JPH0839738A - 膜材およびその製造方法 - Google Patents

膜材およびその製造方法

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JPH0839738A
JPH0839738A JP17854394A JP17854394A JPH0839738A JP H0839738 A JPH0839738 A JP H0839738A JP 17854394 A JP17854394 A JP 17854394A JP 17854394 A JP17854394 A JP 17854394A JP H0839738 A JPH0839738 A JP H0839738A
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JP
Japan
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resin
fluororesin
film material
fluorine
vinyl chloride
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JP17854394A
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English (en)
Inventor
Takeo Matsunase
武雄 松名瀬
Koji Watanabe
幸二 渡辺
Shinji Sasaki
伸治 佐々木
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 従来技術では得られなかった防汚性、耐久性
および膜材同士の接合性の全てを有する膜材を提供す
る。 【構成】 基布3に樹脂層2、表層1を積層してなる膜
材において、樹脂層2が軟質塩化ビニール樹脂にフッ素
系樹脂を配合してなる樹脂であり、表層がフッ素系樹脂
であることを特徴とする膜材およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防汚性と耐久性に優れ
た膜材およびその製造方法に関するものである。
【0002】さらに詳しくは、屋外スポーツ用や娯楽用
のアメニティ−用途あるいは倉庫などの産業用途として
好適に用いられる膜材に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、軟質塩化ビニールフィルム(以
下、塩ビフィルムという)および膜材は、成型性が良
く、柔軟で使いやすく、農業用ハウス、産業資材、建築
資材から家庭未用品まで幅広く使用されてきた。
【0004】しかし、軟質塩ビは柔軟性や加工性を向上
するために添加する可塑剤のため、防汚性および耐久性
が低いという問題を有している。
【0005】一方、フッ素系樹脂は、防汚性、耐候性お
よび耐久性などに優れ、各種建造物や設備の塗料やコー
ティング剤から家庭用のフッ素コーティングのフライパ
ンまで幅広く使用されている。防汚性があり、難燃性、
耐久性があるこのフッ素系樹脂を膜材に利用する試み
は、フッ素コーティングやフッ素系フィルムの積層など
各種提案されてきたが、本格的な利用に至っていない。
これは、フッ素系樹脂の接着性が悪く、直接膜材同士を
接合することが困難であるためである。
【0006】また、フッ素系樹脂用の接着剤もいろいろ
提案されているが接着力の観点から満足なものは得られ
ていない。
【0007】また、表層もしくはフッ素樹脂層のいずれ
かにフッ素系樹脂と比較的新和性のあるポリメチルメタ
クリレートを利用する方法が提案されている。
【0008】しかし、ポリメチルメタクリレートがフッ
素系樹脂に含有された場合、膜材同士の接合部の耐熱性
(以下単に耐熱クリープ性と言う)が弱くなり、膜構造
体の破損などの危険もあるので、大きなテント構造物に
は使用できない。
【0009】以上のような理由から、膜材同士の接合
(接着)が容易かつ強固である膜材は開示されていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術では得られなかった防汚性、耐久性および膜材同士
の接合性の全てを有する膜材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の膜材は、前記課
題を達成するため次の構成を有する。
【0012】すなわち、基布に樹脂層、表層を積層して
なる膜材において、樹脂層が軟質塩化ビニール樹脂にフ
ッ素系樹脂を配合してなる樹脂であり、表層がフッ素系
樹脂であることを特徴とする膜材である。
