JP3600274B2 - 振動緩衝装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、モータ等を支持して、その振動を低減するための防振マウントとして用いる振動緩衝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
振動緩衝装置として自動車のエンジンマウントの従来例を説明すると、一般的に自動車のエンジンマウントには、支持、防振、制振という3つの機能が必要とされる。支持機能とは、エンジン(パワーユニット)を静的/動的に車体に搭載し、エンジンと車体とが干渉しないように支持する機能である。また、防振機能とは、エンジンの発生する音や振動を車体に伝達させないようにする機能である。更に、制振機能とは、車両の加減速時のエンジン振動や、路面やタイヤからの入力によるエンジン振動(エンジンシェイク)等のエンジンの剛体振動を制限し、車体の振動を防止する機能である。また、これら3つの機能にはトレードオフの関係があり、全てを満足することは不可能である。通常、支持機能については、伝達特性を高く且つ減衰特性を高くする状態が理想的であり、以下、防振機能については、伝達特性を低くし、制振機能については、減衰特性を高くできることが優れたエンジンマウントの条件と言える。通常のラバー型のエンジンマウントは、それらの諸元値を妥協できる範囲の値に設定されている。
【0003】
近年、車両のエンジンマウント等に用いる振動緩衝装置として、従来のラバー型エンジンマウントに代わって流体封入型のエンジンマウントが数多く採用されている。この流体封入型のエンジンマウントは、現在まで開発されてきた過程において、その構成の違いから主として第1世代〜第3世代と呼ばれる3種類の型式に分類される。以下に、それらの各構成について説明する。
【0004】
<第1世代型>
第1世代のエンジンマウントは、従来のラバー型エンジンマウントよりも高いレベルで各機能をバランス良く設定するために開発された初期のエンジンマウントであり、図29に示すように、流体を封入する液室を仕切部材によって2室に仕切り、仕切部材にオリフィスを形成して、エンジンに取付けられた部材1(又は車体に取付けられた部材2)の振動により、オリフィス内を通って流体を移動させるものである。この第1世代の構成では、封入された流体のオリフィス内の移動による流体の共振現象を利用して、低周波の特定領域において減衰特性を高め、高周波領域での伝達特性を小さくすることができる。
【0005】
図29において、部材1にXなる変位を与えたとき、部材2に力Fが伝達されたとすると、振動の伝達特性Ktと減衰特性Tdとは図30に示す式によって表される。これらの式に基づいて、伝達特性Ktと減衰特性Tdとを周波数で表すと図31、図32に示すグラフを得ることができる。また、図31、図32とは、従来のラバー型と第1世代型との各特性を比較した場合の違いを示している。図31、図32に示すように、ラバー型エンジンマウントに比べると伝達、減衰の各特性が著しく向上しているのがわかる。しかしながら、第1世代のエンジンマウントでは、流体室の一部を形成するゴム部材で構成された弾性体には、エンジンを支持する支持剛性(支持バネ、支持減衰)と、流体室の拡張に係わる拡張剛性(拡張バネ、拡張剛性)という2つの働きが必要となる。一般に、流体型エンジンマウントで減衰特性を活かすためには、荷重の大きな部位に配置するのが効果的であるが、荷重の大きな部位に配置するということは、必然的にゴム部材の支持剛性が大きくなって、流体室の拡張剛性が大きくなる。その結果、a)伝達特性が大きくなり、騒音や振動が悪化する、b)減衰が極大となる周波数が高くなり、効果的にエンジンを制振できない、という2つの問題点が発生する。
【0006】
<第2世代型>
第2世代のエンジンマウントでは、上記の第1世代の問題点を克服するために、図33に示すような液室を仕切る仕切部材の一部に弾性部材で形成されたゴム膜を設けて、液室1の拡張剛性を低下させることによって対応した構成としている。この第2世代の構成では、図34に示すように、高周波領域での伝達特性を第1世代の構成に比べて小さくできることによって、エンジンの騒音や振動の車体への伝達を小さくすることができる。
【0007】
<第3世代型>
また、第3世代のエンジンマウントは、第2世代のエンジンマウントの特性に加えて、特定周波数の伝達特性を特に小さくする特性を付加したものである。一般に、車体やブラケット等の共振現象によって、車両は特定周波数において音や振動が大きくなるという特徴がある。従来では、これらの音や振動はダイナミックダンパ等を用いて対処していた。第3世代のエンジンマウントでは、上記の第2世代の問題点を克服するために、図35に示すように、第2世代の構成に傘状の部材を設けることによって、高周波の特定周波数領域において、伝達特性を小さくし、車両の騒音を低減するようにした構成を採用している。この第3世代の構成では、図36に示すように、第2世代の特性に加えて、高周波領域の特定周波数の伝達特性を小さくできることによって、特に問題となる騒音の車体への伝達を小さくすることが可能となる。
【0008】
