JPH0861422A - 振動緩衝装置 - Google Patents

振動緩衝装置

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JPH0861422A
JPH0861422A JP20079194A JP20079194A JPH0861422A JP H0861422 A JPH0861422 A JP H0861422A JP 20079194 A JP20079194 A JP 20079194A JP 20079194 A JP20079194 A JP 20079194A JP H0861422 A JPH0861422 A JP H0861422A
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洋一 河本
Tsugunari Iwashita
嗣也 岩下
Shinichi Kusashita
真一 草下
Shin Takehara
伸 竹原
Haruyuki Taniguchi
晴幸 谷口
Takahiko Tanaka
孝彦 田中
Hiroshi Hashino
浩 橋野
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Kurashiki Kako Co Ltd
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Mazda Motor Corp
Kurashiki Kako Co Ltd
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  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】気体の充填量に基づいて、エンジンの騒音を低
減するように振動伝達特性を設定すると共に、高周波振
動に対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させ
ることが可能になる自動車用エンジンマウントを提供す
る。 【構成】弾性を有するゴム部材4と、弾性を有する薄膜
部材のダイヤフラム9とを有し、ゴム部材4とダイヤフ
ラム9とにより内部に流体を封入するための流体室10
を形成し、ゴム部材とダイヤフラムによって振動を吸収
する自動車用エンジンマウント100であって、流体室
10を主室10a及び副室10bに仕切る仕切部材7を
備え、ゴム部材4と流体Lの拡張収縮によりエンジン振
動を低減するための拡張バネを形成し、主室10aに
は、拡張バネのバネ定数が1/2以下になる量の気体が
注入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、モータ等を支
持して、その振動を低減するための防振マウントとして
用いる振動緩衝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】振動緩衝装置として自動車のエンジンマ
ウントの従来例を説明すると、一般的に自動車のエンジ
ンマウントには、支持、防振、制振という3つの機能が
必要とされる。支持機能とは、エンジン(パワーユニッ
ト)を静的/動的に車体に搭載し、エンジンと車体とが
干渉しないように支持する機能である。また、防振機能
とは、エンジンの発生する音や振動を車体に伝達させな
いようにする機能である。更に、制振機能とは、車両の
加減速時のエンジン振動や、路面やタイヤからの入力に
よるエンジン振動(エンジンシェイク)等のエンジンの
剛体振動を制限し、車体の振動を防止する機能である。
また、これら3つの機能にはトレードオフの関係があ
り、全てを満足することは不可能である。通常、支持機
能については、伝達特性を高く且つ減衰特性を高くする
状態が理想的であり、以下、防振機能については、伝達
特性を低くし、制振機能については、減衰特性を高くで
きることが優れたエンジンマウントの条件と言える。通
常のラバー型のエンジンマウントは、それらの諸元値を
妥協できる範囲の値に設定されている。
【0003】近年、車両のエンジンマウント等に用いる
振動緩衝装置として、従来のラバー型エンジンマウント
に代わって流体封入型のエンジンマウントが数多く採用
されている。この流体封入型のエンジンマウントは、現
在まで開発されてきた過程において、その構成の違いか
ら主として第1世代〜第3世代と呼ばれる3種類の型式
に分類される。以下に、それらの各構成について説明す
る。
【0004】<第1世代型>第1世代のエンジンマウン
トは、従来のラバー型エンジンマウントよりも高いレベ
ルで各機能をバランス良く設定するために開発された初
期のエンジンマウントであり、図29に示すように、流
体を封入する液室を仕切部材によって2室に仕切り、仕
切部材にオリフィスを形成して、エンジンに取付けられ
た部材1(又は車体に取付けられた部材2)の振動によ
り、オリフィス内を通って流体を移動させるものであ
る。この第1世代の構成では、封入された流体のオリフ
ィス内の移動による流体の共振現象を利用して、低周波
の特定領域において減衰特性を高め、高周波領域での伝
達特性を小さくすることができる。
【0005】図29において、部材1にXなる変位を与
えたとき、部材2に力Fが伝達されたとすると、振動の
伝達特性Ktと減衰特性Tdとは図30に示す式によっ
て表される。これらの式に基づいて、伝達特性Ktと減
衰特性Tdとを周波数で表すと図31、図32に示すグ
ラフを得ることができる。また、図31、図32とは、
従来のラバー型と第1世代型との各特性を比較した場合
の違いを示している。図31、図32に示すように、ラ
バー型エンジンマウントに比べると伝達、減衰の各特性
が著しく向上しているのがわかる。しかしながら、第1
世代のエンジンマウントでは、流体室の一部を形成する
ゴム部材で構成された弾性体には、エンジンを支持する
支持剛性(支持バネ、支持減衰)と、流体室の拡張に係
わる拡張剛性(拡張バネ、拡張剛性)という2つの働き
が必要となる。一般に、流体型エンジンマウントで減衰
特性を活かすためには、荷重の大きな部位に配置するの
