JPH0844263A - 電子写真装置用クリーニングブレード及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工性及び高温接着性に優れたクリーニング
ブレード及びその製造方法を提供する。 【構成】 熱硬化性ウレタンエラストマーからなるブレ
ード部材と、支持部材と、接着剤層とからなる電子写真
装置用クリーニングブレードにおいて、前記接着剤層
が、ダイマー酸ベースの化合物からなり、かつ、３次元
架橋してなるものであることを特徴とする電子写真装置
用クリーニングブレード。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、加工性及び高温接着性
に優れた電子写真装置用クリーニングブレード及びその
製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真装置は、表面に光導電体層を設
けた感光体を有しており、作動の際、上記感光体の外周
面が一様に帯電され、ついで被模写体の被模写像を介し
てその外周面を露光することにより、静電潜像を形成
し、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成
し、これを紙等に転写するものである。上記過程におい
て、転写後、感光体の外周上にはトナーが一部残留する
ので、この残留トナーを除去する必要がある。このよう
なトナーの除去は、例えば、図１、図２に示すようなク
リーニングブレードにより行われている。

【０００３】上記クリーニングブレードが長期間安定し
た性能を発揮し続けるには、クリーニングブレード先端
縁の感光体表面への接触が常時適切な圧力で均一になさ
れていることが必要であり、このためにはクリーニング
ブレード先端縁の平滑性が良好であることはもちろんの
こと、ブレード部材の支持部材への取付が高い精度で行
われ、かつ、剥離等による位置ずれ、支持部材からの浮
き上がり等が生じないように強固に固定されている必要
がある。

【０００４】上記支持部材に上記ブレード部材を固定す
る方法としては、例えば、特開昭６１−１３０９７５号
公報には接着テープによる方法、特開昭６３−２６９１
８８号公報には瞬間接着剤による方法、特公平６−５４
３９号公報及び特開昭６１−１４５５７８号公報にはホ
ットメルト接着剤による方法、実開平５−２１７１号公
報には反応性ホットメルト接着剤を用いる方法、特開平
１−１２９２８２号公報には、光開始剤を含むＵＶ接着
剤による方法等が開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接着テ
ープによる方法は、高精度の初期固定が容易に行える
が、支持部材とブレード部材との接着力が小さく、特に
高温時の接着性が充分でなく、クリーニング性に問題が
ある。また、瞬間接着剤による方法は、粘着テープの場
合と同様に高精度の初期固定が容易に行えるが、支持部
材とブレード部材との接着力が小さく、特に高温時の接
着性が充分でなく、クリーニング性に問題があるほか、
耐衝撃性、耐久性に劣る等の欠点がある。また、ホット
メルト接着剤による方法は、接着剤固有の感温特性によ
り高温時の接着力保持の点において問題が生じ、耐熱性
に優れたホットメルト接着剤を用いた場合は、かなりの
高温において接着加工を行わなければならず、ブレード
部材の寸法精度の点において問題が発生する。反応性ホ
ットメルト接着剤の場合は、ホットメルト接着剤の問題
点は解消するが、接着剤自身の取扱いが煩雑となり、ま
た最終接着力の発現に長時間を有する等の欠点がある。
ＵＶ接着剤を用いた場合は、接着剤中に含まれるラジカ
ル反応性モノマーにより、ウレタンエラストマーブレー
ド部材が膨潤する等の問題が発生する。本発明は、上記
に鑑み、加工性及び高温接着性に優れたクリーニングブ
レード及びその製造方法を提供することを目的とするも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、熱硬化
性ウレタンエラストマーからなるブレード部材と、支持
部材と、接着層とからなる電子写真装置用クリーニング
ブレードにおいて、前記接着剤層が、ダイマー酸ベース
の化合物からなり、かつ、３次元架橋してなるものであ
るところにある。