以上説明したエンジンマウントの従来技術として、例えば、特開昭60−139507号公報に開示されているように、略同心状に配置される内筒及び外筒と、これら内、外筒間に装填される弾性体とを備え、この弾性体内に内筒を境にして対向配置される2つ以上の液体室を形成し、これら各液体室を介して連通するようにした懸架アームを車体に支持する筒状ブッシュにおいて、弾性体内の一部に気体を封入した構成とすることによって、液体室内の液圧変化が、封入された気体の体積変化によって許容されるため、振動入力に対する液体室内のバネ定数を低下させることができ、液柱共振における振動遮断機能の周波数の設定自由度を向上させた筒状ブッシュが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成される各従来例において、特に、第2及び第3世代の構成では、液室を仕切る仕切部材の一部に弾性材料で構成されるゴム膜を形成したり、エンジン側に取付けられる部材に傘状部材を設ける必要があり、製造コストが上がるという問題がある。
【0010】
また、上述の特開昭60−139507号に開示される技術は、一体的な構成の筒状ブッシュであるため、両室を構成する弾性体はバネとして作用するが、オリフィスが目詰まりした場合、一方の液体室のみに気体を封入した構成では、弾性体のバネ定数が高すぎて振動の低減を十分に行うことができないという欠点がある。また、この欠点を回避するために、両室のバネ定数を小さくすることが考えられるが、構造的に両室を夫々異なるバネ定数の弾性体で構成することは困難である。更に、下室にも気体を封入することが考えられるが、この場合、車体への組み付け時や振動等により、一方の液室に封入された気体がオリフィスを介して他方の液室内に流入する恐れがあり、仮にこのような状態になった場合、上記の欠点を解消できず、封入された気体の管理が極めて難しいという問題がある。
【0011】
従って、本発明の振動緩衝装置は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気体の充填量に基づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるため、モータやコンプレッサー等の振動源からの騒音を低減するように振動伝達特性を設定すると共に、液柱共振を利用して高周波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させることが可能になる振動緩衝装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の問題点を解決し、目的を達成するために、本発明の振動緩衝装置は以下の構成を備える。即ち、
振動源を支持し、かつ変形可能となるようなバネ定数を持つ弾性ゴム部材と、流体の流入に伴う容積変化を許容するように弾性変形可能な薄膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する振動緩衝装置であって、前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部材とを備え、前記ゴム部材と流体の拡張及び収縮により前記振動を低減するための拡張バネを形成し、前記主室には、前記オリフィスの液柱共振周波数よりも高い、オリフィス内に流体が流れない目詰まり状態となる特定の周波数帯域で、前記拡張バネのバネ定数が1/2以下になるような量の気体が注入されていることを特徴とする。
【0013】
また、好ましくは、前記気体の注入量は、前記オリフィスの液柱共振周波数よりも高い、オリフィス内に流体が流れない目詰まり状態となる特定の周波数帯域で、前記バネ定数の低下率が75%以上になる量に設定されることを特徴とする。
また、好ましくは、前記気体は、空気又は窒素ガス又は不活性ガスであることを特徴とする。
【0014】
【作用】
以上のように、この発明に係わる振動緩衝装置は構成されているので、拡張バネの振動伝達特性低下率を50%以上、即ち、拡張バネの振動伝達特性を1/2以下になるよう設定することにより、防振性能をより高めることができる。このように、気体の充填量に基づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるため、モータやコンプレッサー等の振動源からの騒音を低減するように振動伝達特性を設定すると共に、液柱共振を利用して高周波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させることが可能になる。
【0015】
【実施例】
