JPWO2016002701A1 - 近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子、カメラモジュール - Google Patents

近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子、カメラモジュール Download PDF

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Abstract

高い近赤外線遮蔽性を維持しつつ、耐熱性に優れた硬化膜を形成可能な近赤外線吸収性組成物、これを用いた近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子、カメラモジュールを提供する。この近赤外線吸収性組成物は、銅成分と、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有する重合体との反応で得られる化合物を含む。配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる1種以上であることが好ましい。この近赤外線吸収性組成物を用いて近赤外線カットフィルタおよびカメラモジュールを製造する。

Description

本発明は、近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子、カメラモジュールに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサが用いられている。固体撮像素子はその受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタを用いることが多い。
近赤外線カットフィルタの材料として、特許文献1には、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物またはその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、金属化合物を添加してなる赤外線遮断性樹脂を含む赤外線遮断性フィルムが開示されている。
特許文献2には、スルホン酸銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が開示されている。
特許文献3には、側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂と、このポリエステル系樹脂中の水酸基及び/又はカルボキシル基と反応し得る反応性化合物を含む接着剤が開示されている。
特開2010−134457号公報 特開2001−213918号公報 特開2009−13200号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された赤外線遮断性樹脂は、リンを含有する酸基を有することから耐熱性が不十分であると考えられる。
また、特許文献2に開示された近赤外線吸収性組成物は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーと銅を反応させているが、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応は、銅の存在下では進行しにくく、高分子化が困難な傾向にある。このため、耐熱性が不十分な場合があると考えられる。
また、特許文献3の実施例では、反応性化合物として、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体を使用しているが、耐熱性は不十分であった。
本発明は、かかる課題を解決するものであって、高い近赤外線遮蔽性を維持しつつ、耐熱性に優れた硬化膜を形成可能な近赤外線吸収性組成物、これを用いた近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子およびカメラモジュールを提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、銅成分と、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有する重合体との反応で得られる化合物を含む近赤外線吸収性組成物は、耐熱性が良好で、高い近赤外線遮蔽性を有する膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> 銅成分と、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有する重合体との反応で得られる化合物を含む、近赤外線吸収性組成物。
<2> 配位原子が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる1種以上である、<1>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<3> 重合体は、さらに、アニオンで配位する配位部位を有する、<1>または<2>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<4> アニオンが、酸素アニオン、窒素アニオンおよび硫黄アニオンから選ばれる1種以上である、<3>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<5> 重合体は、下記式(1)で表される基を側鎖に含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物;
*−L1−Y1 ・・・(1)
一般式(1)において、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表し、*は、重合体との連結手を表す。
<6> 重合体は、下記式(A1−1)で表される構成単位を含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物;
Figure 2016002701
式(A1−1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す。
<7> 重合体は、下記式(A1−1−1)〜(A1−1−4)から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物;
Figure 2016002701
式(A1−1−1)〜(A1−1−4)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L2は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す。
<8> <1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を用いて得られた近赤外線カットフィルタ。
<9> 固体撮像素子の受光側において、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を塗布する工程を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
<10> <1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を用いて得られた近赤外線カットフィルタを有する固体撮像素子。
<11> 固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有し、近赤外線カットフィルタが<8>に記載の近赤外線カットフィルタである、カメラモジュール。
本発明によれば、高い近赤外線遮蔽性を維持しつつ、耐熱性に優れた硬化膜を形成可能な近赤外線吸収性組成物を提供することが可能となった。また、かかる近赤外線吸収性組成物を用いた近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、固体撮像素子およびカメラモジュールを提供することが可能となった。
本発明の実施形態に係る、近赤外線カットフィルタを有するカメラモジュールの構成を示す概略断面図である カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本明細書において、モノマーは、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本明細書において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいう。重合性基とは、重合反応に関与する基をいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含するものである。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
本明細書において、近赤外線とは、波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、固形分とは、25℃における固形分をいう。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
<近赤外線吸収性組成物>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、銅成分と、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有する重合体との反応で得られる化合物(ポリマー銅化合物ともいう)を含有する。
本発明の近赤外線吸収性組成物を用いることにより、近赤外線遮蔽性の高い硬化膜(近赤外線カットフィルタ)が得られる。また、硬化膜の耐熱性を高くすることもできる。
このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。
銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有する重合体(以下、重合体(A)ともいう)は、銅成分に対して配位子として働く。すなわち、重合体(A)の配位原子(非共有電子対)が、銅成分の銅と配位することにより、ポリマー銅化合物の構造が歪んで、可視光領域の高い透過性が得られ、近赤外線の吸光能力が向上し、更には、色価も向上すると考えられる。また、ポリマー銅化合物は、銅を起点として、重合体(A)の側鎖間に架橋構造が形成されると考えられ、耐熱性に優れた膜が得られる。また、吸水率が低く、耐湿性が良好なポリマー銅化合物とすることができる。
ポリマー銅化合物は、重合体(A)を配位子とする銅錯体であることが好ましい。
ポリマー銅化合物は、25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量増加率が60%以下であることが好ましい。以下、25℃、相対湿度95%の条件に放置する試験を単に吸水率試験ということがある。
ポリマー銅化合物は、上記質量増加率が60%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましい。また、吸水率試験の時間は長く設定してもよく、10時間であってもよく、20時間であってもよい。この場合でも、上記化合物の質量増加率は、上記範囲を満たすことが好ましい。吸水率試験の試験時間を長時間に設定した場合の質量増加率が小さいほど、耐湿性の高い近赤外線カットフィルタが得られる。また、上記化合物の質量増加率の下限は0%であり、吸水率試験後も質量が増加しないことが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物における、ポリマー銅化合物の含有量は、全固形分の30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。ポリマー銅化合物の含有量を増やすことで、近赤外線遮蔽性を向上させることができる。
<<重合体(A)>>
重合体(A)は、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有するものであれば、特に限定されない。
重合体(A)において、非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる1種以上が好ましく、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種以上がより好ましく、窒素原子がさらに好ましい。また、非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子であり、かかる窒素原子に隣接する原子が炭素原子である態様が好ましく、かかる炭素原子が置換基を有することも好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。置換基は、後述する非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、ハロゲン原子が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれていてもよいし、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれていてもよい。
群(UE)
Figure 2016002701
群(UE)中、R1は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。
1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基の例としては、メチル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。アルキル基が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
1が表すアルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。
1が表すアリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。
1が表すヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の環の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
