JPH0839643A - 複数の金型を用いる成形方法 - Google Patents

複数の金型を用いる成形方法

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JPH0839643A
JPH0839643A JP21931695A JP21931695A JPH0839643A JP H0839643 A JPH0839643 A JP H0839643A JP 21931695 A JP21931695 A JP 21931695A JP 21931695 A JP21931695 A JP 21931695A JP H0839643 A JPH0839643 A JP H0839643A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の金型を用いて成形品を成形するのに、
金型に滞留を生じさせずにシステムの円滑な流れを達成
し、しかも均一かつ高精度な成形品を得る。 【解決手段】 複数の金型a〜nを昇温工程A、射出成
形工程B、冷却工程C及び成形品取出工程Dに順次移送
して成形品を成形する成形方法において、金型移送の移
送速度及び移送待ち時間のいずれかを用いて各金型a〜
nの移送を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形技術に属する
ものであり、特に、複数の金型を昇温工程、射出成形工
程、冷却工程及び成形品取出工程の各工程に順次移送し
て成形品を成形するのに有用な成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の射出成形においては、
射出成形機より射出され成形された樹脂の冷却硬化をそ
の場で行なって硬化した成形樹脂を取り出し、次回の樹
脂射出を行なうという工程をとると、射出成形機は樹脂
が硬化するまで次回の樹脂の射出に用いることができな
いため、使用効率が悪く、また射出成形機の出口通路の
樹脂が硬化する等の問題点が生じる。そのため、複数の
金型を用意し、射出成形機により樹脂が射出された金型
を別の場所へ移動してそこで冷却し、一方射出成形機で
は直ちに次の(別の)金型に樹脂を射出するという成形
システムが提案されている(例えば、特開昭58−17
3635号公報参照)。
【0003】このような成形システムのうち、本出願人
は、射出成形機及び複数のプレス機を設け、射出成形機
により樹脂を射出し充填した金型を複数のプレス機の1
つに移動し、そこで加圧するとともに温度制御しつつ冷
却するシステムを提案してある(特開昭61−8901
9号公報)。また、本出願人は、ガイドとその上を移動
するトラバーサ(以下、トラバース装置という)を用い
て金型を射出成形工程よりガイドに沿って並設された複
数のプレス機の1つに移送し、また上記プレス機より次
の工程へ移送するように構成した成形システム(例え
ば、特開昭61−89019号公報の第6図参照)を提
案してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
にトラバース装置を用いて金型を移送するように構成し
た成形システムの場合、金型は射出成形工程からトラバ
ース装置のガイドに沿った一定場所(以下、ベースポイ
ントという)へ移送され、そのベースポイントから各プ
レス機へ移送されるという工程がとられる。
【0005】また、金型に滞留を生じさせずにシステム
を円滑に作動させるためには、各金型を一定時間ごとに
規則正しく次の工程へと送る必要がある。
【0006】ところが、上記のように構成されたシステ
ムにおいては、ベースポイントと各プレス機との距離が
異なるため、金型がベースポイントから各プレス機へ移
送されるに要する時間が各プレス機によって異なり、一
方各プレス機の金型は上記のように一定時間ごとに次の
工程へと移送されるため、各プレス機における加圧、冷
却時間に長短が生じる。
【0007】また、金型を各プレス機より次の工程へと
移送する場合においても、金型が各プレス機より次の工
程へ移送されるに要する時間が各プレス機によって異な
り、上記と同様に、次の工程における工程時間に長短が
生じる。
【0008】これに対処して、各プレス機における加圧
・冷却時間や次の工程における工程時間を一定にする
と、金型は次の工程へ遅れて移送されるため、金型を一
定時間ごとに規則正しく送ることができず、金型の流れ
に滞留が生じてしまう。これに対処して、成形品の精度
を保証するためには各金型ごとに温度制御を行なう必要
があるが、このように金型ごとに制御を行なうと、各金
型の温度特性により工程時間の長短が生じ、システムの
円滑な流れを阻害して生産性の低下を招く等の問題が生
じる。
【0009】また、上記のように複数の金型を用いて加
圧・冷却する場合、各プレス機における加圧・冷却時間
を一定にしても、各金型の温度特性が異なるために均一
な冷却ができず、成形品の精度にばらつきが生じてしま
う。これに対処して成形品の精度を保障するには、各金
型ごとに温度制御を行なう必要があるが、このような各
金型ごとの制御を行なうと、各金型の温度特性差により
工程時間の長短が生じ、システムの円滑な流れを阻害
し、生産性の低下を招く等の問題が生じる。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、複数の金型を用いて成形品を成形するのに、金
型に滞留を生じさせずにシステムの円滑な流れを達成
し、しかも均一かつ高精度な成形品を得ることを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的を達成するものとして、複数の金型を昇温工程、射出
成形工程、冷却工程及び成形品取出工程に順次移送して
成形品を成形する成形方法において、前記金型移送の移
送速度及び移送待ち時間のいずれかを用いて前記各金型
の移送を制御することを特徴とする、複数の金型を用い
る成形方法、が提供される。
【0012】また、本発明に関連する技術思想として、
次の様なものがある。
【0013】複数の金型を昇温工程、射出成形工程、冷
却工程及び成形品取出工程に順次移送して成形品を成形
する方法において、金型の状態、例えば昇温状態や冷却
状態の金型に関する情報を入力し、該情報に応じて金型
を移送する移送手段の速度を制御したり、又は金型を移
送せずに待機させるようにし、この金型の情報を所定の
情報と比較判別する手段によって金型の移送を制御する
ために、各工程間に各金型を移送する移送手段と、前記
