JPH0847978A - 耐熱性ロール状フィルム及びその製造法 - Google Patents

耐熱性ロール状フィルム及びその製造法

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JPH0847978A
JPH0847978A JP18556294A JP18556294A JPH0847978A JP H0847978 A JPH0847978 A JP H0847978A JP 18556294 A JP18556294 A JP 18556294A JP 18556294 A JP18556294 A JP 18556294A JP H0847978 A JPH0847978 A JP H0847978A
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隆 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【構成】平均吸湿率が25℃60%相対湿度でのフィル
ム平衡吸湿率の30〜100%であり、かつフィルム内
の任意の箇所で測定した吸湿率のバラツキが平均吸湿率
の±30%以内であることを特徴とする吸湿膨張係数が
3〜100ppm/%RHの耐熱性ロール状フィルム及びその
製造法。 【効果】捲き形状及びロール状からの解除性がよく、ス
パッタリング・蒸着・ラミネーション等の乾燥雰囲気及
びメッキ等の水浸漬時に、平坦性に優れているために加
工性に優れた耐熱性長尺フィルムを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性の長尺ロール状
フィルム及びその製造法に関するものであり、さらに詳
しくはフィルムとして特別な要件を備えたが故に加工性
に優れた耐熱性長尺ロール状フィルム及びその製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミド(以下、アラミドとい
う)フィルムやポリイミドフィルムは、耐熱性に優れた
フィルムとして、特開昭49−131247号公報、特
開昭51−81854号公報、特開昭51−81880
号公報、特開昭52−82953号公報、特開昭52−
84245号公報、特開昭52−85251号公報、特
開昭58−42649号公報、特開昭59−45124
号公報、特開昭61−246918号公報、特開昭62
−70421号公報、特開昭60−15436号公報、
特開昭60−15437号公報、特開昭62−4872
6号公報などにより知られている。
【0003】しかしながら、フィルムの加工性が極めて
重要であるにもかかわらず、フィルムの加工性に言及し
た公知資料は殆ど見られない。殊に、これらの耐熱性の
フィルムは、吸脱湿による寸法変化が避けられないため
に、ロール状フィルムの場合、捲姿の低下やそれに伴う
ロール状からの解除性の低下をひきおこし、また蒸着や
スパッタリング等、乾燥状態で加工される時やメッキ
等、湿潤状態で加工される時にフィルムの局部的な寸法
変化が発生し、このためにフィルムの平坦性の低下やし
わの発生が避けられず、これらの結果として加工収率の
低下や不均一な加工しか行われない等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フィルムがカールを起
こすという問題に関して、特開昭51−81854号公
報にはフィルム中のイオン含量を減らすことで耐熱性フ
ィルムのカールを抑える方法が開示されている。しか
し、この方法だけでは、耐熱性フィルムの加工性改良と
いう課題は完全に解決されるには至っていない。
【0005】本発明の課題は、加工前及び加工中のフィ
ルムの平坦性の低下がなく、かつ加工性に優れた耐熱性
の長尺ロール状フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。す
なわち、本発明は平均吸湿率が25℃60%相対湿度で
のフィルム平衡吸湿率の30〜100%であり、かつフ
ィルム内の任意の箇所で測定した吸湿率のバラツキが平
均吸湿率の±30%以内であることを特徴とする吸湿膨
