JPH0839739A - 柔軟性フッ素系膜材およびその製造方法 - Google Patents

柔軟性フッ素系膜材およびその製造方法

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JPH0839739A
JPH0839739A JP17854494A JP17854494A JPH0839739A JP H0839739 A JPH0839739 A JP H0839739A JP 17854494 A JP17854494 A JP 17854494A JP 17854494 A JP17854494 A JP 17854494A JP H0839739 A JPH0839739 A JP H0839739A
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JP
Japan
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resin
fluorine
film material
vinylidene fluoride
binary
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JP17854494A
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English (en)
Inventor
Takeo Matsunase
武雄 松名瀬
Koji Watanabe
幸二 渡辺
Shinji Sasaki
伸治 佐々木
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 従来技術では解決できなかった膜材同士の接
合性が容易であり、かつ強固に行え、防汚性、耐久性お
よび外観品位が優れた膜材を提供することにある。 【構成】 基布3に樹脂層2と表層1を積層してなる膜
材において、表層1にポリフッ化ビニル樹脂、フッ化ビ
ニリデン系樹脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、
2元系以上のフッ化ビニリデン系樹脂、2元系以上のテ
トラフルオロエチレン系樹脂からなる群より選ばれた1
種以上のフッ素系樹脂を積層してなり、樹脂層2が軟質
フッ素系樹脂であることを特徴とする柔軟性フッ素系膜
材5。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防汚性と耐久性に優れ
た膜材およびその製造方法に関するものである。
【0002】さらに詳しくは、屋外スポーツや娯楽のア
メニティ−用あるいは倉庫などの産業用として、大規模
な膜構造体に好適に用いられる膜材に関するものであ
る。
【0003】
【従来の技術】従来、化学的に安定なフッ素系樹脂は、
防汚性、耐候性などに優れ、各種設備の塗料やコーティ
ング剤から家庭用のフッ素コーティングのフライパンま
で幅広く使用されている。このフッ素系樹脂を膜材に利
用する試みは、フッ素コーティングやフッ素系フィルム
の積層など各種提案されてきた。
【0004】しかしながら、通常、市販のフッ素系樹脂
からなる膜材は、長さは非常に長いが幅は1〜3m程度
であり、例えば、1片が数10mといった大きさを有
し、形状が複雑な膜構造体にするには、膜材同士を何回
も接合する必要がある。
【0005】接合した膜材から膜構造体を形成する際、
膜材にシワを入れずに仕上げるには膜材に張力をかける
必要がある。膜材同士の接合が弱いと、この張力によっ
て膜材同士の接合が剥離する現象が生じる。
【0006】また、膜材は長年使用する間に劣化して、
このような膜材接合部の剥離が一層顕著になるという重
大な欠点を有し、その改善が望まれていた。
【0007】そのため、膜材同士の接合を強化するた
め、熱接合を実施してきた。
【0008】つまり、表層と樹脂層に用いるフッ素成分
を同一にし、即ち単一フッ素系樹脂フィルムからなる膜
材を作製し、熱接合をしやすくする方法である。単一な
フッ素成分からなる膜材であれば熱接合が容易に行える
ためである。
【0009】しかし、この方法は膜材に用いる樹脂成分
が単一であるため、防汚性や耐薬品性の良好な硬質フッ
素系樹脂を用いると膜材全体が硬くなり、例えば、テン
トとして張った時シワが多くなり外観品位に乏しく商品
的価値が低下する。
【0010】逆に膜材全体を柔軟にするため、軟質フッ
素系樹脂を使用すると膜材は硬質フッ素系樹脂を用いた
場合に比較してシワは少なくなるが防汚性が劣化するの
である。防汚性に優れ、外観品位の良好な膜材を得るた
めには、表層に硬質フッ素系樹脂、樹脂層に軟質フッ素
系樹脂を使用することが望ましいと考えられるのであ
る。
【0011】しかしながら、異種類のフッ素系樹脂を接
合するために使用する接着剤に好適なものがなく、ま