が効果的であるが、荷重の大きな部位に配置するという
ことは、必然的にゴム部材の支持剛性が大きくなって、
流体室の拡張剛性が大きくなる。その結果、a)伝達特
性が大きくなり、騒音や振動が悪化する、b)減衰が極
大となる周波数が高くなり、効果的にエンジンを制振で
きない、という2つの問題点が発生する。
【0006】<第2世代型>第2世代のエンジンマウン
トでは、上記の第1世代の問題点を克服するために、図
33に示すような液室を仕切る仕切部材の一部に弾性部
材で形成されたゴム膜を設けて、液室1の拡張剛性を低
下させることによって対応した構成としている。この第
2世代の構成では、図34に示すように、高周波領域で
の伝達特性を第1世代の構成に比べて小さくできること
によって、エンジンの騒音や振動の車体への伝達を小さ
くすることができる。
【0007】<第3世代型>また、第3世代のエンジン
マウントは、第2世代のエンジンマウントの特性に加え
て、特定周波数の伝達特性を特に小さくする特性を付加
したものである。一般に、車体やブラケット等の共振現
象によって、車両は特定周波数において音や振動が大き
くなるという特徴がある。従来では、これらの音や振動
はダイナミックダンパ等を用いて対処していた。第3世
代のエンジンマウントでは、上記の第2世代の問題点を
克服するために、図35に示すように、第2世代の構成
に傘状の部材を設けることによって、高周波の特定周波
数領域において、伝達特性を小さくし、車両の騒音を低
減するようにした構成を採用している。この第3世代の
構成では、図36に示すように、第2世代の特性に加え
て、高周波領域の特定周波数の伝達特性を小さくできる
ことによって、特に問題となる騒音の車体への伝達を小
さくすることが可能となる。
【0008】以上説明したエンジンマウントの従来技術
として、例えば、特開昭60−139507号公報に開
示されているように、略同心状に配置される内筒及び外
筒と、これら内、外筒間に装填される弾性体とを備え、
この弾性体内に内筒を境にして対向配置される2つ以上
の液体室を形成し、これら各液体室を介して連通するよ
うにした懸架アームを車体に支持する筒状ブッシュにお
いて、弾性体内の一部に気体を封入した構成とすること
によって、液体室内の液圧変化が、封入された気体の体
積変化によって許容されるため、振動入力に対する液体
室内のバネ定数を低下させることができ、液柱共振にお
ける振動遮断機能の周波数の設定自由度を向上させた筒
状ブッシュが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように構成される各従来例において、特に、第2及び第
3世代の構成では、液室を仕切る仕切部材の一部に弾性
材料で構成されるゴム膜を形成したり、エンジン側に取
付けられる部材に傘状部材を設ける必要があり、製造コ
ストが上がるという問題がある。
【0010】また、上述の特開昭60−139507号
に開示される技術は、一体的な構成の筒状ブッシュであ
るため、両室を構成する弾性体はバネとして作用する
が、オリフィスが目詰まりした場合、一方の液体室のみ
に気体を封入した構成では、弾性体のバネ定数が高すぎ
て振動の低減を十分に行うことができないという欠点が
ある。また、この欠点を回避するために、両室のバネ定
数を小さくすることが考えられるが、構造的に両室を夫
々異なるバネ定数の弾性体で構成することは困難であ
る。更に、下室にも気体を封入することが考えられる
が、この場合、車体への組み付け時や振動等により、一
方の液室に封入された気体がオリフィスを介して他方の
液室内に流入する恐れがあり、仮にこのような状態にな
った場合、上記の欠点を解消できず、封入された気体の
管理が極めて難しいという問題がある。
【0011】従って、本発明の振動緩衝装置は、上記の
事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、気体の充填量に基づいて振動伝達特性及び減衰特
性を任意に設定できるため、モータやコンプレッサー等
の振動源からの騒音を低減するように振動伝達特性を設
定すると共に、液柱共振を利用して高周波振動に対する
減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させることが可
能になる振動緩衝装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明の振動緩衝装置は以下の構
成を備える。即ち、弾性を有する部材で形成されたゴム
部材と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラ
ムとを有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材と
ダイヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する振動緩衝
装置であって、前記流体室を前記ゴム部材をその一部と
する主室と前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに
仕切ると共に、該主室と副室を連通するオリフィス通路
を有する仕切部材とを備え、前記ゴム部材と流体の拡張
及び収縮により前記振動を低減するための拡張バネを形
成し、前記主室には、前記拡張バネのバネ定数が1/2
以下になるような量の気体が注入されていることを特徴
とする。
【0013】また、好ましくは、前記気体の注入量は、
前記バネ定数の低下率が75%以上になる量に設定され
ることを特徴とする。また、好ましくは、前記気体は、
空気又は窒素ガス又は不活性ガスであることを特徴とす
る。
【0014】
【作用】以上のように、この発明に係わる振動緩衝装置
は構成されているので、拡張バネの振動伝達特性低下率
を50%以上、即ち、拡張バネの振動伝達特性を1/2
以下になるよう設定することにより、防振性能をより高
めることができる。このように、気体の充填量に基づい
て振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるため、
