JP2000249184A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JP2000249184A
JP2000249184A JP5510899A JP5510899A JP2000249184A JP 2000249184 A JP2000249184 A JP 2000249184A JP 5510899 A JP5510899 A JP 5510899A JP 5510899 A JP5510899 A JP 5510899A JP 2000249184 A JP2000249184 A JP 2000249184A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィス通路のチューニング周波数よりも
高周波数域における著しい高動ばね化が抑えられて、広
い周波数域に亘って優れた防振効果を発揮し得る流体封
入式防振装置を提供すること。 【解決手段】 本体ゴム弾性体16で壁部の一部が構成
された主液室54と、弾性壁部材48で壁部の一部が構
成された副液室56を、第一のオリフィス通路62で連
通せしめると共に、該弾性壁部材48の中央部分にマス
部材68を固着して支持せしめて、かかる弾性壁部材4
8における一次共振周波数を、第一のオリフィス通路6
2のチューニング周波数と略同じに設定すると共に、該
弾性壁部材48における二次共振が、第一のオリフィス
通路62のチューニング周波数よりも高周波数域で生ぜ
しめられるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に封入された非圧縮性流体
の共振作用等の流動作用を利用して防振効果を得るよう
にした流体封入式の防振装置に係り、例えばエンジンマ
ウントやボデーマウント、或いは制振器等の自動車用防
振装置として好適に用いられ得る流体封入式防振装置に
関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車のボデーや各種部材等の
ように振動(振動に起因する騒音等を含む)が問題とさ
れる防振対象部材においては、その振動を低減するため
に、各種の防振装置が採用されている。具体的には、例
えば、振動現と防振対象部材の間に介装されて振動源か
ら防振対象部材に伝達される振動を低減するエンジンマ
ウント等の防振連結体や、防振対象部材に直接に取り付
けられて防振対象部材自体の振動を吸収,低減するダイ
ナミックダンパ等の制振器などが、それである。
【0003】そして、このような防振装置の一種とし
て、より有効な防振効果を得るために、防振すべき振動
の入力によって弾性変形せしめられる本体ゴム弾性体で
壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液
室と、弾性変形可能な弾性壁部材で壁部の一部が構成さ
れて非圧縮性流体が封入された、弾性壁部材の弾性変形
によって容積変化が許容される副液室を形成すると共
に、それら主液室と副液室を相互に連通する第一のオリ
フィス通路を設けた構造を有し、オリフィス通路を通じ
て流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づ
いて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が、
提案されている。
【0004】ところで、オリフィス通路を通じて流動せ
しめられる流体の流動作用に基づく防振効果、特に低動
ばね化による振動絶縁効果を有効に得るためには、オリ
フィス通路を通じての流体流動量を十分に確保すること
が望ましい。
【0005】一方、オリフィス通路を通じての流体流動
は、オリフィス通路がチューニングされた特定の周波数
域において、共振作用等によって特に有利に生ぜしめら
れ得るが、かかるチューニング周波数を越えた領域で
は、オリフィス通路の流通抵抗が著しく大きくなってし
まうために、動ばね定数が増大してしまい、振動絶縁性
能が大幅に悪化するという不具合があった。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、オリフィス通路のチューニング周波数域に
おいて、オリフィス通路を通じての流体流動量が有利に
確保されて優れた防振効果が発揮されると共に、チュー
ニング周波数を越えた領域でも、著しい動ばね定数の増
大が軽減されて、広い周波数域の振動に対して有効な防
振効果を発揮し得る、新規な構造の流体封入式防振装置
を提供することにある。
【0007】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本
発明の態様乃至は技術的特徴は、以下の記載のものに限
定されることなく、明細書全体および図面に記載の発明
思想に基づいて認識されるものであることが理解される
べきである。
【0008】本発明の第一の態様は、防振すべき振動の
入力によって弾性変形せしめられる本体ゴム弾性体で壁
部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液室
と、弾性変形可能な弾性壁部材で壁部の一部が構成され
て非圧縮性流体が封入された、該弾性壁部材の弾性変形
によって容積変化が許容される副液室を形成すると共
に、それら主液室と副液室を相互に連通する第一のオリ
フィス通路を設けた流体封入式防振装置において、前記
弾性壁部材の中央部分にマス部材を固着せしめて、該弾
性壁部材における該マス部材の固着部位を腹とする振動
モードによる一次共振周波数を、前記第一のオリフィス
通路のチューニング周波数と略同じに設定すると共に、
該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を節とする
振動モードによる二次共振が、該第一のオリフィス通路
のチューニング周波数より高周波数域で生ぜしめられる
ようにしたことにある。
【0009】このような第一の態様に係る流体封入式防