2が表すアルキル基は、R1で説明したアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルケニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。
2が表すアルキニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。
2が表すアリール基は、上記群(UE)で説明したアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すヘテロアリール基は、R1で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルコキシ基の炭素数は、1〜12が好ましい。
2が表すアリールオキシ基の炭素数は、6〜18が好ましい。
2が表すヘテロアリールオキシ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールオキシ基を構成するヘテロアリール基は、R1で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルキルチオ基の炭素数は、1〜12が好ましい。
2が表すアリールチオ基の炭素数は、6〜18が好ましい。
2が表すヘテロアリールチオ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールチオ基を構成するヘテロアリール基は、R1で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアシル基の炭素数は、2〜12が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。好ましくは、5〜12員環であり、より好ましくは5〜7員環であり、更に好ましくは5員環または6員環である。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、ケイ素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、カルボキシル基等が挙げられる。
上記置換基は、さらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造を含む基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアシル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
重合体(A)は、さらに、アニオンで配位する配位部位を有していてもよい。ここで、アニオンで配位する配位部位とは、銅成分中の銅原子に配位可能なアニオンを含むものであり、例えば、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンを含むものが挙げられる。
アニオンで配位する配位部位は、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
群(AN)
Figure 2016002701
上記の群(AN)において、Xは、NまたはCRを表し、Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表すことが好ましい。
群(AN)におけるRが表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、上記群(UE)におけるR1が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリールと同義であり、好ましい範囲も同様である。
重合体(A)は、下記式(1)で表される基を側鎖に含むことが好ましい。
*−L1−Y1 ・・・(1)
一般式(1)において、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表し、*は、重合体との連結手を表す。
1は、非共有電子対で配位する配位原子を2個以上有する基、または、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基がより好ましい。
一般式(1)において、L1が連結基を表す場合、2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−COO−、−NR10−及びこれらの組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−COO−、−NR10−、アルキレン基と−COO−との組み合わせからなる基、−CO−と−NR10−との組み合わせからなる基、または、アルキレン基と−CO−と−NR10−との組み合わせからなる基がより好ましい。
アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15より好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。
アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられる。ヘテロ原子の数は、1〜3が好ましい。ヘテロアリーレン基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
1が3価以上の連結基を表す場合は、上述した2価の連結基の例として挙げた基のうち、1個以上の水素原子を取り除いた基が挙げられる。
<<<非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基>>>
上記一般式(1)において、Y1が表す、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基としては、例えば、下記式(1a1)または(1a2)で表される基が挙げられる。
*−L11−(Y11p ・・・(1a1)
*−L11−(Y11a−L12−Y11p ・・・(1a2)
「*」は式(1)のL1との連結手を表す。
11は、単結合または(p+1)価の連結基を表す。L11が2価の連結基を表す場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−O−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
11が3価以上の連結基を表す場合は、上述した2価の連結基の例として挙げた基のうち、1個以上の水素原子を取り除いた基が挙げられる。
12は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、L11で説明した2価の連結基が好ましく挙げられる。L12は、単結合、アルキレン基、または、−NH−と−CO−との組み合わせからなる基がより好ましい。
11は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE)で表される部分構造を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のY11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
11aは、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、以下の群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表す。群(UE−1)中のR1は、群(UE)のR1と同義である。pが2以上の整数を表す場合、複数のY11aは同一であってもよく、異なっていてもよい。
群(UE−1)
Figure 2016002701
式(1a1)および(1a2)において、pは、1以上の整数を表し、2以上が好ましい。上限は、例えば、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。
<<<非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基>>>
上記一般式(1)において、Y1が表す、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基は、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
*−L21−(Y21a−L23−Y22q ・・・(1b1)
*−L21−(Y22a−L23−Y21q ・・・(1b2)
*−L22−(Y21q(Y22r ・・・(1b3)
*−L22−(Y21a−L23−Y22q(Y21r ・・・(1b4)
*−L22−(Y22a−L23−Y21q(Y21r ・・・(1b5)
*−L22−(Y21a−L23−Y22q(Y22r ・・・(1b6)
*−L22−(Y22a−L23−Y21q(Y22r ・・・(1b7)
「*」は式(1)のL1との連結手を表す。
21は、単結合または(q+1)価の連結基を表す。L21は、式(1a)のL11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
22は、単結合または(q+r+1)価の連結基を表す。L22は、式(1a)のL11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
23は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、式(1a)のL11で説明した2価の連結基が好ましく挙げられる。L23は、単結合、アルキレン基、または、−NH−と−CO−との組み合わせからなる基がより好ましい。
21は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE)で表される部分構造を表す。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY21は同一であってもよく、異なっていてもよい。
21aは、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表す。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY21aは同一であってもよく、異なっていてもよい。
22は、上述した群(AN)で表される部分構造を表す。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY22は同一であってもよく、異なっていてもよい。
22aは、以下の群(AN−1)から選択される少なくとも1種を表す。群(AN−1)中のXは、NまたはCRを表し、Rは、上述した群(AN)中のCRで説明したRと同義である。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY22aは同一であってもよく、異なっていてもよい。
群(AN−1)
Figure 2016002701
qは、1以上の整数を表し、1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。
rは、1以上の整数を表し、1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。
q+rは、2以上を表し、2〜5が好ましく、2〜3が特に好ましい。
重合体(A)は、下記式(A1−1)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2016002701
式(A1−1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す。
式(A1−1)において、R1は、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状の脂肪族炭化水素基や、芳香族炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。炭化水素基はメチル基が好ましい。R1は水素原子またはメチル基が好ましい。
式(A1−1)のL1およびY1は、上述した式(1)のL1およびY1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A1−1)で表される構成単位としては、例えば、以下の(A1−1−1)〜(A1−1−4)で表される構成単位が挙げられる。以下の(A1−1−1)、(A1−1−2)が好ましい。
Figure 2016002701
式(A1−1−1)〜(A1−1−4)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L2は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す。
式(A1−1−1)〜(A1−1−4)のR1は、式(A1−1)のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A1−1−1)〜(A1−1−4)のY1は、式(A1−1)のY1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A1−1−2)のL2は、単結合または連結基を表す。連結基としては、式(A1−1)のL1で説明した連結基が好ましく挙げられ、アルキレン基、または、アルキレン基と−COO−との組み合わせからなる基がより好ましい。
重合体(A)は、式(A1−1)で表される構成単位の他に、他の構成単位を含有していてもよい。
他の構成単位を構成する成分としては、特開2010−106268号公報の段落番号0068〜0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0112]〜[0118])に開示の共重合成分の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
好ましい他の構成単位としては、下記式(A2−1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2016002701
式(A2−1)中、R5は水素原子または炭化水素基を表し、L4は単結合または連結基を表し、R10は、アルキル基またはアリール基を表す。
式(A2−1)のR5は、式(A1−1)のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A2−1)のL4は、単結合または連結基を表す。連結基としては、式(A1−1)のL1で説明した連結基が挙げられ、アルキレン基、−O−、−CO−、−COO−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