モータやコンプレッサー等の振動源からの騒音を低減す
るように振動伝達特性を設定すると共に、液柱共振を利
用して高周波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減
効果を向上させることが可能になる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例につき、添付の図面を
参照して詳細に説明する。 [第1実施例]図1は、本発明に基づく第1実施例の振
動緩衝装置の断面図である。また、図2は、図1の振動
緩衝装置の要部を簡略化して示したモデル図である。図
1、図2において、本実施例で用いる振動緩衝装置10
0は、家庭用洗濯機のモータ、冷蔵庫、電車等に使用す
るコンプレッサーの支持部分に設けたり、精密機器等の
搬送用トレイや加工時の支持台あるいは自動車や船舶等
のエンジンを支持することによりそれらの防振効果を発
揮するものである。防振マウント100は、モータやコ
ンプレッサー等(以下、振動源と称する)の振動を発生
する側に取付けられる接続部材1と、マウント本体2
と、振動が伝達される側に取付けられる接続部材3とに
よりその外形を構成している。接続部材1は、その一端
部を装置にボルト等によって固定すると共に、他端部に
は、弾性材料で構成された断面円形のゴム部材4を取付
けるための固定部5が形成されている。また、固定部5
の上部には、薄い円盤状のストッパ6が環着されてい
る。マウント本体2は、円筒形状のカップを逆さまにし
た形状であり、上部が開口した形状の開口部を備える。
また、マウント本体2には、開口部から上部に延設され
たフランジ部2aが形成されている。マウント本体2の
下部には、支持台等に固定するための接続部材3が設け
られている。ゴム部材4が取付けられた固定部5は、マ
ウント本体2の開口部の内面にゴム部材4が密着するよ
うに嵌合され、固定される。このゴム部材4を取付ける
ことによって、マウント本体2の内部に液室10が形成
される。液室10は、マウント本体2の内部に設けられ
た仕切部材7によって、上部液室10aと下部液室10
bに分割され、夫々に液体Lが封入される。また、仕切
り部材7には、上部液室10aと下部液室10bとの間
を連通し、封入された液体Lが両液室間を流入及び流出
できるように、ら旋状に形成されたオリフィス8が形成
されている。また、仕切部材7とマウント本体2の低部
との間には、弾性材料(例えば、ゴム等)で構成された
ドーム状のダイヤフラム9が設けられ、下部液室10b
は、仕切部材7とダイヤフラム9とによって構成され
る。マウント本体2の低部は大気開放されていて、ダイ
ヤフラム9が液室10b内の液体Lの圧力によって、あ
る程度伸縮可能なように構成されている。また、上部液
室10aには、所定量の気体Gが封入されている。この
気体Gは、空気や液室10に封入された液体Lに溶解し
にくい特性を有する不活性ガスや、ヘリウムガス等であ
り、約0.5〜7cc程度封入される。この気体の充填
量は、エンジン、モータ、コンプレッサー等の被支持物
の重量によって、夫々異なるものである。また、振動源
の振動によってこのゴム部材4の変位量が必要以上に大
きくなると、マウント本体2に設けられたフランジ部2
aとストッパ6とが当接して、ゴム部材4の変位を抑制
する。
【0016】<第1実施例の構成での伝達特性>上記の
構成において、ゴム部材4は、エンジン、モータ、コン
プレッサー等を支持する支持機能と共に、外部から発生
する振動を吸収する防振機能を備えている。一般に、振
動源を支持する支持剛性が高くなると、液室の拡張しに
くさを表す拡張剛性も大きな値となり、それに伴って伝
達特性が大きな値となるため、制振機能が悪化する(振
動源からの振動が伝わりやすくなる)。この拡張剛性を
低くするために気体が封入されている。封入された気体
Gは、その気体自身の圧縮特性によって、ゴム部材の変
位による液室10aの拡張剛性を低くする働きがあり、
低周波領域及び高周波領域での伝達特性を小さくしてい
る。
【0017】<第1実施例の構成での減衰特性>低周波
振動では、各液室10a、10b内に封入された液体L
は、ゴム部材4の変位によってオリフィス8を介して上
部液室10aと下部液室10bとの間を移動するが、あ
る特定周波数になると、液体Lがオリフィス内で共振現
象による目詰まりを起こし、各液室間を移動しない状態
となる。即ち、オリフィス内の液体共振によって、特定
領域のみの減衰を高める働きがある。しかしながら、伝
達特性が高くなると減衰が極大値となる周波数が高くな
って、モータやコンプレッサー等の振動源自身の制振機
能に問題が生じる。従って、気体Gを封入し、低周波の
特定領域での伝達特性を低下させる(即ち、拡張剛性を
低くする)ことによって、高い減衰特性が得られ、制振
機能が向上するように構成されている。
【0018】[第2実施例]図3は、本発明に基づく第
2実施例の振動緩衝装置の断面図である。また、図4
は、図4の振動緩衝装置の要部を簡略化して示したモデ
ル図である。図3、図4において、第2実施例で用いる
振動緩衝装置200は、第1実施例のゴム部材4を固定
する固定部5が上部液室10aの一部となり、エア室2
05を構成している。このエア室205は、コップの開
口部を逆さまに向けたような状態で取付けられ、開口部
の断面積はオリフィス8の断面積より大きく、且つ液室
10aの断面積より小さく形成されている。また、この
エア室205は、上部に気体Gが注入され、液室10a
との通路となっている。エア室205内の液体と気体と
は、特定周波数において、液柱共振するエアデバイス2
20として機能している。その他、上記実施例と同一部
材は、同一の機能を有するものとして同一番号を付与し
その説明は省略する。
【0019】<第2実施例での伝達特性>上記第2実施
例の構成において、エアデバイス部220に封入された
気体Gは、第1実施例の場合と同様に、その気体自身の
圧縮特性によって、ゴム部材の変位による液室10aの
拡張剛性を低くする働きがあり、低周波領域及び高周波