金型を移送する速度又は移送待ち時間のいずれかの判別
を行なう判別手段を備え、前記判別手段によって前記金
型の移送を制御するようにしたことを特徴とする複数の
金型を有する成形方法。
【0014】昇温工程における金型の昇温時間の設定時
間に対する長短に伴う金型の滞留を解決するために、昇
温工程における金型の昇温時間を計る第1の時間計測手
段と、成形品によってあらかじめ決められた昇温時間を
設定する制御手段と、前記計測手段の信号と前記制御手
段からの信号を比較する第1の比較手段を有し、前記第
1の比較手段の比較動作に基づいて前記金型の移送を待
ち時間による制御又は移送速度による制御の選択を行な
うことを特徴とする複数の金型を有する成形方法。
【0015】昇温工程から射出成形工程に金型が移送さ
れる途中の金型の昇温時間のくるいによる金型の滞留を
防止するために、昇温工程から射出成形工程に金型を移
送する際の移送途中及び移送後にわたる経過時間を計る
時間計測手段と、昇温工程から射出成形工程に金型を移
送する途中、又は移送後に前記金型の温度を測る温度測
定手段と、前記昇温工程から前記射出成形工程までの前
記金型の決められた昇温時間を設定する制御手段と、前
記時間計測手段と前記制御手段からの信号を比較する比
較手段を有し、前記比較手段の比較結果に基づいて前記
金型の待ち時間による制御、又は前記金型の移送速度に
よる制御の選択を行なうことを特徴とする複数の金型を
有する成形方法。
【0016】冷却工程における複数の冷却機に収納され
て冷却される金型の冷却速度の差による金型の滞留を防
止するために、金型を冷却機から取出工程に移送するト
ラバーサと、冷却工程における金型の冷却時間を計る時
間計測手段と、前記冷却工程における金型のあらかじめ
決められた冷却時間を設定する制御手段と、前記時間計
測手段の信号と前記制御手段の信号を比較する比較手段
を有し、前記比較手段の比較結果に基づいて前記トラバ
ーサの待ち時間制御、又はトラバーサの速度による制御
の選択を行なうことを特徴とする複数の金型を有する成
形方法、及び、射出成形工程から冷却工程の所定位置に
金型を送る第1の移送手段と、前記第1の移送手段から
金型を受けて前記冷却工程のなかの冷却機に金型を移送
するトラバーサと、前記トラバーサを駆動する手段と、
前記第1の移送手段及び前記トラバーサに金型が在るか
否かを検出する手段と、前記検出手段の信号に基づいて
前記駆動手段を駆動する制御手段とを有することを特徴
とする複数の金型を有する成形装置。
【0017】冷却工程の複数の冷却機に収納される金型
は還流条件によって冷却速度が設定速度通りに冷却され
ない場合が生じるが、この問題を解決するために、複数
の金型を射出成形機内に挿入して射出した後取出し、該
金型を複数の冷却機を備えた冷却工程に順次移送し、各
冷却機によって冷却された金型を冷却機から取出して成
形品取出工程に移送する成形方法であって、前記各冷却
機に冷却媒体を供給する手段と、前記各冷却機にセット
された金型の温度を検出する手段と、前記各冷却機にセ
ットした金型の冷却時間を計測する手段と、あらかじめ
決められた金型の冷却時間及び冷却温度を記憶する手段
と、前記冷却媒体の冷却温度を切替える制御手段とを有
し、前記各冷却機の各金型の温度と各金型の冷却時間を
前記記憶手段からの設定された冷却時間及び冷却温度と
比較し、比較結果に基づいて各金型への冷却媒体の温度
を切り換えるようにしたことを特徴とする複数の金型を
有する成形方法。
【0018】冷却工程に複数の成形機を備え、各成形機
に金型を収容して冷却する構成において、冷却が終了し
た金型を順次成形機から搬出するためにトラバーサを冷
却終了した金型の位置に移動する必要が生じるが、これ
に対処するために、複数の金型を射出成形機内に挿入し
て樹脂を射出した後に取出し、該金型を複数の冷却機を
備えた冷却工程及び成形品取出工程に順次移送する成形
装置であって、各冷却機の冷却温度を検出する手段と、
前記各冷却機に設けられた金型の冷却時間を計る手段
と、射出成形する成形品に応じた冷却時間に対応した温
度を示す冷却曲線を記憶する手段と、前記複数の冷却機
から金型を取出すための制御を行なう手段であって、前
記制御手段は前記記憶手段の情報と、前記各冷却機内の
金型の冷却時間と冷却温度の信号を入力し、前記複数の
冷却機の冷却終了する金型を抽出し、抽出信号を出力す
る手段と、前記冷却工程と前記成形品取出工程間にて前
記金型を移送するトラバース手段であって、前記金型を
移送するトラバーサーを制御する手段を有するトラバー
ス手段と、前記制御手段は前記取出制御手段からの抽出
信号を受けて冷却終了した金型を収納した冷却機の位置
に前記トラバーサーを移動する複数の金型を有する成形
装置。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0020】図1は本発明の実施形態の成形システムの
全体的構成図である。
【0021】本実施形態の成形システム25の全体構成
は、A:昇温工程、B:射出成形工程、C:加圧冷却工
程、D:成形品取出工程の4工程からなり、昇温工程A
と射出成形工程Bとの間はコロを用いた金型移送路1で
接続され、射出成形工程Bと加圧冷却工程Cとの間はコ
ロを用いた金型移送路5及びNCトラバース装置2で接
続され、また加圧冷却工程Cと成形品取出工程Dとの間
はNCトラバース装置2で接続されている。さらに、N
Cトラバース装置2にはトラバース装置制御部22が接
続されており、トラバース装置制御部22は中央制御盤
17と接続されている。なお、中央制御盤17は本成形
システムの他の装置とも接続されている(配線省略)。
【0022】次に本成形システム25の各装置について
説明する。
【0023】昇温工程Aにおいては、射出成形工程Bよ
りもより長い時間を必要とするため、2個の昇温装置6
を設け、一方の装置において金型の昇温を行なっている
最中に他方の装置でも同様に他の金型の昇温を行なうこ
とができるように構成されている。各昇温装置6の前に
はコロを用いた方向変換機23が設けられ、金型を搬入
した後、方向変換機23を90度回転させて金型を搬出
させることにより、成形品取出装置15より送られてき
た金型を昇温装置6内へ、また昇温装置6内の金型を射
出成形機7へ送ることができる。なお、方向変換機23
のコロは内蔵した駆動源により回転可能とされている。
成形品取出装置15と方向変換機23との間、方向変換
機23と昇温装置6との間、方向変換機23同士の間は
コロを用いた移送路24で接続され、このコロも同様に
内蔵した駆動源により回転可能とされている。