【０００７】本発明においては、ブレード部材は、上記
熱硬化性ウレタンエラストマーからなるものである。上
記ブレード部材としては、例えば、イソシアネート化合
物、高分子量ポリオール、及び、架橋剤からなり、熱硬
化反応したものが好ましい。

【０００８】上記イソシアネート化合物としては、例え
ば、ジフェニルメタンジイソシアネート（ＭＤＩ）、ト
リレンジイソシアネート（ＴＤＩ）、ナフチレンジイソ
シアネート（ＮＤＩ）、トリジンジイソシアネート（Ｔ
ＯＤＩ）等が挙げられる。

【０００９】上記高分子量ポリオールとしては、例え
ば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオ
ール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートエー
テルポリオール等が挙げられる。上記架橋剤としては、
例えば、ブタンジオール、エチレングリコール、トリメ
チロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール等が
挙げられる。

【００１０】上記支持部材としては、例えば、剛体の金
属又は弾性を有する金属、プラスチック、セラミック等
から製造されたもの等が挙げられ、通常は、無処理の鋼
板、リン酸亜鉛処理又はクロメート処理等の表面処理が
施された鋼板、その他メッキ処理が施された鋼板等から
製造されたものが用いられる。上記支持部材は、予め金
属用プライマーにより処理されてもよい。

【００１１】上記接着剤層は、ダイマー酸ベースの化合
物からなる。上記ダイマー酸ベースの化合物としては、
例えば、 （１）ダイマー酸を含むカルボン酸及びジアミンからな
るポリアミド系化合物 （２）ダイマー酸を含むカルボン酸及びグリコールから
なるポリエステル化合物 （３）上記（２）を分子鎖とするポリエステルポリオー
ル及びジイソシアネート又はジイソシアネート及びアル
コールからなるポリウレタン化合物 等が挙げられる。なかでも、ポリアミド系化合物が、加
工性及び接着性の点において好ましい。

【００１２】本発明の電子写真装置用クリーニングブレ
ードは、ダイマー酸ベースの化合物を、ブレード部材と
支持部材との間に介在させ、熱融着させた後、その接着
部に紫外線を照射させることにより製造することができ
る。

【００１３】上記ブレード部材は、例えば、遠心成形法
又は金型成形法等により得られたウレタンエラストマー
シートを所定サイズに裁断し、必要に応じて洗浄を行う
こと等により得られる。上記支持部材は、溶剤等により
脱脂処理を予め実施してもよい。

【００１４】その後、上記ブレード部材と上記支持部材
との間に、ダイマー酸ベースの化合物を介在させる。こ
の介在させる方法としては、例えば、ダイマー酸ベース
の化合物を予めフィルム状又はビート状に成型したもの
を用いる方法、ダイマー酸ベースの化合物を軟化点〜２
３０℃程度に加熱溶解させ、上記支持部材若しくは上記
ブレード部材又はその両部材の接着面にアプリケーター
又はロールコーター等により塗布する方法、ダイマー酸
ベースの化合物を溶剤等により溶解溶液化させたものを
上記支持部材若しくはブレード部材又はその両部材の接
着面に塗布する方法等が挙げられる。

【００１５】本発明においては、その後ダイマー酸ベー
スの化合物を熱融着させる。熱融着させる方法として
は、例えば、熱プレスによる方法、高周波加熱による方
法、ダイマー酸ベースの化合物を軟化点〜２３０℃程度
に溶融させ、支持部材若しくはブレード部材又はその両
部材の接着面にアプリケーター、ロールコーター等によ
り塗布した後、固化する前に両部材を貼り合わせる方法
等が挙げられる。

【００１６】本発明においては、その後接着部に紫外線
を照射する。上記紫外線を照射する接着部は、クリーニ
ングブレード長手方向のブレード部材と支持部材との貼
り合わせ両端部及びブレード部材側の接着面である。上
記紫外線を照射する方法としては、通常の紫外線ランプ
により接着部に照射すればよい。

