JPH0862761A - ハロゲン化銀写真材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真材料

Info

Publication number
JPH0862761A
JPH0862761A JP22252494A JP22252494A JPH0862761A JP H0862761 A JPH0862761 A JP H0862761A JP 22252494 A JP22252494 A JP 22252494A JP 22252494 A JP22252494 A JP 22252494A JP H0862761 A JPH0862761 A JP H0862761A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver halide
grain
grains
complex
silver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP22252494A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeji Urabe
茂治 占部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP22252494A priority Critical patent/JPH0862761A/ja
Publication of JPH0862761A publication Critical patent/JPH0862761A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 六シアノ金属錯体のドープ効果を最大限に得
ることである。 【構成】 支持体上に、ハロゲン化銀粒子がゼラチン中
に分散されている感光性層を有し、該ハロゲン化銀粒子
中にハロゲン化銀1モル当たり1×10-7乃至5×10
-3モルの量の六配位シアノ錯体が組み込まれており、か
つ該錯体の濃度が他の部分よりも10倍以上高い局在相
をハロゲン化銀粒子全体の50%以下の表面相中に有す
るハロゲン化銀写真材料であって、該ハロゲン化銀粒子
が、ホウ素を除くIIIB族またはランタノイドの塩の存在
下で、該シアノ錯体を該ハロゲン化銀粒子中に組み込む
工程またはそれ以降の工程を実施して得られたハロゲン
化銀粒子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、六配位シアノ錯体がハ
ロゲン化銀粒子中に組み込まれているハロゲン化銀写真
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀粒子中に、銀とハライドイ
オン以外の物質(ドーパント)を組み込む技術(ドープ
技術)は、以前からよく知られている。特に遷移金属の
ドープ技術については、ハロゲン化銀粒子の改質を目的
として多数の研究がなされている。例えば、ハロゲン化
銀乳剤の感度を高めるために、シアンリガンドを持つVI
II族金属化合物をハロゲン化銀粒子形成中に添加するこ
とはこれまでにも行われてきた。特公昭48−3537
3号公報は、銀1モル当たり10-7から10-3モルの水
溶性鉄化合物を存在下でハロゲン化銀粒子を形成する方
法を開示している。同公報には、この方法によると感度
を損なうことなく硬調な乳剤が得られることが記載され
ている。また、特公昭49−14265号公報は、高照
度において高感度であるハロゲン化銀乳剤として、粒子
径が0. 9μm以下のハロゲン化銀粒子において、銀1
モルあたり10-6〜10-3モルのVIII族金属化合物を粒
子形成中に添加し、さらにメロシアニン色素で分光増感
した乳剤を開示している。これらの技術に従えば高感度
の乳剤は得られるが、ハロゲン化銀粒子の内部感度が表
面感度と共に上昇するので、表面感度の相対的な上昇は
わずかであった。特開平1−121844号公報は、一
つの粒子が異なる二つ以上のハロゲン組成から構成され
る感光性ハロゲン化銀粒子の最もバンドギャップエネル
ギーの小さいハロゲン組成の部分に、その部分のハロゲ
ン化銀1モルあたり10-7モル以上の二価の鉄イオンを
含有させた高感度を開示する。しかし、この技術の効果
は二価の鉄イオンを含有する場合にのみ限られており、
同公報にはそのリガンド種に関して特に示唆はない。
【0003】遷移金属化合物をハロゲン化銀粒子形成中
に添加した場合と、ハロゲン化銀粒子の形成後に添加し
た場合とでは、ハロゲン化銀乳剤に対する遷移金属化合
物の写真効果に顕著な差があることが知られている。前
者の場合、遷移金属はハロゲン化銀粒子の中にドーパン
トとして入りこみ、その量が極めてわずかでも写真性能
を効果的に変えることが一般に認められている。遷移金
属化合物をハロゲン化銀粒子形成が終了した後に添加し
た場合は、遷移金属は粒子表面に吸着される。しかし、
遷移金属は保護コロイドとの相互作用で粒子に近づけな
い場合が多い。ドーパントとして遷移金属をハロゲン化
銀粒子内部に組み込む場合と同じ効果を、粒子形成後に
遷移金属化合物を添加して得るためには、遷移金属化合
物を多量に添加する必要がある。すなわち、化学増感の
ような粒子形成後の処理において遷移金属化合物を添加
すると、写真効果が得られにくいことが一般に認識され
ている。このため、遷移金属は主に粒子形成中にドーパ
ントとして用いられてきたのである。ハロゲン化銀粒子
の形成中に乳剤に添加する金属ドープと、ハロゲン化銀
粒子の形成後に乳剤に金属化合物を添加する金属増感と
の技術上の相違については、リサーチディスクロジャー
(Research Disclosure )、17643号に記載されて
いる。具体的には、粒子の形成中に組み込む遷移金属化
合物については同号のIA章に、そして化学増感中に使
用する遷移金属化合物については同号のIIIA章にそ
れぞれ記載がある。
【0004】米国特許4126472号明細書には、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-6〜10-4モルの水溶性イ
リジウム塩の存在下でハロゲン化銀乳剤を熟成する方法
が開示されている。イリジウムは、粒子表面ドープのド
ーパントあるいは粒子表面の改質剤として用いる。しか
し、六配位シアノ錯体の記載はない。欧州特許0242
190号明細書には、三、四、五または六個のシアン配
位子を有する三価のロジウムのうち一種以上の錯体化合
物の存在下で形成したハロゲン化銀粒子からなるハロゲ
ン化銀乳剤が開示されている。この乳剤については、高
照度不軌の減少が報告されている。米国特許36908
88号明細書には、多価金属イオンを含有するハロゲン
化銀の製造において、主としてアクリル系ポリマーから
なる保護コロイドの存在下にハロゲン化銀粒子を形成す
る工程を用いる方法が開示されている。多価金属イオン
としては特に、ビスマス、イリジウム、鉛およびオスミ
ウムイオンが挙げられている。しかし、六配位シアノ錯
体に関する記載はない。これらの従来技術においては、
遷移金属と共に配位子が粒子中に取り込まれることにつ
いて明瞭な開示はなく、遷移金属化合物の配位子の規定
やその効果については記載されていない。
【0005】一方、欧州特許0336425号、同03
36426号各明細書および特開平2−20853号、
同2−20854号各公報には、少なくとも四個のシア
ン配位子を有する六配位のレニウム、ルテニウム、オス
ミウムおよびイリジウム金属錯体の存在下において調製
されるハロゲン化乳剤が開示されている。このハロゲン
化乳剤については、感度、諧調および経時安定性が優
れ、かつ低照度不軌が改良されたことが報告されてい
る。欧州特許0336427号明細書および特開平2−
20852号公報には、ニトロシルまたはチオニトロシ
ル配位子を含む六配位のバナジウム、クロム、マンガ
ン、鉄、ルテニウム、オスミウム、レニウムおよびイリ
ジウム金属錯体を用いたハロゲン化銀乳剤が記載されて
いる。錯体の効果としては、中照度感度を低下させるこ
とのない低照度相反則不軌の改良が報告されている。欧
州特許0336689号明細書および特開平2−208
55号公報には、六配位のレニウム錯体の配位子が、ハ
ロゲン、ニトロシル、チオニトロシル、シアン、水、チ
オシアンの組み合わされた金属錯体により感度が制御さ
れ、低照度相反則不軌が改良された乳剤が開示されてい
る。また、特開平3−118535号公報には六配位金
属錯体の一つの配位子がカルボニルである遷移金属錯体
を内部に含有する乳剤が、さらに、同3−118536
号公報には六配位の金属錯体の二つの配位子が酸素であ
る遷移金属錯体を内部に含有する乳剤が、それぞれ有用
な写真性能を有する乳剤として開示されている。
【0006】米国特許5132203号明細書には、少
なくとも四個のシアン配位子を有する6配位のVIII族金
属錯体を亜表面に含有し、20〜350Åの粒子表面層
には該錯体を含まない平板状粒子は高感度であることが
開示されている。さらに欧州特許0508910号明細
書には、六シアノ鉄錯体を亜表面にドープし、20〜3
50Åに表面層には該鉄錯体を含有せず、かつ増感色素
を添加して分光増感したハロゲン化銀乳剤が開示されて
いる。これらの発明は、六シアノ錯体は粒子表面近くに
存在させた方が感度が高いが、粒子表面には存在させな
い方が良いことを示唆する。すなわち、六配位シアノ金
属錯体を粒子にドープする際、そのドープ位置はハロゲ
ン化銀粒子の亜表面が良いと記載されているが、表面そ
のものに錯体が存在した場合に高感度を得る方法につい
ては全く開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記米国特許5132
203号および欧州特許508910A2号各明細書記
載の発明では、六シアノ金属錯体が粒子表面層まで存在