振装置においては、弾性壁部材が、防振を目的とする振
動に応じた第一のオリフィス通路のチューニング周波数
と略同じ周波数域で固有振動数をもつようにチューニン
グされる。そして、防振すべき振動入力時には、主液室
から副液室に伝達される圧力変化によって弾性壁部材が
固有振動数で加振されることにより、該弾性壁部材の共
振現象によって副液室の圧力変化が積極的に生ぜしめら
れて、主液室と副液室の間に大きな圧力差が生ぜしめら
れることから、第一のオリフィス通路を通じての流体流
動量が有利に確保されて、優れた防振効果が発揮され得
る。また、第一のオリフィス通路のチューニング周波数
より大きな周波数域の振動入力時にも、弾性壁部材の二
次共振によって、副液室の圧力変化、ひいては主液室と
副液室の圧力差が有利に生ぜしめられることから、第一
のオリフィス通路の流体流通抵抗の増大に伴う流体流通
量の著しい現象が防止されて、大幅な高動ばね化が回避
されるのであり、その結果、広い周波数域に亘って良好
な防振性能が発揮されるのである。
【0010】なお、かかる流体封入式防振装置におい
て、弾性壁部材は、例えばゴム弾性体等によって有利に
形成され得、好適には、かかる弾性壁部材は、その外周
縁部において、変位および変形不能に支持される。ま
た、マス部材は、少なくとも弾性壁部材より高比重材で
形成され、例えば鉄系等の金属製のマス部材が好適に採
用される。更に、弾性壁部材は、第一のオリフィス通路
を通じての流体流動量が十分に確保されて、一次共振お
よび二次共振が安定して生ぜしめられるように、本体ゴ
ム弾性体よりも壁ばね剛性が小さく、且つ一定の初期形
状および初期位置に復元し得るだけの弾性力を有するこ
とが望ましい。
【0011】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に係る流体封入式防振装置において、前記弾性壁部
材における二次共振周波数を、前記第一のオリフィス通
路のチューニング周波数の2倍〜3倍の周波数域に設定
したことを、特徴とする。即ち、第一の態様に係る流体
封入式防振装置において、弾性壁部材における二次共振
周波数は、第一のオリフィス通路のチューニング周波数
よりも高周波数域で防振すべき振動の周波数に応じて、
適宜に設定され得るが、特に、本態様の如く、弾性壁部
材における二次共振周波数を、第一のオリフィス通路の
チューニング周波数の2倍〜3倍の周波数域に設定する
ことにより、弾性壁部材の一次共振周波数と二次共振周
波数の間での著しい高動ばね化を抑えつつ、弾性壁部材
の一次共振作用と二次共振作用によって協働して、低動
ばね特性による優れた防振周波数域を、広い周波数範囲
に亘って連続的に形成することが可能となる。
【0012】また、本発明の第三の態様は、前記第一又
は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、前記
マス部材を、前記弾性壁部材の中央に固着された脚部
と、該弾性壁部材から少なくとも一方の面上に突出し、
該弾性壁部材の弾性変形を拘束しない非接着状態で広が
る頭部とを、含んで形成したことを、特徴とする。この
ような本態様においては、弾性壁部材を大型化すること
なくその有効自由長を有利に確保しつつ、マス部材の質
量の設定自由度を有利に確保することが可能となる。
【0013】更にまた、本発明の第四の態様は、前記第
一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置に
おいて、壁部の一部が可撓性膜で構成されて内部に非圧
縮性流体が封入された、容積変化が容易に許容される平
衡室を形成すると共に、該平衡室を前記主液室に連通す
る第二のオリフィス通路を設けて、該第二のオリフィス
通路を、前記第一のオリフィス通路よりも低周波数域に
チューニングしたことを、特徴とする。このような本態
様に係る流体封入式防振装置においては、振動入力時に
主液室と平衡室の間に生ぜしめられる圧力差によって第
二のオリフィス通路を通じて流動する流体の流動作用に
基づいて、第一のオリフィス通路のチューニング周波数
よりも更に低周波数域の振動に対して、有効な防振効果
を得ることが出来る。それ故、流体の流動作用に基づく
防振効果が有効に発揮される周波数帯域が、第一のオリ
フィス通路と第二のオリフィス通路の協働作用によっ
て、一層広くされて、複数種類の振動に対する防振効果
の更なる向上が達成され得るのである。
【0014】また、本発明の第五の態様は、前記第四の
態様に係る流体封入式防振装置において、前記弾性壁部
材を挟んで、前記副液室と反対側に、前記平衡室を形成
し、該弾性壁部材によって、それら副液室と平衡室を仕
切ったことを、特徴とする。このような本態様において
は、弾性壁部材を利用して、副液室と平衡室の隔壁を構
成したことにより、平衡室を形成するに際して、構造の
簡略化やスペース効率の向上等が達成され得る。
【0015】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の態様に係る流体封入式防振装置において、前記
マス部材を、前記弾性壁部材から前記副液室および前記
平衡室の少なくとも一方の内部に突出して配設せしめた
ことを、特徴とする。このような本態様においては、マ
ス部材の配設スペースを効率的に確保することが出来、
防振装置のコンパクト化が可能となる。また、マス部材
の変位に伴う流体流動を利用して、弾性壁部材の共振現
象を調節等することも可能である。
【0016】また、本発明の第七の態様は、前記第一乃
至第六の態様に係る流体封入式防振装置において、前記
本体ゴム弾性体によって弾性的に連結された第一の取付
部材と第二の取付部材を設けて、該第二の取付部材によ
って前記弾性壁部材の外周縁部を支持せしめる一方、そ
れら第一の取付部材と第二の取付部材の何れか一方を、
防振すべき対象に取り付けるようにしたことを、特徴と
する。このような本態様においては、目的とする流体封
入式防振装置を簡単な構造をもって有利に実現すること
