JPH0849520A - 火花点火式エンジンの排気マフラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】排気マフラを次のようにした。排気導入パイプ
４のマフラ挿入部分７にステー８を設け、このステー８
の先端部９を、接続具１０を介して排気マフラ１の外壁
２に固定した。排気導入パイプ４の軸線１１上で、排気
導入パイプ４の排気吹き出し口１２と接続具１０とを対
向させた。この対向部分に挟まれた空間１４を、排気マ
フラ１の内部空間１５に向けて解放した。 【効果】排気導入パイプ４に蓄熱部が形成されにくいの
で、ヒートポイントの発生を抑制でき、排気マフラ１内
での筒外爆発が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、排気マフラ内での筒外
爆発を抑制できる、火花点火式エンジンの排気マフラに
関する。

【０００２】

【従来技術】火花点火式エンジンの排気マフラの従来技
術として図４に示すものがある。これは、本発明と同
様、排気マフラ１０１の外壁１０２にパイプ差し込み口
１０３をあけ、このパイプ差し込み口１０３から排気マ
フラ１０１内に排気導入パイプ１０４を挿入し、この排
気導入パイプ１０４の途中部分１０５をパイプ差し込み
口１０３の周肉部１０６に固着させて構成してある。

【０００３】この従来技術では、排気導入パイプ１０４
のマフラ挿入部分１０７の先端部１１６に半球面形の接
続具１１０が内嵌固定され、この接当具１１０が排気マ
フラ１０１の外壁１０２にスポット溶接されている。そ
して、排気導入パイプ１０４のマフラ挿入部分１０７の
周壁の周方向の切り込み１１７に沿って、周壁の一部が
パイプ内に向けて反転状に押し込まれ、これにより排気
導入パイプ１０４の排気吹き出し口１１２が開口されて
いる。

【０００４】この従来技術では、押し込み壁１１８の手
前側に狭い窪み１１９ができ、排気吹き出し口１１２か
ら吹き出した直後の排気ガスの多くが、押し込み壁１１
８に吹き当たるため、押し込み壁１１８が多量の排気熱
を受ける。また、押し込み壁１１８と接当具１１０との
間には袋状空間１２０が形成され、押し込み壁１１８を
押し込んだ後のスプリングバックにより、押し込み壁１
１８の縁１２１とパイプ内面１２２との間には隙間１２
３があく。そして、排気吹き出し口１１２から窪み１１
９に吹き出した排気が隙間１２３から袋状空間１２０に
侵入して、ここに溜まり、押し込み壁１１８からの放熱
を困難なものにしている。このため、押し込み壁１１８
に多くの蓄熱がなされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、押
し込み壁１１８に多くの蓄熱がなされ、ここがヒートポ
イントになって、エンジン停止作動中に排気マフラ１０
１内でいわゆる筒外爆発が起こり、これが騒音や排気マ
フラ損傷の原因となっている。

【０００６】尚、筒外爆発の主たる原因は、エンジン停
止作動中、燃焼室を吹き抜けた混合気が排気マフラ１０
１に導入され、他方、排気脈動によって排気マフラ１０
１の排気放出口から外気が排気マフラ１０１に導入さ
れ、排気マフラ１０１内で混合気が希釈されて、燃焼し
やすくなり、ヒートポイントによって着火するためであ
る。

【０００７】本発明の課題は、排気マフラ内での筒外爆
発を抑制できる、火花点火式エンジンの排気マフラを提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、図１または図
３に例示するように、排気マフラ１の外壁２にパイプ差
し込み口３をあけ、このパイプ差し込み口３から排気マ
フラ１内に排気導入パイプ４を挿入し、この排気導入パ
イプ４の途中部分５をパイプ差し込み口３の周肉部６に
固着させて構成した、火花点火式エンジンの排気マフラ
において、次のようにしたことを特徴とする。

