JPH0866971A - 金属含有樹脂の製造方法及びこの樹脂を素材とするレンズ - Google Patents

金属含有樹脂の製造方法及びこの樹脂を素材とするレンズ

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JPH0866971A
JPH0866971A JP20408994A JP20408994A JPH0866971A JP H0866971 A JPH0866971 A JP H0866971A JP 20408994 A JP20408994 A JP 20408994A JP 20408994 A JP20408994 A JP 20408994A JP H0866971 A JPH0866971 A JP H0866971A
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JP
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resin
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JP20408994A
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Kohei Shiraishi
浩平 白石
Kazuo Sugiyama
一男 杉山
Keiu Tokumura
啓雨 徳村
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NIPPON HIKYUMEN LENS KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 近赤外光の遮断特性、可視光の透過特性にお
いて、ガラス製フィルタと同等の機能を持つ金属含有樹
脂を1回の重合反応で製造できる方法を提供し、フィル
タ機能を持つ樹脂製レンズの実用化とコスト低減を図
る。 【構成】 金属酸化物、エチレングリコール(EG)、
メタクリル酸メチル(MMA)、及びメタクリル酸2−
ヒドロキシエチル(2−HEMA)の混合物を所定温度
で加熱し、重合反応により、高濃度の金属イオンを含有
した透明樹脂を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、透明樹脂中に金属化
合物を高濃度に導入し、高性能のフィルタ素材を製造す
る方法及びそれを用いたレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】CCD固体撮像素子を用いた光学機器、
例えばカメラ、バーコードリーダは、レンズを通してC
CD素子上に結像する光に近赤外光が含まれているとノ
イズとなるので、フィルタを、光学系内に配置し、可視
光のみをCCD素子に入射させている。また、この近赤
外光カット用のフィルタはCCD素子以外に、フォトダ
イオード等にも用いられる。
【0003】近赤外光カット用のフィルタは、ガラス製
のものと樹脂製のものがある。ガラス製フィルタは、図
5の分光特性例に示すように、可視光(波長400nm
〜660nm)に対する透過率で略90%、近赤外光
(波長700nm〜)に対する透過率で略0%という良
好なフィルタ特性が得られる。このガラス製フィルタ
は、硫酸銅をシリカ中に溶かし込み、銅イオンCu+
ガラス中に分散させたものである。
【0004】しかし、ガラス製フィルタは成形性に難が
あり、平板状のフィルタとしてのみ製品化されている。
したがって、例えば組み合わせレンズに代えて用いられ
る非球面レンズの素材として使用し、近赤外光カット機
能を備えたレンズとして量産するには不適当である。
【0005】一方、樹脂製フィルタは、射出成形等の樹
脂成形技術により任意形状にできるので、非球面レンズ
も容易に量産できる。
【0006】ところが、従来の樹脂製フィルタは、図6
の分光特性例に示すように、フイルタ特性が、ガラス製
のものに比べて劣っていた。
【0007】樹脂製フィルタは、透明樹脂中に金属化合
物を導入することによって得られる。このための方法と
して、(メタ)アクリル酸エステルに金属塩を添加して
重合させる方法、(メタ)アクリル酸の存在下で共重合
させる方法、分子内に極性基を持ったモノマーに金属塩
を加えて重合させる等の方法が考えられる。
【0008】しかし、これらの方法では、少量の金属が
導入されるだけであり、図6の分光特性例に見られるよ
うに、銅の金属錯体である染料の濃度が小さいと(樹脂
素材に対する重量比で0.02%)、近赤外光(700
nm〜)のカット率が悪くなり、染料の濃度を大きくす
ると(重量比で0.1%)、可視光(400〜700n
m)の透過率が25%以下と低下する。赤外線のカット
率を犠牲にして、可視光の透過率を最大にしても70%
程度にしかできない。
【0009】この点で、樹脂製フィルタは、図5のガラ
ス製フィルタには及ばず、CCD素子を用いた光学機器
において、レンズ自体に近赤外光のカット機能を持た
せ、構造の簡素化を図ることは、性能上実現できなかっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
ガラス製フィルタと同様の特性を持つ金属含有樹脂を、
一回の反応工程だけで製造できる方法を提供し、CCD
素子を用いる光学機器に用いることができる近赤外光カ
ット機能を持つ樹脂製レンズを、その製造の容易化並び
に低コスト化を図って提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1) この発明が提供する金属含有樹脂の製造方法は、金
属イオン及びエチレングリコール(EG)の存在下で、
メタクリル酸メチル(MMA)と、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル(2−HEMA)を重合させて金属含有
樹脂を得ることを特徴とする。
【0012】(2) 上記(1)の製造方法で用いる原料の配
合の具体例は、次のようになる。 金属イオン生成用の金属化合物 0.2〜0.7 重量部 エチレングリコール 0.2〜0.25 重量部 メタクリル酸メチル 1 重量部 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 5 重量部 重合開始剤 0.05 重量部
【0013】(3) 上記(1)(2) の製造方法で、使用する
原料の代替物質として、以下のものが使用できる。すな
わち、エチレングリコール(EG)の代わりに、ポリエ
チレングリコール(PEG)又はグリセリン(G)のい
ずれか1つが使用でき、メタクリル酸メチルの代わりに
アクリル酸メチルが使用でき、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチルの代わりに、アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリルのいずれか1つ
が使用できる。これらの代替物質は、1種以上を任意に
組み合わせることが、その物性より可能となる。
【0014】(4) 上記(1)〜(3)の製造方法で、使用され
る金属イオン生成用の金属化合物の具体例としては、硝
酸銅3水和物〔Cu(NO32・3H2O〕がある。
【0015】(5) 上記(1)〜(4)の製造方法で、使用さ