が出来る。特に、第一の取付部材を振動伝達部材(振動
発生部材等)と被振動伝達部材(防振対象部材)の何れ
か一方に取り付けると共に、第二の取付部材を、それら
の他方に取り付けることにより、本発明に従う構造とさ
れたエンジンマウント等の防振連結体が有利に実現され
得る。また、第一の取付部材と第二の取付部材の何れか
一方を防振対象部材に取り付けることにより、それら第
一の取付部材と第二の取付部材の他方を、防振対象部材
に対して、本体ゴム弾性体で弾性支持せしめて一つの振
動系を構成することにより、制振器が有利に構成され得
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0018】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての自動車用エンジンマウント10が示されてい
る。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔
てて配された第一の取付部材としての第一の取付金具1
2と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、本
体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されており、第
一の取付金具12がパワーユニット側に固着されると共
に、第二の取付金具14がボデー側に固着されることに
より、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ
るようになっている。なお、かかるエンジンマウント1
0は、自動車への装着状態下でパワーユニットの重量が
及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が圧縮変形
して、第一の取付金具12と第二の取付金具14が互い
に接近方向に所定量だけ変位せしめられる。また、その
ような装着状態下、防振すべき主たる振動が、第一の取
付金具12と第二の取付金具14の略対向方向(図中、
略上下方向)に入力されることとなる。なお、以下の説
明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向を
いう。
【0019】より詳細には、第一の取付金具12は、略
有底円筒形状のカップ状金具18の開口部に略円板形状
の蓋金具20が重ね合わされて溶着されることにより、
中空構造をもって形成されている。なお、蓋金具20に
は、中央部分から軸方向外方に突出する取付ボルト22
が固設されており、この取付ボルト22によって、第一
の取付金具12が、図示しないパワーユニット側に固定
的に取り付けられるようになっている。
【0020】また、第二の取付金具14は、それぞれ大
径の略円筒形状を有する上筒金具24と下筒金具26が
軸方向に重ね合わされると共に、それら上下筒金具2
4,26の外周面から径方向外方に広がるようにして、
略円環板形状の取付板金具28が固設されることによっ
て、形成されている。即ち、上筒金具24の下端開口部
には、径方向外方に広がるフランジ部30が一体形成さ
れている一方、下筒金具26の上端開口部には、径方向
外方に広がるフランジ部32が形成されていると共に、
該フランジ部32の外周縁部が上方に向かって立ち上げ
られて筒状の竪壁部34が一体形成されている。そし
て、下筒金具26の竪壁部34の先端面に、上筒金具2
4のフランジ部30の外周縁部が重ね合わされて、上下
筒金具24,26が、同一中心軸上に配設されている。
また、取付板金具28は、その内周縁部が、周方向の複
数箇所において、軸方向上方に向かって立ち上げられて
かしめ部36とされており、各かしめ部36の突出先端
部分が径方向内方に屈曲されることにより、該かしめ部
36の突出先端部分と、取付板金具28の内周縁部にお
けるかしめ部36が形成されていない部分との間で、上
下筒金具24,26のフランジ部30,32が軸方向に
挟持されている。これにより、上下筒金具24,26
が、取付板金具28を介して、互いに固定的に連結され
ており、以て、これら上下筒金具24,26と取付板金
具28によって、第二の取付金具14が協働して形成さ
れている。
【0021】なお、上筒金具24の上側開口部分は、軸
方向所定長さに亘って、開口部側に向かって次第に拡径
するテーパ部36とされている。また、取付板金具28
の外周部分には、互いに周方向に離間して複数のボルト
挿通孔40が形成されており、これらのボルト挿通孔4
0に挿通される取付ボルトによって、第二の取付金具1
4が、図示しないボデーに固定的に取り付けられるよう
になっている。
【0022】そして、第二の取付金具14の上側開口部
側に離間して、第一の取付金具12が、略同一中心軸上
で対向配置されており、これら第一の取付金具12と第
二の取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が介装され
ている。この本体ゴム弾性体16は、上方に向かって小
径化する円錐台形状を有していると共に、大径側端面に
開口する凹所42が形成されている。そして、かかる本
体ゴム弾性体16の小径側端面に蓋金具20が重ね合わ
され、カップ状金具18が内部に埋入された状態で、第
一の取付金具12が本体ゴム弾性体16の小径側端部に
加硫接着されている。一方、本体ゴム弾性体16の大径
側端部の外周面には、第二の取付金具14を構成する上
筒金具24のテーパ部36の内周面に加硫接着されてい
る。要するに、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具
12と上筒金具24を備えた一体加硫成形品として形成
されている。また、このようにして第一の取付金具12
と第二の取付金具14(上筒金具24)が本体ゴム弾性
体16で連結されることによって、第二の取付金具14
(上筒金具24)における上側開口部が、本体ゴム弾性