【0024】このような昇温装置6においては、装置の
炉内に金型が搬入された後、その金型に温度センサー
(不図示)が接続され、ヒータ板(不図示)により金型
が加熱される。所定温度まで加熱された後、温度センサ
ーが離脱され、金型が炉外へ搬出される。
【0025】本実施形態では、昇温工程Aにおいて、加
圧冷却工程C(後述する)にて80℃まで冷却された金
型を100℃まで60秒で昇温するよう設定されてい
る。
【0026】昇温工程Aと射出成形工程Bとの間は、金
型移送路1と90度反転装置3aで接続され、金型移送
路1が途中で直角に曲がった部分にエレベータ26が設
けられている。金型移送路1は金型移送方向に並べられ
たコロが内蔵した駆動源により回転されるよう構成さ
れ、金型はコロの上に載置されて移送方向に移動され
る。
【0027】上記方向変換機23から金型移送路1を経
てエレベータ26に移送された金型は、ここで金型の向
きは変えずに移動方向だけを90度だけ変え、金型はそ
の向きのまま90度反転装置3aへと進むことができ
る。
【0028】90度反転装置3aは、射出部7aが横方
向に設けられた射出成形機7に対処して金型のランナー
部を横方向とするために、金型を90度反転させるよう
に設けられ、この90度反転装置3aを通過した後、金
型は射出成形機7前方の金型待機位置4に移送され、こ
の金型待機位置4において、不図示の温度センサにより
金型温度が計測される。昇温工程Aにおいて100℃ま
で昇温された金型はその後金型内の熱伝導によりさらに
昇温され、金型温度が所定の成形温度120℃に昇温し
たとき射出成形機7内に搬入して射出成形を行なうよう
にする。
【0029】本実施形態では、昇温工程Aを終了してか
ら射出成形機7前の待機場所4にて成形温度120℃に
昇温するまでの設定時間は、120秒とされている。
【0030】射出成形工程Bにおいて、金型が射出成形
機7に搬入されると成形機7のダイセットの型締が行な
われ、220℃の樹脂が金型に射出された後一定時間保
圧され、次いでダイセットの型開が行なわれた後、金型
は搬出されて90°反転装置3bへ送られる。なお、射
出成形機7には金型を射出充填に必要な温度に温度調整
するための温調機8が設けられている。
【0031】本実施形態では、金型が射出成形機7に搬
入された後、射出成形機7より搬出されてNCトラバー
ス装置2(後述するベースポイント13の地点)に至る
までに要する時間が60秒となるようにされている。
【0032】90度反転装置3bは、射出成形機7の後
方に用いられており、ここで射出が終った金型のランナ
ー部が上方向に復帰される。
【0033】90度反転装置3a,3bにより射出成形
工程Bでは金型はランナー部を横にした状態で流れ、加
圧冷却工程C、取出工程D、昇温工程Aにおいては、金
型はランナー部を上にした状態で流れる。なお、射出成
形機の射出が下方向にされるように構成した場合、又は
金型が加圧冷却工程C、取出工程D、昇温工程Aのいず
れにおいてもランナー部を横方向にした状態で処理され
る場合には、90°反転装置3a,3bは不要である。
金型移送路5は、90度反転装置3bを経た金型をNC
トラバース装置2のベースポイント13(NCトラバー
ス装置2が金型を受け取る地点)へ移送するために設け
られ、金型移送路1と同様、移送方向に並べられたコロ
が内蔵された駆動源により回転し、コロの上に載置され
た金型を移動することができる。
【0034】NCトラバース装置2は本実施形態では2
本のガイドレール9及びその上を移動するトラバーサ1
0により構成されている。またトラバーサ10は左右一
対の投入コンベア11、取出コンベア12により構成さ
れている。投入コンベア11は内蔵された駆動源により
作動し、金型を図1における下方向から取入れてコンベ
ア内に載置し、また上方向へ送出することが可能とさ
れ、金型をベースポイント13から各プレス機18へ移
送する際に用いられる。取出コンベア12は内蔵された
駆動源により作動し、金型を図1における上方向から取
り入れ、コンベア内に載置し、また下方向へ送り出すこ
とが可能とされ、金型を各プレス機18から成形品取出
装置15へ移送する際に用いられる。
【0035】本実施形態ではNCトラバース装置2を用
いて金型がベースポイント13より各プレスユニット1
8に至るまでに要する時間が30秒、また各プレスユニ
ット18より成形品取出装置15に至るまでに要する時
間が30秒となるよう設定されている。
【0036】加圧冷却工程は8つのプレスユニット18
(No.I〜No.VIII)により構成されている。各プ
レスユニット18(No.I〜No.VIII)はNCトラ
バース装置2のレール9に並設されている。また、各プ
レスユニットはトラバーサ10が移動して各プレスユニ
ット18の前に来たとき、トラバーサ10と各プレスユ
ニット18の移送路14との間で金型のやりとりが可能
なように、レール9より所定距離離れて設けられてい
る。移送路14は内蔵された駆動源により作動し、移送
路14上に載置された金型を移送することができる。プ
レスユニット18は上下一対の再プレス冷却ダイセット
を有しており、それぞれのダイセットの中には冷媒を流
すための管路が冷却媒体供給手段の管路62a,62b
と接続して配設されている(図示省略)。そして、それ
ぞれのダイセットの管路を流れる冷媒の流量は中央制御
盤17及びトラバース装置制御部22の指令のもとに固
定側用温調機19及び可動側用温調機20により調整さ
れる。金型が上下一対の再プレス冷却ダイセットの中に
挿入されると、金型に温度センサーが接続され、上下の
ダイセットは相対的に移動して金型を加圧接触し、ダイ
セット内の管路を流れる冷媒によって金型を冷却する。
金型の冷却は所定の温度勾配を得るよう、管路内の冷媒
の流速又は温度を変化させる等の制御を伴って行なう。
これにより成形品の冷却時に発生する収縮歪み及び内部
応力歪みを最少限に押えることができる。
【0037】本加圧冷却工程Cにおいては、金型は温度
センサーにより計測されながら120℃より80℃に達
するまで冷却される。
【0038】金型が所定温度に冷却されると、温度セン
サーを離脱して、ダイセットを相対的に開き、金型を移
送路14を至てトラバーサ10の取出コンベア12に移
送する。
【0039】本実施形態では加圧冷却工程Cに要する時
間、即ち金型がプレスユニット18の移送路14に搬入
されその後冷却を終り移送路14を出ていくまでに要す
る時間が480秒となるように設定されている。
【0040】成形品取出工程Dは、本実施形態では図1