張係数が3〜100ppm/%RHの耐熱性ロール状フィル
ム、及び吸湿膨張係数が3〜100ppm/%RHである耐熱
性フィルムを50〜110℃で60〜100%相対湿度
の気体と接触させて、フィルムを加湿させた後、ロール
状に捲取ることを特徴とする耐熱性ロール状フィルムの
製造法である。
【0007】本発明の耐熱性フィルムとしては、アラミ
ドフィルムやポリイミドフィルムが用いられる。本発明
で用いられるアラミドは、次の構成単位からなる群より
選択された単位より実質的に構成される。 −NH−Ar1−NH− (1) −CO−Ar2−CO− (2) −NH−Ar3−CO− (3) ここでAr1、Ar2、Ar3は少なくとも1個の芳香環
を含み、同一でも異なっていてもよく、これらの代表例
としては下記の化1が挙げられる。
【0008】
【化1】
【0009】本発明のアラミドは、これらの芳香環の環
上の水素の一部がハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、
アルコキシ基などで置換されているものも含む。また、
Xは−O−、−CH2−、−SO2−、−S−、−CO−
などである。これらのアラミドのうち、全ての芳香環の
80モル%以上がパラ位にて結合されているアラミドが
特に好ましい。
【0010】本発明に用いられるポリイミドとしては、
ポリマーの繰り返し単位の中に芳香環とイミド基をそれ
ぞれ1個以上含むものであり、下記の化2又は化3で表
されるものである。
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】化2及び化3中のAr4及びAr6は少なく
とも1個の芳香環を含み、イミド環を形成する2個のカ
ルボニル基は芳香環上の隣接する炭素原子に結合してい
る。このAr4は、芳香族テトラカルボン酸またはその
無水物に由来し、代表例としては下記の化4がある。化
4中のYは、−O−、−CO−、−CH2−、−S−、
−SO2−などである。
【0014】
【化4】
【0015】また、化3中のAr6は無水トリカルボン
酸、あるいはそのハライドに由来する。化2及び化3中
のAr5、Ar7は少なくとも1個の芳香環を含み、芳香
族ジアミン、芳香族イソシアネートに由来する。Ar5
またはAr7の代表例としては下記の化5がある。
【0016】
【化5】
【0017】Zは、−O−、−CH2−、−S−、−S
2−、−CO−などである。本発明のポリイミドは上
記一般式中の芳香環の環上の水素の一部が、ハロゲン
基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基などで置換さ
れているものも含む。また、上記ポリイミドのうち、A
5、Ar7の80%以上がパラ位に結合された芳香環で
あるポリイミドが特に好ましい。
【0018】また、本発明のアラミドフィルム又はポリ
イミドフィルムには、フィルムの物性を損ねたり、本発
明の目的に反しない限り、易滑剤、酸化防止剤、その他
の添加剤などや、他のポリマーが含まれていてもよい。
本発明の技術は、吸湿膨張係数が3〜100ppm/%RHの
範囲のフィルムに適用される。吸湿膨張係数が3ppm/%R
H未満の場合、湿度寸法変化安定性に極めて優れている
ため、もはや本発明の技術を適用する必要性が薄くな
る。一方、吸湿膨張係数が100ppm/%RHを超えるフィ
ルムは、湿度寸法安定性が実用に耐えがたいレベルにな
る。本発明の技術は、好ましくは吸湿膨張係数が5〜5
0ppm/%RHの範囲のフィルムに適用される。
【0019】本発明において、フィルムの平均吸湿率が
25℃60%相対湿度でのフィルム平衡吸湿率の30〜
100%であり、かつフィルム内の任意の箇所で測定し
た吸湿率のバラツキが平均吸湿率の±30%以内である
ことが肝要である。フィルムの平衡吸湿率は当該フィル
ムの製造方法、条件、及び環境条件などによって決まっ
てくるが、本発明においては25℃60%相対湿度での
平衡吸湿率を基準とする。
【0020】本発明において、ロール状フィルムの平均
吸湿率は25℃60%相対湿度での平衡吸湿率の30〜
100%である必要があり、好ましくは50〜100%