体16によって流体密に覆蓋されている。
【0023】また、本体ゴム弾性体16は、上筒金具2
4の内周面を覆うように軸方向下端部にまで延びてお
り、以て、上筒金具24のフランジ部30の下面を所定
厚さで覆う環状のシールゴム44が形成されている。即
ち、このシールゴム44は、上筒金具24のフランジ部
30の下面に固着されていると共に、下筒金具26のフ
ランジ部32の上面に圧接されており、以て、それら上
下筒金具24,26のフランジ部30,32間が流体密
にシールされているのである。
【0024】更にまた、第二の取付金具14を構成する
下筒金具26には、軸方向中間部分に段差部44が形成
されており、以て、該段差部44を挟んで軸方向上側が
大径筒部45とされていると共に、段差部44よりも軸
方向下側の開口部分が、軸方向所定長さに亘って、小径
円筒形状を有する小径筒部46とされている。そして、
この小径筒部46内に略円板形状を有する弾性壁部材と
してのゴム壁48が配設されている。かかるゴム壁48
は、ゴム弾性体によって形成されて、中央部分から径方
向外方に行くに従って次第に肉厚寸法が小さくなる円板
形状を有しており、その外周面が、下筒金具26の小径
筒部46の内周面に加硫接着されている。要するに、略
円板形状のゴム壁48は、下筒金具26の下側開口部に
おいて軸直角方向に広がって配設されており、外周縁部
が下筒金具26に加硫接着されることにより、下筒金具
26の下側開口部が、かかるゴム壁48によって流体密
に覆蓋されているのである。
【0025】そして、かくの如く、第二の取付金具14
(下筒金具26)の軸方向下側の開口部がゴム壁48で
流体密に覆蓋されることにより、第二の取付金具14の
中空内部には、本体ゴム弾性体16とゴム壁48の対向
面間において、非圧縮性流体が充填されて封入された流
体室50が形成されている。なお、封入流体としては、
例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリ
コール,シリコーン油等が好適に採用されるが、後述す
る流体の共振作用を一層有利に得るためには、粘度が
0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ま
しい。また、流体室50への非圧縮性流体の充填および
封入は、例えば、本体ゴム弾性体16が加硫接着された
上筒金具24と、ゴム壁48が加硫接着された下筒金具
26を、取付板金具28で固定することによる一体化
を、非圧縮性流体中で行うこと等によって有利に為され
得る。
【0026】さらに、このようにして形成された流体室
50には、軸方向の中間部分に位置して軸直角方向に広
がる仕切部材としての仕切板金具52が配設されてい
る。この仕切板金具52は、金属等の硬質材で形成され
て、薄肉の円板形状を有しており、外周縁部を、上下筒
金具24,26のフランジ部30,32間で流体密に挟
持されることにより、第二の取付金具14に対して固定
的に取り付けられている。これにより、流体室50が、
仕切板金具52によって流体密に二分されており、以
て、仕切板金具52を挟んで上側には、壁部の一部が本
体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム
弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめら
れる主液室54が形成されている。一方、仕切板金具5
2を挟んで下側には、壁部の一部がゴム壁48で構成さ
れて、該ゴム壁48の弾性変形に基づいて容積変化が許
容され、或いは圧力変化が生ぜしめられる副液室56が
形成されている。なお、副液室56は、主液室54に比
べて、壁ばね剛性が小さくされており、本実施形態で
は、ゴム壁48の方が、本体ゴム弾性体16よりも薄肉
で弾性変形容易とされている。
【0027】また、仕切板金具52の下面には、金属等
の硬質材で形成されて、該仕切板金具52と略同じ薄肉
の円板形状を有するオリフィス板金具58が、密接状に
重ね合わされており、外周縁部が、仕切板金具52の外
周縁部と共に、第二の取付金具14で固定的に挟持され
ることによって配設されている。このオリフィス板金具
58には、外周縁部に沿って周方向に一周弱の長さで延
びる、上面に開口した凹溝60が形成されており、この
凹溝60が仕切下金具52で流体密に覆蓋されることに
よって、流体室50の外周部分を周方向に延びる第一の
オリフィス通路62が形成されている。そして、該第一
のオリフィス通路62の周方向両端部が、それぞれ連通
孔64,66を通じて主液室54と副液室56に接続さ
れており、以て、主液室54と副液室56の間で、それ
ら両室54,56間での圧力差に基づいて、第一のオリ
フィス通路62を通じての流体流動が許容されるように
なっている。
【0028】更にまた、副液室56内には、マス部材6
8が収容配置されており、該マス部材68の一部が、ゴ
ム壁48の中央部分に対して加硫接着されている。かか
るマス部材68は、金属等の硬質且つ高比重な材料で形
成されており、副液室56の周壁部を構成する下筒金具
26の内径よりも小さな外径と、下筒金具26の大径筒
部45よりも小さな軸方向長さを有する円形ブロック形
状の頭部70と、該頭部70の中心軸上で軸方向下方に
向かって突出する小径ロッド形状の脚部72から構成さ
れている。そして、脚部72の突出下端が、ゴム壁48
の中心軸上に埋入された状態で、該ゴム壁48の中央に
加硫接着されており、この脚部72によって支持された
状態で、副液室56よりも一回り小さい頭部70が、副
液室56内の略中央部分に位置して、副液室56の壁部
には当接しない状態で配設されている。
【0029】要するに、マス部材68は、その脚部72
が、ゴム壁48を介して、第二の取付金具14に対して
弾性的に連結されることにより、該第二の取付金具14
によって弾性支持されているのであり、副液室56内に
おいて、頭部70の周囲に所定量の間隙が形成されてい
