JPH0866988A - ポリマ被覆金属積層体 - Google Patents

ポリマ被覆金属積層体

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JPH0866988A
JPH0866988A JP14615595A JP14615595A JPH0866988A JP H0866988 A JPH0866988 A JP H0866988A JP 14615595 A JP14615595 A JP 14615595A JP 14615595 A JP14615595 A JP 14615595A JP H0866988 A JPH0866988 A JP H0866988A
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将弘 木村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】融点140〜245℃のエチレンテレフタレー
ト及び/またはエチレンイソフタレートを主たる構成成
分とするポリエステルAと熱可塑性エラストマーが重量
比で70:30〜98:2の割合で配合されてなる
(I)層を押出ラミネートにより被覆してなることを特
徴とするポリマ被覆金属積層体。 【効果】本発明のポリマ被覆金属積層体は耐衝撃性、味
特性に優れており、特に製缶時の熱処理後も優れた低温
耐衝撃性を有しており、成形加工によって製造される金
属缶に好適に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリマ被覆金属積層体に
関するものである。更に詳しくは成形性、耐衝撃性、味
特性に優れ、成形加工によって製造される金属缶に好適
なポリマ被覆金属積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の缶内面及び外面は腐食防
止を目的として、エポキシ系、フェノール系等の各種熱
硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布
し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しか
しながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料の
乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有機
溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】これらの問題を解決する方法として、金属
缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属板
にめっき等各種の表面処理を施した金属板にポリマを押
出ラミネートする方法がある。そして、ポリマラミネー
ト金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶を製造
する場合、ポリマラミネート金属板には次のような特性
が要求される。
【0004】(1)成形性に優れ、成形後にピンホール
などの欠陥を生じないこと。
【0005】(2)金属缶に対する衝撃によって、ポリ
マが金属板から剥離したり、クラック、ピンホールが発
生したりしないこと。
【0006】(3)缶の内容物の香り成分がポリマに吸
着したり、ポリマからの溶出成分などの臭いによって内
容物の風味がそこなわれないこと(以下味特性とい
う)。
【0007】これらの要求を解決するために多くの提案
がなされており、例えば特開昭51−17988号公報
には結晶化度20%以下のポリエチレンテレフタレート
系重合体を押出ラミネートした金属体、特開昭51−1
48755号公報にはポリメチレンテレフタレート系重
合体を200〜350℃に加熱した金属体上に押出ラミ
ネートした金属体、特公平2−9935号公報には20
0℃未満に加熱された金属体上に多層のポリエステルを
押出ラミネートした金属体等が開示されている。しかし
ながら、これらの提案は上述のような多岐にわたる要求
特性を総合的に満足できるものではなく、特に耐衝撃
性、味特性を両立する点に対しては十分に満足できるレ
ベルにあるとは言えなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、成形性、耐
衝撃性、味特性に優れ、特に耐衝撃性、味特性の両立に
優れ成形加工によって製造される金属缶に好適なポリマ
被覆金属積層体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、融点140〜245℃のエチレンテレフタレート及
び/またはエチレンイソフタレートを主たる構成成分と
するポリエステルAと熱可塑性エラストマーが重量比で
70:30〜98:2の割合で配合されてなる(I)層
を押出ラミネートにより被覆してなることを特徴とする
ポリマ被覆金属積層体によって達成することができる。
【0010】本発明は、特定の融点を有するポリエステ
ルに適量の熱可塑性エラストマーを混合することによ
り、金属に押出ラミネート後、成形し製缶された際、製
缶工程での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの
熱履歴を受けても良好な耐衝撃性が得られることを見い
だしたものである。その効果は耐衝撃性、味特性の両立
だけでなく耐衝撃性を飛躍的に向上できる点で従来技術
に比べて非常に効果が大きいものである。
【0011】本発明におけるエチレンテレフタレート及
び/またはエチレンイソフタレートを主たる構成成分と
するポリエステルとは、ポリエステル成分の70モル%
以上がエチレンテレフタレート及び/またはエチレンイ
ソフタレートであるポリエステルをいい、好ましくは8
0モル%以上がエチレンテレフタレート及び/またはエ
