JPH0857547A - 金属製長尺形材の曲げ加工方法と曲げ加工機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】同一機械をもって同一形材に対して曲率の異な
る曲げ加工を連続的に行い得る曲げ加工方法及び曲げ加
工機を提供する。 【構成】長尺な金属製形材の曲げ加工にあって、形材
(4) を主ロール(2) の周面に当接させながら所定の位置
にセットし、主ロール(2) の形材導入側で形材(4) を固
定クランパー(6) により挟持固定すると共に、主ロール
(2) の形材排出側を移動クランパー(5) により挟持し、
同移動クランパー(5) を所定の行程移動させ、主ロール
に沿って曲げ加工を行い、次いで移動クランパー(5) に
よる挟持を解除させ、前記主ロール(2) に相対して設置
されたサブロール(3) を主ロール(2) の周辺を所定の行
程をもって移動させ、主ロール(2) とサブロール(3) と
を形材排出方向に駆動回転させると共に、形材押動部
(7) を同期させて作動して、前記形材(4) を主ロール
(2) 及びサブロール(3) により積極的に引き出して、２
段階以上の曲率で曲げ加工を連続して行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車庫などの垂木用形材と
して使用するため長尺なアルミ形材等を所定の曲率で曲
げ加工するための加工方法と加工機に関し、更に詳しく
は形材の断面変形をもたらすことなく簡単な機構をもっ
て正確に且つ多段の曲率をもって連続的に曲げ加工を可
能にした金属製長尺形材の曲げ加工方法及び曲げ加工機
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来もアルミサッシ類などの押出しによ
り成形された金属製形材を所定の曲率で曲げ加工するた
めの加工機は数多く知られており、例えば実公平２−１
７７０７号公報に開示されているごとく、湾曲面を有す
るクランプダイと、一端が固定され前記クランプダイの
湾曲面に相対して設置される弾性板材からなる曲げガイ
ドとを備え、同曲げガイドの自由端部を曲げ調整軸によ
りクランプダイの方向に押圧して同ガイドを所定の曲率
で湾曲させ、この曲げガイドと前記クランプダイの湾曲
面との間に介在する形材をプッシャーにより送り込みな
がら、曲げガイドに沿って所定の曲率で曲げ加工を行う
曲げ加工機がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
曲げ加工機では加工するための曲率がクランプダイの湾
曲面により規制され、多様で且つ広範囲にわたる曲率の
曲げ加工が出来ないばかりでなく、同一装置により曲率
の異なる多段の曲げ加工を行おうとしても不可能であ
る。また、前記湾曲面の曲率から外れるような大きな曲
率で曲げ加工を行おうとすると、形材の内側に潰れが生
じて曲げ加工が行えない。

【０００４】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は同一機械をもって同一形
材に対して曲率の異なる曲げ加工を連続的に行い得る曲
げ加工方法及び曲げ加工機を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の長尺な金属製形材の曲げ加工を行うための
加工方法は、形材を主ロールの周面に当接させながら所
定長さ押し出すこと、前記主ロールと同主ロールに相対
して設置されたサブロールとの形材導入側に設置され、
形材の所定部位を固定クランパーにより挟持して固定す
ること、前記主ロールとサブロールとの形材排出側に設
置された移動クランパーにより形材を挟持して所定の行
程を移動しながら主ロールに沿って曲げ加工を行うこ
と、移動クランパーによる挟持を解除させ、前記主ロー
ルとサブロールとを形材排出方向に駆動回転させると共
に、前記サブロールを主ロールに関して所定の行程を移
動して位置決めすること、並びに前記形材を形材押動部
により押し出すと共に、主ロール及びサブロールにより
積極的に引き出すことを備え、形材を２段階以上の曲率
の曲げ加工を連続して行うことを特徴とする。

【０００６】また上述の方法は、駆動回転する主ロール
と、該主ロールに相対して設置され駆動回転するサブロ
ールと、前記主ロール及びサブロールの形材排出側に設
置され、形材を挟持して所定の行程を移動しながら主ロ
ールに沿って曲げ加工を行う移動クランパーと、前記主
ロール及びサブロールの形材導入側に設置され、形材を
挟持して固定する固定クランパーと、形材を排出方向に
押出す形材押動部とを有してなることを特徴とする本発
明の金属製長尺形材の曲げ加工機により実現される。

