JPH08254243A - 流体封入式振動緩衝装置及びその製造方法 - Google Patents

流体封入式振動緩衝装置及びその製造方法

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JPH08254243A
JPH08254243A JP5895195A JP5895195A JPH08254243A JP H08254243 A JPH08254243 A JP H08254243A JP 5895195 A JP5895195 A JP 5895195A JP 5895195 A JP5895195 A JP 5895195A JP H08254243 A JPH08254243 A JP H08254243A
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JP
Japan
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gas
fluid
chamber
elastic
vibration damping
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Application number
JP5895195A
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English (en)
Inventor
Yoichi Kawamoto
洋一 河本
Shinichi Kusashita
真一 草下
Shin Takehara
伸 竹原
Takahiko Tanaka
孝彦 田中
Haruyuki Taniguchi
晴幸 谷口
Shigefumi Hirabayashi
繁文 平林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Kurashiki Kako Co Ltd
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Kurashiki Kako Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】製造コストを上げることなく、耐久性を向上さ
せ、長期間に渡って気体の充填量に基づく振動伝達特性
及び減衰特性を維持できる流体封入式振動緩衝装置を提
供する。 【構成】ゴム部材4と、弾性を有する薄膜部材で形成さ
れたダイヤフラム9とを有し、ゴム部材4とダイヤフラ
ム9とによりケース部材4の開口部を封じることでケー
ス部材の内部に流体及び気体を封入するための主室10
を形成し、ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮によって振
動を吸収する自動車用エンジンマウント100であっ
て、このゴム部材4における液室10aの内面を構成す
る固定部5の真下部分には、キャップ部材20がゴム部
材4と一体的に埋め込まれている。キャップ部材20
は、空気透過性の低い材料から構成され、上部液室10
aにおいて、所定量の気体Gを封入するための気体滞留
室の機能を果たしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、車両のエンジ
ンマウントとして用いる流体封入式振動緩衝装置及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、エンジンマウントには、支
持、防振、制振という3つの機能が必要とされる。支持
機能とは、エンジン(パワーユニット)を静的/動的に
車体に搭載し、エンジンと車体とが干渉しないように支
持する機能である。また、防振機能とは、エンジンの発
生する音や振動を車体に伝達させないようにする機能で
ある。更に、制振機能とは、車両の加減速時のエンジン
振動や、路面やタイヤからの入力によるエンジン振動
(エンジンシェイク)等のエンジンの剛体振動を制限
し、車体の振動を防止する機能である。また、これら3
つの機能にはトレードオフの関係があり、全てを理想的
にすることは不可能である。通常、支持機能について
は、伝達特性を高く且つ減衰特性を高くする状態が理想
的であり、以下、防振機能については、伝達特性を低く
し、制振機能については、減衰特性を高くできることが
優れたエンジンマウントの条件と言える。通常のラバー
型のエンジンマウントは、それらの諸元値を妥協できる
範囲の値に設定されている。
【0003】近年、車両のエンジンマウントは、ラバー
のみを用いたエンジンマウントに代わって流体封入型の
エンジンマウントが数多く採用されている。この流体封
入型のエンジンマウントは、現在まで開発されてきた過
程において、その構成の違いから主として第1世代〜第
3世代と呼ばれる3種類の型式に分類される。以下に、
それらの各構成について説明する。
【0004】<第1世代型>第1世代のエンジンマウン
トは、従来のラバー型エンジンマウントよりも高いレベ
ルで各機能をバランス良く設定するために開発された初
期のエンジンマウントであり、図20に示すように、流
体を封入する液室を仕切部材によって2室に仕切り、仕
切部材にオリフィスを形成して、エンジンに取付けられ
た部材1(又は車体に取付けられた部材2)の振動によ
り、オリフィス内を通って流体を移動させるものであ
る。この第1世代の構成では、封入された流体のオリフ
ィス内の移動による流体の共振現象を利用して、低周波
の特定領域において減衰特性を高め、高周波領域での伝
達特性を小さくすることができる。
【0005】図20において、部材1にXなる変位を与
えたとき、部材2に力Fが伝達されたとすると、振動の
伝達特性Ktと減衰特性Tdとは図21に示す式によっ
て表される。これらの式に基づいて、伝達特性Ktと減
衰特性Tdとを周波数で表すと図22、図23に示すグ
ラフを得ることができる。また、図22、図23とは、
従来のラバー型と第1世代型との各特性を比較した場合
の違いを示している。図22、図23に示すように、ラ
バー型エンジンマウントに比べると伝達、減衰の各特性
が著しく向上しているのがわかる。しかしながら、第1
世代のエンジンマウントでは、流体室の一部を形成する
ゴム部材で構成された弾性体には、エンジンを支持する
支持剛性(支持バネ、支持減衰)と、流体室の拡張に係
わる拡張剛性(拡張バネ、拡張剛性)という2つの働き
が必要となる。一般に、流体型エンジンマウントで減衰
特性を活かすためには、荷重の大きな部位に配置するの
が効果的であるが、荷重の大きな部位に配置するという
ことは、必然的にゴム部材の支持剛性が大きくなって、
流体室の拡張剛性が大きくなる。その結果、a)伝達特
性が大きくなり、騒音や振動が悪化する、b)減衰が極
大となる周波数が高くなり、効果的にエンジンを制振で
きない、という2つの問題点が発生する。
【0006】<第2世代型>第2世代のエンジンマウン
トでは、上記の第1世代の問題点を克服するために、図
24に示すような液室を仕切る仕切部材の一部に弾性部
材で形成されたゴム膜を設けて、液室1の拡張剛性を低
下させることによって対応した構成としている。この第
2世代の構成では、図25に示すように、高周波領域で
の伝達特性を第1世代の構成に比べて小さくできること
によって、エンジンの騒音や振動の車体への伝達を小さ
くすることができる。
【0007】<第3世代型>また、第3世代のエンジン
マウントは、第2世代のエンジンマウントの特性に加え
て、特定周波数の伝達特性を特に小さくする特性を付加
したものである。一般に、車体やブラケット等の共振現
象によって、車両は特定周波数において音や振動が大き
くなるという特徴がある。従来では、これらの音や振動
はダイナミックダンパ等を用いて対処していた。第3世
代のエンジンマウントでは、上記の第2世代の問題点を
克服するために、図26に示すように、第2世代の構成
に傘状の部材を設けることによって、高周波の特定周波
数領域において、伝達特性を小さくし、車両の騒音を低
減するようにした構成を採用している。この第3世代の
構成では、図27に示すように、第2世代の特性に加え
て、高周波領域の特定周波数の伝達特性を小さくできる
ことによって、特に問題となる騒音の車体への伝達を小
さくすることが可能となる。
【0008】上記各従来例の構成の中で、特に第2世代
及び第3世代に対応する安価で且つ高性能な別な構造の
技術として、実願平6−6494号(登録第30050
