JPH0856684A - 微生物によるアミド化合物の製造法 - Google Patents

微生物によるアミド化合物の製造法

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JPH0856684A
JPH0856684A JP19257294A JP19257294A JPH0856684A JP H0856684 A JPH0856684 A JP H0856684A JP 19257294 A JP19257294 A JP 19257294A JP 19257294 A JP19257294 A JP 19257294A JP H0856684 A JPH0856684 A JP H0856684A
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compound
nitrile compound
nitrile
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JP19257294A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Oikawa
利洋 及川
Toshibumi Yamaki
俊文 八巻
Teruo Arii
輝夫 有井
Miyuki Tsuruoka
みゆき 鶴岡
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広いpH安定性・至適pH範囲、高い耐熱性
及びアミド耐性を有し、ニトリル化合物を水和して対応
するアミド化合物に変換する能力を有する微生物を用い
た、効率のよいアミド化合物の製造法を提供する。 【構成】 生育上限温度が55℃以上であるところの好
熱性菌であり、ニトリル化合物を水和して対応するアミ
ド化合物に変換する能力を有する微生物の培養液、菌体
もしくは菌体処理物を水性媒体中にて該ニトリル化合物
に作用させる。 【効果】 本発明の方法によれば、厳密にpHを調整す
る必要がないため簡便であり、高温での反応が可能なこ
とから効率のよいアミド化合物の製造が可能となる。ま
た高濃度でしかも純度の高いアミド化合物を製造するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物の作用によりニ
トリル化合物を水和して対応するアミド化合物を製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、微生物を用い、ニトリル化合物か
らアミド化合物を生産する方法がいくつか提案されてい
る。例えば、バチルス(Bacillus)属、バクテリジュー
ム(Bacteridium)属、ミクロコッカス(Micrococcus
属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属を用いる
方法(特公昭62ー21519)、コリネバクテリウム
Corynebacterium)属、ノカルジア(Nocardia)属を
用いる方法(特公昭56−17918号公報)、シュー
ドモナス(Pseudomonas)属を用いる方法(特公昭59
−37951号公報)、ロドコッカス(Rhodococcus
属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ミクロバク
テリウム(Microbacterium)属を用いる方法(特開昭6
1−162193号公報)、フサリウム(Fusarium)属
を用いる方法(特開昭64−86889号公報)、アシ
ネトバクター(Acinetobacter)属を用いる方法(特開
平2−154692号公報)、キサントバクター(Xant
hobacter)属を用いる方法(特開平4−197189号
公報)、クレブシエラ(Klebsiella)属を用いる方法
(Arch. Microbiology, Vol.156, p.231-238, (199
1))、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、セラチ
ア(Serratia)属、エルビニア(Erwinia)属、ツカム
レラ(Tukamurell)属、ゴルドナ(Gordona)属、モル
ガネラ(Morganella)属、プロテウス(Proteus)属、
エナテロバクター(Enterobacter)属、ミクロアスカス
Microasucus)属、キャンディダ(Candida)属、パン
トエア(Pantoea)属を用いる方法(特開平5−153
84号公報)、シトロバクター(Citrobacter)属を用い
る方法(特開平5−30984号公報)、エアロモナス
