【発明の詳細な説明】
3,4−エポキシ−1−ブテンからの3,4−ジハロ−1,2−エポキシブタン
類の製造方法
本発明は塩素又は臭素と3,4−エポキシ−1−ブテンとの反応による3,4
−ジハロ−1,2−エポキシブタン類の製造に関する。更に詳しくは、本発明は
不活性溶媒及び触媒量のアミン又はアミンハロゲン化水素塩(hydrohalide)の
存在下での3,4−エポキシ−1−ブテンの塩素化又は臭素化に関する。
3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタンの製造に関する多数の文献が知ら
れている。英国特許第864,880号には、1,3,4−トリクロロブタン−2−オ
ールの脱塩化水素化による3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタンの合成が
記載されている。3,4−ジクロロ−1−ブテンの過酢酸又は過ギ酸での酸化に
よる3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタンの製造は、英国特許第784,620
号及び米国特許第3,150,154号及びHawkins,J.Chem.Soc.,248頁(1959年)に
記載されている。−30℃で希釈しない3,4−エポキシ−1−ブテンに液体塩素
を添加することによる3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタンの製造は、Mo
vsumzade等、Dokl.Akad.Nauk.Az.SSR,30巻、14頁(1974年);Chem.Abstr
.82:86251k(1975年)に開示されている。
3,4−エポキシ−1−ブテンのイオン及び遊離基ハロゲン化の研究は、Shel
lhamer等、J.Heterocyclic Chem.,20巻、229頁(1983年)により報告されてい
るが、このメカニズム研究で使用された方法は工業的規模での3,4−ジクロロ
−1,2−エポキシブタンの製造には実際的ではない。例えば、Shellhamer等は
非常に低濃度
で彼らの反応を行い、反応を完結の僅か20〜50%まで進行させた。更に、生成物
はガスクロマトグラフィーによって精製され、数日後に薄黄色に変わる不安定な
液体であると記載された。
僅かに化学量論的に過剰の塩素を−5〜5℃でジクロロメタン中の3,4−エ
ポキシ−1−ブテンの12%溶液に添加することによる従来のハロゲン化方法によ
る3,4−エポキシ−1−ブテンの塩素化によって、3,4−ジクロロ−1,2
−エポキシブタンが生成された。しかしながら、3,4−エポキシ−1−ブテン
の約50%は高沸点オリゴマー化合物に転化された。粗生成物を蒸留したとき、3
,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタンは僅か6.5%の収率で得られた。
触媒量の第三級アミン又は第一級、第二級若しくは第三級アミンのハロゲン化
水素塩の存在下での3,4−エポキシ−1−ブテンと塩素又は臭素との反応によ
り、安定な3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタン及び3,4−ジブロモ−
1,2−エポキシブタンが高収率及び高純度で便利に製造できることが見出され
た。それで本発明は、触媒量の第三級アミン又は第一級、第二級若しくは第三級
アミンのハロゲン化水素塩の存在下で、3,4−エポキシ−1−ブテンをX2と
反応させることからなる(但し、XはCl又はBrであり、該ハロゲン化水素塩はHC
l又はHBrである)、式:
を有する化合物の製造方法を提供する。この方法は汎用のハロゲン化溶媒の存在
下で行うことができる。
第三級アミン触媒には、全炭素数3〜60、好ましくは全炭素数6〜18のトリヒ
ドロカルビルアミン並びに非置換及び置換ピリジン、
キノリン及びイソキノリンのような全炭素数5〜12の複素芳香族アミンが含まれ
る。当業者に明らかなように、使用される具体的な第三級アミン又はアミンハロ
ゲン化水素塩は、塩素及び臭素に対して安定でなくてはならず、使用される具体
的なハロゲン化溶媒に十分な可溶性を示してハロゲン化反応に有効に触媒作用を
しなくてはならない。第三級アミン触媒の例には、一般式:
