中を音速で伝播するので、それらの検出時間の差は所定の範囲内に収まる。一方、電磁ノイズは光速に近い速度で伝播する。このため、AEセンサ72,72Aが電磁ノイズを検出した場合には、これらのAEセンサが、検出した電磁ノイズに対する出力信号を同時に出力する。したがって、AEセンサ72,72Aの両者の検出時間に差が無いときには、電磁ノイズによる出力信号であると判定する。AEセンサ72,72Aでの検出時間の差が、衝撃波がこれらのAEセンサ間の距離LAEを伝播するのに要する時間と概ね等しく、予め設定された正常な時間差の範囲内にあるときには衝撃波を受信したと判定する。
WJP施工中でのAEセンサ72(第1衝撃波検出装置)及びAEセンサ72A(第2衝撃波検出装置)から出力された各衝撃波検出信号の一例を図12に示す。図12において、縦軸が衝撃波検出信号の強度を表し、横軸が時間を表している。図12は、後述の図13及び図14に比べて横軸の時間を拡大している。図12は、A/D変換器74から表示装置21に出力された各衝撃波検出信号が、表示装置21に表示された状態を示している。
検出時間決定装置75は、A/D変換器74から入力した各衝撃波検出信号のうち、記憶装置78から入力した衝撃波検出信号の設定値41よりも強度が大きな衝撃波検出信号を選択する。検出時間決定装置75は、選択された衝撃波検出信号の検出時間を決定する。図12において、81a〜81jの各衝撃波検出信号がAEセンサ72から出力された衝撃波検出信号から選択されたものであり、82a〜82jの各衝撃波検出信号がAEセンサ72Aから出力された衝撃波検出信号から選択されたものである。選択された各衝撃波検出信号は、決定された時間情報と共に、検出時間決定装置75から時間差判定装置76に出力される。
時間差判定装置76は、1つの気泡が潰れて発生した衝撃波を検出した、AEセンサ72からの衝撃波検出信号の検出時間とAEセンサ72Aからの衝撃波検出信号の検出時間の差を算出する。時間差判定装置76は、算出した時間差が記憶装置78から入力した時間差の正常範囲(下限値及び上限値)内に存在するかを判定し、算出した時間差がその正常範囲内に存在するとき、衝撃波を検出したと判定する。例えば、図12において、衝撃波検出信号81aと衝撃波検出信号82a、及び衝撃波検出信号81bと衝撃波検出信号82bは、時間差の正常範囲内に存在するので、それぞれ同じ衝撃波から発生したと判定する。しかしながら、衝撃波検出信号81eと衝撃波検出信号82e、及び衝撃波検出信号81gと衝撃波検出信号82gは、ほぼ同時に検出しているので、衝撃波の検出で生じたのではなく、ノイズであると判定する。時間差判定装置76は、衝撃波を検出したと判定したとき、衝撃波決定信号を出力する。
衝撃波計数装置77は、入力した衝撃波決定信号を計数する。衝撃波決定信号の計数は衝撃波の計数に相当する。単位時間当たりの衝撃波決定信号の計数値が、衝撃波発生頻度である。得られた衝撃波発生頻度は、記憶装置78に記憶されると共に、制御装置22に入力される。記憶装置78に記憶された衝撃波発生頻度は、順次、表示装置21に表示される。表示装置21には、AEセンサ72からの衝撃波検出信号40、AEセンサ72Aからの衝撃波検出信号40A、衝撃波検出信号の設定値41、衝撃波発生頻度42、及び衝撃波発生頻度の第1設定値43及び第2設定値79が表示される(図13及び図14参照)。
衝撃波発生頻度が衝撃波発生頻度の第2設定値よりも大きいかが判定される(ステップ11)。制御装置22は、入力した衝撃波発生頻度が、記憶装置78から入力した第2設定値79よりも大きいかを判定する。この判定は、炉心シュラウド52に形成された周方向の1つの溶接部に沿ってノズル6が走査開始位置から走査終了位置に向って移動している間、行われる。制御装置22で行われた、ステップS11の判定が常に「Yes」であるとき、ノズルが走査終了位置に到達した時点で、ノズルの走査が終了する(ステップS6)。制御装置22は、ターンテーブル65を旋回するモータに設けられたエンコーダからの出力信号に基づいて、ノズル6が周方向に伸びる1つの溶接部の走査終了位置に到達したと判定したとき、そのモータに駆動停止信号を出力してターンテーブル65の旋回を停止させる。
高圧ポンプが停止される(ステップS10)。制御装置22から出力された駆動停止信号は、制御装置23に入力される。制御装置23は、その駆動停止信号を入力したとき、高圧ポンプ5を停止させる。これによって、炉心シュラウド52の周方向に伸びる1つの溶接部に沿ったWJP施工が終了する。このWJP施工によって、その溶接部及びそれの熱影響部の表面付近に存在した引張残留応力が圧縮残留応力に改善されている。これは、その溶接部の周方向の全長において、衝撃波発生頻度が、第1設定値43よりも大きい第2設定値79よりも大きくなっていることで確認することができる。衝撃波発生頻度が第1設定値43よりも低い箇所が存在する場合は、その箇所で、引張残留応力の改善効果が不足していることを意味する。