Aeromonas)属を用いる方法(5-30983)、リゾビウム
Rhizobium)属を用いる方法(特開平5−23697
7号公報)、アグロバクテリウム(Agrobacterum)属を
用いる方法(特開平6−14786号公報)が知られて
いる。また、ニトリル化合物を水和して対応する有機酸
を製造する方法の1例として、4−ハロ−3−ヒドロキ
シブチロニトリルから4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸の
製造方法としてアルスロバクター(Arthrobacter)属、
カセオバクター(Caseobacter)属、ノカルディア(Noc
ardia)属、シュードノカルディア(Pseudonocardia
属およびロドコッカス(Rhodococcus)属を用いる方法
(特開平4−360689号公報)が知られている。
【0003】上記のニトリル化合物を対応するアミド化
合物に変換する能力を有する微生物あるいはニトリル化
合物を対応する有機酸に変換する能力を有する微生物
は、いずれもその生育温度範囲が10℃〜50℃である
いわゆる常温菌と呼ばれる微生物である。これら微生物
の有するニトリル水和酵素は熱安定性が低いため、これ
ら微生物によりニトリル化合物からアミド化合物を製造
するに際しては、通常0〜30℃、好ましくは0〜15
℃で反応が行われる(特公昭56−38118号公
報)。また、これら微生物の有するニトリル水和酵素は
多くの場合安定なpH範囲・至適pHがpH7〜9の範
囲にあることから、これら微生物を用いた反応のpHは
概ねpH7〜9と比較的狭い中性から弱アルカリ性のp
Hの条件で行われる。
【0004】このように、ニトリル化合物を対応するア
ミド化合物に変換させる能力を有する微生物またはニト
リル化合物を対応する有機酸に変換させる能力を有する
微生物及び該微生物が生産する酵素が幾種類か知られて
いるが、それら微生物の酵素は一般に熱安定性が低く、
pH安定性・至適pH範囲が狭いpH範囲に限られ、更
に生成物であるアミド化合物に対する安定性などの面で
必ずしも十分ではない。そのため、上記問題点を克服し
た微生物を用いた、さらに効率の良いアミド化合物の製
造法が求められている。しかし、上記問題点を克服した
微生物はこれまで知られていない。
【0005】一方、自然界には55℃以上の高温下で生
育する好熱性菌が知られている。好熱性菌の生産する酵
素はしばしば高い耐熱性と広いpH安定性を示すことが
知られている。しかし、広いpH範囲にわたって高い活
性を示す酵素はこれまで知られていない。また、好熱性
菌の生産する酵素は、しばしば7M尿素、6M塩酸グア
ニジンあるいは1%SDS等のタンパク変性剤に対して
安定であることが知られている。しかし、アクリルアミ
ドやメタクリルアミドの様に2重結合を持つ反応性の高
いアミド化合物に対する安定性についてはこれまで全く
知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広い
pH安定性・至適pH範囲、高い耐熱性及びアミド耐性
を有し、ニトリル化合物を水和して対応するアミドに変
換する能力を有する微生物を用いた、効率のよいアミド
化合物の製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、好熱性菌
の生産するニトリル水和酵素は高い耐熱性を持ち、広い
pH範囲で安定であろうと予測した。該予測に基づき、
ニトリル水和活性を有する好熱性微生物のスクリーニン
グを行った。その結果、生育上限温度が55℃以上であ
る好熱性菌に属する微生物の中からニトリル化合物を水
和して対応するアミド化合物へ変換する能力を有する微
生物を見い出した。しかも、該微生物の有する酵素は高
い熱安定性と広いpH範囲で安定であった。さらに驚く
べきことに該微生物の有する酵素は、広いpH範囲で高
いアミド変換能を有し、生成物であるアクリルアミドや
メタアクリルアミドに対する安定性が極めて高いことを
見い出した。本発明者らは、上記微生物の培養液、菌体
もしくは菌体処理物を水性媒体中にて該ニトリル化合物
に作用させたところ、効率よくアミド化合物が生成する
ことを見いだした。本発明は、上記知見に基づきなされ
たものである。
【0008】すなわち、本発明は生育上限温度が55℃
以上であるところの好熱性菌であり、ニトリル化合物を
水和して対応するアミド化合物に変換する能力を有する
微生物の培養液、菌体もしくは菌体処理物もしくは菌体
より調製した酵素または該酵素の処理物を水性媒体中に
て該ニトリル化合物に作用させることを特徴とする微生