以下に本発明の実施例につき、添付の図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明に基づく第1実施例の振動緩衝装置の断面図である。また、図2は、図1の振動緩衝装置の要部を簡略化して示したモデル図である。図1、図2において、本実施例で用いる振動緩衝装置100は、家庭用洗濯機のモータ、冷蔵庫、電車等に使用するコンプレッサーの支持部分に設けたり、精密機器等の搬送用トレイや加工時の支持台あるいは自動車や船舶等のエンジンを支持することによりそれらの防振効果を発揮するものである。防振マウント100は、モータやコンプレッサー等(以下、振動源と称する)の振動を発生する側に取付けられる接続部材1と、マウント本体2と、振動が伝達される側に取付けられる接続部材3とによりその外形を構成している。接続部材1は、その一端部を装置にボルト等によって固定すると共に、他端部には、弾性材料で構成された断面円形のゴム部材4を取付けるための固定部5が形成されている。また、固定部5の上部には、薄い円盤状のストッパ6が環着されている。マウント本体2は、円筒形状のカップを逆さまにした形状であり、上部が開口した形状の開口部を備える。また、マウント本体2には、開口部から上部に延設されたフランジ部2aが形成されている。マウント本体2の下部には、支持台等に固定するための接続部材3が設けられている。ゴム部材4が取付けられた固定部5は、マウント本体2の開口部の内面にゴム部材4が密着するように嵌合され、固定される。このゴム部材4を取付けることによって、マウント本体2の内部に液室10が形成される。液室10は、マウント本体2の内部に設けられた仕切部材7によって、上部液室10aと下部液室10bに分割され、夫々に液体Lが封入される。また、仕切り部材7には、上部液室10aと下部液室10bとの間を連通し、封入された液体Lが両液室間を流入及び流出できるように、ら旋状に形成されたオリフィス8が形成されている。また、仕切部材7とマウント本体2の低部との間には、弾性材料(例えば、ゴム等)で構成されたドーム状のダイヤフラム9が設けられ、下部液室10bは、仕切部材7とダイヤフラム9とによって構成される。マウント本体2の低部は大気開放されていて、ダイヤフラム9が液室10b内の液体Lの圧力によって、ある程度伸縮可能なように構成されている。また、上部液室10aには、所定量の気体Gが封入されている。この気体Gは、空気や液室10に封入された液体Lに溶解しにくい特性を有する不活性ガスや、ヘリウムガス等であり、約0.5〜7cc程度封入される。この気体の充填量は、エンジン、モータ、コンプレッサー等の被支持物の重量によって、夫々異なるものである。また、振動源の振動によってこのゴム部材4の変位量が必要以上に大きくなると、マウント本体2に設けられたフランジ部2aとストッパ6とが当接して、ゴム部材4の変位を抑制する。
【0016】
<第1実施例の構成での伝達特性>
上記の構成において、ゴム部材4は、エンジン、モータ、コンプレッサー等を支持する支持機能と共に、外部から発生する振動を吸収する防振機能を備えている。一般に、振動源を支持する支持剛性が高くなると、液室の拡張しにくさを表す拡張剛性も大きな値となり、それに伴って伝達特性が大きな値となるため、制振機能が悪化する(振動源からの振動が伝わりやすくなる)。この拡張剛性を低くするために気体が封入されている。封入された気体Gは、その気体自身の圧縮特性によって、ゴム部材の変位による液室10aの拡張剛性を低くする働きがあり、低周波領域及び高周波領域での伝達特性を小さくしている。
【0017】
<第1実施例の構成での減衰特性>
低周波振動では、各液室10a、10b内に封入された液体Lは、ゴム部材4の変位によってオリフィス8を介して上部液室10aと下部液室10bとの間を移動するが、ある特定周波数になると、液体Lがオリフィス内で共振現象による目詰まりを起こし、各液室間を移動しない状態となる。即ち、オリフィス内の液体共振によって、特定領域のみの減衰を高める働きがある。しかしながら、伝達特性が高くなると減衰が極大値となる周波数が高くなって、モータやコンプレッサー等の振動源自身の制振機能に問題が生じる。従って、気体Gを封入し、低周波の特定領域での伝達特性を低下させる(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い減衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成されている。
【0018】
[第2実施例]
図3は、本発明に基づく第2実施例の振動緩衝装置の断面図である。また、図4は、図4の振動緩衝装置の要部を簡略化して示したモデル図である。図3、図4において、第2実施例で用いる振動緩衝装置200は、第1実施例のゴム部材4を固定する固定部5が上部液室10aの一部となり、エア室205を構成している。このエア室205は、コップの開口部を逆さまに向けたような状態で取付けられ、開口部の断面積はオリフィス8の断面積より大きく、且つ液室10aの断面積より小さく形成されている。また、このエア室205は、上部に気体Gが注入され、液室10aとの通路となっている。エア室205内の液体と気体とは、特定周波数において、液柱共振するエアデバイス220として機能している。その他、上記実施例と同一部材は、同一の機能を有するものとして同一番号を付与しその説明は省略する。
【0019】
<第2実施例での伝達特性>
上記第2実施例の構成において、エアデバイス部220に封入された気体Gは、第1実施例の場合と同様に、その気体自身の圧縮特性によって、ゴム部材の変位による液室10aの拡張剛性を低くする働きがあり、低周波領域及び高周波領域での伝達特性を小さくしている。しかしながら、特にエンジン等を有する車両は、車体やブラケット等の共振現象によって、高周波の特定周波数領域で音や振動が大きくなる特性があり、従来では、ダイナミックダンパ等で対処していた。このダイナミックダンパに代わるものがエアデバイス部220である。エアデバイス部220内では、注入された気体Gの圧縮特性によって、高周波の特定周波数領域で液柱共振現象が発生する。エアデバイス部の通路内の液柱共振周波数は、オリフィス内の液体共振周波数よりも高い値に設定されているので、この液柱共振現象を利用することによって、高周波の特定周波数領域での伝達特性を小さくできるのである。