制御装置22でのステップS11の判定結果が「No」であるとき、衝撃波発生頻度が衝撃波発生頻度の第1設定値よりも小さいかが判定される(ステップS12)。制御装置22は、入力した衝撃波発生頻度が、記憶装置78から入力した第1設定値43よりも小さいかを判定する。この判定が「No」であるとき、高圧ポンプの運転条件を変更する(ステップS14)。制御装置22は、ステップS12の判定結果が「No」であるとき、制御装置23に対して高圧ポンプ5の運転条件変更信号を出力する。制御装置23は、運転条件変更信号を入力したとき、高圧ポンプ5の運転条件(高圧ポンプ5の吐出圧力の設定値または吐出流量の設定値)を変更する。すなわち、制御装置23は、吐出圧力の設定値(または吐出流量の設定値)を、設定された所定幅だけ増加する。制御装置23は、変更された運転条件に基づいて高圧ポンプ5を制御する。この制御によって、高圧ポンプ5によって昇圧されてノズル6から噴射される水流の圧力が増大し、衝撃波により溶接部の表面付近における引張残留応力の改善効果が増大する(図13参照)。高圧ポンプ5の運転条件の変更及び変更された運転条件に基づいた高圧ポンプ5の制御は、ノズル6を走査しながら行う。衝撃波発生頻度が第2設定値79よりも小さくて第1設定値43よりも大きい状態は、キャビテーションの勢いが弱まりつつあることを示している。しかしながら、衝撃波発生頻度が第1設定値よりも小さくならない限りは、炉心シュラウド52の残留応力の所定の改善効果が生じている。
ステップS12の判定が「Yes」のとき、ノズルを走査開始位置に移動する(ステップS13)。ステップS12の判定が「Yes」になったとき、衝撃波発生頻度は、図14に示すように、第1設定値43よりも低下する。制御装置22は、ステップS12の判定が「Yes」になったとき、ノズル6を走査開始位置に移動させる。この移動に際し、制御装置22は、ノズル6を戻す走査開始位置を、衝撃波発生頻度が第1設定値43になったときのノズル6の位置よりも若干前の時点での位置に設定する。そのノズル6の移動は、制御装置22がノズル走査装置10Aの移動装置の1つであるターンテーブル65を旋回させる駆動装置(例えば、モータ)に駆動指令を出力することによって、行われ、ノズル6が設定された走査開始位置まで戻される。制御装置22から出力された駆動指令が制御装置23に入力される。このとき、制御装置23が、前述したステップS14のように、高圧ポンプ5の運転条件を変更し、この変更された運転条件に基づいて高圧ポンプ5を制御する。
制御装置23は、変更された運転条件に基づいて高圧ポンプ5を制御した後、制御装置22に対してノズル走査開始信号を出力する。制御装置22は、ノズル走査開始信号の入力によって、ノズル走査装置10Aの該当する移動装置、例えば、ターンテーブル65を移動させる。高圧の水流を噴射しているノズル6が走査開始位置から移動し始め、炉心シュラウド52の溶接部へのWJPの施工が再開される。制御装置22が、ステップS11で「Yes」と判定し、ステップS6の制御を行い、制御装置23がステップS10の制御を行ったとき、WJPの施工が終了する。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、2つのAEセンサを有し、これらのAEセンサから出力された衝撃波検出信号の検出時間の差を求めているので、高ノイズ環境下でWJPの施工を行う場合に、ノイズの影響を受けることなく、残留応力の改善効果を監視できる。
本実施例は、ステップS11の判定が「No」であるとき、すなわち、衝撃波発生頻度が第1設定値43よりも大きな第2設定値79以下のとき、ステップS12の判定、すなわち、衝撃波発生頻度が第1設定値43よりも小さいかの判定を行っているので、衝撃波発生頻度が第1設定値43よりも小さくなる確率が減少する。このため、炉心シュラウド(WJP施工対象物)52の引張残留応力の改善効果が不足する状態になることが、低減される。
制御装置22及び制御装置23を統合して1つの制御装置にしてもよい。
実施例1及び2において、ステップS7の判定及びステップS8の制御を、本実施例で実施されるステップS11及びS12の各判定及びステップS14の制御に変更してもよい。
ステップS14の制御装置23による制御を、制御装置22によるノズル6の走査速度の制御に変更してもよい。すなわち、ノズル6の走査速度を低下するように、制御装置22が、ノズル6を走査する、ノズル走査装置の該当する移動装置を制御する。
前述した実施例1,2及び3は、加圧水型原子力プラントの構成部材における残留応力の改善に適用することができる。さらに、前述した実施例1,2及び3は、海から陸に引き上げることが難しい船舶の、海水に漬かっている鋼鈑の応力改善、及びその鋼板に付着しているふじつぼ落としに適用することができる。また、実施例1及び実施例1において信号処理装置39を信号処理装置39Bに替えた実施例は、自動車部品の表面改質に適用してもよい。