12号)に開示されるものを提案した。このものは、液
室を形成する流体封入ブッシュ内に予め規定した量の気
体を封入することにより、低周波領域から高周波領域で
の伝達特性を小さくして高周波振動及び低周波振動を吸
収すると共に、低周波の特定領域での伝達特性を低下さ
せることで高い減衰特性を得るようにしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実願平
6−6494号(登録第3005012号)に開示した
構造のものでは、流体封入ブッシュ内に封入されている
規定量の気体が時間が経つにつれて液室内から消失して
しまい、構造的に第1世代と等価のものとなって、特に
高周波振動に対する吸収性が低下して、エンジンから振
動や騒音を発生させてしまうという問題が新たに発見さ
れた。
【0010】この点を検討した結果、上記のように気体
が消滅する原因として以下の〜に示す点を見い出し
た。 気体が液室内の流体(一般的には、エチレングリコー
ル)に融けてしてしまう。 エンジンを支持するゴム部材には、高周波振動を低減
するため天然ゴム等の内部減衰が低い弾性材料が用いら
れているが、このような弾性材料は気体の透過性が高
く、液室内の気体はゴム部材を透過して外部に漏れてし
まう。
【0011】気体が、ゴム部材とエンジンに固定され
る接続部材又はマウント本体との接続部分から透過して
外部に漏れてしまう。 実際の振動により、気体がダイヤフラム側の液室に移
動してしまう。 このような気体の消失という問題に対しては、特開昭6
0−139507号公報に開示されているように、封入
する気体を弾性材料で包んだゴムまり状の弾性体とし、
この物質を液室内に入れることにより解決できる。
【0012】ところが、特開昭60−139507号公
報に開示された技術では、以下の〜に示す問題点が
ある。 気体を包んだゴムまり状の物質の製造コストが高い。 気体を包むための外皮を極めて柔らかい弾性材料で構
成する必要があるが、この弾性材に所定の圧力で気体を
充填することになるので、耐久性及び信頼性を確保する
ことが極めて難しい。
【0013】所定の圧力で気体を充填するので、外皮
となる弾性材料の寸法にバラツキがあると、一定量の気
体を正確に充填するのが困難になり、結果的に製品のバ
ネ定数にバラツキが生じ、高周波振動に対する制振特性
を確保できない。 温度等の使用条件が変化することにより、ゴムまり状
の物質自体のバネ定数が変動し、結果的に製品のバネ定
数にバラツキが生じ、振動吸収特性が維持できない。
【0014】本発明の流体封入式振動緩衝装置及びその
製造方法は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、製造コストを上げることな
く、耐久性を向上させ、長期間に渡って気体の充填量に
基づく振動伝達特性及び減衰特性を維持できる流体封入
式振動緩衝装置及びその製造方法を提供することであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明の流体封入式振動緩衝装置
及びその製造方法は以下の構成を備える。即ち、第1の
発明によれば、弾性を有する部材で形成され、振動を発
する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄膜
部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持部
材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するための
流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、前
記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする上室と前
記ダイヤフラムをその一部とする下室とに仕切ると共
に、該上室と下室を連通するオリフィス通路を有する仕
切部材を備え、前記上室の上部には、予め決定された所
定量の気体が注入され、前記弾性支持部材の少なくとも
内面又は外面に、前記気体が外部へ透過するのを防止す
るための透過防止手段を設けたことを特徴とする。
【0016】第2の発明によれば、弾性を有する部材で
形成され、振動を発する物体を支持する弾性支持部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該弾性支持部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成した流体封入式振動
緩衝装置であって、前記流体室を前記弾性支持部材をそ
の一部とする下室と前記ダイヤフラムをその一部とする
上室とに仕切ると共に、該下室と上室を連通するオリフ
ィス通路を有する仕切部材を備え、前記下室の上部に
は、予め決定された所定量の気体が注入され、前記下室
の上部の前記仕切部材に、前記気体が外部へ透過するの
を防止するための透過防止手段を設けたことを特徴とす
る。
【0017】第3の発明によれば、弾性を有する部材で
形成され、振動を発する物体を支持する弾性支持部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該弾性支持部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成した流体封入式振動
緩衝装置であって、前記流体室を前記弾性支持部材をそ
の一部とする主室と前記ダイヤフラムをその一部とする
副室とに仕切ると共に、該主室と副室を連通するオリフ
ィス通路を有する仕切部材を備え、前記主室には、予め
決定された所定量の気体が注入され、前記弾性支持部材
又は仕切部材に、前記気体が外部へ透過するのを防止す
るための透過防止手段を設けたことを特徴とする。
【0018】第4の発明によれば、弾性を有する部材で
形成され、振動を発する物体を支持する弾性支持部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該弾性支持部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成した流体封入式振動
緩衝装置であって、前記流体室を前記弾性支持部材をそ
の一部とする主室と前記ダイヤフラムをその一部とする
副室とに仕切ると共に、該主室と副室を連通するオリフ
ィス通路を有する仕切部材を備え、前記主室には、予め
決定された所定量の気体が注入され、前記気体は発泡し
た弾性体の内部に大気圧で充填され、該弾性体は、軟質
の薄膜部材により被包されていることを特徴とする。
【0019】第5の発明によれば、弾性を有する部材で
形成され、振動を発する物体を支持する弾性支持部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該弾性支持部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成した流体封入式振動
緩衝装置であって、前記流体室を前記弾性支持部材をそ
の一部とする下室と前記ダイヤフラムをその一部とする
上室とに仕切ると共に、該下室と上室を連通するオリフ
ィス通路を有する仕切部材と、前記下室の上部に注入さ
れた予め決定された所定量の気体と、前記気体を発泡し
た弾性体の内部に大気圧で充填させ、表面を軟質の薄膜
部材により被包された気体充填部材とを備え、前記気体
充填部材は、前記仕切部材のオリフィス通路以外の部分
であって、前記下室側に開口し、前記気体を滞留させる
ための凹部に配されていることを特徴とする。
【0020】第6の発明によれば、弾性を有する部材で
形成され、振動を発する物体を支持する弾性支持部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該弾性支持部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成した流体封入式振動
緩衝装置であって、前記流体室を前記弾性支持部材をそ
の一部とする上室と前記ダイヤフラムをその一部とする
下室とに仕切ると共に、該上室と下室を連通するオリフ
ィス通路を有する仕切部材を備え、前記上室の上部に
は、予め決定された所定量の気体が注入され、前記気体
の分子は前記弾性支持部材の分子間密度より大きな値に
設定されていることを特徴とする。
【0021】第7の発明によれば、弾性を有する部材で