チレンイソフタレートであるポリエステルをいう。ここ
で、ポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール成分
からなるポリマであり、上記以外のジカルボン酸成分、
例えばナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン
酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息
香酸等のオキシカルボン酸等の中から任意に選ばれるジ
カルボン酸成分を共重合してもよい。一方、グリコール
成分としてはエチレングリコール以外の成分として、プ
ロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族
グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グ
リコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳
香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコールなどのポリオキシエチレングリコール等を共
重合してもよく、グリコール成分のうちブタンジオール
は耐衝撃性向上の点から好ましい。なお、これらのジカ
ルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用しても
よい。
【0012】また、本発明の効果を阻害しない限りにお
いて、共重合ポリエステルにトリメリット酸、トリメシ
ン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重
合してもよい。
【0013】本発明で使用されるポリエステルAとして
は、融点として140〜245℃であることが耐熱性、
金属板との十分な接着性の点、さらに熱可塑性エラスト
マーと混合する際に熱可塑性エラストマーの分解を抑制
する点で必要である。好ましくは、イソフタル酸共重合
ポリエチレンテレフタレート、ブタンジオール/イソフ
タル酸共重合ポリエチレンテレタレートなどの共重合ポ
リエステル、及び該ポリエステルにジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレン
グリコールを共重合したポリエステルなどが挙げられ
る。特にイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレー
ト及び該ポリエステルにジエチレングリコール、ポリエ
チレングリコールなどのポリオキシエチレングリコール
を共重合したポリエステルなどが好ましく使用される。
【0014】本発明における熱可塑性エラストマーと
は、高温で可塑化されてプラスチックスと同様に成形で
き、常温ではゴム弾性体の性質を示し、エントロピー弾
性を発揮させるためのゴム成分(ソフトセグメント)と
高温では流動するが常温では塑性変形を阻止する仕掛け
を作るために必要な拘束成分(ハードセグメント)より
なるポリマである。引っ張り弾性率としては1〜500
0kgf/cm2 、硬度としては10〜90JIS A
のものが好ましい。本発明における熱可塑性エラストマ
ーは特に限定されないが、ポリスチレン系エラストマー
(ハードセグメント:ポリスチレン、ソフトセグメン
ト:ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブ
タジエン、エチレン−プロピレン共重合ゴムなど)、ポ
リオレフィン系エラストマー(ハードセグメント:ポリ
エチレンまたはポリプロピレン、ソフトセグメント:エ
チレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエン、ポリ
イソプレン、水素添加ポリブタジエンなど)、ポリエス
テル系エラストマー(ハードセグメント:ポリエステ
ル、ソフトセグメント:ポリエーテルまたはポリエステ
ル)、ポリアミド系エラストマー(ハードセグメント:
ポリアミド、ソフトセグメント:ポリエーテルまたはポ
リエステル)、その他としてハードセグメントをシンジ
オ−1,2−ポリブタジエンとし、ソフトセグメントを
アタクチック−1,2−ポリブタジエンとしたものなど
が挙げられる。さらに上記熱可塑性エラストマーに水酸
基、カルボキシル基、エポキシ基、アミド基及び無水マ
レイン酸成分などの公知の官能基及び官能基形成成分を
一部導入してもよいが、官能基のほとんどを金属塩化す
ることは味特性を悪化させるので好ましくない。中でも
ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラスト
マーが耐衝撃性改善及び味特性のためには好ましい。具
体的には、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンコ
ポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン
−スチレンコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレ
ン−スチレンコポリマー)、SEP(スチレン−エチレ
ン/プロピレンコポリマー)などのポリスチレン系エラ
ストマー、HYTREL(東レ・デユポン製)、ARN
ITEL(Akzo Chemie製)、ペルプレン
(東洋紡製)、LOMOD(General Elec
tric製)などのポリエステル系エラストマーが好適
に使用でき、特に、SEBSは添加量が少なくても耐衝
撃性を改良でき、味特性を損ねることのない良好な熱ラ
ミネート用フィルムが得られるので好ましい。
【0015】熱可塑性エラストマーは、ポリエステルA
との溶融押出性の点で210℃、2160g荷重でのメ
ルトインデックスが0.1〜50g/10分であること