れる重合開始剤として、トリゴノックス(Torigo
nox 121−50)〔化薬アグゾ社の商品名〕、又はベン
ゾイル・パー・オキサイド(BPO)がある。
【0016】(6) 上記本発明方法によって金属含有樹
脂を製造する際に、内部をレンズ形状とした重合反応容
器を用いることにより、レンズの成形を同時に行なう。
【0017】
【作用】上記製法は、金属イオンを樹脂内に導入する重
合反応工程を、エチレングリコール(EG)、ポリエチ
レングリコール(PEG)、又はグリセリン(G)のい
ずれか1つの存在下に行うので、1回の工程のみで、近
赤外光のカット特性を持ち可視光に対して透明度の高い
金属含有樹脂を製造できる。
【0018】また、上記製法で、重合開始剤としてトリ
ゴノックス(Torigonox 121−50)を用いた場
合は、重合反応をBPOに比べ、やや低温で行なえ、処
理が容易となる。
【0019】さらに、内部をレンズ形状とした重合反応
容器を用いることにより、近赤外光のカット特性を持つ
CCD素子用のレンズの成形を同時に行なえ、その製造
の省力化が可能となる。
【0020】
【実施例】以下、具体的実施例を説明する。
【0021】「実施例1」 配合比を、 MMA 1.04g(グラム) 2HEMA 5.01g EG(エチレングリコール) 0.24g 硝酸銅水和物 0.32g 重合開始剤〔Torigonox 121-50(化薬アグゾ製)〕0.07g とした混合物を、図4(a)(b) に示すような成形用のガ
ラス製セル1の中に入れ60°Cで6時間加熱する。
【0022】なお、図4(a)(b) において、2は矩形枠
状のスライドガラス、3は矩形枠状のシリコンゴム、4
はPETフィルム、5はクランパで、上記混合物は、シ
リコンゴム3とPETフィルム4が作る空間内に封入さ
れ、クランパ5によってスライドガラス2で挟まれた状
態が保たれる。上記工程で、得られた金属含有樹脂(平
板状フィルタ)の分光特性は図1のようになる。
【0023】「実施例2」 配合比を、 MMA 1.04g 2HEMA 5.01g G(グリセリン) 0.24g 硝酸銅水和物 0.32g 重合開始剤〔Torigonox 121-50(化薬アグゾ製)〕 0.07g とした混合物を、上記実施例1と同様に、図4(a)(b)
に示すような成形用のガラス製セル1の中に入れ60°
Cで6時間加熱する。これによって得られた金属含有樹
脂(平板状フィルタ)の分光特性は図1のようになる。
【0024】「実施例3」 配合比を、 MMA 1.04g 2HEMA 5.01g PEG(ポリエチレングリコール)(分子量#200) 0.24g 硝酸銅水和物 0.32g 重合開始剤〔Torigonox 121-50(化薬アグゾ製)〕 0.07g とした混合物を、上記実施例1と同様に、図4(a)(b)
に示すような成形用のガラス製セル1の中に入れ60°
Cで6時間加熱する。これによって得られた金属含有樹
脂(平板状フィルタ)の分光特性は図1のようになる。
【0025】上記実施例1〜3は、図1に示すように、
可視領域(400〜660nm)において、略平坦で、
実用上十分な80%程度の透過率を持つ。また、この領
域を外れると透過率は急激に低下し、CCD素子用フィ
ルタとして特に必要な近赤外領域(700nm〜)で
は、その透過率は略0%となり、良好なカット特性とな
っている。
【0026】上記実施例1〜3は、特に良好な光学特性
が得られる本発明の配合例を示したものであるが、本発
明方法によれば、透明状態を保って樹脂に多量の金属イ
オンを導入できる。そこで、導入量と可視光の透過率の
関係を次表(図3参照)に示す。
【0027】これは、上記実施例1において、金属イオ
ン生成用の金属化合物である硝酸銅3水和物〔Cu(N
32・3H2O〕のみの添加量を変化させた場合の透
過率の変化を示すものである。
【0028】「表1」 添加量(g) 可視光の透過率T%/512nm 0.1 39 0.2 67 0.25 75 0.3 80 0.32 83 0.4 83 0.5 80 0.6 74 0.7 63 0.8 53 0.9 42 1.0 28 上記データより、実用可能な範囲は、0.2〜0.7
(g)であることが読み取れる。
【0029】この関係は、他の実施例2,3の場合も、
その主成分の配合が共通であることから共通のデータと
して使用できる。また、他の銅酸化物を使用した場合
も、銅イオン換算値で比較すれば同様に適用できる。
【0030】本発明は、エチレングリコール(EG)、
ポリエチレングリコール(PEG)又はグリセリン
(G)の存在下で、樹脂を重合させることにより、可視
光に対する透明度を高く保ちながら、1工程で大量の金
属イオンを導入する効果を挙げている。
【0031】そこで、この効果を明らかにするため、エ
チレングリコール等の水酸基を持つ素材を含まない場合
を比較例1,2として、次に説明する。
【0032】「比較例1」 配合比を、 MMA 0g(使用しない) 2HEMA 5.01g 硝酸銅3水和物 0.32g 重合開始剤〔Torigonox 121-50(化薬アグゾ製)〕0.07g とした混合物を、上記実施例1と同様に、図4(a)(b)
に示すような成形用のガラス製セル1の中に入れ60°
Cで6時間加熱する。これによって得られた金属含有樹
脂(平板状フィルタ)の分光特性は図2のようになる。
【0033】「比較例2」 配合比を、 MMA 0.5g 2HEMA 5.01g 硝酸銅3水和物 0.32g 重合開始剤〔Torigonox 121-50(化薬アグゾ製)〕 0.07g とした混合物を、実施例1同様に、図2(a)(b) に示す
ような成形用のガラス製セル1の中に入れ60°Cで6
時間加熱する。これによって得られた金属含有樹脂(平
板状フィルタ)の分光特性は図2のようになる。
【0034】比較例1,2の分光特性を図2において実
施例1のものと比較すると、可視領域での透過率が低下
していることがわかる。これによって、本発明で使用し
た、エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコ
ール(PEG)又はグリセリン(G)の効果が裏付けら
れる。
【0035】上記実施例1〜3で使用したガラス製セル
1は、その形状を、所定のレンズ形状とすることによ
り、非球面レンズを含む任意形状のレンズを、近赤外光
カットフィルタの機能を持たせて製作することができ
る。これによって、CCD素子を持つ光学機器の光学系
を簡素化でき、光学性能を低下させないでコスト低減が
可能になる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス製フィルタと同
等の特性を持つ樹脂製フィルタを1回の重合反応工程の
みで製造でき、製造コストを大幅に低減できる。また、
重合反応容器をレンズ形状とすることにより、重合反応
と同時に成形を行うことができ、近赤外光カット機能を
持つ任意形状のレンズが低コストで容易に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜3の分光特性図
【図2】本発明の実施例1と対比される比較例1,2の
分光特性図
【図3】金属酸化物の添加量と可視光の透過率の関係を
示す図
【図4】実施例1〜3及び比較例1〜2を製造するため
に用いたガラスセルを示す図
【図5】ガラス製フィルタの分光特性図
【図6】従来の樹脂製フィルタの分光特性図

