JP3721828B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式の防振装置に係り、例えばエンジンマウントやボデーマウント、或いは制振器等の自動車用防振装置として好適に用いられ得る流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、自動車のボデーや各種部材等のように振動(振動に起因する騒音等を含む)が問題とされる防振対象部材においては、その振動を低減するために、各種の防振装置が採用されている。具体的には、例えば、振動現と防振対象部材の間に介装されて振動源から防振対象部材に伝達される振動を低減するエンジンマウント等の防振連結体や、防振対象部材に直接に取り付けられて防振対象部材自体の振動を吸収,低減するダイナミックダンパ等の制振器などが、それである。
【0003】
そして、このような防振装置の一種として、より有効な防振効果を得るために、防振すべき振動の入力によって弾性変形せしめられる本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液室と、弾性変形可能な弾性壁部材で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された、弾性壁部材の弾性変形によって容積変化が許容される副液室を形成すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通する第一のオリフィス通路を設けた構造を有し、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が、提案されている。
【0004】
ところで、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果、特に低動ばね化による振動絶縁効果を有効に得るためには、オリフィス通路を通じての流体流動量を十分に確保することが望ましい。
【0005】
一方、オリフィス通路を通じての流体流動は、オリフィス通路がチューニングされた特定の周波数域において、共振作用等によって特に有利に生ぜしめられ得るが、かかるチューニング周波数を越えた領域では、オリフィス通路の流通抵抗が著しく大きくなってしまうために、動ばね定数が増大してしまい、振動絶縁性能が大幅に悪化するという不具合があった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、オリフィス通路のチューニング周波数域において、オリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されて優れた防振効果が発揮されると共に、チューニング周波数を越えた領域でも、著しい動ばね定数の増大が軽減されて、広い周波数域の振動に対して有効な防振効果を発揮し得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下の記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載の発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
本発明の第一の態様は、防振すべき振動の入力によって弾性変形せしめられる本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液室と、弾性変形可能な弾性壁部材で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された、該弾性壁部材の弾性変形によって容積変化が許容される副液室を形成すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通する第一のオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、前記弾性壁部材の中央部分にマス部材を固着せしめて、該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を腹とする振動モードによる一次共振周波数を、前記第一のオリフィス通路のチューニング周波数と略同じに設定すると共に、該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を節とする振動モードによる二次共振が、該第一のオリフィス通路のチューニング周波数より高周波数域で生ぜしめられるようにしたことにある。
【0009】
このような第一の態様に係る流体封入式防振装置においては、弾性壁部材が、防振を目的とする振動に応じた第一のオリフィス通路のチューニング周波数と略同じ周波数域で固有振動数をもつようにチューニングされる。そして、防振すべき振動入力時には、主液室から副液室に伝達される圧力変化によって弾性壁部材が固有振動数で加振されることにより、該弾性壁部材の共振現象によって副液室の圧力変化が積極的に生ぜしめられて、主液室と副液室の間に大きな圧力差が生ぜしめられることから、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されて、優れた防振効果が発揮され得る。また、第一のオリフィス通路のチューニング周波数より大きな周波数域の振動入力時にも、弾性壁部材の二次共振によって、副液室の圧力変化、ひいては主液室と副液室の圧力差が有利に生ぜしめられることから、第一のオリフィス通路の流体流通抵抗の増大に伴う流体流通量の著しい現象が防止されて、大幅な高動ばね化が回避されるのであり、その結果、広い周波数域に亘って良好な防振性能が発揮されるのである。