【0013】また、本発明の膜材の製造方法は次の構成
を有する。
【0014】すなわち、溶媒に溶解もしくは分散したフ
ッ素系樹脂を、軟質塩化ビニール樹脂に添加混合し、該
樹脂からなる樹脂層と表層を加熱圧着することによって
接着することを特徴とする膜材の製造方法である。
【0015】以下本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の膜材は、図1に示すように表層、
樹脂層および基布によって構成されるものである。表層
は、耐候性や防汚性の機能で樹脂層の保護の役目を持
ち、基布は膜材の強度を受持ち、樹脂層は防水、基布の
保護や接合性付与などの機能を受け持っているのであ
る。表層で使用する樹脂の主成分はフッ素系樹脂とし、
樹脂層で使用する樹脂の主成分は軟質塩化ビニール系樹
脂(以下、軟質塩ビという)とするものである。
【0017】基布にはポリエステル、ポリアミド、アラ
ミド、ポリビニルアルコールなどの有機合成繊維、天然
繊維、ガラス、アルミナなどの無機繊維などの織物や編
物が好ましく用いられるものである。
【0018】本発明の樹脂層に用いる軟質塩ビ配合用フ
ッ素系樹脂は、その平均粒径が300μm以下であるも
のとする。
【0019】本発明において、柔軟性のある軟質塩ビを
用いているので、その柔軟性を阻害しないようにするた
めだけでなく、かつ軟質塩ビへの配合を円滑に達成する
ためには、軟質フッ素系樹脂を適用することが好まし
い。
【0020】また、軟質塩ビへ配合する上で、溶媒にフ
ッ素系樹脂を溶解するには、溶媒に対して相溶性のある
軟質フッ素系樹脂がよく、中でもフッ素系共重合樹脂が
さらに好ましい。
【0021】また、フッ素系樹脂を均一に分散する際、
溶媒との相溶性が悪いと凝集したり沈澱するので、相溶
性の観点からも、軟質フッ素系樹脂が好ましく、さらに
フッ素系共重合樹脂がさらに好ましい。
【0022】本発明において、軟質フッ素系樹脂とは、
フッ化ビニリデン(以下、PVdFという)、3フッ化
エチレン、4フッ化エチレン(以下、TFEという)、
6フッ化プロピレン(以下、HFPという)、6フッ化
アセトン(以下、HFAcという)、フロロアルキル系
ビニルエーテル、エチレンからなる群から選ばれた2種
以上のモノマーを共重合した2元系以上のフッ素系樹脂
またはフッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、4フッ化
エチレン、6フッ化プロピレン、6フッ化アセトン、フ
ロロアルキル系ビニルエーテル、プロピレンからなる群
から選ばれた2種以上のモノマーを共重合した2元系以
上のフッ素系樹脂またはフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニ
リデン樹脂、クロロトリフオロエチレン樹脂からなる群
から選ばれた1種以上のフッ素系樹脂をいうものであ
る。
【0023】特に、柔軟性のあるフッ化ビニリデンおよ
びその共重合樹脂、クロロトリフルオロエチレンおよび
その共重合樹脂などが好ましい。
【0024】また、軟質塩化ビニール樹脂に配合する軟
質フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデンおよび4フッ化エ
チレンに対して6フッ化プロピレンおよび/または6フ
ッ化アセトンを共重合したフッ素系樹脂が好ましい。
【0025】軟質フッ素系樹脂の中でも、前記フッ素系
共重合樹脂は、熱安定性も良好であるため、100〜2
50℃の温度で加工を安定して良好に行うことが可能と
なるのである。
【0026】また、PVdF−TFE−HFP系共重合
樹脂、PVdF−TFE−HFAc系共重合樹脂はそれ
ぞれ、共に安定したものであり、膜材の使用目的によっ
て選択できる。特に、前者の場合、透光性の良好な膜材
を作製するのに好ましい。後者は、膜材同士の接合強力
が必要な時に特に好ましい。
【0027】さらに、PVdF−TFE−HFAc系共
重合樹脂の場合、PVdF−HFAc共重合樹脂にTF
Eをグラフト重合したフッ素系樹脂が好ましい。結晶性
の高いTFEをグラフト重合することによって、熱安定
性が向上し、高温においても安定して加工が可能になる
だけでなく、フッ素系樹脂全体の柔軟性を損なわないの
である。本発明に使用する軟質フッ素系樹脂は、全フッ
素系樹脂成分中にフッ素系共重合成分が65モル%以上
含むことが好ましく、80モル%以上が更に好ましい。
他のフッ素系単量体および他のフッ素系樹脂のブレンド
による改質なども膜材の目的によって好ましく行われ
る。
【0028】また、表層のフッ素系樹脂との接着性向上
や改質のため、軟質フッ素系樹脂中にウレタン系樹脂、