形成され、振動を発する物体を支持する弾性支持部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該弾性支持部材とダイヤフラムとにより内部に
流体を封入するための流体室を形成した流体封入式振動
緩衝装置の製造方法であって、前記流体を所定条件の下
で飽和液とする飽和液生成工程と、前記流体室に前記流
体を注入する流体注入工程と、予め決定された量の気体
を前記流体室に封入する気体封入工程と、前記流体室を
密封する密封工程とを備えることを特徴とする。
【0022】
【作用】以上のように、この発明に係わる流体封入式振
動緩衝装置及びその製造方法において、請求項1に記載
の発明によれば、弾性支持部材の少なくとも内面又は外
面に、気体が外部へ透過するのを防止するための透過防
止手段を設けたことにより、注入した気体を上室の内部
に長期間に渡って安定して保持できる。
【0023】請求項2に記載の発明によれば、弾性支持
部材の内面には、気体を滞留させるための凹部とその凹
部にキャップ部材が装着されているので、透過防止手段
を安価に構成できる。請求項3に記載の発明によれば、
キャップ部材は、弾性支持部材と一体化されて形成され
るので装置全体の組付け性が容易となる。
【0024】請求項4に記載の発明によれば、キャップ
部材の外面若しくは弾性支持部材の凹部の内面のいずれ
か一方に突起部を設けると共に、他方に突起部に嵌合す
る溝部を設けたことにより、キャップ部材が流体室内部
に脱落するのを防止できる。請求項5に記載の発明によ
れば、キャップ部材は、気体に対して透過性の低い金属
材料又はナイロン、プラスチック等の合成樹脂材料で形
成されているので、気体の外部への透過を完全に遮断で
きる。
【0025】請求項6に記載の発明によれば、キャップ
部材の開口側の端部は、凹部の開口と均一な面を形成す
るか若しくは該凹部に埋設されるように弾性支持部材に
設けられるので、キャップ部材内に気体を注入する際
に、効率よく注入することができる。請求項7に記載の
発明によれば、透過防止手段を弾性支持部材の内面又は
外面の少なくとも一方に塗布された気体の透過を防止す
る材料からなるコート層とすることにより、透過防止手
段を安価に構成できる。
【0026】請求項8に記載の発明によれば、弾性支持
部材の内面に気体を滞留させるための凹部が設けられ、
その凹部にコート層が施されているので、気体を安定し
て滞留させつつ、透過防止手段を安価に構成できる。請
求項9に記載の発明によれば、気体を滞留させるための
凹部を構成する接続部材本体の内面にコート層を施すこ
とにより、ボルト穴からの気体の抜けを防止できる。
【0027】請求項10に記載の発明によれば、コート
層は、流体室を形成する装置本体と弾性支持部材との接
合部分と接続部材本体と弾性支持部材との接合部分とに
塗布されるので、新たな部材を必要とせず安価に気体の
透過を防止できる。請求項11に記載の発明によれば、
コート層は、気体に対して透過性の低い弾性材料からな
るので、コートした部分からの気体の透過を容易に防止
できる。
【0028】請求項12に記載の発明によれば、気体を
滞留させるための凹部を構成する接続部材本体に透過防
止手段を施すことにより、安価に気体の透過を防止でき
る。請求項13に記載の発明によれば、接続部材本体と
ボルトとを一体的に構成するか若しくは該接続部材本体
とボルトとをアーク溶接又は抵抗溶接により接合するこ
とにより気体が外部へ透過するのを防止するので、組付
け性が向上すると共に、安価に気体の透過を防止でき
る。
【0029】請求項14に記載の発明によれば、透過防
止手段は、弾性支持部材の内部に埋設された気体に対し
て透過性の低い板材又はシート材であるので、弾性支持
部材と一体的に構成でき、組付け性が向上すると共に、
安価に気体の透過を防止できる。請求項15に記載の発
明によれば、仕切部材の下室側の面を平面にすると共
に、オリフィス通路の出入口となる部分を上室側に突出
させることにより、下室側に気体が滞留するのを防止で
きる。
【0030】請求項16に記載の発明によれば、仕切部
材に、気体が外部へ透過するのを防止するための透過防
止手段を設けたことにより、上室と下室とを反転した構
造でも注入した気体を長期間に渡って流体室の内部に安
定して保持できる。請求項17に記載の発明によれば、
弾性支持部材の内面には、気体を滞留させるための凹部
を設けるので、上室に気体が移動するのを防止できる。
【0031】請求項18に記載の発明によれば、気体は
軟質の弾性材で包まれているので、気体の外部への透過
及び上室に気体が移動するのを防止できる。請求項19
に記載の発明によれば、弾性支持部材又は仕切部材に、
気体が外部へ透過するのを防止するための透過防止手段
を設けたことにより、気体を注入する流体室が上の場合
でも下の場合でも長期間に渡って気体を流体室の内部に
安定して保持できる。
【0032】請求項20に記載の発明によれば、気体は
発泡した弾性体の内部に大気圧で充填され、弾性体は、
軟質の薄膜部材により被包されているので、気体の消失
がなく、安価に気体の透過を防止できる。請求項21に
記載の発明によれば、気体を発泡した弾性体の内部に大
気圧で充填させ、表面を軟質の薄膜部材により被包され
た気体充填部材を下室側に開口し、気体を滞留させるた
めの凹部に配することにより、気体の消失及び気体の上
室への移動を防止できる。
【0033】請求項22に記載の発明によれば、気体の
分子は弾性支持部材の分子間密度より大きな値に設定さ
れているので、気体が弾性体内を透過するのを制限でき
る。請求項23に記載の発明によれば、流体を所定条件
の下で飽和液とし、流体室に注入するので、気体が流体
内に溶け込むのを防止できる。請求項24に記載の発明
によれば、所定条件は、振動を発する物体を使用した場
合に発生する温度範囲内に設定されるので、実際に使用
した場合の気体量の変動を抑えることができる。
【0034】請求項25に記載の発明によれば、予め決
定された量は、所定条件の下で流体から放出される気体
量と、封入された気体量との和に設定されるので、外部
から注入すべき気体量を正確に把握できると共に、実際
に使用した場合の気体量の変動を抑えることができる。
【0035】
【実施例】以下に本発明の流体封入式振動緩衝装置を自
動車用エンジンマウントに適用した実施例につき、添付
の図面を参照して詳細に説明する。 [第1実施例]図1は、本発明に基づく第1実施例の自
動車用エンジンマウントの断面図である。また、図2
は、図1の自動車用エンジンマウントの要部を簡略化し
て示したモデル図である。図1、図2において、本実施
例の自動車用エンジンマウント100は、エンジンルー
ム内の所定箇所においてエンジンを支持する。エンジン
マウント100は、エンジン側に取付けられる接続部材
1と、マウント本体2と、車体側に取付けられる接続部
材3とによりその外形を構成している。接続部材1は、
その一端部をエンジンにボルト等によって固定すると共
に、他端部には、弾性材料で構成された断面円形のゴム
部材4を取付けるための固定部5が形成されている。ま
た、固定部5の上部には、薄い円盤状のストッパ6が環
着されている。マウント本体2は、円筒形状のカップを
逆さまにした形状であり、上部が開口した形状の開口部
を備える。また、マウント本体2には、開口部から上部
に延設されたフランジ部2aが形成されている。マウン
ト本体2の下部には、車体のシャシ等に固定するための
接続部材3が設けられている。ゴム部材4が取付けられ
た固定部5は、マウント本体2の開口部の内面にゴム部
材4が密着するように嵌合され、固定される。このゴム
部材は、例えば、天然ゴム等で形成され、このゴム部材
4を取付けることによって、マウント本体2の内部に液
室10が形成される。液室10は、マウント本体2の内
部に設けられた仕切部材7によって、上部液室10aと
下部液室10bに分割され、夫々に液体Lが封入され
る。また、仕切り部材7には、上部液室10aと下部液
室10bとの間を連通し、封入された液体Lが両液室間
を流入及び流出できるように、ら旋状に形成されたオリ
フィス8が形成されている。また、仕切部材7とマウン
ト本体2の低部との間には、弾性材料(例えば、ゴム
等)で構成されたドーム状のダイヤフラム9が設けら
れ、下部液室10bは、仕切部材7とダイヤフラム9と
によって構成される。マウント本体2の低部は大気開放
されていて、ダイヤフラム9が液室10b内の液体Lの
圧力によって、ある程度伸縮可能なように構成されてい
る。また、上部液室10aには、所定量の気体Gが封入
