JPH0842652A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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JPH0842652A
JPH0842652A JP17922694A JP17922694A JPH0842652A JP H0842652 A JPH0842652 A JP H0842652A JP 17922694 A JP17922694 A JP 17922694A JP 17922694 A JP17922694 A JP 17922694A JP H0842652 A JPH0842652 A JP H0842652A
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JP
Japan
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pressure
ratio
primary
shift
speed
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JP17922694A
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English (en)
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Toru Ide
徹 井手
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 流量制御系の変速圧力による変速速度制御の
制御性を向上する。また油圧比制御系で無段変速機の固
体差等に対する制御性を向上する。 【構成】 プライマリ側のトルク比と変速比によりマッ
プ参照して定めた油圧比と、実際のセカンダリ圧により
必要プライマリ圧を算出する油圧比制御手段77と、目
標変速速度に応じた変速圧力を算出する流量制御手段7
8と、必要プライマリ圧に変速圧力を加減算して目標プ
ライマリ圧を算出する目標プライマリ圧算出手段95と
を備え、この目標プライマリ圧に応じた電気信号をプラ
イマリ制御弁60に出力して変速及び変速速度制御する
無段変速機の制御装置であって、流量制御手段78は、
変速に応じた実際値と目標値により目標変速速度を算出
する目標変速速度算出手段C1と、変速比に応じた係
数、プライマリ回転数に応じた係数をそれぞれ設定する
係数設定手段C2と、変速圧力を目標変速速度、2つの
係数の関数で算出する変速圧力算出手段C3とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用のベルト式無段
変速機において電子的に変速及びセカンダリ圧制御する
制御装置に関し、詳しくは、油圧比制御と流量制御によ
る変速制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の無段変速機の制御に関し
ては、例えば特開平3−181659号公報の先行技術
がある。この先行技術において、プライマリ制御弁の変
速制御系に油圧比制御系と流量制御系とを有し、油圧比
制御系はプライマリ側の入力トルクのスリップ限界トル
クに対するトルク比、トルク比と変速比に応じた油圧
比、セカンダリ圧に対してこの油圧比でバランスするの
に必要なプライマリ圧を演算して、定常状態での所定の
変速比を保つための必要プライマリ圧を算出する。また
流量制御系は、目標変速比と実変速比の偏差に基づき目
標とする変速速度、または変速比をプーリ位置に変換し
て同様に求めた場合の目標とするプーリ位置変化速度を
演算して、所定の変速速度を達成するための変速圧力を
算出する。そして必要プライマリ圧に変速圧力を加減算
して目標プライマリ圧を算出し、目標プライマリ圧に応
じた電気信号をプライマリ制御弁に出力してフィードフ
ォワードで変速制御することが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記先行技
術のものにあっては、変速速度制御する変速圧力を目標
とする変速速度の要素のみで算出しているため、以下の
ような不具合がある。即ち、ベルト式無段変速機は、エ
ンジンの動力や回転数が入力するプライマリプーリで、
プライマリ圧によりベルトを押付けつつそのベルトの巻
付け径を変化して変速制御する構成であり、プライマリ
側のベルト巻付け径が低速段で小さく、高速段で大きい
関係になる。このプライマリ側での変速制御の状態を種
々実験したところ、変速速度が一定で無いことが判明し
た。即ち、変速速度は上記機構的な要因で、変速比やプ
ライマリ回転数に大きく依存して変化することが確認さ
れた。従って、先行技術では変速速度が常に一定である
ことを前提にした場合に成立するが、変速速度が変速比
やプライマリ回転数により変動する場合は、変速圧力の
算出が不充分になる。
【0004】また油圧比制御系では、油圧比を実変速比
とトルク比によるマップ検索等で求める構成であるか
ら、無段変速機、プライマリ圧制御弁、油圧制御系等の
部品のバラツキによる固体差、経年変化を生じる場合に
対処できない。このため固体差等に対して適正な変速特
性が得られない。
【0005】本発明は、このような点に鑑み、第1の目
的は、流量制御系の変速圧力による変速速度制御の制御
性を向上することにある。第2の目的は、油圧比制御系
で無段変速機の固体差等に対する制御性を向上すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の請求項1に係る無段変速機の制御装置は、