領域での伝達特性を小さくしている。しかしながら、特
にエンジン等を有する車両は、車体やブラケット等の共
振現象によって、高周波の特定周波数領域で音や振動が
大きくなる特性があり、従来では、ダイナミックダンパ
等で対処していた。このダイナミックダンパに代わるも
のがエアデバイス部220である。エアデバイス部22
0内では、注入された気体Gの圧縮特性によって、高周
波の特定周波数領域で液柱共振現象が発生する。エアデ
バイス部の通路内の液柱共振周波数は、オリフィス内の
液体共振周波数よりも高い値に設定されているので、こ
の液柱共振現象を利用することによって、高周波の特定
周波数領域での伝達特性を小さくできるのである。
【0020】<第2実施例の構成での減衰特性>第2実
施例の構成においても、第1実施例の場合と同様の作
用、即ち、気体Gをエア室205に注入し、液柱共振周
波数より低い低周波の特定領域での伝達特性を低下させ
る(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い減
衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成されて
いる。
【0021】<流体マウントの原理>次に、上記各実施
例で用いる流体封入式防振マウントの原理について説明
する。図5は、第2実施例の防振マウントのモデル図で
あり、図6は、図5の等価回路図である。また、図37
は、空気バネのモデル図であり、図37に示す空気バネ
のバネ定数kは、体積V0、圧力P0、断面積Aとする
と、ポリトロープ指数γを用いて、図38に示す式によ
って表すことができる。図5、図6及び図38におい
て、エアデバイス内の流体の質量Md及び液室内の流体
の質量Meは、下記に示す式1、2によって表されるの
で、 Md=ρbL…(1) Me=ρal…(2) ρ;流体密度、 L;エアデバイス部の長さ、 l;オリフィスの長さ、 上記式1、2によって定義される流体質量を用いて、図
6の等価回路図では、下記に示す数1の運動方程式が成
立する。
【0022】
【数1】 また、数1において、モデル図と等価な質量MD、M
Eは、下記式3によって表される。 (式3) MD=(A/b)2d E=(A/a)2e また、モデル図と等価な減衰CD、CEは、下記式4によ
って表される。
【0023】(式4) CD=(A/b)2dE=(A/a)2e また、モデル図と等価なバネ定数KDは、図38によれ
ば、式5によって表される。
【0024】KD=(A/b)2d=(A/b)2(γP
02/V0)=γP02/V0 …(5) また、モデル図における等価な変位量は、式6によって
表される。 (式6) YD=(b/A)ydE=(a/A)ye 以上の式3〜式6を用いて数1に示す運動方程式をラプ
ラス変換によって解くと、下記に示す数2が成り立つ。
【0025】
【数2】 図7に示すように、図6のモデル図における各パラメー
タを設定すると、図8、図9に示すような結果が得られ
る。図8は、第2実施例の防振マウント200の伝達特
性を示している。また、図9は、減衰特性を示してい
る。尚、図7、図8、図9に示されているM0とは、従
来の第2世代の構成の防振マウントの特性を示してい
る。第2実施例で説明したように、エアデバイス部22
0に封入された気体Gを1ccとすると、エアデバイス部
220内では、注入された気体Gの圧縮特性によって、
高周波の特定周波数領域で液柱共振現象が発生する。エ
アデバイス部の通路内の液柱共振周波数は、オリフィス
内の液体共振周波数よりも高い値に設定されているの
で、この液柱共振現象を利用することによって、高周波
の特定周波数領域(図8の400Hz付近)での伝達特
性を小さくできるのである。また、気体Gをエア室20
5に注入し、液柱共振周波数より低い低周波の特定領域
での伝達特性を低下させる(図8に示す10〜20Hz
付近)ことによって、高い減衰特性が得られ(図9に示
す10〜20Hz付近)、制振機能が向上するように構
成されている。
【0026】<試験結果>次に、本実施例の振動緩衝装
置の試験結果について説明する。尚、エンジン等の重量
については、車種によって大きな差はないと考え、一般
的な重量を基準として説明する。 (振動伝達特性)図10は、封入する気体量を0cc、
0.5cc,1.5cc、7ccとした場合の周波数に
基づく振動伝達特性を示す。また、図11は、入力され
る周波数を100Hzとした場合の封入される気体量に基
づく振動伝達特性の変化を示す。図10において、気体
の充填量が0ccの場合には、10Hz以上の振動伝達特
性が最も高い値を示し、気体の充填量を増加するにつれ
て振動伝達特性は小さな値になる。これは、液室内に気
体を封入する程、外部から入力される振動を吸収し、伝
達されにくくなることを意味し、騒音の低減を図ること
ができる。しかしながら、気体の充填量を増加させる
程、減衰特性が低下することになる。図11に示すよう
に、入力される振動周波数が100Hzの場合、気体の充
填量に基づく振動伝達特性は、充填量を0.5ccから
1.5ccに増加すると、振動伝達特性が400(N/
mm)から300(N/mm)と約75%程度低下す
る。同様に、充填量を0.5ccから3ccに増加する
と、振動伝達特性が400(N/mm)から約270
(N/mm)と約68%程度低下する。更に、7ccに
まで増加すると、より振動伝達特性は低下するが、図1
1から分かるように、気体の充填量が7cc以上になる
と、振動伝達特性は変化しなくなる。なぜならは、7c
c以上の気体を充填量では、振動源全体を支持する支持
バネのみの機能を果たしているからである。
【0027】(減衰特性)図12は、封入する気体量を
1cc〜10ccの夫々の場合の周波数に基づく減衰特
性(Tanδ)特性を示す。また、図13は、封入され
る気体量に基づく減衰特性(Tanδ)のピーク値の変
化を示す。図12、図13において、気体の充填量が1
ccの場合には、Tanδ1.4以上の振動減衰特性が
得られ、気体の充填量を増加するにつれて振動減衰特性
は小さな値になり、充填量が7ccでは、Tanδ0.