の平均吸湿率である。このような平均吸湿率をもってい
ることによって、加工前及び加工中の温湿度環境の変化
に対しても寸法変化率の局部的なバラツキが小さく、種
々の加工が均一に、安定して、品質良く、収率良く行え
るのである。
【0021】本発明の場合、フィルムを特定の範囲で加
湿させてあるため、メッキ加工などのように高湿度環境
下で加工されるときに好都合であることは比較的容易に
理解できるが、蒸着、スパッタリング等のように乾燥雰
囲気下で実施される加工に対しても好適なフィルムを提
供できることは吸湿率の変化が比較的大きいため意外な
効果であると言わざるを得ない。これは、多分、特定の
範囲に加湿した方が乾燥状態よりもフィルムに残留応力
等が残りにくく、このために吸湿率の変化量が大きくて
も、寸法変化率の局部的なバラツキが小さくできるとい
う作用に基づくと推定される。25℃60%相対湿度で
の平衡吸湿率の30%未満の平均吸湿率の場合、保管中
(加工前)や加工中の温湿度変化に基づく寸法変化又は
/及び寸法変化の局部的なバラツキが大きく、加工を安
定して行うことが困難になる。もちろん、用途に応じ
て、つまり加工の種類や加工時の湿度条件などに応じ
て、本発明の範囲内で最適の平均吸湿率を選ぶことは大
いに望ましいことである。
【0022】本発明において、フィルム内の任意の箇所
で測定した吸湿率のバラツキが平均吸湿率の±30%以
内であることが必要であり、望ましくは±20%以内で
ある。平均吸湿率の±30%を超える吸湿率のバラツキ
があると、ロール状フィルムにあっては捲姿が悪くなっ
たり、フィルムの平坦性の不足や特別な時には波うちが
起こることもあるからであり、更にこのようなフィルム
を蒸着・スパッタリングやメッキなどの加工に供する
と、これらの加工の温湿度環境に置いた時もフィルムの
平坦性の不足や波うちが残り、加工の均一性・収率が悪
くなるからである。
【0023】本発明のフィルムのヤング率(Mi)は7
00〜2500kg/mm2であるのが好ましい。ヤン
グ率が700kg/mm2未満のフィルムは、もはや高
剛性フィルムという範ちゅうのフィルムでなくなり、本
発明の技術要件を適用する必要性がうすくなるからであ
る。一方、2500kg/mm2を超えるアラミド又は
ポリイミドフィルムは、裂け易く且つ脆くなってもはや
フィルムとしての有用性が少なくなってしまうからであ
る。高ヤング率のフィルムは、分子構造的にパラ配向成
分を多くすること、製造時に相対的に高い延伸倍率を適
用して分子鎖を高配向化することで実現できる。
【0024】本発明は、水蒸気透過率が0.01〜50
g/m2/24hr/0.1mmの範囲にあるフィルムに好ましく適用
でき、更に好ましくは0.1〜20g/m2/24hr/0.1mmに
適用できる。このようなフィルムは水蒸気の透過速度の
かなり小さいフィルムであり、従って湿度環境の変化に
ともなうフィルムの吸湿率変化及びそれに伴う寸法変化
の追随に時間がかかるため、フィルムの吸湿率の局部的
なムラが生じ易く、フィルムの寸法変化量の局部的なバ
ラツキ及びそれに付随するフィルム平坦性の欠如を結果
し易く、このようなフィルムに本発明の技術の適用が好
都合である。水蒸気透過率の小さいフィルムは、ポリマ
ー種の選択、凝集構造緻密化のための凝固条件・熱処理
条件などの適正化によって達成できる。
【0025】本発明は、フィルムの物性がフィルム面内
の全方向に一定のいわゆるバランスタイプには勿論のこ
と、長さ方向または幅方向に強化されたテンシライズド
タイプにも適用することができる。本発明は、平均厚み
が約1〜1000μmのフィルムに適用できるが、平均
厚みに対する厚みバラツキの比が0〜5%であることが
好ましく、0〜4%であることが更に好ましい。比が5
%を超えると、ロール状に捲上げたフィルムの捲姿が悪
くなり、ロールからの解除そのものや解除後のフィルム
の加工性が悪くなるからである。
【0026】また、本発明のフィルムは伸度が15〜1
00%であることが好ましい。15%未満の伸度のフィ
ルムは脆いことがおうおうにして見られるからである。
一方伸度は一般に大きい方が望ましいが、実際的には1