エポキシ系樹脂のブレンド化およびこれらの樹脂の成分
の単量体の共重合化、グラフト化することは好ましい。
【0029】また、本発明の樹脂層の軟質フッ素系樹脂
として、表層のフッ素系樹脂と同じ種類のものを用いる
ことも好ましい。同じ種類の樹脂は接着しやすいため、
表層と同じ種類のフッ素系樹脂を樹脂層の軟質塩ビ配合
用に用いれば接着力が非常に向上するのである。
【0030】次に、本発明に用いる表層のフッ素系樹脂
について説明する。
【0031】本発明に用いる表層のフッ素系樹脂は、防
汚性、耐久性、耐薬品性のようなフッ素系樹脂本来の性
質に加え、樹脂層の軟質フッ素系樹脂との接着性が良好
なフッ素系樹脂が好ましい。
【0032】本発明に使用する表層のフッ素系樹脂は、
ポリフッ化ビニル系樹脂、フッ化ビニリデン系フッ素樹
脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、フッ化ビニリ
デン系共重合樹脂、テトラフルオロエチレン系共重合樹
脂からなる群より選ばれた1種以上のフッ素系樹脂が好
ましい。
【0033】つまり、フッ化ビニリデンにフッ化ビニ
ル、トリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレ
ンの3種のモノマーの1種を共重合した2元系フッ素系
樹脂、テトラフルオロエチレンにエチレン、ヘキサフル
オロプロピレンおよびペルフルオロアルキルビニルエー
テルの3種のモノマーの1種を共重合した2元系フッ素
系樹脂、クロロトリフルオロエチレンにエチレンを共重
合した2元系フッ素系樹脂からなる群より選ばれた1種
以上のフッ素系樹脂が好ましい。
【0034】特に、フッ化ビニリデンおよび4フッ化エ
チレンに対して6フッ化プロピレンおよび/または6フ
ッ化アセトンを加えて共重合したフッ素系樹脂、フッ化
ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンおよびエチレ
ンを共重合した3元系フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン
およびトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチ
レンを共重合した3元系フッ素系樹脂、フッ化ビニリデ
ンおよびトリフルオロエチレンおよびフッ化ビニルを共
重合した3元系フッ素系樹脂、フッ化ビニリデンおよび
トリフルオロエチレンおよびトリフルオロクロロエチレ
ンを共重合した3元系フッ素系樹脂からなる群から選ば
れた1種以上のフッ素系樹脂が好ましい。 また、本発
明の表層に用いるフッ素系樹脂は、フッ素系樹脂の主成
分に対して好ましくは20モル%以下さらに好ましくは
10モル%以下の他のフッ素系樹脂や塩素系ポリマー、
ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、アクリル系
ポリマーなどを共重合したりブレンドすることも好まし
い。
【0035】また、本発明において、樹脂層の表面に、
樹脂層に配合するフッ素系樹脂で使用するフッ素系樹脂
または表層で使用される樹脂が積層され、さらにその上
に表層が積層されてなるのが好ましい。
【0036】つまり、樹脂層の軟質塩ビに配合したフッ
素系樹脂が表層のフツ素系樹脂と同一の際には、樹脂層
と表層の間に、同一であるかまたは同じ種類の表層のフ
ッ素系樹脂が積層されるか、または、本発明の樹脂層の
軟質塩ビの両表面に、軟質塩ビに配合したフッ素系樹脂
と同一もしくは同じ種類のフッ素系樹脂を積層(以下、
X積層品という)し、さらにその片面に表層を積層され
るのが好ましい。
【0037】この得られた膜材は、膜材の表は表層のフ
ッ素系樹脂であり、裏はその表層にも良く接着するフッ
素系樹脂であるので、膜材同士の接合が非常に容易であ
るだけでなく、接着力も非常に向上するのでより好まし
い。
【0038】さらに、上記X積層品の両表面に表層を積
層してなる膜材も同様に、膜材の表と裏のフッ素系樹脂
が全く同一であるため、接着が容易でかつ接着力が非常
に向上する。
【0039】本発明の軟質塩ビにフッ素系樹脂を配合す
る方法は、軟質塩ビ中にフッ素系樹脂を混合したり、表
層にコーティングしたり、または両方法を併用すること
によって達成するのが好ましい。軟質塩ビに予めフッ素
系樹脂を配合し、軟質塩ビの表面を改善し、フッ素系樹
脂との接着力を向上することも好ましい。表層へのコー
ティングは、本発明ではフィルム状のものを貼りつける
のではなく、溶媒に溶解または分散したフッ素系樹脂を
表面にコーティングすることである。
【0040】軟質塩ビにフッ素系樹脂を配合する際、溶