ることによって、かかるマス部材68が、ゴム壁48の
弾性変形に基づいて、副液室56の壁部に干渉すること
なく変位可能とされている。なお、かかるマス部材68
は、その鉛直方向(図中、上下方向)の慣性主軸が、弾
性支持部材としてのゴム壁48における鉛直方向の弾性
主軸に対して、略一致するように設定されており、それ
によって、鉛直方向の加振力が及ぼされた際に、ゴム壁
48の弾性変形と、それに基づくマス部材68の変位
が、安定して鉛直方向に生ぜしめられるようになってい
る。また、本実施形態では、小径の脚部72だけがゴム
壁48に固着されることにより、ゴム壁48よりも大径
の頭部70を有する大形のマス部材68が、ゴム壁48
を殆ど拘束することなく、ゴム壁48を介して、弾性支
持されている。
【0030】そして、本実施形態では、第一のオリフィ
ス通路62が、その内部を通じて流動せしめられる流体
の共振作用が、防振すべき第一の振動、例えばアイドリ
ング振動の周波数域で発揮されるように、チューニング
されている。かかるチューニングは、例えば、封入流体
の比重や、主液室54および副液室56の壁ばね剛性等
を考慮して、第一のオリフィス通路62の通路断面積や
通路長さを適当に調節することによって行うことが可能
である。
【0031】また、副液室56の壁部を構成するゴム壁
48は、その中央部分にマス部材68が固着されている
ことにより、ゴム壁48の弾性をバネとし、マス部材6
8をマスとする一つの振動系を構成しており、かかる振
動系において、マス部材68が固着された中央だけを腹
とし外周縁部だけを節とする一次の振動モードとなる一
次共振周波数が、第一のオリフィス通路62の共振周波
数と略同じになるように、チューニングが施されてい
る。なお、かかるチューニングは、例えば、マス部材6
8の変位に伴う封入流体の流動抵抗等を考慮し、マス部
材68の質量やゴム壁48のばね定数を調節することに
よって行うことが可能である。
【0032】ここにおいて、第一のオリフィス通路62
の共振周波数は、ゴム壁48とマス部材68からなる振
動系の共振周波数のチューニングによる影響も受けるこ
ととなるが、その際、例えば、マス部材68を装着しな
いゴム壁48を採用した場合の第一のオリフィス通路6
2の共振周波数が、防振すべき第一の振動の周波数(例
えば、アイドリング振動の周波数)よりも僅かに高くな
るように、該第一のオリフィス通路62をチューニング
することが有効である。それによって、マス部材68を
装着した状態下で、第一のオリフィス通路62の共振周
波数と、ゴム壁48およびマス部材68からなる振動系
の共振周波数とを、何れも、防振すべき第一の振動の周
波数に対して有利に合わせることが可能となるのであ
る。
【0033】また、ゴム壁48は、その中央部分だけに
マス部材68が固着されていることから、上述の如き一
次共振周波数より高い周波数の加振力が及ぼされると、
マス部材68が変位しなくなって、マス部材68によ
り、ゴム壁48の中央部分が積極的に拘束される。その
結果、かかるゴム壁48は、中央部分と外周部分が固定
的に支持された状態となり、半径方向の略中央を腹と
し、中央部分と外周部分を節とする振動モードによって
二次共振が生ぜしめられることとなる。この二次共振
は、一次共振の振動モードに比して、自由長が略半分
(ゴム壁48の略半径寸法)となり、且つマス質量が、
基本的にゴム壁48自身の質量分だけとなることから、
一次共振よりも高周波数とされる。特に、本実施形態で
は、かかるゴム壁48の二次共振が、一次共振周波数の
略2.5倍程度の周波数域に生ぜしめられるように、ゴ
ム壁48の寸法や材質等が設定されている。
【0034】上述の如き構造とされたエンジンマウント
10においては、アイドリング振動の如き防振すべき第
一の振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変
形に基づく主液室54の圧力変化に伴って、第一のオリ
フィス通路62を通じての主液室54と副液室56の間
での流体流動が生ぜしめられる。そして、この第一の振
動の周波数にチューニングされた第一のオリフィス通路
62で、流体の共振作用が発揮されて、低動ばね作用に
基づく防振効果が発揮されることとなるが、その際、ゴ
ム壁48においても、一次共振が生ぜしめられて、大き
な弾性変形が生ぜしめられる。その結果、このゴム壁4
8の一次共振によって、主液室54と副液室56の相対
的な圧力差が増大されて、第一のオリフィス通路62を
通じての流体流動量が一層増大され得るのであり、それ
によって、流体の共振作用に基づく低動ばね作用が一層
有利に発揮されて、より優れた防振効果(振動絶縁効
果)が発揮されるのである。
【0035】しかも、第一の振動よりも高周波域の、例
えば低速こもり音の如き、防振すべき第二の振動が入力
されると、第一のオリフィス通路62の流通抵抗が著し
く増大すると共に、マス部材68の変位も小さくなっ
て、ゴム壁48の一次共振モードでの振幅が著しく減少
することとなるが、入力振動が、ゴム壁48に設定され
た二次共振周波数に近づくと、第一のオリフィス通路6
2を通じての僅かな流体流動によって副液室56に伝達
される圧力変動や、第二の取付金具14からゴム壁48
に直接に伝達される加振力等に基づいて、副液室56に
積極的な圧力変化が生ぜしめられることにより、第一の
オリフィス通路62を通じての流体流動量の増大が図ら
れる。その結果、第一のオリフィス通路62の実質的な
閉塞化が軽減乃至は回避されて、著しい高動ばね化が防
止されるのであり、以て、第二の振動に対しても、良好
なる防振効果(振動絶縁効果)が発揮されるのである。
【0036】次に、図2には、本発明の第二の実施形態
としてのエンジンマウント80が示されている。なお、
本実施形態において、第一の実施形態のエンジンマウン
トと同様な構造とされた部材および部位については、そ
れぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付する
ことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0037】すなわち、本実施形態のエンジンマウント
80においては、仕切板金具52の下面に重ね合わされ
たオリフィス板金具58の更に下面に環状オリフィス金
具82が重ね合わされて、それら仕切板金具52および
オリフィス板金具58と共に、該環状オリフィス金具8
2の外周縁部が、第二の取付金具14で固定的に挟持さ
れることによって配設されている。この環状オリフィス
金具82は、大径の中央透孔83を備えた円環ブロック
形状を有しており、外周縁部には、径方向外方に向かっ
てフランジ状に広がって第二の取付金具14に挟持され
る支持片84が一体形成されている一方、内周縁部に
は、軸方向下方に向かって円筒状に延び出す筒壁部86
が一体形成されている。
【0038】なお、本実施形態では、第一のオリフィス
通路62を形成するオリフィス板金具58の凹溝60
が、環状オリフィス金具82の中央透孔83内に突出し
て位置するように、オリフィス板金具58の径方向中間
部分を周方向に延びる構造とされている。
【0039】また、環状オリフィス金具82の中央透孔
83は、その上側開口部が、オリフィス板金具58で流
体密に覆蓋されている一方、その下側開口部が、ゴム壁
90によって流体密に覆蓋されている。このゴム壁90
は、第一の実施形態におけるゴム壁(48)と同様、ゴ
ム弾性体によって形成されて、中央から外周側に向かっ
て僅かなテーパをもって次第に薄肉化する円板形状を有
しており、外周面の全周に亘って、環状オリフィス金具
82の筒壁部86の内周面に加硫接着されている。そし
て、かくの如く、環状オリフィス金具82における中央
透孔83の上下開口部がオリフィス板金具58とゴム壁
90で覆蓋されることにより、非圧縮性流体が封入され
ると共に、壁部の一部がゴム壁90で構成されて、該ゴ
ム壁90の弾性変形に基づいて容積変化が許容され、或
いは圧力変化が生ぜしめられると共に、第一のオリフィ
ス通路62を通じて主液室54に連通された副液室56
が形成されている。
【0040】また一方、第二の取付金具14を構成する
下筒金具26の下側開口部には、変形が容易に許容され
る可撓性膜としての薄肉ゴム膜からなるダイヤフラム9
2が配設されている。かかるダイヤフラム92は、その
外周縁部が、下筒金具26の下側開口周縁部に加硫接着
されて、容易に弾性変形するように、弛みをもった状態
で配設されている。そして、このダイヤフラム92で下
筒金具26の下側開口部が流体密に覆蓋されることによ
り、下筒金具26の内部には、非圧縮性流体が封入され
ると共に、壁部の一部を構成するダイヤフラム92の変
形に基づいて容易に容積変化が許容されて圧力変化が吸
収される平衡室94が形成されている。
【0041】すなわち、この平衡室94は、副液室56
を挟んで、主液室54と反対側に位置せしめられている
のであり、平衡室94と副液室56を仕切る隔壁の一部
が、ゴム膜90によって構成されている。また、副液室
56の周囲に配設された環状オリフィス金具82には、
上面に開口する凹溝形状をもって周方向に略一周の長さ
で延びる周溝96が形成されており、この周溝96がオ
リフィス板金具58で覆蓋されることによって、第二の
オリフィス通路98が形成されている。そして、この第
二のオリフィス通路98の周方向一方の端部が、連通孔
100を通じて副液室56に連通されていると共に、周
方向他方の端部が、連通孔102を通じて平衡室94に
連通されており、以て、副液室56と平衡室94の間
で、連通孔102を通じての流体流動が許容されるよう
になっている。
【0042】なお、第二のオリフィス通路98は、第一
のオリフィス通路62よりも、通路断面積:Aと通路長
さ:Lの比:A/Lの値が小さく設定されており、内部
を通じて流動せしめられる流体の共振作用が、第一のオ
リフィス通路62よりも低周波数域で生ぜしめられるよ
うにチューニングされている。具体的には、例えば、シ
ェイク等に相当する10Hz程度の振動入力時に、該第二
のオリフィス通路98を通じて流動する流体の共振作用
に基づいて高減衰効果が発揮されるように、チューニン
グされる。
【0043】また、平衡室94には、マス部材68が収
容配置されており、副液室56と平衡室94を仕切るゴ
ム壁90によって弾性的に支持されている。このマス部
材68は、第一の実施形態と同様、頭部70と脚部72
を備えており、頭部70の中央から上方に向かって脚部
72が突出する形態(第一の実施形態とは、上下逆向き
の形態)で、平衡室94内に収容配置されており、その
脚部72の突出先端部が、ゴム壁90の中央部分に入り
込んだ状態で加硫接着されている。また、かかる装着状
態下、マス部材68の頭部70は、平衡室94内の中間
部分に位置し、平衡室94の壁部から離間して配設され
ており、ゴム壁90の弾性変形に基づくマス部材68の
変位が、平衡室94の壁部に干渉することなく許容され
るようになっている。なお、本実施形態においても、マ
ス部材68の上下方向(主たる振動入力方向)の慣性主
軸が、ゴム壁90の上下方向(主たる振動入力方向)の
弾性主軸に略一致せしめられている。
【0044】そして、第一のオリフィス通路62と、ゴ
ム壁90等には、前記第一の実施形態と同様、それぞれ
防振すべき第一の振動および第二の振動に応じたチュー
ニングが施されている。
【0045】従って、このような構造とされた本実施形
態のエンジンマウント80において、防振すべき第一の
振動として例えばアイドリング振動が入力された場合に
は、前記第一の実施形態と同様、第一のオリフィス通路
62を通じて主液室54と副液室56の間を流動する流
体の共振作用が生ぜしめられると共に、ゴム壁90の一
次の振動モードによる一次共振によって副液室56に積
極的な圧力変化乃至は容積変化が生ぜしめられることに
より、第一のオリフィス通路62を通じての流体流動量
が増大されて、流体の共振作用に基づく防振効果が、極