におけるNCトラバース装置2の右端下方部に設置され
ており、その位置に成形品取出装置15及び装置15の
右側にストッカー21が据付けられている。トラバーサ
10が移動して成形品取出装置15の前に来たとき、ト
ラバーサ10の取出コンベア12と成形品取出装置15
の移送路16との間で金型の授受が可能なように、取出
装置15はレール9より所定距離離れて設けられてい
る。金型がトラバーサ10により移送路16を至て成形
品取出装置15に装着されると、金型に設けられた開き
止め機構が解除され、金型の型開きが行なわれ、成形品
突出し棒により成形品が突出されて取出され、その成形
品はストッカー21に貯蔵される。成形品が取出された
金型は型締され開止めロックされ、昇温工程Aへ移送さ
れる(図示省略)。
【0041】本実施形態では取出工程Dに要する時間、
即ち金型が取出装置15の移送路16に搬入され、その
後成形品が取り出された金型が昇温工程Aに移動するま
でに要する時間が60秒となるように設定されている。
【0042】本実施形態ではプレスユニット18で加圧
冷却され成形が完了した成形品の取出しはプレスユニッ
ト上で行なわず、上述のように別の位置に設けられた成
形品取出装置15により集中して行なう。プレスユニッ
ト18上に取出装置を設けるとプレスユニットの構造が
複雑、大型化し、また各プレスユニット18に取出装置
を設けなければならないためプレスユニット群No.I
〜No.VIIIの占める占有面積が大きくなり、更に取出
工程の管理も複雑になるという問題が生じるが、本実施
形態では取出作業を1ヶ所で行なうことにより上記問題
点を解消している。
【0043】トラバース装置制御部22はNCトラバー
ス装置2の動作等を定まったプログラム等に従って指令
するものであり、トラバース装置制御部22は中央制御
盤17の指令のもとにNCトラバース装置2を制御し、
トラバーサ10の待機、速度調整を行うことができる。
【0044】中央制御盤17は本成形システム25の各
装置へ各装置の制御部等(図示省略)を介して接続され
ており、本成形システム25を全体として制御する。
【0045】なお、本システム25には、システムを流
れる金型が所定の位置にあるか否かを検知するために、
その所定の位置にセンサーが設けられている。即ち、移
送路5のベースポイント地点、トラバーサ10の投入コ
ンベア11及び取出コンベア12内、各プレスユニット
18(No.I〜No.VIII)内の金型が装着される部
分、成形品取出装置15内の金型が装着される部分等に
は、マイクロスイッチ等が設けられ、金型が所定の位置
にあるか否かを検知することができるようにされてい
る。
【0046】次に、本実施形態に係る成形システムにお
ける金型の配置・流れについて図2を参照しながら説明
する。ただし、これは、各工程において金型が設定時間
通りに移送されるよう制御された場合のものである。
【0047】図2は金型のタイムチャートであり、横軸
にタイムを1分=1タイムとして示し、各金型のタイム
の進行に伴う成形システムでの位置を示している。本実
施形態では射出成形工程及び金型のベースポイントへの
移送に要する時間である1分を基本時間とし、射出成形
工程で1分ごとに樹脂が金型に射出されるように、各金
型を1分ずつ遅れてシステム内に流すように設計されて
いる。本実施形態では、昇温工程及び金型の射出成形機
への移送に計3分、射出成形工程及び金型のベースポイ
ントへの移送に1分、NCトラバース装置2での目的プ
レスユニットへの金型の移送に0.5分、加圧冷却工程
に8分、NCトラバース装置2での取出装置15への金
型の移送に0.5分、取出工程に1分を要するよう設定
されているため、合計14分が金型がサイクルを1巡す
るのに要する時間であり、従って14÷1=14個の金
型をシステム内に必要とする。図1にタイム14の時点
における14個の金型a〜nの夫々の位置が示してあ
る。図2に示すように、この状態よりタイム15の時点
に時間が進むと、金型a〜nはそれぞれ進行し、例えば
金型aは金型nの位置に、金型nは金型fの位置に、金
型fは金型eの位置へ戻る。更に時間がタイム16の時
点となると、例えば金型aは金型nの位置よりプレスユ
ニットVII の位置に至る。
【0048】ところで、実際の成形システムにおいて
は、金型の移送を上記のタイムチャート通りに行なう
と、各金型の温度特性の違いにより金型温度にバラツキ
が生じ、成形条件範囲を外れてしまい、高精度な成形が
望めない。又、金型温度を目標値まで冷却、昇温する方
式を採用すると、高精度な成形が可能となるが、各工程
時間に過不足を生じ、円滑なシステムの流れを阻害し、
量産性を著しく悪化させる。そこで、本実施形態におい
ては、金型温度が各工程における目標値に達するまでそ
の工程での冷却、昇温を終了しないこととし、そのため
各工程における設定時間を超過したり或いは不足したり
して生じる時間の誤差をNCトラバース装置2による金
型の移送を待ち時間で制御したり或いは移送速度で制御
してシステム全体における金型の移送に滞留を生じない
ようにしてある。
【0049】上記のように金型の移送を待ち時間で制御
したり或いは移送速度で制御するか否かの条件判断は次
の3通りの場合に行なう。
【0050】第1に、昇温工程Aにおいて、金型温度
が、80℃から目標値の100℃まで昇温する昇温時間
が設定時間60秒に対して過不足が生じるか否かであ
る。設定時間より昇温時間が長くなった場合(このとき
生じる遅延時間をTh で示す)、ベースポイント13か
ら各プレスユニット18までの金型の移送速度(VBP
示す)を速めることにより調整する。また、設定時間よ
り昇温時間が短い場合、NCトラバース装置2により移
送された金型を各プレスユニット18前で待ち時間(T
1 で示す)を設けることにより調整する。
【0051】第2に、金型が昇温工程Aから射出成形工
程間の金型の移送、即ち金型が昇温工程Aから搬出され
て射出成形機7前の待機場所4に至った時点で金型温度
が目標値120℃に昇温する昇温時間が設定時間120
秒に対して過不足が生じるか否かである。この場合も上
記同様に、ベースポイント13から各プレスユニット1
8までの金型の移送待ち時間制御、移送速度制御により
設定時間の過不足を調整することができる(この場合に
生じる遅延時間をTn で示し、移送待ち時間をT1 で示
す)。
【0052】第3に、加圧冷却工程Cにおいて、金型温
度が120℃から目標値の80℃に達するまでの設定時
間480秒に対して過不足が生じるか否かである。設定
時間を超過した場合(このとき生じる遅延時間をTp