が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30g/10
分、より好ましくは1〜20g/10分である。
【0016】また、ポリエステルAと熱可塑性エラスト
マーの混合層に公知の相溶化剤を添加し相溶性を改善す
ると耐衝撃性がさらに改善されるので好ましい。
【0017】本発明において、耐衝撃性、味特性を良好
に両立する点でポリエステルAと熱可塑性エラストマー
が重量比で70:30〜98:2の割合で配合されてな
る(I)層を金属体上に形成することが必要である。さ
らに好ましくはポリエステルAと熱可塑性エラストマー
が重量比で70:30〜95:5、より好ましくは重量
比で75:25〜93:7である。さらに、ポリエステ
ルAと熱可塑性エラストマー以外の成分が混合されてい
ても良い。このようにポリエステルAに低温でも柔軟性
に優れると考えられる熱可塑性エラストマーを適量含有
させることにより製缶時の熱履歴後においても特に耐衝
撃性が大きく向上する。
【0018】さらに本発明ではポリエステルA中に分散
した熱可塑性エラストマーの分散径比(=長手方向平均
分散径/厚み方向平均分散径)が2〜100であると耐
衝撃性が特に良化することことを見いだした。さらに、
分散径比が4〜50であると特にレトルトデント性が良
化するので好ましい。ここで、熱可塑性エラストマーの
分散径比は、例えばポリマ断面を切断し厚さ0.1〜1
μm程度の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡を用い
て倍率5000〜20000程度で写真(長手方向25
cm×厚み方向20cmを10枚)を撮影し、ポリエス
テルA中に分散した各熱可塑性エラストマー(i)の長
手方向径(xi)、厚み方向径(yi)及び楕円相当面
積(Si)を測定する。その後、各方向について下記式
を用いて長手方向平均分散径(xav)、厚み方向平均分
散径(yav)を求め分散径比(=xav/yav)を得た。
【0019】
【数1】
【数2】 上記の分散径比を2〜100とする方法は特に限定され
ないが、スクリューのメタリング部にミキシング構造を
設ける方法、例えばダルメージスクリュー、ユニメルト
スクリュー、ピンスクリュー、BMスクリュー、ウェー
ブスクリュー、HMスクリュー、DISスクリュー、多
条ピンスクリューなどのように剪断力を高め混練性を大
きくする方法、二軸押出機による押出、さらに二軸押出
機のスクリューに予め混練に適したスクリューディメン
ジョン(例えばポリマをある程度長く滞留させる部分を
設定しそこでローターなどの混練性の高い形状を持った
もので練る方法)を設ける方法などが用いられる。
【0020】一方、製缶工程での耐傷性、缶内容物の香
料成分の非吸着性を考慮すると前記(I)層に加えて、
融点が220〜260℃のエチレンテレフタレートを主
たる構成成分とするポリエステルBよりなる(II)層を
積層することが好ましい。融点が220℃未満であると
缶の耐熱性が不十分であり好ましくない。ここで、エチ
レンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステ
ルとは70モル%以上、好ましくは80モル%以上がエ
チレンテレフタレート単位であるポリエステルをいう。
また、味特性を損ねない範囲で耐衝撃性を重視し少量熱
可塑性エラストマーを添加してもよい。
【0021】さらに、ポリエステルAとポリエステルB
の融点差が35℃以下が好ましく、さらに好ましくは3
0℃以下、より好ましくは25℃以下であると製缶工程
で受ける熱履歴時に(I)層と(II)層の熱伸縮挙動差
が小さくなり、加工性が向上するので好ましい。
【0022】本発明において(I)層を形成するポリマ
の熱安定性、味特性の点でポリエステル成分のカルボキ
シル末端基量が35当量/トン以下であることが好まし
い。より好ましくはカルボキシル末端基量が30当量/
トン以下である。具体的には、固相重合、カルボジイミ
ド、オキサゾリンなどの公知の末端封鎖剤などによりカ
ルボキシル末端基量を所定量まで低減させる方法は好ま
しく行うことができる。
【0023】一方、表面処理などにより(I)層の表層
部においてカルボキシル末端基量を多くすることは接着
性を向上させる上で好ましい。
【0024】本発明におけるポリエステルは、好ましく
はジエチレングリコール成分量が0.01〜1.5重量
%、さらに好ましくは0.01〜1.0重量%、より好
ましくは0.01〜0.6重量%であることが製缶工程
での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの熱履歴
を受けても良好な耐衝撃性を維持する上で望ましい。こ
のことは、200℃以上での耐酸化分解性が向上するも
のと考えられ、さらに公知の酸化防止剤を0.0001
〜1重量%添加してもよい。
【0025】ジエチレングリコール成分を0.01未満
とすることは重合工程が煩雑となり、コストの面で好ま
しくなく、1.5重量%を超えると製缶工程での熱履歴
によりポリエステルの劣化が生じポリマの耐衝撃性を低
下させる傾向がある。ジエチレングリコールは一般にポ
リエステル製造の際に副生するが、その量を減少させる
には、重合時間を短縮したり、重合触媒として使用され
るアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などの量を限
定する方法、液相重合と固相重合を組み合わせる方法、
アルカリ金属成分を含有させる方法などが挙げられるが
方法としては特に限定されない。
【0026】また、味特性を良好にする上で、ポリエス
テル中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは30p
pm以下、さらに好ましくは25ppm以下、より好ま
しくは20ppm以下が望ましい。アセトアルデヒドの
含有量が30ppmを超えると味特性に劣る。ポリエス
