JPH0860550A - メソフェーズピッチ系炭素繊維チョップドストランド - Google Patents

メソフェーズピッチ系炭素繊維チョップドストランド

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JPH0860550A
JPH0860550A JP6201961A JP20196194A JPH0860550A JP H0860550 A JPH0860550 A JP H0860550A JP 6201961 A JP6201961 A JP 6201961A JP 20196194 A JP20196194 A JP 20196194A JP H0860550 A JPH0860550 A JP H0860550A
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carbon fiber
resin
weight
injection molding
chopped strand
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JP6201961A
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Inventor
Eiji Fujisawa
英治 藤沢
Motoi Marumoto
基 丸本
Hiroaki Shono
弘晃 庄野
Takashi Kojima
孝 小島
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】室温で固体状で臭素含有量が少なくとも15重
量%のエポキシ樹脂、または室温で固体状の分子量が2
000以下で未変性のノボラック型フェノール樹脂が、
10〜30重量%担持された直接射出成型用メソフェー
ズピッチ系炭素繊維チョップドストランド。 【効果】本発明の炭素繊維チョップドストランドから直
接射出成型により得られた成型体は、メソフェーズピッ
チ系炭素繊維の特徴が効率よく反映され、また高炭素繊
維含量の条件からも成型体を得ることができるので補強
性、電気伝導性、熱伝導性等に優れた性能のものが得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素繊維強化熱可塑性樹
脂の射出成型に用いられる炭素繊維チョップドストラン
ドに関し、詳しくはコンパウンド工程を経ずに炭素繊維
チョップドストランドと熱可塑性樹脂を直接射出成型す
る方法において、炭素繊維補強効果の高い射出成型体を
得るために用いられるメソフェーズピッチ系炭素繊維チ
ョップドストランドに関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維はポリアクリロニトリル(PA
N)を原料とするPAN系のものと、石炭および石油系
のピッチ類や、例えば縮合多環芳香族化合物からHF/
BF3触媒により得られる合成ピッチを原料とするピッ
チ系のものが主に使用されている。ピッチ系炭素繊維の
中でも光学異方性相を含むメソフェーズピッチから得ら
れる炭素繊維は、低コストで高弾性率、高電気伝導性、
高熱伝導性を示す特徴があり、炭素繊維強化熱可塑性樹
脂(以下、CFRTPと称する)の補強材として用い
て、OA機器や電気通信分野、自動車・車両関連、精密
機械部品関連分野等に広く用途開発が進められている。
【0003】一般にCFRTP成型体は、炭素繊維チョ
ップドストランドと熱可塑性樹脂ペレットをドライブレ
ンドにより混合した後、押出機により溶融混合する方
法、または熱可塑性樹脂を押出機により溶融しながら供
給し、押出機中段サイド部より炭素繊維チョップドスト
ランドを供給しながら溶融混合する方法などのコンパウ
ンド工程によりペレット化された後、このペレットの射
出成型工程を経て製造されている。このようなCFRT
P成型体の製造法において次のような課題が挙げられ
る。
【0004】(1)ドライブレンド中に炭素繊維チョッ