することを避けて、粒子表面および乳剤媒体中の六配位
シアノ錯体の量を減らそうとする。しかし、本発明者の
研究によれば、六配位シアノ錯体は粒子表面に存在する
ときに、その増感効果が最も大きい。そこで、本発明者
は、ハロゲン化銀粒子の表面に六配位シアノ錯体を組み
込んだハロゲン化銀写真材料について研究を進めた。す
ると、その研究の過程で、ハロゲン化銀粒子の表面に六
配位シアノ錯体を組み込むと、何らかの原因によりシア
ンイオンが発生する現象が認められた。発生したシアン
イオンは、ハロゲン化銀粒子に非常によく吸着する。そ
のため、粒子形成中に発生したシアンは、粒子表面に固
定され、粒子形成を終了した後に水洗しても除去するこ
とができない。従って、六配位シアノ錯体をドープして
から水洗工程を実施しても、シアンイオンは粒子表面に
残存する。
【0008】また、ハロゲン化銀乳剤の調製において
は、高い感度を得るために通常は化学増感を実施する。
金増感は、代表的な化学増感であり、ハロゲン化銀乳剤
の調製において頻繁に実施されている。金増感剤に含ま
れる金(Au3+、Au1+、Au)は、まずハロゲン化銀
粒子表面に吸着した後、そこで感光核(増感核)を形成
する。ところが上記のようにシアンが発生し、それが粒
子表面に吸着していると、添加された金イオンとシアン
は非常に安定な金シアン錯体を形成し、乳剤媒体中に移
動して、そこに安定した状態で存在する。その結果、金
イオンは粒子表面に吸着することができない。従って、
シアンの発生により金増感の作用が大幅に低下してしま
う。
【0009】本発明の目的は、六シアノ金属錯体のドー
プ効果を最大限に得ることである。また、本発明の目的
は、ハロゲン化銀粒子の表面相に六配位シアノ錯体をド
ープする際に、錯体とゼラチンとの相互作用を抑制する
ことでもある。さらに、本発明の目的は、高感度、硬調
で、耐圧力性および生保存性に優れたハロゲン化銀写真
材料を提供することでもある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)および(2)のハロゲン化銀写真材料により達成
された。 (1)支持体上に、ハロゲン化銀粒子がゼラチン中に分
散されている感光性層を有し、該ハロゲン化銀粒子中に
ハロゲン化銀1モル当たり1×10-7乃至5×10-3
ルの量の六配位シアノ錯体が組み込まれており、かつ該
錯体の濃度が他の部分よりも10倍以上高い局在相をハ
ロゲン化銀粒子全体の50%以下の表面相中に有するハ
ロゲン化銀写真材料であって、該ハロゲン化銀粒子が、
アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ラン
タン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウ
ム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビ
ウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリ
ウム、イッテルビウムまたはルテチウムの塩の存在下
で、該シアノ錯体を該ハロゲン化銀粒子中に組み込む工
程を実施して得られたハロゲン化銀粒子であることを特
徴とするハロゲン化銀写真材料。 (2)支持体上に、ハロゲン化銀粒子がゼラチン中に分
散されている感光性層を有し、該ハロゲン化銀粒子中に
ハロゲン化銀1モル当たり1×10-7乃至5×10-3
ルの量の六配位シアノ錯体が組み込まれており、かつ該
錯体の濃度が他の部分よりも10倍以上高い局在相をハ
ロゲン化銀粒子全体の50%以下の表面相中に有するハ
ロゲン化銀写真材料であって、該ハロゲン化銀粒子が、
該シアノ錯体を該ハロゲン化銀粒子中に組み込む工程を
実施した後、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タ
リウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジ
ム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリ
ニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エ
ルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテチウム
の塩を添加して得られたハロゲン化銀粒子であることを
特徴とするハロゲン化銀写真材料。
【0011】上記(1)および(2)のハロゲン化銀写
真感光材料は、下記(3)〜(8)の態様で実施するこ
とが好ましい。 (3)上記塩が、ガリウム、インジウム、ランタン、セ
リウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマ
リウム、ユウロピウムまたはガドリニウムの塩である
(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真材料。 (4)上記ハロゲン化銀粒子のうち50%以上の個数の
粒子が、一粒子当り10本以上の転位線を含む(1)ま
たは(2)に記載のハロゲン化銀写真材料。 (5)上記ハロゲン化銀粒子が、pHが7以上の条件で
シアノ錯体をハロゲン化銀粒子中に組み込む工程を実施
して得られたハロゲン化銀粒子である(1)または
(2)に記載のハロゲン化銀写真材料。 (6)上記ハロゲン化銀粒子が、シアノ錯体をハロゲン
化銀粒子中に組み込む工程の後で、金増感を実施して得
られたハロゲン化銀粒子である(1)または(2)に記
載のハロゲン化銀写真材料。 (7)上記局在相における六配位シアノ錯体の濃度がハ
ロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-1モルである
(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真材料。 (8)上記局在相がハロゲン化銀粒子全体の30%以下
である(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真材
料。
【0012】
【発明の効果】本発明者が、上記のシアン発生の問題に
ついてさらに研究を進めたところ、粒子表面に存在する
六配位シアノ錯体およびゼラチン媒体中に存在する六配
位シアノ錯体とゼラチンとの相互作用によってシアンが
発生していることが判明した。ハロゲン化銀粒子への金
属錯体のドープに関する従来の技術において、ハロゲン
化銀粒子の形成時の保護コロイドとしては常にゼラチン
が使用されている。金属とゼラチンの相互作用について
は、ティー・エッチ・ジェームス著「写真過程の理論」
第4版マクミラン社(T.H. James, "The Theory of the
PhotographicProcess")の第2章(71−72頁)に
記載がある。その記載によれば、金や白金のような貴金
属やイリジウムのような重金属とゼラチンは相互作用
し、錯体を形成したり、金属を還元する。しかしなが
ら、従来の技術では、遷移金属錯体とゼラチンとの相互
作用による金属錯体の酸化や還元、あるいは遷移金属錯
体の配位子交換または分解の予期せぬ効果については、
全く考慮されていなかった。従って、従来の技術には、
遷移金属錯体とゼラチンとの相互作用を制御する手段は
全く含まれていない。なお、前記米国特許513220
3号および欧州特許508910A2号各明細書記載の
発明では、六シアノ金属錯体が粒子表面層まで存在する
ことを避けている。六シアノ金属錯体を粒子の内部に組
み込むと、六シアノ金属錯体とゼラチンとの相互作用、
すなわちシアンの発生が抑制される。従って、これらの
発明において、シアン発生の問題は顕著ではない。一
方、前述したように六シアノ金属錯体のドープ効果を最
大限に得るために、六配位シアノ錯体を粒子表面に組み
込むと、シアン発生の問題が深刻になる。
【0013】本発明者の研究により、ゼラチンとシアノ
錯体との反応を阻害する機能を有する化合物を用いるこ
とで、当初は原因不明であったシアンの発生の抑制が可
能であることが明らかになった。さらに本発明者が研究
を進めたところ、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、タリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネ
オジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガ
ドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウ
ム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテ
チウムの塩が上記の抑制機能が優れた化合物であること
が判明した。これにより、六配位シアノ錯体をハロゲン
化銀粒子表面にドープする際の最大の問題、すなわちシ
アン発生の問題が解決する。よって、本発明に従うと、
ハロゲン化銀粒子における六シアノ金属錯体のドープ効
果を最大限に得ることが可能になった。また、本発明に
よれば、金増感の作用も最大限に得ることができる。以
上の結果として、本発明は、高感度、硬調で、耐圧力性
および生保存性に優れたハロゲン化銀写真材料を提供す
る。
【0014】
【発明の詳細な記述】六配位シアノ錯体は、下記式
(I)で表す六配位シアノ金属錯体であることが好まし
い。 (I) [M(CN)6n- 式中、Mは元素周期律表の第4周期、第5周期および第
6周期の第VA族、第VIA族、第VIIA族および第
VIII族から選択される遷移金属であり(好ましく
は、鉄、コバルト、ルテニウム、レニウム、ロジウム、
オスミウムまたはイリジウム)、そしてnは3または4
である。上記の六配位シアノ金属錯体は、一般に対カチ
オンを有する塩として用いる。その塩は、ハロゲン化銀