物によるアミド化合物の製造法を提供するものである。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において使用される微生物は、生育上限温度が55
℃以上である好熱性菌に属する微生物であり、ニトリル
化合物を水和して対応するアミド化合物に変換する能力
を有するものであれば特に制限はなく、自然界から分離
されたものでも、突然変異、遺伝子操作等の手段により
創製されたものでも良い。これらの微生物の例として
は、シュードノカルディア(Psuedonocardia)属に属す
るものが好適に使用でき、具体的にはシュードノカルデ
ィア・サーモフィラ(Psuedonocardia thermophila)AT
CC19285 が挙げられる。この菌株は、アメリカン タイ
プカルチャーコレクション(American Typeculture Col
lection:ATCC)から容易に入手することができる。
本発明において使用される微生物の有するニトリル化合
物を水和して対応するアミド化合物に変換する能力と
は、ニトリル化合物を水和して対応するアミド化合物に
変換する活性を指し、その様な活性を有する酵素として
はニトリルヒドラターゼが知られている。
【0010】本発明において用いられる微生物を培養す
る培地は、目的を達する限り何ら特別の制限はなく、使
用菌株の利用し得る炭素源、窒素源、無機塩類、更に微
量の有機栄養物などを適当に含有するものであれば合成
培地、天然培地のいずれも使用できる。また、培養にあ
たってはイソブチロニトリルなどのニトリル類または、
クロトンアミドやメタクリルアミドなどのアミド化合物
を少量培地に添加することにより、ニトリル化合物から
のアミド化合物生成能力が高い微生物菌体を得ることが
できることもある。培養条件は菌株や培地によっても異
なるが、培養温度は20〜70℃、好ましくは40〜6
0℃、より好ましくは50〜60℃であり、培地のpH
は、4〜9、好ましくは6〜8である。本発明に関する
微生物は、上記条件で液体、或いは固体培養される。菌
体を大量に得るためには、液体培養が適している。本発
明においては、このようにして得られた培養液、遠心分
離、濾過等により集菌された菌体または菌体処理物を酵
素源として用いる。菌体処理物としては、菌体を機械的
破壊、超音波処理、凍結融解処理、乾燥処理、溶媒処
理、加圧減圧処理、浸透圧処理、自己消化、界面活性剤
処理、酸素処理したもの、菌体および菌体抽出物の固定
化物などが挙げられる。また、菌体より抽出された酵素
及びその固定化物も菌体処理物の範疇であり、酵素源と
して用いられる。
【0011】本発明において水和反応に供されるニトリ
ル化合物としては、広い範囲のニトリル、たとえば脂肪
族ニトリル、芳香族ニトリル、複素環式ニトリル、シア
ノヒドリン類などが含まれる。脂肪族ニトリルとして
は、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリル、たとえ
ば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリ
ル、イソブチロニトリル、バレルニトリル、イソバレロ
ニトリル、カプロニトリルなどの飽和モノニトリル類;
マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリルな
どの飽和ジニトリル類;α−アミノプロピオニトリル、
α−アミノブチロニトリル、α−アミノアセトニトリ
ル、β−アミノプロピオニトリルなどのαまたはβアミ
ノニトリル類、ラクトニトリル、ヒドロキシアセトニト
リル、などのヒドロキシニトリル類、アクリルニトリ
ル、メタアクリロニトリル、クロトノニトリルなどの不
飽和ニトリルなどが挙げられる。芳香族ニトリルとして
は、ベンゾニトリル、o−,m−,およびp−クロロベ
ンゾニトリル、o−,m−,およびp−フルオロベンゾ
ニトリル、o−,m−,およびp−ニトロベンゾニトリ
ル、o−,m−,およびp−アミノベンゾニトリル、o
−,m−,およびp−トルニトリル、ベンジルシアナイ
ド、複素環式ニトリルとしては、シアノピリジン類、シ
アノピラジン類、シアノインドール類などが挙げられ
る。シアノヒドリンとしては、アセトンシアンヒドリ
ン、マンデルニトリルなどが挙げられる。
【0012】ニトリル化合物を水和して対応するアミド
化合物に変換する反応は、上記酵素源とニトリル化合物
を水性媒体中にて静置またはゆるやかな攪拌下に接触さ
せることにより行われる。水性媒体中には、酵素源とニ
トリル化合物を含有する他特に制限はないが、必要によ
り、緩衝能を有する物質を適宜添加してもよい。基質で
あるニトリル化合物の濃度には特に制限はないが、通常