た、表層もしくは樹脂層のいずれかにフッ素系樹脂と比
較的新和性のある物質、例えばポリメチルメタクリレー
トを利用する方法によっても、接合部を強化することが
できなかった。
【0012】以上のような理由から、表層と樹脂層に用
いるフッ素系樹脂が互いに異種であるため、防汚性およ
び耐久性に優れ、さらに膜材同士の接合が容易かつ強固
に行え、大規模な膜構造体に用いることが可能な膜材は
開示されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術では解決できなかった膜材同士の接合性が容易であ
り、かつ強固に行え、防汚性、耐久性および外観品位が
優れた膜材を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の柔軟性フッ素系
膜材は、前記課題を達成するため次の構成を有する。す
なわち、基布に樹脂層と表層を積層してなる膜材におい
て、表層にポリフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン系
樹脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、2元系以上
のフッ化ビニリデン系樹脂、2元系以上のテトラフルオ
ロエチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のフ
ッ素系樹脂を積層してなり、樹脂層が軟質フッ素系樹脂
であることを特徴とする柔軟性フッ素系膜材である。
【0015】また、本発明の柔軟性フッ素系膜材の製造
方法は次の構成を有する。
【0016】すなわち、樹脂層の軟質フッ素系樹脂およ
び/または表層のポリフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリ
デン系樹脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、2元
系以上のフッ化ビニリデン系樹脂、2元系以上のテトラ
フルオロエチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以
上のフッ素系樹脂もしくはこれら樹脂の成分のフッ素系
単量体を、溶剤に溶解させた溶液を樹脂層と表層の間に
入れ、加熱圧着することによって、樹脂層と表層を接着
することを特徴とする柔軟性フッ素系膜材の製造方法で
ある。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明は、図1に示すように表層、樹脂層
および基布を設けてなる柔軟性フッ素系膜材である。表
層は、耐候性や防汚性の機能を有し、樹脂層保護の役目
を持ち、基布は膜材に強度を与え、樹脂層は防水、基布
の保護や膜材同士の接合性付与などの機能を有するもの
である。
【0019】なお、本発明では樹脂層と基布からなる部
分をベース膜材という。
【0020】基布にはポリエステル、ポリアミド、アラ
ミド、ポリビニルアルコールなどの有機合成繊維または
ガラス、アルミナなどの無機繊維などの織物や編物が好
ましく用いられるものである。
【0021】表層のフッ素系樹脂として、フッ化ビニリ
デンにフッ化ビニル、トリフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレンの3種のモノマーの1種を選んで共重合
した2元系フッ化ビニリデン系共重合樹脂、テトラフル
オロエチレンにエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、
パーフルオロアルキルビニルエーテルの3種のモノマー
の1種を選んで共重合した2元系テトラフルオロエチレ
ン系共重合樹脂、クロロトリフルオロエチレンとエチレ
ンを共重合した2元系クロロトリフルオロエチレン系共
重合樹脂、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチ
レンおよびエチレンを共重合した3元系フッ素系樹脂、
フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエチレンおよびテ
トラフルオロエチレンを共重合した3元系フッ素系樹
脂、フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエチレンおよ
びフッ化ビニルを共重合した3元系フッ素系樹脂、フッ
化ビニリデンおよびトリフルオロエチレンおよびトリフ
ルオロクロロエチレンを共重合した3元系フッ素系樹脂
からなる群より選ばれた1種以上のフッ素系樹脂も好ま
しく用いられる。
【0022】本発明において、表層のフッ素系樹脂とし
て、前記以外の例えば、1元系のポリテトラフルオロエ
チレン樹脂などは、表層と樹脂層の剥離等の観点から用
いることができない。
【0023】また、本発明に用いる表層のフッ素系樹脂
は、その成分中に好ましくは20モル%以下、さらに好