粒子形成に用いられる水性媒体に導入すると解離するの
で、対カチオンは特に重要な意味を持たない。ただし、
アンモニウムおよびアルカリ金属対カチオンは、ハロゲ
ン化銀沈澱操作によく適合していることが知られてお
り、六配位シアノ遷移金属錯体の対カチオンとして特に
適している。
【0015】本発明において、ハロゲン化銀粒子に組み
込む六配位シアノ錯体の量は、銀1モル当たり10-7
5×10-3モルである。また、六配位シアノ錯体の濃度
が他の部分よりも10倍以上高い局在相を、粒子全体の
50%以下の表面相中に有する。該錯体の表面相の局在
濃度は、好ましくは10-5〜10-1モル/銀モルであ
る。本明細書における「表面相」とは、いわゆるコア/
シェル構造の様に、層をなして包み込む構造(連続層)
のシェル層部分だけでなく、いわゆる接合構造を有する
粒子の接合部(非連続層)である場合もある。接合構造
を有する粒子に関しては、特開昭59−133540
号、同58−108526号、同59−16254号、
特公昭58−24772号各公報および欧州特許199
290A2号明細書に記載がある。
【0016】ハロゲン化銀粒子に組み込まれた(ドープ
された)六配位シアノ金属錯体は、浅い電子トラップを
粒子に与える。光が粒子に吸収されると正孔と電子の対
が形成され、電子は粒子結晶内を自由に動きまわること
ができる。六配位シアノ錯体がドープされたハロゲン化
銀粒子においては、光電子は一時的にこの浅いトラップ
に捕獲される。本発明のように浅い電子トラップが高濃
度に存在する場合は、電子が浅いトラップから出て来て
も、また近くにある浅いトラップに捕獲される確率が高
い。光電子は、浅いトラップを出たり入ったりしなが
ら、比較的長い時間生き延びることが可能となる。これ
によって銀核形成、すなわち潜像形成に寄与する確率を
上げることができる。そして、潜像形成のために電子を
粒子内に貯めることによって、乳剤の感度を増加させる
ことができる。浅い電子トラップは電子の移動距離を減
少させるのであり、電子を捕獲して動けなくしてしまう
(深い)永久トラップとは全く性質を異にするものであ
る。なお、ハロゲン化銀結晶構造において銀イオンを置
換したイリジウムは、深いトラップを形成することが知
られている。
【0017】六配位シアノ錯体のハロゲン化銀粒子中の
濃度分布は粒子表面近くで高い方が好ましく該錯体を高
濃度に含有する表面相の粒子全体に対する比率は50%
以下であり、30%以下であることが好ましく、20%
以下であることがさらに好ましい。また、六配位シアノ
錯体を含有する局在相での錯体濃度は、10-5〜10-1
モル/銀モルであることが好ましく、10-4〜10-2
ル/銀モルであることがさらに好ましい。六配位シアノ
錯体はハロゲン化銀粒子中で浅い電子トラップとなって
露光で発生した電子を捕獲するので、錯体が粒子の内部
に存在すると潜像が粒子内部に形成される可能性が高く
なる。局在相は連続して、粒子の表面に層を形成してい
てもよい。特殊な内部潜像型乳剤(例えばオートポジ乳
剤)を除けば、ほとんどの乳剤は潜像をハロゲン化銀粒
子表面に形成する。本発明に用いる錯体は、できる限り
粒子表面近くに存在する方が高い感度を得るために有利
である。
【0018】ハロゲン化銀粒子中の六配位シアノ金属錯
体のドープ量やドープ率については、ドープされた錯体
の中心金属を原子吸光法、ICP法(Inductively Coup
ledPlasma Spectrometry :誘導結合高周波プラズマ分
光分析法)あるいはICPMS(Inductively Coupled
Plasma Mass Spectrometry:誘導結合プラズマ質量分析
法)を用いて定量することができる。
【0019】六配位シアノ金属錯体の重要な性質とし
て、この化合物の安定性の問題がある。この錯体は一般
に極く低いpHにおいて分解し、シアン配位子が交換し
てシアンを発生することが知られている。この現象が起
こるpHは錯体の種類によってある程度変わるが、一般
にそのpHは乳剤粒子を調製する際のpHよりかなり低
い。しかし、本発明者の研究によれば、水溶液中では錯
体は極めて低いpHでしか上記の反応は起こらないが、
ゼラチンが存在するとそれより高いpH(例えばpH
5.0以上7.0未満)でも、分解反応が起こり、シア
ンが発生する。ただし、ゼラチンが存在しても7.0以
上のpHでは、シアンはほとんど発生しない。このよう
に、シアン発生はpHが低下する程激しくなるが、乳剤
調製が一般に行われるpHにおいても起こるようにな
る。
【0020】六配位シアノ錯体は、水または適当な溶媒
に溶かして使用することが好ましい。溶液を安定化する
ために、アルカリ金属のハロゲン化物水溶液(例、KC
l、NaCl、KBr、NaBr)を添加する方法を用
いることができる。また必要に応じてアルカリなどを加
えても良い。
【0021】六配位シアノ錯体の溶液は、ハロゲン化銀
粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化
銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるい
はそれ以外の溶液中に添加して粒子形成を行うことによ
り、粒子中に組み込むことが好ましい。さらに種々の添
加方法を組み合わせることもできる。
【0022】また、ハロゲン化銀粒子の核形成およびび
/または結晶成長の一部または全てが微小なハロゲン化
銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を供給することによ
って、行うことも好ましい。この技術に関しては、特開
平1ー183417号、同1ー183644号、同1ー
183645号、同2−43534号、同2−4353
5号および同2−44335号各公報、米国特許487
9208号および欧州特許0408752号各明細書に
記載されている。その場合、六シアノ錯塩は微小なハロ
ゲン化銀粒子中にドープして供給してもよい。
【0023】二種以上の六配位シアノ錯体を組み合わせ
て用いてもよい。また、他の金属イオンと組み合わせ
て、用いることもできる。他の金属イオンは、粒子形成
時に溶解させることができれば使用できる。具体的に
は、アンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸
塩、水酸塩、六配位錯塩あるいは四配位錯塩の状態で使
用できる。
【0024】以上のように六配位シアノ錯体をハロゲン
化銀粒子に組み込む際に、シアンが発生する。また、本
発明では、六配位シアノ錯体が粒子表面にも存在するた
め、粒子表面上の錯体とゼラチンが、組み込む工程以降
の工程(粒子形成後、水洗工程、分散工程、化学増感工
程、塗布前の溶解工程)においても相互作用して、シア
ンが発生する。従って、本発明では、シアノ錯体をハロ
ゲン化銀粒子中に組み込む工程またはそれ以降の工程
(好ましくは両方)を、ゼラチンとシアノ錯体との反応
を阻害する機能を有する化合物の存在下で実施する。
【0025】上記の機能を有する化合物とは、本発明に
おいて具体的には、ホウ素を除くIIIB族(アルミニウ
ム、ガリウム、インジウム、タリウム)またはランタノ
イド(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、
プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウ
ム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビ
ウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)の塩で
ある。IIIB族の元素としては、ガリウムおよびインジウ
ムが好ましい。ランタノイドの元素としては、ランタ
ン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウ
ム、サマリウム、ユウロピウムおよびガドリニウムが好
ましい。上記の阻害機能については、例えば、下記の試
験方法〜を行なって測定することができる。下記
において吸光度が0.4以下である塩が特に有効であ
る。
【0026】牛の骨(好ましくは、屠殺牛)を原料と
し、石灰処理しかつ脱イオンし(カルシウム含量が50
ppm 以下である)、等電点が5.0±0.05であるゼ
ラチンの6%の水溶液(水は蒸留水を使う)50ccを4
0〜45℃に調製する。(この時、ゼラチン水溶液のp
Hは、ほぼ等電点と同じになる。) 披検化合物またはその塩のテストサンプル溶液を添加
し、pHを5.0±0.05に調節する。 ゼラチン溶液を75℃に昇温する。 2.11%黄血塩水溶液を1.0cc添加し、攪拌した
後、無攪拌で75℃で60分間経時させる。 40℃に急速に冷却し分光光度計で、厚さ10mmのセ
ルを用いで吸光度を測定し、730nmにおける吸光度
を測定する。
【0027】上記試験方法において、披検化合物を添加
しない場合は、ゼラチンと黄血塩が反応し、まず[Fe
2+(CN)64-(黄血塩)が[Fe3+(CN)63-
(赤血塩)に変化し、赤血塩のシアン配位子が置き替わ
って、シアンが発生する。配位子が置換した赤血塩と黄
血塩は、Fe2+とFe3+の混合原子価錯体を形成し、い
わゆるプルシアンブルーを呈色する。このプルシアンブ
ルーの濃度は、このシアン発生と相関しているので、こ
の濃度を測定すれば、シアン発生の程度を見積もること
ができる。従って、この反応で、披検化合物(金属塩)
がどれくらい、シアン発生反応を阻害する機能を有する
かを測定することができる。
【0028】もちろん、において測定される吸光度
は、披検物質の添加量によって変化する。従って、少な
くとも、この測定法で吸光度を0.4以下にするような
量を実際にハロゲン化銀乳剤に添加することが必要であ
る。また、使用量は、試験方法と実際の使用におけるゼ