図1に示すように、プライマリ側のトルク比と変速比に
よりマップ参照して定めた油圧比と、実際のセカンダリ
圧により必要プライマリ圧を算出する油圧比制御手段7
7と、目標変速速度に応じた変速圧力を算出する流量制
御手段78と、必要プライマリ圧に変速圧力を加減算し
て目標プライマリ圧を算出する目標プライマリ圧算出手
段95とを備え、この目標プライマリ圧に応じた電気信
号をプライマリ制御弁60に出力して変速及び変速速度
制御する無段変速機の制御装置において、流量制御手段
78は、変速に応じた実際値と目標値により目標変速速
度を算出する目標変速速度算出手段C1と、変速比に応
じた係数、プライマリ回転数に応じた係数をそれぞれ設
定する係数設定手段C2と、変速圧力を目標変速速度、
2つの係数の関数で算出する変速圧力算出手段C3とを
備えることを特徴とする。
【0007】請求項2に係る無段変速機の制御装置は、
変速比の係数が変速比に対して増大関数的に設定され、
プライマリ回転数の係数がプライマリ回転数に対して増
大関数的に設定され、これら係数により目標変速速度を
除算して変速圧力が算出されることを特徴とする。
【0008】請求項3に係る無段変速機の制御装置は、
図2に示すように、プライマリ側のトルク比と変速比に
よりマップ参照して定めた油圧比と、実際のセカンダリ
圧により必要プライマリ圧を算出する油圧比制御手段7
7と、目標変速速度に応じた変速圧力を算出する流量制
御手段78と、必要プライマリ圧に変速圧力を加減算し
て目標プライマリ圧を算出する目標プライマリ圧算出手
段95とを備え、この目標プライマリ圧に応じた電気信
号をプライマリ制御弁60に出力して変速及び変速速度
制御する無段変速機の制御装置において、油圧比制御手
段77は実際の変速状態を学習する実変速学習手段C5
が付設され、この実変速学習手段C5が前回と今回の変
速比による実変速速度、変速比とプライマリ回転数に応
じた係数により実変速圧力を算出する実変速圧力算出手
段C6と、実際のプライマリ圧と実変速圧力により実必
要プライマリ圧を算出する実必要プライマリ圧算出手段
C7と、実必要プライマリ圧と実際のセカンダリ圧によ
り実油圧比を算出して、この実油圧比により予めマップ
で設定される油圧比を更新する実油圧比算出手段C8と
を備えることを特徴とする。
【0009】
【作用】従って、本発明の請求項1にあっては、油圧比
制御手段77でトルク比、油圧比、実際のセカンダリ圧
により必要プライマリ圧を算出して、定常状態での所定
の変速比を保つように変速制御される。また流量制御手
段78で目標変速速度に応じた変速圧力を算出して、所
定の変速速度を達成するように変速速度制御される。こ
の場合に流量制御手段78の係数設定手段C2で変速比
とプライマリ回転数に応じた2つの係数が設定される。
そして変速圧力算出手段C3で変速圧力が目標変速速度
と2つの係数の関数で算出されることで、変速圧力が変
速比とプライマリ回転数の係数で適正に補正される。こ
のため変速圧力で制御される変速速度が、変速比やプラ
イマリ回転数に依存して変動することが確実に回避され
る。
【0010】請求項2にあっては、低速段側で同じ半径
変化量に対して半径比の変化が大きくて変速し易い場合
は、変速比に応じた係数により変速圧力が低下補正され
る。またプライマリ回転数が高くて変速し易いほど、プ
ライマリ回転数に応じた係数により変速圧力が同様に低
下補正される。このため低速段側やプライマリ回転数の
高い状態においては、低めの変速圧力により目標変速速
度を適確に得るように制御されて、制御性等が向上す
る。
【0011】請求項3にあっては、実変速学習手段C5
の実変速圧力算出手段C6で、前回と今回の変速比によ
る実変速速度、変速比とプライマリ回転数に応じた係数
により、実際の変速状態に則した実変速圧力が算出され
る。また実必要プライマリ圧算出手段C7で実際のプラ
イマリ圧と実変速圧力により実必要プライマリ圧が算出
され、実油圧比算出手段C8で実必要プライマリ圧と実
際のセカンダリ圧により実油圧比を逆算して、実際の変
速状態が学習される。そしてこの実油圧比により予めマ
ップで設定される油圧比を更新することで、油圧比制御
手段77の油圧比が実際の変速状態を加味したものにな
って、無段変速機5の固体差に対して適正に補正され
る。このため油圧比制御手段77と流量制御手段78に
より変速制御が常に最適に行われる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図3において、ロックアップトルコン付無段変速
機の駆動系と、油圧制御系の概略について説明する。符
号1はエンジンであり、このエンジン1のクランク軸2
がトルクコンバータ装置3、前後進切換装置4、無段変
速機5及びディファレンシャル装置6に順次伝動構成さ
れる。
【0013】トルクコンバータ装置3は、クランク軸2
がドライブプレート10を介してコンバータカバー11
及びトルクコンバータ12のポンプインペラ12aに連
結する。トルクコンバータ12のタービンランナ12b
はタービン軸13に連結し、ステータ12cはワンウエ
イクラッチ14により案内されている。タービンランナ
12bと一体的なロックアップクラッチ15は、ドライ
ブプレート10に係合または解放可能に設置され、エン
ジン動力をトルクコンバータ12またはロックアップク
ラッチ15を介して伝達する。
【0014】前後進切換装置4は、ダブルピニオン式プ
ラネタリギヤ16を有し、サンギヤ16aにタービン軸
13が入力し、キャリア16bからプライマリ軸20へ