プドストランドの解繊やケバ立ちのために毛玉状の炭素
繊維塊が生成し、繊維の供給量が不安定になったりホッ
パー下部で閉塞を起こしたりする等のトラブルを起こし
て安定した操業が困難であり、また均一なブレンド状態
が崩れて繊維含有率がずれてしまうために、ドライブレ
ンドしたものをそのまま射出成型したのでは均一な性能
を有したCFRTPが得られない。そのため射出成型前
に予め繊維と樹脂を溶融混合するコンパウンド工程が必
要であり、その費用が大きい。
【0005】(2)コンパウンド工程や射出成型工程で
炭素繊維が剪断力により切断されて、最終製品中に残存
する繊維の長さと径の比(残存繊維アスペクト比)が小
さくなるので、炭素繊維の機械的、熱的、電気的諸特性
が有効に成型体性能に反映せず、高価な炭素繊維を用い
ることのコスト・パフォーマンスは満足のいくものとは
ならない。特に近年、機械的補強の他に、熱伝導性、電
気伝導性の改善されたCFRTPが求められており、そ
の補強材としてメソフェーズピッチ系炭素繊維が有望視
されているが、一般に高熱伝導性、高電気伝導性の炭素
繊維ほど引張弾性率が高いために脆く、コンパウンドや
射出成型工程においてアスペクト比の低下が著しくなる
ので、たとえ高性能なメソフェズピッチ系炭素繊維を用
いても、得られる成型体の性能がさほど上昇しない。
【0006】(3)また一般に炭素繊維の含量を高くす
ればする程、より高強度、高剛性、高熱伝導性、高電気
伝導性の成型体が得られると期待されるが、上記の従来
法では炭素繊維含量を上げると成型原料の流れ性が急激
に低下するので残存繊維アスペクト比が更に低下するの
みならず、コンパウンディングや射出成型そのものが困
難となる。通常用いられている射出成型機で成型可能な
成型体中の炭素繊維含量はせいぜい40重量%である。
【0007】上記の(1)の課題に対しては、コンパウ
ンド工程での炭素繊維チョップドストランドの取扱性を
改良するため、特定のエポキシ化合物の混合物を成分と
する集束剤を用いて高密度で安息角の小さい炭素繊維チ
ップにする方法(特開昭61−66616号)やエポキ
シ系エマルジョン集束剤のエマルジョン粒径を最適化す
ることで集束性を高めようとする方法(特開平4−17
0435号)が報告されている。これらは何れも作業性
改善の効果は期待できるものの、コンパウンド工程を省
略することはできず、また上記の(2)および(3)の
課題に対しては何ら解決方法を示すものではない。
【0008】また(1)の課題のコンパウンド工程でス
クリューによる繊維の破壊を抑えるため、炭素繊維の造
粒物にオートクレーブ中で熱可塑性樹脂を加圧含浸させ
ることでコンパウンド化する方法が提案されている(特
開平3−56566号)。これは炭素繊維の破壊を極力
抑えて、機械的、電気的、熱的特性に優れたCFRTP
を得ようとするものであるが、操作が複雑で工業的に有
利な方法とは言い難い。先に述べた炭素繊維を押出機中
段部よりサイドフィードする方法も残存繊維アスペクト
比を高くするための手段として用いられているが、スク
リューフィーダーで直接炭素繊維を供給するには更に強
い集束安定性が求められる。集束安定性はサイジング剤
の量を増やすことで改善されるが、逆に繊維の流動性が
低下して均一にマトリックス樹脂中に分散することが困
難となり、CFRTPの機械物性が損なわれる。
【0009】特公昭64−202号には、熱硬化性樹脂
を高濃度で高弾性率繊維のチョップドファイバーに被覆
する方法が記載されており、この方法で得られたチョッ
プドファイバーをそれ自体で圧縮成型することによっ
て、繊維含有量の極めて高い条件でも良好な表面特性を
有した成型品が得られることが示されている。また特開
平5−162132号には、特公昭64−202号の方
法を更に発展させて熱硬化性樹脂と同時にウレタン樹脂
を併用することでドライブレンド中の衝撃に対しても解
繊することなく熱可塑性樹脂ペレットと共に安定に直接
射出成型に供することができる炭素繊維チョップドスト