ラチンの量に対しても変動する。すなわち、その添加量
は、乳剤中に存在するゼラチンの量を基準にして算出さ
れる。さらに、実際の乳剤への添加量は、添加する金属
塩の種類によって変わる。
【0029】本発明に用いる金属塩は、上記の試験条件
を満足するものであることが好ましい。金属の対アニオ
ンは乳剤に添加されると解離するので、あまり重要性で
はない。ただし、水溶性の高い塩がハロゲン化銀沈澱に
おいて使いやすい。例えば、硝酸塩、硫酸塩あるいはハ
ロゲン塩(例、塩酸塩)が好ましい。
【0030】本発明に用いる金属塩の添加方法は、ハロ
ゲン化銀粒子の表面相形成中に添加するハライド溶液中
に添加してもよいし、表面相形成前あるいはその途中に
それぞれ単独で添加してもよい。また、全量を一時に添
加してもよいし、一定時間連続的に、あるいは間欠的に
添加してもよい。また、表面相を形成する工程以降の工
程で添加する場合も、同様に、連続的に添加してもよい
し、間欠的に添加してもよいし、全量を一時に添加して
もよい。また、他の添加剤と混合して添加してもよい。
【0031】ゼラチンとシアノ錯体との反応を阻害する
機能を有する化合物の添加量は、前記の試験〜に従
い決定することが好ましい。すなわち、この化合物は、
ゼラチンと六配位シアノ錯体との反応に関与するもので
あるから、原則的にはゼラチンの量との比で決定する。
前記の試験〜で決定された量は、ゼラチン1g当た
りの量に換算され、具体的に乳剤に添加される量は、そ
の乳剤に含有されるゼラチンの量(g)に従って決定す
る。この添加量は、化合物の種類によっても変化する。
一般的には、添加量は10-7〜1モル/銀モルであり、
好ましくは10-5〜1モル/銀モルであり、さらに好ま
しくは4×10-3〜1モル/銀モルである。
【0032】ハロゲン化銀粒子は、ゼラチンを保護コロ
イドとして調製される。ゼラチンはアルカリ処理が通常
よく用いられる。特に不純物イオンや不純物を除去した
脱イオン処理や限外ろ過処理を施したアルカリ処理ゼラ
チンを用いる事が好ましい。アルカリ処理ゼラチンの
他、酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンやエステル化ゼ
ラチンの様な誘導体ゼラチン、低分子量ゼラチン(分子
量1000〜8万で、酵素で分解したゼラチン、酸及び
/またはアルカリで加水分解したゼラチン、熱で分解し
たゼラチンが含まれる)、高分子量ゼラチン(分子量1
1万〜30万)、メチオニン含量が50μモル/g以下
のゼラチン、チロシン含量が20μモル/g以下のゼラ
チン、酸化処理ゼラチン、メチオニンがアルキル化によ
って不活性化したゼラチンを用いることができる。二種
類以上のゼラチン混合物を用いてもよい。粒子形成工程
で用いられるゼラチンの量は、一般に1〜60g/銀モ
ル、好ましくは3〜40g/銀モルである。粒子形成工
程以降の工程、例えば化学増感工程におけるゼラチンの
濃度は、1〜100g/銀モルであることが好ましく、
1〜70g/銀モルであることが、さらに好ましい。な
お、本発明は、ゼラチンを比較的多量(10g/銀モル
以上)に使用する場合に特に効果がある。
【0033】粒子のハロゲン組成は任意である。例え
ば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、ヨウ臭化
銀、塩ヨウ臭化銀、塩ヨウ化銀およびこれらの混合物の
任意のハロゲン化銀が使用できる。また、ハロゲン化銀
粒子のサイズは、0.1μm以上であることが好まし
く、0.3乃至3μmであることが特に好ましい。ハロ
ゲン化銀粒子の形状は、規則的な結晶形(正常晶粒子)
でも、不規則な結晶形でも、あるいは双晶面を一枚以上
有する種々の形状であってもよい。規則的な結晶形に
は、立方体、八面体、十二面体、十四面体、二十四面体
および四十八面体が含まれる。不規則な結晶形には、球
状およびじゃがいも状が含まれる。双晶面を一枚以上有
する形状の粒子には、平行な双晶面を二枚あるいは三枚
有する六角形平板状粒子および三角形平板状粒子が含ま
れる。この平板状粒子乳剤においては、その粒子サイズ
分布が単分散であることが好ましい。単分散平板状粒子
の調製については、特開昭63−11928号公報に記
載がある。単分散六角形平板状粒子については、特開昭
63−151618号公報に記載がる。円形単分散平板
状粒子乳剤については、特開平1−131541号公報
に記載がある。また、特開平2−838号公報には、全
投影面積の95%以上が主平面に平行な二枚の双晶面を
持つ平板状粒子で占められており、かつ該平板状粒子の
サイズ分布が単分散である乳剤が開示されている。欧州
特許514742A号明細書には、ポリアルキレンオキ
サイドブロックコポリマーを用いて調製された粒子サイ
ズの変動係数が10%以下の平板状粒子乳剤が開示され
ている。
【0034】平板状粒子は、その主表面が(100)と
(111)のものが知られており、本発明の技術は両方
に適用できる。前者については、臭化銀に関して米国特
許4063951号明細書および特開平5−28164
0号公報に記載があり、塩化銀に関して欧州特許053
4395A1号および米国特許5264337号各明細
書に記載がある。後者の平板状粒子は、上記の双晶面を
一枚以上有する種々の形状を有する粒子であり、塩化銀
に関しては、米国特許4399215号、同49835
08号、同5183732号各明細書、特開平3−13
7632号および同3−116113号各公報に記載が
ある。
【0035】ハロゲン化銀粒子は、転位線を粒子内に有
してもよい。ハロゲン化銀粒子中に転位をコントロール
して導入する技術に関しては、特開昭63−22023
8号公報に記載がある。この公報の記載によれば、平均
粒子直径/粒子厚み比が2以上の平板状ハロゲン化銀粒
子の内部に特定の高ヨード相を設け、その外側を該高ヨ
ード相よりもヨード含有率が低い相で覆うことによって
転位を導入することができる。この転位の導入により、
感度の上昇、保存性の改善、潜像安定性の向上、圧力カ
ブリの減少等の効果が得られる。この公報記載の発明に
よれば、転位は主に平板状粒子のエッジ部に導入され
る。また、中心部に転位が導入された平板状粒子につい
ては、米国特許5238796号明細書に記載がある。
さらに、特開平4−348337号公報には、内部に転
位を有する正常晶粒子が開示されている。同公報には、
正常晶粒子に塩化銀または塩臭化銀のエピタキシーを生
成し、そのエピタキシーを物理熟成および/またはハロ
ゲンによるコンバーションによって転位を導入できるこ
とが開示されている。このような転位の導入によって、
感度の上昇および圧力カブリの減少という効果が得られ
た。ハロゲン化銀粒子中の転位線は、例えば、J.F. Ham
ilton, Photo. Sci. Eng.11, 57 (1967) や、T. Shinoz
awa, J. Soc. Photo. Sci. Japan 35, 213 (1972)に記
載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接法により
観察することができる。すなわち、乳剤から転位が発生
するほどの圧力をかけないように注意して取り出したハ
ロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡観察用のメッシュにの
せ、電子線による損傷(プリントアウト)を防ぐように
試料を冷却した状態で透過法により観察を行なう。この
時、粒子の厚みが厚いほど、電子線が通過しにくくなる
ので、高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対し200
kv以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察す
ることができる。このような方法により得られた粒子の
写真により、主平面に対し垂直な面から見た場合の各粒
子についての転位線の位置および数を求めることができ
る。本発明は、ハロゲン化銀粒子のうち、50%以上の
個数の粒子が一粒子当り10本以上の転位線を含む場合
に特に効果がある。
【0036】ハロゲン化銀乳剤の調製において、粒子形
成時から塗布時までに添加することのできる添加剤につ
いて、特に制限はない。結晶形成過程で成長を促進する
ために、また、粒子形成および/または化学増感時に化
学増感を効果的にならしめるためにハロゲン化銀溶剤を
用いることができる。ハロゲン化銀溶剤としては、水溶
性チオシアン酸塩、アンモニア、チオエーテルやチオ尿
素類が利用可能である。ハロゲン化銀溶剤の例として
は、チオシアン酸塩(米国特許2222264号、同2
448534号、同3320069号各明細書記載)、
アンモニア、チオエーテル化合物(米国特許32711
57号、同3574628号、同3704130号、同
4297439号、同4276347号各明細書記
載)、チオン化合物(特開昭53−144319号、同
53−82408号、同55−77737号各公報記
載)、アミン化合物(特開昭54−100717号公報
記載)、チオ尿素誘導体(特開昭55−2982号公報
記載)、イミダゾール類(特開昭54−100717号
公報記載)および置換メルカプトテトラゾール(特開昭
57−202531号公報記載)を挙げることができ
る。
【0037】ハロゲン化銀乳剤の製造方法について特に
制限はない。一般に、ゼラチン水溶液を有する反応容器
に、効率の良い攪拌のもとに銀塩水溶液およびハロゲン
塩水溶液を添加する。具体的方法としては、P. Glafkid
es著 Chemie et Phisique Photographique (Paul Monte
l 社刊、1967年) 、G. F. Duffin著 Photographic Emul
sion Chemistry (The Focal Press 刊、1966年) 、V.