出力する。そしてサンギヤ16aとリングギヤ16cと
の間にフォワードクラッチ17を、リングギヤ16cと
ケースとの間にリバースブレーキ18を有し、フォーワ
ードクラッチ17の係合でプラネタリギヤ16を一体化
してタービン軸13とプライマリ軸20とを直結する。
またリバースブレーキ18の係合でプライマリ軸20に
逆転した動力を出力し、フォワードクラッチ17とリバ
ースブレーキ18の解放でプラネタリギヤ16をフリー
にする。
【0015】無段変速機5は、プライマリ軸20に油圧
シリンダ21を有するプーリ間隔可変式のプライマリプ
ーリ22が、セカンダリ軸23にも同様に油圧シリンダ
24を有するセカンダリプーリ25が設けられ、プライ
マリプーリ22とセカンダリプーリ25との間に駆動ベ
ルト26が巻付けられる。ここで、プライマリシリンダ
21の方が受圧面積が大きく設定され、そのプライマリ
圧により駆動ベルト26のプライマリプーリ22とセカ
ンダリプーリ25に対する巻付け径の比率を変えて無段
変速するようになっている。
【0016】ディファレンシャル装置6は、セカンダリ
軸23に一対のリダクションギヤ27を介して出力軸2
8が連結し、この出力軸28のドライブギヤ29がファ
イナルギヤ30に噛合う。そしてファイナルギヤ30の
差動装置31が、車軸32を介して左右の車輪33に、
駆動力を伝達するように連結している。
【0017】一方、無段変速機制御用の油圧源を得るた
め、トルクコンバータ12に隣接してメインオイルポン
プ34が配設され、このメインオイルポンプ34がポン
プドライブ軸35によりコンバータカバー11に連結し
て、常にエンジン動力によりポンプ駆動して油圧を生じ
るようになっている。ここで無段変速機4では、油圧が
高低の広範囲に制御されることから、オイルポンプ34
は例えばローラベーン式で吸入、吐出ポートを複数組有
して可変容量型に構成されている。
【0018】次いで、油圧制御系として無段変速機制御
系について説明する。先ず、オイルパン40と連通する
オイルポンプ34からの油路41がセカンダリ制御弁5
0に連通して所定のセカンダリ圧Psが生じており、こ
のセカンダリ圧Psが油路42によりセカンダリシリン
ダ24に常に供給される。セカンダリ圧Psは油路43
を介してプライマリ制御弁60に導かれ、油路44によ
りプライマリシリンダ21に給排油してプライマリ圧P
pが生じるように構成される。
【0019】セカンダリ制御弁50は、比例電磁リリー
フ弁式であり、比例ソレノイド51に制御ユニット70
によりソレノイド電流Isが供給される。すると、ソレ
ノイド電流Isによる電磁力、セカンダリ圧Psの油圧
反力及びスプリング力をスプール上で対向して作用し、
これらがバランスするように調圧する。即ち、ソレノイ
ド電流Isにより設定圧を可変にし、ソレノイド電流I
sに対し1対1の比例関係でセカンダリ圧Psを制御す
るものである。
【0020】プライマリ制御弁60は、比例電磁減圧弁
式であり、セカンダリ制御弁50と同様に比例ソレノイ
ド61に制御ユニット70によりソレノイド電流Ipが
供給される。すると、ソレノイド電流Ipによる電磁
力、プライマリ圧Ppの油圧反力及びスプリング力をス
プール上で対向して作用し、ソレノイド電流Ipにより
設定圧を可変にして、ソレノイド電流Ipに対し1対1
の比例関係でプライマリ圧Ppを制御するものである。
【0021】なお、オイルポンプ34は可変容量型であ
り、セカンダリ制御弁50のドレン側の油路45には常
に比較的高い潤滑圧が生じる。そこでこの潤滑圧が、ト
ルクコンバータ12、前後進切換装置4、ベルト24の
潤滑部等に供給されるように回路構成されている。
【0022】図4において、電子制御系について説明す
る。先ず、プライマリ回転数Npを検出するプライマリ
回転数センサ71、セカンダリ回転数Nsを検出するセ
カンダリ回転数センサ72、エンジン回転数Neを検出
するエンジン回転数センサ73、スロットル開度θを検
出するスロットル開度センサ74を有する。また油圧回
路での実際のセカンダリ圧Psを計測するセカンダリ圧
力センサ75を有する。
【0023】セカンダリ圧制御系について説明すると、
スロットル開度θとエンジン回転数Neが入力する入力
トルク算出部79を有し、θ−Neのトルク特性により
エンジントルクTeを推定する。そしてエンジントルク
Te、トルク増幅率t、慣性力giによりCVT入力ト
ルクTiを、以下のように算出する。 Ti=Te・t−gi
【0024】一方、変速比iが入力する必要セカンダリ
圧設定部80を有する。ここで、各変速比i毎に単位ト
ルク伝達に必要なスリップ限界のセカンダリ圧Psuが
図5(a)のように設定されており、このマップにより
変速比iに応じた必要セカンダリ圧Psuを定める。そ
して入力トルクTi、必要セカンダリ圧Psuは目標セ
カンダリ圧算出部81に入力し、これら入力トルクT
i、必要セカンダリ圧Psu、セカンダリ回転数Nsに
より、セカンダリシリンダ24の部分の遠心油圧gsを
考慮して目標セカンダリ圧Pssを、以下のように算出
する。 Pss=Ti・Psu−gs+Pm ここでPmは、変速比iの関数としてPm=f (i)で
表わされる補正項で、マージンと呼ばれるものである。
【0025】目標セカンダリ圧Pssは更にソレノイド
電流設定部82に入力し、目標セカンダリ圧Pssに応
じたソレノイド電流Isを定めるのである。この場合
に、セカンダリ制御弁50が既に述べたようにソレノイ
ド電流Isに対し比例関係でセカンダリ圧を制御する特
性であるから、これに応じた図5(b)のマップにより
目標セカンダリ圧Pssに対するソレノイド電流Isを