式(A2−1)のR10で表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上述したものが挙げられる。
式(A2−1)のR10で表されるアリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。
重合体(A)が、他の構成単位(好ましくは式(A2−1)で表される構成単位)を含む場合、式(A1−1)で表される構成単位と他の構成単位のモル比は、95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜40:60であることがより好ましい。
重合体(A)の重量平均分子量は、2000以上が好ましく、2000〜200万がより好ましく、6000〜200,000がさらに好ましい。重合体(A)の重量平均分子量をこのような範囲とすることにより、得られる硬化膜の耐湿性がより向上する傾向にある。
重合体(A)の具体例としては、下記の化合物およびその塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、塩を構成する原子としては、金属原子が好ましく、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子がより好ましい。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
Figure 2016002701
Figure 2016002701
Figure 2016002701
重合体(A)は、上述した構成単位を構成するモノマーを重合反応させることで得られる。重合反応は、公知の重合開始剤を用いて反応させることができる。重合開始剤としては、アゾ重合開始剤を使用することができ、具体的には、水溶性アゾ重合開始剤、油溶性アゾ重合開始剤、高分子重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は1種のみでもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマーとしては、例えば以下に示すものが挙げられる。
Figure 2016002701
Figure 2016002701
水溶性アゾ重合開始剤としては、例えば、市販品であるVA−044、VA−046B、V−50、VA−057、VA−061、VA−067、VA−086等(商品名:いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いることができる。油溶性アゾ重合開始剤としては、例えば、市販品であるV−60、V−70、V−65、V−601、V−59、V−40、VF−096、VAm−110等(商品名:いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いることができる。高分子重合開始剤としては、例えば、市販品であるVPS−1001、VPE−0201等(商品名:いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いることができる。
<<銅成分>>
銅成分は、銅または銅を含む化合物を用いることができ、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅の含有量を増やすことで、近赤外線遮蔽性が向上することから、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、銅を元素基準で10%以上含有することが好ましく、20%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。上限は特にないが、70%以下が好ましく、60%以下がさらに好ましい。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
銅成分としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、例えば、カルボン酸銅(例えば、酢酸銅、エチルアセト酢酸、ギ酸銅、安息香酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅など)、スルホン酸銅(例えば、メタンスルホン酸銅など)、リン酸銅、リン酸エステル銅、ホスホン酸銅、ホスホン酸エステル銅、ホスフィン酸銅、アミド銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、メチド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅、過塩素酸銅、塩化銅、臭化銅が好ましく、カルボン酸銅、スルホン酸銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、塩化銅、硫酸銅がより好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、フェノキシ銅、塩化銅が更に好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅が特に好ましい。
<ポリマー銅化合物の製造方法>
ポリマー銅化合物は、上述した重合体(A)と銅成分とを反応させて製造することができる。
重合体(A)と反応させる銅成分の量は、重合体(A)の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅化合物とを、モル比で、重合体(A)の全配位部:銅化合物=1:0.05〜2モルが好ましく、1:0.1〜1.4モルがより好ましく、1:0.2〜1.0モルがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、より高い近赤外線遮蔽性を有する硬化膜が得られる傾向にある。
また、銅成分と重合体(A)とを反応させる際の反応条件は、例えば、20〜70℃で、0.5時間以上とすることが好ましい。
また、銅成分は、重合体(A)と反応させる前に、後述する低分子化合物である、アニオンで配位する配位部位を有する化合物、および、非共有電子対で配位する配位部位を有する化合物から選ばれる1種以上と反応させてもよい。この態様によれば、近赤外線遮蔽性、耐熱性をさらに向上させることができる。低分子化合物は、アニオンで配位する配位部位を有する化合物が好ましい。
銅成分と反応させる上記低分子化合物の量は、銅成分と低分子化合物とを、モル比で低分子成分:銅成分=1:0.05〜2が好ましく、1:0.2〜1.4がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、銅成分と重合体(A)との反応で得られる化合物(ポリマー銅化合物)を含有していれば良いが、未反応の銅成分や重合体(A)などを含有してもよい。また、上記銅成分以外の銅化合物、溶剤、硬化性化合物、バインダーポリマー、界面活性剤、重合開始剤、その他の成分を含有してもよい。
<<他の近赤外線吸収性化合物>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線遮蔽性をさらに向上させる目的で、上述したポリマー銅化合物以外の近赤外線吸収性化合物(以下、他の近赤外線吸収性化合物ともいう)を配合してもよい。
本発明で用いる近赤外線吸収性化合物は、極大吸収波長領域が700〜2500nm、好ましくは700〜1000nmの範囲内(近赤外線領域)に有するものであれば、特に制限されるものではない。
他の近赤外線吸収性化合物は、銅化合物が好ましく、銅錯体がより好ましい。
他の近赤外線吸収性化合物を配合する場合、ポリマー銅化合物と、他の近赤外線吸収性化合物の比(質量比)は、10:90〜95:5が好ましく、20:80〜90:10がより好ましく、20:80〜80:20がさらに好ましい。
他の近赤外線吸収性化合物としては、アニオンで配位する配位部位を有する低分子化合物(例えば、分子量1000以下)と銅成分との反応で得られる銅化合物、非共有電子対で配位する配位原子を有する低分子化合物(例えば、分子量1000以下)と銅成分との反応で得られる銅化合物などを用いることができる。
銅化合物としては、例えば、下式(B)で表される銅錯体を用いることができる。
Cu(L)n1・(X)n2 式(B)
上記式(B)中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、存在しないか、ハロゲン原子、H2O、NO3、ClO4、SO4、CN、SCN、BF4、PF6、BPh4(Phはフェニル基を表す)またはアルコールを表す。n1、n2は、各々独立に1〜4の整数を表す。
配位子Lは、銅に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基である。アニオンで配位する配位部位は、解離していてもよく、非解離でも良い。非解離の場合、Xは存在しない。
上記銅錯体は、中心金属の銅に配位子が配位した銅化合物であり、銅は、通常2価の銅である。例えば銅成分に対して、配位子となる化合物またはその塩を混合・反応等させて得ることができる。
配位子となる化合物またはその塩としては、特に限定されないが、下記一般式(i)で表される化合物が好ましい。
100−(X100n3 ・・・(i)
(一般式(i)中、X100は配位部位を表し、n3は1〜6の整数を表し、R100は単結合またはn価の基を表す。)
一般式(i)中、X100は、アニオンで配位する配位部位および非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上であることが好ましく、アニオンで配位する配位部位を1種以上含むことがより好ましい。
上記アニオンは、銅成分中の銅原子に配位可能なものであればよく、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンが好ましい。
アニオンで配位する配位部位は、例えば、上述した群(AN)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
アニオンで配位する配位部位の例として、モノアニオン性配位部位も挙げられる。モノアニオン性配位部位は、1つの負電荷を有する官能基を介して銅原子と配位する部位を表す。例えば、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられる。具体的には、リン原子を含有する酸基(リン酸ジエステル基、ホスホン酸モノエステル基、ホスフィン酸基等)、スルホ基、カルボキシル基、イミド酸基等が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を含むことが好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含むことがより好ましく、窒素原子を含むことがさらに好ましい。また、非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子であり、かかる窒素原子に隣接する原子が炭素原子である態様が好ましく、かかる炭素原子が置換基を有することも好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。置換基は、後述する非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、ハロゲン原子が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれていてもよいし、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれていてもよい。
非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。好ましくは、5〜12員環であり、より好ましくは5〜7員環であり、更に好ましくは5員環または6員環である。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、ケイ素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、カルボキシル基等が挙げられる。
上記置換基は、さらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造を含む基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアシル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
一般式(i)中、n3は1〜6の整数を表し、1〜3が好ましく、2または3がより好ましく、3がさらに好ましい。
一般式(i)中、R100は単結合またはn価の基を表す。n価の基としては、n価の有機基、または、n価の有機基と、−O−、−SO−、−SO2−、−NRN1−、−CO−、−CS−との組み合わせからなる基が好ましい。n価の有機基は、炭化水素基、オキシアルキレン基、ヘテロ環基等が挙げられる。また、n価の基は、上述した群(AN−1)から選択される少なくとも1種を含む基、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)から選択される少なくとも1種を含む基であってもよい。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が好ましい。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基など)、スルホ基、カルボキシル基、リン原子を含有する酸基、カルボン酸エステル基(例えば−CO2CH3)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ハロゲン化アルキル基(例えばフルオロアルキル基、クロロアルキル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。炭化水素基が置換基を有する場合、さらに置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、上記重合性基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記炭化水素基が1価の場合、アルキル基、アルケニル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。炭化水素基が2価の場合、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。炭化水素基が3価以上の場合には、上記1価の炭化水素基または2価の炭化水素基に対応するものが好ましい。