されている。この気体Gは、空気や液室10に封入され
た液体Lに溶解しにくい特性を有する不活性ガスや、ヘ
リウムガス等であり、約0.5〜7cc程度封入され
る。この気体の充填量は、エンジンの重量や車種によっ
て、夫々異なるものである。気体Gは、図7(b)に示
すように、仕切部材7の下部液室10b側の面を平面に
すると共に、オリフィス8の出入口となる部分7aを上
室側に突出させることにより、下部液室10b側から注
入された気体がスムーズに上部液室10a側に移動する
ようになっている。また、エンジンの振動によってこの
ゴム部材4の変位量が必要以上に大きくなると、マウン
ト本体2に設けられたフランジ部2aとストッパ6とが
当接して、ゴム部材4の変位を抑制する。
【0036】また、液室10aの上部であって、このゴ
ム部材4における液室10aの内面を構成する固定部5
の真下部分には、キャップ部材20がゴム部材4と一体
的に埋め込まれている。このキャップ部材20は、液室
10a側に開口するように円筒形状のカップを逆さまに
したように設けられる。キャップ部材20は、鉄やアル
ミニウム等の金属、ナイロンやプラスチック等の樹脂の
ように空気透過性の低い材料から構成され、上部液室1
0aにおいて、所定量の気体Gを封入するための気体滞
留室の機能を果たしている。
【0037】<キャップ部材の変形例>図3(a)〜
(c)は、キャップ部材20の変形例を示す。図3
(a)〜(c)に示すように、ゴム部材4に埋め込まれ
たキャップ部材20が、マウントの組付け後に上部液室
10a内に脱落しないように、その円筒形の外周面であ
ってゴム部材4に当接する面に2列のフランジ状の突起
部20a、爪部20b又は円盤状の突起部20c等を設
けてもよい。
【0038】<気体滞留室の変形例>次に、上述の例で
はキャップ部材20で構成された気体滞留室の変形例を
説明する。図4〜図6は、図1の気体滞留室の変形例を
夫々示す図である。 (変形例1)図4では、キャップ部材20の代わりに空
気透過性の低い板材21をゴム部材に埋め込むことによ
り、気体Gが気体滞留室からゴム部材4を通過して外部
に抜けてしまう(矢視S1の経路)のを防止する。この
気体滞留室は、円筒側面がゴム部材4からなり、板材2
1には、ナイロンシート、アルミ箔、金属板等を用い
る。
【0039】(変形例2)図5では、キャップ部材20
や板材21を設けず、ゴム部材上部の接続部材1及び固
定部5との接続部分にコーティング22を施し、気体G
が気体滞留室からゴム部材4を通過して外部に抜けてし
まう(矢視S2の経路)のを防止する。この気体滞留室
は、全面がゴム部材4からなり、コーティング22は、
アーク溶接、抵抗溶接等を用いる。
【0040】(変形例3)図6では、ゴム部材4によっ
て気体滞留室をドーム状に形成し、その液室10a側の
表面にコーティング23を施し、気体Gが気体滞留室か
らゴム部材4を通過して外部に抜けてしまうのを防止す
る。コーティング23は、ブチルゴム等の被膜を用い
る。
【0041】以上のように、気体滞留室にキャップ部材
20や板材21を設けたり、コーティング22、23等
を施すことによって、液室10a内の気体Gがゴム部材
4を透過して外部に漏れてしまったり、ゴム部材4とエ
ンジンに固定される接続部材1との接続部分から透過し
て外部に漏れてしまう問題を改善できる。 <第1実施例の構成での伝達特性>上記の構成におい
て、ゴム部材4は、エンジンを支持する支持機能と共
に、エンジンやシャシから発生する振動を吸収する防振
機能を備えている。一般に、エンジンを支持する支持剛
性が高くなると、液室の拡張しにくさを表す拡張剛性も
大きな値となり、それに伴って伝達特性が大きな値とな
るため、制振機能が悪化する(エンジン振動が伝わりや
すくなる)。この拡張剛性を低くするために気体が封入
されている。封入された気体Gは、その気体自身の圧縮
特性によって、ゴム部材の変位による液室10aの拡張
剛性を低くする働きがあり、低周波領域及び高周波領域
での伝達特性を小さくしている。
【0042】<第1実施例の構成での減衰特性>低周波
振動では、各液室10a、10b内に封入された液体L
は、ゴム部材4の変位によってオリフィス8を介して上
部液室10aと下部液室10bとの間を移動するが、あ
る特定周波数になると、液体Lがオリフィス内で共振現
象による目詰まりを起こし、各液室間を移動しない状態
となる。即ち、オリフィス内の液体共振によって、特定
領域のみの減衰を高める働きがある。しかしながら、伝
達特性が高くなると減衰が極大値となる周波数が高くな
って、エンジンの制振機能に問題が生じる。従って、気
体Gを封入し、低周波の特定領域での伝達特性を低下さ
せる(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い
減衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成され
ている。
【0043】[第2実施例]図7は、本発明に基づく第
2実施例の自動車用エンジンマウントの断面図である。
また、図8は、図7の自動車用エンジンマウントの要部
を簡略化して示したモデル図である。図7、図8におい
て、第2実施例で用いる自動車用エンジンマウント20
0は、第1実施例のゴム部材4を固定する固定部5が上
部液室10aの一部となり、エア室205を構成してい
る。このエア室205は、コップの開口部を逆さまに向
けたような状態で取付けられ、開口部の断面積はオリフ
ィス8の断面積より大きく、且つ液室10aの断面積よ
り小さく形成されている。また、このエア室205は、
上部に気体Gが注入され、液室10aとの通路となって
いる。エア室205内の液体と気体とは、特定周波数に
おいて、液柱共振するエアデバイス220として機能し
ている。
【0044】第2実施例のエア室205は、図9に示す
ように、ゴム部材上部の接続部材1及び固定部5との接
続部分に、図5で説明したコーティング22を施すと共
に、マウント本体2とゴム部材4との接続部分、エア室
205とゴム部材4の接続部分にコーティング25が施
され、気体Gがエア室205からこれらの接続部分を通
過して外部に抜けてしまうのを防止する。このコーティ
ング25は、液室内又は液室外の少なくとも一方に施さ
れ、ブチルゴム等を用いる。その他、上記第1実施例と
同一部材は、同一の機能を有するものとして同一番号を
付与しその説明は省略する。
【0045】以上のように、第2実施例のエア室205
もコーティング22、25等を施すことによって、気体
Gが、ゴム部材4とエンジンに固定される接続部材1又
はマウント本体2との接続部分を通過して外部に漏れて
しまう問題を改善している。 <第2実施例での伝達特性>上記第2実施例の構成にお
いて、エアデバイス部220に封入された気体Gは、第
1実施例の場合と同様に、その気体自身の圧縮特性によ
って、ゴム部材の変位による液室10aの拡張剛性を低
くする働きがあり、低周波領域及び高周波領域での伝達
特性を小さくしている。しかしながら、車両は、車体や
ブラケット等の共振現象によって、高周波の特定周波数
領域で音や振動が大きくなる特性があり、従来では、ダ
イナミックダンパ等で対処していた。このダイナミック
ダンパに代わるものがエアデバイス部220である。エ
アデバイス部220内では、注入された気体Gの圧縮特
性によって、高周波の特定周波数領域で液柱共振現象が
発生する。エアデバイス部の通路内の液柱共振周波数
は、オリフィス内の液体共振周波数よりも高い値に設定
されているので、この液柱共振現象を利用することによ
って、高周波の特定周波数領域での伝達特性を小さくで
きるのである。
【0046】<第2実施例の構成での減衰特性>第2実
施例の構成においても、第1実施例の場合と同様の作
用、即ち、気体Gをエア室205に注入し、液柱共振周
波数より低い低周波の特定領域での伝達特性を低下させ
る(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い減
衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成されて
いる。
【0047】[第1、第2実施例に共通する気体の透過
又は溶解対策]気体のゴム部材を介した外部への透過に
対する他の対策としては、ゴム部材4の分子間密度を封
入する気体分子密度より小さく構成することで、気体が
ゴム部材を介して外部へ透過しずらくなる。また、気体
の流体への溶解に対する対策としては、封入する流体を