比例的に求める。そしてこのソレノイド電流Isが、駆
動部83を介してセカンダリ制御弁50の比例ソレノイ
ド51に供給されるのであり、こうしてソレノイド電流
Isにより、直接セカンダリ圧Psを目標セカンダリ圧
Pssに追従して制御するようになっている。
【0026】続いて、変速制御系について説明すると、
定常状態の所定の変速比を保つ油圧比制御手段77と、
所定の変速速度を達成する流量制御手段78とを有して
いる。ここでプライマリ側での変速制御の変速速度に関
して実験した結果について説明すると、変速速度Δiは
変速比i、プライマリ回転数Np、今回のプライマリ圧
の値Pp1と今回の変速比を保つのに必要な値Pp2の
圧力差ΔPpの関数となり、以下のように表わされるこ
とが判明した。 Δi=f(ΔPp,i,Np),ΔPp=Pp1−Pp
【0027】更に、具体的に説明すると、変速比が低速
段ほど、プライマリ回転数が高いほど変速し易くて変速
速度が大きくなることが解った。即ち、圧力差ΔPp
が、変速速度Δi、変速比の関数f(i)による係数K
i、プライマリ回転数の関数f(Np)による係数Kn
で示されて、次式が成立した。 ΔPp=Δi/(Ki・Kn)
【0028】ここで係数Kiは、図6(a)のように変
速比iに対して増大関数的に設定される。係数Knは、
同図(b)のようにプライマリ回転数Npに対して増大
関数的に設定される。これにより今回の変速比を保つの
に必要なプライマリ圧Pp2は、低速段や高いプライマ
リ回転数で変速速度の大きい場合には低く補正されて、
そのプライマリ圧Pp2により所望の変速速度を得るこ
とが可能となる。
【0029】次に、上述の変速速度の特性を変速制御に
使用する場合について説明する。先ず、変速制御の流量
制御手段78は、変速速度それ自体を制御するものであ
るから、変速比やプーリ位置の目標値と実際値の偏差に
基づいて目標変速速度Δidを算出する。そして目標変
速速度Δid、変速比iとプライマリ回転数Npの係数
Ki,Knにより直接変速圧力ΔPpを算出すること
で、変速速度制御にそのまま適応できる。
【0030】また無段変速機5の固体差による制御性の
ずれは、Ki、Knの固体差は極く小さいので主として
定常状態の所定の変速比を得る油圧比制御手段77にお
いて、一律に同一の油圧比マップを使用することに原因
がある。これに対処するには、油圧比制御手段77での
実際の変速状態を学習して、この学習に基づき油圧比マ
ップを修正すれば良い。この変速学習制御では、上述の
変速速度の特性を用い、前回と今回の変速比i1,i2
により実変速速度Δipを算出し、この実変速速度Δi
pと係数Ki,Knとにより実変速圧力ΔPpiを算出
する。そして実変速圧力ΔPpiと計測した実際のプラ
イマリ圧Ppにより実必要プライマリ圧Ppiを算出
し、この実必要プライマリ圧Ppiとセカンダリ圧Ps
により実油圧比Kpiを算出して、マップの値を更新す
る。これにより油圧比制御手段77にも適応して、無段
変速機5の固体差等に対処できる。
【0031】そこで変速制御系として、変速速度の特性
を変速速度制御に適応した場合について説明する。油圧
比制御手段77について説明すると、プライマリ回転数
Npとセカンダリ回転数Nsが入力する実変速比算出部
85を有し、変速比iをi=Np/Nsにより算出す
る。また入力トルクTi、必要セカンダリ圧Psu及び
実際のセカンダリ圧Psがトルク比算出部86に入力す
る。ここで入力トルクTiと変速比iとの関係に対し、
今のセカンダリ圧Psで伝達できる最大トルク(Ps/
Psu)と、今の入力トルクTiのトルク比Ktを、K
t=Ti/(Ps/Psu)により算出する。
【0032】このトルク比Ktと変速比iは油圧比設定
部87に入力する。ここで定常時の変速比iはセカンダ
リ圧Psとプライマリ圧Ppとの油圧比で決まるため、
油圧比Kp(Pp/ Ps)は変速比iの関数となる。ま
た今のトルク伝達状態から、油圧比Kpはトルク比Kt
の関数となり、Kp=f (i、Kt)が成立する。そこ
で変速比iとトルク比Ktとにより油圧比Kpは、図5
(c)のように、セカンダリ圧Psとは無関係に相似形
の特性で得られ、このマップにより油圧比Kpを求め
る。油圧比Kp、セカンダリ圧Psは必要プライマリ圧
算出部88に入力し、セカンダリ圧Psに対してこの油
圧比Kpでバランスするための必要プライマリ圧Ppd
を、プライマリ回転数Npによるプライマリシリンダ2
1の部分の遠心油圧gpを考慮して、以下のように算出
する。 Ppd=Kp・Ps−gp
【0033】次いで、流量制御手段78について説明す
ると、変速比i、スロットル開度θが入力する目標プラ
イマリ回転数検索部89を有し、i−θの関係で目標プ
ライマリ回転数Npdを定める。目標プライマリ回転数
Npd、セカンダリ回転数Nsは目標変速比算出部90
に入力し、目標変速比isをis=Npd/Nsにより
算出するのであり、こうして変速パターンをベースとし
て各運転及び走行条件に応じた目標変速比isが求めら
れる。そして変速比iと目標変速比isは目標変速速度
算出部91に入力し、目標変速速度Δidを両者の偏差
に基づいて以下のように算出する。 Δid=f(i−is)
【0034】また変速比iとプライマリ回転数Npは係
数設定部92に入力し、図6のマップを参照して変速比
iに応じた係数Kiと、プライマリ回転数Npに応じた
係数Knとを設定する。これら目標変速速度Δidと係
数Ki,Knは変速圧力算出部94に入力して、変速圧
力ΔPpを以下のように算出する。 ΔPp=Δid/(Ki・Kn)
【0035】そして油圧比制御手段77の必要プライマ