L. Zelikman et al 著Making and Coating Photograph
ic Emulsion (The Focal Press刊、1964年) などに記載
された方法を用いて調製することができる。すなわち、
酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、ま
た可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式とし
ては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せなどの
いずれを用いてもよい。同時混合法の一つの形式とし
て、ハロゲン化銀が生成される液相中のpAgを一定に
保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブル
ジェット法を用いることもできる。また、硝酸銀やハロ
ゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子成長速度に応じ
て変化させる方法(英国特許1535016号明細書、
特公昭48−36890号および同52−16364号
各公報に記載)や水溶液濃度を変化させる方法(米国特
許4242445号明細書および特開昭55−1581
24号公報に記載)を用いて臨界過飽和度を越えない範
囲において早く成長させることが好ましい。これらの方
法は、再核発生を起こさず、ハロゲン化銀粒子が均一に
成長するため、好ましく用いられる。
【0038】反応容器に銀塩溶液とハロゲン塩溶液を添
加する代りに、あらかじめ調製された微粒子を反応容器
に添加して、核形成および/または粒子成長を起こさせ
て、ハロゲン化銀粒子を得る方法を使うことが好まし
い。この技術に関しては、特開平1−183644号、
同1−183645号、同2−44335号、同2−4
3534号、同2−43535号各公報および米国特許
4879208号明細書に記載されている。この方法に
よれば、乳剤粒子結晶内のハロゲンイオンの分布を完全
に均一にすることができ、好ましい写真特性を得ること
ができる。さらに本発明においては、種々の構造を持っ
た乳剤粒子を用いることができる。粒子の内部(コア
部)と外側(シェル部)から成る、いわゆるコア/シェ
ル二重構造粒子、さらに三重構造粒子(特開昭60−2
22844号公報に記載)や、それ以上の多層構造粒子
が用いられる。乳剤粒子の内部に構造をもたせる場合、
上述のような包み込む構造だけでなく、いわゆる接合構
造を有する粒子を作ることもできる。これらの例は、特
開昭58−108526号、同59−16254号、同
59−133540号、特公昭58−24772号各公
報および欧州特許199290A2号明細書に記載され
ている。接合する結晶は、ホストとなる結晶と異なる組
成をもってホスト結晶のエッジやコーナー部、あるいは
面部に接合して生成させることができる。このような接
合結晶は、ホスト結晶がハロゲン組成に関して均一であ
っても、あるいはコア−シェル型の構造を有するもので
あっても形成させることができる。接合構造の場合に
は、ハロゲン化銀同志の組み合わせは当然可能である
が、ロダン銀、炭酸銀などの岩塩構造でない銀塩化合物
をハロゲン化銀と組み合わせ接合構造をとることが可能
であれば用いてもよい。
【0039】これらの構造を有するヨウ臭化銀粒子の場
合、例えばコア−シェル型の粒子において、コア部のヨ
ウ化銀含有量が高く、シェル部のヨウ化銀含有量が低く
ても、また逆に、コア部のヨウ化銀含有量が低く、シェ
ル部のヨウ化銀含有量が高い粒子でもよい。同様に接合
構造を有する粒子についても、ホスト結晶のヨウ化銀含
有率が高く、接合結晶のヨウ化銀含有率が相対的に低い
粒子であっても、その逆の粒子であってもよい。また、
これらの構造を有する粒子の、ハロゲン組成の異なる境
界部分は、明確な境界であっても、組成差により混晶を
形成して不明確な境界であってもよく、また積極的に連
続的な構造変化をつけたものでもよい。本発明に用いる
ハロゲン化銀乳剤は、粒子に丸みをもたらす処理(欧州
特許0096727B1号および同0064412B1
号各明細書に記載)、あるいは表面の改質処理(独国特
許2306447C2明細書および特開昭60−221
320号公報に記載)を行なってもよい。ハロゲン化銀
乳剤は表面潜像型が好ましい。ただし、特開昭59−1
33542号公報に開示されているように、現像液ある
いは現像の条件を選ぶことにより内部潜像型の乳剤も用
いることができる。また、うすいシェルをかぶせる浅内
部潜像型乳剤も目的に応じて用いることができる。
【0040】ハロゲン化銀乳剤は通常、分光増感され
る。分光増感色素としては、通常メチン色素が用いられ
る。メチン色素には、シアニン色素、メロシアニン色
素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポ
ーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素
およびヘミオキソノール色素が包含される。これらの色
素類には、塩基性ヘテロ環として、シアニン色素類に通
常利用される環のいずれも適用できる。塩基性ヘテロ環
の例としては、ピロリン環、オキサゾリン環、チアゾリ
ン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、セ
レナゾール環、イミダゾール環、テトラゾール環および
ピリジン環を挙げることができる。また、ヘテロ環に脂
環式炭化水素環や芳香族炭化水素環が縮合した環も利用
できる。縮合環の例としては、インドレニン環、ベンズ
インドレニン環、インドール環、ベンズオキサゾール
環、ナフトオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベ
ンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾセレナ
ゾール環およびキノリン環を挙げることができる。これ
らの環の炭素原子に、置換基が結合していてもよい。メ
ロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケト
メチレン構造を有する5員または6員のヘテロ環を適用
することができる。そのようなヘテロ環の例としては、
ピラゾリン−5−オン環、チオヒダントイン環、2−チ
オオキサゾリジン−2,4−ジオン環、チアゾリジン−
2,4−ジオン環、ローダニン環およびチオバルビツー
ル酸環を挙げることができる。
【0041】増感色素の添加量は、ハロゲン化銀1モル
当り0.001〜100ミリモルであることが好まし
く、0.01〜10ミリモルであることがさらに好まし
い。増感色素は、好ましくは、化学増感中または化学増
感前(例えば、粒子形成時や物理熟成時)に添加され
る。
【0042】本発明においては、ハロゲン化銀粒子の化
学増感後の固有吸収の光での感度(固有感度)が改良さ
れる。すなわち、約450nmより長波の光に対する分光
増感色素が乳剤粒子表面に吸着することに起因する減感
(増感色素による固有減感)を、六配位シアノ錯体を表
面相に局在させることによって減少させることができ
る。本発明者の研究によれば、本発明のように六配位シ
アノ錯体がハロゲン化銀粒子の表面相に含まれている
と、上記の固有減感防止効果が大きい。すなわち、本発
明は、前述した効果に加えて、増感色素による固有減感
をより有効に防止できると言う効果も有する。
【0043】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
を示さない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない
物質であって強色増感を示す物質を、ハロゲン化銀乳剤
に添加してもよい。このような色素または物質の例に
は、含窒素複素環基で置換されたアミノスチル化合物
(米国特許2933390号および同3635721号
各明細書に記載)、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合
物(米国特許3743510号明細書に記載)、カドミ
ウム塩およびアザインデン化合物が含まれる。増感色素
と上記色素または物質との組み合わせについては、米国
特許3615613号、同3615641号、同361
7295号および同3635721号各明細書に記載が
ある。
【0044】ハロゲン化銀乳剤は、一般に化学増感を行
なって使用する。化学増感としてはカルコゲン増感(硫
黄増感、セレン増感、テルル増感)、貴金属増感(例、
金増感)および還元増感を、それぞれ単独あるいは組み
合わせて実施する。硫黄増感においては、不安定硫黄化
合物を増感剤として用いる。不安定硫黄化合物について
は、P. Grafkides著、Chimie et Physique Photographi
que (PaulMomtel社刊、1987年、第5版)、Research Di
sclosure 誌307巻307105号に記載がある。硫
黄増感剤の例には、チオ硫酸塩(例、ハイポ)、チオ尿
素類(例、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、
N−エチル−N’−(4−メチル−2−チアゾリル)チ
オ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオ
アミド類(例、チオアセトアミド)、ローダニン類
(例、ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エ
チル−ローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例、
トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイ
ン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジ
ポリスルフィド類(例、ジモルフォリンジスルフィド、