【0010】
なお、かかる流体封入式防振装置において、弾性壁部材は、例えばゴム弾性体等によって有利に形成され得、好適には、かかる弾性壁部材は、その外周縁部において、変位および変形不能に支持される。また、マス部材は、少なくとも弾性壁部材より高比重材で形成され、例えば鉄系等の金属製のマス部材が好適に採用される。更に、弾性壁部材は、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保されて、一次共振および二次共振が安定して生ぜしめられるように、本体ゴム弾性体よりも壁ばね剛性が小さく、且つ一定の初期形状および初期位置に復元し得るだけの弾性力を有することが望ましい。
【0011】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置において、前記弾性壁部材における二次共振周波数を、前記第一のオリフィス通路のチューニング周波数の2倍〜3倍の周波数域に設定したことを、特徴とする。即ち、第一の態様に係る流体封入式防振装置において、弾性壁部材における二次共振周波数は、第一のオリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域で防振すべき振動の周波数に応じて、適宜に設定され得るが、特に、本態様の如く、弾性壁部材における二次共振周波数を、第一のオリフィス通路のチューニング周波数の2倍〜3倍の周波数域に設定することにより、弾性壁部材の一次共振周波数と二次共振周波数の間での著しい高動ばね化を抑えつつ、弾性壁部材の一次共振作用と二次共振作用によって協働して、低動ばね特性による優れた防振周波数域を、広い周波数範囲に亘って連続的に形成することが可能となる。
【0012】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、前記マス部材を、前記弾性壁部材の中央に固着された脚部と、該弾性壁部材から少なくとも一方の面上に突出し、該弾性壁部材の弾性変形を拘束しない非接着状態で広がる頭部とを、含んで形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、弾性壁部材を大型化することなくその有効自由長を有利に確保しつつ、マス部材の質量の設定自由度を有利に確保することが可能となる。
【0013】
更にまた、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、壁部の一部が可撓性膜で構成されて内部に非圧縮性流体が封入された、容積変化が容易に許容される平衡室を形成すると共に、該平衡室を前記主液室に連通する第二のオリフィス通路を設けて、該第二のオリフィス通路を、前記第一のオリフィス通路よりも低周波数域にチューニングしたことを、特徴とする。このような本態様に係る流体封入式防振装置においては、振動入力時に主液室と平衡室の間に生ぜしめられる圧力差によって第二のオリフィス通路を通じて流動する流体の流動作用に基づいて、第一のオリフィス通路のチューニング周波数よりも更に低周波数域の振動に対して、有効な防振効果を得ることが出来る。それ故、流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮される周波数帯域が、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路の協働作用によって、一層広くされて、複数種類の振動に対する防振効果の更なる向上が達成され得るのである。
【0014】
また、本発明の第五の態様は、前記第四の態様に係る流体封入式防振装置において、前記弾性壁部材を挟んで、前記副液室と反対側に、前記平衡室を形成し、該弾性壁部材によって、それら副液室と平衡室を仕切ったことを、特徴とする。このような本態様においては、弾性壁部材を利用して、副液室と平衡室の隔壁を構成したことにより、平衡室を形成するに際して、構造の簡略化やスペース効率の向上等が達成され得る。
【0015】
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の態様に係る流体封入式防振装置において、前記マス部材を、前記弾性壁部材から前記副液室および前記平衡室の少なくとも一方の内部に突出して配設せしめたことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部材の配設スペースを効率的に確保することが出来、防振装置のコンパクト化が可能となる。また、マス部材の変位に伴う流体流動を利用して、弾性壁部材の共振現象を調節等することも可能である。
【0016】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の態様に係る流体封入式防振装置において、前記本体ゴム弾性体によって弾性的に連結された第一の取付部材と第二の取付部材を設けて、該第二の取付部材によって前記弾性壁部材の外周縁部を支持せしめる一方、それら第一の取付部材と第二の取付部材の何れか一方を、防振すべき対象に取り付けるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、目的とする流体封入式防振装置を簡単な構造をもって有利に実現することが出来る。特に、第一の取付部材を振動伝達部材(振動発生部材等)と被振動伝達部材(防振対象部材)の何れか一方に取り付けると共に、第二の取付部材を、それらの他方に取り付けることにより、本発明に従う構造とされたエンジンマウント等の防振連結体が有利に実現され得る。