ランドを得る方法が提案されている。
【0010】これらの方法は補強繊維としての炭素繊維
とマトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂以外に、第三
成分として室温では固体で射出成型条件下では低粘度を
呈する熱硬化性樹脂類を多量に繊維に被覆することで、
解繊性を抑えて取扱性を向上すると同時に射出成型時の
流動性も向上させてコンパウンド工程を省略して直接射
出成型を可能ならしめる方法であり、上記課題の解決方
法として注目すべきものである。しかしこの様に多量に
添加された熱硬化性樹脂は、マトリックスである熱可塑
性樹脂への分散性が低いために成型体内部に不均一な海
島構造を発現させ、炭素繊維表面とマトリックス樹脂と
の強固な結合を阻害して機械的性能や電気的・熱的な性
能に対する補強効率の低下を招き、更にマトリックス樹
脂との反応性のために分子量を低下させるために、たと
え高性能なメソフェズピッチ系炭素繊維を用いたとして
もその性能が十分にCFRTP性能に反映しない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】最近のCFRTPの低
コスト化、高性能化要求は更に厳しいものとなっている
が、上記のような種々の方法が提案されているにも拘ら
ずまだ十分な効果が得られていないのが現状である。こ
のため上記の(1)(2)(3)の如き課題を解決し
て、工業的に有利な方法でメソフェーズピッチ系炭素繊
維の性能を有効にCFRTPに反映できる射出成型法の
開発が望まれている。本発明の目的は熱可塑性樹脂とコ
ンパウンドすることなく、直接射出成型法に用いられる
マトリックス樹脂との分散性と安定性に優れ高い補強効
果を発現するメソフェーズピッチ系炭素繊維チョップド
ストランドを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の如
き直接射出成型法の課題を解決するためには、高い炭素
繊維チュップドストランドの集束能と、炭素繊維−溶融
熱可塑性樹脂界面の流動性向上能を有すると同時に、マ
トリックス樹脂との分散性と安定性に優れ、高い炭素繊
維補強効果を発現するメソフェーズピッチ系炭素繊維チ
ョップドストランドの開発が重要であると認識して鋭意
検討を行なった。その結果、室温で固体状で臭素含有量
が少なくとも15重量%のエポキシ樹脂または室温で固
体状の分子量が2000以下で未変性のノボラック型フ
ェノール樹脂が10〜30重量%担持されたメソフェー
ズピッチ系炭素繊維チョップドストランドが、直接射出
成型法に用いられるマトリックス樹脂との分散性と安定
性に優れ高い補強効果を発現することを見い出し、本発
明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、室温で固
体状で臭素含有量が少なくとも15重量%のエポキシ樹
脂、または室温で固体状の分子量が2000以下で未変
性のノボラック型フェノール樹脂が、10〜30重量%
担持された直接射出成型用メソフェーズピッチ系炭素繊
維チョップドストランドである。以下、本発明を詳細に
説明する。
【0014】本発明におけるメソフェーズピッチ系炭素
繊維は、石炭系、石油系あるいは合成ピッチ系など従来
公知のメソフェーズピッチ系炭素繊維が使用でき、本発
明はそのような炭素繊維に樹脂を担持させたチョップド
ストランドである。チョップドストランドの製造方法は
特に限定されず、炭素繊維製造工程間の任意の工程で公
知の切断方法で長さ1〜50mm、好ましくは3〜10
mmに切断して製造される。炭素繊維チョップドストラ
ンドを構成する繊維の径や本数にも特に制限はないが、
通常直径5〜25μm、本数1000〜60000本で
構成される。また炭素繊維にあらかじめ表面処理が施さ
れていても良く、本発明の効果を損なわない範囲でサイ
ジング剤が塗布されていても良い。
【0015】本発明において使用される室温で固体状で
臭素含有量が少なくとも15重量%のエポキシ樹脂とし