アルキル基及びアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基及びアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アルケニル基及びアルケニレン基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。
アリール基及びアリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
ヘテロ環基は、脂環基の中にヘテロ原子があるものまたは芳香族ヘテロ環基が挙げられる。ヘテロ環基としては、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロ環基は、単環または縮合環であり、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、上述した炭化水素基が有していてもよい置換基と同義である。
−NRN1−において、RN1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。RN1におけるアルキル基としては、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜14がより好ましい。
N1におけるアリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが例示される。RN1におけるアラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、無置換の炭素数7〜15のアラルキル基がより好ましい。
配位子となる化合物の具体的な形態としては、少なくとも2箇所の配位部位を有する化合物が好ましい。具体的には、アニオンで配位する配位部位を1つ以上と非共有電子対で配位する配位原子を1つ以上とを含む化合物(以下、化合物(B1)ともいう)、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(以下、化合物(B2)ともいう)、アニオンで配位する配位部位を2つ含む化合物(以下、化合物(B3)ともいう)等が挙げられる。これらの化合物は、それぞれ独立に、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、配位子となる化合物は、配位部位を1つのみ有する化合物を用いることもできる。
<<化合物(B1)>>
化合物(B1)は、1分子内中のアニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子の合計が2つ以上であればよく、3つであってもよいし、4つであってもよい。
化合物(B1)としては、例えば、下記式(i−1)で表される化合物が好ましい。
11−L11−Y11 ・・・(i−1)
11は、上述した群(AN)で表される配位部位を表す。
11は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。
11は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−SO2−、−O−、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
化合物(B1)のより詳細な例として、下記一般式(i−2)〜(i−9)で表される化合物も挙げられる。
12−L12−Y12−L13−X13 ・・・(i−2)
13−L14−Y14−L15−X14 ・・・(i−3)
15−L16−X15−L17−X16 ・・・(i−4)
16−L18−X17−L19−Y17 ・・・(i−5)
18−L20−Y18−L21−Y19−L22−X19 ・・・(i−6)
19−L23−Y20−L24−Y21−L25−Y22 ・・・(i−7)
23−L26−X20−L27−X21−L28−Y24 ・・・(i−8)
25−L29−X22−L30−Y26−L31−Y27 ・・・(i−9)
一般式(i−2)〜(i−9)中、X12〜X14、X18、X19はそれぞれ独立して、上述した群(AN)で表される配位部位を表す。また、X15、X17、X20〜X22はそれぞれ独立して、上述した群(AN−1)で表される配位部位を表す。
一般式(i−2)〜(i−9)中、L12〜L31はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は、一般式(i−1)中のL1が2価の連結基を表す場合と同義である。
化合物(B1)としては、式(i−10)または式(i−11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2016002701
式(i−10)中、X2は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y2は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A1およびA5は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A2〜A4は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。R1は、置換基を表す。RX2は、置換基を表す。n2は0〜3の整数を表す。
式(i−10)中、X2は、上記アニオンで配位する配位部位を含む基のみからなっていてもよいし、上記アニオンで配位する配位部位を含む基が置換基を有していてもよい。アニオンで配位する配位部位を含む基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。
式(i−10)中、Y2は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましく、酸素原子または窒素原子がより好ましく、窒素原子がさらに好ましい。
式(i−10)中、A1およびA5は、炭素原子が好ましい。
式(i−10)中、A2およびA3は、炭素原子を表すことが好ましい。A4は、炭素原子または窒素原子を表すことが好ましい。
式(i−10)中、R1は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義である。
式(i−10)中、RX2は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(i−10)中、n2は0〜3の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(i−10)で表される化合物は、Y2を含むヘテロ環が、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。Y2を含むヘテロ環が単環構造である場合の具体例としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピラン環等が挙げられる。Y2を含むヘテロ環が多環構造である場合の具体例としては、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、アクリジン環等が挙げられる。
式(i−11)中、X3は、上記アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y3は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A6およびA9は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A7およびA8は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。R2は、置換基を表す。RX3は、置換基を表す。n3は0〜2の整数を表す。
式(i−11)中、X3は、式(i−10)中のX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(i−3)中、Y3は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましく、酸素原子または窒素原子がより好ましい。
式(i−11)中、A6は、炭素原子または窒素原子が好ましい。A9は、炭素原子が好ましい。
式(i−11)中、A7は、炭素原子が好ましい。A8は、炭素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましい。
式(i−11)中、R2は、疎水的な置換基が好ましく、炭素数1〜30の炭化水素基がより好ましく、炭素数3〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基がさらに好ましく、炭素数3〜15のアルキル基が特に好ましい。
式(i−11)中、RX3は、式(i−10)中のRX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(i−11)中、n3は、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(i−11)で表される化合物は、Y3を含むヘテロ環が、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。Y3を含むヘテロ環が単環構造である場合の具体例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環等が挙げられる。Y3を含むヘテロ環が多環構造である場合の具体例としては、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環等が挙げられる。
特に、式(i−11)で表される化合物は、ピラゾール環を含む化合物であってピラゾール環の5位に2級または3級のアルキル基を有することが好ましい。本願明細書において、式(i−11)で表される化合物が、ピラゾール環を含む化合物である場合のピラゾール環の5位とは、上記(i−3)中のY3およびA6が窒素原子を表し、A7〜A9が炭素原子を表す場合のR2の置換位置をいう。ピラゾール環の5位における2級または3級のアルキル基の炭素数は、3〜15が好ましく、3〜12がより好ましい。
化合物(B1)の分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。また、化合物(B1)の分子量は、50以上が好ましく、80以上がより好ましい。
化合物(B1)の具体例としては、以下に示す化合物およびその塩が挙げられる。塩を構成する原子としては、金属原子、テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。金属原子としては、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子がより好ましい。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
Figure 2016002701
<<化合物(B2)>>
化合物(B2)は、1分子内に、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有していればよく、3つ以上有していてもよく、2〜4つ有していることが好ましい。
化合物(B2)は、例えば、下記一般式(ii−1)で表される化合物が好ましい。
40−L40−Y41 ・・・(ii−1)
一般式(ii−1)中、Y40およびY41はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。
一般式(ii−1)中、L40は、単結合または2価の連結基を表す。L1が2価の連結基を表す場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、−SO2−または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基または−SO2−が好ましい。
化合物(B2)のより詳細な例として、下記一般式(ii−2)または(ii−3)で表される化合物も挙げられる。
42−L41−Y43−L42−Y44 ・・・(ii−2)
45−L43−Y46−L44−Y47−L45−Y48 ・・・(ii−3)
一般式(ii−2)および(ii−3)中、Y42、Y44、Y45およびY48はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。
また、Y43、Y46、Y47はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)で表される部分構造である。
一般式(ii−2)および(ii−3)中、L41〜L48はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は、一般式(ii−1)中のL40が2価の連結基を表す場合と同義であり、好ましい範囲も同様である。
化合物(B2)の分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。また、化合物(B2)の分子量は、50以上が好ましく、80以上がより好ましい。
化合物(B2)の具体例としては、以下が挙げられる。
Figure 2016002701
<<化合物(B3)>>
化合物(B3)は、アニオンで配位する配位部位を2つ有する。アニオンで配位する配位部位は、上述したアニオンで配位する配位部位と同義である。
化合物(B3)としては、下記一般式(iii−1)で表される化合物が好ましい。
50−L50−X51 (iii−1)
一般式(iii−1)中、X50およびX51は、それぞれ独立に、アニオンで配位する配位部位を表し、上述したアニオンで配位する配位部位と同義であり、モノアニオン性配位部位が好ましい。
一般式(iii−1)中、L50は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN1−、−CO−、−CS−、−SO2−、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。RN1は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。