【0020】
<第2実施例の構成での減衰特性>
第2実施例の構成においても、第1実施例の場合と同様の作用、即ち、気体Gをエア室205に注入し、液柱共振周波数より低い低周波の特定領域での伝達特性を低下させる(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い減衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成されている。
【0021】
<流体マウントの原理>
次に、上記各実施例で用いる流体封入式防振マウントの原理について説明する。
図5は、第2実施例の防振マウントのモデル図であり、図6は、図5の等価回路図である。また、図37は、空気バネのモデル図であり、図37に示す空気バネのバネ定数kは、体積V0、圧力P0、断面積Aとすると、ポリトロープ指数γを用いて、図38に示す式によって表すことができる。図5、図6及び図38において、エアデバイス内の流体の質量Md及び液室内の流体の質量Meは、下記に示す式1、2によって表されるので、
Md=ρbL…(1)
Me=ρal…(2)
ρ;流体密度、
L;エアデバイス部の長さ、
l;オリフィスの長さ、
上記式1、2によって定義される流体質量を用いて、図6の等価回路図では、下記に示す数1の運動方程式が成立する。
【0022】
【数1】
また、数1において、モデル図と等価な質量MD、MEは、下記式3によって表される。
(式3)
MD=(A/b)2md
ME=(A/a)2me
また、モデル図と等価な減衰CD、CEは、下記式4によって表される。
【0023】
(式4)
CD=(A/b)2cd
CE=(A/a)2ce
また、モデル図と等価なバネ定数KDは、図38によれば、式5によって表される。
【0024】
KD=(A/b)2kd=(A/b)2(γP0b2/V0)=γP0A2/V0 …(5)
また、モデル図における等価な変位量は、式6によって表される。
(式6)
YD=(b/A)yd
YE=(a/A)ye
以上の式3〜式6を用いて数1に示す運動方程式をラプラス変換によって解くと、下記に示す数2が成り立つ。
【0025】
【数2】
図7に示すように、図6のモデル図における各パラメータを設定すると、図8、図9に示すような結果が得られる。図8は、第2実施例の防振マウント200の伝達特性を示している。また、図9は、減衰特性を示している。尚、図7、図8、図9に示されているM0とは、従来の第2世代の構成の防振マウントの特性を示している。第2実施例で説明したように、エアデバイス部220に封入された気体Gを1ccとすると、エアデバイス部220内では、注入された気体Gの圧縮特性によって、高周波の特定周波数領域で液柱共振現象が発生する。エアデバイス部の通路内の液柱共振周波数は、オリフィス内の液体共振周波数よりも高い値に設定されているので、この液柱共振現象を利用することによって、高周波の特定周波数領域(図8の400Hz付近)での伝達特性を小さくできるのである。また、気体Gをエア室205に注入し、液柱共振周波数より低い低周波の特定領域での伝達特性を低下させる(図8に示す10〜20Hz付近)ことによって、高い減衰特性が得られ(図9に示す10〜20Hz付近)、制振機能が向上するように構成されている。
【0026】
<試験結果>
次に、本実施例の振動緩衝装置の試験結果について説明する。尚、エンジン等の重量については、車種によって大きな差はないと考え、一般的な重量を基準として説明する。
(振動伝達特性)
図10は、封入する気体量を0cc、0.5cc,1.5cc、7ccとした場合の周波数に基づく振動伝達特性を示す。また、図11は、入力される周波数を100Hzとした場合の封入される気体量に基づく振動伝達特性の変化を示す。図10において、気体の充填量が0ccの場合には、10Hz以上の振動伝達特性が最も高い値を示し、気体の充填量を増加するにつれて振動伝達特性は小さな値になる。これは、液室内に気体を封入する程、外部から入力される振動を吸収し、伝達されにくくなることを意味し、騒音の低減を図ることができる。しかしながら、気体の充填量を増加させる程、減衰特性が低下することになる。図11に示すように、入力される振動周波数が100Hzの場合、気体の充填量に基づく振動伝達特性は、充填量を0.5ccから1.5ccに増加すると、振動伝達特性が400(N/mm)から300(N/mm)と約75%程度低下する。同様に、充填量を0.5ccから3ccに増加すると、振動伝達特性が400(N/mm)から約270(N/mm)と約68%程度低下する。更に、7ccにまで増加すると、より振動伝達特性は低下するが、図11から分かるように、気体の充填量が7cc以上になると、振動伝達特性は変化しなくなる。なぜならは、7cc以上の気体を充填量では、振動源全体を支持する支持バネのみの機能を果たしているからである。
【0027】
(減衰特性)