ては、たとえばテトラブロモビスフェノールAとエピク
ロロヒドリンとの反応、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂とテトラブロモビスフェノールAとの反応、ブロム化
フェノールノボラックとエピクロロヒドリンとの反応に
よって得られる反応生成物などが挙げられる。また用い
られるエポキシ樹脂のエポキシ当量に特に制限はない
が、一般にエポキシ当量が高いと分子量が高く溶融粘度
も高くなる傾向を示すので、本発明ではある程度分子量
が高く、かつ射出成型時に一般に用いられる樹脂温度1
80〜320℃で十分に低粘度を有する必要があること
から、エポキシ当量としては250〜700g/eqの
樹脂が好ましい。このような樹脂としては、油化シェル
エポキシ(株)の「エピコート5050」「エピコート
5051F」「エピコート5046−A−70」「エピ
コート5048−B−70」や、日本化薬(株)の「B
REN」などが例示される。これらの樹脂の中には溶液
状態で市販されているものもあるが、後述の調製例等に
よって最終的には溶媒を含まない固形樹脂として炭素繊
維チョップドストランドに担持される。
【0016】また本発明で使用されるフェノール樹脂
は、分子量2000以下で室温で固体状のノボラック型
フェノール樹脂で未変性のものが用いられる。これらの
樹脂中に含まれる遊離のフェノールは、マトリックス樹
脂の変質原因になることからできるだけ少ないことが望
ましく、少なくとも3重量%以下、好ましくは1重量%
以下の遊離フェノール含量の樹脂が好適である。なおフ
ェノール樹脂の平均分子量(重量平均分子量)は高速G
PC(Gel Permeation Chromatography)によりポリスチ
レンに換算した値として、また遊離フェノール量は常法
によりガスクロマトグラフィーによりそれぞれ求められ
る。このようなフェノール樹脂の具体例としては、昭和
高分子(株)の「BRG−555」「BRG−556」
「BRG−557」や、群栄化学工業(株)の「PSM
−4261」「PSM−4327」「PSM−684
2」などを挙げることができる。
【0017】これらの樹脂は炭素繊維チョップドストラ
ンドに担持されるが、その担持量は10〜40重量%で
あり、好ましくは10〜25重量%である。担持量が1
0重量%未満では、集束力が弱まりドライブレンド中に
解繊しやすくなるのみでなく、射出成型時の炭素繊維−
熱可塑性樹脂界面の流動性が低下して均一分散が困難と
なりアスペクト比が低下する。また40重量%以上で
は、射出成型で得られる成型体中のマトリックス樹脂量
が実質的に低下して機械物性の低下を招くので好ましく
ない。
【0018】これらの樹脂を炭素繊維チョップドストラ
ンドに担持する方法は特に制限されず、溶媒を用いた含
浸法等を用いることができる。特に10重量%以上の樹
脂を担持する場合には、特公昭64−202号に示され
ている方法が好適に用いられる。すなわち担持される樹
脂の溶液中に炭素繊維チョップドストランドを浸漬して
樹脂成分を含浸させた後、炭素繊維チョップドストラン
ドを分離し、水溶媒中に投入して樹脂溶媒成分を水溶媒
側に移行させた後、チョップドストランドを分離乾燥す
る方法が、チョップドストランド同士の融着を防いで均
一に担持する方法として好ましい。
【0019】かかるエポキシ樹脂ないしはフェノール樹
脂が担持された炭素繊維チョップドストランドと共に射
出成型に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えばポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミ
ド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフ
ェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリス
ルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノ
ビスマレイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどのポリマー
類またはこれらのコポリマー類などを挙げることができ
る。特にこれらの中で、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リフェニレンオキシドなどが好適に用いられる。
【0020】本発明のエポキシ樹脂ないしはフェノール
樹脂が担持されたメソフェーズピッチ系炭素繊維チョッ
プドストランドと熱可塑性樹脂は、ドライブレンドによ
り混合された後、そのまま射出成型に供される。従来と
同様の工程で、即ちコンパウンド・射出成型工程により
CFRTPに成型することを排除するものではないが、
炭素繊維に担持された該エポキシ樹脂やフェノール樹脂
は繊維の解繊を抑えるための強力なサイジング剤である
と同時に、繊維−樹脂界面の流動性向上剤としても作用
しているので、熱可塑性樹脂ペレットとドライブレンド
により混合した後そのまま直接射出成型に供することが
でき経済的に有利であると共に、更に高い残存繊維アス
ペクト比が得られるのでCFRTPの高性能化に対して
も有利である。
【0021】この直接射出成型時の炭素繊維含有量は、
目的とするCFRTPで要求される性能によって適宜選
択されるが、通常は1〜75重量%,好ましくは5〜7
0重量%である。成型体中の炭素繊維含量が1重量%未
満では炭素繊維の補強効果が発揮されず、また75重量
%を越えると成型材料の流動性が低下してしまうので、
ドライブレンドにより混合した後そのまま射出成型する
ことが困難となる。なお本発明の炭素繊維チョップドス
トランドが使用される成型原料中には、上記成分以外
に、本発明の効果を損なわない範囲で滑剤や安定化剤等
を含んでいても良い。
【0022】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。各実施例および比較例において炭素繊維および試験
片の評価に用いた試験方法、および炭素繊維チョップド
ストランドの調製方法は次の通りである。
【0023】(炭素繊維および試験片の試験方法) 炭素繊維物性:JIS法 R 7601 成型体物性 引張強度:ASTM法 D 638 曲げ強度・弾性率:ASTM法 D 790 体積抵抗率:ASTM法 D 257 熱伝導率 HOLOMETRIX社製熱伝導率測定装置(C−MA
TIC)を用いて標準試験片より得られた検量線から
「平板比較法」により求めた。なお試験片は直径50
φ、厚さ5mmとし60℃で測定した。
【0024】(炭素繊維チョップドストランドの調製方
法)合成メソフェーズピッチ〔AR樹脂、三菱ガス化学
(株)製〕をプリカーサーとして溶融紡糸し、ピッチ繊
維40000本で構成されるストランドを得た。このピ
ッチ繊維ストランドを3mm長に切断し、ついで空気雰
囲気中で270℃で不融化した。さらに窒素雰囲気中で
炭素化して炭素繊維チョップドストランドを得た。炭素
繊維の性能を表1に示す。
【表1】 炭素繊維 繊維直径 (μm) 引張強度 (Kgf/mm2 ) 引張弾性率(Tf/mm2 ) A 7.5 220 20 B 8.8 270 66
【0025】実施例1 臭素含有量25重量%のエポキシ樹脂のメチルエチルケ
トン溶液〔エピコート5048−B−70、樹脂固形分
量70重量%、油化シェルエポキシ(株)製〕に、更に
メチルエチルケトンを加えて樹脂固形分量が34重量%
の溶液を調製した。この溶液50重量部に炭素繊維Aの
チョップドストランド100重量部を浸漬した後、10
00重量部の温水(60℃)中に投入しマイルドに攪拌
を行いながら室温まで放冷した。その後チョップドスト
ランドを分離して40℃で乾燥してエポキシ樹脂が担持
された炭素繊維チョップドストランドを製造した。得ら
れたチョップドストランドへのエポキシ樹脂担持量は1
5重量%であった。こうして得られた樹脂担持炭素繊維