[式中、各R1及びR2は個々に、ヒドロカルビル基、好ましくは脂肪族又は脂環
式ヒドロカルビル基、例えば炭素数20以下のアルキル又はシクロヘキシルのよう
なシクロアルキルであり、nは0、1又は2であり、X及びYはN及びCHから選
択される(但し、XとYとは異なる)]
を有する化合物が含まれる。2個のR1置換基は一緒になって、それらが結合し
ている窒素原子と共に飽和複素環基、例えばN−アルキルピペリジンを形成する
アルキレン基、例えばペンタメチレンを表してもよい。各R1は好ましくは炭素
数2〜6のアルキル基から選択され又は2個のR1置換基は一緒になってペンタ
メチレン基を表す。各R2は好ましくは低級アルキル、例えば炭素数4以下のア
ルキル、特にメチルから選択される。トリエチルアミン、トリブチルアミン及び
N−メチルピペリジンがトリヒドロカルビルアミン触媒の具体例である。複素芳
香族アミン触媒の例にはピリジン、ピコリンの異性体、ルチジンの異性体、キノ
リン、イソキノリン及び変成ピリジンとして知られている市販の混合物のような
アルキルピリジン混合物が含まれる。
アミンハロゲン化水素塩触媒は、第一級及び第二級アミンの塩酸塩及び臭化水
素塩並びに上記第三級アミンの塩化水素塩及び臭化水素酸塩であってよい。この
ような第一級及び第二級アミンの例は、一般式(IV)及び(V):
(式中、R3、R4及びR5の夫々は個々にヒドロカルビル基、好ましくは脂肪族
又は脂環式ヒドロカルビル基、例えば炭素数20以下のアルキル又はシクロヘキシ
ルのようなシクロアルキルから選択される)
を有する化合物である。R4及びR5は一緒になって、それらが結合している窒素
原子と共に飽和複素環基、例えばピペリジンを形成するアルキレン基、例えばペ
ンタメチレンを表してもよい。R3は好ましくは炭素数4〜12のアルキルであり
、R4及びR5は好ましくは炭素数2〜12のアルキルから選択される。ヘキシルア
ミン、ジブチルアミン及びピペリジンが、本発明の新規な方法で使用できるアミ
ンハロゲン化水素塩触媒のアミン成分の具体例である。
塩素化炭化水素のような好ましいハロゲン化溶媒の1種を使用するとき、特に
好ましい触媒はトリエチルアミンハロゲン化水素塩及びピリジンハロゲン化水素
塩である。これらの特別の触媒は、好ましいハロゲン化溶媒に十分に可溶性であ
って触媒有効量でのその使用を可能にし、十分に水溶性であって3,4−ジハロ
−1,2−エポキシブタン生成物を水洗することによってその除去を可能にする
。しかしながら、触媒を除去することなく、3,4−ジハロ−1,2−エポキシ
ブタン生成物を使用することができる。アミンハロゲン化水素塩又はピリジンハ
ロゲン化水素塩のハロゲン化物アニオン
は通常この方法で使用されるハロゲンXと同じものである。触媒化合物の触媒有
効量は、典型的には、3,4−エポキシ−1−ブテン1モル当たり触媒0.001〜0
.1モルの範囲内である。
本発明の方法で通常使用される有機ハロゲン化溶媒は、種々の脂肪族、脂環式
、芳香族炭化水素及びこれらのハロゲン化誘導体から選択することができる。塩
素化アルカン及びハロベンゼン、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩
化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリク
ロロエタン、クロロベンゼン並びにジ−及びトリクロロベンゼンの異性体のよう
なハロゲン化炭化水素が好ましい。それは非ハロゲン化炭化水素を使用すると低
品質の生成物及び/又は溶媒のハロゲン化となるからである。(1)トリエチル
アミン塩酸塩又は臭化水素塩とジクロロメタン及び(2)ピリジン塩酸塩又は臭
化水素塩とジクロロメタンからなる触媒/溶媒組合せ物を使用することが特に好
ましい。
このハロゲン化工程は一般に−10〜70℃の温度で行われる。本発明によって3
,4−エポキシ−1−ブテンを塩素化するとき−10〜20℃の反応温度が好ましく
、一方、臭素化するためには20〜50℃の範囲が好ましい。
本発明の好ましい態様は、有機ハロゲン化溶媒中の塩素又は臭素と触媒との溶
液に3,4−エポキシ−1−ブテンを添加することに関係している。この方法の
操作の開始時に、ハロゲン化溶媒には溶解した塩素又は臭素が含まれている。次
いで塩素又は臭素と3,4−エポキシ−1−ブテンとを、反応混合物中の溶解し