また、第一の取付部材と第二の取付部材の何れか一方を防振対象部材に取り付けることにより、それら第一の取付部材と第二の取付部材の他方を、防振対象部材に対して、本体ゴム弾性体で弾性支持せしめて一つの振動系を構成することにより、制振器が有利に構成され得る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0018】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔てて配された第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されており、第一の取付金具12がパワーユニット側に固着されると共に、第二の取付金具14がボデー側に固着されることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、かかるエンジンマウント10は、自動車への装着状態下でパワーユニットの重量が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が圧縮変形して、第一の取付金具12と第二の取付金具14が互いに接近方向に所定量だけ変位せしめられる。また、そのような装着状態下、防振すべき主たる振動が、第一の取付金具12と第二の取付金具14の略対向方向(図中、略上下方向)に入力されることとなる。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいう。
【0019】
より詳細には、第一の取付金具12は、略有底円筒形状のカップ状金具18の開口部に略円板形状の蓋金具20が重ね合わされて溶着されることにより、中空構造をもって形成されている。なお、蓋金具20には、中央部分から軸方向外方に突出する取付ボルト22が固設されており、この取付ボルト22によって、第一の取付金具12が、図示しないパワーユニット側に固定的に取り付けられるようになっている。
【0020】
また、第二の取付金具14は、それぞれ大径の略円筒形状を有する上筒金具24と下筒金具26が軸方向に重ね合わされると共に、それら上下筒金具24,26の外周面から径方向外方に広がるようにして、略円環板形状の取付板金具28が固設されることによって、形成されている。即ち、上筒金具24の下端開口部には、径方向外方に広がるフランジ部30が一体形成されている一方、下筒金具26の上端開口部には、径方向外方に広がるフランジ部32が形成されていると共に、該フランジ部32の外周縁部が上方に向かって立ち上げられて筒状の竪壁部34が一体形成されている。そして、下筒金具26の竪壁部34の先端面に、上筒金具24のフランジ部30の外周縁部が重ね合わされて、上下筒金具24,26が、同一中心軸上に配設されている。また、取付板金具28は、その内周縁部が、周方向の複数箇所において、軸方向上方に向かって立ち上げられてかしめ部36とされており、各かしめ部36の突出先端部分が径方向内方に屈曲されることにより、該かしめ部36の突出先端部分と、取付板金具28の内周縁部におけるかしめ部36が形成されていない部分との間で、上下筒金具24,26のフランジ部30,32が軸方向に挟持されている。これにより、上下筒金具24,26が、取付板金具28を介して、互いに固定的に連結されており、以て、これら上下筒金具24,26と取付板金具28によって、第二の取付金具14が協働して形成されている。
【0021】
なお、上筒金具24の上側開口部分は、軸方向所定長さに亘って、開口部側に向かって次第に拡径するテーパ部36とされている。また、取付板金具28の外周部分には、互いに周方向に離間して複数のボルト挿通孔40が形成されており、これらのボルト挿通孔40に挿通される取付ボルトによって、第二の取付金具14が、図示しないボデーに固定的に取り付けられるようになっている。
【0022】
そして、第二の取付金具14の上側開口部側に離間して、第一の取付金具12が、略同一中心軸上で対向配置されており、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が介装されている。この本体ゴム弾性体16は、上方に向かって小径化する円錐台形状を有していると共に、大径側端面に開口する凹所42が形成されている。そして、かかる本体ゴム弾性体16の小径側端面に蓋金具20が重ね合わされ、カップ状金具18が内部に埋入された状態で、第一の取付金具12が本体ゴム弾性体16の小径側端部に加硫接着されている。一方、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面には、第二の取付金具14を構成する上筒金具24のテーパ部36の内周面に加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12と上筒金具24を備えた一体加硫成形品として形成されている。また、このようにして第一の取付金具12と第二の取付金具14(上筒金具24)が本体ゴム弾性体16で連結されることによって、第二の取付金具14(上筒金具24)における上側開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に覆蓋されている。
【0023】
また、本体ゴム弾性体16は、上筒金具24の内周面を覆うように軸方向下端部にまで延びており、以て、上筒金具24のフランジ部30の下面を所定厚さで覆う環状のシールゴム44が形成されている。即ち、このシールゴム44は、上筒金具24のフランジ部30の下面に固着されていると共に、下筒金具26のフランジ部32の上面に圧接されており、以て、それら上下筒金具24,26のフランジ部30,32間が流体密にシールされているのである。