チョップドストランドとポリカーボネート樹脂ペレット
〔ユーピロンS−2000、三菱ガス化学(株)製〕を
炭素繊維含量が20重量%になるようにドライブレンド
した後、そのまま射出成型して評価用試験片を得た。試
験片の性能を表2に示す。試験中極めて安定して射出成
型を行うことができ、得られた試験片の表面状態も良好
であった。
【0026】比較例1 実施例1と同じエポキシ樹脂の7重量%メチルエチルケ
トン溶液を用いて、実施例1と同様の方法で樹脂担持量
が3重量%の炭素繊維Aのチョップドストランドを調製
した。このチョップドストランドとポリカーボネート樹
脂ペレット〔ユーピロンS−2000、三菱ガス化学
(株)製〕を炭素繊維含量が20重量%になるようにド
ライブレンドして射出成型を試みた。原料ホッパー内で
炭素繊維の毛玉が発生して均一なブレンド状態が維持さ
れず、辛うじて得られた成型体は明らかに炭素繊維が遍
在したものであり表面状態も滑らかなものではなかっ
た。
【0027】比較例2 比較例1で得たエポキシ樹脂担持量3重量%の炭素繊維
Aのチョップドストランドとポリカーボネート樹脂ペレ
ット〔ユーピロンS−2000、三菱ガス化学(株)
製〕を炭素繊維含量が20wt%になるようにドライブ
レンドした後、二軸押出機によりストランド状に押し出
しながら冷却、切断してペレット状コンパウンドを得
た。次にこのコンパウンド材料を射出成型して評価用試
験片を得た。試験片の性能を表2に示す。実施例1で得
られた成績に比べて残存繊維アスペクト比が小さく、機
械物性も劣っていた。
【0028】比較例3 実施例1で調製したエポキシ樹脂が15重量%担持され
た炭素繊維Aのチョップドストランドとポリカーボネー
ト樹脂ペレット〔ユーピロンS−2000、三菱ガス化
学(株)製〕を炭素繊維含量が20重量%になるように
ドライブレンドした後、二軸押出機によりストランド状
に押し出しながら冷却、切断してペレット状コンパウン
ドを得た。次にこのコンパウンド材料を射出成型して評
価用試験片を得た。試験片の性能を表2に示す。実施例
1で得られた成績に比べて残存繊維アスペクト比が小さ
く、機械物性も劣っていた。
【0029】
【表2】 実施例1 比較例2 比較例3 (物性)引張強度 [Kgf/cm2 ] 1640 1397 1200 曲げ強度 [Kgf/cm2 ] 2169 2078 1840 曲げ弾性率[Tf/cm2 ] 111 97 99 残存繊維アスペクト比 31 21 25
【0030】実施例2 炭素繊維Bのチョップドストランドと、エピコート50
48−B−70〔油化シェルエポキシ(株)製〕の50
重量%メチルエチルケトン溶液を用いて実施例1と同様
の方法によりエポキシ樹脂担持量が20重量%の炭素繊
維チョップドストランドを得た。得られた樹脂担持炭素
繊維チョップドストランドとポリカーボネート樹脂ペレ
ット〔ユーピロンS−2000、三菱ガス化学(株)
製〕を炭素繊維含量が40重量%になるようにドライブ
レンドした後、そのまま射出成型して評価用試験片を得
た。試験中極めて安定して射出成型を行うことができ、
得られた試験片の表面状態も良好であった。試験片の性
能は表3に示すように、極めて高い曲げ弾性率を有して
いた。
【0031】比較例4 実施例2と同じエポキシ樹脂が3重量%担持された炭素
繊維Bのチョップドストランドとポリカーボネート樹脂
ペレット〔ユーピロンS−2000、三菱ガス化学
(株)製〕を炭素繊維含量が40重量%になるようにド
ライブレンドした後、二軸押出機によりストランド状に
押し出しながら冷却、切断してペレット状コンパウンド
を得た。次にこのコンパウンド材料を射出成型して評価
用試験片を得た。試験片の性能を表3に示す。実施例2
で得られたような高い剛性を有した成型体は得られなか
った。
【0032】比較例5 炭素繊維Bのチョップドストランドと、臭素を含まない
エポキシ樹脂〔エピコート1001、油化シェルエポキ
シ(株)製〕を用いて実施例2と同様の方法によりエポ