所定条件のもとで飽和液とすることで、気体の溶解を低
減することができる。尚、所定条件とは、エンジンの使
用条件を表し、エンジンマウントが取付けられる位置の
平均温度で、通常、70℃〜100℃の範囲内に設定さ
れる。この場合、封入される所定量の気体は、エンジン
が使用温度となった時に、流体から放出される溶解して
いた気体と、外部から注入される気体との和となる。
【0048】<流体マウントの原理>次に、上記各実施
例で用いる流体封入式エンジンマウントの原理について
説明する。図10は、第2実施例のエンジンマウントの
モデル図であり、図11は、図12の等価回路図であ
る。また、図28は、空気バネのモデル図であり、図2
8に示す空気バネのバネ定数kは、体積V0、圧力P0
断面積Aとすると、ポリトロープ指数γを用いて、図3
4に示す式によって表すことができる。図10、図11
及び図29において、エアデバイス内の流体の質量Md
及び液室内の流体の質量Meは、下記に示す式1、2に
よって表されるので、 Md=ρbL…(1) Me=ρal…(2) ρ;流体密度、 L;エアデバイス部の長さ、 l;オリフィスの長さ、 上記式1、2によって定義される流体質量を用いて、図
11の等価回路図では、下記に示す数1の運動方程式が
成立する。
【0049】
【数1】
【0050】また、数1において、モデル図と等価な質
量MD、MEは、下記式3によって表される。 (式3) MD=(A/b)2d E=(A/a)2e また、モデル図と等価な減衰CD、CEは、下記式4によ
って表される。
【0051】(式4) CD=(A/b)2dE=(A/a)2e また、モデル図と等価なバネ定数KDは、図29によれ
ば、式5によって表される。
【0052】 KD=(A/b)2d=(A/b)2(γP02/V0)=γP02/V0 …( 5) また、モデル図における等価な変位量は、式6によって
表される。 (式6) YD=(b/A)ydE=(a/A)ye 以上の式3〜式6を用いて数1に示す運動方程式をラプ
ラス変換によって解くと、下記に示す数2が成り立つ。
【0053】
【数2】
【0054】図12に示すように、図11のモデル図に
おける各パラメータを設定すると、図13、図14に示
すような結果が得られる。図13は、第2実施例のエン
ジンマウント200の伝達特性を示している。また、図
14は、減衰特性を示している。尚、図12〜図14に
示されているM0とは、従来の第2世代の構成のエンジ
ンマウントの特性を示している。第2実施例で説明した
ように、エアデバイス部220に封入された気体Gを1
ccとすると、エアデバイス部220内では、注入された
気体Gの圧縮特性によって、高周波の特定周波数領域で
液柱共振現象が発生する。エアデバイス部の通路内の液
柱共振周波数は、オリフィス内の液体共振周波数よりも
高い値に設定されているので、この液柱共振現象を利用
することによって、高周波の特定周波数領域(図13の
400Hz付近)での伝達特性を小さくできるのであ
る。また、気体Gをエア室205に注入し、液柱共振周
波数より低い低周波の特定領域での伝達特性を低下させ
る(図13に示す10〜20Hz付近)ことによって、
高い減衰特性が得られ(図14に示す10〜20Hz付
近)、制振機能が向上するように構成されている。
【0055】[第3実施例]図15は、本発明に基づく
第3実施例の自動車用エンジンマウントの断面図であ
る。図15において、第3実施例の自動車用エンジンマ
ウント500は、第1実施例及び第2実施例を逆さまに
構成し、第1実施例での上部液室10aを下部に、下部
液室10bを上部に配置している。両液室10a、10
bは、仕切部材7によって上下に分割される。仕切り部
材7には、液室10aと液室10bとの間を連通し、封
入された液体Lが両液室間を流入及び流出できるよう
に、ら旋状に形成されたオリフィス8が形成されてい
る。また、ダイヤフラム9は、仕切部材7の上部に設け
られている。ゴム部材4は、仕切部材7の下部にマウン
ト本体2と共に設けられ、副液室10bは、仕切部材7
とゴム部材4とによって形成される。また、仕切部材7
の中央部付近であって主液室10a側の上部には、主液
室10a側に開口した凹部7aが設けられる。凹部7a
は、第1、第2実施例の気体滞留室と同様の機能を果た
し、気体Gの代わりに発泡ゴム30が封入される。この
発泡ゴムは、ブチルゴムやEPDM等の空気透過性の低
い材料で形成され、凹部7aに所定量の気体Gを封入し
た場合と同等の特性を示すようにその体積量が決定され
る。また、この発泡ゴムの体積量は、エンジンの重量や
車種によって、夫々異なるものである。また、発泡ゴム
30の代わりに、その表面をナイロンやABS等の空気
透過性の低い弾性材料で被膜した材料や、内部に所定量
の気体を封入したゴムまり状の物質を用いてもよい。と
ころで、この第3実施例において、気体Gを用いない理
由は、第3実施例の構成では、凹部7aに気体を封入さ
せてもオリフィスを介して上部の副液室10bに気体が
移動してしまうからである。また、上記第1、第2実施
例に発泡ゴム30を用いることも考えられるが、この場
合、気体Gがオリフィスを介して下部の副液室10bに
移動しにくく、更に気体と発泡ゴムとを比較すると、気
体を液室内に直接封入するほうが安価にできるため、上
記第1、第2実施例の構成に発泡ゴムを用いるのは特に
効果的とは言えない。その他、上記各実施例と同一部材
は、同一の機能を有するものとして同一番号を付与しそ
の説明は省略する。
【0056】以上のように、封入する気体の代わりに発
泡ゴムを用いることにより、気体が液室内の流体に融解
したり、実際の振動により、気体がダイヤフラム側の液
室に移動してしまう不都合を改善できる。 <第3実施例での伝達特性>上記第3実施例の構成にお
いて、凹部7aに封入された発泡ゴム30は、第2実施
例の場合と同様に、その気体自身の圧縮特性によって、
ゴム部材の変位による液室10aの拡張剛性を低くする
働きがあり、低周波領域及び高周波領域での伝達特性を
小さくしている。凹部7a内では、発泡ゴム30が圧縮
特性によって、高周波の特定周波数領域で液柱共振現象
が発生する。凹部7aの通路内の液柱共振周波数は、オ
リフィス内の液体共振周波数よりも高い値に設定されて
いるので、この液柱共振現象を利用することによって、
高周波の特定周波数領域での伝達特性を小さくできるの
である。
【0057】<第3実施例の構成での減衰特性>第2実
施例の場合と同様に、凹部7a内部の発泡ゴム30が、
低周波の特定領域での伝達特性を低下させる(即ち、拡
張剛性を低くする)ことにより、高い減衰特性が得ら
れ、制振機能が向上するように構成されている。 [製造方法]次に、上記各実施例で説明したエンジンマ
ウントの製造方法を説明する。尚、上記各実施例で説明
した部材は、夫々構成部材としてすでに製造されている
ものとする。以下にその全体的な製造工程を示す。
【0058】先ず、マウント本体の内部に流体を注入
する。 マウント本体の内部に混入している不要な空気を遮断
又は排出する。 予め決定された量の気体をマウント本体の内部に封入
する。但し、封入される気体は、空気である。 この状態で、マウントを圧縮し、密封する。このよう
にマウントに圧力を付与することによって、無負荷時で
の液室内の負圧によって気体を封じ込めておき、エンジ
ン搭載時には液室内部が大気圧となりガスバネとして作
用させる。
【0059】次に、第1実施例のエンジンマウントにお
いて、ゴム部材4にキャップ部材20を遺体的に埋め込
んで成形する方法について図16〜図19を参照して説
明する。 先ず、図16に示すように、上型50に接続部材1及
び固定部5からなる上金具をセットし、下型52にマウ
ント本体2となる外金具とキャップ部材20とをセット
する。
【0060】次に、図17に示すように、上型50、
中型51、下型52とをゴム成形型として一体にセット
する。 更に、図17において、一体にセットしたゴム成形型
の注入口Aからゴム材を注入して加硫成形すると共に、
空気口Bから型内部の空気を抜いていく。 その後、図18のように、ゴム成形型を取り外し、図
19に示すように、注入口Aや空気口B等のバリを落と
して完成する。
【0061】(実施例の効果)以上説明したように、上
記各実施例の自動車用エンジンマウントによれば、気体
滞留室にキャップ部材20や板材21を設けたり、コー
ティング22、23等を施すことによって、液室10a
内の気体Gがゴム部材4を透過して外部に漏れてしまっ
たり、ゴム部材4とエンジンに固定される接続部材1と