媒に溶解もしくは分散した軟質フッ素系樹脂を軟質塩化
ビニール系樹脂に添加混合するものとするのである。
【0041】軟質フッ素系樹脂は、溶媒に溶け易いもの
が多い。
【0042】また不溶性のフッ素系樹脂でも粉体のもの
は溶媒中に分散することが可能である。このようなフッ
素系樹脂用の溶媒としてジメチルフォルムアミド、テト
ラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、メチ
ルイソブチルケトンなどのケトン類、トリクロルエタ
ン、パークロロエチレン、クロロホルムなどの塩素系溶
剤、酢酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン
などの芳香族系類などが好ましく用いられ、2種以上混
合して使用した方が好ましい場合もある。
【0043】フッ素系樹脂をこれらの溶媒で溶解または
分散し、フッ素系樹脂溶液を調製する。このフッ素系樹
脂溶液の濃度によって、塩ビと混合しやすい粘度に調節
するのが好ましい。この溶液と塩ビとの混合を十分行
い、脱溶媒した後に、通常のカレンダー方式で軟質塩ビ
シートを形成するのが好ましい。
【0044】また、フッ素系樹脂を軟質塩ビに配合する
方法として、フッ素系樹脂粉末を塩ビの作製時に直接添
加しながら分散させても好ましい。
【0045】フッ素系樹脂粉末を塩ビの粉末や添加剤な
どと均一に混合するには、フッ素系樹脂粉末の粒系が3
00μm以下が好ましく、100μm以下がさらに好ま
しい。 フッ素系樹脂粉末の添加は、全樹脂量に対して
30wt%以下が好ましく、20wt%以下がさらに好
ましい。
【0046】得られた軟質塩ビ膜材上に、フッ素系樹脂
溶液をコーティングし、表層のフッ素系樹脂をリッチに
し、フッ素系樹脂への接着性を向上させることはさらに
好ましく、軟質塩ビへのフッ素系樹脂のより好ましい配
合方法である。このため、コーティングするフッ素系樹
脂溶液の濃度は適宜選択するのが好ましい。
【0047】また、コーティングしたフッ素系樹脂は、
溶媒と共に表面から内部に浸透し強固なフッ素系樹脂皮
膜が形成される。
【0048】次に、このような膜材の製造方法は、最初
にフッ素系樹脂を配合した軟質塩ビを作製し、ついで合
成繊維やガラス繊維の基布に、この軟質塩ビを含浸さ
せ、最後にフッ素系樹脂表層を加熱プレスローラで加熱
圧着することによって得られる。
【0049】
【実施例】以下、本発明における実施例および比較例を
示す。
【0050】なお、得られた膜剤の剥離強度、接合部の
耐熱クリープ性および防汚性は次の方法で測定した。
【0051】1.剥離強度:JIS K 6328「剥
離試験」によって測定した。膜材の幅3cm当たりの強
力(kg)で表示する。剥離強力が、小型テント用で3
kg以内,中型テントで5kg以上の剥離強度を合格と
する。
【0052】2.接合部の耐熱クリープ性:JIS K
6859「接着剤のクリープ試験方法」に準じて膜材
接合部の耐熱クリープ性を測定した。接合部分を中央に
もつ3cmで幅の膜材に膜材の剥離強度の1/10の荷
重をかけ、接合部が剥離するまでの時間を測定し、24
時間以上であれば合格とする。
【0053】3.防汚性:JIS A 1415「プラ
スチック建築材料の促進暴露試験方法」のサンシャイン
ウェザーOメータ試験機を使用し、蒸留水の替わりに、
次のような汚染液を噴霧できるように改良し防汚性促進
評価装置とした(図2参照)。汚染液は、蒸留水20リ
ットルに畑用土38g、ポルトランドセメント17g、
陶土17g、塩野義製薬(株)製シリカ;カープレック
ス17g,片山化学(株)製活性炭1.75g、二酸化
鉄0.5g,鉱物油8.75gからなる。
【0054】この汚染水を回転する膜材試料に200c
c/分で2分間噴射後、18分間停止する周期の繰り返
し噴霧(膜材は、防汚水で濡れたり乾いたりを繰り返
す)し、63℃で500時間試験を行い、膜材試料の防
汚性を目視による10段階(1級が最も防汚性が良好〜
10級が防汚性不良)で評価した。
【0055】[実施例1、2]信越化学(株)製塩ビ樹
脂(TK−1000)100部に市販可塑剤であるDO
P(ディオクチルフタレート)50phr(塩ビ樹脂1
00重量部に対する添加材の重量部;parts per for hu
ndred resin )、TCP安定剤5phr、Ba/Zn系
安定剤3phrなどの助剤を添加し軟質塩ビ用配合剤を
準備し、平均粒径が6μmのフッ化ビニリデン系樹脂粉
末である市販のダイキン工業(株)製ネオフロンVDF
VP−850を20phr添加し、ヘンシェル装置で
15分間混合後、カレンダーローラで混練りした後に製
膜しフッ素系樹脂含有軟質塩ビシートを得た。厚さ0.