図12は、封入する気体量を1cc〜10ccの夫々の場合の周波数に基づく減衰特性(Tanδ)特性を示す。また、図13は、封入される気体量に基づく減衰特性(Tanδ)のピーク値の変化を示す。図12、図13において、気体の充填量が1ccの場合には、Tanδ1.4以上の振動減衰特性が得られ、気体の充填量を増加するにつれて振動減衰特性は小さな値になり、充填量が7ccでは、Tanδ0.3程度になる。これは、液室内に気体を封入する程、外部から入力される振動の減衰特性(制振機能)が低下する一方、騒音の低減を図ることができることを意味する。
【0028】
(拡張バネとの関係)
図14は、図10に示すように封入する気体量を0cc、0.5cc、1.5cc、7ccと変えていくことより生じる拡張剛性の低下率に基づく振動伝達特性を示す。封入する気体量を0cc、0.5cc、1.5cc、7ccとした場合、拡張バネの拡張剛性の低下率は、0%、30%、50%、75%、95%というように低下する。これは、液室内に気体を封入する程、防振マウントの制振機能が低下し、流体及びゴム部材の弾性係数のみに依存した振動伝達特性が大きくなり、振動源全体を支持する支持バネの機能を果たすのみであることを意味する。
【0029】
以上の特性に関する試験結果において、気体充填量が0.5cc以下では振動伝達特性が大きく、気体充填量が7cc以上では振動伝達特性の変化量が小さくなる。従って、振動伝達特性(騒音)に関しては、封入すべき気体量は、0.5cc〜7ccが好適な量となる。また、振動源からの振動を低減するためには、Tanδを0.6以上に設定すると効果的であるため、図13から気体充填量が3cc以下に設定することが好ましい。従って、封入すべき気体量は、0.5cc〜3ccがより好適な量となる。
【0030】
尚、上述の実施例で説明した気体の充填量は、防振マウントの設計上の諸元値を図7に示す各値を基準として決定される量であり、例えば、使用環境や振動源全体の重量の変化に基づいてエアデバイス部や液室の断面積や長さ等を変更した場合には、その設計上の変更に伴って気体の充填量を増減させて、所望の振動伝達特性及び減衰特性が得られるようにチューニングされる。
【0031】
<従来技術との比較>
図15は、従来例で説明した第2世代の防振マウントと本実施例の気体封入式防振マウントとの振動伝達特性を比較した図である。図15に示すように、第2実施例の流体路内の液柱共振を利用して、気体を封入することにより、所定周波数帯の振動伝達特性を低下させるためのボトム周波数帯を設定し、その周波数帯の振動を低減させることができる。また、気体の充填量や流体路の断面積等のパラメータは、ボトム周波数帯が80Hz〜500Hzになるよう設定する。なぜならば、80Hz以下の周波数では人間は騒音を感知しにくいからである。また、車両に使用する防振マウントは、一般的にブラケットを介してボルト締結されるが、そのブラケットの共振が500Hz以上になると、こもり音として不快な音になる。従って、車両走行時に発生するこもり音等の原因となる振動を低減するようにボトム周波数を500Hz以下にチューニングすると共に、騒音を感知しにくい80Hz以上に設定すれば効果的に不快な音を低減することができる。
【0032】
また、一般に、流体マウントでは、連通孔(オリフィス)内での液柱共振の発生や流体の粘性抵抗等に影響される外力の振幅や周波数によって流体の流れ方が変化する。例えば、ゆっくりとしたスピードで外力が付与されると、液柱共振や粘性抵抗の影響が小さく、流体は高圧側から低圧側へ移動する。一方、液柱共振周波数よりも高い周波数で外力が付与されると、ほとんど流体がオリフィス内を流れない状態(目詰まりの状態)となる。
【0033】
従って、本発明の振動緩衝装置と、従来技術例として挙げた特開昭60−139507号に開示された構造との異なる点は、ゆっくりとしたスピードで外力を付与した場合、本発明の装置では、液体の流出する側に気体を充填しているのに対し、従来技術では、流体の流入する側に気体を充填している点である。即ち、その構造が根本的に異なっているのである。
【0034】
これらを性能面から比較すると、流体の流入や流出という現象は、気体室を形成する拡張バネのバネ定数の大きさの違いから生じるものである。即ち、流体は、拡張バネのバネ定数の大きい側から小さい側へ移動すると考えられる。従って、騒音が発生する領域となる高周波領域では、オリフィスは、目詰まりの状態になっているため拡張バネのバネ定数が大きいほど騒音を伝えやすくなる。即ち、本発明の振動緩衝装置では、拡張バネのバネ定数の大きい側に気体を充填しているため、この大きい側のバネ定数を低下させる(伝達特性を小さく設定する)ことにより大きな騒音低減効果を発揮するのに対し、従来技術に開示された構成では、拡張バネのバネ定数の小さい側に気体を充填しているため、騒音低減効果が小さいものとなるという性能面での違いがある。
【0035】
<騒音及び振動の低減性能>
次に、図16〜図20を参照して本実施例の振動緩衝装置を所望の性能に設定するための基準値の設定方法について説明する。図16は、気体の充填量に基づく振動源からの騒音低減評価結果を示す。また、図17は、気体の充填量に基づく振動源の振動低減評価結果を示す。更に、図18は、周波数に基づく拡張バネの振動伝達特性の低下状態を示す。図19は、拡張バネの振動伝達特性の低下率に基づく振動源の騒音低減評価結果を示す。尚、図20は、図16〜図19に示した各評価結果(点数)に対応する評価基準を示す図である。