の接続部分から透過して外部に漏れてしまう問題を改善
できる。
【0062】また、エア室205にコーティング22、
25等を施すことによって、気体Gが、ゴム部材4とエ
ンジンに固定される接続部材1又はマウント本体2との
接続部分を通過して外部に漏れてしまう問題を改善でき
る。また、封入する気体の代わりに発泡ゴムを用いるこ
とにより、気体が液室内の流体に融解したり、実際の振
動により、気体がダイヤフラム側の液室に移動してしま
う不都合を改善できる。
【0063】尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲
で上記実施例を修正又は変形したものに適用可能であ
る。例えば、上記各実施例では、液室内に封入する気体
として、不活性ガスを用いたが、封入される流体と気体
との組み合わせは、互いに溶解しにくいものであれば、
不活性ガスに限定されるものではない。
【0064】
【発明の効果】以上説明のように、本発明の流体封入式
振動緩衝装置及びその製造方法における、請求項1に記
載の発明によれば、弾性支持部材の少なくとも内面又は
外面に、気体が外部へ透過するのを防止するための透過
防止手段を設けたことにより、注入した気体を上室の内
部に長期間に渡って安定して保持できる。
【0065】請求項2に記載の発明によれば、弾性支持
部材の内面には、気体を滞留させるための凹部とその凹
部にキャップ部材が装着されているので、透過防止手段
を安価に構成できる。請求項3に記載の発明によれば、
キャップ部材は、弾性支持部材と一体化されて形成され
るので装置全体の組付け性が容易となる。
【0066】請求項4に記載の発明によれば、キャップ
部材の外面若しくは弾性支持部材の凹部の内面のいずれ
か一方に突起部を設けると共に、他方に突起部に嵌合す
る溝部を設けたことにより、キャップ部材が流体室内部
に脱落するのを防止できる。請求項5に記載の発明によ
れば、キャップ部材は、気体に対して透過性の低い金属
材料又はナイロン、プラスチック等の合成樹脂材料で形
成されているので、気体の外部への透過を完全に遮断で
きる。
【0067】請求項6に記載の発明によれば、キャップ
部材は、凹部の開口と均一な面を形成するか若しくは該
凹部に埋設されるように弾性支持部材に設けられるの
で、キャップ部材内に気体を効率よく注入することがで
きる。請求項7に記載の発明によれば、透過防止手段を
弾性支持部材の内面又は外面の少なくとも一方に塗布さ
れた気体の透過を防止する材料からなるコート層とする
ことにより、透過防止手段を安価に構成できる。
【0068】請求項8に記載の発明によれば、弾性支持
部材の内面に気体を滞留させるための凹部が設けられ、
その凹部にコート層が施されているので、気体を安定し
て滞留させつつ、透過防止手段を安価に構成できる。請
求項9に記載の発明によれば、気体を滞留させるための
凹部を構成する接続部材本体の内面にコート層を施すこ
とにより、ボルト穴からの気体の抜けを防止できる。
【0069】請求項10に記載の発明によれば、コート
層は、流体室を形成する装置本体と弾性支持部材との接
合部分と接続部材本体と弾性支持部材との接合部分とに
塗布されるので、新たな部材を必要とせず安価に気体の
透過を防止できる。請求項11に記載の発明によれば、
コート層は、気体に対して透過性の低い弾性材料からな
るので、コートした部分からの気体の透過を容易に防止
できる。
【0070】請求項12に記載の発明によれば、気体を
滞留させるための凹部を構成する接続部材本体に透過防
止手段を施すことにより、安価に気体の透過を防止でき
る。請求項13に記載の発明によれば、接続部材本体と
ボルトとを一体的に構成するか若しくは該接続部材本体
とボルトとをアーク溶接又は抵抗溶接により接合するこ
とにより気体が外部へ透過するのを防止するので、組付
け性が向上すると共に、安価に気体の透過を防止でき
る。
【0071】請求項14に記載の発明によれば、透過防
止手段は、弾性支持部材の内部に埋設された気体に対し
て透過性の低い板材又はシート材であるので、弾性支持
部材と一体的に構成でき、組付け性が向上すると共に、
安価に気体の透過を防止できる。請求項15に記載の発
明によれば、仕切部材の下室側の面を平面にすると共
に、オリフィス通路の出入口となる部分を上室側に突出
させることにより、下室側に気体が滞留するのを防止で
きる。
【0072】請求項16に記載の発明によれば、仕切部
材に、気体が外部へ透過するのを防止するための透過防
止手段を設けたことにより、上室と下室とを反転した構
造でも注入した気体を長期間に渡って流体室の内部に安
定して保持できる。請求項17に記載の発明によれば、
弾性支持部材の内面には、気体を滞留させるための凹部
を設けるので、上室に気体が移動するのを防止できる。
【0073】請求項18に記載の発明によれば、気体は
軟質の弾性材で包まれているので、気体の外部への透過
及び上室に気体が移動するのを防止できる。請求項19
に記載の発明によれば、弾性支持部材又は仕切部材に、
気体が外部へ透過するのを防止するための透過防止手段
を設けたことにより、気体を注入する流体室が上の場合
でも下の場合でも長期間に渡って気体を流体室の内部に
安定して保持できる。
【0074】請求項20に記載の発明によれば、気体は
発泡した弾性体の内部に大気圧で充填され、弾性体は、
軟質の薄膜部材により被包されているので、気体の消失
がなく、安価に気体の透過を防止できる。請求項21に
記載の発明によれば、気体を発泡した弾性体の内部に大
気圧で充填させ、表面を軟質の薄膜部材により被包され
た気体充填部材を下室側に開口し、気体を滞留させるた
めの凹部に配することにより、気体の消失及び気体の上
室への移動を防止できる。
【0075】請求項22に記載の発明によれば、気体の
分子は弾性支持部材の分子間密度より大きな値に設定さ
れているので、気体が弾性体内を透過するのを制限でき
る。請求項23に記載の発明によれば、流体を所定条件
の下で飽和液とし、流体室に注入するので、気体が流体
内に溶け込むのを防止できる。請求項24に記載の発明
によれば、所定条件は、振動を発する物体を使用した場
合に発生する温度範囲内に設定されるので、実際に使用
した場合の気体量の変動を抑えることができる。
【0076】請求項25に記載の発明によれば、予め決
定された量は、所定条件の下で流体から放出される気体
量と、封入された気体量との和に設定されるので、外部
から注入すべき気体量を正確に把握できると共に、実際
に使用した場合の気体量の変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1実施例の自動車用エンジン
マウントの断面図である。
【図2】図1の自動車用エンジンマウントの要部を簡略
化して示したモデル図である。
【図3】キャップ部材の変形例を示す図である。
【図4】図1の気体滞留室の変形例を夫々示す図であ
る。
【図5】図1の気体滞留室の変形例を夫々示す図であ
る。
【図6】図1の気体滞留室の変形例を夫々示す図であ
る。
【図7】本発明に基づく第2実施例の自動車用エンジン
マウントの断面図である。
【図8】図7の自動車用エンジンマウントの要部を簡略
化して示したモデル図である。
【図9】第2実施例のエア室に図5で説明したコーティ
ングを施した様子を示す図である。
【図10】第2実施例のエンジンマウントのモデル図で
ある。
【図11】図10の等価回路図である。
【図12】図11のモデル図における各パラメータの設
定例を示す図である。
【図13】図11、図12の仕様での第2実施例のエン
ジンマウント200の伝達特性を示す図である。
【図14】図11、図12の仕様での第2実施例のエン
ジンマウント200の減衰特性を示す図である。
【図15】本発明に基づく第3実施例の自動車用エンジ
ンマウントの断面図である。
【図16】第1実施例のエンジンマウントにおいて、ゴ
ム部材にキャップ部材を一体的に埋め込んで成形する方
法を説明する図である。
【図17】第1実施例のエンジンマウントにおいて、ゴ
ム部材にキャップ部材を一体的に埋め込んで成形する方
法を説明する図である。
【図18】第1実施例のエンジンマウントにおいて、ゴ
ム部材にキャップ部材を一体的に埋め込んで成形する方
法を説明する図である。
【図19】第1実施例のエンジンマウントにおいて、ゴ
ム部材にキャップ部材を一体的に埋め込んで成形する方
法を説明する図である。
【図20】第1世代のエンジンマウントの構成を示す断
面図である。