キシ樹脂担持量が20重量%の炭素繊維チョップドスト
ランドを得た。得られた樹脂担持炭素繊維チョップドス
トランドとポリカーボネート樹脂ペレット〔ユーピロン
S−2000、三菱ガス化学(株)製〕を炭素繊維含量
が40重量%になるようにドライブレンドした後、その
まま射出成型して評価用試験片を得た。試験片の性能を
表3に示す。試験中極めて安定して射出成型を行うこと
ができ、得られた試験片の表面状態も良好であった。し
かし得られた試験片の性能は実施例2には及ばなかっ
た。
【0033】
【表3】 実施例2 比較例4 比較例5 (物性)引張強度 [Kgf/cm2 ] 1072 871 950 曲げ強度 [Kgf/cm2 ] 1381 1257 1290 曲げ弾性率[Tf/cm2 ] 289 167 193 残存繊維アスペクト比 14 11 14
【0034】実施例3 平均分子量が約1200、軟化点約80℃の未変性ノボ
ラック型フェノール樹脂〔ショウノール BRG−55
6,昭和高分子(株)製〕と炭素繊維Bのチョップドス
トランドから、実施例2と同様の方法により樹脂担持量
が20重量%のチョップドストランドを調製した。得ら
れた樹脂担持炭素繊維チョップドストランドとナイロン
6樹脂〔T−802−01、東洋紡(株)製〕を炭素繊
維含量が35重量%になるようにドライブレンドした
後、そのまま射出成型して評価用試験片を得た。試験片
の性能を表4に示す。試験中極めて安定して射出成型を
行うことができ、得られた試験片の表面状態も良好であ
った。
【0035】比較例6 実施例3と同じフェノール樹脂が50重量%担持された
炭素繊維Bのチョップドストランドを用いた以外は実施
例3と同様の操作で射出成型を行い炭素繊維35重量%
で強化されたナイロン6樹脂の評価用試験片を得た。試
験片の性能を表4に示す。試験中極めて安定に射出成型
を行うことができ得られた試験片の表面状態も良好であ
ったが、実施例3に比べて性能は低かった。
【0036】比較例7 実施例3と同じフェノール樹脂が3重量%担持された炭
素繊維Bのチョップドストランドとナイロン6樹脂〔T
−802−01、東洋紡(株)製〕を炭素繊維含量が3
5重量%になるようにドライブレンドした後、二軸押出
機によりストランド状に押し出しながら冷却、切断して
ペレット状コンパウンドを得、次にこのコンパウンド材
料を射出成型して評価用試験片を得た。試験片の性能は
表4に示す如く、実施例3で得られたような高剛性の成
型体は得られなかった。
【0037】比較例8 平均分子量が約4500、軟化点約100℃のノボラッ
ク型フェノール樹脂〔ショウノール BRG−593
G、昭和高分子(株)製〕と炭素繊維Bのチョップドス
トランドから、実施例2と同様の方法により樹脂担持量
が20重量%のチョップドストランドを調製した。得ら
れた樹脂担持炭素繊維チョップドストランドとナイロン
6樹脂〔T−802−01、東洋紡(株)製〕を炭素繊
維含量が35重量%になるようにドライブレンドした
後、そのまま射出成型して評価用試験片を得た。試験中
安定して射出成型を行うことができたが、得られた試験
片の表面状態はあまり良好とは言えず、炭素繊維が十分
均一に分散されていないことが分かった。試験片の性能
は表4に示す如く実施例3に比べて成型品物性は劣って
いた。
【0038】
【表4】 実施例3 比較例6 比較例7 比較例8 樹脂担持量 [重量%] 20 50 3 20 フェノール樹脂数平均分子量 1200 1200 1200 4500 物性 引張強度 [Kgf/cm2 ] 1319 980 1340 956 曲げ強度 [Kgf/cm2 ] 2095 1450 2190 1430 曲げ弾性率[Tf/cm2 ] 307 188 165 225 残存繊維アスペクト比 16 18 12 14
【0039】実施例4 臭素含有量51重量%のエポキシ樹脂〔エピコート50
51F、油化シェルエポキシ(株)製〕のメチルエチル
ケトン溶液(50重量%)の溶液を調製した。この溶液
50重量部に炭素繊維Bのチョップドストランド100