【０００９】すなわち、排気導入パイプ４のマフラ挿入
部分７にステー８を設け、このステー８の先端部９を、
接続具１０を介してまたは直接に、排気マフラ１の外壁
２に固定し、排気導入パイプ４の軸線１１上で、排気導
入パイプ４の排気吹き出し口１２と、接続具１０または
排気マフラ１の外壁２の一部１３とを対向させ、この対
向部分に挟まれた空間１４を、排気マフラ１の内部空間
１５に向けて解放したことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明では、図１または図３に例示するよう
に、排気吹き出し口１２から吹き出した直後の排気ガス
は、対向部分に挟まれた広い空間１４を経て、排気マフ
ラ１の内部空間１５に速やかに拡散するため、排気吹き
出し口１２と対向する接続具１０または排気マフラ１の
外壁２には、排気の一部が緩やかに吹き当たる。また、
この吹き当たり箇所で吸収された排気熱は、排気マフラ
１の外壁２を伝って速やかに放熱される。このため、排
気導入パイプ４に蓄熱部分が形成されにくい。

【００１１】また、排気マフラ１の外壁２への排気導入
パイプ４の固定は、排気導入パイプ４の途中部分５とス
テー８の２箇所で行われる。

【００１２】

【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。 排気導入パイプに蓄熱部が形成されにくいので、ヒー
トポイントの発生を抑制でき、排気マフラ内での筒外爆
発が抑制される。

【００１３】排気マフラの外壁への排気導入パイプの
固定が２箇所で行われるので、上記効果を得るに当た
り、排気導入パイプの取り付け強度が犠牲にされること
もない。

【００１４】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１及び図２は第１実施例を説明する図である。この実
施例ではガソリンエンジンの排気マフラが用いられてお
り、その構造は次の通りである。すなわち、図２に示す
ように、円筒形の本体ケースの内部が長手方向中央部の
仕切り壁２４で第１膨張室２５と第２膨張室２６とに区
画されている。第１膨張室２５には排気導入パイプ４が
挿入され、仕切り壁２４には複数の排気通過孔２７が形
成され、第２膨張室２６の中心部に沿って排気放出管２
８が架設されている。排気放出管２８は仕切り壁を貫通
し、第１膨張室２５を通過して第１膨張室２５の外壁２
からマフラ外に導出されている。

【００１５】排気導入パイプ４で導入された排気は第１
膨張室２５で膨張し、次に排気通過孔２７を通過して第
２膨張室２６に導入されて更に膨張し、次に排気放出管
２８を通過して大気内に放出される。尚、排気通過孔２
７の孔径を変えることにより、騒音低減効率や出力効率
の調節が可能となる。

【００１６】排気導入パイプ４の取り付け構造は次の通
りである。すなわち、図１に示すように、排気マフラ１
の外壁２にパイプ差し込み口３があけられ、このパイプ
差し込み口３から排気マフラ１内に排気導入パイプ４が
挿入されている。この排気導入パイプ４の途中部分５は
パイプ差し込み口３の周肉部６に固着されている。

【００１７】この実施例では、排気マフラ１内での筒外
爆発を抑制するため、次の構造が採用されている。すな
わち、排気導入パイプ４のマフラ挿入部分７にステー８
が設けられ、このステー８の先端部９が接続具１０を介
して排気マフラ１の外壁２に固定されている。そして、
排気導入パイプ４の軸線１１上で、排気導入パイプ４の
排気吹き出し口１２と接続具１０とを対向させ、対向部
分に挟まれた空間１４を排気マフラ１の内部空間１５に
向けて解放させてある。

【００１８】このような構成によれば、接続具１０に
は、排気の一部が緩やかに吹き当たり、吸収された排気
熱は排気マフラ１の外壁２を伝って速やかに放熱される
ため、排気導入パイプ４に蓄熱部分が形成されにくい。
また、排気マフラ１の外壁２への排気導入パイプ４の固
定は、排気導入パイプ４の途中部分５とステー８の２箇
所で行われる。

【００１９】この実施例では、ステー８となる部分を残
して、排気導入パイプ４の周壁を切除することにより、
ステー８を形成してある。このため、排気マフラ１の組
み立て工程で排気導入パイプ４にステー８の取り付ける
手間が不要になる。このステー８を形成するに当たって
は、図１（Ｂ）に示すように、ステー８の周長が排気導
入パイプ４の周長の半分以下となるように形成すると、
空間１４が排気マフラ１の内部空間１５に広く解放さ
れ、接続具１０への排気の吹き当たりが一層緩和され
る。接続具１０は、半球面状のもので、ステー８の先端
部９に溶接で固定され、排気マフラ１の外壁２の一部１
３にスポット溶接で固定されている。