【００１７】

【作用】本発明のクリーニングブレードは、ダイマー酸
ベースの化合物を接着剤層として用いて熱融着させるこ
とにより、短時間にて通常のホットメルト接着剤同様の
接着力を得ることができる。さらに接着部に紫外線を照
射することにより、ダイマー酸に含まれる二重結合に基
づく架橋反応が起こり、軟化点の上昇及び不溶融化によ
り、高温時においても高接着力を得ることができる。

【００１８】

【実施例】

実施例１ リン酸処理された鋼板（ボンデ鋼板）を用いて製造した
支持金具を塩化メチレンにて洗浄し、この支持金具に、
接着剤層としてダイマー酸ベースポリアミド（ヘンケル
白水社製、マクロメルト６２３８）を１９０℃に溶融さ
せ、アプリケーターにより０．１ｍｍ厚みにて塗布固化
させた。次に金具塗布面に硬度がＪＩＳ Ａで６５°の
ポリウレタンエラストマー製の厚さ２ｍｍのブレード部
材を設置させた後、加圧下で高周波誘電加熱装置（出力
３ｋＷ、周波数４０．６ＭＨｚ、印加時間３０秒）にて
加熱融着させた。その後、クリーニングブレード長手方
向の接着端部及びブレード部材側接着面にＵＶ照射装置
を用いて、出力１２０Ｗ／ｃｍ、光源からの距離１００
ｍｍとして５分間照射し、クリーニングブレードを得
た。

【００１９】評価 得られたクリーニングブレードの接着力を、９０°剥離
力として測定した（剥離速度３０ｍｍ／分）。その結果
を表１に示した。また、得られたクリーニングブレード
を、市販の乾式普通紙電子写真複写機に装着し、繰り返
して画像複写してクリーニングブレード寿命（画像に欠
点が発生する枚数）を調べた。その結果を表１に示し
た。

【００２０】実施例２ 支持金具を洗浄後、予めプライマー（フェノール系樹
脂、ロードファーイースト社製、ケムロック２１８）を
刷毛にて塗布乾燥させた以外は実施例１と同様に行い、
クリーニングブレードを得た。その結果を表１に示し
た。

【００２１】比較例１ 紫外線を照射させなかった以外は実施例１と同様に行
い、クリーニングブレードを得た。その結果を表１に示
した。 比較例２ ダイマー酸ベースの化合物の代わりにエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体（ＥＶＡ）系接着剤を用いた以外は実施例
１と同様に行い、クリーニングブレードを得た。その結
果を表１に示した。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【発明の効果】本発明のクリーニングブレードは、接着
層としてダイマー酸ベースの化合物を用い、３次元架橋
して得られるので、加工性及び高温接着性に優れ、耐久
性能が高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】電子写真装置用クリーニングブレードの概略
図。

【図２】電子写真装置用クリーニングブレードの作動状
態を表す側面図。

【符号の説明】

１ クリーニングブレード ２ 支持部材 ３ ブレード部材 ４ 接着剤層 ５ 離型剤付着面 ６ 感光体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱硬化性ウレタンエラストマーからなる
   ブレード部材と、支持部材と、接着剤層とからなる電子
   写真装置用クリーニングブレードにおいて、前記接着剤
   層が、ダイマー酸ベースの化合物からなり、かつ、３次
   元架橋してなるものであることを特徴とする電子写真装
   置用クリーニングブレード。
2. 【請求項２】 ダイマー酸ベースの化合物が、ポリアミ
   ド系のものである請求項１記載の電子写真装置用クリー
   ニングブレード。
3. 【請求項３】 ダイマー酸ベースの化合物を、ブレード
   部材と支持部材との間に介在させ、熱融着させた後、そ
   の接着部に紫外線を照射させることを特徴とする請求項
   １又は２記載の電子写真装置用クリーニングブレードの
   製造方法。