【0024】
更にまた、第二の取付金具14を構成する下筒金具26には、軸方向中間部分に段差部44が形成されており、以て、該段差部44を挟んで軸方向上側が大径筒部45とされていると共に、段差部44よりも軸方向下側の開口部分が、軸方向所定長さに亘って、小径円筒形状を有する小径筒部46とされている。そして、この小径筒部46内に略円板形状を有する弾性壁部材としてのゴム壁48が配設されている。かかるゴム壁48は、ゴム弾性体によって形成されて、中央部分から径方向外方に行くに従って次第に肉厚寸法が小さくなる円板形状を有しており、その外周面が、下筒金具26の小径筒部46の内周面に加硫接着されている。要するに、略円板形状のゴム壁48は、下筒金具26の下側開口部において軸直角方向に広がって配設されており、外周縁部が下筒金具26に加硫接着されることにより、下筒金具26の下側開口部が、かかるゴム壁48によって流体密に覆蓋されているのである。
【0025】
そして、かくの如く、第二の取付金具14(下筒金具26)の軸方向下側の開口部がゴム壁48で流体密に覆蓋されることにより、第二の取付金具14の中空内部には、本体ゴム弾性体16とゴム壁48の対向面間において、非圧縮性流体が充填されて封入された流体室50が形成されている。なお、封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が好適に採用されるが、後述する流体の共振作用を一層有利に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、流体室50への非圧縮性流体の充填および封入は、例えば、本体ゴム弾性体16が加硫接着された上筒金具24と、ゴム壁48が加硫接着された下筒金具26を、取付板金具28で固定することによる一体化を、非圧縮性流体中で行うこと等によって有利に為され得る。
【0026】
さらに、このようにして形成された流体室50には、軸方向の中間部分に位置して軸直角方向に広がる仕切部材としての仕切板金具52が配設されている。この仕切板金具52は、金属等の硬質材で形成されて、薄肉の円板形状を有しており、外周縁部を、上下筒金具24,26のフランジ部30,32間で流体密に挟持されることにより、第二の取付金具14に対して固定的に取り付けられている。これにより、流体室50が、仕切板金具52によって流体密に二分されており、以て、仕切板金具52を挟んで上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめられる主液室54が形成されている。一方、仕切板金具52を挟んで下側には、壁部の一部がゴム壁48で構成されて、該ゴム壁48の弾性変形に基づいて容積変化が許容され、或いは圧力変化が生ぜしめられる副液室56が形成されている。なお、副液室56は、主液室54に比べて、壁ばね剛性が小さくされており、本実施形態では、ゴム壁48の方が、本体ゴム弾性体16よりも薄肉で弾性変形容易とされている。
【0027】
また、仕切板金具52の下面には、金属等の硬質材で形成されて、該仕切板金具52と略同じ薄肉の円板形状を有するオリフィス板金具58が、密接状に重ね合わされており、外周縁部が、仕切板金具52の外周縁部と共に、第二の取付金具14で固定的に挟持されることによって配設されている。このオリフィス板金具58には、外周縁部に沿って周方向に一周弱の長さで延びる、上面に開口した凹溝60が形成されており、この凹溝60が仕切下金具52で流体密に覆蓋されることによって、流体室50の外周部分を周方向に延びる第一のオリフィス通路62が形成されている。そして、該第一のオリフィス通路62の周方向両端部が、それぞれ連通孔64,66を通じて主液室54と副液室56に接続されており、以て、主液室54と副液室56の間で、それら両室54,56間での圧力差に基づいて、第一のオリフィス通路62を通じての流体流動が許容されるようになっている。
【0028】
更にまた、副液室56内には、マス部材68が収容配置されており、該マス部材68の一部が、ゴム壁48の中央部分に対して加硫接着されている。かかるマス部材68は、金属等の硬質且つ高比重な材料で形成されており、副液室56の周壁部を構成する下筒金具26の内径よりも小さな外径と、下筒金具26の大径筒部45よりも小さな軸方向長さを有する円形ブロック形状の頭部70と、該頭部70の中心軸上で軸方向下方に向かって突出する小径ロッド形状の脚部72から構成されている。そして、脚部72の突出下端が、ゴム壁48の中心軸上に埋入された状態で、該ゴム壁48の中央に加硫接着されており、この脚部72によって支持された状態で、副液室56よりも一回り小さい頭部70が、副液室56内の略中央部分に位置して、副液室56の壁部には当接しない状態で配設されている。
【0029】
要するに、マス部材68は、その脚部72が、ゴム壁48を介して、第二の取付金具14に対して弾性的に連結されることにより、該第二の取付金具14によって弾性支持されているのであり、副液室56内において、頭部70の周囲に所定量の間隙が形成されていることによって、かかるマス部材68が、ゴム壁48の弾性変形に基づいて、副液室56の壁部に干渉することなく変位可能とされている。なお、かかるマス部材68は、その鉛直方向(図中、上下方向)の慣性主軸が、弾性支持部材としてのゴム壁48における鉛直方向の弾性主軸に対して、略一致するように設定されており、それによって、鉛直方向の加振力が及ぼされた際に、ゴム壁48の弾性変形と、それに基づくマス部材68の変位が、安定して鉛直方向に生ぜしめられるようになっている。また、本実施形態では、小径の脚部72だけがゴム壁48に固着されることにより、ゴム壁48よりも大径の頭部70を有する大形のマス部材68が、ゴム壁48を殆ど拘束することなく、ゴム壁48を介して、弾性支持されている。