示す)、各プレスユニット18から成形品取出装置15
までの金型の移送速度(VPTで示す)制御により調整
し、また設定時間を不足した場合、トラバース装置制御
部22にて移送された金型を成形品取出装置15前にて
待ち時間(T2 で示す)を設けることにより調整する。
【0053】次に、本実施形態に係る成形システムのN
Cトラバース装置の動作について図1のシステム図、図
3〜図5のブロック図を参考にしながら、各管理フロー
別のフローチャートを示す図6〜図12を用いて説明す
る。
【0054】本システムを作動するに当たり中央制御盤
17に各種の初期設定値を記憶する。図3において、各
プレスユニット18(No.I〜No.VIII)とベース
ポイント13間の移送時間TBPの設定(B1)、トラバ
ーサ10の移送速度Vの設定(B2)、各プレスユニッ
ト18から取出装置15間の移送時間TPTの設定(B
3)、各プレスユニットとベースポイント13との距離
x の設定(B4)、各プレスユニットと取出装置との
距離Ly の設定(B5)を行ない、中央制御盤17のメ
モリーMに前記設定値B1〜B5を記録する。又、メモ
リーMには後述する昇温工程における設定時間
(t1 )、昇温から射出成形工程間の設定時間
(t 2 )、加圧冷却工程における設定時間(t3 )が記
憶される。
【0055】まず、図6に示す昇温工程Aの金型移送管
理フローチャートにおいて、成形品取出工程Dにおいて
成形品が取出され空にされた金型を昇温装置6内に搬入
(Sal)した後、温度センサーを接続(Sa2)して
金型温度を計測しながら昇温を開始し、同時に昇温時間
の計測を開始する(Sa3、4、5)。金型温度は、温
度センサーからの信号を温度測定手段40で読み取る。
昇温時間の計測は第1の時間計測手段T1 により行なわ
れる。昇温は金型が目標値100℃に達するまで行ない
(Sa6)、この目標値に達した時点で昇温を終了して
昇温時間計測タイマーを切り(Sa7)、時間計測手段
1 により時間の信号が出力され、温度センサーを金型
から離脱する(Sa8)。このとき、中央制御盤17に
おいて、計測された昇温時間(計測昇温時間と称する、
以下同様)と設定された昇温時間(設定昇温時間t1
以下同様)との比較が第1の比較手段42によって行な
われ(Sa9)、計測時間T1 が設定時間t1 より短い
場合、図9に示す工程にてトラバーサ10の待ち時間制
御が行なわれる(以下、後述する)。また、計測昇温時
間が設定昇温時間より長いか等しい場合、計測昇温時間
から設定昇温時間を引いた遅延時間Th の演算が第1の
計算手段43により行なわれ(Sa10)、中央制御盤
17にこの遅延時間Th が記録され(Sa11)、しか
る後、図10に示す工程にてベースポイント13からプ
レスユニット18までトラバーサ10の速度制御が行な
われる(以下、後述する)。
【0056】次に、図7に示す昇温工程Aから射出成形
工程間の金型の移送管理フローチャートにおいて、昇温
工程Aにおける金型の昇温終了(Sb1)後、昇温工程
Aから射出成形工程間の金型の移送工程時間計測を第2
の時間計測手段T2 によって開始し(Sb2)、射出成
形機7前の待機場所4へ金型を移送する(Sb3)。し
かる後、この待機場所4において、金型に温度センサー
を接続し(Sb4)、金型の温度を第2の温度測定手段
44によって計測する。昇温工程Aを出た金型は射出成
形機7前の待機場所4に至るまでに金型内の熱伝導によ
りさらに昇温される。そこで上記金型の温度計測によ
り、金型温度が成形下限温度と成形上限温度間にまで達
した時点(Sb5)で第2の温度測定手段44の測定信
号に基づいて中央制御盤17から成形準備完了信号が発
せられる(Sb6)と第2の時間計測手段T2 がOFF
される(Sb7)。しかる後、金型温度センサーが金型
から離脱される(Sb8)。このとき、中央制御盤17
において、第2の時間計測手段T2 の計測時間(T2
と設定時間(t2 )との比較が第2の比較手段46によ
って行なわれる(Sb9)。計測時間(T2 )が設定時
間(t2 )より短い場合、図9に示す行程にてトラバー
サ10の待ち時間制御が行なわれる(以下、後述す
る)。また、計測時間が設定時間より長いか又は等しい
場合、計測時間から設定時間を引いた遅延時間Ti の演
算が第2の計算手段48によって行なわれる(Sb1
0)。中央制御盤17にこの遅延時間Ti の記録が成さ
れ(Sb11)、しかる後、図10に示す行程にてベー
スポイント13からプレスユニット18までトラバーサ
10の速度制御が行なわれる(以下、後述する)。
【0057】さらに、図8に示す加圧冷却工程における
管理フローチャートにおいて、プレスユニット18に搬
入(Sc1)された金型に温度センサーを接続した(S
c2)後、第3の温度測定手段50が作動を開始して加
圧冷却工程が開始される(Sc3)。そして、同時に冷
却行程に要した時間の計測が第3の時間計測手段52に
よって開始される(Sc4)。冷却は、所定の温度勾配
で制御しながら行ない(Sc5)、金型温度が目標温度
80℃より低い温度に達した時点(Sc6)で第3の温
度測定手段50の測定信号によって冷却を終了し、第3
の時間計測手段52がOFFされ(Sc7)、温度セン
サーが金型から離脱される(Sc8)。このとき、中央
制御盤17において、第3の時間計測手段52の計測時
間と中央制御盤17の記憶された設定時間(t3 )との
比較が第3の比較手段54によって成され(Sc9)、
計測時間が設定時間より短い場合、図11に示す行程に
てトラバーサ10の待ち時間制御が行なわれる(以下、
後述する)。また、計測時間が設定時間より長いか等し
い場合、計測時間より設定時間を引いた冷却工程での遅
延時間TP の演算が第3の計算手段56により行なわれ
(Sc10)、中央制御盤17にこの遅延時間TP が記
録され(Sc11)、しかる後、図12に示す行程にて
プレスユニット18から取出装置15までトラバーサ1
0の速度制御が行なわれる(以下後述する)。
【0058】図9に示す行程では、まずトラバーサ10
が取出装置15へ金型を搬出した後、ベースポイント1
3へ戻り、投入コンベア11が移送路5と一致した状態
で停止する。そして、トラバース装置制御部22等の指
令により、取出コンベア12内に設けられたセンサーS
1 により取出コンベア12内に金型が有るか否かを確認
し(S01)確認信号S1 を出力する。そして、投入コ
ンベア11内に設けられたセンサ−S2 により投入コン
ベア11内に金型が有るか否かを確認し(S02)確認