ましくは10モル%以下の、他種類のフッ素系ポリマ
ー、塩素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系
ポリマー、アクリル系ポリマーなどからなる群より選ば
れた1種以上のポリマーを共重合したり、またはブレン
ドするのが好ましい。
【0024】次に、本発明に用いる樹脂層の軟質フッ素
系樹脂について説明する。
【0025】前記したように、膜材にシワができないよ
うにすることは外観品位の観点だけでなく、防汚性およ
び耐久性の点で重要である。膜材のシワは、膜材同士の
接合や膜構造物を形成するため、アタッチメントに取り
付ける際に、膜材を裏返したり折りたたんだりすること
によって生じるのである。
【0026】かかる膜材のシワ発生の問題を解決するた
め、本発明においては、フッ素系樹脂の中でも軟質フッ
素系樹脂を用いてシワが入りにくくするものである。
【0027】本発明において、樹脂層の軟質フッ素系樹
脂とは、フッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、4フッ
化エチレン、6フッ化プロピレン、6フッ化アセトン、
エチレンからなる群より選ばれた2種以上のモノマーを
共重合した2元系以上のフッ素系樹脂またはフッ化ビニ
リデン、3フッ化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ
化プロピレン、6フッ化アセトン、プロピレンからなる
群より選ばれた2種以上のモノマーを共重合した2元系
以上のフッ素系樹脂をいうものである。
【0028】特に、フッ化ビニリデンおよび4フッ化エ
チレンに対して、6フッ化プロピレンもしくは6フッ化
アセトンのいずれか一方または両方を共重合したフッ素
系樹脂が好ましい。
【0029】これらの軟質フッ素系樹脂は、塩化ビニル
樹脂のような柔軟性があり、裏返したり、折り曲げても
シワになりにくく、加工が容易である。特に、ガラス転
移点温度が75℃以下が好ましく、さらに好ましくは3
0℃以下のフッ素系共重合樹脂が好ましく使用される。
【0030】また、樹脂層の軟質性フッ素系樹脂は、全
フッ素系樹脂成分中に75モル%以上含むことが好まし
く、85モル%以上が更に好ましい。
【0031】他のフッ素系単量体や他のフッ素系樹脂の
ブレンドによる改質なども膜材の目的によっては好まし
く用いられる。
【0032】また、表層のフッ素系樹脂との接着性向上
や改質のため、軟質フッ素系樹脂中に他のフッ素系樹脂
以外のウレタン系樹脂もしくはエポキシ系樹脂もしくは
アクリル系樹脂のブレンド化またはこれら樹脂の成分の
単量体の共重合化、グラフト化することは好ましく行わ
れる。
【0033】これらのフッ素系共重合樹脂は、得られる
フッ素系樹脂の熱安定性も良好であるため、100〜3
00℃の温度で加工が安定し、かつ良好に行うことが可
能である。
【0034】また、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレ
ン−6フッ化プロピレン系共重合樹脂は透光性の要求さ
れる用途に好ましく用いられ、フッ化ビニリデン−4フ
ッ化エチレン−6フッ化アセトン系共重合樹脂は、膜接
合強力が大きく、大規模な膜構造体を形成する用途に好
ましく用いられる。
【0035】さらに、フッ化ビニリデン−4フッ化エチ
レン−6フッ化アセトン系共重合樹脂において、フッ化
ビニリデン−6フッ化アセトン系共重合樹脂に4フッ化
エチレンをグラフト重合したフッ素系樹脂が好ましい。
結晶性の高い4フッ化エチレンをグラフト重合すること
によって、熱安定性が向上し、高温においても安定した
加工が可能になり、フッ素系樹脂全体の柔軟性も保持さ
れるのである。
【0036】本発明の柔軟性フッ素系膜材の製造方法
は、樹脂層の軟質フッ素系樹脂(またはその成分フッ素
系単量体)もしくは表層のフッ素系樹脂(またはその成
分のフッ素系単量体)のいずれか一方または両方を溶剤
に溶解させた溶液を樹脂層と表層の間にいれ、樹脂層と
表層の接着剤としての機能を付与し、加熱圧着するもの
である。
【0037】このような接着用フッ素系樹脂は、各フッ
素系樹脂に適した溶剤で溶かし、製膜装置でフィルム化
した後、膜材の樹脂層と表層の間に入れて、逐次か同時
に加熱圧着して製造されるのが好ましい。
【0038】また、各フッ素系樹脂に適した溶剤で溶か
した液体を樹脂層か表層のいずれか一方または両方のフ
ッ素系樹脂にコーティングした後、溶媒を除去するため
乾燥し、ついで樹脂層と表層を加熱圧着することによっ
ても製造可能である。
【0039】
【実施例】以下、本発明における実施例および比較例を
示す。
【0040】なお、得られた膜材の剥離強度、接合部の
耐熱クリープ性および防汚性は次の方法で測定した。
【0041】1.剥離強度:JIS K 6328「剥
離試験」によって測定した。膜材の幅3cm当たりの強