【0030】
そして、本実施形態では、第一のオリフィス通路62が、その内部を通じて流動せしめられる流体の共振作用が、防振すべき第一の振動、例えばアイドリング振動の周波数域で発揮されるように、チューニングされている。かかるチューニングは、例えば、封入流体の比重や、主液室54および副液室56の壁ばね剛性等を考慮して、第一のオリフィス通路62の通路断面積や通路長さを適当に調節することによって行うことが可能である。
【0031】
また、副液室56の壁部を構成するゴム壁48は、その中央部分にマス部材68が固着されていることにより、ゴム壁48の弾性をバネとし、マス部材68をマスとする一つの振動系を構成しており、かかる振動系において、マス部材68が固着された中央だけを腹とし外周縁部だけを節とする一次の振動モードとなる一次共振周波数が、第一のオリフィス通路62の共振周波数と略同じになるように、チューニングが施されている。なお、かかるチューニングは、例えば、マス部材68の変位に伴う封入流体の流動抵抗等を考慮し、マス部材68の質量やゴム壁48のばね定数を調節することによって行うことが可能である。
【0032】
ここにおいて、第一のオリフィス通路62の共振周波数は、ゴム壁48とマス部材68からなる振動系の共振周波数のチューニングによる影響も受けることとなるが、その際、例えば、マス部材68を装着しないゴム壁48を採用した場合の第一のオリフィス通路62の共振周波数が、防振すべき第一の振動の周波数(例えば、アイドリング振動の周波数)よりも僅かに高くなるように、該第一のオリフィス通路62をチューニングすることが有効である。それによって、マス部材68を装着した状態下で、第一のオリフィス通路62の共振周波数と、ゴム壁48およびマス部材68からなる振動系の共振周波数とを、何れも、防振すべき第一の振動の周波数に対して有利に合わせることが可能となるのである。
【0033】
また、ゴム壁48は、その中央部分だけにマス部材68が固着されていることから、上述の如き一次共振周波数より高い周波数の加振力が及ぼされると、マス部材68が変位しなくなって、マス部材68により、ゴム壁48の中央部分が積極的に拘束される。その結果、かかるゴム壁48は、中央部分と外周部分が固定的に支持された状態となり、半径方向の略中央を腹とし、中央部分と外周部分を節とする振動モードによって二次共振が生ぜしめられることとなる。この二次共振は、一次共振の振動モードに比して、自由長が略半分(ゴム壁48の略半径寸法)となり、且つマス質量が、基本的にゴム壁48自身の質量分だけとなることから、一次共振よりも高周波数とされる。特に、本実施形態では、かかるゴム壁48の二次共振が、一次共振周波数の略2.5倍程度の周波数域に生ぜしめられるように、ゴム壁48の寸法や材質等が設定されている。
【0034】
上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、アイドリング振動の如き防振すべき第一の振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づく主液室54の圧力変化に伴って、第一のオリフィス通路62を通じての主液室54と副液室56の間での流体流動が生ぜしめられる。そして、この第一の振動の周波数にチューニングされた第一のオリフィス通路62で、流体の共振作用が発揮されて、低動ばね作用に基づく防振効果が発揮されることとなるが、その際、ゴム壁48においても、一次共振が生ぜしめられて、大きな弾性変形が生ぜしめられる。その結果、このゴム壁48の一次共振によって、主液室54と副液室56の相対的な圧力差が増大されて、第一のオリフィス通路62を通じての流体流動量が一層増大され得るのであり、それによって、流体の共振作用に基づく低動ばね作用が一層有利に発揮されて、より優れた防振効果(振動絶縁効果)が発揮されるのである。
【0035】
しかも、第一の振動よりも高周波域の、例えば低速こもり音の如き、防振すべき第二の振動が入力されると、第一のオリフィス通路62の流通抵抗が著しく増大すると共に、マス部材68の変位も小さくなって、ゴム壁48の一次共振モードでの振幅が著しく減少することとなるが、入力振動が、ゴム壁48に設定された二次共振周波数に近づくと、第一のオリフィス通路62を通じての僅かな流体流動によって副液室56に伝達される圧力変動や、第二の取付金具14からゴム壁48に直接に伝達される加振力等に基づいて、副液室56に積極的な圧力変化が生ぜしめられることにより、第一のオリフィス通路62を通じての流体流動量の増大が図られる。その結果、第一のオリフィス通路62の実質的な閉塞化が軽減乃至は回避されて、著しい高動ばね化が防止されるのであり、以て、第二の振動に対しても、良好なる防振効果(振動絶縁効果)が発揮されるのである。
【0036】
次に、図2には、本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウント80が示されている。なお、本実施形態において、第一の実施形態のエンジンマウントと同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0037】