【図21】振動の伝達特性及び減衰特性を定義する図で
ある。
【図22】第1世代のエンジンマウントの構成による伝
達特性を示す図である。
【図23】第1世代のエンジンマウントの構成による減
衰特性を示す図である。
【図24】第2世代のエンジンマウントの構成を示す断
面図である。
【図25】第2世代のエンジンマウントの構成による伝
達特性を示す図である。
【図26】第3世代のエンジンマウントの構成を示す断
面図である。
【図27】第3世代のエンジンマウントの構成による伝
達特性を示す図である。
【図28】空気バネのモデル図である。
【図29】図28に示す空気バネのバネ定数kをポリト
ロープ指数γを用いた式によって表した図である。
【符号の説明】
1…接続部材、 2…マウント本体、 3…接続部材、 4…ゴム部材、 5…固定部、 6…ストッパ、 7…仕切部材、 8…オリフィス、 9…ダイヤフラム、 10a、10b…液室、 20…キャップ部材、 30…発泡ゴム、 205…エア室、 220…エアデバイス部、 G…空気又は不活性ガス、 L…液体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹原 伸 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 田中 孝彦 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 谷口 晴幸 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 平林 繁文 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性を有する部材で形成され、振動を発
    する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄膜
    部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持部
    材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するための
    流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、 前記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする上室と
    前記ダイヤフラムをその一部とする下室とに仕切ると共
    に、該上室と下室を連通するオリフィス通路を有する仕
    切部材を備え、 前記上室の上部には、予め決定された所定量の気体が注
    入され、 前記弾性支持部材の少なくとも内面又は外面に、前記気
    体が外部へ透過するのを防止するための透過防止手段を
    設けたことを特徴とする流体封入式振動緩衝装置。
  2. 【請求項2】 前記上室の上部であって前記弾性支持部
    材の内面には、前記上室側に開口し、前記気体を滞留さ
    せるための凹部が設けられ、該凹部には前記気体を透過
    しない材質で形成されたキャップ部材が装着されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の流体封入式振動緩衝
    装置。
  3. 【請求項3】 前記キャップ部材は、所定の型に組付け
    た後、ゴム材を注入することにより前記弾性支持部材と
    一体化されて形成されることを特徴とする請求項2に記
    載の流体封入式振動緩衝装置。
  4. 【請求項4】 前記キャップ部材の前記弾性支持部材に
    当接する外周面若しくは前記凹部の前記キャップ部材に
    当接する内面のいずれか一方に突起部を設けると共に、
    他方に該突起部に嵌合する溝部を設けたことを特徴とす
    る請求項2に記載の流体封入式振動緩衝装置。
  5. 【請求項5】 前記キャップ部材は、気体に対して透過
    性の低い金属材料又はナイロン、プラスチック等の合成
    樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項2に
    記載の流体封入式振動緩衝装置。
  6. 【請求項6】 前記キャップ部材の開口側の端部は、前
    記凹部の開口と均一な面を形成するか若しくは該凹部に
    埋設されるように前記弾性支持部材に設けられることを
    特徴とする請求項2に記載の流体封入式振動緩衝装置。
  7. 【請求項7】 前記透過防止手段は、前記弾性支持部材
    の内面又は外面の少なくとも一方に塗布された気体の透
    過を防止する材料からなるコート層であることを特徴と
    する請求項1に記載の流体封入式振動緩衝装置。
  8. 【請求項8】 前記上室の上部であって前記弾性支持部
    材の内面には、前記上室側に開口し、前記気体を滞留さ
    せるための凹部が設けられ、該凹部には前記コート層が
    施されていることを特徴とする請求項7に記載の流体封
    入式振動緩衝装置。
  9. 【請求項9】 前記弾性支持部材は前記振動を発する物
    体に接続される金属製の接続部材を備え、該接続部材は
    前記上室側に開口し、前記気体を滞留させるための凹部
    を構成する接続部材本体と該振動を発する物体に接続さ
    れるボルトからなり、該接続部材本体の内面に前記コー
    ト層を施したことを特徴とする請求項7に記載の流体封
    入式振動緩衝装置。
  10. 【請求項10】 前記コート層は、前記弾性支持部材及
    びダイヤフラムと共に前記流体室を形成する装置本体と
    該弾性支持部材との接合部分と前記接続部材本体と該弾
    性支持部材との接合部分とに塗布されることを特徴とす
    る請求項9に記載の流体封入式振動緩衝装置。
  11. 【請求項11】 前記コート層は、ブチルゴム等の気体
    に対して透過性の低い弾性材料からなることを特徴とす
    る請求項7に記載の流体封入式振動緩衝装置。
  12. 【請求項12】 前記弾性支持部材は前記振動を発する
    物体に接続される金属製の接続部材を備え、該接続部材
    は前記上室側に開口し、前記気体を滞留させるための凹
    部を構成する接続部材本体と該振動を発する物体に接続
    されるボルトからなり、前記透過防止手段は、前記接続
    部材本体に施されていることを特徴とする請求項1に記
    載の流体封入式振動緩衝装置。
  13. 【請求項13】 前記透過防止手段は、前記接続部材本
    体とボルトとを一体的に構成するか若しくは該接続部材
    本体とボルトとをアーク溶接又は抵抗溶接により接合す
    ることにより前記気体が外部へ透過するのを防止するこ
    とを特徴とする請求項12に記載の流体封入式振動緩衝
    装置。
  14. 【請求項14】 前記透過防止手段は、前記弾性支持部
    材の内部に埋設された気体に対して透過性の低い板材又
    はシート材であることを特徴とする請求項13に記載の
    流体封入式振動緩衝装置。
  15. 【請求項15】 前記仕切部材の前記下室側の面を平面
    にすると共に、前記オリフィス通路の出入口となる部分
    を前記上室側に突出させることを特徴とする請求項1に
    記載の流体封入式振動緩衝装置。
  16. 【請求項16】 弾性を有する部材で形成され、振動を
    発する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄
    膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持
    部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するため
    の流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、 前記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする下室と
    前記ダイヤフラムをその一部とする上室とに仕切ると共
    に、該下室と上室を連通するオリフィス通路を有する仕
    切部材を備え、 前記下室の上部には、予め決定された所定量の気体が注
    入され、 前記下室の上部の前記仕切部材に、前記気体が外部へ透
    過するのを防止するための透過防止手段を設けたことを