化合物(B3)は、スルホ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、スルホ基およびカルボキシル基を含むことが更に好ましい。スルホ基およびカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を用いることにより、色価をより向上させることができる。
化合物(B3)の分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。また、化合物(B3)の分子量は、50以上が好ましく、80以上がより好ましい。
化合物(B3)の具体例としては、以下に示す化合物およびその塩が挙げられる。塩を構成する原子としては、上述したもの同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2016002701
本発明の近赤外線吸収性組成物は、他の近赤外線吸収性化合物として、ピロロピロール系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、イミニウム系化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム系化合物、クオタリレン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、クロコニウム系化合物等などをさらに含有することもできる。
ピロロピロール系化合物は、顔料であってもよく、染料であってもよいが、耐熱性に優れた膜を形成できる着色組成物が得られやすいという理由から顔料が好ましい。ピロロピロール系化合物としては、例えば、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載のピロロピロール化合物などが挙げられる。
シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、イミニウム系化合物、スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン系化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。また、フタロシアニン系化合物は、特開2013−195480号公報の段落0013〜0029の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
<<無機微粒子>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、無機微粒子を含んでいてもよい。無機微粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
無機微粒子は、主に、赤外線を遮光(吸収)する役割を果たす粒子である。無機微粒子は、赤外線遮蔽性がより優れる点で、金属酸化物微粒子または金属微粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子など挙げられる。なお、赤外線遮蔽性とフォトリソ性とを両立するためには、露光波長(365−405nm)の透過率が高い方が望ましく、酸化インジウムスズ(ITO)粒子または酸化アンチモンスズ(ATO)粒子が好ましい。
無機微粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。
また、無機微粒子としては酸化タングステン系化合物が使用できる、具体的には、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物であることがより好ましい。
xyz・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mが表す金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられ、アルカリ金属が好ましく、RbまたはCsがより好ましく、Csが特に好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、酸化タングステン系化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができ、Cs0.33WO3又はRb0.33WO3であることが好ましく、Cs0.33WO3であることが更に好ましい。
酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物として入手可能である。
無機微粒子の平均粒子径は、800nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。無機微粒子の平均粒子径がこのような範囲であることによって、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、無機微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
無機微粒子の含有量は、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
<<溶剤>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、溶剤を含有していてもよい。溶剤は、特に制限はなく、各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報段落0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報段落0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0609])に記載のものが挙げられる。さらに、酢酸−n−アミル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、硫酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
溶剤としては、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸ブチル、乳酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
溶剤の含有量は、本発明の近赤外線吸収性組成物の全固形分が5〜60質量%となる量が好ましい。下限は、10質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましい。
溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<硬化性化合物>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、硬化性化合物を含有してもよい。硬化性化合物は、重合性基を有する化合物(以下、「重合性化合物」ということがある)であってもよいし、バインダー等の非重合性化合物であってもよい。硬化性化合物は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーなどの化学的形態のいずれであってもよい。硬化性化合物としては、例えば、特開2014−41318号公報の段落0070〜0191(対応する国際公開WO2014/017669号パンフレットの段落0071〜0192)、特開2014−32380号公報の段落0045〜0216等の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
硬化性化合物としては、重合性化合物が好ましい。重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和結合、環状エーテル(エポキシ、オキセタン)等の重合性基を含む化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましい。重合性化合物は、重合性基を1個有する単官能化合物であってもよいし、重合性基を2個以上有する多官能化合物であってもよいが、多官能化合物であることが好ましい。近赤外線吸収性組成物が、多官能化合物を含有することにより、耐熱性をより向上させることができる。
硬化性化合物としては、単官能の(メタ)アクリレート、多官能の(メタ)アクリレート(好ましくは3〜6官能の(メタ)アクリレート)、多塩基酸変性アクリルオリゴマー、エポキシ樹脂、多官能のエポキシ樹脂などが挙げられる。
<<<エチレン性不飽和結合を含む化合物>>>
本発明では、硬化性化合物として、エチレン性不飽和結合を含む化合物を用いることができる。エチレン性不飽和結合を含む化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
エチレン性不飽和結合を含む化合物としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステルATM−35E;新中村化学社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては、KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製、A−DPH−12E;新中村化学工業社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特開2013−253224号公報の段落0034〜0038の重合性化合物の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開2012−208494号公報段落0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0585])に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亜合成製)が好ましい。ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を含む化合物は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。
酸基とエチレン性不飽和結合を含む化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルなどが挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた化合物が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基とエチレン性不飽和結合を含む化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
<<<エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物>>>
本発明では、硬化性化合物として、エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物を用いることができる。エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物としては、側鎖にエポキシ基を有するポリマー、分子内に2個以上のエポキシ基を有するモノマーまたはオリゴマーなどが挙げられる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。また単官能または多官能グリシジルエーテル化合物も挙げられ、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が好ましい。
重量平均分子量は、500〜5000000が好ましく、1000〜500000がより好ましい。
これらの化合物は、市販品を用いてもよいし、ポリマーの側鎖へエポキシ基を導入することによっても得られるものを用いてもよい。
市販品としては、例えば、特開2012−155288号公報段落0191等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、デナコール EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等の多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が挙げられる。これらは、低塩素品であるが、低塩素品ではない、EX−212、EX−214、EX−216、EX−321、EX−850なども同様に使用できる。
その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER1031S、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、サイクロマ―P ACA 200M、同ACA 230AA、同ACA Z250、同ACA Z251、同ACA Z300、同ACA Z320(以上、ダイセル化学工業(株)製)等も挙げられる。
さらに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品として、JER−157S65、JER−152、JER−154、JER−157S70(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。
また、側鎖にオキセタニル基を有するポリマー、分子内に2個以上のオキセタニル基を有する重合性モノマーまたはオリゴマーの具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基としてグリシジル基を有するものも使用可能であるが、好ましいものは脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物である。このようなものとしては例えば特開2009−265518号公報段落0045等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
エポキシ基またはオキセタニル基を含む化合物は、エポキシ基またはオキセタニル基を繰り返し単位として有する重合体を含んでいてもよい。具体的には、下記の繰り返し単位を有する重合体(共重合体)が挙げられる。
Figure 2016002701
<<<その他の硬化性化合物>>>