本発明は、構成部材の残留応力の改善に適用することができる。
1…ウォータージェットピーニング装置、4…水槽、5…高圧ポンプ、6…ノズル、9…高圧ホース、10,10A…ノズル走査装置、12,14,38,58A,58B…移動装置、13…第1アーム、16…圧力センサ、20…カウンタ、22,23…制御装置、28…気泡、29…衝撃波、39,39A,39B…信号処理装置、51…原子炉圧力容器、52…炉心シュラウド、60…アーム、62…ポスト部材、63…昇降体、65…ターンテーブル、72,72A…AEセンサ、75…検出時間決定部、76…時間差判定装置、77…衝撃波計数装置。

Claims (17)

  1. ノズルが存在する水中に、ポンプから供給された水を前記ノズルから水流として噴射させ、前記水流を噴射している前記ノズルを、前記水中に存在するウォータージェットピーニング施工対象物に沿って移動し、前記ノズルから前記水中に噴射された水流に含まれた気泡が潰れて発生する衝撃波を、前記ウォータージェットピーニング施工対象物に当て、発生した前記衝撃波を前記水中に配置された衝撃波検出装置によって検出し、検出された前記衝撃波の発生頻度を求めることを特徴とするウォータージェットピーニング方法。
  2. 前記発生頻度が第1設定値以下になったとき、前記ポンプから吐出されて前記ノズルに供給される前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させ、前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させた後、前記ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所に、前記衝撃波を当てる請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  3. 前記発生頻度が第1設定値以下になったとき、前記ノズルの走査速度を低下させ、前記ノズルの走査速度が低下した後、前記ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所に、前記衝撃波を当てる請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  4. 前記発生頻度が第1設定値よりも大きな第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値よりも大きいとき、前記水流を噴射している前記ノズルを走査しながら、前記ポンプから吐出されて前記ノズルに供給される前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させ、前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させた状態で、前記水流を噴射している前記ノズルを走査する請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  5. 前記発生頻度が第1設定値よりも大きな第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値よりも大きいとき、前記水流を噴射している前記ノズルを走査しながら、前記ノズルの走査速度を低下させ、前記走査速度が低下された状態で前記水流を噴射している前記ノズルを走査する請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  6. 前記発生頻度が第1設定値よりも大きな第2設定値以下になり前記発生頻度が第1設定値以下になったとき、前記ポンプから吐出されて前記ノズルに供給される前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させ、前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させた後、前記ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所に対して、前記衝撃波を当てる請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  7. 前記発生頻度が第1設定値よりも大きな第2設定値以下になり前記発生頻度が第1設定値以下になったとき、前記ノズルの走査速度を低下させ、前記ノズルの走査速度が低下した後、前記ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所に対して、前記衝撃波を当てる請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  8. 少なくとも2つの衝撃波検出装置を、前記ウォータージェットピーニング施工対象物の表面からの距離が異なる位置で前記水中にそれぞれ配置し、それぞれの前記衝撃波検出装置が前記衝撃波の検出によって出力した各衝撃波検出信号に基づいて、それぞれの前記衝撃波検出装置の相互間における前記衝撃波の検出時間の差を求め、得られた時間差が設定範囲内に存在するとき、前記衝撃波を検出したと決定し、前記発生頻度を、決定された前記衝撃波に基づいて求める請求項1ないし7に記載のウォータージェットピーニング方法。