た塩素又は臭素を維持する速度又は増分で添加する。製造運転又はサイクルの終
わりに、塩素又は臭素の添加を停止し、未反応のハロゲンの全てを消費するため
に3,4−エポキシ−1−ブテンを添加することができる。また、蒸留により又
は無機還元剤水溶液(例えば、チオ硫酸
ナトリウム又は重亜硫酸ナトリウム)で洗浄することによって、未反応のハロゲ
ンを除去することができる。
上記の好ましい態様は、3,4−エポキシ−1−ブテン及びX2を塩素化アル
カン溶媒中のX2及び第三級アミンハロゲン化水素塩又はピリジンハロゲン化水
素塩の溶液に添加することからなる、式:
を有する化合物の製造方法からなる。3,4−エポキシ−1−ブテン及びハロゲ
ンX2を同時に又は交互に、連続的に又は間欠的に添加して、プロセス時間の間
、反応物中に溶解したハロゲンを常に維持することができる。溶解したハロゲン
の存在は反応混合物の色から明らかである。即ち塩素のときは明緑色であり、臭
素のときは明橙色である。プロセスの終わりに、混合物を水処理して触媒及び過
剰のハロゲンを除去する。
本発明のハロゲン化方法を下記の例によって更に示す。ガスクロマトグラフィ
ー(GC)分析(面積パーセントで報告する)は、30m、DB5、0.32mm内径、0.25
ミクロンフィルム厚さの毛管カラムのHewlett-Packard 5890Aガスクロマトグラ
フで行った。温度プログラムは35℃(4.5分間)、280℃まで20℃/分、5分間保
持であった。得られた生成物の構造は核磁気共鳴及び質量分析法によって確認し
た。実施例1
500mLの四つ口丸底フラスコにガス添加管、コンデンサー、サーモカップル、
機械式攪拌機、添加漏斗及び冷却浴を取り付けた。このフラスコにピリジン塩酸
塩3.47g(0.0300モル)及びジクロロメ
タン200mLを添加した。溶液を−5〜5℃に冷却し、次いで塩素ガス添加を始め
た。溶液が明緑色に変わった後で、3,4−エポキシ−1−ブテン及び塩素を−
5〜5℃で約1時間に亘って同時に添加した。3,4−エポキシ−1−ブテン40
mLを滴加し、塩素添加を反応溶液が緑色に維持されるように調節した。3,4−
エポキシ−1−ブテンを添加した後で、塩素添加を停止し、溶液の色を消すため
に必要なだけ、更に3,4−エポキシ−1−ブテンを添加した。全部で塩素48.6
g(0.685モル)及び3,4−エポキシ−1−ブテン41.6g(0.594モル)を添加
した。この混合物を水100mLで3回洗浄した。この混合物を無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、濾過し、濾液から真空ロータリー蒸発(約35℃以下及び約30トル)
により溶媒を除去した。粗無色生成物(97.2g)を7トルで真空蒸留して、58〜
61℃で3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタンを得た。無色液体は67.97g
(理論量83.69g、81.2%)であり、99.7%(51.6/48.4ジアステレオマー混合
物)のGC分析を有していた。実施例2
500mLの四つ口丸底フラスコにガス添加管、コンデンサー、サーモカップル、
機械式攪拌機、添加漏斗及び冷却浴を取り付けた。このフラスコにトリエチルア
ミン塩酸塩4.13g(0.0300モル)及びジクロロメタン200mLを添加した。溶液を
−5〜5℃に冷却し、次いで塩素ガス添加を始めた。溶液が明緑色に変わった後
で、3,4−エポキシ−1−ブテン及び塩素を−5〜5℃で約1時間に亘って同
時に添加した。3,4−エポキシ−1−ブテン40mLを滴加し、塩素添加を反応溶
液が緑色に維持されるように調節した。3,4−エポキシ−1−ブテンを添加し
た後で、塩素添加を停止し、溶液の色を消すために必要なだけ更に3,4−エポ
キシ−1−ブテンを添加した。全部で塩素38.5g(0.543モル)及び3,4−エ
ポキシ−1−
ブテン34.8g(0.497モル)を添加した。この混合物を0.5%塩酸100mL、水100mL
及び重炭酸ナトリウム水溶液100mL(重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mLプラス水5
0mL)で洗浄した。この混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液