【０００７】

【作用】本発明に係る曲げ加工機による形材の曲げ加工
の手順を説明すると、先ず移動クランパー及び固定クラ
ンパーを解除の状態としておき、形材を所定の位置に設
定された形材押動部に当接させるようにセットする。こ
のセットが終了すると、前記移動クランパー及び固定ク
ランパーを作動して形材を２箇所で挟持する。このと
き、形材は主ロールの周面に当接しており、サブロール
は形材には直接接触しておらず、離れた位置にある。

【０００８】次いで、移動クランパーが主ロールの周辺
を所定の角度回動する。この回動により、自由端部が移
動クランパーによって挟持された形材は主ロールの周面
に沿って所定の曲率で曲げられる。このあと、移動クラ
ンパーによる挟持を解除すると同時に、固定クランパー
の挟持を緩やかな挟持に変更する。このとき、サブロー
ルは形材を前記曲率とは異なる所定の小さな曲率に曲げ
るため、予め決められた位置まで移動させられる。ここ
で、主ロールとサブロールとが同時に回転を開始すると
共に、上記形材押動部が同期的に作動して形材を所定の
速度で押し出し、主ロール及びサブロールをもって両ロ
ールに接触する形材を排出方向に積極的に引き出す。こ
のとき、形材はサブロールにより主ロールの送出方向と
は所定の角度だけ異なる方向に引き出されることにな
り、小さな曲率で徐々に曲げ加工がなされことになる。

【０００９】なお、曲率の大きな曲げ加工は形材を主ロ
ールの周面に沿わせて行うため、従来のごとく潰れによ
る変形の心配は殆どなく、通常の肉厚を有する形材であ
れば曲げ加工にあたってマンドレルは不要である。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図示実施例により具体的に説
明する。図１は本発明の代表的な実施例である金属製長
尺形材の曲げ加工機を示す全体斜視図である。本発明の
曲げ加工機１は、図示せぬ駆動源により制御回転される
主ロール２と、該主ロール２に相対して設置され同じく
図示せぬ駆動源により制御回転されるサブロール３と、
前記主ロール２及びサブロール３の形材排出側に設置さ
れ、形材４を挟持して所定の行程を移動しながら主ロー
ル２に沿って曲げ加工を行う移動クランパー５と、前記
主ロール２及びサブロール３の形材導入側に設置され、
形材４を挟持して固定する固定クランパー６と、形材４
を排出方向に押し出す形材押動部７とを有している。

【００１１】前記主ロール２はフランジ２ａを有してお
り、図示せぬ減速機を介して機台に設置された電動モー
タ等の駆動源に連結され、所定のタイミングで回転駆動
される。この主ロール２は多様な径をもつロールが予め
用意されており、必要に応じて交換が可能である。該主
ロール２の一側部にはテーブル８が接近して設置されて
おり、同テーブル８の前記主ロール２に近接する位置に
は、形材４の案内路を形成すると共に、同形材４を対設
された可動挟持体６ａとの間で挟持する固定挟持体６ｂ
が固設されている。前記可動挟持体６ａは前記テーブル
８の前記固定挟持体６ｂに相対して設置されたエアや油
圧などの流体圧シリンダー６ｃのロッド端に固着され、
可動挟持体６ａと固定挟持体６ｂにより上記固定クラン
パー６を構成する。