テル中のアセトアルデヒドの含有量を30pm以下とす
る方法は特に限定されるものではないが、例えばポリエ
ステルを重縮反応等で製造する際の熱分解によって生じ
るアセトアルデヒドを除去するため、ポリエステルを減
圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において、ポリエステ
ルの融点以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポリ
エステルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において
150℃以上、融点以下の温度で固相重合する方法、ベ
ント式押出機を使用して溶融押出する方法、ポリエステ
ルを溶融押出する際に押出温度を融点+30℃以内が好
ましく、さらに好ましくは融点+25℃以内で、短時間
で押出す方法等を挙げることができる。
【0027】また、本発明において特に耐衝撃性、味特
性を良好にするためには、好ましくはポリエステルの極
限粘度[η]が0.7以上、さらに好ましくは極限粘度
[η]が0.75以上、より好ましくは極限粘度[η]
が0.8以上であると、ポリマ分子鎖の絡み合い密度が
高まるためと考えられるが耐衝撃性、味特性をさらに向
上させることができるので好ましい。
【0028】本発明のポリマ被覆金属積層体が飲料、食
缶用途に使用される場合、ポリエステルは、味特性の点
でゲルマニウム元素を1〜500ppm含有することが
好ましく、さらに好ましくは5〜300ppm、より好
ましくは10〜100ppmである。ゲルマニウム元素
量が1ppm未満であると味特性向上の効果が十分でな
く、また500ppmを超えると、ポリエステル中に異
物が発生し耐衝撃性が悪化したり、味特性を悪化してし
まう。本発明のポリエステルは、ポリエステル中にゲル
マニウム元素の前記特定量を含有させることにより味特
性を向上させることができる。ゲルマニウム元素をポリ
エステルに含有させる方法は従来公知の任意の方法を採
用することができ特に限定されないが、通常ポリエステ
ルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触
媒としてゲルマニウム化合物を添加することが好まし
い。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合
物の粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭5
4−22234号公報に記載されているように、ポリエ
ステルの出発原料であるグリコ−ル成分中にゲルマニウ
ム化合物を溶解させて添加する方法等を挙げることがで
きる。ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲル
マニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲ
ルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエト
キシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウム
エチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化
合物、ゲルマニウムフェノレート、ゲルマニウムβ−ナ
フトレート等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン
酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲ
ルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることが
できる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0029】また、本発明のポリエステルは味特性の点
からポリエステル中のオリゴマの含有量を0.8重量%
以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.7重
量%以下、より好ましくは0.6重量%以下とすること
が望ましい。共重合ポリエステル中のオリゴマの含有量
が0.8重量%を超えると味特性に劣り好ましくない。
ポリエステル中のオリゴマの含有量を0.8重量%以下
とする方法は特に限定されるものではないが、上述の共
重合ポリエステル中のアセトアルデヒド含有量を減少さ
せる方法と同様の方法等を採用することで達成できる。
【0030】本発明のポリエステルの製造は、従来公知
の任意の方法を採用することができ、特に限定されるも
のではない。例えばポリエチレンテレフタレートにイソ
フタル酸成分を共重合し、ゲルマニウム化合物として二
酸化ゲルマニウムを添加する場合で説明する。テレフタ
ル酸成分、イソフタル酸成分とエチレングリコールをエ
ステル交換またはエステル化反応せしめ、次いで二酸化
ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減
圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重
縮合反応せしめ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る。
次いで得られた重合体をその融点以下の温度において減
圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応せしめ、
アセトアデルヒドの含有量を減少させ、所定の極限粘度
[η]、カルボキシル末端基を得る方法等を挙げること
ができる。
【0031】本発明のポリエステルを製造する際には、
従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することがで