リ圧Ppdと、流量制御手段78の変速圧力ΔPpとは
目標プライマリ圧算出部95に入力して、目標プライマ
リ圧Ppsを、アップシフト時にはPps=Ppd+Δ
Ppにより、ダウンシフト時はPps=Ppd−ΔPp
により算出する。目標プライマリ圧Ppsは更にソレノ
イド電流設定部96に入力して、目標プライマリ圧Pp
sに応じたソレノイド電流Ipを定める。この場合に、
プライマリ制御弁60が既に述べたようにソレノイド電
流Ipに対し比例関係でプライマリ圧を制御する特性で
あるから、これに応じた図5(b)のマップで目標プラ
イマリ圧Ppsに対するソレノイド電流Ipを求める。
そしてこのソレノイド電流Ipが、駆動部97を介して
プライマリ制御弁60の比例ソレノイド61に供給さ
れ、フィードフォワードで変速制御するようになってい
る。
【0036】次に、この実施例の作用と制御について説
明する。先ず、エンジン1の運転によりトルクコンバー
タ12のコンバータカバー11、リヤドライブ軸35に
よりオイルポンプ34が駆動して油圧を生じ、この油圧
がセカンダリ制御弁50とプライマリ制御弁60に導か
れる。そこで停車時には、プライマリ制御弁60はプラ
イマリシリンダへの油路をドレンしているのでセカンダ
リ制御弁50によるセカンダリ圧Psのすべてがセカン
ダリシリンダ24にのみ供給され、無段変速機5はベル
ト26が最もセカンダリプーリ25の方に移行した最大
変速比LOW(例えば2.5)の低速段になる。
【0037】このとき図示しない油圧制御系によりロッ
クアップクラッチ15を解放してトルクコンバータ12
に給油される。そこで例えばドライブレンジにシフトす
ると、前後進切換装置4のフォワードクラッチ17が給
油により係合して前進位置になる。このためエンジン1
の動力がトルクコンバータ12、前後進切換装置4を介
して無段変速機5のプライマリ軸20に入力し、プライ
マリプーリ22、セカンダリプーリ25とベルト26と
により最大変速比の動力がセカンダリ軸23に出力し、
この変速動力がディファレンシャル装置6を介して車輪
33に伝達して走り始める。
【0038】この場合のセカンダリ圧制御を、図7のフ
ローチャートを用いて説明する。先ず、ステップS1で
変速比iをプライマリ回転数Npとセカンダリ回転数N
sにより算出し、ステップS2でエンジントルクTeを
エンジン回転数Neとスロットル開度θによりマップ参
照して求める。その後ステップS3に進んで入力トルク
Tiを、エンジントルクTe、トルク増幅率t、慣性力
giにより算出し、ステップS4で変速比iに応じた必
要セカンダリ圧Psuをマップ参照して定める。そして
ステップS5で目標セカンダリ圧Pssを入力トルクT
i、必要セカンダリ圧Psu、遠心油圧gs、マージン
Pmにより算出し、ステップS6で目標セカンダリ圧P
ssに応じたソレノイド電流Isを出力する。
【0039】そこでアクセル踏込みの発進時には、エン
ジントルクTe等により入力トルクTiが大きくなり、
更に必要セカンダリ圧Psuも大きいことで、目標セカ
ンダリ圧Pssが大きい値になる。そして目標セカンダ
リ圧Pssに応じた低いソレノイド電流Isがセカンダ
リ制御弁50の比例ソレノイド51に流れ、セカンダリ
圧Psが高く制御される。
【0040】そして発進後に変速制御され、ロックアッ
プクラッチ15が係合し、変速比iに応じて必要セカン
ダリ圧Psuが減じ、車速上昇に伴いエンジントルクT
eが低下操作されると、目標セカンダリ圧Pssは急激
に小さくなる。このためソレノイド電流Isは急増して
セカンダリ制御弁50の設定圧は順次小さくなり、セカ
ンダリ圧Psが低下制御される。このセカンダリ圧Ps
の特性をまとめて示すと、図9(a)のように高速段側
に変速されて変速比iが小さくなるのに応じて減圧制御
され、常に伝達トルクに対しベルトスリップしない最小
限のプーリ押付力を確保するように最適制御される。
【0041】上記セカンダリ圧Psはプライマリ制御弁
60に導かれてプライマリ圧Ppを生じ、このプライマ
リ圧Ppをプライマリシリンダ21に供給して変速制御
するのであり、この変速制御を図8のフローチャートを
用いて説明する。先ず、ステップS11でセカンダリ圧
制御による変速比i、必要セカンダリ圧Psu、入力ト
ルクTi、計測した実際のセカンダリ圧Ps、プライマ
リ回転数Npを読込む。その後ステップS12に進み油
圧比制御手段77として、トルク比Ktを必要セカンダ
リ圧Psu、入力トルクTi、計測したセカンダリ圧P
sにより算出し、ステップS13で油圧比Kpを変速比
iとトルク比Ktによりマップ参照して求める。そして
ステップS14で計測したセカンダリ圧Psに対してこ
の油圧比Kpでバランスする必要プライマリ圧Ppd
を、遠心油圧gpを加味して算出する。
【0042】続いて、流量制御手段78として、ステッ
プS15で目標プライマリ回転数Npdを変速比iとス
ロットル開度θによりマップ参照して求め、ステップS
16で目標変速比isを目標プライマリ回転数Npdと
セカンダリ回転数Nsにより算出する。その後ステップ
S17に進んで目標変速速度Δidを変速比iと目標変
速比isの偏差に基づいて算出し、ステップS18で変
速比iに応じた係数Ki、プライマリ回転数Npに応じ
た係数Knをマップ参照して定め、ステップS19で変
速圧力ΔPpを目標変速速度Δidと係数Ki,Knに
より算出する。そしてステップS20で目標プライマリ
圧Ppsを必要プライマリ圧Ppdと変速圧力ΔPpに
より算出し、ステップS21で目標プライマリ圧Pps
に応じたソレノイド電流Ipを出力する。