【００１２】また、前記固定挟持体６ｂに側面を沿わせ
てセットされる形材４の延長線上に位置するテーブル端
部には同じく流体圧シリンダー９が設置されており、同
シリンダー９のロッド端にマンドレルロッド１０ａを介
してマンドレル１０が脱着可能に固着されている。この
マンドレル１０は形材４の断面形状に合致する断面を有
し、形材４の長さ方向に嵌合する。そして、テーブル４
の前記マンドレルロッド１０ａが延在する部位に、同マ
ンドレルロッド１０ａに沿って長穴１１が形成され、同
長穴１１の長さ方向に図示せぬ電動モータにより制御回
転する送りねじ棒１２が架設されており、同送りねじ棒
１２は前記長穴１１の内部に嵌合して摺動する形材押動
ブロック１３を貫通してねじ込まれている。該形材押動
ブロック１３は形材４の端部を載置する載置面１３ａと
形材４の端面に当接する押圧面１３ｂとを有している。
前記長穴１１、送りねじ棒１２、形材押動ブロック１３
及び図示せぬ電動モータ等をもって上記形材押動部７を
構成する。そして、前記押圧面１３ｂには前記マンドレ
ルロッド１０ａが挿通するための図には現れない挿通孔
が形成されている。

【００１３】本実施例によれば、上記サブロール３は所
定の径を有して上記主ロール２の軸心を中心として所定
の半径をもって回動するブロック状のブラケット１４に
回転自在に支持され、図示せぬ駆動源と連結して制御回
転する。なお、図示例ではサブロール３は主ロール２を
中心として所定の半径をもって回動して位置決めするよ
うに構成されているが、他の行程を通って主ロール２の
周辺を移動し、所定の部位に位置決めするように構成し
てもよく、またサブロール３の前記回動半径を任意に調
整することも可能である。

【００１４】上記移動クランパー５は前記固定クランパ
ー６との間でサブロール３を挟むように前記主ロール２
に近接配置されており、図示例によれば略Ｌ字状に形成
されたブロック状ブラケット１５の一端が前記主ロール
２の軸心を共有して回動自在に支持され、同ブラケット
１５の自由端部にはロッド端に可動挟持体５ａを固着し
た流体圧シリンダー５ｃが固設されると共に、前記可動
挟持体５ａに相対して固定挟持体５ｂが固設される。そ
して、前記固定挟持体５ｂは前記主ロール２の周面に沿
って回動する。

【００１５】次に、図示実施例に係る曲げ加工機１によ
る中空形材４の曲げ加工の手順を説明する。先ず、図１
に示すごとく移動クランパー５及び固定クランパー６の
各可動挟持体５ａ，６ａをそれぞれ後退させておき、流
体圧シリンダー９が作動されて所定の位置にあるマンド
レル１０がマンドレルロッド１０ａと共に、形材４の端
面が形材押動ブロック１３の押圧面１３ｂに当接される
まで、形材４の中空部をマンドレル１０に嵌挿する。こ
の嵌挿が終了すると、前記各可動挟持体５ａ，６ａをそ
れぞれ前進させて、図３に示すごとく固定挟持体５ｂ，
６ｂとの間で形材４の２箇所を挟持する。このとき、固
定クランパー６は形材４を強固に挟持するが、マンドレ
ル１０の存在により変形しない。また、このときサブロ
ール３は形材４に直接接触しておらず、離れた位置にあ
る。

【００１６】次いで、移動クランパー５を支持する略Ｌ
字状のブロック１５が一端を中心にして図２及び図４に
示すごとく所定の角度を回動する。この回動により、自
由端部が移動クランパー５によって挟持された形材４は
主ロール２の周面に沿って所定の曲率に曲げられる。こ
のあと、移動クランパー５の可動挟持体５ａだけが後退
して形材４の挟持を解除する。このとき、同時にサブロ
ール３が形材４を所定の曲率に曲げるため、図４に示す
ごとく予め決められた位置まで移動する。ここで、主ロ
ール２とサブロール３とが同時に回転を開始すると共
に、上記形材押動部７が同期的に作動して形材４を所定
の速度で押し出すと同時に、主ロール２及びサブロール
３をもって両ロール２，３に接触する形材４を排出方向
に積極的に引き出す。このとき、形材４はサブロール３
により主ロール２の送出方向とは所定の角度だけ異なる
方向に引き出されることになり、小さな曲率で徐々に曲
げ加工がなされる。