は0.1〜30重量%程度である。また、ニトリル化合
物は連続的または間欠的に反応液に添加しても良い。酵
素源である培養液、菌体もしくは菌体処理物もしくは菌
体より調製したニトリル水和酵素または該酵素の処理物
の反応液への添加量は、特に制限はないが、乾燥菌体重
量換算で0.1〜10g/lの範囲で添加すればよい。
反応は通常0〜80℃、好ましくは0〜70℃、より好
ましくは10〜60℃、pH3〜10、好ましくは4〜
10、より好ましくは5〜10の範囲で行われる。反応
時間は、酵素力価や基質であるニトリル化合物の種類や
濃度等の反応条件により異なるが、通常は1〜50時間
程度である。このようにして反応を行うと反応液中に
は、基質のニトリル化合物に対応するアミド化合物が生
成する。反応液からアミド化合物を採取する方法として
は、濃縮晶析等公知の方法が用いられる。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るがアミド化合物の定量は、強酸性カチオン交換樹脂充
填カラムとUV吸光検出器を備えた液体クロマトグラフ
ィーにより行った。
【0014】実施例1 イーストエキス0.5%、可溶性でんぷん0.4%、リ
ン酸1カリウム0.03%、リン酸2ナトリウム0.0
6%、硫酸マグネシウム7水和物0.01%、NaCl
0.5%、ギ酸ナトリウム0.05%、塩化コバルト6
水和物10mg/l、およびメタクリルアミド0.2%
を含むpH7.0の液体培地100mlにシュードノカ
ルディア・サーモフィラ(Psuedonocardia thermophil
a)ATCC19285を接種し、50℃で48時間振盪培養し
た。培養液より菌体を遠心分離し洗浄した。反応はアク
リロニトリル200mM、菌体を乾燥重量換算で1g/
lを含む水溶液(pHはNaOHにより6.0に調整)
中で、10℃、1時間ゆるやかに攪拌しながら行った。
反応終了後、反応液の一部を希釈して、液体クロマトグ
ラフィーにより分析したところ、添加したアクリルニト
リルは全てアクリルアミドに変換されていた(変換率1
00%)。
【0015】実施例2 反応基質のみ、第1表(表1)に示した各ニトリル化合
物に変更し、実施例1と同様の方法で反応を行った(ニ
トリル化合物の添加量はそれぞれ200mM)。その結
果、それぞれの反応液中には第1表(表1)に示した濃
度で基質のニトリル化合物に対応するアミド化合物が生
成していた。
【0016】
【表1】 第1表 ------------------------------------------------------------------------ 基質のニトリル化合物 生成アミド化合物 アミド生成量(mM) ------------------------------------------------------------------------ アセトニトリル アセトアミド 200 プロピオニトリル プロピオアミド 158 βーヒドロキシプロピオニトリル βーヒドロキシプロピオアミド 123 メタクリロニトリル メタクリルアミド 78 ブチロニトリル ブチルアミド 45 イソブチロニトリル イソブチルアミド 48 サクシノニトリル サクシンアミド 28 バレロニトリル バレルアミド 35 アジポニトリル アジポアミド 21 ニコチノニトリル ニコチンアミド 4 ベンゾニトリル ベンズアミド 2 シアノピラジン ピラジンカルボキサミド 5 DL マンデロニトリル マンデルアミド 7 ------------------------------------------------------------------------
【0017】実施例3 実施例1と同様の方法でシュードノカルディア・サーモ
フィラ(Psuedonocardia thermophila)ATCC19285を培
養した。培養液より菌体を遠心分離し、洗浄した。反応
は、菌体を乾燥重量換算で10g/lを含む25mM燐
酸緩衝液(pH6.0)30ml中に、ポンプを用いて
アクリルニトリルを1時間あたり2.4gの量で連続的
に添加しながら 10℃でゆるやかに攪拌して行った。
5時間後、反応液の一部を希釈して、液体クロマトグラ
フィーにより分析したところ、400g/lのアクリル
アミドが蓄積していた(対アクリルニトリル収率98
%)。
【0018】実施例4 実施例1と同様の方法でシュードノカルディア・サーモ
フィラ(Psuedonocardia thermophila)ATCC19285を培
養した。培養液より菌体を遠心分離し、洗浄した。湿菌
体10gに50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.