力(kg)で表示する。剥離強力が、小型テント用で3
kg以内,中型テントで5kg以上の剥離強度を合格と
する。
【0042】2.接合部の耐熱クリープ性:JIS K
6859「接着剤のクリープ試験方法」によって膜材
接合部の耐熱クリープ性を測定した。接合部分を中央に
もつ幅3cmの膜材に膜材の剥離強度の1/10の荷重
をかけ、接合部が剥離するまでの時間を測定し、24時
間以上であれば合格とする。
【0043】3.防汚性:JIS A 1415「プラ
スチック建築材料の促進暴露試験方法」のサンシャイン
ウェザーOメータ試験機を使用し、蒸留水の替わりに、
次のような汚染液を噴霧できるように改良し防汚性促進
評価装置とした(図2参照)。汚染液は、蒸留水20リ
ットルに畑用土38g、ポルトランドセメント17g、
陶土17g、塩野義製薬(株)製シリカ;カープレック
ス17g,片山化学(株)製活性炭1.75g、二酸化
鉄0.5g,鉱物油8.75gからなる。
【0044】この汚染水を回転する膜材試料に200c
c/分で2分間噴射後、18分間停止する周期の繰り返
し噴霧(膜材は、試験溶液で濡れたり乾いたりを繰り返
す)し、63℃で500時間試験を行い、膜材試料の防
汚性を目視による10段階(1級が最も防汚性が良好〜
10級が防汚性不良)で評価した。
【0045】[実施例1、2]軟質フッ素系樹脂として
フッ化ビニリデンおよび6フッ化プロピレン(実施例
1)、フッ化ビニリデンおよび4フッ化エチレン(実施
例2)を共重合したフッ素系樹脂を用い、厚さ0.4m
mの樹脂層シートを重ね合わせ、その中央に目付200
g/m2 のポリエステル系合成繊維基布を挿入した後、
加熱プレスし、さらに常温まで冷却しながらプレスして
ベース膜材を得た。
【0046】さらに、表層のフッ素系樹脂であるフッ化
ビニリデンにテトラフルオロエチレンおよびエチレンを
共重合した樹脂をテトラヒドロフラン溶剤で溶解したも
のを接着剤とした。この接着剤を脂膜層シートの両面に
コーティングし溶媒を乾燥除去した後、ポリフッ化ビニ
リデン系樹脂(厚み25μm)フィルムを重ね合わせて
加熱プレスし、さらに常温まで冷却しながらプレスを継
続して、本発明の膜材を得た。
【0047】また、本発明の膜材(20cm×20cm
の大きさ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端か
ら4cmの幅で合わせライスターと言う熱風ドライヤー
で加熱しながら貼り合わせた後、冷却したところ、膜材
同士が容易に接着することができた。
【0048】この接合した実施例1、2の各膜材の剥離
強度を測定したところ、各々5.7kg/3cm幅、
6.2kg/3cm幅と中型テント用膜材として十分な
性能を得ることができた。
【0049】また、膜材の耐熱クリープを測定したとこ
ろ、どちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久
性を示した。
【0050】また、防汚性を評価したところ、実施例
1、2共に2級であり、優れた防汚性を示した。
【0051】[実施例3、4]軟質フッ素系樹脂とし
て、フッ化ビニリデンに6フッ化アセトンを共重合した
樹脂に4フッ化エチレンをグラフト重合したフッ素系樹
脂を用いた市販のセントラル硝子(株)製セフラルソフ
トシートを重ね合わせシートの中央に目付200g/m
2 のポリエステル製合成繊維基布を挿入し加熱プレス
後、水冷しながらプレスしベース膜材を得た。
【0052】このベース膜材に表層として、フッ化ビニ
ル(PVF)である市販デュポン(株)製テドラー25
μmフィルム(実施例3)、フッ化ビニリデンとテトラ
フルオロエチレンとエチレンとの共重合樹脂であるポリ
フッ化ビニリデン系樹脂(厚み25μm)フィルム(実
施例4)を加熱プレスし、さらに常温まで冷却しながら
プレスし本発明の膜材を得た。
【0053】この膜材の製造法は、樹脂層に、フッ化ビ
ニリデンと4フッ化エチレンと6フッ化アセトンが共重
合した軟質フッ素系樹脂を用い、また、表層のフッ素系
樹脂としてポリフッ化ビニル樹脂(実施例3)やフッ化
ビニリデンとテトラフルオロエチレンとエチレンとの共
重合樹脂(実施例4)を選択することによって、接着剤
なしで、ベース膜材と表層を加熱接着することができ
た。また、本発明の膜材(20cm×20cmの大き
さ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端から4c
mの幅で合わせライスターで加熱しながら貼り合わせた
後、冷却したところ、膜材同士が容易に接着することが
できた。この接合した実施例3、4の各膜材の剥離強度
を測定したところ、各々5.3kg/3cm幅、6.7
kg/3cm幅と中型テント用膜材として十分な性能を
得ることができた。また、膜材の耐熱クリープを測定し
たところどちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた
耐久性を示した。
【0054】また、防汚性を評価したところ、実施例3
が1級であり、実施例4が2級であり、優れた防汚性を
示した。
【0055】[実施例5]フッ化ビニリデン−4フッ化
エチレン−6フッ化プロピレン系共重合樹脂である市販
の住友3M(株)製THVシートを重ね合わせシートの
中央に目付200g/m2 のポリエステル合成繊維基布
を挿入し加熱プレス後、水冷しながらプレスしベース膜
材を得た。
【0056】このベース膜材に表層として、テトラフル
オロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合樹脂
である市販ダイキン(株)製ネオフロンFEPポリマー
フィルムを加熱プレスし、さらに常温まで冷却しながら
プレスし本発明の膜材を得た。 この膜材の製造法は、
樹脂層に用いる樹脂として、フッ化ビニリデン−4フッ
化エチレン−6フッ化プロピレン系共重合樹脂を選択
し、表層のフッ素系樹脂として、テトラフルオロエチレ
ンとヘキサフルオロプロピレンの共重合樹脂を選択する
ことによって、接着剤なしで、樹脂層シートと表層を加
熱接着することが可能になった。
【0057】また、本発明の膜材(20cm×20cm
の大きさ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端か
ら4cmの幅で合わせライスターで加熱しながら貼り合
わせた後、冷却したところ、膜材同士が容易に接着する
ことができた。この接合した膜材の剥離強度を測定した
ところ、5.4kg/3cm幅と中型テント用として十
分な性能を得ることができた。
【0058】また、膜材の耐熱クリープを測定したとこ
ろどちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性
を示した。
【0059】また、防汚性を評価したところ2級であ
り、優れた防汚性を示した。
【0060】[実施例6]フッ化ビニリデン−4フッ化
エチレン−6フッ化プロピレン系共重合樹脂である市販
の住友3M(株)製THVシートを重ね合わせシートの
中央に目付200g/m2 のポリエステル製合成繊維基
布を挿入し加熱プレス後、水冷しながらプレスし厚さ
0.85mmのベース膜材を得た。
【0061】このベース膜材の両面に、セントラル硝子
(株)製の厚さ0.04mmのセフラルソフトシートを
加熱プレスした後、表層としてフッ化ビニルである市販
デュポン(株)製テドラー25μmフィルムを加熱プレ
スし、さらに常温まで冷却しながらプレスし本発明の膜
材を得た。
【0062】また、本発明の膜材(20cm×20cm
の大きさ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端か
ら4cmの幅で合わせライスターで加熱しながら貼り合
わせた後、冷却したところ、膜材同士が容易に接着する
ことができた。
【0063】この接合した膜材の剥離強度を測定したと
ころ、7.6kg/3cm幅と中型テント用として十分
な性能を得ることができた。
【0064】また、膜材の耐熱クリープを測定したとこ
ろどちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性
を示した。
【0065】また、防汚性を評価したところ1級であ
り、優れた防汚性を示した。
【0066】[実施例7]フッ化ビニリデン−4フッ化
エチレン−6フッ化アセトン系共重合樹脂である市販の
セントラル硝子(株)製セフラルソフトシートを使用し
て、実施例3と同様な方法でベース膜材を得た。
【0067】このベース膜材に表層材としてポリフッ化
ビニリデン系である市販ダイキン(株)製ネオフロンV
DFポリマーフィルムを加熱プレスし、さらに常温まで
冷却しながらプレスし本発明の膜材を得た。
【0068】また、できた膜材(20cm×20cmの
大きさ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端から
4cmの幅で合わせライスターで加熱しながら貼り合わ
せた後、冷却したところ、膜材同士が容易に接着するこ
とができた。この接合した膜材の剥離強度を測定したと
ころ、各々7.1kg/3cm幅と中型テント用として
も十分な性能になった。
【0069】また、膜材の耐熱クリープを測定したとこ
ろどちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性
を示した。
【0070】また、防汚性を評価したところ、2級であ
り防汚性に優れていた。
【0071】[実施例8]実施例3と同様に、市販のセ
ントラル硝子(株)製セフラルソフトシートを用い、ポ
リエステル合成繊維の代わりに目付220g/m2 のガ
ラス繊維基布をシートの中央に挿入し加熱プレス後、水
冷しながらプレスしベース膜材を得た。