00%程度が上限になる。伸度は、ポリマーの種類、重
合度や延伸配向度、結晶化度等の調整によって達成でき
る。
【0027】本発明のフィルムにおいて、フィルム厚さ
方向の吸湿膨張係数についても、0〜600ppm/%RHで
あるものが好ましく、0〜500ppm/%RHであるものが
より好ましいことが判明した。フィルム厚さ方向の吸湿
膨張係数が大きすぎると、フィルムをロール状に捲いた
時の捲姿が悪くなることがあり、その結果としてフィル
ムの平坦性の悪化や加工性の低下をきたす。吸湿膨張係
数の低減化は、ポリマー種の選択、延伸配向度・結晶化
度・ポリマー末端基の調整などにより達成できる。
【0028】本発明のフィルムとして、200℃での熱
収縮率が0〜0.5%のものが好ましい。何故なら、熱
収縮が大きいと、フィルムの加工工程等で高温履歴を受
けたとき、フィルムの平坦性などが低下することがある
からである。熱収縮率の低減化は、ポリマー種の選択、
熱セットなどによって達成できる。熱収縮率の小さいフ
ィルムは、フィルムが耐熱性をもっていることの証左の
1つでもある。
【0029】本発明のフィルムは、金属鏡面との動摩擦
係数が0.02〜0.25の範囲にあるものが好まし
く、0.02〜0.15であるものが更に好ましい。摩
擦係数が小さすぎると加工工程での取扱が不安定にな
り、逆に大きすぎると加工工程でのしわ・歪の発生や傷
つきが多くなるからである。摩擦係数の調整は、易滑剤
の添加量・種類・粒度・分散度等の選択によって達成で
きる。
【0030】本発明のフィルムは、0.8μm以上の高
さの表面の粗大突起を実質的に含有しないことが好まし
い。フィルムのこの特徴は、易滑剤の粒度・分散度の選
択によって達成できる。本発明のフィルムの製造法につ
いては、それぞれのポリマーに適した製造法が取られて
よいが、製膜後、ロール状に捲取るまでの間について、
特別の注意義務のもとに行う必要がある。
【0031】まず、アラミド樹脂については、有機溶剤
可溶のものでは直接溶剤中で重合するか、一旦ポリマー
を単離した後再溶解するなどして溶液とし、ついで乾式
法または湿式法にて製膜し、またポリパラフェニレンテ
レフタルアミド(PPTA)等の有機溶剤に難溶のもの
については濃硫酸などに溶解して溶液とし、ついで乾式
法または湿式法にて製膜する。
【0032】一方、ポリイミド樹脂については、有機溶
剤中にてテトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンを反
応させて、ポリアミド酸とし、この溶液をそのまま、又
は一旦閉環処理してポリイミドとし、再度溶剤に溶解し
て溶液を得、それらを乾式法または湿式法にて製膜す
る。乾式法では、溶液はダイから押し出され、金属ドラ
ムやエンドレスベルトなどの支持体上にキャストされ、
キャストされた溶液が自己支持性あるフィルムを形成す
るまで乾燥またはイミド化反応を進める。湿式法では、
溶液はダイから直接凝固液中に押し出すか、乾式と同様
に金属ドラムまたはエンドレスベルト上にキャストした
後、必要ならば溶剤の除去を一部行った後、凝固液中に
導き、凝固する。
【0033】ついでこれらのフィルムはフィルム中の溶
剤や無機塩などを洗浄し、延伸、乾燥、熱処理などの処
理をする。以上、何れの製膜方法に於いても、製膜後の
フィルムが、3〜100ppm/%RHのフィルム面方向の吸
湿膨張係数をもつように、ポリマー種や種々の製膜条件
を設定する必要があり、これらは、例えば、前記した公
知技術の援用で基本的に可能である。
【0034】本発明において、製膜後のフィルムをロー
ル状に捲取るまでに特別の方法を適用する必要がある。
即ち、フィルムを50〜110℃に加熱された60〜1
00%相対湿度の気体と接触させて、フィルムを加湿す
ることが肝要である。ここで、気体としては、通常、空
気が用いられるが、必要ならば窒素・アルゴン等の不活
性気体が用いられてもよい。気体の温度が50℃未満で
あると、フィルムの加湿速度が小さくなり、工業的生産
には向かなくなる。また、気体温度を高くすると、一般
に、加湿速度が大きくなって好ましいが、あまり高温に
すると加圧系にせざるを得なくなって装置が複雑化した