8)10ml、アクリルアミド8.4g、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート塩化メチル4級化物0.8g、
メチレンビスアクリルアミド0.8gを均一に懸濁し
た。これに10%ジメチルアミノプロピオニトリル1m
l、5%過硫酸カリウム1mlを均一に混合し氷水中で
重合ゲル化させた。この菌体含有ゲルをブレンダーにて
小片に破砕し、これを洗浄し固定化菌体とした。反応
は、25mMリン酸緩衝液(pH6.0)30ml中に
固定化菌体を乾燥重量換算で0.5gを加え、ポンプを
用いてアクリロニトリルを1時間あたり2.4g連続的
に添加しながら10℃でゆるやかに攪拌して行った。5
時間後、反応液中には400g/lのアクリルアミドが
蓄積していた(モル収率98%)。
【0019】実施例5 実施例1と同様の方法でシュードノカルディア・サーモ
フィラ(Psuedonocardia thermophila)ATCC19285を培
養した。培養液より菌体を遠心分離し、洗浄した。反応
はアクリルニトリル200mM、菌体を乾燥重量換算で
1g/lを含む水溶液(pHはNaOHによりpH6.
0に調整)中で、各反応温度で、1時間ゆるやかに攪拌
しながら行った。反応終了後、反応液の一部を希釈し
て、液体クロマトグラフィーにより分析したところ、そ
れぞれの反応液中には第2表(表2)に示した濃度でア
クリルアミドが生成していた。このことから、本発明の
方法は従来の方法に比べ、より高い温度で反応すること
ができることがわかった。
【0020】
【表2】
【0021】実施例6 実施例1と同様の方法でシュードノカルディア・サーモ
フィラ(Psuedonocar-dia thermophila)ATCC19285を培
養した。培養液より菌体を遠心分離し、洗浄した。反応
はアクリルニトリル200mM、菌体を乾燥重量換算で
1g/lを含む水溶液(pHはNaOHまたはH2SO4
により各pHに調整)中で、10℃、1時間ゆるやかに
攪拌しながら行った。反応終了後、反応液の一部を希釈
して、液体クロマトグラフィーにより分析したところ、
それぞれの反応液中には第3表(表3)に示した濃度で
アクリルアミドが生成していた。このことから、本発明
の方法は、従来の方法に比べ広いpH範囲で高い反応性
を有することがわかった。
【0022】
【表3】
【0023】実施例7 実施例1と同様の方法でシュードノカルディア・サーモ
フィラ(Psuedonocar-dia thermophila)ATCC19285を培
養した。培養液より菌体を遠心分離し、洗浄した。乾燥
重量にして約5mgを50mMリン酸緩衝液(pH7.