信号S2 を出力し、更にS03へ進み投入コンベア前の
金型移送路5の上に金型が有るか否かをセンサーS3
より確認し、確認信号S3 を出力する。そして、移送路
5の上に金型が有ることを確認すると、図4に示すセン
サーS1、S2 、S3 の信号を判別ロジック回路a1に
入力し、該回路a1からの信号によってコンベアー作動
手段60の出力によって投入コンベア11を作動させ
(S04)、金型を投入コンベア11内に載置する。
【0059】そして投入コンベア内に金型が有ることを
センサーS2 により確認して(S05)、次にトラバー
サ10が到達すべきプレスユニットNo.をプレスユニ
ット選択手段58により選択する(S06)。
【0060】加圧冷却工程Cの各プレス機(I〜VIII)
には冷却媒体を流通する配管62a,62bが設けられ
ており、冷却媒体供給手段62から通路62a,62b
を経て冷却媒体が供給されている。
【0061】中央制御盤17には成形品の樹脂材料、形
状、仕上げ精度に応じた冷却温度を示す設定(曲線)情
報がメモリーMに入力されている。
【0062】各プレス機には金型の冷却温度を測定する
センサーD1 〜D8 と、各金型が各プレス機に挿入して
加圧冷却を開始してからの冷却時間を計測する手段P1
〜P 8 が設けられている。前記センサーD1 〜D8 の信
号及び計測手段P1 〜P8 の信号は、中央制御盤17に
入力し、各メモリーに入力する。中央制御盤17内では
各金型からの温度と冷却時間の情報をあらかじめ設定入
力された設定情報を中央制御盤17内の比較手段64に
よって比較し、この比較手段64の比較信号を冷却媒体
の温度を調整する温度調整手段66に送る。
【0063】そして、温度調整手段66では比較手段6
4の信号によって各プレス機に供給する媒体の温度を調
整する。
【0064】中央制御盤17は、各プレス機からの各金
型の冷却時間と冷却温度の情報を入力して加圧冷却の終
了する金型を判別する判別手段68を備えている。
【0065】該判別手段68は、図5に示すように、各
プレス機からの前記情報(CP1 、CP2 …CP8
と、メモリーに入力された基準となる情報CP0 を比較
手段(n1 〜n8 )に入力し、プレス機からの情報が冷
却終了を示す値に達したときに比較信号n1 〜n8 を出
力し、この比較信号の有無を検出手段70によって検出
することによりどの金型が加圧冷却作用を終了したかを
判別する。中央制御盤17は前記検出手段70の検出信
号70aをトラバース装置制御部22に入力する。
【0066】該トラバース装置制御部22は該検出信号
70aの信号を受けてベースポイント13に在るトラバ
ーサ10の駆動手段72を駆動してトラバーサ10を作
動させる。
【0067】加圧冷却作用の終了した金型を収容したプ
レス機には前記比較信号n1 〜n8の出力に応じて終了
信号m1 〜m8 を終了信号発生手段74から出力する。
【0068】トラバーサ10は駆動手段72によって駆
動され、終了信号発生手段によって出力する金型を収容
することにより停止する。この停止位置でトラバーサ1
0は待機する(S07・S08)。この待ち時間T
1 は、中央制御盤17の第1の待ち時間計算手段B9に
おいて、 T1 =TBP−Lx /V (図3、B9) の演算により行なわれ(S09)、この待ち時間T1
トラバース装置制御部22に入力され、このトラバース
装置制御部22の指令によりトラバーサ10を待ち時間
1 だけ待機させる(S10)。
【0069】所定時間待機させた後、取出コンベア12
を作動させ、金型をプレスユニット18より取出コンベ
ア12へ移す(S12)。
【0070】そして、取出コンベア12内に金型が有る
ことを確認して(S13)、次にトラバーサ10の投入
コンベア11が金型の取り出されたプレスユニット18
の移送路14と一致するようにトラバーサ10をわずか
に移動させる(S14,S15)。
【0071】そして、投入コンベア11を作動させて
(S16)プレスユニット18内へ金型を送り、プレス
ユニット18内に金型が有ることをセンサーにより確認
する(S17)。次いで、この冷却行程において計測時
間が設定時間と等しいか否かにより図11に示す行程に
至るか、図12に示す行程に至るかを中央制御盤17よ
り指令する(S18)。即ち、冷却行程に上記演算によ
る遅延時間Tp が生じなかった場合、図11に示す行程
に至り、遅延時間Tp が生じた場合、図12に示す行程
に至る。
【0072】図10に示す行程では、トラバーサ10が
ベースポイントへ戻ると、取出コンベア12内に金型が
有るか(S41)、投入コンベア11内に金型が有るか
(S42)、投入コンベア11前に金型が有るか(S4
3)を判断し、S44へ至って投入コンベア11を作動
させて、金型を投入コンベア内に載置する(S45)。
【0073】そして、待ち時間制御の場合と同様、トラ
バーサ10が次に到達すべきプレスユニットNo.を選
択する(S46)。
【0074】そして、プレスユニットNo.の選択と同
時に、トラバーサ10の速度を設定してトラバーサ10
に指令する(S47)。このトラバーサ10の移送速度
BPは、中央制御盤17の第1の速度計算手段B11に
おいて、 VBP=Lx /(TBP−Th −Ti ) (図3、B11) の演算により行なわれ、この移送速度VBPがトラバース
装置制御部22に入力され、このトラバース装置制御部
22の指令によりトラバーサ10を移送する。
【0075】指令された速度によりトラバーサ10が選
択されたプレスユニットへ移動し(S48)、取出コン
ベア12がプレスユニット18の移送路14と一致した
状態で停止し(S49)、停止すると同時に取出コンベ
ア12が作動して金型をプレスユニット18より取出コ
ンベア12へ移し(S51)、次にトラバーサ10をわ
ずかに移動させ投入コンベア11を移送路14に一致さ
せて(S52,S53)投入コンベア11内の金型をプ
レスユニットに移す(S54,S55)。次いで、この
加圧冷却行程において計測時間が設定時間と等しいか否
かにより図11に示す行程に至るか、図12に示す行程
に至るかを中央制御盤17より指令する(S56)。即
ち、冷却行程に上記演算による遅延時間TP が生じなか
った場合、図11に示す行程に至り、遅延時間TP が生
じた場合、図12に示す行程に至る。
【0076】図11に示す行程においては、プレスユニ
ット18内に金型が有ることを確認すると、トラバーサ
10を成形品取出装置15へ移動させ、取出コンベア1
2が成形品取出装置15の移送路16と一致した状態で
停止させる(S19,20)。