り、エネルギーロスが大きくなって工業的に好ましくな
くなるので、110℃以下が選ばれる。気体温度は、好
ましくは70〜105℃である。フィルムの平衡吸湿率
は、一般に、相対湿度でほぼ決まり、温度には殆ど左右
されないため、加熱気体の相対湿度は60%未満である
と必要な加湿が行われない恐れがある。一方、100%
を超えるとフィルムや加湿装置などに結露が生じること
があり好ましくない。出来るだけ高い温度及び相対湿度
で、気体状の水分子を気体からフィルムに供給すること
が重要であり、相対湿度は、好ましくは70〜100%
である。
【0035】加湿を効率的に行うために、加湿部に入る
前にフィルムを予熱したり、加湿部から出たフィルムか
らの放湿量を最小にするために急冷したり、加湿量のバ
ラツキをなくすために加湿部に気体流をつくったり、結
露防止のために保温を徹底するなどの工夫は適宜行われ
てよい。また、加湿後のフィルムの吸湿率の変化を抑制
するために、加湿部から捲取部にかけての雰囲気の温湿
度調整を行うことも好ましい態様である。
【0036】加湿時間はフィルムの種類、厚み、気体温
湿度などによって異なるが、フィルムの吸湿率が捲取時
に、25℃60%相対湿度でのフィルムの平衡吸湿率の
30〜100%になるように調整すればよい。更に、製
膜後のフィルムの保管は、通常、円筒状ボビンの上に捲
上げたロール状で行われるが、外力のかかり方が幅方向
で不均一になったり、加熱や吸湿、乾燥等が幅方向で不
均一にならないように配慮するのが望ましい。
【0037】フィルム同志の滑り性を良くしたり、ブロ
ッキング現象を防ぐため、通常はフィルムに微粒子を混
在させる方法がとられ、この微粒子を易滑剤とも称す
る。微粒子としては有機化合物及び無機化合物がある
が、通常は例えばSiO2TiO2、ZnO、Al23
CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラッ
ク、ゼオライト、その他金属粉末などの無機化合物が用
いられる。粒子径は0.001〜2μm、添加量は0.
03〜5重量%に選ばれることが多い。即ち、アラミド
樹脂またはポリイミドもしくはポリイミドの前駆体であ
るポリアミド酸の溶液中に、上記微粒子を混入し、この
溶液を製膜することにより製造する。この際、微粒子の
分散を良くするために、超音波方式や撹拌方式のホモジ
ナイザーが好ましく用いられる。
【0038】フィルムには、染料や顔料などの着色剤
や、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、その他の改質剤
についても、それが本発明の目的に反しない限り含まれ
ていてもよい。 (特性の測定法)本発明の特性値の測定法は次の通りで
ある。 (1)フィルムの厚み、強度、伸度、ヤング率の測定法 フィルムの厚みは、直径2mmの測定面を持つダイヤル
ゲージで測定する。強度、伸度、ヤング率は、定速伸長
型強伸度測定機を用い、測定長100mm、引っ張り速
度50mm/分で測定したものである。 (2)吸湿率及び吸湿率のバラツキの測定法 フィルムから10cm×10cmの試料片を切り出し、重量
を精密に測定したのち、150℃の熱風式オーブンに2
時間静置して乾燥後の重量を精密に測定して、吸湿率を
算出した。平均値及びバラツキを測るためのサンプリン
グは、ロール状フィルムの幅方向に5点以上、長さ方向
に10点以上行い、測定値の平均を平均吸湿率とし、測
定値中の最大値と最小値を選んだ。これらの差をバラツ
キとする。 (3)熱収縮率の測定法 フィルムから2cm×5cmの試料片を切り出し、4c
mの間隔に刃物で傷をつけて標識とし、予め25℃、5
5%相対湿度の雰囲気下に72時間放置した後、標識間
の距離を読み取り顕微鏡にて測定し、次いで200℃の
熱風式オーブンに2時間拘束することなく放置した後、
再度25℃、55%相対湿度の雰囲気下に72時間放置
した後、標識間の距離を読み取り顕微鏡にて測定して求
めた。 (4)フィルム面方向の吸湿膨張係数の測定法 熱力学特性測定機(TMA、真空理工株式会社製TM7
000型)に幅5mmのサンプルを取り付け、荷重0.