3程度になる。これは、液室内に気体を封入する程、外
部から入力される振動の減衰特性(制振機能)が低下す
る一方、騒音の低減を図ることができることを意味す
る。
【0028】(拡張バネとの関係)図14は、図10に
示すように封入する気体量を0cc、0.5cc、1.
5cc、7ccと変えていくことより生じる拡張剛性の
低下率に基づく振動伝達特性を示す。封入する気体量を
0cc、0.5cc、1.5cc、7ccとした場合、
拡張バネの拡張剛性の低下率は、0%、30%、50
%、75%、95%というように低下する。これは、液
室内に気体を封入する程、防振マウントの制振機能が低
下し、流体及びゴム部材の弾性係数のみに依存した振動
伝達特性が大きくなり、振動源全体を支持する支持バネ
の機能を果たすのみであることを意味する。
【0029】以上の特性に関する試験結果において、気
体充填量が0.5cc以下では振動伝達特性が大きく、
気体充填量が7cc以上では振動伝達特性の変化量が小
さくなる。従って、振動伝達特性(騒音)に関しては、
封入すべき気体量は、0.5cc〜7ccが好適な量と
なる。また、振動源からの振動を低減するためには、T
anδを0.6以上に設定すると効果的であるため、図
13から気体充填量が3cc以下に設定することが好ま
しい。従って、封入すべき気体量は、0.5cc〜3c
cがより好適な量となる。
【0030】尚、上述の実施例で説明した気体の充填量
は、防振マウントの設計上の諸元値を図7に示す各値を
基準として決定される量であり、例えば、使用環境や振
動源全体の重量の変化に基づいてエアデバイス部や液室
の断面積や長さ等を変更した場合には、その設計上の変
更に伴って気体の充填量を増減させて、所望の振動伝達
特性及び減衰特性が得られるようにチューニングされ
る。
【0031】<従来技術との比較>図15は、従来例で
説明した第2世代の防振マウントと本実施例の気体封入
式防振マウントとの振動伝達特性を比較した図である。
図15に示すように、第2実施例の流体路内の液柱共振
を利用して、気体を封入することにより、所定周波数帯
の振動伝達特性を低下させるためのボトム周波数帯を設
定し、その周波数帯の振動を低減させることができる。
また、気体の充填量や流体路の断面積等のパラメータ
は、ボトム周波数帯が80Hz〜500Hzになるよう設定
する。なぜならば、80Hz以下の周波数では人間は騒音
を感知しにくいからである。また、車両に使用する防振
マウントは、一般的にブラケットを介してボルト締結さ
れるが、そのブラケットの共振が500Hz以上になる
と、こもり音として不快な音になる。従って、車両走行
時に発生するこもり音等の原因となる振動を低減するよ
うにボトム周波数を500Hz以下にチューニングすると
共に、騒音を感知しにくい80Hz以上に設定すれば効果
的に不快な音を低減することができる。
【0032】また、一般に、流体マウントでは、連通孔
(オリフィス)内での液柱共振の発生や流体の粘性抵抗
等に影響される外力の振幅や周波数によって流体の流れ
方が変化する。例えば、ゆっくりとしたスピードで外力
が付与されると、液柱共振や粘性抵抗の影響が小さく、
流体は高圧側から低圧側へ移動する。一方、液柱共振周
波数よりも高い周波数で外力が付与されると、ほとんど
流体がオリフィス内を流れない状態(目詰まりの状態)
となる。
【0033】従って、本発明の振動緩衝装置と、従来技
術例として挙げた特開昭60−139507号に開示さ
れた構造との異なる点は、ゆっくりとしたスピードで外
力を付与した場合、本発明の装置では、液体の流出する
側に気体を充填しているのに対し、従来技術では、流体
の流入する側に気体を充填している点である。即ち、そ
の構造が根本的に異なっているのである。
【0034】これらを性能面から比較すると、流体の流
入や流出という現象は、気体室を形成する拡張バネのバ
ネ定数の大きさの違いから生じるものである。即ち、流
体は、拡張バネのバネ定数の大きい側から小さい側へ移
動すると考えられる。従って、騒音が発生する領域とな
る高周波領域では、オリフィスは、目詰まりの状態にな
っているため拡張バネのバネ定数が大きいほど騒音を伝
えやすくなる。即ち、本発明の振動緩衝装置では、拡張
バネのバネ定数の大きい側に気体を充填しているため、
この大きい側のバネ定数を低下させる(伝達特性を小さ
く設定する)ことにより大きな騒音低減効果を発揮する
のに対し、従来技術に開示された構成では、拡張バネの
バネ定数の小さい側に気体を充填しているため、騒音低
減効果が小さいものとなるという性能面での違いがあ
る。
【0035】<騒音及び振動の低減性能>次に、図16
〜図20を参照して本実施例の振動緩衝装置を所望の性
能に設定するための基準値の設定方法について説明す
る。図16は、気体の充填量に基づく振動源からの騒音
低減評価結果を示す。また、図17は、気体の充填量に
基づく振動源の振動低減評価結果を示す。更に、図18
は、周波数に基づく拡張バネの振動伝達特性の低下状態
を示す。図19は、拡張バネの振動伝達特性の低下率に
基づく振動源の騒音低減評価結果を示す。尚、図20
は、図16〜図19に示した各評価結果(点数)に対応
する評価基準を示す図である。
【0036】(騒音の低減に係わる封入気体量)図16
に示すように、気体の充填量は、0.5ccで騒音評価
5点であり、騒音評価5点とは、図20を参照すると許
容できる限界レベルを意味する。即ち、気体の充填量
は、0.5cc以上で騒音評価5点以上を確保できるこ
とになる。また、更に気体の充填量を増加していくと7