シスチン、ヘキサチオカン−チオン)、メルカプト化合
物(例、システィン)、ポリチオン酸塩および元素状硫
黄が含まれる。活性ゼラチンも硫黄増感剤として利用で
きる。
【0045】セレン増感においては、不安定セレン化合
物を増感剤として用いる。不安定セレン化合物について
は、特公昭43−13489号、同44−15748
号、特開平4−25832号、同4−109240号、
同4−271341号および同5−40324号各公報
に記載がある。セレン増感剤の例には、コロイド状金属
セレン、セレノ尿素類(例、N,N−ジメチルセレノ尿
素、トリフルオロメチルカルボニル−トリメチルセレノ
尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミ
ド類(例、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェ
ニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例え
ば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオ
ロフェニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セ
レノフォスフェート類(例、トリ−p−トリルセレノフ
ォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェー
ト)、セレノケトン類(例、セレノベンゾフェノン)、
イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノ
エステル類およびジアシルセレニド類が含まれる。な
お、亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾー
ル類やセレニド類のような比較的安定なセレン化合物
(特公昭46−4553号および同52−34492号
各公報記載)も、セレン増感剤として利用できる。
【0046】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を増感剤として用いる。不安定テルル化合物について
は、カナダ国特許800958号、英国特許12954
62号、同1396696号各明細書、特開平4−20
4640号、同4−271341号、同4−33304
3号および同5−303157号各公報に記載がある。
テルル増感剤の例には、テルロ尿素類(例、テトラメチ
ルテルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿
素、N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォ
スフィンテルリド類(例、ブチル−ジイソプロピルフォ
スフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、
トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェ
ニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド
類(例、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、
ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテル
リド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)
テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、イ
ソテルロシアナート類、テルロアミド類、テルロヒドラ
ジド類、テルロエステル類(例、ブチルヘキシルテルロ
エステル)、テルロケトン類(例、テルロアセトフェノ
ン)、コロイド状テルル、(ジ)テルリド類およびその
他のテルル化合物(例、ポタシウムテルリド、テルロペ
ンタチオネートナトリウム塩)が含まれる。
【0047】貴金属増感においては、金、白金、パラジ
ウム、イリジウムなどの貴金属の塩を増感剤として用い
る。貴金属塩については、P. Grafkides著、Chimie et
Physique Photographique (Paul Momtel社刊、1987年、
第5版)、Research Disclosure 誌307巻30710
5号に記載がある。金増感が特に好ましい。前述したよ
うに、本発明は金増感を行なう態様において特に効果が
ある。青酸カリウム(KCN)を含む溶液で乳剤粒子上
の増感核から金を除去できることは、フォトグラフィッ
ク・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photograp
hic Science and Engineering) Vol19322(197
5)やジャーナル・イメージング・サイエンス(Journa
l of Imaging Science)Vol 3228(1988)で述
べられている。これらの記載によれば、シアンイオンが
ハロゲン化銀粒子に吸着した金原子または金イオンをシ
アン錯体として遊離させ、結果として金増感を阻害す
る。本発明に従い、シアンの発生を抑制すれば、金増感
の作用を充分に得ることができる。金増感剤の例には、
塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリ
チオシアネート、硫化金および金セレナイドが含まれ
る。また、米国特許2642361号、同504948
4号および同5049485号各明細書に記載の金化合
物も用いることができる。
【0048】還元増感においては、還元性化合物を増感
剤として用いる。還元性化合物については、P. Grafkid
es著、Chimie et Physique Photographique (Paul Momt
el社刊、1987年、第5版)およびResearch Disclosure
誌307巻307105号に記載がある。還元増感剤の
例には、アミノイミノメタンスルフィン酸(二酸化チオ
尿素)、ボラン化合物(例、ジメチルアミンボラン)、
ヒドラジン化合物(例、ヒドラジン、p−トリルヒドラ
ジン)、ポリアミン化合物(例、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1スズ、シラン
化合物、レダクトン類(例、アスコルビン酸)、亜硫酸
塩、アルデヒド化合物および水素ガスが含まれる。ま
た、高pHや銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の雰囲気
によって、還元増感を実施することもできる。
【0049】化学増感は二種以上を組合せても実施して
もよい。組合せとしては、カルコゲン増感と金増感の組
合せが特に好ましい。また、還元増感は、ハロゲン化銀
粒子の形成時に施すのが好ましい。増感剤の使用量は、
一般に使用するハロゲン化銀粒子の種類と化学増感の条
件により決定する。カルコゲン増感剤の使用量は、一般
にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-2モルであり、
10-7〜5×10-3モルであることが好ましい。貴金属
増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜1
-2モルであることが好ましい。化学増感の条件に特に
制限はない。pAgは一般に6〜11であり、好ましく
は7〜10である。pHは4〜10であることが好まし
い。温度は40〜95℃であることが好ましく、45〜
85℃であることがさらに好ましい。
【0050】ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の製造工
程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、ある
いは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含
有させることができる。このような化合物の例には、ア
ゾール類(例、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾ
ール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベン
ズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換
体);ヘテロ環メルカプト化合物類(例、メルカプトチ
アゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプ
トベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−
5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン
類);カルボキシル基やスルホン基などの水溶性基を有
する上記のヘテロ環メルカプト化合物類;チオケト化合
物(例、オキサゾリンチオン);アザインデン類(例、
テトラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ置換
(1,3,3a,7)テトラアザインデン類));ベン
ゼンチオスルホン酸類およびベンゼンスルフィン酸が含
まれる。一般にこれらの化合物は、カブリ防止剤または
安定剤として知られている。
【0051】カブリ防止剤または安定剤の添加時期は、
通常、化学増感を施した後に行なわれる。しかし、化学
増感の途中または化学増感の開始以前の時期の中から選
ぶこともできる。すなわち、ハロゲン化銀乳剤粒子形成
過程において、銀塩溶液の添加中でも、添加後から化学
増感開始までの間でも、化学増感の途中(化学増感時間
中、好ましくは開始から50%までの時間内に、より好
ましくは20%までの時間内)でもよい。
【0052】ハロゲン化銀写真材料の層構成について特