から真空ロータリー蒸発(約35℃以下及び約30トル)により溶媒を除去した。粗
無色生成物(85.93g)を7トルで真空蒸留して、58〜61℃で3,4−ジクロロ
−1,2−エポキシブタンを得た。無色液体は60.6g(理論量70.0g、86.6%)
であり、99.6%のGC分析を有していた。実施例3
500mLの四つ口丸底フラスコにガス添加管、コンデンサー、サーモカップル、
機械式攪拌機、添加漏斗及び冷却浴を取り付けた。このフラスコにジブチルアミ
ン塩酸塩5.0g(0.030モル)及びジクロロメタン200mLを添加した。溶液を−5
〜5℃に冷却し、次いで塩素ガス添加を始めた。溶液が明緑色に変わった後で、
3,4−エポキシ−1−ブテン及び塩素を−5〜5℃で約1時間に亘って同時に
添加した。3,4−エポキシ−1−ブテン40mLを滴加し、塩素添加を反応溶液が
緑色に維持されるように調節した。3,4−エポキシ−1−ブテンを添加した後
で、塩素添加を停止し、溶液の色を消すために必要なだけ更に3,4−エポキシ
−1−ブテンを添加した。全部で塩素41.4g(0.584モル)及び3,4−エポキ
シ−1−ブテン36.1g(0.515モル)を添加した。この混合物を0.5%塩酸100mL
、水100mL及び重炭酸ナトリウム水溶液100mL(重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mL
プラス水50mL)で洗浄した。この混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過
し、濾液から真空ロータリー蒸発(約35℃以下及び約30トル)により溶媒を除去
した。粗無色生成物(97.6g)を7トルで真空蒸留して、57〜61℃で3,4−ジ
クロロ−1,2−エポキシブタンを得た。無色液体は49.35g(理論量72
.62g、68.0%)であり、98.1%のGC分析を有していた。実施例4
500mLの四つ口丸底フラスコにガス添加管、コンデンサー、サーモカップル、
機械式攪拌機、添加漏斗及び冷却浴を取り付けた。このフラスコにトリエチルア
ミン3.1g(0.031モル)及びジクロロメタン200mLを添加した。溶液を−5〜5
℃に冷却し、次いで塩素ガス添加を始めた。溶液が明緑色に変わった後で、3,
4−エポキシ−1−ブテン及び塩素を−5〜5℃で約1時間に亘って同時に添加
した。3,4−エポキシ−1−ブテン40mLを滴加し、塩素添加を反応溶液が緑色
に維持されるように調節した。3,4−エポキシ−1−ブテンを添加した後に、
塩素添加を停止し、溶液の色を消すために必要なだけ更に3,4−エポキシ−1
−ブテンを添加した。全部で塩素44.0g(0.621モル)及び3,4−エポキシ−
1−ブテン40.5g(0.578モル)を添加した。この混合物を5%塩酸100mLで2回
次いで重炭酸ナトリウム水溶液100mL(重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mLプラス
水50mL)で1回洗浄した。この混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し
、濾液から真空ロータリー蒸発(約35℃以下及び約30トル)により溶媒を除去し
た。粗黄色生成物(97.7g)を7〜8トルで真空蒸留して、57〜62℃で3,4−
ジクロロ−1,2−エポキシブタンを得た。無色液体は52.97g(理論量81.47g
、65.0%)であり、97.9%のGC分析を有していた。実施例5
500mLの四つ口丸底フラスコにガス添加管、コンデンサー、サーモカップル、
機械式攪拌機、添加漏斗及び冷却浴を取り付けた。このフラスコに変性ピリジン
2.8g(0.030モル)及びジクロロメタン200mLを添加した。溶液を−5〜5℃に
冷却し、次いで塩素ガス添加を始めた。溶液が明緑色に変わった後で、3,4−
エポキシ−
1−ブテン及び塩素を−5〜5℃で約1時間に亘って同時に添加した。3,4−
エポキシ−1−ブテン40mLを滴加し、塩素添加を反応溶液が緑色に維持されるよ
うに調節した。3,4−エポキシ−1−ブテンを添加した後で、塩素添加を停止
し、溶液の色を消すために必要なだけ更に3,4−エポキシ−1−ブテンを添加