き、反応触媒としては例えばアルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン
化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチ
モン化合物、チタン化合物等、着色防止剤としては例え
ばリン化合物等挙げることができる。
【0032】本発明において、ポリエステルA、ポリエ
ステルBは、触媒、ジエチレングリコール量、カルボキ
シル末端基量は異なっていてもよい。ポリマを回収する
場合は、(I)層に回収することが味特性の点で好まし
い。
【0033】本発明の被覆ポリマの厚さは、金属にラミ
ネートした後の成形性、金属に対する皮膜性、耐衝撃
性、味特性の点で、5〜50μmであることが好まし
く、さらに好ましくは8〜45μm、より好ましくは1
0〜40μmである。
【0034】さらに積層ポリマとしては、(I)層の厚
みと(II)層の厚みの比として20:1〜1:1(I:
II)であることが味特性、耐衝撃性の点で好ましく、さ
らに15:1〜4:1(I:II)であることが耐衝撃性
の点で好ましい。
【0035】また、本発明のポリマには加工性を向上さ
せるために、平均粒子径0.1〜10μmの無機粒子お
よび/または有機粒子が0.01〜10重量%含有させ
てもよいし、無粒子でもよい。但し、10μmを超える
平均粒子径を有する粒子を使用するとポリマ層の欠陥が
生じ易くなるので好ましくない。特に30μm以上の粒
子を含有させると好ましくないために、押出時のフィル
ターとしては30μm以上の異物を激減できるものを使
用することが好ましい。無機粒子および/または有機粒
子としては、例えば湿式および乾式シリカ、コロイド状
シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレ
ー等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル
酸、ジビニルベンゼン類等を構成成分とする有機粒子等
を挙げることができる。なかでも湿式および乾式コロイ
ド状シリカ、アルミナ等の無機粒子およびスチレン、シ
リコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、
ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等を挙げ
ることができる。これらの無機粒子および/または有機
粒子は2種以上を併用してもよい。
【0036】粒子は(I)層、(II)層のいずれに添加
しても良いが、加工性向上のためには(II)層に粒子を
添加することが好ましい。一方、(I)層にも回収など
の点で特性を損ねない範囲で粒子を添加しても良い。
【0037】さらに、本発明の被覆ポリマを製造するに
あたり、必要により可塑剤、帯電防止剤、耐候剤等の添
加剤も適宜使用することができる。
【0038】また、(I)層にコロナ放電処理などの表
面処理を施すことにより接着性を向上させることはさら
に特性を向上させる上で好ましい。その際、E値として
は5〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜25で
ある。
【0039】本発明の金属体へのポリマ被覆方法として
は溶融押出ラミネートであれば特に限定されないが、本
発明の製造方法例について述べる。
【0040】ポリエステルAとしてイソフタル酸17.
5モル%共重合ポリエチレンテレフタレート([η]=
0.84、ジエチレングリコール0.7重量%、融点2
15℃、カルボキシル末端基:15当量/トン)とSE
BS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロッ
クコポリマー)を重量比で90:10、ポリエステルB
としてイソフタル酸5モル%共重合ポリエチレンテレフ
タレート([η]=0.90、ジエチレングリコール
0.89重量%、融点240℃、カルボキシル末端基:
14当量/トン)を二軸ベント式の別々の押出機(押出
機の温度は融点+25℃((I)層側はポリエステルA
に対して融点+30℃)に設定)に供給し溶融し、しか
る後にフィードブロック(275℃設定)にて2層に積
層して口金から吐出後、(I)層が金属面になるように
0.3mm程度の厚みの金属板に厚さ30μmのポリマ
ラミネートを行う。その後直ちに水などにより常温付近
まで冷却固化してポリマ被覆積層金属体を得る。また、
ラミネート工程に防塵処理を施すとポリマの欠陥が生じ
難くなるので好ましい。
【0041】本発明の金属体とは特に限定されないが、
成形性の点で鉄やアルミニウムなどを素材とする金属板
が好ましい。さらに、鉄を素材とする金属板の場合、そ
の表面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜
層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン
酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムク
ロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けて
もよい。特に金属クロム換算値でクロムとして6.5〜
150mg/m2 のクロム水和酸化物が好ましく、さら
に、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜
鉛、アルミニウム、砲金、真鍮などを設けてもよい。ス
ズメッキの場合0.5〜15g/m2 、ニッケルまたは
アルミニウムの場合1.8〜20g/m2 のメッキ量を
有するものが好ましい。
【0042】本発明のポリマ被覆積層金属体は、絞り成
形やしごき成形によって製造されるツーピース金属缶の
内面及び外面被覆用に好適に使用することができる。ま