すなわち、本実施形態のエンジンマウント80においては、仕切板金具52の下面に重ね合わされたオリフィス板金具58の更に下面に環状オリフィス金具82が重ね合わされて、それら仕切板金具52およびオリフィス板金具58と共に、該環状オリフィス金具82の外周縁部が、第二の取付金具14で固定的に挟持されることによって配設されている。この環状オリフィス金具82は、大径の中央透孔83を備えた円環ブロック形状を有しており、外周縁部には、径方向外方に向かってフランジ状に広がって第二の取付金具14に挟持される支持片84が一体形成されている一方、内周縁部には、軸方向下方に向かって円筒状に延び出す筒壁部86が一体形成されている。
【0038】
なお、本実施形態では、第一のオリフィス通路62を形成するオリフィス板金具58の凹溝60が、環状オリフィス金具82の中央透孔83内に突出して位置するように、オリフィス板金具58の径方向中間部分を周方向に延びる構造とされている。
【0039】
また、環状オリフィス金具82の中央透孔83は、その上側開口部が、オリフィス板金具58で流体密に覆蓋されている一方、その下側開口部が、ゴム壁90によって流体密に覆蓋されている。このゴム壁90は、第一の実施形態におけるゴム壁(48)と同様、ゴム弾性体によって形成されて、中央から外周側に向かって僅かなテーパをもって次第に薄肉化する円板形状を有しており、外周面の全周に亘って、環状オリフィス金具82の筒壁部86の内周面に加硫接着されている。そして、かくの如く、環状オリフィス金具82における中央透孔83の上下開口部がオリフィス板金具58とゴム壁90で覆蓋されることにより、非圧縮性流体が封入されると共に、壁部の一部がゴム壁90で構成されて、該ゴム壁90の弾性変形に基づいて容積変化が許容され、或いは圧力変化が生ぜしめられると共に、第一のオリフィス通路62を通じて主液室54に連通された副液室56が形成されている。
【0040】
また一方、第二の取付金具14を構成する下筒金具26の下側開口部には、変形が容易に許容される可撓性膜としての薄肉ゴム膜からなるダイヤフラム92が配設されている。かかるダイヤフラム92は、その外周縁部が、下筒金具26の下側開口周縁部に加硫接着されて、容易に弾性変形するように、弛みをもった状態で配設されている。そして、このダイヤフラム92で下筒金具26の下側開口部が流体密に覆蓋されることにより、下筒金具26の内部には、非圧縮性流体が封入されると共に、壁部の一部を構成するダイヤフラム92の変形に基づいて容易に容積変化が許容されて圧力変化が吸収される平衡室94が形成されている。
【0041】
すなわち、この平衡室94は、副液室56を挟んで、主液室54と反対側に位置せしめられているのであり、平衡室94と副液室56を仕切る隔壁の一部が、ゴム膜90によって構成されている。また、副液室56の周囲に配設された環状オリフィス金具82には、上面に開口する凹溝形状をもって周方向に略一周の長さで延びる周溝96が形成されており、この周溝96がオリフィス板金具58で覆蓋されることによって、第二のオリフィス通路98が形成されている。そして、この第二のオリフィス通路98の周方向一方の端部が、連通孔100を通じて副液室56に連通されていると共に、周方向他方の端部が、連通孔102を通じて平衡室94に連通されており、以て、副液室56と平衡室94の間で、連通孔102を通じての流体流動が許容されるようになっている。
【0042】
なお、第二のオリフィス通路98は、第一のオリフィス通路62よりも、通路断面積:Aと通路長さ:Lの比:A/Lの値が小さく設定されており、内部を通じて流動せしめられる流体の共振作用が、第一のオリフィス通路62よりも低周波数域で生ぜしめられるようにチューニングされている。具体的には、例えば、シェイク等に相当する10Hz程度の振動入力時に、該第二のオリフィス通路98を通じて流動する流体の共振作用に基づいて高減衰効果が発揮されるように、チューニングされる。
【0043】
また、平衡室94には、マス部材68が収容配置されており、副液室56と平衡室94を仕切るゴム壁90によって弾性的に支持されている。このマス部材68は、第一の実施形態と同様、頭部70と脚部72を備えており、頭部70の中央から上方に向かって脚部72が突出する形態(第一の実施形態とは、上下逆向きの形態)で、平衡室94内に収容配置されており、その脚部72の突出先端部が、ゴム壁90の中央部分に入り込んだ状態で加硫接着されている。また、かかる装着状態下、マス部材68の頭部70は、平衡室94内の中間部分に位置し、平衡室94の壁部から離間して配設されており、ゴム壁90の弾性変形に基づくマス部材68の変位が、平衡室94の壁部に干渉することなく許容されるようになっている。なお、本実施形態においても、マス部材68の上下方向(主たる振動入力方向)の慣性主軸が、ゴム壁90の上下方向(主たる振動入力方向)の弾性主軸に略一致せしめられている。
【0044】
そして、第一のオリフィス通路62と、ゴム壁90等には、前記第一の実施形態と同様、それぞれ防振すべき第一の振動および第二の振動に応じたチューニングが施されている。
【0045】
従って、このような構造とされた本実施形態のエンジンマウント80において、防振すべき第一の振動として例えばアイドリング振動が入力された場合には、前記第一の実施形態と同様、第一のオリフィス通路62を通じて主液室54と副液室56の間を流動する流体の共振作用が生ぜしめられると共に、ゴム壁90の一次の振動モードによる一次共振によって副液室56に積極的な圧力変化乃至は容積変化が生ぜしめられることにより、第一のオリフィス通路62を通じての流体流動量が増大されて、流体の共振作用に基づく防振効果が、極めて有利に発揮されることとなる。また、より高周波域の防振すべき第二の振動として例えばアイドリング高次振動や低速こもり音等が入力された場合には、前記第一の実施形態と同様、ゴム壁90の二次の振動モードによる二次共振によって副液室56に積極的な圧力変化乃至は容積変化が生ぜしめられることにより、第一のオリフィス通路62を通じての流体流動量が確保されて、著しい高動ばね化が回避されることにより、良好なる防振効果が発揮され得るのである。