3g下で、一旦300℃まで昇温してサンプルの残留歪
を除去した後、乾燥窒素気流下に冷却し、23℃におい
て、乾燥窒素と空気との間の湿度変化及びフィルムの寸
法変化を測定し、計算にて求めた。 (5)水蒸気透過率の測定法 JIS Z−0208の方法によって測定した。 (6)動摩擦係数の測定法 金属鏡面として、鏡面に研磨されたステンレス製の固定
ロール(直径60mm)に、90゜の抱角になるように、
幅1cmのフィルムの一端に50gの荷重をかけ、他端を
20cm/分の速度で引っ張り、この時のフィルムの引張
張力から、オイラーの式を用いて算出した。 (7)表面の粗大突起の測定法 日本電子株式会社製走査型電子顕微鏡を用い、1000
倍で異なる部位を撮影した少なくとも10枚の写真につ
いて、0.8μm以上の高さの突起の数を調べた。
【0039】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。
【0040】
【実施例1】ポリパラフェニレンテレフタルアミド(P
PTA)を、99.8%濃硫酸に、ポリマー濃度が12
%になるように溶解し、約300μmのスリット間隔の
ダイからエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸に
は、予め0.04μmのシリカ粒子をPPTAに対し
0.3重量%となるように超音波撹拌機により分散させ
ておいた。ベルト上で加熱と同時に吸湿処理して、ドー
プを液晶相から等方相に相転換した後、0℃の45%硫
酸中にて凝固させ、中和、水洗し、長さ方向に1.05
倍の延伸を施した後クリップテンターにより1.05倍
に横延伸し次に定長状態を保ちつつ150℃で熱風乾燥
し、次いで400℃で緊張熱処理、300℃でフリー熱
処理した後、95℃に加熱した97%相対湿度の空気が
保持されている加湿チャンバー内を滞留時間が70秒に
なるように通して、ロール状に捲き上げ、ポリエチレン
製の袋にいれた。ここで、横延伸及び乾燥時にフィルム
の幅方向に5℃以上の温度むらが生じないように、また
緊張熱処理のヒータの温度分布も中央部と端部とで5℃
以上の差が出ないように工夫した。
【0041】幅500mm、長さ300mで得られたロ
ール状のPPTAフィルムは25℃60%相対湿度での
平衡吸湿率が2.9%であり、長尺方向、幅方向に物性
差は殆ど無く、表1に示す通りだった。ポリエチレン製
の袋から取り出したフィルムに、銅をスパッタリングし
た。高真空下で、スパッタリング加工を問題なく実施で
き、スパッタリングされた銅の厚みのバラツキも小さ
く、銅の亀裂などの欠点も全く観察されなかった。
【0042】
【比較例1】実施例1において、加湿チャンバーを室温
(23℃)で64%相対湿度の空気にする以外は実施例
1と全く同一にして、フィルムを捲上げて、ポリエチレ
ン製の袋に入れた。フィルムの物性を表1に示した。次
に、ロール状フィルムを袋から取り出して、実施例1と
全く同一のスパッタリングを行った。高真空下でのフィ
ルムの走行性が僅かに不安定だったこと、スパッタリン
グされた銅の厚みの薄い部分が存在したこと、銅に細か
な亀裂の存在が部分的に観察されたことが、実施例1と
の違いであった。
【0043】
【比較例2】比較例1と全く同一の条件で得たロール状
フィルムを、防塵の為の簡易包装だけにして約2ヶ月間
静置した。このフィルムの平均吸湿率は2.2%であっ
たが、吸湿率のバラツキは大きく、ロール状フィルムの
端部で吸湿率が大きく最大値2.9%を示し、ロール状
フィルムの中央部で吸湿率が小さく最小値0.9%を示
した。ロール状フィルムからの解除は、端部でいわゆる
ブロッキングが部分的に起こっていて、円滑に行うのが
困難であった。また、解除したフィルムはかなり波打っ
ていた。
【0044】
【実施例2】実施例1と全く同一の条件で得たロール状
フィルムを、比較例2と同一の条件で静置した。フィル
ムの平均吸湿率は2.5%、最大吸湿率は2.9%、最
小吸湿率は2.2%と吸湿率の平均及びバラツキともに
少し増加していたものの(平均吸湿率/平衡吸湿率=
0.86、バラツキ/平均吸湿率=0.28)、実施例
1と同様に、問題なくスパッタリング加工ができた。