4mmの軟質塩ビシート(20cm×20cmの大き
さ)2枚の間に目付け200g/m2 のポリエステル繊
維製基布を重ね合わせて、160℃の温度で加熱プレス
し、軟質塩ビベース膜材を得た。
【0056】この軟質塩ビベース膜材とフッ化ビニリデ
ン系樹脂である呉羽化学(株)製KFポリマー12μm
フィルム(実施例1)、フッ化ビニル系樹脂である市販
デュポン(株)製テドラー12μmフィルム(実施例
2)を160℃で加熱プレスし、さらに常温まで冷却し
ながらプレスし本発明のフッ素系樹脂の膜材を得た。
【0057】この実施例1、2の各膜材の剥離強度を測
定したところ、各々5.8kg/3cm幅、5.3kg
/3cm幅と中型テント用としても十分な性能になっ
た。
【0058】また、膜材耐熱クリープを測定したところ
どちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性を
有した。
【0059】また、防汚性を評価したところ、実施例
1、2は各々2級、1級であり、防汚性も優れていた。
【0060】[実施例3、4]実施例1と同じ軟質塩ビ
用配合材の塩ビ樹脂量に対しフッ化ビニリデンと6フッ
化ビニリデンプロピレンの共重合樹脂20phr(実施
例3)およびPVdF−TFE−HFAc系共重合樹脂
である市販のセントラル硝子(株)製セフラルソフトシ
ート20phr(実施例4)をテトラヒドロフラン溶剤
に溶解した溶液を作製した。この溶液を目付け200g
/m2 のポリエステル繊維基布に含浸させ、105℃
のオーブン中で乾燥させ、溶液の含浸と乾燥を繰り返し
目付け900g/m2 の軟質塩ビベース膜材を得た。
【0061】この軟質塩ビベース膜材とフッ化ビニリデ
ンフィルムの市販ダイキン(株)製ネオフロンVDFポ
リマー12μmフィルムを160℃で加熱プレスし、さ
らに常温まで冷却しながらプレスし本発明のフッ素系樹
脂の膜材を得た。
【0062】この実施例3、4の各膜材の剥離強度を測
定したところ、それぞれ6.7kg/3cm幅、6、5
kg/3cm幅と中型テント用として十分な性能になっ
た。また、膜材耐熱クリープを測定したところ、どちら
も剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性を有し
た。
【0063】また、防汚性を評価したところ、両実施例
とも2級であり優れた防汚性を示した。
【0064】[実施例5、6]PVdF−TFE−HF
Ac系共重合樹脂である市販のセントラル硝子(株)製
セフラルソフトシートをテトラヒドロフラン溶媒に溶解
し、13wt%の溶液を得た。この溶液を実施例1、2
で得た軟質塩ビベース膜材表面上にコーティングし、オ
ーブン中で乾燥し厚み20μmの中間フッ素系樹脂層を
有した軟質塩ビベース膜材を得た。実施例1、2と同じ
方法でこの中間フッ素系樹脂層を有した軟質塩ビベース
膜材とフッ化ビニリデン系樹脂である呉羽化学(株)製
KFポリマー12μmフィルム(実施例5)、フッ化ビ
ニル系樹脂である市販デュポン(株)製テドラー12μ
mフィルム(実施例6)を積層し、本発明のフッ素系樹
脂の膜材を得た。
【0065】この実施例5、6の各膜材の剥離強度を測
定したところ、それぞれ、7.5kg/3cm幅、7.