めて有利に発揮されることとなる。また、より高周波域
の防振すべき第二の振動として例えばアイドリング高次
振動や低速こもり音等が入力された場合には、前記第一
の実施形態と同様、ゴム壁90の二次の振動モードによ
る二次共振によって副液室56に積極的な圧力変化乃至
は容積変化が生ぜしめられることにより、第一のオリフ
ィス通路62を通じての流体流動量が確保されて、著し
い高動ばね化が回避されることにより、良好なる防振効
果が発揮され得るのである。
【0046】なお、第二のオリフィス通路98は、常
時、連通状態にあるが、第一のオリフィス通路62に比
べて流通抵抗が高く、特に第一のオリフィス通路62の
共振周波数域では、第二のオリフィス通路98が略閉塞
状態となる程に第二のオリフィス通路98の流通抵抗が
増大することから、ゴム壁90の共振作用に基づく第一
のオリフィス通路62を通じての流体流動量の増大乃至
は維持効果が、第二のオリフィス通路98によって大幅
に低下することなく、安定して有利に発揮され得る。
【0047】さらに、本実施形態のエンジンマウント8
0においては、第一のオリフィス通路62のチューニン
グ周波数より低周波数域の振動、例えばシェイク振動等
が入力された際、主液室54と副液室56および平衡室
94の間に相対的な圧力差が生ぜしめられるが、その
際、共振状態でないゴム壁90の変形量が小さいことに
加えて、第二のオリフィス通路98を通じての流体の共
振作用が生ぜしめられることから、主液室54と平衡室
94の間で、副液室56を介して、第二のオリフィス通
路98を通じての流体流動が有利に生ぜしめられること
となる。その結果、入力されるシェイク等の低周波大振
幅振動に対して、第二のオリフィス通路98を流動せし
められる流体の共振作用に基づく防振効果(例えば、高
減衰効果)が有効に発揮されるのである。
【0048】因みに、第一のオリフィス通路62を流動
せしめられる流体の共振周波数およびゴム壁90の一次
共振モードでの共振周波数を、それぞれ、アイドリング
振動に相当する中周波数域にチューニングすると共に、
ゴム壁90の二次共振モードでの共振周波数をアイドリ
ング高次振動や低速こもり音等に相当する中周波数域に
チューニングし、且つ第二のオリフィス通路98を流動
せしめられる流体の共振周波数をシェイク等に相当する
低周波数域にチューニングした場合のエンジンマウント
80における絶対ばね定数および位相の周波数特性を求
めた結果を、図3に示す。なお、かかる周波数特性は、
パワーユニットの支持荷重として、450Nの静的な初
期荷重を及ぼした状態下で、振幅値:0.05mmの加振
力を第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入
力した場合について求めたものである。また、比較例と
して、マス部材68を取り去った同一構造のエンジンマ
ウントについて、同様に周波数特性を求めた結果を、図
3に併せ示す。
【0049】かかる図3に示された結果からも、本実施
形態に従うエンジンマウント80においては、エンジン
シェイクに相当する低周波数域での高減衰効果と、アイ
ドリング振動に相当する中周波数域での低動ばね効果
を、何れも十分に確保しつつ、アイドリング高次振動や
低速こもり音等に相当する高周波数域において、絶対ば
ね定数の上昇が抑えられて、低動ばね効果による優れた
防振性能が広い周波数域に亘って達成されることが、明
らかに認められる。即ち、図3に斜線で示した領域分
が、マス部材68の付加によって実現し得た本発明によ
る絶対ばね定数の低減効果代と解釈することが出来るの
である。
【0050】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものでない。
【0051】例えば、前記実施形態では、マス部材68
が、副液室56や平衡室94の封入流体中に配設されて
いたが、かかるマス部材68を、例えば、第一の実施形
態のエンジンマウント10において副液室56と反対側
に突出配置すること等により、外部空間に配設すること
も可能である。また、マス部材68の形状や大きさ等
も、要求される防振特性やマウント構造等に応じて適宜
に設定されるものであって、何等、限定されるものでな
い。
【0052】また、主液室54と副液室56、更には平
衡室94を連通するオリフィス通路の構造や形状等は、
要求される防振特性や防振装置の構造等を考慮して適宜
に設定されるものであって、前記実施形態によって、何
等、限定されるものでない。
【0053】更にまた、前記実施形態では、第一の取付
金具12が、振動伝達部材たるパワーユニット側に取り
付けられると共に、第二の取付金具14が、振動被伝達
部材たるボデー側に取り付けられていたが、それとは逆
に、ゴム壁48,90を支持する第二の取付金具14を
振動伝達部材側に、第一の取付金具12を振動被伝達部
材側に、それぞれ取り付けるようにしても良い。その場
合には、ゴム壁48,90に対して、封入流体を介して
の加振力が及ぼされると共に、振動伝達部材からの入力
振動によって直接的な加振力も及ぼされ得る。
【0054】また、前記第二の実施形態のエンジンマウ
ント80では、第二のオリフィス通路98が、副液室5
6を介し、第一のオリフィス通路62に対して直列的に
接続されていたが、該第二のオリフィス通路98を、副
液室56を介することなく、主液室54と平衡室94を
直接に連通せしめる形態で、第一のオリフィス通路62
から独立して並列的に形成しても良い。
【0055】また、第一の取付部材としての軸部材の径
方向外方に離間して、第二の取付部材としての外筒部材
を、同軸的に若しくは偏心して配設すると共に、それら
軸部材と外筒部材を、それらの径方向対向面間に配設し
た本体ゴム弾性体で弾性的に連結せしめて、軸部材と外
筒部材の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し
た筒形の防振装置に対しても、本発明は適用可能であ
る。
【0056】更にまた、主液室54と副液室56を仕切