硬化性化合物として、カプロラクトン変性構造を有する重合性化合物を用いることができる。
カプロラクトン変性構造を有する重合性化合物としては、特開2013−253224号公報の段落0042〜0045の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
カプロラクトン変性構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120等、サートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
硬化性化合物の含有量は、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、1〜90質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。
また、硬化性化合物として、重合性基を有する繰り返し単位を含む重合体を用いる場合、硬化性化合物の含有量は、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して10〜75質量%が好ましい。下限は20質量%以上が好まし。上限は65質量%以下が好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
硬化性化合物は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<バインダーポリマー>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、膜特性向上などの目的で、バインダーポリマーを含むことができる。バインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂が好ましく用いられる。アルカリ可溶性樹脂を含有することにより、耐熱性などの向上や、塗布適正の微調整に効果がある。アルカリ可溶性樹脂としては、特開2012−208494号公報段落0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
バインダーポリマーの含有量は、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、1〜80質量%が好ましい。下限は5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%が好ましい。下限は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。上限は、1.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。本発明の近赤外線吸収性組成物は、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。これによれば、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善される。このため、近赤外線吸収性組成物の液特性(特に、流動性)が向上し、塗布厚の均一性や省液性がより改善する。その結果、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量以下%が好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素含有率が上述した範囲内である場合は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、近赤外線吸収性組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落0060〜0064(対応する国際公開WO2014/17669号パンフレットの段落0060〜0064)等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を用いることができる。
具体的な商品名としては、サーフィノール61,82,104,104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,TG、GA、ダイノール604(以上、日信化学(株)及びAirProducts&Chemicals社)、オルフィンA,B,AK−02,CT−151W,E1004,E1010,P,SPC,STG,Y,32W、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、SK−14、AE−3(以上、日信化学(株))アセチレノールE00、E13T、E40、E60、E81、E100、E200(以上全て商品名、川研ファインケミカル(株)社製)等を挙げることができる。なかでも、オルフィンE1010が好適である。
その他、ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0679])等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0680])に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報段落0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0682])等に記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンSF8410」、「同SF8427」、「同SH8400」、「ST80PA」、「ST83PA」、「ST86PA」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−400」、「TSF−401」、「TSF−410」、「TSF−4446」信越シリコーン株式会社製「KP321」、「KP323」、「KP324」、「KP340」等も例示される。
<<重合開始剤>>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はないが、光重合性化合物(光重合開始剤)が好ましい。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、熱で重合を開始させる場合には、150〜250℃で分解する重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、芳香族基を有する化合物が好ましい。例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物、チオール化合物などが挙げられる。
重合開始剤は、特開2013−253224号公報の段落0217〜0228の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
重合開始剤は、オキシム化合物、アセトフェノン化合物またはアシルホスフィン化合物が好ましい。
オキシム化合物の市販品としては、IRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)等を用いることができる。
アセトフェノン化合物の市販品としては、IRGACURE−907、IRGACURE−369、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)等を用いることができる。
アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE−819、DAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)等を用いることができる。
重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
重合開始剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の成分>>
本発明の近赤外線吸収性組成物で併用可能なその他の成分としては、例えば、分散剤、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線吸収フィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]以降)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<近赤外線吸収性組成物の調製、用途>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、液状とすることができるため、例えば、本発明の近赤外線吸収性組成物を基材などに適用し、乾燥させることにより近赤外線カットフィルタを容易に製造できる。
本発明の近赤外線吸収性組成物の粘度は、塗布により近赤外線カットフィルタを形成する場合は、1〜3000mPa・sであることが好ましい。下限は、10mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上が更に好ましい。上限は、2000mPa・s以下が好ましく、1500mPa・s以下が更に好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物の全固形分は、塗布方法により変更されるが、例えば、1〜50質量%であることが好ましい。下限は10質量%以上がより好ましい。上限は30質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物の用途は、特に限定されないが、近赤外線カットフィルタ等の形成に好ましく用いることができる。例えば、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタ(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線カットフィルタ用など)、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線カットフィルタなどに好ましく用いることができる。特に、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。
また、本発明の近赤外線吸収性組成物によれば、可視領域では高い透過率を維持しつつ、高い近赤外線遮蔽性を実現できる近赤外線カットフィルタが得られる。さらには、近赤外線カットフィルタの膜厚を薄くでき、カメラモジュールの低背化に寄与できる。
<近赤外線カットフィルタ>
次に、本発明の近赤外線カットフィルタについて説明する。
本発明の近赤外線カットフィルタは、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を硬化してなるものである。
本発明の近赤外線カットフィルタは、光透過率が以下の(1)〜(9)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、以下の(1)〜(8)のすべての条件を満たすことがより好ましく、(1)〜(9)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。
(1)波長400nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(2)波長450nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長500nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長550nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(5)波長700nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(6)波長750nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(7)波長800nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(8)波長850nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(9)波長900nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
近赤外線カットフィルタは、波長400〜550nmの全ての範囲での光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。可視領域での透過率は高いほど好ましく、波長400〜550nmで高透過率となることが好ましい。また、波長700〜800nmの範囲の少なくとも1点での光透過率が20%以下であることが好ましく、波長700〜800nmの全ての範囲での光透過率が20%以下であることがさらに好ましい。
近赤外線カットフィルタの膜厚は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましく、200μm以下が特に好ましい。膜厚の下限は、例えば、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物によれば、高い近赤外線遮蔽性を有することから、近赤外線カットフィルタの膜厚を薄くすることができる。
本発明の近赤外線カットフィルタは、85℃/相対湿度85%の高温高湿下で1時間放置する前後での、下記式で求められる吸光度比の変化率がそれぞれ7%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。吸光度比の変化率が上記範囲であれば、耐湿性に優れる。
吸光度比の変化率(%)=|(試験前における吸光度比−試験後における吸光度比)/試験前における吸光度比|×100(%)
ここで、吸光度比とは、下記式で表される値である。
吸光度比=(近赤外線カットフィルタの波長700〜1400nmにおける最大吸光度/近赤外線カットフィルタの波長400〜700nmにおける最小吸光度)
本発明の近赤外線カットフィルタは、200℃で5分間加熱した前後における、波長400nmの吸光度の変化率および波長800nmの吸光度の変化率がいずれも7%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。吸光度の変化率が上記範囲であれば、耐熱性に優れる。