【0077】そして、その位置でトラバース装置制御部
22の指令により、所定時間トラバーサ10を待たせて
おく(S22)。この待ち時間T2 は、中央制御盤17
の第2の待ち時間計算手段B10において、 T2 =TPT−Ly /V (図3、B10) の演算により行なわれ(S21)、この待ち時間T2
トラバース装置制御部22に入力され、このトラバース
装置制御部22の指令によりトラバーサ10を成形品取
出装置15前にて待ち時間T2 だけ待機させる(S2
3)。
【0078】所定時間待機させた後、取出コンベア12
を作動させ、金型を取出コンベア12より成形品取出装
置15へ移す(S24)。
【0079】そして、成形品取出装置15内に金型が有
ることを確認して(S25)、トラバーサ10をベース
ポイント13へ送り、投入コンベア11が移送路5と一
致した状態でトラバーサ10を停止させる(S26,S
27)。次いで、昇温行程において計測昇温時間が設定
昇温時間と等しくかつ、昇温行程から射出成形工程に至
る金型の移送工程において計測時間が設定時間と等しい
場合、図9に示す行程に至り、そうでない場合、図10
に示す行程に至るかを中央制御盤17より指令する(S
28)。
【0080】図12に示す行程においては、トラバーサ
10のプレスユニット18から成形品取出装置15まで
の移送速度VPTの設定が、中央制御盤17の第2の速度
計算手段B12において、 VPT=Ly /(TPT−TP ) (図3、B12) の演算により行なわれ(S57)、この移送速度VPT
トラバース装置制御部22に入力され、このトラバース
装置制御部22の指令によりトラバーサ10をプレスユ
ニット18から成形品取出装置15まで移送速度VPT
移送する。指令された速度により、トラバーサ10が取
出装置15へ移動し(S58)、取出コンベア12が取
出装置15の移送路16と一致した状態で停止し(S5
9)、取出装置15が作業中でないことを確認し、停止
すると同時に取出コンベア12が作動して金型を取出コ
ンベア12より取出装置15へ移す(S60,61)。
【0081】投入コンベア11、取出コンベア12とも
空になったトラバーサ10はベースポイント13へ戻り
(S62)、投入コンベア11がベースポイント13へ
と一致した状態で停止する(S63)。次いで、昇温行
程において計測昇温時間が設定昇温時間と等しくかつ、
昇温行程から射出成形工程に至る金型の移送工程におい
て計測時間が設定時間と等しい場合、図9に示す行程に
至り、そうでない場合、図10に示す行程に至るかを中
央制御盤17より指令する(S64)。
【0082】なお、以上の実施形態ではトラバース装置
はレール及びトラバーサより構成されるとしたが、トラ
バース装置は、レールを設けず平らな路面の上を案内装
置等を用いてトラバーサを移動させる等、他にも種々の
形式が考えられるものである。またトラバーサ装置は金
型の直線的な移動のみならず、円弧等他の種々の形状に
プレスユニットを並べ、その形状に沿って金型を移動さ
せる場合等にも用い得るものである。
【0083】さらに、以上の実施形態では昇温装置はヒ
ーター板による加熱方式としたが、昇温装置は恒温槽等
他にも種々の形式が考えられる。
【0084】以上の実施形態は、次の各効果を有する。
【0085】複数の金型を昇温工程、射出成形工程、冷
却工程及び成形品取出工程に順次移送して成形品を成形
する方法において、金型の状態、例えば昇温状態や冷却
状態の金型に関する情報を入力し、該情報に応じて金型
を移送する移送手段の速度を制御したり、又は金型を移
送せずに待機させるようにし、この金型の情報を所定の
情報と比較判別する手段によって金型の移送を制御する
ために、上記実施形態は、各工程間に各金型を移送する
移送手段と、前記金型を移送する速度又は移送待ち時間
のいずれかの判別を行なう判別手段を備え、前記判別手
段によって前記金型の移送を制御するようにしてある。
【0086】従って、各工程で金型温度を確実に制御し
たうえでシステムを流れる複数の金型に滞留を生じさせ
ることなくシステムを円滑に作動することができ、成形
条件安定による精度を保証し、生産性を確保することが
できる。
【0087】上記実施形態のように複数の金型を有する
成形システムにおいては、昇温工程にて各金型を設定温
度に昇温して各金型間の温度特性差を解消することが行
なわれる。この際生じる金型の成形システムにおける滞
留を解決するために、上記実施形態は、昇温工程におけ
る金型の昇温時間を計る第1の時間計測手段と、成形品
によってあらかじめ決められた昇温時間を設定する制御
手段と、前記計測手段の信号と前記制御手段からの信号
を比較する第1の比較手段を有し、前記第1の比較手段
の比較動作に基づいて前記金型の移送を待ち時間による
制御又は移送速度による制御の選択を行なうようにして
あるから、各金型間の昇温時間の差は解消され、成形シ
ステムにおける金型の滞留も生じない。
【0088】従って、上記のように各金型ごとに測温し
つつ昇温することにより金型を確実に設定温度に昇温す
ることができ、複数の金型により均一かつ高精度な成形
ができ、成形システムにおいて設定された工程時間通り
に金型を移送することができ成形システムを円滑に作動
することができる。
【0089】また、昇温工程から射出成形工程に金型が
移送される途中の金型の昇温時間のくるいによる金型の
滞留を防止するために、上記実施形態は、昇温工程から
射出成形工程に金型を移送する途中、又は移送後に前記
金型の温度を測る温度測定手段と、前記昇温工程から前
記射出成形工程までの前記金型の決められた昇温時間を
設定する制御手段と、前記時間計測手段と前記制御手段
からの信号を比較する比較手段を有し、前記比較手段の
比較結果に基づいて前記金型の待ち時間による制御、又
は前記金型の移送速度による制御の選択を行なうように
してあるから、射出成形工程に均一な設定温度に昇温さ
れた金型を移送することができ、成形システムにおける
金型の滞留も生じない。
【0090】従って、各金型ごとに均一な温度条件で射
出成形することができるから、バラツキのない高精度な
成形品の成形が可能となり、しかも金型の移送に滞留が
生ぜず、成形システムの円滑な流れが実現できる。
【0091】さらに、冷却工程における複数の冷却機に
収納されて冷却される金型の冷却速度の差による金型の
滞留を防止するために、上記実施形態は、金型を冷却機
から取出工程に移送するトラバーサと、冷却工程におけ
る金型の冷却時間を計る時間計測手段と、前記冷却工程
における金型のあらかじめ決められた冷却時間を設定す