ccで騒音評価8点(図20でかなり良いレベル)に達
し、それ以上気体を封入しても評価は変わらない。従っ
て、気体の充填量を騒音を低減するという観点から考察
すると、0.5cc以上で騒音の低減に対して効果的で
あるという結果を得ることができる。
【0037】(振動源全体の振動低減に係わる封入気体
量)図17に示すように、気体の充填量は、7ccで振
動評価5点であり、8ccで4.5点となり、図16及
び図20から、気体の充填量は、7cc以下で振動評価
5点以上を確保できることになる。また、気体の充填量
が3cc以下で振動評価7点(図20で良いレベル)に
達し、それ以下では更に振動評価は向上する。従って、
気体の充填量を振動源全体からの振動を低減するという
観点から考察すると、3cc以下(図13よりTanδ
0.6以上)で振動源自身の振動の低減に対して効果的
であるという結果を得ることができる。
【0038】(振動源の騒音低減に係わる拡張バネの振
動伝達特性低下率)図19に示すように、拡張バネの振
動伝達特性低下率は、50%以上で振動源の騒音評価6
点以上であり、図19及び図20から、拡張バネの振動
伝達特性低下率が50%以上になるように気体の充填量
を設定することで、振動源の騒音評価6点以上を確保で
きることになる。また、図18に示すように、拡張バネ
の振動伝達特性低下率が50%以上とは、拡張バネの振
動伝達特性が1/2以下となることを意味する。従っ
て、拡張バネの振動伝達特性低下率という観点から考察
すると、その振動伝達特性低下率が50%以上で振動源
の騒音の低減に対して効果的であるという結果を得るこ
とができる。
【0039】以上の特性に関する試験結果及び性能評価
結果から分かるように、図11及び図16では、気体充
填量が0.5cc以下では振動伝達特性が大きく、気体
充填量が7cc以上では振動伝達特性の変化量が小さく
なる。従って、振動伝達特性(騒音)に関しては、封入
すべき気体量は、0.5cc〜7ccが好適な量とな
る。また、振動源からの振動を低減するためには、Ta
nδを0.6以上に設定すると効果的であるため、図1
3及び図17から気体充填量が3cc以下に設定するこ
とが好ましい。従って、封入すべき気体量は、0.5c
c〜3ccがより好適な量となる。
【0040】[製造方法]次に、上記各実施例で説明し
た振動緩衝装置としての防振マウントの製造方法を説明
する。尚、上記各実施例で説明した部材は、夫々構成部
材としてすでに製造されているものとする。以下にその
全体的な製造工程を示す。 先ず、マウント本体の内部に流体を注入する。
【0041】マウント本体の内部に混入している不要
な空気を遮断又は排出する。 予め決定された量の気体をマウント本体の内部に封入
する。但し、封入される気体は、空気である。 この状態で、マウントを圧縮し、密封する。このよう
にマウントに圧力を付与することによって、無負荷時で
の液室内の負圧によって気体を封じ込めておき、振動源
の搭載時には液室内部が大気圧となりガスバネとして作
用させる。
【0042】以下に、における気体の封入方法につい
て説明する。 <第1の製造方法>図21は、本実施例の流体マウント
の第1の製造方法として気体の封入方法を示す。図21
において、オリフィス8が形成された仕切部材7に凹部
S1を設け、この凹部S1の体積を封入する気体の体積
に設定し、凹部S1に連通孔Hを形成する。この仕切部
材7を逆さにして予め流体を注入されたマウント本体内
に組み入れ、その他の部品の組立を行い密封した後、正
常な位置に戻す。すると、凹部S1に封入されていた空
気が連通孔Hから液室10a内に入り、気体の封入が完
了する。
【0043】<第2の製造方法>図22は、本実施例の
流体マウントの第2の製造方法として気体の封入方法を
示す。図22において、ダイヤフラム9に凹部S2を設
け、この凹部S2の体積を封入する気体の体積に設定す
る。このダイヤフラム9を逆さにして気体が逃げないよ
うに、予め流体を注入されたマウント本体内に組み入
れ、その他の部品の組立を行い密封した後、正常な位置
に戻す。すると、凹部S2に封入されていた空気が仕切
部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入り、気
体の封入が完了する。
【0044】<第3の製造方法>図23は、本実施例の
流体マウントの第3の製造方法として気体の封入方法を
示す。図23において、ダイヤフラム9の組み付け時
に、ダイヤフラム9の外周とマウント本体2の内周とを
気密シールすることによって気体室S3を設け、この気
体室S3の体積を封入する気体の体積に設定し、その他
の部品の組立を行い密封した後、正常な位置に戻す。す
ると、気体室S3に封入されていた空気がオリフィス8
から液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0045】<第4の製造方法>図24は、本実施例の
流体マウントの第4の製造方法として気体の封入方法を
示す。図24において、マウント本体の側壁部にエアだ
まり凹部S4を設け、このエアだまりS4の体積を封入
する気体の体積に設定する。また、組立後にエアだまり
S4が液室10aに連通するように仕切部材7の側壁部
に連通孔H2を設ける。この仕切部材7を予め流体を注
入されたマウント本体内に組み入れ、その他の部品の組
立を行い密封することにより、エアだまりS4に封入さ
れていた空気が連通孔H2から液室10a内に入り、気
体の封入が完了する。
【0046】<第5の製造方法>本実施例の流体マウン