本発明の近赤外線カットフィルタは、近赤外線を吸収・カットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用や写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルターとしても有用である。
<近赤外線カットフィルタの製造方法>
本発明の近赤外線カットフィルタは、本発明の近赤外線吸収性組成物を支持体に適用することにより膜を形成する工程、膜を乾燥する工程を経て製造できる。膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。また、更にパターンを形成する工程を行ってもよい。
膜を形成する工程は、例えば、本発明の近赤外線吸収性組成物を、支持体に滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、アプリケータ塗布等を用いることにより実施できる。滴下法(ドロップキャスト)の場合、所定の膜厚で、均一な膜が得られるように、支持体上にフォトレジストを隔壁とする近赤外線吸収性組成物の滴下領域を形成することが好ましい。近赤外線吸収性組成物の滴下量および固形分濃度、滴下領域の面積を調整することで、所望の膜厚が得られる。乾燥後の膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。膜の厚みとしては、例えば、1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、1〜200μmが特に好ましい。本発明では、このような薄い膜とした場合でも、近赤外線遮蔽性を維持することができる。
支持体は、ガラスなどからなる透明基板であってもよい。また、固体撮像素子であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層等の層であっても良い。
膜を乾燥する工程において、乾燥条件としては、各成分、溶剤の種類、使用割合等によっても異なる。例えば、60〜150℃の温度で、30秒間〜15分間が好ましい。
パターンを形成工程としては、例えば、本発明の近赤外線吸収性組成物を支持体上に適用して膜状の組成物層を形成する工程と、組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程とを含む方法などが挙げられる。パターンを形成する工程としては、フォトリソグラフィ法でパターン形成してもよいし、ドライエッチング法でパターンを形成してもよい。
近赤外線カットフィルタの製造方法において、その他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
<<前加熱工程・後加熱工程>>
前加熱工程および後加熱工程における加熱温度は、80〜200℃が好ましい。上限は150℃以下が好ましい。下限は90℃以上が好ましい。
前加熱工程および後加熱工程における加熱時間は、30〜240秒が好ましい。上限は180秒以下が好ましい。下限は60秒以上が好ましい。
<<硬化処理工程>>
硬化処理工程は、必要に応じ、形成された上記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、近赤外線カットフィルタの機械的強度が向上する。
硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。
露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5〜3000mJ/cm2が好ましい。上限は、2000mJ/cm2以下が好ましく、1000mJ/cm2以下がより好ましい。下限は、10mJ/cm2以上が好ましく、50mJ/cm2以上がより好ましい。
全面露光処理の方法としては、例えば、形成された膜の全面を露光する方法が挙げられる。近赤外線吸収性組成物が重合性化合物を含有する場合、全面露光により、重合性化合物の硬化が促進され、膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
また、全面加熱処理の方法としては、形成された上記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、120〜250℃が好ましい。下限は160℃以上が好ましい。上限は220℃以上が好ましい。加熱温度が上記範囲であれば、強度に優れた膜が得られやすい。
全面加熱における加熱時間は、3〜180分が好ましい。下限は5分以上が好ましい。上限は120分以下が好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
<カメラモジュール、カメラモジュールの製造方法>
本発明のカメラモジュールは、固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有する。
また、本発明のカメラモジュールの製造方法は、固体撮像素子の受光側において、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を塗布する工程を有する。
図1は、本発明の実施形態に係る近赤外線カットフィルタを有するカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
カメラモジュール10は、例えば、固体撮像素子11と、固体撮像素子の主面側(受光側)に設けられた平坦化層12と、近赤外線カットフィルタ13と、近赤外線カットフィルタの上方に配置され内部空間に撮像レンズ14を有するレンズホルダー15と、を備える。
カメラモジュール10では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ14、近赤外線カットフィルタ13、平坦化層12を順次透過した後、固体撮像素子11の撮像素子部に到達するようになっている。
固体撮像素子11は、例えば、基体であるシリコン基板16の主面に、フォトダイオード、層間絶縁膜(図示せず)、ベース層(図示せず)、カラーフィルタ17、オーバーコート(図示せず)、マイクロレンズ18をこの順に備えている。カラーフィルタ17(赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、青色のカラーフィルタ)やマイクロレンズ18は、固体撮像素子11に対応するように、それぞれ配置されている。
また、平坦化層12の表面に近赤外線カットフィルタ13が設けられる代わりに、マイクロレンズ18の表面、ベース層とカラーフィルタ17との間、または、カラーフィルタ17とオーバーコートとの間に、近赤外線カットフィルタ13が設けられる形態であってもよい。例えば、近赤外線カットフィルタ13は、マイクロレンズ表面から2mm以内(より好ましくは1mm以内)の位置に設けられていてもよい。この位置に設けると、近赤外線カットフィルタを形成する工程が簡略化でき、マイクロレンズへの不要な近赤外線を十分にカットすることができるので、近赤外線遮蔽性をより高めることができる。
本発明の近赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に供することができる。半田リフロー工程によりカメラモジュールを製造することによって、半田付けを行うことが必要な電子部品実装基板等の自動実装化が可能となり、半田リフロー工程を用いない場合と比較して、生産性を格段に向上することができる。更に、自動で行うことができるため、低コスト化を図ることもできる。半田リフロー工程に供される場合、250〜270℃程度の温度にさらされることとなるため、近赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に耐え得る耐熱性(以下、「耐半田リフロー性」ともいう。)を有することが好ましい。
本明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、200℃で10分間の加熱を行う前後で近赤外線カットフィルタとしての特性を保持することをいう。より好ましくは、230℃で10分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。更に好ましくは、250℃で3分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、近赤外線カットフィルタの近赤外線遮蔽性が低下したり、膜としての機能が不十分となる場合がある。
また本発明は、リフロー処理する工程を含む、カメラモジュールの製造方法にも関する。本発明の近赤外線カットフィルタは、リフロー工程があっても、近赤外線遮蔽性が維持されるので、小型軽量・高性能化されたカメラモジュールの特性を損なうことがない。
図2〜4は、カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、平坦化層12と、紫外・赤外光反射膜19と、透明基材20と、近赤外線吸収層(近赤外線カットフィルタ)21と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
紫外・赤外光反射膜19は、近赤外線カットフィルタの機能を付与または高める効果を有し、例えば、特開2013−68688号公報の段落0033〜0039を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
透明基材20は、可視領域の波長の光を透過するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0026〜0032を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収層21は、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を塗布することにより形成することができる。
反射防止層22は、近赤外線カットフィルタに入射する光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率よく入射光を利用する機能を有するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0040を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
図3に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線吸収層(近赤外線カットフィルタ)21と、反射防止層22と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、紫外・赤外光反射膜19とをこの順に有していてもよい。
図4に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線吸収層(近赤外線カットフィルタ)21と、紫外・赤外光反射膜19と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<合成例1>(重合体(P−1)〜(P−10)の合成)
3つ口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール(21g)を入れ、窒素雰囲気下において85℃に昇温した。
次に、4−ビニルピリジン(11.21g)、メタクリル酸ベンジル(18.79g)、およびV−601(和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤、1.06g)を、1−メトキシ−2−プロパノール(49g)に溶解させた溶液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後4時間攪拌し、反応を終了させることで重合体(P−1)を得た。重合体(P−1)の重量平均分子量は20,000であった。
重合体(P−2)〜(P−10)についても、重合体(P−1)と同様の方法で得た。重合体(P−2)〜(P−9)の重量平均分子量は20,000であった。また、重合体(P−10)の重量平均分子量は30,000であった。
<近赤外線吸収性組成物>
(実施例1)
ナスフラスコに、2,6−ピリジンジカルボン酸(17.82g)、メタノール(50g)を入れて室温で溶解させた。酢酸銅(19.37g)をメタノール(50g)および水(20g)に溶解させた溶液を加え、室温で30分間攪拌することで沈殿の生成を確認した。そこに、重合体(P−1)の1−メトキシ−2−プロパノール溶液(100g、30質量%)を加え室温で1時間攪拌させることでポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。
なお、重合体(P−1)の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=1:1であった。
(実施例2〜6)
実施例1において、重合体(P−1)の代わりに、重合体(P−2)〜(P−6)を用いた以外は、実施例1にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。各近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。
なお、実施例2〜5においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=1:1であった。また、実施例6においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=2:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例7)
実施例6において、2,6−ピリジンジカルボン酸の代わりにイタコン酸を用いた以外は、実施例6にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例7においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=2:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例8)
実施例6において、2,6−ピリジンジカルボン酸を用いないこと、酢酸銅の代わりに2−エチルヘキサン酸銅を用いること以外は、実施例6にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例8においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=2:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例9)