  9. 前記ウォータージェットピーニング施工対象物が、原子炉容器内の構成部材である請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  10. 前記衝撃波の発生頻度を表示装置に表示する請求項1に記載のウォータージェットピーニング方法。
  11. 水流を噴射するノズルと、前記ノズルに水を供給するポンプと、前記ノズルが取り付けられて前記ノズルを走査するノズル走査装置と、前記ノズル走査装置に取り付けられた衝撃波検出装置と、前記衝撃波検出装置によって検出された衝撃波を計数して前記衝撃波の発生頻度を求める衝撃波計数装置とを備えたことを特徴とするウォータージェットピーニング装置。
  12. 前記発生頻度の情報を表示する表示装置を備えた請求項11に記載のウォータージェットピーニング装置。
  13. 前記発生頻度が第1設定値以下になったとき、前記ポンプを制御して前記ポンプから吐出されて前記ノズルに供給される前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させる第1制御装置と、前記水の圧力及び流量のいずれかが増大されたとき、前記ノズル走査装置を制御して、ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所で前記ノズルを走査させる第2制御装置とを備えた請求項11に記載のウォータージェットピーニング装置。
  14. 前記発生頻度が第1設定値以下になったとき、前記ノズル走査装置を制御して前記ノズルの走査速度を低下させ、前記走査速度が低下されたとき、前記ノズル走査装置を制御して、ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所で前記ノズルを走査させる制御装置を備えた請求項11に記載のウォータージェットピーニング装置。
  15. 前記発生頻度が第1設定値よりも大きな第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値よりも大きいとき、及び前記発生頻度が前記第2設定値以下になり、前記発生頻度が前記第1設定値以下になったとき、前記ポンプを制御して、前記ポンプから吐出されて前記ノズルに供給される前記水の圧力及び流量のいずれかを増大させる第1制御装置と、
    前記発生頻度が前記第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値よりも大きいとき、前記ノズル走査装置を制御して前記ノズルを走査し、前記発生頻度が前記第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値以下になったとき、前記ノズル走査装置を制御して、ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所で前記ノズルを走査させる第2制御装置とを備えた請求項11に記載のウォータージェットピーニング装置。
  16. 前記発生頻度が第1設定値よりも大きな第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値よりも大きいとき、前記ノズル走査装置を制御して、前記ノズルを走査している状態で前記ノズルの走査速度を低下させ、及び前記発生頻度が前記第2設定値以下になり前記発生頻度が前記第1設定値以下になったとき、前記ノズル走査装置を制御して、前記ノズルの走査速度を低下させ、前記ノズルの走査速度が低下したとき、前記ノズル走査装置を制御して、ウォータージェットピーニング施工対象物の、少なくとも前記発生頻度が第1設定値以下になっている箇所で前記ノズルを走査する制御装置を備えた請求項11に記載のウォータージェットピーニング装置。
  17. 前記ノズルの軸方向における異なる位置に配置された少なくとも2つの前記衝撃波検出装置と、それぞれの前記衝撃波検出装置が前記衝撃波の検出によって出力した各衝撃波検出信号に基づいて、それぞれの前記衝撃波検出装置の相互間における前記衝撃波の検出時間の差を求め、得られた時間差が設定範囲内に存在するとき、前記衝撃波の検出であると決定する衝撃波決定装置と、前記発生頻度を、前記衝撃波決定装置で決定した前記衝撃波を計数する前記衝撃波計数装置とを備えた請求項11に記載のウォータージェットピーニング装置。
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