【0045】
【実施例3及び比較例3】実施例1において、ダイのス
リット間隔を小さくしたこと、延伸倍率を縦横ともに
1.20に変えたこと以外は、実施例1と同一の条件で
製膜し、ロール状に捲上げる前に、80℃に加熱した6
5%相対湿度の空気が保持されている加湿チャンバー内
を滞留時間が120秒になるように通し、これを実施例
3とした。
【0046】また、比較例3として、ロール状フィルム
への捲上げ前の加湿処理を、120℃に加熱した水蒸気
を加湿チャンバー内に吹き込むことで行ったものをつく
った。飽和湿度(100%)を超える雰囲気で加湿され
た比較例3のフィルムには、小さな水滴が付着した。得
られたフィルムの物性は縦横バランスしており、表1に
示す通りであり、25℃60%相対湿度での平衡吸湿率
は2.7%であった。
【0047】袋から取り出した、500mm幅、300
m長さのロール状フィルムにエポキシ系樹脂をコーティ
ングした。その結果、実施例3のフィルムは約20μm
の厚さに均一に全面コートできたが、比較例3のフィル
ムはロールからの解除がブロッキングのためにスムーズ
でなかった上に、塗工ムラが避けられなかった。
【0048】
【実施例4】ポリパラフェニレン−2−クロロテレフタ
ルアミド(PPClTA)をポリマー濃度が13重量%
になるように溶解し、約100μmのスリット間隔のダ
イからエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸に
は、予め0.02μmの酸化チタン微粒子をPPClT
Aに対し0.2重量%となるように超音波分散機により
分散させておいた。実施例3と同様の操作を加えてフィ
ルムをつくり、捲上げ前に60℃90%相対湿度に保持
した加湿チャンバー内に50秒の滞留時間で通過させ、
ロール状に捲上げた。縦横の物性のバランスしたフィル
ムが得られた。得られたフィルムの特性を表1に示す。
なお、25℃60%相対湿度での平衡吸湿率は1.7%
であった。
【0049】袋から取り出した、500mm幅、500
m長さのロール状フィルムに、銅メッキ加工を行った。
トラブルなしに、約5μm厚さの均一なメッキができ
た。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、平坦性の良い耐熱性の
長尺ロール状フィルムが得られ、また、捲形状が良いた
めに、ロール状態からの解除性に優れ、表面処理、スリ
ッティング、コーティング、ラミネーティング等の加工
がしやすい。つまり、加工の時にフィルムが取扱い易
く、加工時のフィルム品位の低下(例えば、傷つき等)
が少なく、品質の良い高収率の加工が可能である。特
に、蒸着やスパッタリング、イオンビーム等の加工時
に、それに先だってフィルムを高真空下に置いて放湿さ
せても、フィルムの局部的な寸法変化の差が小さく平坦
性に優れているので、これらの加工を均一に出来、太陽
電池(アモルファスシリコンの蒸着またはスパッタリン
グ)、磁気メディア(磁性材料の蒸着またはスパッタリ
ング)等に有用である。更に、フィルム或いはスパッタ
リング後のフィルムにメッキ加工するとき、水中でフィ
ルムが吸湿しても、寸法変化が均一であるため、フィル
ムの平坦性が維持され、均一な厚みのメッキ層が高収率
で得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均吸湿率が25℃60%相対湿度での
    フィルム平衡吸湿率の30〜100%であり、かつフィ
    ルム内の任意の箇所で測定した吸湿率のバラツキが平均
    吸湿率の±30%以内であることを特徴とする吸湿膨張
    係数が3〜100ppm/%RHの耐熱性ロール状フィルム。
  2. 【請求項2】 吸湿膨張係数が3〜100ppm/%RHであ
    る耐熱性フィルムを50〜110℃で60〜100%相
    対湿度の気体と接触させて、フィルムを加湿させた後、
    ロール状に捲取ることを特徴とする耐熱性ロール状フィ
    ルムの製造法。
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