【００２０】図３は第２実施例を説明する図である。こ
の実施例では、ステー８の先端部９を直接に排気マフラ
１の外壁２に固定し、排気導入パイプ４の軸線１１上
で、排気導入パイプ４の排気吹き出し口１２と、排気マ
フラ１の外壁２の一部１３とを対向させ、この対向部分
に挟まれた空間１４を、排気マフラ１の内部空間１５に
向けて解放してある。

【００２１】この実施例では、排気マフラ１の外壁２の
一部１３には、排気の一部が緩やかに吹き当たり、吸収
された排気熱は排気マフラ１の外壁２を伝って速やかに
放熱されるため、排気導入パイプ４に蓄熱部分が形成さ
れにくい。また、排気マフラ１の外壁２への排気導入パ
イプ４の固定は、排気導入パイプ４の途中部分５とステ
ー８の２箇所で行われる。

【００２２】この実施例でも、ステー８となる部分を残
して、排気導入パイプ４の周壁を切除することにより、
ステー８を形成し、ステー８の周長が排気導入パイプ４
の周長の半分以下となるようしてある。また、ステー８
の先端部９は狭幅に形成され、排気マフラ１の外壁２に
あけられたステー挿通孔２９に差し込まれ、溶接によっ
て固定されている。排気マフラ１の外側には半円筒形の
カバー３０が装着され、このカバー３０でステー８の先
端部９が隠されている。他の構造は第１実施例と同じで
あり、図中、同一の要素には同一の符号を付しておく。

【００２３】本発明の各実施例の内容は以上の通りであ
るが、本発明は上記各実施例の内容に限定されるもので
はない。例えば、この発明はガソリンエンジンに限ら
ず、ガスエンジン等の他の火花点火式エンジンの排気マ
フラにも利用することができる。また、ステー８は排気
導入パイプ４の一部の切除によって形成するものに限ら
ず、排気導入パイプ４に後付けするものであってもよ
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る排気マフラの要部説
明図で、図１（Ａ）は断面図、図１（Ｂ）は図１（Ａ）
のＢ−Ｂ線断面図、図１（Ｃ）は斜視図である。

【図２】本発明の第１実施例に係る排気マフラの全体説
明図で、図２（Ａ）は断面図、図２（Ｂ）は図２（Ａ）
のＢ−Ｂ線断面図である。

【図３】本発明の第２実施例に係る排気マフラの要部説
明図で、図３（Ａ）は断面図、図３（Ｂ）は図３（Ａ）
のＢ−Ｂ線断面図、図３（Ｃ）は斜視図である。

【図４】従来技術に係る排気マフラの要部説明図で、図
４（Ａ）は断面図、図４（Ｂ）は図４（Ａ）のＢ−Ｂ線
断面図である。

【符号の説明】

１…排気マフラ、２…外壁、３…パイプ差し込み口、４
…排気導入パイプ、５…途中部分、６…周肉部、７…マ
フラ挿入部分、８…ステー、９…先端部、１０…接続
具、１１…軸線、１２…排気吹き出し口、１３…一部、
１４…空間、１５…内部空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排気マフラ(１)の外壁(２)にパイプ差し
   込み口(３)をあけ、このパイプ差し込み口(３)から排気
   マフラ(１)内に排気導入パイプ(４)を挿入し、この排気
   導入パイプ(４)の途中部分(５)をパイプ差し込み口(３)
   の周肉部(６)に固着させて構成した、火花点火式エンジ
   ンの排気マフラにおいて、 排気導入パイプ(４)のマフラ挿入部分(７)にステー(８)
   を設け、このステー(８)の先端部(９)を、接続具(１０)
   を介してまたは直接に、排気マフラ(１)の外壁(２)に固
   定し、排気導入パイプ(４)の軸線(１１)上で、排気導入
   パイプ(４)の排気吹き出し口(１２)と、接続具(１０)ま
   たは排気マフラ(１)の外壁(２)の一部(１３)とを対向さ
   せ、この対向部分に挟まれた空間(１４)を、排気マフラ
   (１)の内部空間(１５)に向けて解放した、ことを特徴と
   する火花点火式エンジンの排気マフラ。