1kg/3cm幅と中型テント用としても十分な性能に
なった。
【0066】また、膜材耐熱クリープを測定したところ
どちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性を
有していた。
【0067】また、防汚性を評価したところ、実施例
5、6は各々2級、1級であり、優れた防汚性を有して
いた。
【0068】[実施例7、8]実施例1と同じ軟質塩ビ
用配合材の塩ビ樹脂量に対し、PVdF−TFE−HF
P系共重合樹脂である市販の住友スリーエム(株)製T
HV20phrをテトラヒドロフラン溶剤に溶解した溶
液を作製した。この溶液を目付け200g/m2 のポリ
エステル繊維基布(実施例7)、230g/m2 のガラ
ス繊維基布(実施例8)に含浸し、105℃のオーブン
中で乾燥させ、溶液の含浸と乾燥を繰り返し目付けが、
各々930g/m2 、980g/m2 の軟質塩ビベース
膜材を得た。この軟質塩ビベース膜材に軟質塩ビ用フッ
素樹脂と同じPVdF−TFE−HFP系共重合樹脂で
ある市販の住友スリーエム(株)製THV25μmフィ
ルムを160℃で加熱プレスし、さらに常温まで冷却し
ながらプレスし本発明のフッソ系樹脂の膜材を得た。
【0069】この実施例7、8の各膜材の剥離強度を測
定したところ、それぞれ7.1kg/3cm幅、7、6
kg/3cm幅と中型テント用としても十分な性能にな
った。 また、膜材耐熱クリープを測定したところ剥離
まで24時間以上かかり、優れた耐久性を有していた。
【0070】また、防汚性を評価したところ、両実施例
とも3級であり、優れた防汚性を示した。
【0071】[実施例9]PVdF−TFE−HFAc
系共重合樹脂である市販のセントラル硝子(株)製セフ
ラルソフトシートをTHF溶媒に溶解し、13wt%の
溶液を得た。
【0072】この溶液を実施例1で得た軟質塩ビベース
膜材の両表面上にコーティングし、オーブン中で乾燥し
厚み20μmの中間フッ素系樹脂層を両面有した軟質塩
ビベース膜材を得た。
【0073】実施例1と同じ方法でこの中間フッ素系樹
脂層を両面有した軟質塩ビベース膜材の片面に、フッ化
ビニリデン樹脂である呉羽化学(株)製KFポリマー1
2μmフィルムを積層し、本発明のフッ素系樹脂の膜材
を得た。得られたこの膜材は、表がフッ化ビニリデンの
KFポリマーで裏がフッ化ビニリデン系共重合樹脂であ
るセフラルソフトである。
【0074】この接合した膜材の剥離強度を測定したと
ころ、7.9kg/3cm幅と中型テント用として十分
な性能になった。
【0075】また、膜材耐熱クリープを測定したところ
どちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性を
有した。
【0076】また、防汚性を評価したところ、2級であ
り優れた防汚性を示した。
【0077】[実施例10、11]実施例1と同じ軟質
塩ビ用配合材の塩ビ樹脂量に対しPVdF−TFE−H
FP系共重合樹脂である市販の住友スリーエム(株)製
THV20phrをテトラヒドロフラン溶剤に溶解した
溶液を作製した。この溶液を目付け230g/m2のポ
リエステル繊維基布(実施例10)、ガラス繊維基布
(実施例11)に含浸させ105℃のオーブン中で乾燥
させ、溶液の含浸と乾燥を繰り返し目付け900g/m
2 の軟質塩ビベース膜材を得た。
【0078】この軟質塩ビベース膜材とテトラフルオロ
エチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合樹脂であ
るダイキン工業(株)製ネオフロンFEP25μmフィ
ルムを加熱プレスし、さらに常温まで冷却しながらプレ
スし、本発明のフッ素系樹脂の膜材を得た。
【0079】この各実施例の膜材の剥離強度を測定した
ところ、それぞれ5.7kg/3cm幅、7.6kg/
3cm幅と中型テント用として十分な性能になった。
【0080】また、膜材耐熱クリープを測定したところ
剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性を有した。
また、防汚性を評価したところ、3級であり汚れが少な
かった。
【0081】[実施例12]フッ化ビニリデン系樹脂粉
末である市販のダイキン工業(株)製ネオフロンVDF
ペレットを平均粒径が150μmまで粉砕し、実施例1
と同じ軟質塩ビ用配合剤と共にヘンシェル装置で15分
間混合後、カレンダーローラで混練りした後、製膜しフ
ッ素系樹脂含有軟質塩ビシートを得た。厚さ0.4m
m、大きさ20cm×20cmのこの軟質塩ビシート2
枚の間に目付け200g/m2 のポリエステル繊維製基
布を重ね合わせて、160℃の温度で加熱プレスし、軟
質塩ビベース膜材を得た。
【0082】この軟質塩ビベース膜材とフッ化ビニリデ
ン系樹脂の呉羽化学株製KFポリマー12μmフィルム
を実施例1と同様に加熱プレスし本発明膜材を得た。
【0083】この膜材の剥離強度を測定したところ、