に制限はない。ただし、カラー写真材料の場合は、青
色、緑色および赤色光を別々に記録するために多層構造
を有する。各ハロゲン化銀乳剤層は、高感度層と低感度
層の二層からなっていてもよい。実用的な層構成の例を
下記(1)〜(6)に挙げる。
【0053】 (1)BH/BL/GH/GL/RH/RL/S (2)BH/BM/BL/GH/GM/GL/RH/R
M/RL/S (3)BH/BL/GH/RH/GL/RL/S (4)BH/GH/RH/BL/GL/RL/S (5)BH/BL/CL/GH/GL/RH/RL/S (6)BH/BL/GH/GL/CL/RH/RL/S
【0054】Bは青色感性層、Gは緑色感性層、Rは赤
色感性層、Hは最高感度層、Mは中間感度層、Lは低感
度層、Sは支持体、そしてCLは重層効果付与層であ
る。保護層、フィルター層、中間層、ハレーション防止
層や下引層のような非感光性層は省略してある。同一感
色性の高感度層と低感度層を逆転して配置してもよい。
(3)については、米国特許4184876号明細書に
記載がある。(4)については、RD−22534、特
開昭59−177551号および同59−177552
号各公報に記載がある。また、(5)と(6)について
は、特開昭61−34541号公報に記載がある。好ま
しい層構成は、(1)、(2)および(4)である。本
発明のハロゲン化銀写真材料は、カラー写真材料以外に
も、X線用感光材料、黒白撮影用感光材料、製版用感光
材料や印画紙にも、同様に適用することができる。
【0055】ハロゲン化銀乳剤の種々の添加剤(例、バ
インダー、化学増感剤、分光増感剤、安定剤、ゼラチン
硬化剤、界面活性剤、帯電防止剤、ポリマーラテック
ス、マット剤、カラーカプラー、紫外線吸収剤、退色防
止剤、染料)、写真材料の支持体および写真材料の処理
方法(例、塗布方法、露光方法、現像処理方法)につい
ては、リサーチディスクロージャー176巻、アイテム
17643(RD−17643)、同187巻、アイテ
ム18716(RD−18716)および同225巻、
アイテム22534(RD−22534)の記載を参考
にすることができる。これらリサーチ・ディスクロージ
ャーの記載を、以下の一覧表に示す。
【0056】 ──────────────────────────────────── 添加剤種類 RD17643 RD18716 RD22534 ──────────────────────────────────── 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 24頁 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 24〜28頁 強色増感剤 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤 24〜25頁 649頁右欄〜 24頁、31頁 および安定剤 6 光吸収剤、フ 25〜26頁 649頁右欄〜 ィルター染料 650頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 32頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 28頁 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面 26〜27頁 同上 活性剤 13 スタチック防止剤 27頁 同上 14 カラーカプラー 25頁 649頁 31頁 ────────────────────────────────────
【0057】ゼラチン硬化剤としては、例えば、活性ハ
ロゲン化合物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−
1,3,5−トリアジンおよびそのナトリウム塩など)
および活性ビニル化合物(1,3−ビスビニルスルホニ
ル−2−プロパノール、1,2−ビス(ビニルスルホニ
ルアセトアミド)エタンあるいはビニルスルホニル基を
側鎖に有するビニル系ポリマーなど)は、ゼラチンなど
親水性コロイドを早く硬化させ安定な写真特性を与える
ので好ましい。N−カルバモイルピリジニウム塩類(1
−モルホリノカルボニル−3−ピリジニオ)メタンスル
ホナートなど)やハロアミジニウム塩類(1−(1−ク
ロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム2−ナフ
タレンスルホナートなど)も硬化速度が早く優れてい
る。
【0058】カラー写真材料は、RD.No.1764
3の28〜29頁、および同No.18716の651
左欄〜右欄に記載された通常の方法によって現像処理す
ることができる。カラー写真感光材料は、現像、漂白定
着もしくは定着処理の後に、通常、水洗処理または安定
化処理を施す。水洗工程は二槽以上の槽を向流水洗に
し、節水するのが一般的である。安定化処理としては水
洗工程のかわりに特開昭57−8543号公報記載のよ
うな多段向流安定化処理が代表例として挙げられる。
【0059】
【実施例】
[予備実験1]使用する化合物について、下記〜の
予備実験を行なった。 屠殺牛の骨を原料とし、石灰処理しかつ脱イオンし
(カルシウム含量が50ppm 以下である)、等電点が
5.0±0.05であるゼラチンの3gを、蒸留水(4
9−X)ccに40〜45℃でガラス容器で調製した。こ
こでXccは、で添加するテストサンプル溶液の添加量
である。ゼラチン水溶液のpHは、ほぼ等電点と同じで
あった。 下記第1表に示すサンプル溶液を添加し、pHを5.
0±0.05に調節した。 ゼラチン溶液を75℃に昇温した。 2.11%黄血塩水溶液を1.0cc添加し、攪拌した
後、無攪拌で75℃で60分間経時させた。 40℃に急速に冷却し対照を水で分光光度計でその吸
光度を測定し、730nmでの吸光度を測定した。 この測定結果を第1表に示す。
【0060】 第1表 ──────────────────────────────────── 試料 化合物 濃度 添加量(Xcc) 吸光度 ──────────────────────────────────── (1)Al(NO3)3 ・9H2 O 1.26% 13cc 0.08 (2)Ga(NO3)2 ・nH2 O 1.22% 13cc 0.08 (3)In2(SO4)2 ・nH2 O 0.93% 6cc 0.02 (4)LaCl3 ・7H2 O 1.25% 13cc 0.12 (5)Ce(NO3)3 ・6H2 O 1.46% 13cc 0.16 (6)Pr(NO3)2 ・nH2 O 1.46% 16cc 0.16 (7)Nd(NO3)2 ・6H2 O 1.46% 13cc 0.17 (8) − − − 1.30 ────────────────────────────────────
【0061】[実施例1] 「微粒子乳剤の調製」反応容器にゼラチン水溶液(水:
1200cc、平均分子量3万のゼラチン:24g、塩化
ナトリウム:0.5g、pH:3.0)を加え、23℃
で攪拌しながら、硝酸銀溶液(硝酸銀:0.2g/cc、
平均分子量3万のゼラチン:0.01g/cc、1N硝
酸:0.25cc/100cc)と塩化ナトリウム溶液(塩
化ナトリウム:0.07g/cc、平均分子量3万のゼラ
チン:0.01g/cc、1N水酸化カリウム水溶液:
0.25cc/100cc)を90cc/分で3分30秒間同
時添加した。1分間攪拌した後、pHを4.0、pC1
を1.7に調整した。
【0062】「乳剤1−A:主表面が(111)面の比
較用塩化銀平板状粒子乳剤の調製」下記の溶液(1)〜
(5)を調製した。
【0063】 ──────────────────────────────────── 溶液 成分 水を加えて ──────────────────────────────────── (1)石灰処理骨ゼラチン30g、塩化ナトリウム11g 1000cc (2)硝酸銀11g 200cc (3)塩化ナトリウム4.5g 200cc (4)硝酸銀90g 600cc (5)塩化ナトリウム42g 600cc ────────────────────────────────────
【0064】50℃に保った溶液(1)を激しく攪拌し
ながら、下記の化合物を0.5g添加し、その後、溶液
(2)と溶液(3)を3分間かけて同時に添加した。さ
らに溶液(4)と溶液(5)を20分間かけて同時に添
加した。それから10分後に0.012モルの上記微粒
子塩化銀乳剤を添加し、60℃で7分間熟成した。その
後、乳剤を通常のフロキュレーション法で、水洗脱塩
後、石灰処理骨ゼラチンを40gと水を300cc添加
し、再分散した。ゼラチンが溶解した後、40℃で乳剤
のpHを6.4にpAgを7.5に調整した。次に温度
を55℃にし、硫黄増感剤、セレン増感剤および金増感
剤を加え、最適に化学増感した。
【0065】
【化1】
【0066】「乳剤1−B:黄血塩を表面層にドープし
た主表面が(111)面の比較用塩化銀平板状粒子乳剤
の調製」微粒子乳剤の調製において、K4 [Fe(C
N)6 ]を10-3モル/モルAgになるように塩化ナト
リウム溶液に添加した。このように調製した黄血塩ドー
プ微粒子乳剤を使用した以外は乳剤1−Aの調製と同様
に処理した。このようにして、表面に10-3モル/モル
Agの黄血塩がドープされた主表面が(111)面の塩
化銀平板状粒子乳剤を調製した。
【0067】「乳剤1−C〜1−E:黄血塩を表面層に
ドープし、種々の添加剤を添加した本発明に従う主表面
が(111)面の塩化銀平板状粒子乳剤の調製」乳剤1
−Bの調製において、後述する第2表に示す化合物を、
乳剤を水洗した後、40gの石灰処理の骨ゼラチンおよ
び水と共に添加した。その後、乳剤1−Aの調製と同様
に硫黄増感剤、セレン増感剤および金増感剤を加え、最
適に化学増感した。
【0068】「塗布試料の作成」以上のように調製した
各乳剤(銀3.6×10-2モル/m2 )に、下記のカプ
ラー(1.5×10-3モル/m2 )、トリクレジルフォ
スフェート(1.10g/m2 )およびゼラチン(2.