した。全部で塩素39.9g(0.562モル)及び3,4−エポキシ−1−ブテン37.4
g(0.534モル)を添加した。この混合物を5%塩酸100mLで2回、重炭酸ナトリ
ウム水溶液100mL(重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mLプラス水50mL)で2回及び
水100mLで洗浄した。この混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾
液から真空ロータリー蒸発(約35℃以下及び約30トル)により溶媒を除去した。
粗黄色生成物(92.93g)を7トルで真空蒸留して、59〜61℃で3,4−ジクロ
ロ−1,2−エポキシブタンを得た。無色液体は53.51g(理論量75.24g、71.1
%)であり、98.9%のGC分析を有していた。比較例1
ガス添加管、コンデンサー、温度計、機械式攪拌機及び冷却浴を取り付けた50
0mLの四つ口丸底フラスコに、ジクロロメタン200mL及び3,4−エポキシ−1−
ブテン34.8g(0.497モル)を添加した。溶液を−5〜5℃に冷却し、次いで塩
素ガスの添加を始めた。塩素(41.6g、0.587モル)を−5〜5℃で溶液が緑色
になるまで添加した。この混合物を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液100mL及び重
炭酸ナトリウム水溶液100mL(重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mLプラス水50mL)
で洗浄した。この混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液から真
空ロータリー蒸発(約35℃以下及び約30トル)により溶媒を除去した。粗生成物
を7トルで蒸留して、50〜64℃で3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタン生
成物画分を得た。生成物は4.57g(理論量70.0g、6.53%)であり、89.1%の
GC分析を有していた。比較例2
ガス添加管、コンデンサー、温度計、機械式攪拌機、添加漏斗及び冷却浴を取
り付けた500mLの四つ口丸底フラスコに、ジクロロメタン200mLを添加した。溶液
を−5〜5℃に冷却し、次いで塩素ガス添加を始めた。溶液が明緑色に変わった
後で、塩素40g(0.56モル)及び3,4−エポキシ−1−ブテン34.8g(0.497
モル)を−5〜5℃で約60分間に亘って、溶液を緑色に維持するようにして同時
に添加した。この混合物を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液100mL及び重炭酸ナト
リウム水溶液100mL(重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mLプラス水50mL)で洗浄し
た。この混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液から真空ロータ
リー蒸発(約35℃以下及び約30トル)により溶媒を除去した。粗無色生成物を7
トルで蒸留して、58〜61℃で3,4−ジクロロ−1,2−エポキシブタン生成物
画分を得た。無色液体は22.3g(31.9%)であり、98.0%のGC分析を有していた
。
本発明の方法によりもたらされる利点を、実施例1及び2並びに比較例1及び
2で得られた結果を要約した表に示す。表に於いて、「添加モード」欄の記載は
、(i)3,4−エポキシ−1−ブテン、触媒及び溶媒の混合物への塩素の添加
(「標準」)又は(ii)塩素、触媒及び溶媒の混合物への塩素及び3,4−エポ
キシ−1−ブテンの同時添加(「逆」)を示し、「触媒」欄は塩素化触媒を示し
(Et3N=トリエチルアミン)、「粗分析」欄は蒸留前の粗生成物の溶媒を無視し
たGC面積パーセントを示し、そして「蒸留収率」欄は使用した3,4−エポキシ
−1−ブテンから得ることができる理論量基準の蒸留後の3,4−ジクロロ−1
,2−エポキシブタンの収率パーセントを示す。
本発明をその好ましい態様を特に参照して詳細に記載したが、変形及び修正が
本発明の精神及び範囲内で有効であることを理解されたい。