トの第5の製造方法として気体の封入方法は、常温又は
高温で固体から気体に昇華し、気体から固体又は液体に
可逆変化しない物質(例えば、ナフタリン、炭酸ナトリ
ウム等)を部品の組立、密封時に混入させる手法であ
る。
【0047】<第6の製造方法>第6の製造方法として
気体の封入方法は、流体に溶解しやすい物質(乳糖類の
カプセル等)に封入する気体を入れ、部品の組立、密封
時に混入させる手法である。 <第7の製造方法>図25は、本実施例の流体マウント
の第7の製造方法として気体の封入方法を示す。図25
において、流体内にてマウント本体に気体を供給するた
めの空気供給機構を設けピストン及びシリンダにより、
供給空気量S5を封入する気体の体積に設定する。この
マウント本体に流体中で気体を封入し、その他の部品の
組立を行い密封することにより液室10a内への気体の
封入が完了する。尚、この第7の製造方法では、シリン
ダーに不活性ガスのボンベを連結し、封入する気体を不
活性ガスとしてもよい。また、ピストン及びシリンダを
用いずに、注射器で気体を注入してもよい。
【0048】<第8の製造方法>図26は、本実施例の
流体マウントの第8の製造方法として気体の封入方法を
示す。図26において、治具501等によって支持する
ことにより、真空引き500でダイヤフラム9に凹部S
6を設け、この凹部S6の体積を封入する気体の体積に
設定する。このダイヤフラム9を逆さにして気体が逃げ
ないように、予め流体を注入されたマウント本体内に組
み入れ、密封した後、真空引き500を開放し、正常な
位置に戻す。すると、凹部S6に封入されていた空気が
仕切部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入
り、気体の封入が完了する。
【0049】<第9の製造方法>図27は、本実施例の
流体マウントの第9の製造方法として気体の封入方法を
示す。図27において、マウントの全てを組み立てた
後、ダイヤフラムに注射器503を突き差して定量の空
気を封入する。この際、ダイヤフラム9の一部(注射器
を突き差す部分)を他の部分より厚く形成して、ダイヤ
フラムからの液漏れを防止する。空気は仕切部材7のオ
リフィス8を通って液室10a内に入り、気体の封入が
完了する。
【0050】<第10の製造方法>図28は、本実施例
の流体マウントの第10の製造方法として気体の封入方
法を示す。図28において、マウントの全てを組み立て
た後、マウント本体の側壁部に注射器503を突き差し
て定量の空気を封入する。その後、封止部材を圧入して
側壁部の穴を塞ぐ。尚、上記の気体封入方法において、
マウント本体内部に気体を封入した後、Tanδをチェ
ックし、封入空気量の補正工程を設け、上述の第8〜1
0の製造方法を封入空気量の補正工程に用いることもで
きる。
【0051】(実施例の効果)以上説明したように、上
記各実施例の防振マウントによれば、気体の充填量に基
づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるた
め、モータやコンプレッサー等の振動源の騒音を低減す
るように振動伝達特性を設定すると共に、高周波振動に
対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させるこ
とが可能になる。
【0052】尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲
で上記実施例を修正又は変形したものに適用可能であ
る。例えば、本実施例では、液室内に封入する気体とし
て、不活性ガスを用いたが、封入される流体と気体との
組み合わせは、互いに溶解しにくいものであれば、不活
性ガスに限定されるものではない。
【0053】
【発明の効果】以上説明のように、本発明の振動緩衝装
置によれば、拡張バネの振動伝達特性低下率を50%以
上、即ち、拡張バネの振動伝達特性を1/2以下になる
よう設定することにより、防振性能をより高めることが
できる。このように、気体の充填量に基づいて振動伝達
特性及び減衰特性を任意に設定できるため、モータやコ
ンプレッサー等の振動源からの騒音を低減するように振
動伝達特性を設定すると共に、液柱共振を利用して高周
波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上
させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1実施例の振動緩衝装置の断
面図である。
【図2】図1の振動緩衝装置の要部を簡略化して示した
モデル図である。
【図3】本発明に基づく第2実施例の振動緩衝装置の断
面図である。
【図4】図3の振動緩衝装置の要部を簡略化して示した
モデル図である。
【図5】第2実施例の防振マウントのモデル図である。
【図6】図5の等価回路図である。
【図7】図6のモデル図における各パラメータの設定例
を示す図である。
【図8】図6の仕様での第2実施例の防振マウント20
0の伝達特性を示す図である。
【図9】図6の仕様での第2実施例の防振マウント20
0の減衰特性を示す図である。
【図10】封入する気体量を変化させた場合の周波数に
基づく振動伝達特性を示す図である。
【図11】入力周波数を100Hzとした場合の封入され
る空気量に基づく振動伝達特性の変化を示す図である。
【図12】封入する気体量を変化させた場合の周波数に
基づく減衰特性を示す図である。
【図13】封入される空気量に基づく減衰特性のピーク
値の変化を示す図である。