0)1mlに懸濁し、40℃で2時間熱処理した。一
方、乾燥重量にして約5mgを30%のアクリルアミド
を添加した50mMリン酸緩衝液(pH7.0)1ml
に懸濁し、10℃で2時間置いた後、50mMリン酸緩
衝液(pH7.0)で十分に洗浄し、再度50mMリン
酸緩衝液(pH7.0)1mlで懸濁した。それぞれの
菌体懸濁液0.2mlを取り、50mMリン酸緩衝液
(pH6.0)0.8mlに加え、200mMのアクリ
ルニトリルを添加し、10℃、1時間ゆるやかに攪拌し
ながら反応を行った。反応終了後、反応液の一部を希釈
して、液体クロマトグラフィーにより分析した。第4表
(表4)に、未処理区(コントロール)のアクリルアミ
ド蓄積量を100%としたときの相対値でそれぞれの処
理区のアクリルアミド蓄積量を示した。
【0024】比較例1 実施例1と同様の方法で培養温度だけ28℃に変更し
て、シュードノカルディア・コンパクタ(Psuedonocard
ia compacta)IFO14325及びシュードノカルディア・コ
ンパクタ(Psuedonocardia compacta)IFO14343を培養
した。尚、これらの菌株は何れも発酵研究所(大阪府大
阪市淀川区十三本町2丁目17番85号)から容易に入
手される。培養液より菌体を遠心分離し、洗浄した。乾
燥重量にして約5mgを50mMリン酸緩衝液(pH
7.0)1mlに懸濁し、40℃で2時間熱処理した。
一方、乾燥重量にして約5mgを30%のアクリルアミ
ドを添加した50mMリン酸緩衝液(pH7.0)1m
lに懸濁し、10℃で2時間置いた後、50mMリン酸
緩衝液(pH7.0)で十分に洗浄し、再度50mMリ
ン酸緩衝液(pH7.0)1mlで懸濁した。それぞれ
の菌体懸濁液0.2mlを取り、50mMリン酸緩衝液
(pH6.0)0.8mlに加え、200mMのアクリ
ルニトリルを添加し、10℃、1時間ゆるやかに攪拌し
ながら反応を行った。反応終了後、反応液の一部を希釈
して、液体クロマトグラフィーにより分析した。第4表
(表4)に、未処理区(コントロール)のアクリルアミ
ド蓄積量を100%としたときの相対値でそれぞれの処
理区のアクリルアミド蓄積量を示した。このことから、
同じPsuedonocardia属に属する微生物であっても、好熱
菌性に比して常温菌は、耐熱性やアクリルアミドに対す
る耐性が劣ることがわかる。
【0025】
【表4】 第4表 ──────────────────────────────────── 耐熱性 AAm耐性 生育温度 Control 40℃,2hr 30%,10゜C,2hr ──────────────────────────────────── 実施例7 P.thermophila ATCC 19285 50℃ 100% 100% 100% 比較例1 P.compacta IFO14325 28℃ 100% 28% 1% P.compacta IFO14343 28℃ 100% 34% 6% ──────────────────────────────────── コントロールのアクリルアミド蓄積量を100%としたときの相対値 AAm:アクリルアミド
【0026】
【発明の効果】本発明の方法によれば、より広い温度範
囲、特に40℃以上の高い温度でニトリル化合物からア
ミド化合物を生成する反応が可能であり、従来の技術に
比べより効率のよいアミド化合物の製造が可能となる。
また、本発明の方法によれば、広いpH範囲で安定な反
応が可能なため、ニトリル化合物を水和して対応するア
ミド化合物に変換するに際して厳密にpHを調整する必
要がない。また、本発明の方法によれば、高濃度でしか
も純度の高いアミド化合物を製造することが可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴岡 みゆき 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生育上限温度が55℃以上であるところ
    の好熱性菌であり、ニトリル化合物を水和して対応する
    アミド化合物に変換する能力を有する微生物の培養液、
    菌体もしくは菌体処理物を水性媒体中にて該ニトリル化
    合物に作用させることを特徴とする微生物によるアミド
    化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 生育上限温度が55℃以上であるところ
    の好熱性菌でありシュードノカルディア(Psuedonocard
    ia)属に属し、ニトリル化合物を水和して対応するアミ
    ド化合物に変換する能力を有する微生物の培養液、菌体
    もしくは菌体処理物を水性媒体中にて該ニトリル化合物
    に作用させることを特徴とする微生物によるアミド化合
    物の製造法。
  3. 【請求項3】 シュードノカルディア(Psuedonocardi
    a)属に属する微生物がシュードノカルディア・サーモ
    フィラ(Psuedonocardia thermophila)ATCC19285であ
    ることを特徴とする請求項2記載のアミド化合物の製造
    法。
  4. 【請求項4】 ニトリル化合物が、アクリルニトリル、
    メタアクリロニトリルであることを特徴とする請求項2
    または3記載のアミド化合物の製造法。
  5. 【請求項5】 反応温度が0〜80℃であることを特徴
    とする請求項1〜4記載のアミド化合物の製造法。
  6. 【請求項6】 反応のpHが3〜10であることを特徴
    とする請求項1〜5記載のアミド化合物の製造法。
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