【0072】実施例3と同様にこのベース膜材に表層と
してフッ化ビニルである市販デュポン(株)製テドラー
25μmフィルムを加熱プレスし膜材を得た。
【0073】また、できた膜材(20cm×20cmの
大きさ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端から
4cmの幅で合わせライスターで加熱しながら貼り合わ
せた後、冷却したところ、膜材同士が容易に接着するこ
とができた。この接合した膜材の剥離強度を測定したと
ころ、7.4kg/3cm幅と中型テント用としても十
分な性能になった。
【0074】また、膜材の耐熱クリープを測定したとこ
ろどちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性
を示した。
【0075】また、防汚性を評価したところ、1級であ
り防汚性に優れていた。
【0076】[比較例1、2、3、4]樹脂層のフッ素
系樹脂として、実施例1、2のフッ化ビニリデンにヘキ
サフルオロプロピレンを共重合した樹脂(比較例1)、
フッ化ビニリデンにテトラフルオロエチレンを共重合し
た樹脂(比較例2)、実施例3、5のフッ化ビニリデン
−4フッ化エチレン−6フッ化アセトン系共重合樹脂
(比較例3)、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−
6フッ化プロピレン系共重合樹脂(比較例4)を用い実
施例と同様にポリエステル合成繊維基布を含有した樹脂
層シートを作製した。この膜材表面に防汚性や耐久性が
良好なフッ素樹脂として知られている市販ポリテトラフ
ルオロエチレンのフィルムを表層材として170℃で加
熱プレスしたが接着しなかった。
【0077】また、190℃以上で加熱プレスしたとこ
ろ、膜材中のポリエステル合成繊維が収縮して膜材の作
製ができなかった。
【0078】[比較例5、6、7、8]比較例1と同様
に、樹脂層に用いる軟質フッ素系樹脂として、フッ化ビ
ニリデンにヘキサフルオロプロピレンを共重合した樹脂
(比較例5)、フッ化ビニリデンにテトラフルオロエチ
レンを共重合した樹脂(比較例6)、フッ化ビニリデン
−4フッ化エチレン−6フッ化アセトン系共重合樹脂
(比較例7)、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−
6フッ化プロピレン系共重合樹脂(比較例8)を用い、
比較例1のポリエステル合成繊維基布の代わりにガラス
繊維基布を用いた膜材シートを作製した。
【0079】比較例1と同様に市販ポリテトラフルオロ
エチレンのフィルムを表層材として250℃で加熱プレ
スしたが接着しなかった。
【0080】また、250℃以上に加熱プレスしたとこ
ろ、フッ化ビニリデンーテトラフルオロエチレンとの共
重合樹脂が280℃で接着し他は接着しなかった。
【0081】また、接着した膜材も非常に硬く柔軟性の
ない膜材であった。この膜材を折り曲げるとシワが入
り、折り畳みや加工が困難な膜材になった。この膜材の
防汚性を評価したところ、7級であり、防汚性も劣った
ものであった。
【0082】[比較例9、10]フッ化ビニリデン−4
フッ化エチレン−6フッ化アセトン系共重合樹脂(比較
例9)、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ
化プロピレン系共重合樹脂(比較例10)を用い実施例
と同様にポリエステル合成繊維基布を含有した樹脂層の
みからなる膜材を作製した。
【0083】また、できた膜材(20cm×20cmの
大きさ)を2枚準備し、各膜材の裏と表を1片の端から
4cmの幅で合わせライスターで加熱しながら貼り合わ
せた後、冷却したところ、膜材同士が容易に接着するこ
とができた。この接合した膜材の剥離強度を測定したと
ころ、各々8.1kg/3cm幅と中型テント用として
も十分な性能になった。
【0084】また、膜材の耐熱クリープを測定したとこ
ろどちらも剥離まで24時間以上かかり、優れた耐久性
を示した。
【0085】しかし、防汚性を評価したところ、比較例
9の膜材は4級であり、比較例10の膜材は5級と防汚
性の劣った膜材であった。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得ら
れる。
【0087】樹脂層には軟質フッ素系樹脂を使用し、表
層には従来、接合が困難かつ強固に行なえなかったフッ
素系樹脂を使用することにより、防汚性、耐久性および
外観品位が優れた柔軟性フッ素系膜材を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の柔軟性フッ素系膜材の例を模式的に示
す概略横断面図である。
【図2】本発明の防汚性評価に使用する防汚性促進評価
装置を示す横断面を加味した概略斜視図である。