た、ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリーピース缶の
胴、蓋、底の被覆用としても良好な金属接着性、成形
性、耐衝撃性を有するため好ましく使用することができ
る。特に、外面被覆用には着色した本発明ポリマを使用
することができる。このため、ポリエステル層に着色剤
を配合することができ、着色剤としては白色系、赤色系
などが好ましく使用され、酸化チタン、亜鉛華、無機ま
たは有機顔料などから選ばれた着色剤を好ましくは5〜
60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%添加す
ることが望ましい。添加量が5重量%未満であると色
調、白色性などの点で劣り好ましくない。必要に応じ
て、ピンキング剤、ブルーイング剤などを併用してもよ
い。
【0043】
【特性の測定、評価法】特性は以下の方法により測定、
評価した。
【0044】(1)ポリエステル中のジエチレングリコ
ール成分の含有量 NMR(13C−NMRスペクトル)によって測定した。
【0045】(2)ポリエステル中のゲルマニウム元素
の含有量 蛍光X線測定によりポリエステル組成物中のゲルマニウ
ム元素の含有量とピーク強度の検量線から定量した。
【0046】(3)ポリエステルの極限粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25
℃において測定した。なお、不溶ポリマは濾過して取り
除いて測定した。
【0047】(4)ポリエステルの融点 ポリエステルを結晶化させ、示差走査熱量計(パーキン
・エルマー社製 DSC−2型)により、10℃/mi
nの昇温速度で測定した。
【0048】(5)ポリエステル中のアセトアルデヒド
含有量 ポリマの微粉末を2g採取しイオン交換水と共に耐圧容
器に仕込み、120℃で60分間水抽出後、高感度ガス
クロで定量しポリエステル中のアセトアルデヒド量を求
めた。
【0049】(6)ポリエステル中のオリゴマ含有量 ポリマ100mgをオルソクロロフェノール1mlに溶
解し、溶液を分別した後液体クロマトグラフ(Vari
an社製モデル8500)で環状三量体を測定し、オリ
ゴマ量とした。
【0050】(7)熱可塑性エラストマーの分散径比 ポリマ断面を切断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片
を作成し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5000〜2
0000程度で写真(長手方向25cm×厚み方向20
cmを10枚)を撮影し、ポリエステルA中に分散した
各熱可塑性エラストマー(i)の長手方向径(xi)、
厚み方向径(yi)及び楕円相当面積(Si)を測定す
る。その後、各方向について下記式を用いて長手方向平
均分散径(xav)、厚み方向平均分散径(yav)を求め
分散径比(=xav/yav)を得た。
【0051】
【数3】
【数4】 (8)耐衝撃性 Snメッキしたブリキ金属板をポリマで被覆した後、し
ごき成形機(成形比(最大厚み/最小厚み)=3.0)
で成形し、底成形等を行いDraw Ironing缶
を得た。
【0052】(炭酸飲料での耐衝撃性)製缶後、220
℃、10分の熱処理を行い、炭酸水を充填し0℃、48
時間炭酸バブリングした。そして、缶底外面からポンチ
で各5箇所衝撃を与えた後内容物を除いて缶側内面をろ
うでマスキングし、カップ内に1%の食塩水を入れて、
食塩水中の電極と金属缶に6Vの電圧をかけて電流値を
読み取り、10缶測定後の最大値を求めた。
【0053】A級:0.1mA未満 B級:0.1mA以上0.2mA未満 C級:0.2mA以上0.5mA未満 D級:0.5mA以上
【0054】(レトルト飲料での耐衝撃性)製缶後、2
20℃10分の条件で空焼きを行い、空焼き後、20℃
×30分のレトルト処理をし、市販のウーロン茶を充填
し、30℃、24時間放置し、缶底外面からポンチで各
5箇所衝撃を与えた後、内容物を除き缶側内面をろうで
マスキングしてカップ内に1%食塩水を入れて、食塩水
中の電極と金属缶に6Vの電圧をかけて電流値を読み取
り、10缶測定後の最大値を求めた。
【0055】A級:0.1mA未満 B級:0.1mA以上0.2mA未満 C級:0.2mA以上0.5mA未満 D級:0.5mA以上
【0056】(9)味特性 ポリマ層が香料水溶液(d−リモネン30ppm水溶
液)に接するようにして(接触面積:314cm2 )常
温7日間放置した後、80℃で30分間窒素気流中で加
熱し追い出される成分を、ガスクロマトグラフィーによ
りフイルム1gあたりのd−リモネンの吸着量を定量し
味特性を評価した。
【0057】また、成形した金属缶に香料水溶液(d−
リモネン20ppm水溶液)を入れ、密封後1ヶ月放置
し、その後開封して官能検査によって、臭気の変化を以
下の基準で評価した。
【0058】A級:臭気に変化が見られない B級:臭気にほとんど変化が見られない C級:臭気に変化が見られる
【0059】
【実施例】
実施例1 ポリエステルAとしてイソフタル酸17.5モル%共重
合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素量4
0ppm、[η]=0.84、ジエチレングリコール
0.70重量%、融点215℃、カルボキシル末端基:
15当量/トン)とSEBS(スチレン−エチレン/ブ
チレン−スチレンブロックコポリマー、MI=3.0g
/10分、S/EB比 30/70)を重量比で90:
10、ポリエステルBとしてイソフタル酸5モル%共重
合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素量4
0ppm、[η]=0.90、ジエチレングリコール
0.89重量%、融点240℃、カルボキシル末端基:
14当量/トン、平均粒子径4μmの酸化珪素粒子0.