【0043】そこで最大変速比LOWの発進時には、油
圧比制御手段77によりプライマリ制御弁60が最も減
圧作用してプライマリ圧Ppが最低レベルになる。そし
て運転及び走行条件によりis<2. 5の変速開始条件
が成立して、目標変速比isが順次小さく設定される
と、変速比iと目標変速比isの偏差に基づく目標変速
速度Δidが大きくなり、この目標変速速度Δidと係
数Ki,Knによる変速圧力ΔPpが必要プライマリ圧
Ppdに加算されて、目標プライマリ圧Ppsを増加す
る。このためソレノイド電流Ipは徐々に減じて、プラ
イマリ制御弁60の比例ソレノイド61によりプライマ
リ圧Ppが順次高く制御される。そこでベルト26はプ
ライマリ圧Ppによる押圧で、プライマリプーリ22に
対する巻付け径を増すように移行し、変速比iの小さい
高速段に徐々にアップシフトする。
【0044】このとき目標変速比isに対し変速比iが
オーバシュートしないように追従制御するが、定常走行
での目標変速速度Δidは、図10のように発進直後の
低速段側で大きく変化し、高速段側では小さく変化する
ように算出される。このため変速圧力ΔPpも同様の値
になって、変速比iが図示のように最初大きい変速速度
でアップシフトし、その後小さい変速速度で滑らかにア
ップシフトするように変速速度制御される。
【0045】また図示のようにトルク比Ktは略一定で
あるが、変速制御により変速比iが小さくなるのに伴い
油圧比Kpが順次増大して、セカンダリ圧Psに対する
必要プライマリ圧Ppdの割合を増大する。このため目
標プライマリ圧Ppsも徐々に増してプライマリ圧Pp
のレベルを増大保持するのであり、こうして変速比iが
徐々に減じる際に油圧比制御手段77でその変速比iを
保つように制御される。また入力トルクTiが例えば増
大すると、トルク比Ktと共に油圧比Kpの値も大きく
なってプライマリ圧Ppが増大補正され、このため入力
トルクTiの増大によるダウンシフトを防止するように
修正される。
【0046】そして変速比iが最小変速比OD(例えば
0. 5)に達して、目標プライマリ圧Ppsが最も高く
算出されると、ソレノイド電流Ipは最も小さくなって
プライマリ制御弁60によりプライマリ圧Ppは最大に
制御される。これ以降は油圧比制御手段77の必要プラ
イマリ圧Ppdによりプライマリ圧Ppは最も高い状態
に保持されて最小変速比ODを保つ。
【0047】アクセル踏込み、車速低下により目標変速
比isの値が逆に大きくなると、変速圧力ΔPpの減算
により目標プライマリ圧Ppsは低くなる。このためソ
レノイド電流Ipは逆に増加して、プライマリ制御弁6
0の減圧によりプライマリ圧Ppが低レベルに制御され
るのであり、これによりベルト26は再びセカンダリプ
ーリ25の方に移行してダウンシフトする。このダウン
シフトの場合も、変速比iの増大に応じ油圧比制御手段
77の油圧比Kp、必要プライマリ圧Ppdが順次低下
して、この変速比iを保つように制御される。こうして
図9(b)のように最大変速比LOWと最小変速比OD
の変速全域で、油圧比制御手段77と流量制御手段78
とによりプライマリ圧Ppを変化して、無段階に変速及
び変速速度が制御される。
【0048】一方、変速圧力ΔPpによる変速速度制御
においては、その変速圧力ΔPpが変速比iによる係数
Kiと、プライマリ回転数Npによる係数Knで目標変
速速度Δidを除算して補正される。そこで低速段側で
変速し易い場合は、図6(a)のマップによる係数Ki
の大きい値により変速圧力ΔPpが低下補正される。こ
のため低めの変速圧力ΔPpにより低速段側の変速制御
において変速速度が必要以上に増大することが抑えられ
て、所望の目標変速速度Δidを適確に得るように制御
される。
【0049】またプライマリ回転数Npが高くて変速し
易いほど、図6(b)のマップで係数Knの値が大きく
なって、変速圧力ΔPpが同様に低下補正される。この
ためプライマリ回転数Npの高い状態で変速する場合に
おいても、低めの変速圧力ΔPpにより目標変速速度Δ
idを適確に得るように制御される。こうして無段変速
機5の機構的な要因で、変速比iやプライマリ回転数N
pに依存して変速速度が変動することが回避され、常に
最適な変速特性が得られる。
【0050】図11において、変速速度の特性を無段変
速機5の固体差の補正に適応した場合の実施例について
説明する。この種のベルト式無段変速機5は、油圧比制
御手段77で定常状態の所定の変速比を保つための必要
プライマリ圧Ppdを、油圧比Kpでセカンダリ圧Ps
とバランスして求め、この必要プライマリ圧Ppdをベ
ースとして変速制御するようになっている。この場合に
無段変速機5が、同じ仕様のベルト、プーリと、同一の
油圧比マップの組合わせで大量生産されても、両者の固
体差により無段変速機毎に変速制御性が多少異なること
がある。この原因は、主として変速制御のベースの上記
油圧比Kpが不適正であることが考えられ、油圧比マッ
プが不適正な場合は流量制御手段78で所望の変速速度
を得ることもできなくなって、両者による変速及び変速
速度制御の効果が大きく減じられる。従って、無段変速
機5の固体差を補正するには、主たる原因の油圧比マッ
プを適正なものに更新すれば良い。
【0051】そこでこの実施例では、油圧比制御手段7
7の油圧比設定部87に、上述の変速速度の特性を利用
して実際の変速状態を学習する実変速学習手段100が
付与される。実変速学習手段100は、変速比iとプラ
イマリ回転数Npが入力する実変速圧力算出部101を
有し、変速速度の特性の式を用いて実際の変速制御での
実変速圧力ΔPpiを算出する。即ち、先ず今回の変速