【0036】
(騒音の低減に係わる封入気体量)
図16に示すように、気体の充填量は、0.5ccで騒音評価5点であり、騒音評価5点とは、図20を参照すると許容できる限界レベルを意味する。即ち、気体の充填量は、0.5cc以上で騒音評価5点以上を確保できることになる。また、更に気体の充填量を増加していくと7ccで騒音評価8点(図20でかなり良いレベル)に達し、それ以上気体を封入しても評価は変わらない。従って、気体の充填量を騒音を低減するという観点から考察すると、0.5cc以上で騒音の低減に対して効果的であるという結果を得ることができる。
【0037】
(振動源全体の振動低減に係わる封入気体量)
図17に示すように、気体の充填量は、7ccで振動評価5点であり、8ccで4.5点となり、図16及び図20から、気体の充填量は、7cc以下で振動評価5点以上を確保できることになる。また、気体の充填量が3cc以下で振動評価7点(図20で良いレベル)に達し、それ以下では更に振動評価は向上する。従って、気体の充填量を振動源全体からの振動を低減するという観点から考察すると、3cc以下(図13よりTanδ0.6以上)で振動源自身の振動の低減に対して効果的であるという結果を得ることができる。
【0038】
(振動源の騒音低減に係わる拡張バネの振動伝達特性低下率)
図19に示すように、拡張バネの振動伝達特性低下率は、50%以上で振動源の騒音評価6点以上であり、図19及び図20から、拡張バネの振動伝達特性低下率が50%以上になるように気体の充填量を設定することで、振動源の騒音評価6点以上を確保できることになる。また、図18に示すように、拡張バネの振動伝達特性低下率が50%以上とは、拡張バネの振動伝達特性が1/2以下となることを意味する。従って、拡張バネの振動伝達特性低下率という観点から考察すると、その振動伝達特性低下率が50%以上で振動源の騒音の低減に対して効果的であるという結果を得ることができる。
【0039】
以上の特性に関する試験結果及び性能評価結果から分かるように、図11及び図16では、気体充填量が0.5cc以下では振動伝達特性が大きく、気体充填量が7cc以上では振動伝達特性の変化量が小さくなる。従って、振動伝達特性(騒音)に関しては、封入すべき気体量は、0.5cc〜7ccが好適な量となる。また、振動源からの振動を低減するためには、Tanδを0.6以上に設定すると効果的であるため、図13及び図17から気体充填量が3cc以下に設定することが好ましい。従って、封入すべき気体量は、0.5cc〜3ccがより好適な量となる。
【0040】
[製造方法]
次に、上記各実施例で説明した振動緩衝装置としての防振マウントの製造方法を説明する。尚、上記各実施例で説明した部材は、夫々構成部材としてすでに製造されているものとする。以下にその全体的な製造工程を示す。
▲1▼先ず、マウント本体の内部に流体を注入する。
【0041】
▲2▼マウント本体の内部に混入している不要な空気を遮断又は排出する。
▲3▼予め決定された量の気体をマウント本体の内部に封入する。但し、封入される気体は、空気である。
▲4▼この状態で、マウントを圧縮し、密封する。このようにマウントに圧力を付与することによって、無負荷時での液室内の負圧によって気体を封じ込めておき、振動源の搭載時には液室内部が大気圧となりガスバネとして作用させる。
【0042】
以下に、▲3▼における気体の封入方法について説明する。
<第1の製造方法>
図21は、本実施例の流体マウントの第1の製造方法として気体の封入方法を示す。図21において、オリフィス8が形成された仕切部材7に凹部S1を設け、この凹部S1の体積を封入する気体の体積に設定し、凹部S1に連通孔Hを形成する。この仕切部材7を逆さにして予め流体を注入されたマウント本体内に組み入れ、その他の部品の組立を行い密封した後、正常な位置に戻す。すると、凹部S1に封入されていた空気が連通孔Hから液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0043】
<第2の製造方法>
図22は、本実施例の流体マウントの第2の製造方法として気体の封入方法を示す。図22において、ダイヤフラム9に凹部S2を設け、この凹部S2の体積を封入する気体の体積に設定する。このダイヤフラム9を逆さにして気体が逃げないように、予め流体を注入されたマウント本体内に組み入れ、その他の部品の組立を行い密封した後、正常な位置に戻す。すると、凹部S2に封入されていた空気が仕切部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0044】
<第3の製造方法>
図23は、本実施例の流体マウントの第3の製造方法として気体の封入方法を示す。図23において、ダイヤフラム9の組み付け時に、ダイヤフラム9の外周とマウント本体2の内周とを気密シールすることによって気体室S3を設け、この気体室S3の体積を封入する気体の体積に設定し、その他の部品の組立を行い密封した後、正常な位置に戻す。すると、気体室S3に封入されていた空気がオリフィス8から液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0045】