重量部を浸漬した後、実施例1と同様の操作によりエポ
キシ樹脂担持量20重量%の炭素繊維Bのチョップドス
トランドを得た。こうして得られた樹脂担持炭素繊維チ
ョップドストランドとポリアセタール樹脂ペレット〔ユ
ピタールF20−02、三菱ガス化学(株)製〕を炭素
繊維含量が50重量%になるようにドライブレンドした
後、そのまま射出成型して評価用試験片を得た。試験中
極めて安定して射出成型を行うことができ、得られた試
験片の表面状態も良好であった。試験片の性能は表5に
示す如く、熱伝導性、電気伝導性に優れていた。
【0040】比較例9 実施例4と同じエポキシ樹脂を3重量%担持した炭素繊
維Bのチョップドストランドとポリアセタール樹脂ペレ
ット〔ユピタールF20−02、三菱ガス化学(株)
製〕を炭素繊維含量が50重量%になるようにドライブ
レンドした後、二軸押出機によりストランド状に押し出
しながら冷却、切断してペレット状コンパウンドを得
た。次にこのコンパウンド材料を射出成型して評価用試
験片を得た。試験片の性能は表5に示す如く、実施例4
に比べて性能は劣っていた。
【0041】実施例5 実施例4で得られたエポキシ樹脂を20重量%担持した
炭素繊維Bのチョップドストランドとポリアセタール樹
脂ペレット〔ユピタールF20−02、三菱ガス化学
(株)製〕を炭素繊維含量が60重量%になるようにド
ライブレンドした後、そのまま射出成型して評価用試験
片を得た。試験中極めて安定して射出成型を行うことが
でき、得られた試験片の表面状態も良好であった。試験
片の性能は表5に示す如く、きわめて高い熱伝導性と電
気伝導性を示した。
【0042】比較例10 実施例4と同じエポキシ樹脂を3重量%担持した炭素繊
維Bのチョップドストランドとポリアセタール樹脂ペレ
ット〔ユピタールF20−02、三菱ガス化学(株)
製〕を炭素繊維含量が60重量%になるようにドライブ
レンドした後、二軸押出機によりストランド状に押し出
しながら冷却、切断してペレット状コンパウンドを得
た。次にこのコンパウンド材料を射出成型しようとした
が成形圧が高くなり過ぎて成型することができず評価用
試験片を得ることができなかった。
【0043】
【表5】 実施例4 比較例9 実施例5 比較例10 炭素繊維含量 [wt%] 50 50 60 60 熱伝導率 [W/mK] 4.0 3.0 8.9 成型不能 体積抵抗率 [Ω・cm] 0.10 0.37 0.08 ─
【0044】
【発明の効果】本発明の炭素繊維チョップドストランド
は、熱可塑性樹脂とコンパウンドすることなく、直接射
出成型法による樹脂成型体の製造に用いられるのでコス
トの削減が図られる。また本発明の炭素繊維チョップド
ストランドはマトリックス樹脂との分散性と安定性に優
れ、高い補強効果を発現する。すなわち本発明の炭素繊
維チョップドストランドより得られる炭素繊維強化熱可
塑性樹脂の成型体は、残存繊維アスペクト比が高いので
メソフェーズピッチ系炭素繊維の特徴が効率よく反映さ
れ、また従来法では不可能であった高炭素繊維含量の条
件からも成型体を得ることができるので補強性、電気伝
導性、熱伝導性等に優れた性能のものが得られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温で固体状で臭素含有量が少なくとも
    15重量%のエポキシ樹脂、または室温で固体状の分子
    量が2000以下で未変性のノボラック型フェノール樹
    脂が、10〜30重量%担持された直接射出成型用メソ
    フェーズピッチ系炭素繊維チョップドストランド。
JP6201961A 1994-08-26 1994-08-26 メソフェーズピッチ系炭素繊維チョップドストランド Pending JPH0860550A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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