    特徴とする流体封入式振動緩衝装置。
  17. 【請求項17】 前記仕切部材は前記気体を透過しない
    材質で形成され、前記下室の上部であって前記仕切部材
    のオリフィス通路以外の部分に、前記下室側に開口し、
    前記気体を滞留させるための凹部が設けられていること
    を特徴とする請求項16に記載の流体封入式振動緩衝装
    置。
  18. 【請求項18】 前記気体は軟質の弾性材で包まれ、該
    弾性材が前記凹部に配設されることを特徴とする請求項
    16に記載の流体封入式振動緩衝装置。
  19. 【請求項19】 弾性を有する部材で形成され、振動を
    発する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄
    膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持
    部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するため
    の流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、 前記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする主室と
    前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共
    に、該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕
    切部材を備え、 前記主室には、予め決定された所定量の気体が注入さ
    れ、 前記弾性支持部材又は仕切部材に、前記気体が外部へ透
    過するのを防止するための透過防止手段を設けたことを
    特徴とする流体封入式振動緩衝装置。
  20. 【請求項20】 弾性を有する部材で形成され、振動を
    発する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄
    膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持
    部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するため
    の流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、 前記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする主室と
    前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共
    に、該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕
    切部材を備え、 前記主室には、予め決定された所定量の気体が注入さ
    れ、 前記気体は発泡した弾性体の内部に大気圧で充填され、
    該弾性体は、軟質の薄膜部材により被包されていること
    を特徴とする流体封入式振動緩衝装置。
  21. 【請求項21】 弾性を有する部材で形成され、振動を
    発する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄
    膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持
    部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するため
    の流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、 前記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする下室と
    前記ダイヤフラムをその一部とする上室とに仕切ると共
    に、該下室と上室を連通するオリフィス通路を有する仕
    切部材と、 前記下室の上部に注入された予め決定された所定量の気
    体と、 前記気体を発泡した弾性体の内部に大気圧で充填させ、
    表面を軟質の薄膜部材により被包された気体充填部材と
    を備え、 前記気体充填部材は、前記仕切部材のオリフィス通路以
    外の部分であって、前記下室側に開口し、前記気体を滞
    留させるための凹部に配されていることを特徴とする流
    体封入式振動緩衝装置。
  22. 【請求項22】 弾性を有する部材で形成され、振動を
    発する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄
    膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持
    部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するため
    の流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置であって、 前記流体室を前記弾性支持部材をその一部とする上室と
    前記ダイヤフラムをその一部とする下室とに仕切ると共
    に、該上室と下室を連通するオリフィス通路を有する仕
    切部材を備え、 前記上室の上部には、予め決定された所定量の気体が注
    入され、 前記気体の分子は前記弾性支持部材の分子間密度より大
    きな値に設定されていることを特徴とする流体封入式振
    動緩衝装置。
  23. 【請求項23】 弾性を有する部材で形成され、振動を
    発する物体を支持する弾性支持部材と、弾性を有する薄
    膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該弾性支持
    部材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するため
    の流体室を形成した流体封入式振動緩衝装置の製造方法
    であって、 前記流体を所定条件の下で飽和液とする飽和液生成工程
    と、 前記流体室に前記流体を注入する流体注入工程と、 予め決定された量の気体を前記流体室に封入する気体封
    入工程と、 前記流体室を密封する密封工程とを備えることを特徴と
    する流体封入式振動緩衝装置の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記所定条件は、振動を発する物体を
    使用した場合に発生する温度範囲内に設定されることを
    特徴とする請求項23に記載の流体封入式振動緩衝装置
    の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記予め決定された量は、前記所定条
    件の下で前記流体から放出される気体量と、前記封入さ
    れた気体量との和に設定されることを特徴とする請求項
    23に記載の振動緩衝装置の製造方法。
JP5895195A 1995-03-17 1995-03-17 流体封入式振動緩衝装置及びその製造方法 Pending JPH08254243A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7044456B2 (en) * 2002-11-18 2006-05-16 Tokai Rubber Industries, Ltd. Fluid-filled vibration-damping device having gas-retaining hole
JP2007205550A (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Tokai Rubber Ind Ltd 液体封入型防振装置
JP2008095719A (ja) * 2006-10-06 2008-04-24 Bridgestone Corp 防振装置
CN106442157A (zh) * 2016-12-07 2017-02-22 贵州黎阳航空动力有限公司 一种分区检测机匣液压强度的试验装置

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