【0046】
なお、第二のオリフィス通路98は、常時、連通状態にあるが、第一のオリフィス通路62に比べて流通抵抗が高く、特に第一のオリフィス通路62の共振周波数域では、第二のオリフィス通路98が略閉塞状態となる程に第二のオリフィス通路98の流通抵抗が増大することから、ゴム壁90の共振作用に基づく第一のオリフィス通路62を通じての流体流動量の増大乃至は維持効果が、第二のオリフィス通路98によって大幅に低下することなく、安定して有利に発揮され得る。
【0047】
さらに、本実施形態のエンジンマウント80においては、第一のオリフィス通路62のチューニング周波数より低周波数域の振動、例えばシェイク振動等が入力された際、主液室54と副液室56および平衡室94の間に相対的な圧力差が生ぜしめられるが、その際、共振状態でないゴム壁90の変形量が小さいことに加えて、第二のオリフィス通路98を通じての流体の共振作用が生ぜしめられることから、主液室54と平衡室94の間で、副液室56を介して、第二のオリフィス通路98を通じての流体流動が有利に生ぜしめられることとなる。その結果、入力されるシェイク等の低周波大振幅振動に対して、第二のオリフィス通路98を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果(例えば、高減衰効果)が有効に発揮されるのである。
【0048】
因みに、第一のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振周波数およびゴム壁90の一次共振モードでの共振周波数を、それぞれ、アイドリング振動に相当する中周波数域にチューニングすると共に、ゴム壁90の二次共振モードでの共振周波数をアイドリング高次振動や低速こもり音等に相当する中周波数域にチューニングし、且つ第二のオリフィス通路98を流動せしめられる流体の共振周波数をシェイク等に相当する低周波数域にチューニングした場合のエンジンマウント80における絶対ばね定数および位相の周波数特性を求めた結果を、図3に示す。なお、かかる周波数特性は、パワーユニットの支持荷重として、450Nの静的な初期荷重を及ぼした状態下で、振幅値:0.05mmの加振力を第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力した場合について求めたものである。また、比較例として、マス部材68を取り去った同一構造のエンジンマウントについて、同様に周波数特性を求めた結果を、図3に併せ示す。
【0049】
かかる図3に示された結果からも、本実施形態に従うエンジンマウント80においては、エンジンシェイクに相当する低周波数域での高減衰効果と、アイドリング振動に相当する中周波数域での低動ばね効果を、何れも十分に確保しつつ、アイドリング高次振動や低速こもり音等に相当する高周波数域において、絶対ばね定数の上昇が抑えられて、低動ばね効果による優れた防振性能が広い周波数域に亘って達成されることが、明らかに認められる。即ち、図3に斜線で示した領域分が、マス部材68の付加によって実現し得た本発明による絶対ばね定数の低減効果代と解釈することが出来るのである。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0051】
例えば、前記実施形態では、マス部材68が、副液室56や平衡室94の封入流体中に配設されていたが、かかるマス部材68を、例えば、第一の実施形態のエンジンマウント10において副液室56と反対側に突出配置すること等により、外部空間に配設することも可能である。また、マス部材68の形状や大きさ等も、要求される防振特性やマウント構造等に応じて適宜に設定されるものであって、何等、限定されるものでない。
【0052】
また、主液室54と副液室56、更には平衡室94を連通するオリフィス通路の構造や形状等は、要求される防振特性や防振装置の構造等を考慮して適宜に設定されるものであって、前記実施形態によって、何等、限定されるものでない。
【0053】
更にまた、前記実施形態では、第一の取付金具12が、振動伝達部材たるパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具14が、振動被伝達部材たるボデー側に取り付けられていたが、それとは逆に、ゴム壁48,90を支持する第二の取付金具14を振動伝達部材側に、第一の取付金具12を振動被伝達部材側に、それぞれ取り付けるようにしても良い。その場合には、ゴム壁48,90に対して、封入流体を介しての加振力が及ぼされると共に、振動伝達部材からの入力振動によって直接的な加振力も及ぼされ得る。
【0054】
また、前記第二の実施形態のエンジンマウント80では、第二のオリフィス通路98が、副液室56を介し、第一のオリフィス通路62に対して直列的に接続されていたが、該第二のオリフィス通路98を、副液室56を介することなく、主液室54と平衡室94を直接に連通せしめる形態で、第一のオリフィス通路62から独立して並列的に形成しても良い。
【0055】