【００１７】なお、上記形材４は中空で且つ比較的肉薄
の押出材であるため、マンドレル１０を使用している
が、曲率の大きな曲げ加工は主ロール２の周面に沿わせ
ておこなうため、従来のごとく潰れによる変形の心配は
殆どなく、通常の肉厚を有する形材であればマンドレル
１０は不要となる。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
に係る金属製形材の曲げ加工方法及び加工機によれば、
形材に局部的な押圧力が作用しないため潰れ等の心配が
少なく、極めて円滑に曲げ加工を行うことができ、しか
も移動クランパーを作動させることにより主ロールに沿
った曲率を有する曲げ加工ができ、移動クランパーの挟
持を解除して、主ロールとサブロールにより曲率の異な
る曲げ加工を連続して行えるため、主ロールの形を変更
すると共にサブロール位置を変更することにより任意で
且つ異なる曲げ加工を連続的に行うことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る金属製長尺形材の連続曲げ加工機
の一例を示す全体斜視図である。

【図２】同機による一段目の曲げ加工態様を示す斜視図
である。

【図３】形材が同機にセットされた状態を示す平面図で
ある。

【図４】同機による一段目の曲げ加工態様を示す平面図
である。

【図５】同機による二段目の曲げ加工態様を示す平面図
である。

【符号の説明】

１ 曲げ加工機 ２ 主ロール ２ａ フランジ ３ サブロール ４ 形材 ５ 移動クランパー ５ａ 可動挟持体 ５ｂ 固定挟持体 ５ｃ 流体圧シリンダー ６ 固定クランパー ６ａ 可動挟持体 ６ｂ 固定挟持体 ６ｃ 流体圧シリンダー ７ 形材押動部 ８ テーブル ９ 流体圧シリンダー １０ マンドレル １０ａ マンドレルロッド １１ 長穴 １２ 送りねじ棒 １３ 形材押動ブロック １３ａ （形材）載置面 １３ｂ （形材）押圧面 １４，１５ ブラケット

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺な金属製形材の曲げ加工を行うため
   の加工方法であって、 形材(4) を主ロール(2) の周面に当接させながら所定長
   さ押し出すこと、 前記主ロール(2) と同主ロール(2) に相対して設置され
   たサブロール(3) との形材導入側に設置され、形材(4)
   の所定部位を固定クランパー(6) により挟持して固定す
   ること、 前記主ロール(2) とサブロール(3) との形材排出側に設
   置された移動クランパー(5) により形材を挟持して所定
   の行程を移動しながら主ロール(2) に沿って曲げ加工を
   行うこと、 移動クランパー(5) による挟持を解除させ、前記主ロー
   ル(2) とサブロール(3) とを形材排出方向に駆動回転さ
   せると共に、前記サブロール(3) を主ロール(2) の軸芯
   に関して所定の行程に沿って移動させて位置決めするこ
   と、及び前記形材(4) を形材押動部(7) により押し出す
   と共に、主ロール(2) 及びサブロール(3) により積極的
   に引き出すことを備え、 形材(4) に２段階以上の曲率の曲げ加工を連続して行う
   ことを特徴とする金属製長尺形材の曲げ加工方法。
2. 【請求項２】 長尺な金属製形材の曲げ加工を行う加工
   機であって、 駆動回転する主ロール(2) と、 該主ロール(2) に相対して設置され駆動回転するサブロ
   ール(3) と、 前記主ロール(2) 及びサブロール(3) の形材排出側に設
   置され、形材(4) を挟持して所定の行程を移動しながら
   主ロール(2) に沿って曲げ加工を行う移動クランパー
   (5) と、 前記主ロール(2) 及びサブロール(3) の形材導入側に設
   置され、形材(4) を挟持して固定する固定クランパー
   (6) と、 形材(4) を排出方向に押出す形材押動部(7) と、を有し
   てなることを特徴とする金属製長尺形材の曲げ加工機。
3. 【請求項３】 前記サブロール(3) が主ロール(2) に関
   して所定の行程を移動し、その設置位置が調整可能とさ
   れてなる請求項２記載の曲げ加工機。
4. 【請求項４】 前記所定の行程が、前記主ロール(2) を
   中心とする調整可能な半径をもつ円弧上である請求項３
   記載の曲げ加工機。