る制御手段と、前記時間計測手段の信号と前記制御手段
の信号を比較する比較手段を有し、前記比較手段の比較
結果に基づいて前記トラバーサの待ち時間制御、又はト
ラバーサの速度による制御の選択を行なうようにしてあ
るから、冷却工程において設定された冷却時間に対する
冷却時間の過不足はトラバーサの待ち時間制御又は速度
制御により調整することができる。
【0092】従って、冷却工程において、設定された時
間通りの冷却を行なうことができるから、バラツキのな
い高精度の成形を行なうことができ、しかも成形システ
ムにおいて各金型は滞留することなく成形システムの円
滑な流れを維持することができる。
【0093】また、上記実施形態は、射出成形工程から
冷却工程の所定位置に金型を送る第1の移送手段と、前
記第1の移送手段から金型を受けて前記冷却工程のなか
の冷却機に金型を移送するトラバーサと、前記トラバー
サを駆動する手段と、前記第1の移送手段及び前記トラ
バーサに金型が在るか否かを検出する手段と、前記検出
手段の信号に基づいて前記駆動手段を駆動する制御手段
とを有するように構成されているから、金型をトラバー
サへ二重積することなく金型の積込みを確実に行なうこ
とができるから、金型の脱落、破損等を防止でき、射出
成形工程から冷却工程への移送を確実に行なうことがで
き成形システムの信頼性が向上する。
【0094】さらに、冷却工程において、複数の冷却機
に収納される金型は還流条件によって冷却速度が設定速
度通りに冷却されない場合があるが、上記実施形態は、
各冷却機に冷却媒体を供給する手段と、前記各冷却機に
セットされた金型の温度を検出する手段と、前記各冷却
機にセットした金型の冷却時間を計測する手段と、あら
かじめ決められた金型の冷却時間及び冷却温度を記憶す
る手段と、前記冷却媒体の冷却温度を切替える制御手段
とを有し、前記各冷却機の各金型の温度と各金型の冷却
時間を前記記憶手段からの設定された冷却時間及び冷却
温度と比較し、比較結果に基づいて各金型への冷却媒体
の温度を切換えるようにしてあるから、各金型は各冷却
機において設定時間通りに設定温度に冷却される。
【0095】従って、冷却工程における各金型の冷却速
度の差は解消され、成形システムの円滑な流れが確保さ
れる。
【0096】さらに、複数の金型を冷却工程から成形品
取出工程に移送する手段に関し、上記実施形態は、各冷
却機の冷却温度を検出する手段と、前記各冷却機に設け
られた金型の冷却時間を計る手段と、射出成形する成形
品に応じた冷却時間に対応した温度を示す冷却曲線を記
憶する手段と、前記複数の冷却機から金型を取出すため
の制御を行なう手段であって、前記制御手段は前記記憶
手段の情報と、前記各冷却機内の金型の冷却時間と冷却
温度の信号を入力し、前記複数の冷却機の冷却終了する
金型を抽出し、抽出信号を出力する手段と、前記冷却工
程と前記成形品取出工程間にて前記金型を移送するトラ
バース手段であって、前記金型を移送するトラバーサー
を制御する手段を有するトラバース手段と、前記制御手
段は前記取出制御手段からの抽出信号を受けて冷却終了
した金型を収納した冷却機の位置に前記トラバーサーを
移動する複数の金型を有するように構成されている。
【0097】従って、成形品に応じた冷却時間に対応し
た冷却曲線により最適条件で冷却を行なうことができる
から、成形品に欠陥が生じにくくバラツキのない高精度
の成形品が得られるばかりか種類の成形品に応じた混流
成形が可能となる。さらに、冷却終了後、実際の冷却状
態に則して最も速く冷却終了したものを成形機から搬出
して成形品取出工程に移送することができるから、時間
のロスがなく過冷却を防止することができ、円滑な成形
システムの流れが確保できる。
【0098】従って、各工程で金型温度を確実に制御
し、かつシステムを流れる複数の金型に滞留を生じさせ
ることなくシステムを円滑に作動することができ、成形
条件安定による精度を保証し、生産性を確保することが
できる。
【0099】
【発明の効果】以上の様に、本発明は、複数の金型に滞
留を生じさせずにシステムの円滑な流れを達成し、しか
も均一且つ高精度な成形品を得るのに、有効である。
【0100】特に、本発明では、金型移送の移送速度及
び移送待ち時間のいずれかを用いて前記各金型の移送を
制御するので、金型ごとに温度特性に差異があっても移
送時にその差が吸収され次工程へはどの金型も適正な温
度で供給され、これに基づきシステムの円滑且つ効率的
な動作が実現され、上記有効性が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形システムの全体的構成図であ
る。
【図2】図1に示す成形システムにおける金型のタイム
チャートである。
【図3】図1に示す中央制御盤及びトラバース装置の制
御に関するブロック図である。
【図4】図1のコンベアー作動手段に関するブロック図
である。
【図5】トラバーサ駆動手段に関するブロック図であ
る。
【図6】図1に示す成形システムの金型の移送動作を示
すフローチャートである。
【図7】図1に示す成形システムの金型の移送動作を示
すフローチャートである。
【図8】図1に示す成形システムの金型の移送動作を示
すフローチャートである。
【図9】図1に示す成形システムの金型の移送動作を示
すフローチャートである。
【図10】図1に示す成形システムの金型の移送動作を
示すフローチャートである。
【図11】図1に示す成形システムの金型の移送動作を
示すフローチャートである。
【図12】図1に示す成形システムの金型の移送動作を
示すフローチャートである。
【符号の説明】
A 昇温工程 B 射出成形工程 C 冷却工程 D 成形品取出工程 2 NCトラバース装置 4 金型の射出成形機前待機場所 6 昇温装置 7 射出成形機 9 ガイドレール 10 トラバーサ 11 投入コンベア 12 取出コンベア 13 ベースポイント 15 成形品取出装置 17 中央制御盤 18 プレスユニット 22 トラバース装置制御部 a〜n 金型

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の金型を昇温工程、射出成形工程、
    冷却工程及び成形品取出工程に順次移送して成形品を成
    形する成形方法において、 前記金型移送の移送速度及び移送待ち時間のいずれかを
    用いて前記各金型の移送を制御することを特徴とする、
    複数の金型を用いる成形方法。
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