5.5kg/3cm幅と中形テント用として十分な性能
になった。
【0084】また、膜材耐熱クリープを測定したところ
24時間以上の優れた耐久性を示した。
【0085】また、防汚性を評価したところ、2級であ
り優れた防汚性を有した。
【0086】[比較例1、2]信越化学(株)製塩ビ樹
脂(TK−1000)100部に市販可塑剤であるDO
P(ディオクチルフタレート)50phr(塩ビ樹脂1
00重量部に対する添加材の重量部;parts per for hu
ndred resin )、TCP安定剤5phr、Ba/Zn系
安定剤3phrなどの助剤を添加し軟質塩ビ用配合剤は
実施例1と同様であるが、フッ素系配合材を添加せず
に、ヘンシェル装置で15分間混合後、カレンダーロー
ラで混練りした後に製膜し軟質塩ビシートを得た。厚さ
0.4mm、大きさ20cm×20cmのこの軟質塩ビ
シート2枚の間に目付け200g/m2 のポリエステル
繊維製基布を重ね合わせて、160℃の温度で加熱プレ
スし、軟質塩ビベース膜材を得た。
【0087】この軟質塩ビベース膜材とフッ化ビニリデ
ン系樹脂である呉羽化学(株)製KFポリマー12μm
フィルム(比較例1)、フッ化ビニル系樹脂である市販
デュポン(株)製テドラー12μmフィルム(比較例
2)を160℃で加熱プレスしさらに常温まで冷却しな
がらプレスしたが膜材が得られなかった。
【0088】[比較例3]信越化学(株)製塩ビ樹脂
(TK−1000)100部に市販可塑剤であるDOP
(ディオクチルフタレート)50phr(塩ビ樹脂10
0重量部に対する添加材の重量部;parts per for hund
red resin )、TCP安定剤5phr、Ba/Zn系安
定剤3phrなどの助剤を添加し軟質塩ビ用配合剤を準
備し、平均粒径が6μmフッ化ビニリデン系樹脂粉末で
ある市販のダイキン工業(株)製ネオフロンVDF V
P−850を20phr添加し、ヘンシェル装置で15
分間混合後、カレンダーローラで混練りした後に製膜し
軟質塩ビシートを得た。
【0089】この膜材表面にポリテトラフルオロエチレ
ンのフィルムを表層として170℃で加熱プレスしたが
接着しなかった。また、190℃以上で加熱プレスした
ところ、膜材中のポリエステル合成繊維が収縮したりし
て、膜材の作成ができなかった。
【0090】[比較例4]フッ化ビニリデン系樹脂粉末
である市販のダイキン工業(株)製ネオフロンVDFペ
レットを平均粒径が400μmまで粉砕し、実施例1と
同じ軟質塩ビ用配合剤と共にヘンシェル装置で15分間
混合後、カレンダーローラで混練りした後、製膜しフッ
素系樹脂含有軟質塩ビシートを得た。厚さ0.4mm、
大きさ20cm×20cmのこの軟質塩ビシート2枚の
間に目付け200g/m2 のポリエステル繊維製基布を
重ね合わせて、160℃の温度で加熱プレスし、軟質塩
ビベース膜材を得た。
【0091】この軟質塩ビベース膜材とフッ化ビニリデ
ンフィルムの呉羽化学株製KFポリマー12μmフィル
ムを実施例1と同様に加熱プレスしたが、軟質塩ビ層と
表層材のKFフッ素樹脂層に微細な空気層が入り、均一
な積層が出来なかった。この接合した比較例4の膜材の
剥離強度を測定したところ、4.3kg/3cm幅と中
形テント用としては不十分な性能になった。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得ら
れる。
【0093】樹脂層において、塩化ビニール樹脂にフッ
素系樹脂を配合した樹脂を用い、表層に1種以上のフッ
素系樹脂を積層することにより、従来技術では得られな
かった防汚性、耐久性および膜材同士の接合性の全てを
有する膜材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜材の例を模式的に示す概略横断面図
である。
【図2】本発明の防汚性評価に使用する防汚性促進評価
装置を示す横断面を加味した概略斜視図である。
【符号の説明】
1:表層 2:樹脂層 3:基布 4:ベース膜材 5:防汚性軟質塩化ビニール系膜材 6:サンシャインウェザーOメータ 7:評価試料 8:汚染浴用槽 9:汚染液供給ポンプ 10:供給ポンプ制御装置 11:撹拌装置 12:汚染浴回収受槽 13:汚染浴循環経路

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基布に樹脂層、表層を積層してなる膜材に
    おいて、樹脂層が軟質塩化ビニール樹脂にフッ素系樹脂
    を配合してなる樹脂であり、表層がフッ素系樹脂である
    ことを特徴とする膜材。
  2. 【請求項2】軟質塩化ビニール樹脂に配合するフッ素系
    樹脂の平均粒系が300μm以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の膜材。
  3. 【請求項3】軟質塩化ビニール樹脂に配合するフッ素系