【図14】封入される空気量を変えることにより生じる
拡張剛性の低下率に基づく振動伝達特性を示す図であ
る。
【図15】従来例の防振マウントと本実施例の振動緩衝
装置との振動伝達特性を比較した図である。
【図16】気体の充填量に基づく振動源の騒音の低減評
価結果を示す図である。
【図17】気体の充填量に基づく振動源からの振動の低
減評価結果を示す図である。
【図18】周波数に基づく拡張バネの振動伝達特性の低
下状態を示す図である。
【図19】拡張バネの振動伝達特性の低下率に基づく振
動源の騒音低減評価結果を示す図である。
【図20】図16〜図19に示した各評価結果(点数)
に対応する評価基準を示す図である。
【図21】本実施例の流体マウントの第1の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図22】本実施例の流体マウントの第2の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図23】本実施例の流体マウントの第3の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図24】本実施例の流体マウントの第4の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図25】本実施例の流体マウントの第5の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図26】本実施例の流体マウントの第8の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図27】本実施例の流体マウントの第9の製造方法と
して気体の封入方法を示す図である。
【図28】本実施例の流体マウントの第10の製造方法
として気体の封入方法を示す図である。
【図29】第1世代の防振マウントの構成を示す断面図
である。
【図30】振動の伝達特性及び減衰特性を定義する図で
ある。
【図31】第1世代の防振マウントの構成による伝達特
性を示す図である。
【図32】第1世代の防振マウントの構成による減衰特
性を示す図である。
【図33】第2世代の防振マウントの構成を示す断面図
である。
【図34】第2世代の防振マウントの構成による伝達特
性を示す図である。
【図35】第3世代の防振マウントの構成を示す断面図
である。
【図36】第3世代の防振マウントの構成による伝達特
性を示す図である。
【図37】空気バネのモデル図である。
【図38】図37に示す空気バネのバネ定数kをポリト
ロープ指数γを用いた式によって表した図である。
【符号の説明】
1…接続部材、2…マウント本体、3…接続部材、4…
ゴム部材、5…固定部、6…ストッパ、7…仕切部材、
8…オリフィス、9…ダイヤフラム、10a、10b…
液室、205…エア室、220…エアデバイス部、G…
空気又は不活性ガス、L…液体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 草下 真一 岡山県倉敷市連島町矢柄四の町4630 倉敷 化工株式会社内 (72)発明者 竹原 伸 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 谷口 晴幸 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 田中 孝彦 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 橋野 浩 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性を有する部材で形成されたゴム部材
    と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
    を有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体
    を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイ
    ヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する振動緩衝装置
    であって、 前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記
    ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、
    該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部
    材とを備え、 前記ゴム部材と流体の拡張及び収縮により前記振動を低
    減するための拡張バネを形成し、 前記主室には、前記拡張バネのバネ定数が1/2以下に
    なるような量の気体が注入されていることを特徴とする
    振動緩衝装置。
  2. 【請求項2】 前記気体の注入量は、前記バネ定数の低
    下率が75%以上になる量に設定されることを特徴とす
    る請求項1に記載の振動緩衝装置。
  3. 【請求項3】 前記気体は、空気又は窒素ガス又は不活
    性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の振動緩
    衝装置。
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