実施例6において、2,6−ピリジンジカルボン酸を用いないこと、酢酸銅の代わりにメタンスルホン酸銅を用いること以外は、実施例6にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例9においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=2:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例10)
実施例1において、重合体(P−1)の代わりに、重合体(P−7)を用いた以外は、実施例1にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例10においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=2:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例11)
実施例1において、(2,6−ピリジンジカルボン酸を用いないこと、重合体(P−1)の代わりに重合体(P−8)を用いること、酢酸銅の代わりにメタンスルホン酸銅を用いること以外は、実施例1にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例11においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=1:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例12)
実施例1において、2,6−ピリジンジカルボン酸を用いないこと、重合体(P−1)の代わりに重合体(P−9)を用いること以外は、実施例1にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例12においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=2:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(実施例13)
実施例1において、2,6−ピリジンジカルボン酸を用いないこと、重合体(P−1)の代わりに重合体(P−10)を用いること、酢酸銅の代わりにメタンスルホン酸銅を用いること以外は、実施例1にならって、ポリマー銅化合物を得て、近赤外線吸収性組成物を調製した。近赤外線吸収性組成物の固形分濃度(ポリマー銅化合物の含有量)は21質量%であった。実施例13においては、重合体の全配位部(非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位との合計)と、銅とのモル比は、全配位部:銅=1:1であった。また、固形分濃度が21質量%になるようにメタノールの量を調整した。
(比較例1)
特開2010−134457号公報の実施例1にならって、近赤外線吸収性組成物を調製した。
<<近赤外線カットフィルタの作成>>
各近赤外線吸収性組成物を用いて、近赤外線カットフィルタを作製した。
ガラス基板上に、フォトレジストを塗布し、リソグラフィーによりパターニングしてフォトレジストの隔壁を形成して近赤外線吸収性組成物の滴下領域を形成した。ガラス基板上の滴下領域に、各近赤外線吸収性組成物を3ml滴下し、24時間室温放置により乾燥させた。乾燥後の塗布膜の膜厚を評価したところ、膜厚は200μmであった。
<<近赤外線遮蔽性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタにおける波長800nmの透過率を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。近赤外線遮蔽性を以下の基準で評価した。結果を以下の表に示す。
A:800nmの透過率≦5%
B:5%<800nmの透過率≦7%
C:7%<800nmの透過率≦10%
D:10%<800nmの透過率
<<耐熱性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタを200℃で5分間放置した。耐熱性試験前と耐熱性試験後とのそれぞれにおいて、近赤外線カットフィルタの800nmにおける吸光度を測定し、((試験前における吸光度−試験後における吸光度)/試験前における吸光度)×100(%)で表される800nmの吸光度の変化率を求めた。400nmにおける吸光度も測定し、((試験後における吸光度−試験前における吸光度)/試験前における吸光度)×100(%)で表される400nmの吸光度の変化率を求めた。それぞれの波長における耐熱性を以下の基準で評価した。吸光度の測定には、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
A:吸光度の変化率≦3%
B:3%<吸光度の変化率≦6%
C:6%<吸光度の変化率≦10%
D:10%<吸光度の変化率
<<耐湿性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタを85℃/相対湿度85%の高温高湿下で1時間放置した。耐湿性試験前と耐湿性試験後とのそれぞれにおいて、近赤外線カットフィルタの波長700〜1400nmにおける最大吸光度(Absλmax)と、波長400〜700nmにおける最小吸光度(Absλmin)とを、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定し、「Absλmax/Absλmin」で表される吸光度比を求めた。|(試験前における吸光度比−試験後における吸光度比)/試験前における吸光度比×100|(%)で表される吸光度比変化率を以下の基準で評価した。
A:吸光度比変化率≦2%
B:2%<吸光度比変化率≦4%
C:4%<吸光度比変化率≦7%
D:7%<吸光度比変化率
<<吸水率評価>>
十分に乾燥した銅錯体(ポリマー銅錯体)粉末を25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置した(吸水率試験)。吸水率試験の前の質量を基準とし、吸水率試験後における銅錯体粉末の質量増加率を算出し、以下の基準で評価した。
A1:0≦質量増加率≦3%
A2:3%<質量増加率≦10%
B:10%<質量増加率≦25%
C:25%<質量増加率≦60%
D:60%<質量増加率
Figure 2016002701
上記表1から明らかなとおり、本発明の近赤外線吸収性組成物は、高い近赤外線遮蔽性を維持しつつ、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができた。また、耐湿性にも優れた硬化膜を形成することができた。また、波長450〜550nmの範囲での光透過率を85%以上とし、波長800〜900nmの範囲での光透過率を20%以下とすることもできる。
これに対し、比較例1は、耐熱性が劣るものであった。
実施例1〜13の近赤外線吸収性組成物において、組成物の全固形分に対するポリマー銅化合物の含有量を15質量%、20質量%、30質量%または40質量%とした場合でも、それらと同様に優れた近赤外線遮蔽性が得られる。
(実施例20)
実施例1の近赤外線吸収性組成物において、以下に示す低分子銅錯体Aをさらに追加し、固形分基準でポリマー銅化合物と低分子銅錯体Aとの比が7:3となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例20の近赤外線吸収性組成物を得た。
(実施例21〜24)
実施例20の近赤外線吸収性組成物において、低分子銅錯体Aをそれぞれ低分子銅錯体B,C,DまたはEに変えたこと以外は、実施例20と同様にして、実施例21〜24の近赤外線吸収性組成物を得た。
(実施例25〜28)
実施例20の近赤外線吸収性組成物において、固形分基準でポリマー銅化合物と低分子銅錯体Aとの比を、それぞれ5:5、6:4、8:2と変えたこと以外は、実施例20と同様にして、実施例25〜28の近赤外線吸収性組成物を得た。
これら、ポリマー銅化合物と低分子銅錯体との混合タイプでは、さらに高い近赤外線遮蔽性を達成できることを確認できた。
(低分子銅錯体)
低分子銅錯体A:下記(M−1)を配位子として有する銅錯体。合成方法は後述する。
低分子銅錯体B:下記化合物(B1−21)を配位子とする銅錯体。合成方法は後述する。
低分子銅錯体C:フタル酸モノブチル銅、東京化成工業株式会社
低分子銅錯体D:下記化合物(B2−1)を配位子とする銅錯体。合成方法は後述する。
低分子銅錯体E:下記化合物(B3−18)を配位子とする銅錯体。合成方法は後述する。
Figure 2016002701
<低分子銅錯体Aの合成>
三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピラゾール−3−カルボン酸エチル4.0g、炭酸セシウム11.16g、3−ブロモペンタン5.17g、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン60mLを加え、150℃で1時間加熱した。室温に冷却後、濾過により不溶物を除去し、濾液を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、1−(3−ペンチル)ピラゾール−3−カルボン酸エチルを3.3g得た。
フラスコに上記生成物を0.87g、エタノール6mLを加え、室温で撹拌しながら水0.1g、tert−ブトキシカリウム0.46gを加えた後、70℃で30分間撹拌した。室温に冷却後、硫酸銅0.52gを水5mLに溶かした溶液を加え、室温で一時間攪拌した。析出した固体を濾別し、減圧下で乾燥することで低分子銅錯体Aを0.7g得た。
<銅錯体Bの合成>
化合物B1−21(886mg,9.84mmol)をメタノール20mlに溶解した。この溶液を50℃に昇温した後、水酸化銅(449mg、4.60mmol)のメタノール溶液(160ml)を滴下し、50℃にて2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて発生した水および溶剤を留去することで低分子銅錯体B(1.00g)を得た。
<銅錯体Dの合成>
化合物B2−1(0.2g,1.1mmol)をエタノール5mlに溶解した。この溶液を70℃に昇温した後、酢酸銅(0.2g、1.1mmol)のエタノール溶液(5ml)を滴下し、70℃にて2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて発生した水および溶剤を留去することで低分子銅錯体D(0.6g)を得た。
<銅錯体Eの合成>
化合物B3−18(スルホフタル酸)53.1質量%水溶液(13.49g,29.1mmol)をメタノール50mLに溶かし、この溶液を50℃に昇温した後、水酸化銅(2.84g,29.1mmol)を加え50℃で2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて溶剤及び発生した水を留去することで低分子銅錯体E(8.57g)を得た。
10 カメラモジュール、11 固体撮像素子、12 平坦化層、13 近赤外線カットフィルタ、14 撮像レンズ、15 レンズホルダー、16 シリコン基板、17 カラーフィルタ、18 マイクロレンズ、19 紫外・赤外光反射膜、20 透明基材、21 近赤外線吸収層、22 反射防止層

Claims (11)

  1. 銅成分と、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子を含有する重合体との反応で得られる化合物を含む、近赤外線吸収性組成物。
  2. 前記配位原子が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の近赤外線吸収性組成物。
  3. 前記重合体は、さらに、アニオンで配位する配位部位を有する、請求項1または2に記載の近赤外線吸収性組成物。
  4. 前記アニオンが、酸素アニオン、窒素アニオンおよび硫黄アニオンから選ばれる1種以上である、請求項3に記載の近赤外線吸収性組成物。
  5. 前記重合体は、下記式(1)で表される基を側鎖に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物;
    *−L1−Y1 ・・・(1)
    一般式(1)において、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表し、*は、重合体との連結手を表す。
  6. 前記重合体は、下記式(A1−1)で表される構成単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物;
    Figure 2016002701
    式(A1−1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す。
  7. 前記重合体は、下記式(A1−1−1)〜(A1−1−4)から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物;
    Figure 2016002701
    式(A1−1−1)〜(A1−1−4)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L2は単結合または連結基を表し、Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上有する基または非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を用いて得られた近赤外線カットフィルタ。
  9. 固体撮像素子の受光側において、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を塗布する工程を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を用いて得られた近赤外線カットフィルタを有する固体撮像素子。
  11. 固体撮像素子と、前記固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有し、前記近赤外線カットフィルタが請求項8に記載の近赤外線カットフィルタである、カメラモジュール。
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