2重量%)を二軸ベント式の別々の押出機(押出機の温
度は融点+25℃((I)層側はポリエステルAに対し
て融点+25℃)に設定)に供給し溶融し、しかる後に
フィードブロックにて2層((I)層/(II)層=9/
1、設定温度270℃)に積層して通常の口金から吐出
後、(I)層が接着面になるように厚さ0.3mmの鋼
板(Sn付着量が缶外面側2.8g/m2、缶内面側1
00mg/m2 にクロメート処理を行ったブリキ鋼板)
に押出ラミネートを行い(その際のニップ圧としては約
80kg/cm、ラミネート速度50m/分)、直ちに
水槽にて急冷した。かくして得られた2層積層被覆ポリ
マは、ポリエステル成分を溶剤に溶かし極限粘度を求め
たところ0.80、オリゴマ含有量0.6重量%、アセ
トアルデヒド量18ppm、カルボキシル末端基21当
量/トン、分散径比6.0であった。物性、及び金属板
にラミネートし製缶した結果を表1に示す。熱可塑性エ
ラストマーを適量含有する本発明のポリマ被覆金属積層
体は特に耐衝撃性、味特性の両者に優れていた。
【0060】実施例2〜実施例10 熱可塑性エラストマーの種類、積層比、ポリエステルの
種類、金属板の種類などを変更し実施例1と同様にして
金属板に押出ラミネートした。結果を表1〜表4に示
す。
【0061】実施例2は、ポリエステルAとエチレン−
プロピレンラバー(MI=3.5g/10分、E/P=
75/25)の量を重量比で92:8とし、ポリエステ
ルBをポリエチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素
量40ppm、[η]=0.90、ジエチレングリコー
ル0.89重量%、融点250℃、カルボキシル末端
基:16当量/トン)とし、ラミネート速度を80m/
分とした以外は実施例1と同様にしてポリマ被覆金属積
層体を得た。表1に示すとおり良好な特性が得られた。
【0062】実施例3では、ポリエステルAをイソフタ
ル酸12モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(ゲ
ルマニウム元素量42ppm、[η]=0.85、ジエ
チレングリコール0.70重量%、融点227℃、カル
ボキシル末端基:14当量/トン)、熱可塑性エラスト
マーをエチレン−プロピレンラバー(MI=3.5g/
10分、E/P=75/25)とし、重量比で97:
3、積層比、ポリエステルBの粒子処方を変更し、実施
例1と同様にしてポリマ被覆金属積層体を得た。表1に
示すとおり、やや耐衝撃性が低下した。
【0063】実施例4ではポリエステルAをイソフタル
酸10モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(ゲル
マニウム元素量50ppm、[η]=0.72、ジエチ
レングリコール0.80重量%、融点235℃、カルボ
キシル末端基:20当量/トン)、熱可塑性エラストマ
ーをポリブタジエン(MI=1.0g/10分)とし、
重量比で90:10、ポリエステルBの粒子処方を変更
し、実施例1と同様にしてポリマ被覆金属積層体を得
た。表2に示すとおり極限粘度が小さくやや炭酸デント
が低下したが良好な特性を得た。
【0064】実施例5では、ポリエステルAの極限粘度
を0.70、ジエチレングリコール量を2.0重量%、
カルボキシル末端基量を40当量/トンとした以外は実
施例1と同様にしてポリマ被覆金属積層体を得た。表2
に示すとおり極限粘度が低く、カルボキシル末端基が多
くかつ分散径比が小さいので耐衝撃性が低下した。
【0065】実施例6では、ポリエステルAをイソフタ
ル酸14モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(ア
ンチモン元素量200ppm、[η]=0.86、ジエ
チレングリコール0.50重量%、融点223℃、カル
ボキシル末端基:11当量/トン)、熱可塑性エラスト
マーをSIS(MI=3.0g/10分、S/I=20
/80)、重量比90:10とし、ポリブチレンテレフ
タレート(〔η〕=0.8)を10%混合した以外は実
施例1と同様にしてポリマ被覆金属積層体を得た。表2
に示すとおり良好な特性を得た。
【0066】実施例7では、熱可塑性エラストマとして
ポリエステル系エラストマー(HYTREL4057、
MI=13g/10分)を10重量%ブレンドした以外
は実施例1と同様にしてポリマ被覆金属積層体を得た。
表3に示すとおり良好な特性を得た。
【0067】実施例8では、積層比を1:2((I)
層:(II)層)とした以外は実施例1と同様にしてポリ
マ被覆金属積層体を得た。表3に示すように(II)層の
積層比が大きいため耐衝撃性がやや低下したが良好な特
性であった。
【0068】実施例9では鋼板の種類をアルミニウムと
し、(I)層にチバガイギ製“イルガノックス”101
0(酸化防止剤)を0.05重量%添加して(I)層の
みを押出し25μmのポリマ厚みとした以外は実施例1
と同様にしてポリマ被覆金属積層体を得た。表3に示す
ように良好な特性が得られた。
【0069】実施例10では、下記のポリマ1及び下記
のポリマ2の白色ポリマを厚さ0.2mmのTFS鋼板
のそれぞれ片面に押出ラミし急冷した。さらに成形比
1.2のDTR(Draw Thin Redraw)
成形を行った。その後、缶の耐衝撃性、味特性を調べた
ところ表4に示すように良好な特性を得ることができ、
缶外面の白色性も良好であった。
【0070】(ポリマ1) ラミネート面(27μm):イソフタル酸12モル%共