比i2から前回の変速比i1を減算して実変速速度Δi
pを算出する。また変速比iに応じた係数Kiと、プラ
イマリ回転数Npに応じた係数Knとを求め、これら実
変速速度Δipと係数Ki,Knとにより実変速圧力Δ
Ppiを、以下のように算出する。 ΔPpi=Δip/(Ki・Kn)
【0052】また実際のプライマリ圧Ppを計測するプ
ライマリ圧力センサ76を有し、このセンサ76の実際
のプライマリ圧Ppと実変速圧力ΔPpiが実必要プラ
イマリ圧算出部102に入力する。そして実際のプライ
マリ圧Ppに実変速圧力ΔPpiを加減算して実必要プ
ライマリ圧Ppiを、Ppi=Pp±ΔPpiにより算
出する。こうして実必要プライマリ圧Ppiが求まる
と、この実必要プライマリ圧Ppiと実際のセカンダリ
圧Psにより油圧比制御手段77の場合と逆にして実際
の油圧比Kpiを算出することができる。このため実必
要プライマリ圧Ppiとセカンダリ圧Psは実油圧比算
出部103に入力して、実際の実油圧比Kpiを、Kp
i=Ppi/Psにより算出するのであり、この実油圧
比Kpiにより実際の変速状態が学習できたことにな
る。なお、係数Ki、Knの固体差は極く小さいので無
視できる。
【0053】そこで実油圧比Kpiと油圧比設定部87
に予めマップで設定される油圧比Kpを比較して修正す
ることで、固体差を補正できる。このため実油圧比Kp
iとマップの油圧比Kpが入力するマップ書換部104
を有し、両者の加重平均によりマップ書換値Kprw
を、以下のように算出する。 Kprw=α・Kp+β・Kpi,(α+β=1) そして図12のように、油圧比設定部87のマップMに
おいて変速比iとトルク比Ktで区画されるマトリック
スの対応する箇所の油圧比Kpを、マップ書換値Kpr
wで書き換えるようになっている。尚、油圧比制御手段
77と流量制御手段78の構成は、図4と同様であり、
同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】次に、この実施例の実際の変速状態の学習
による固体差補正制御を、図13のフローチャートを用
いて説明する。先ず、ステップS31で変速比i、プラ
イマリ回転数Np、計測したセカンダリ圧Psとプライ
マリ圧Ppを読込む。そしてステップS32に進んで前
回と今回の変速比i1,i2により実変速速度Δipを
算出し、ステップS33で変速比iにより係数Kiをマ
ップ参照して定め、ステップS34でプライマリ回転数
Npによる係数Knをマップ参照して定め、ステップS
35で実変速速度Δipと係数Ki,Knにより実変速
圧力ΔPpiを算出する。これにより現在の実際の変速
状態に則した変速圧力が推定される。
【0055】その後ステップS36に進んで実際のプラ
イマリ圧Ppと実変速圧力ΔPpiにより実必要プライ
マリ圧Ppiを算出し、ステップS37で実必要プライ
マリ圧Ppiと実際のセカンダリ圧Psにより実油圧比
Kpiを算出するのであり、これにより現在のセカンダ
リ圧Psで上記変速圧力を得るのに必要な実油圧比Kp
iが逆算されて、実際の変速状態の学習が終了する。
【0056】そしてステップS38でマップ書換値Kp
rwを実油圧比Kpiと予めマップで設定される油圧比
Kpの加重平均で算出することで、このマップ書換値K
prwが予め設定される油圧比Kpに実際の変速状態に
よる実油圧比Kpiを加味して固体差が補正されたもの
になる。その後ステップS39でこのマップ書換値Kp
rwで油圧比マップMの値を書き換えることで、油圧比
設定部87のマップMが固体差を補正した適正な油圧比
Kprwに更新される。
【0057】そこで変速制御においては、油圧比制御手
段77でこの適正な油圧比Kprwを検索して必要プラ
イマリ圧Ppdが算出され、この必要プライマリ圧Pp
dに基づいて定常状態の所定の変速比iを常に適正に保
つように変速制御される。この結果変速制御のライン
が、無段変速機5の固体差により図14の一点鎖線のよ
うにずれている場合に、この変速ラインは実線の最適な
ものに補正される。このため流量制御手段78による変
速速度の制御も、この最適な変速ラインを前提として適
正に行われる。
【0058】以上、本発明の実施例について説明した
が、流量制御手段においては先行技術のように変速比を
プーリ位置に変換して演算する場合にも同様に適応でき
る。図11の実施例でのマップ書き換えの場合は、プラ
イマリ圧が設定値以上、変速速度の絶対値が設定値以
下、変速比が所定の範囲内、マップ値と更新値の差が設
定値以上等の条件を付加することもできる。書き換える
領域は全域以外に特定の領域に制限することもでき、マ
ップ書換値は加重平均以外の方法で算出しても良い。
【0059】変速速度の特性を利用した実際の変速状態
の学習は、油温等により変速制御が変動する場合の補正
や、それ以外の種々の補正に適応できる。
【0060】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の請求項
1に係る無段変速機の制御装置では、流量制御手段と油
圧比制御手段を備えた変速制御系において、流量制御手
段は、変速に応じた実際値と目標値により目標変速速度
を算出する目標変速速度算出手段と、変速比に応じた係
数、プライマリ回転数に応じた係数をそれぞれ設定する
係数設定手段と、変速圧力を目標変速速度、2つの係数
の関数で算出する変速圧力算出手段とを備える構成であ
るから、変速圧力による変速速度制御の場合に変速比や
プライマリ回転数に依存して変速速度が変動することを
確実に防止することができ、制御性が向上する。