<第4の製造方法>
図24は、本実施例の流体マウントの第4の製造方法として気体の封入方法を示す。図24において、マウント本体の側壁部にエアだまり凹部S4を設け、このエアだまりS4の体積を封入する気体の体積に設定する。また、組立後にエアだまりS4が液室10aに連通するように仕切部材7の側壁部に連通孔H2を設ける。この仕切部材7を予め流体を注入されたマウント本体内に組み入れ、その他の部品の組立を行い密封することにより、エアだまりS4に封入されていた空気が連通孔H2から液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0046】
<第5の製造方法>
本実施例の流体マウントの第5の製造方法として気体の封入方法は、常温又は高温で固体から気体に昇華し、気体から固体又は液体に可逆変化しない物質(例えば、ナフタリン、炭酸ナトリウム等)を部品の組立、密封時に混入させる手法である。
【0047】
<第6の製造方法>
第6の製造方法として気体の封入方法は、流体に溶解しやすい物質(乳糖類のカプセル等)に封入する気体を入れ、部品の組立、密封時に混入させる手法である。
<第7の製造方法>
図25は、本実施例の流体マウントの第7の製造方法として気体の封入方法を示す。図25において、流体内にてマウント本体に気体を供給するための空気供給機構を設けピストン及びシリンダにより、供給空気量S5を封入する気体の体積に設定する。このマウント本体に流体中で気体を封入し、その他の部品の組立を行い密封することにより液室10a内への気体の封入が完了する。尚、この第7の製造方法では、シリンダーに不活性ガスのボンベを連結し、封入する気体を不活性ガスとしてもよい。また、ピストン及びシリンダを用いずに、注射器で気体を注入してもよい。
【0048】
<第8の製造方法>
図26は、本実施例の流体マウントの第8の製造方法として気体の封入方法を示す。図26において、治具501等によって支持することにより、真空引き500でダイヤフラム9に凹部S6を設け、この凹部S6の体積を封入する気体の体積に設定する。このダイヤフラム9を逆さにして気体が逃げないように、予め流体を注入されたマウント本体内に組み入れ、密封した後、真空引き500を開放し、正常な位置に戻す。すると、凹部S6に封入されていた空気が仕切部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0049】
<第9の製造方法>
図27は、本実施例の流体マウントの第9の製造方法として気体の封入方法を示す。図27において、マウントの全てを組み立てた後、ダイヤフラムに注射器503を突き差して定量の空気を封入する。この際、ダイヤフラム9の一部(注射器を突き差す部分)を他の部分より厚く形成して、ダイヤフラムからの液漏れを防止する。空気は仕切部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
【0050】
<第10の製造方法>
図28は、本実施例の流体マウントの第10の製造方法として気体の封入方法を示す。図28において、マウントの全てを組み立てた後、マウント本体の側壁部に注射器503を突き差して定量の空気を封入する。その後、封止部材を圧入して側壁部の穴を塞ぐ。尚、上記の気体封入方法において、マウント本体内部に気体を封入した後、Tanδをチェックし、封入空気量の補正工程を設け、上述の第8〜10の製造方法を封入空気量の補正工程に用いることもできる。
【0051】
(実施例の効果)
以上説明したように、上記各実施例の防振マウントによれば、気体の充填量に基づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるため、モータやコンプレッサー等の振動源の騒音を低減するように振動伝達特性を設定すると共に、高周波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させることが可能になる。
【0052】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施例を修正又は変形したものに適用可能である。例えば、本実施例では、液室内に封入する気体として、不活性ガスを用いたが、封入される流体と気体との組み合わせは、互いに溶解しにくいものであれば、不活性ガスに限定されるものではない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明の振動緩衝装置によれば、拡張バネの振動伝達特性低下率を50%以上、即ち、拡張バネの振動伝達特性を1/2以下になるよう設定することにより、防振性能をより高めることができる。このように、気体の充填量に基づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるため、モータやコンプレッサー等の振動源からの騒音を低減するように振動伝達特性を設定すると共に、液柱共振を利用して高周波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1実施例の振動緩衝装置の断面図である。
【図2】図1の振動緩衝装置の要部を簡略化して示したモデル図である。