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオン及びエチレングリコール(E
    G)の存在下で、メタクリル酸メチル(MMA)と、メ
    タクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)を重
    合させて金属含有樹脂を得ることを特徴とする金属含有
    樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 配合比を、 金属イオン生成用の金属化合物 0.2〜0.7 重量部 エチレングリコール 0.2〜0.25 重量部 メタクリル酸メチル 1 重量部 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 5 重量部 重合開始剤 0.05 重量部 としたことを特徴とする請求項1に記載された金属含有
    樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 エチレングリコール(EG)の代わり
    に、ポリエチレングリコール(PEG)又はグリセリン
    (G)のいずれか1つを、メタクリル酸メチルの代わり
    にアクリル酸メチルを、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
    チルの代わりに、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
    (メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メ
    タ)アクリル酸テトラヒドロフリルのいずれか1つを代
    替物質とし、これらの代替物質が1種以上任意の組み合
    わせで含まれる配合で、金属含有樹脂を製造することを
    特徴とする請求項1又は2に記載された金属含有樹脂の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 金属イオン生成用の金属化合物として硝
    酸銅3水和物を使用したことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載された金属含有樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 重合開始剤として、トリゴノックス(T
    origonox)、又はベンゾイル・パー・オキサイ
    ド(BPO)を用いたことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載された金属含有樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載され
    た方法を、内部をレンズ形状とした容器を用いて行い、
    重合反応と同時に成形を行って製造した金属含有樹脂を
    素材とするレンズ。
JP20408994A 1994-08-30 1994-08-30 金属含有樹脂の製造方法及びこの樹脂を素材とするレンズ Withdrawn JPH0866971A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005097848A1 (ja) * 2004-04-07 2005-10-20 Kureha Corporation 重合性組成物、重合体及び積層体
WO2016002701A1 (ja) * 2014-06-30 2016-01-07 富士フイルム株式会社 近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子、カメラモジュール

Cited By (3)

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WO2005097848A1 (ja) * 2004-04-07 2005-10-20 Kureha Corporation 重合性組成物、重合体及び積層体
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JPWO2016002701A1 (ja) * 2014-06-30 2017-06-01 富士フイルム株式会社 近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子、カメラモジュール

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