    樹脂が軟質フッ素系樹脂および/または表層に使用する
    フッ素系樹脂と同一種類であることを特徴とする請求項
    1記載の膜材。
  4. 【請求項4】軟質塩化ビニール樹脂に配合するフッ素系
    樹脂がフッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、4フッ化
    エチレン、6フッ化プロピレン、6フッ化アセトン、フ
    ロロアルキル系ビニルエーテル、エチレンからなる群か
    ら選ばれた2種以上のモノマーを共重合した2元系以上
    のフッ素系樹脂またはフッ化ビニリデン、3フッ化エチ
    レン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、6フッ
    化アセトン、フロロアルキル系ビニルエーテル、プロピ
    レンからなる群より選ばれた2種以上のモノマーを共重
    合した2元系以上のフッ素系樹脂であることを特徴とす
    る請求項1記載の膜材。
  5. 【請求項5】軟質塩化ビニール樹脂に配合するフッ素系
    樹脂がフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、クロ
    ロトリフルオロエチレン樹脂からなる群より選ばれた1
    種以上のフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1
    記載の膜材。
  6. 【請求項6】軟質塩化ビニール樹脂に配合するフッ素系
    樹脂が、フッ化ビニリデンおよび4フッ化エチレンに対
    して6フッ化プロピレンおよび/または6フッ化アセト
    ンを共重合したフッ素系樹脂であることを特徴とする請
    求項1記載の膜材。
  7. 【請求項7】表層の樹脂が、ポリフッ化ビニル樹脂、フ
    ッ化ビニリデン系樹脂、クロロトリフルオロエチレン系
    樹脂、フッ化ビニリデン系共重合樹脂、テトラフルオロ
    エチレン系共重合樹脂からなる群より選ばれた1種以上
    のフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の
    膜材。
  8. 【請求項8】表層の樹脂が、フッ化ビニリデンにフッ化
    ビニル、トリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエ
    チレンの3種のモノマーの1種を共重合した2元系フッ
    素系樹脂、テトラフルオロエチレンにエチレン、ヘキサ
    フルオロプロピレンおよびパーフルオロアルキルビニル
    エーテルの3種のモノマーの1種を共重合した2元系フ
    ッ素系樹脂、クロロトリフルオロエチレンにエチレンを
    共重合した2元系フッ素系樹脂からなる群より選ばれた
    1種以上のフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項
    1記載の膜材。
  9. 【請求項9】表層の樹脂が、フッ化ビニリデンおよび4
    フッ化エチレンに対して6フッ化プロピレンおよび/ま
    たは6フッ化アセトンを共重合したフッ素系樹脂、フッ
    化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンおよびエチ
    レンを共重合した3元系フッ素系樹脂、フッ化ビニリデ
    ンおよびトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエ
    チレンを共重合した3元系フッ素系樹脂、フッ化ビニリ
    デンおよびトリフルオロエチレンおよびフッ化ビニルを
    共重合した3元系フッ素系樹脂、フッ化ビニリデンおよ
    びトリフルオロエチレンおよびトリフルオロクロロエチ
    レンを共重合した3元系フッ素系樹脂からなる群から選
    ばれた1種以上のフッ素系樹脂であることを特徴とする
    請求項1記載の膜材。
  10. 【請求項10】樹脂層の表面に、樹脂層に配合するフッ
    素系樹脂および/または表層で使用するフッ素系樹脂が
    積層され、さらにその上に表層が積層されてなることを
    特徴とする請求項1記載の膜材。
  11. 【請求項11】溶媒に溶解もしくは分散したフッ素系樹
    脂を、軟質塩化ビニール樹脂に添加混合し、該樹脂から
    なる樹脂層と表層を加熱圧着することによって接着する
    ことを特徴とする膜材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001225423A (ja) * 2000-02-16 2001-08-21 Hiraoka & Co Ltd 耐久性及び透光性の高い積層膜材

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