重合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素量
42ppm、[η]=0.75、ジエチレングリコール
0.80重量%、融点228℃、カルボキシル末端基:
25当量/トン)とSEBS(スチレン−エチレン/ブ
チレン−スチレンブロックコポリマー、MI=3.0g
/10分、S/EB比 30/70)を重量比で90:
10
【0071】非ラミネート面(3μm):イソフタル酸
5モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマニ
ウム元素量40ppm、[η]=0.74、ジエチレン
グリコール0.89重量%、融点240℃、カルボキシ
ル末端基:16当量/トン)
【0072】(ポリマ2) ラミネート面(5μm):イソフタル酸12モル%共重
合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素量4
2ppm、[η]=0.75、ジエチレングリコール
0.80重量%、融点228℃、カルボキシル末端基:
25当量/トン)とSEBS(スチレン−エチレン/ブ
チレン−スチレンブロックコポリマー、MI=3.0g
/10分、S/EB比 30/70)を重量比で90:
10
【0073】非ラミネート面(25μm):イソフタル
酸5モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマ
ニウム元素量40ppm、[η]=0.74、ジエチレ
ングリコール0.89重量%、融点240℃、カルボキ
シル末端基:16当量/トン)と二酸化チタン(平均粒
子径0.3μm)70重量%含有ポリブチレンテレフタ
レート([η]=0.75、融点221℃)を重量比で
1:1
【0074】比較例1 イソフタル酸7モル%共重合ポリエチレンテレフタレー
ト(エステル交換触媒:酢酸マグネシウム(マグネシウ
ム元素量170ppm)、ジメチルフェニルフォスフォ
ネート(リン元素量410ppm)、アンチモン元素量
350ppm、[η]=0.62、ジエチレングリコー
ル2.0重量%、融点239℃、アセトアルデヒド量3
7ppm、カルボキシル末端基41当量/トン)を、押
出温度を290℃として、単軸押出機でポリマ被覆金属
積層体を得た。表4に結果を示す。
【0075】このポリマ被覆金属積層体は、熱可塑性エ
ラストマーを含有しておらず特性が悪化した。
【0076】比較例2 ポリエステルAをポリブチレンテレフタレートとし、押
出機を通常の単軸スクリューを備えた押出機とし、
(I)層のみを押出した以外は実施例3と同様にしてポ
リマ被覆金属積層体を得た。表4に結果を示す。表から
わかるように、ブチレンテレフタレートを主体とし熱可
塑性エラストマーの分散径比が小さいため耐衝撃性、味
特性が大きく低下してしまった。
【0077】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0078】
【発明の効果】本発明のポリマ被覆金属積層体は缶など
に成形した際、耐衝撃性、味特性に優れており、特に製
缶時の熱処理後も優れた低温耐衝撃性を有しており、成
形加工によって製造される金属缶に好適に使用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点140〜245℃のエチレンテレフ
    タレート及び/またはエチレンイソフタレートを主たる
    構成成分とするポリエステルAと熱可塑性エラストマー
    が重量比で70:30〜98:2の割合で配合されてな
    る(I)層を押出ラミネートにより被覆してなることを
    特徴とするポリマ被覆金属積層体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマーがポリスチレン系
    熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラス
    トマーの中から任意に選択される熱可塑性エラストマー
    であることを特徴とする請求項1に記載のポリマ被覆金
    属積層体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーの分散径比(=長
    手方向平均分散径/厚み方向平均分散径)が2〜100
    であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ
    マ被覆金属積層体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の(I)
    層と融点220〜260℃のエチレンテレフタレートを
    主たる構成成分とするポリエステルBよりなる(II)層
    を押出ラミネートにより被覆してなることを特徴とする
    ポリマ被覆金属積層体。
  5. 【請求項5】 ポリエステル成分のカルボキシル末端基
    量が35当量/トン以下であることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のポリマ被覆金属積層体。
  6. 【請求項6】 ポリエステル成分の極限粘度〔η〕が
    0.7以上であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載のポリマ被覆金属積層体。
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