【0061】請求項2に係る無段変速機の制御装置で
は、変速比の係数が変速比に対して増大関数的に設定さ
れ、プライマリ回転数の係数がプライマリ回転数に対し
て増大関数的に設定され、これら係数により目標変速速
度を除算して変速圧力が算出されるので、低速段側やプ
ライマリ回転数の高い状態で、変速速度が必要以上に大
きくなることを適確に防止することができる。また制御
も容易である。
【0062】請求項3に係る無段変速機の制御装置で
は、流量制御手段と油圧比制御手段を備えた変速制御系
において、油圧比制御手段は実際の変速状態を学習する
実変速学習手段が付設され、この実変速学習手段が前回
と今回の変速比による実変速速度、変速比とプライマリ
回転数に応じた係数により実変速圧力を算出する実変速
圧力算出手段と、実際のプライマリ圧と実変速圧力によ
り実必要プライマリ圧を算出する実必要プライマリ圧算
出手段と、実必要プライマリ圧と実際のセカンダリ圧に
より実油圧比を算出して、この実油圧比により予めマッ
プで設定される油圧比を更新する実油圧比算出手段とを
備える構成であるから、実際の変速状態を確実に学習で
きる。またマップの油圧比を、変速学習による実油圧比
で更新するため、無段変速機の固体差を適正に補正し
て、常に最適に変速制御することができる。そこで大量
生産される個々の無段変速機の変速制御の精度が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無段変速機の制御装置の構成を示
すクレーム対応図である。
【図2】本発明に係る無段変速機の制御装置の他の構成
を示すクレーム対応図である。
【図3】無段変速機の制御装置の実施例の全体の構成を
示す説明図である。
【図4】制御系の機能ブック図である。
【図5】プライマリ圧とセカンダリ圧の特性、必要セカ
ンダリ圧の特性、油圧比の特性を示す線図である。
【図6】変速比の係数、プライマリ回転数の係数の特性
を示す線図である。
【図7】セカンダリ圧制御のフローチャートである。
【図8】プライマリ圧制御のフローチャートである。
【図9】セカンダリ圧制御、変速制御の状態を示す線図
である。
【図10】変速速度制御の状態を示す線図である。
【図11】無段変速機の制御装置の他の実施例の制御系
の要部の機能ブロック図である。
【図12】油圧比マップを示す図である。
【図13】無段変速機の固体差補正制御のフローチャー
トである。
【図14】固体差補正状態を示す線図である。
【符号の説明】
5 無段変速機 60 プライマリ制御弁 77 油圧比制御手段 78 流量制御手段 95 目標プライマリ圧算出手段 C1 目標変速速度算出手段 C2 係数設定手段 C3 変速圧力算出手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プライマリ側のトルク比と変速比により
    マップ参照して定めた油圧比と、実際のセカンダリ圧に
    より必要プライマリ圧を算出する油圧比制御手段と、目
    標変速速度に応じた変速圧力を算出する流量制御手段
    と、必要プライマリ圧に変速圧力を加減算して目標プラ
    イマリ圧を算出する目標プライマリ圧算出手段とを備
    え、この目標プライマリ圧に応じた電気信号をプライマ
    リ制御弁に出力して変速及び変速速度制御する無段変速
    機の制御装置において、 流量制御手段は、変速に応じた実際値と目標値により目
    標変速速度を算出する目標変速速度算出手段と、変速比
    に応じた係数とプライマリ回転数に応じた係数とをそれ
    ぞれ設定する係数設定手段と、変速圧力を目標変速速
    度、2つの係数の関数で偏祖間圧力を算出する変速圧力
    算出手段とを備えることを特徴とする無段変速機の制御
    装置。
  2. 【請求項2】 変速比の係数が変速比に対して増大関数
    的に設定され、プライマリ回転数の係数がプライマリ回
    転数に対して増大関数的に設定され、これら係数により
    目標変速速度を除算して変速圧力が算出されることを特
    徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 プライマリ側のトルク比と変速比により
    マップ参照して定めた油圧比と、実際のセカンダリ圧に
    より必要プライマリ圧を算出する油圧比制御手段と、目
    標変速速度に応じた変速圧力を算出する流量制御手段
    と、必要プライマリ圧に変速圧力を加減算して目標プラ
    イマリ圧を算出する目標プライマリ圧算出手段とを備
    え、この目標プライマリ圧に応じた電気信号をプライマ
    リ制御弁に出力して変速及び変速速度制御する無段変速
    機の制御装置において、 油圧比制御手段は実際の変速状態を学習する実変速学習
    手段が付設され、この実変速学習手段が前回と今回の変
    速比による実変速速度、変速比とプライマリ回転数に応
    じた係数により実変速圧力を算出する実変速圧力算出手
    段と、実際のプライマリ圧と実変速圧力により実必要プ
    ライマリ圧を算出する実必要プライマリ圧算出手段と、
    実必要プライマリ圧と実際のセカンダリ圧により実油圧
    比を算出して、この実油圧比により予めマップで設定さ
    れる油圧比を更新する実油圧比算出手段とを備えること
    を特徴とする無段変速機の制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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