【符号の説明】 1:表層 2:樹脂層 3:基布 4:ベース膜材 5:柔軟性フッ素系膜材 6:サンシャインウェザーOメータ 7:評価試料 8:汚染浴用槽 9:汚染液供給ポンプ 10:供給ポンプ制御装置 11:攪拌装置 12:汚染浴回収受槽 13:汚染浴循環経路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基布に樹脂層と表層を積層してなる膜材に
    おいて、表層にポリフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデ
    ン系樹脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、2元系
    以上のフッ化ビニリデン系樹脂、2元系以上のテトラフ
    ルオロエチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上
    のフッ素系樹脂を積層してなり、樹脂層が軟質フッ素系
    樹脂であることを特徴とする柔軟性フッ素系膜材。
  2. 【請求項2】表層のフッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン
    にフッ化ビニル、トリフルオロエチレンおよびテトラフ
    ルオロエチレンの3種のモノマーの1種を共重合した2
    元系フッ素系樹脂、テトラフルオロエチレンにエチレ
    ン、ヘキサフルオロプロピレンおよびパーフルオロアル
    キルビニルエーテルの3種のモノマーの1種を共重合し
    た2元系フッ素系樹脂、クロロトリフルオロエチレンに
    エチレンを共重合した2元系フッ素系樹脂からなる群よ
    り選ばれた1種以上の2元系フッ素系樹脂であることを
    特徴とする請求項1記載の柔軟性フッ素系膜材。
  3. 【請求項3】表層のフッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン
    およびテトラフルオロエチレンおよびエチレンが共重合
    したフッ素系樹脂、フッ化ビニリデンおよびトリフルオ
    ロエチレンおよびテトラフルオロエチレンが共重合した
    フッ素系樹脂、フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエ
    チレンおよびフッ化ビニルが共重合したフッ素系樹脂、
    フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエチレンおよびト
    リフルオロクロロエチレンが共重合したフッ素系樹脂か
    らなる群より選ばれた1種以上の3元系フッ素系樹脂で
    あることを特徴とする請求項1記載の柔軟性フッ素系膜
    材。
  4. 【請求項4】樹脂層の軟質フッ素系樹脂が、フッ化ビニ
    リデン、3フッ化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ
    化プロピレン、6フッ化アセトン、エチレンからなる群
    より選ばれた2種以上のモノマーを共重合した2元系以
    上のフッ素系樹脂またはフッ化ビニリデン、3フッ化エ
    チレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、6フ
    ッ化アセトン、プロピレンからなる群より選ばれた2種
    以上のモノマーを共重合した2元系以上のフッ素系樹脂
    であることを特徴とする請求項1記載の柔軟性フッ素系
    膜材。
  5. 【請求項5】樹脂層の軟質フッ素系樹脂が、フッ化ビニ
    リデンおよび4フッ化エチレンに対して、6フッ化プロ
    ピレンおよび/または6フッ化アセトンを共重合したフ
    ッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の柔軟
    性フッ素系膜材。
  6. 【請求項6】樹脂層の軟質フッ素系樹脂および/または
    表層のポリフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン系樹
    脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、2元系以上の
    フッ化ビニリデン系樹脂、2元系以上のテトラフルオロ
    エチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のフッ
    素系樹脂もしくはこれら樹脂の成分のフッ素系単量体
    を、溶剤に溶解させた溶液を樹脂層と表層の間に入れ、
    加熱圧着することによって、樹脂層と表層を接着するこ
    とを特徴とする柔軟性フッ素系膜材の製造方法。
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