また、第一の取付部材としての軸部材の径方向外方に離間して、第二の取付部材としての外筒部材を、同軸的に若しくは偏心して配設すると共に、それら軸部材と外筒部材を、それらの径方向対向面間に配設した本体ゴム弾性体で弾性的に連結せしめて、軸部材と外筒部材の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成した筒形の防振装置に対しても、本発明は適用可能である。
【0056】
更にまた、主液室54と副液室56を仕切る仕切壁部に対して、微小距離だけ変形乃至は変位可能な可動板を配設せしめて、高速こもり音等のより高周波数域の振動入力時における主液室54の圧力変化を吸収することにより、高周波数域の防振効果を向上させることも可能である。
【0057】
加えて、本発明は、自動車用エンジンマウントの他、自動車用ボデーマウントやデフマウント、サスペンションブッシュ等、或いは自動車以外の装置に用いられる各種の防振装置に対して、同様に適用可能であることは、勿論である。
【0058】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域の振動入力時に、該第一のオリフィス通路を流動する流体の共振作用と、弾性壁部材の一次共振作用とによって、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保され得て、流体の共振作用に基づく防振効果が極めて有効に発揮されるのであり、また、より高周波域の振動入力時には、弾性壁部材の二次共振作用によって第一のオリフィス通路の実質的な閉塞化が軽減乃至は回避されることにより、著しい高動ばね化が防止されて、広い周波数域の振動に対して良好な防振効果が発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図3】本発明の第二の実施形態のエンジンマウントについて、動ばね定数および位相の周波数特性を求めた結果を、比較例と共に示すグラフである。
【符号の説明】
10,80 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
48 ゴム壁
50 流体室
52 仕切板金具
54 主液室
56 副液室
62 第一のオリフィス通路
68 マス部材
70 頭部
72 脚部
90 ゴム壁
92 ダイヤフラム
94 平衡室
98 第二のオリフィス通路

Claims (7)

  1. 防振すべき振動の入力によって弾性変形せしめられる本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液室と、弾性変形可能な弾性壁部材で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された、該弾性壁部材の弾性変形によって容積変化が許容される副液室を形成すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通する第一のオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記弾性壁部材の中央部分にマス部材を固着せしめて、該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を腹とする振動モードによる一次共振周波数を、前記第一のオリフィス通路のチューニング周波数と略同じに設定すると共に、該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を節とする振動モードによる二次共振が、該第一のオリフィス通路のチューニング周波数より高周波数域で生ぜしめられるようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記弾性壁部材における二次共振周波数が、前記第一のオリフィス通路のチューニング周波数の2倍〜3倍の周波数域に設定されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記マス部材が、前記弾性壁部材の中央に固着された脚部と、該弾性壁部材から少なくとも一方の面上に突出し、該弾性壁部材の弾性変形を拘束しない非接着状態で広がる頭部とを、含んで形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 壁部の一部が可撓性膜で構成されて内部に非圧縮性流体が封入された、容積変化が容易に許容される平衡室を形成すると共に、該平衡室を前記主液室に連通する第二のオリフィス通路を設けて、該第二のオリフィス通路を、前記第一のオリフィス通路よりも低周波数域にチューニングした請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記弾性壁部材を挟んで、前記副液室と反対側に、前記平衡室が形成されており、該弾性壁部材によって、それら副液室と平衡室が仕切られている請求項4に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記マス部材を、前記弾性壁部材から前記副液室および前記平衡室の少なくとも一方の内部に突出して配設せしめた請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記本体ゴム弾性体によって弾性的に連結された第一の取付部材と第二の取付部材を設けて、該第二の取付部材によって前記弾性壁部材の外周縁部を支持せしめる一方、それら第一の取付部材と第二の取付部材の何れか一方を、防振すべき対象に取り付けるようにした請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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