る仕切壁部に対して、微小距離だけ変形乃至は変位可能
な可動板を配設せしめて、高速こもり音等のより高周波
数域の振動入力時における主液室54の圧力変化を吸収
することにより、高周波数域の防振効果を向上させるこ
とも可能である。
【0057】加えて、本発明は、自動車用エンジンマウ
ントの他、自動車用ボデーマウントやデフマウント、サ
スペンションブッシュ等、或いは自動車以外の装置に用
いられる各種の防振装置に対して、同様に適用可能であ
ることは、勿論である。
【0058】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の範囲内に含まれるもの
であることは、言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、第
一のオリフィス通路のチューニング周波数域の振動入力
時に、該第一のオリフィス通路を流動する流体の共振作
用と、弾性壁部材の一次共振作用とによって、第一のオ
リフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保され得
て、流体の共振作用に基づく防振効果が極めて有効に発
揮されるのであり、また、より高周波域の振動入力時に
は、弾性壁部材の二次共振作用によって第一のオリフィ
ス通路の実質的な閉塞化が軽減乃至は回避されることに
より、著しい高動ばね化が防止されて、広い周波数域の
振動に対して良好な防振効果が発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図3】本発明の第二の実施形態のエンジンマウントに
ついて、動ばね定数および位相の周波数特性を求めた結
果を、比較例と共に示すグラフである。
【符号の説明】
10,80 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 48 ゴム壁 50 流体室 52 仕切板金具 54 主液室 56 副液室 62 第一のオリフィス通路 68 マス部材 70 頭部 72 脚部 90 ゴム壁 92 ダイヤフラム 94 平衡室 98 第二のオリフィス通路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防振すべき振動の入力によって弾性変形
    せしめられる本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて
    非圧縮性流体が封入された主液室と、弾性変形可能な弾
    性壁部材で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入
    された、該弾性壁部材の弾性変形によって容積変化が許
    容される副液室を形成すると共に、それら主液室と副液
    室を相互に連通する第一のオリフィス通路を設けた流体
    封入式防振装置において、 前記弾性壁部材の中央部分にマス部材を固着せしめて、
    該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を腹とする
    振動モードによる一次共振周波数を、前記第一のオリフ
    ィス通路のチューニング周波数と略同じに設定すると共
    に、該弾性壁部材における該マス部材の固着部位を節と
    する振動モードによる二次共振が、該第一のオリフィス
    通路のチューニング周波数より高周波数域で生ぜしめら
    れるようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性壁部材における二次共振周波数
    が、前記第一のオリフィス通路のチューニング周波数の
    2倍〜3倍の周波数域に設定されている請求項1に記載
    の流体封入式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記マス部材が、前記弾性壁部材の中央
    に固着された脚部と、該弾性壁部材から少なくとも一方
    の面上に突出し、該弾性壁部材の弾性変形を拘束しない
    非接着状態で広がる頭部とを、含んで形成されている請
    求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 壁部の一部が可撓性膜で構成されて内部
    に非圧縮性流体が封入された、容積変化が容易に許容さ
    れる平衡室を形成すると共に、該平衡室を前記主液室に
    連通する第二のオリフィス通路を設けて、該第二のオリ
    フィス通路を、前記第一のオリフィス通路よりも低周波
    数域にチューニングした請求項1乃至3の何れかに記載
    の流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記弾性壁部材を挟んで、前記副液室と
    反対側に、前記平衡室が形成されており、該弾性壁部材
    によって、それら副液室と平衡室が仕切られている請求
    項4に記載の流体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記マス部材を、前記弾性壁部材から前
    記副液室および前記平衡室の少なくとも一方の内部に突
    出して配設せしめた請求項1乃至5の何れかに記載の流
    体封入式防振装置。
  7. 【請求項7】 前記本体ゴム弾性体によって弾性的に連
    結された第一の取付部材と第二の取付部材を設けて、該
    第二の取付部材によって前記弾性壁部材の外周縁部を支
    持せしめる一方、それら第一の取付部材と第二の取付部
    材の何れか一方を、防振すべき対象に取り付けるように
    した請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式防振装
    置。
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