【図3】本発明に基づく第2実施例の振動緩衝装置の断面図である。
【図4】図3の振動緩衝装置の要部を簡略化して示したモデル図である。
【図5】第2実施例の防振マウントのモデル図である。
【図6】図5の等価回路図である。
【図7】図6のモデル図における各パラメータの設定例を示す図である。
【図8】図6の仕様での第2実施例の防振マウント200の伝達特性を示す図である。
【図9】図6の仕様での第2実施例の防振マウント200の減衰特性を示す図である。
【図10】封入する気体量を変化させた場合の周波数に基づく振動伝達特性を示す図である。
【図11】入力周波数を100Hzとした場合の封入される空気量に基づく振動伝達特性の変化を示す図である。
【図12】封入する気体量を変化させた場合の周波数に基づく減衰特性を示す図である。
【図13】封入される空気量に基づく減衰特性のピーク値の変化を示す図である。
【図14】封入される空気量を変えることにより生じる拡張剛性の低下率に基づく振動伝達特性を示す図である。
【図15】従来例の防振マウントと本実施例の振動緩衝装置との振動伝達特性を比較した図である。
【図16】気体の充填量に基づく振動源の騒音の低減評価結果を示す図である。
【図17】気体の充填量に基づく振動源からの振動の低減評価結果を示す図である。
【図18】周波数に基づく拡張バネの振動伝達特性の低下状態を示す図である。
【図19】拡張バネの振動伝達特性の低下率に基づく振動源の騒音低減評価結果を示す図である。
【図20】図16〜図19に示した各評価結果(点数)に対応する評価基準を示す図である。
【図21】本実施例の流体マウントの第1の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図22】本実施例の流体マウントの第2の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図23】本実施例の流体マウントの第3の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図24】本実施例の流体マウントの第4の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図25】本実施例の流体マウントの第5の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図26】本実施例の流体マウントの第8の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図27】本実施例の流体マウントの第9の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図28】本実施例の流体マウントの第10の製造方法として気体の封入方法を示す図である。
【図29】第1世代の防振マウントの構成を示す断面図である。
【図30】振動の伝達特性及び減衰特性を定義する図である。
【図31】第1世代の防振マウントの構成による伝達特性を示す図である。
【図32】第1世代の防振マウントの構成による減衰特性を示す図である。
【図33】第2世代の防振マウントの構成を示す断面図である。
【図34】第2世代の防振マウントの構成による伝達特性を示す図である。
【図35】第3世代の防振マウントの構成を示す断面図である。
【図36】第3世代の防振マウントの構成による伝達特性を示す図である。
【図37】空気バネのモデル図である。
【図38】図37に示す空気バネのバネ定数kをポリトロープ指数γを用いた式によって表した図である。
【符号の説明】
1…接続部材、2…マウント本体、3…接続部材、4…ゴム部材、5…固定部、6…ストッパ、7…仕切部材、8…オリフィス、9…ダイヤフラム、10a、10b…液室、205…エア室、220…エアデバイス部、G…空気又は不活性ガス、L…液体。
Claims (3)
- 振動源を支持し、かつ変形可能となるようなバネ定数を持つ弾性ゴム部材と、流体の流入に伴う容積変化を許容するように弾性変形可能な薄膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する振動緩衝装置であって、
前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部材とを備え、
前記ゴム部材と流体の拡張及び収縮により前記振動を低減するための拡張バネを形成し、
前記主室には、前記オリフィスの液柱共振周波数よりも高い、オリフィス内に流体が流れない目詰まり状態となる特定の周波数帯域で、前記拡張バネのバネ定数が1/2以下になるような量の気体が注入されていることを特徴とする振動緩衝装置。 - 前記気体の注入量は、前記オリフィスの液柱共振周波数よりも高い、オリフィス内に流体が流れない目詰まり状態となる特定の周波数帯域で、前記バネ定数の低下率が75%以上になる量に設定されることを特徴とする請求項1に記載の振動緩衝装置。
- 前記気体は、空気又は窒素ガス又は不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の振動緩衝装置。
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