30g/m2 )を加え、下塗り層を設けた三酢酸セルロ
ースフイルム支持体上に、カッコ内の塗布量となるよう
に塗布して乳剤層を設けた。
【0069】
【化2】
【0070】乳剤層の上に、2,4−ジクロロ−6−ヒ
ドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(0.08g/
2 )およびゼラチン(1.80g/m2 )からなる保
護層を設けて、塗布試料を作成した。塗布試料を40
℃、相対湿度70%の条件下に14時間放置した後、イ
エローフィルターと連続ウエッジを通して1/100秒
間露光し、下記のカラー現像をおこなった。
【0071】 「カラー現像」 ──────────────────────────────────── 工程 処理時間 処理温度 ──────────────────────────────────── 発色現像 2分00秒 40℃ 漂白定着 3分00秒 40℃ 水洗(1) 20秒 35℃ 水洗(2) 20秒 35℃ 安定 20秒 35℃ 乾燥 50秒 65℃ ──────────────────────────────────── 以下に、各処理液の組成を示す。
【0072】 ──────────────────────────────────── 発色現像液 使用量 ──────────────────────────────────── ジエチレントリアミン五酢酸 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1ジスルホン亜硫酸ナトリウム 4.0g 炭酸カリウム 30.0g 臭化カリウム 1.4g ヨウ化カリウム 1.5mg ヒドロキシアミン硫酸 2.4g 4−[N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ]−2−メチルアニリン 硫酸塩 4.5g 水を加えて 1.0リットル ──────────────────────────────────── pH 10.05 ────────────────────────────────────
【0073】 ──────────────────────────────────── 漂白定着液 使用量 ──────────────────────────────────── エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 90.0g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0g 亜硫酸ナトリウム 12.0g チオ硫酸アンモニウム水溶液(70%) 260.0ml 酢酸(98%) 5.0ml 下記の漂白促進剤 0.01モル 水を加えて 1.0リットル ──────────────────────────────────── pH 6.0 ────────────────────────────────────
【0074】
【化3】
【0075】「水洗液」水道水をH型カチオン交換樹脂
(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120
B)と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトI
R−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシ
ウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/リットル以
下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム
20mg/リットルと硫酸ナトリウム1.5g/リット
ルを添加した。水洗液のpHは6.5〜7.5の範囲で
ある。
【0076】 ──────────────────────────────────── 安定液 使用量 ──────────────────────────────────── ホルマリン(37%) 2.0ml ポリオキシエチレン−p−モノフェニルエーテル(平均重合度10) 0.3g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05g 水を加えて 1.0リットル ──────────────────────────────────── pH 5.0〜8.0 ────────────────────────────────────
【0077】カラー現像を行なった各試料について、感
度およびかぶりの値を測定した。結果を下記第2表に示
す。なお、感度は、乳剤1−Aの値を100とする相対
値で示す。
【0078】 第2表 ──────────────────────────────────── 乳剤 ドーパント 金属塩 添加量 感度 かぶり ──────────────────────────────────── 1−A なし なし − 100 0.14 1−B K4[Fe(CN)6] なし − 65 0.14 1−C K4[Fe(CN)6] LaCl3・7H2O 90cc 140 0.15 1−D K4[Fe(CN)6] Ga(NO3)2・nH2O 50cc 150 0.14 1−E K4[Fe(CN)6] In2(SO4)2・nH2O 30cc 175 0.14 ────────────────────────────────────

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、ハロゲン化銀粒子がゼラチ
    ン中に分散されている感光性層を有し、該ハロゲン化銀
    粒子中にハロゲン化銀1モル当たり1×10-7乃至5×
    10-3モルの量の六配位シアノ錯体が組み込まれてお
    り、かつ該錯体の濃度が他の部分よりも10倍以上高い
    局在相をハロゲン化銀粒子全体の50%以下の表面相中
    に有するハロゲン化銀写真材料であって、該ハロゲン化
    銀粒子が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリ
    ウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、
    プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウ
    ム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビ
    ウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテチウムの塩
    の存在下で、該シアノ錯体を該ハロゲン化銀粒子中に組
    み込む工程を実施して得られたハロゲン化銀粒子である
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真材料。
  2. 【請求項2】 上記ハロゲン化銀粒子が、pHが7以上
    の条件でシアノ錯体をハロゲン化銀粒子中に組み込む工
    程を実施して得られたハロゲン化銀粒子である請求項1
    に記載のハロゲン化銀写真材料。
  3. 【請求項3】 上記ハロゲン化銀粒子が、シアノ錯体を
    ハロゲン化銀粒子中に組み込む工程の後で、金増感を実
    施して得られたハロゲン化銀粒子である請求項1に記載
    のハロゲン化銀写真材料。
  4. 【請求項4】 支持体上に、ハロゲン化銀粒子がゼラチ
    ン中に分散されている感光性層を有し、該ハロゲン化銀
    粒子中にハロゲン化銀1モル当たり1×10-7乃至5×
    10-3モルの量の六配位シアノ錯体が組み込まれてお
    り、かつ該錯体の濃度が他の部分よりも10倍以上高い
    局在相をハロゲン化銀粒子全体の50%以下の表面相中
    に有するハロゲン化銀写真材料であって、該ハロゲン化
    銀粒子が、該シアノ錯体を該ハロゲン化銀粒子中に組み
    込む工程を実施した後、アルミニウム、ガリウム、イン
    ジウム、タリウム、ランタン、セリウム、プラセオジ
    ム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウ
    ム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホル
    ミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたは
    ルテチウムの塩を添加して得られたハロゲン化銀粒子で
    あることを特徴とするハロゲン化銀写真材料。
  5. 【請求項5】 上記ハロゲン化銀粒子が、pHが7以上
    の条件でシアノ錯体をハロゲン化銀粒子中に組み込む工
    程を実施して得られたハロゲン化銀粒子である請求項4
    に記載のハロゲン化銀写真材料。
  6. 【請求項6】 上記ハロゲン化銀粒子が、シアノ錯体を
    ハロゲン化銀粒子中に組み込む工程の後で、金増感を実
    施して得られたハロゲン化銀粒子である請求項4に記載
    のハロゲン化銀写真材料。
JP22252494A 1994-08-24 1994-08-24 ハロゲン化銀写真材料 Withdrawn JPH0862761A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22252494A JPH0862761A (ja) 1994-08-24 1994-08-24 ハロゲン化銀写真材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22252494A JPH0862761A (ja) 1994-08-24 1994-08-24 ハロゲン化銀写真材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0862761A true JPH0862761A (ja) 1996-03-08

Family

ID=16783786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22252494A Withdrawn JPH0862761A (ja) 1994-08-24 1994-08-24 ハロゲン化銀写真材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0862761A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0522902B2 (ja)
JP2664264B2 (ja) ハロゲン化銀写真乳剤及びこれを用いた写真感光材料
US5518871A (en) Photographic material containing silver halide grains doped with hexa-coordinated cyano-complex
JPH0789201B2 (ja) ハロゲン化銀乳剤とその製造方法及び該ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀感光材料
US5478715A (en) Silver halide photographic material
JPH0862761A (ja) ハロゲン化銀写真材料
JPH03198042A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法
JP4262401B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP3278227B2 (ja) ハロゲン化銀感光材料
US6797459B2 (en) Silver halide emulsion and method of preparing the same
JP3335244B2 (ja) ハロゲン化銀写真材料
JP2664286B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH04372943A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
EP0613044B1 (en) Photographic material containing silver halide grains doped with hexa-coordinated cyano-complex
JPH0643575A (ja) ハロゲン化銀写真材料
JP3278224B2 (ja) ハロゲン化銀写真材料
JP2690392B2 (ja) ハロゲン化銀写真乳済およびハロゲン化銀写真感光材料
JPH06289512A (ja) ハロゲン化銀写真材料
JP2704686B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料およびその製造方法
JPH0511381A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤およびこれを用いた感光材料
JPH08220664A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤とその製造方法
JPH0643574A (ja) ハロゲン化銀写真材料
JPH0643577A (ja) ハロゲン化銀写真材料
JP2001343717A (ja) 平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法
JPH04199044A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011106