JPH0838093A - 香味料含有シュガーフリーカプセルの製造法 - Google Patents

香味料含有シュガーフリーカプセルの製造法

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JPH0838093A
JPH0838093A JP7114039A JP11403995A JPH0838093A JP H0838093 A JPH0838093 A JP H0838093A JP 7114039 A JP7114039 A JP 7114039A JP 11403995 A JP11403995 A JP 11403995A JP H0838093 A JPH0838093 A JP H0838093A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 化工澱粉と特定の糖類の水素添加物とが、固
形分で換算して15:85〜85:15の重量割合で含
まれる炭水化物混合物に香味料を添加混合し、押し出し
法により香味料含有シュガーフリーカプセルを製造す
る。 【効果】 低う触性で、かつ、ある程度の強い構造を有
し、長期保存可能な香味料含有カプセルを効率良く得る
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広範囲の食品に香味を
付与するために用いることができる香味料含有カプセル
の製造法に関する。更に詳細には、化工澱粉と糖類の水
素添加物を含有する炭水化物混合物で香味料をカプセル
化した、香味料含有シュガーフリー(無糖または低糖
の)カプセルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】香味成分を、種々の炭水化物でカプセル
化する試みは、これまでに数多く行われてきた。カプセ
ル化することにより、香味成分の酸化および揮散を防止
して貯蔵性を高め、また、取扱いを簡便にすることがで
きる。更に、カプセルの独特な構造および種々の色に着
色可能な性質を活かし、これらのカプセルは、各種食
品、近年では特にキャンデーやチューインガム等に広く
利用されるようになってきている。
【0003】従来より提案されてきた香味成分のカプセ
ル化の方法として、以下のようなものを挙げることがで
きる。 (1) 特開昭49-62677号公報(米国特許第3,704,137
号明細書に対応)、特開昭52-94452号公報(米国特許第
4,271,202号明細書に対応)、特開昭61-12248号公報お
よび特公表61-502656号公報(米国特許第4,610,890号明
細書および第4,707,367号明細書に対応) 蔗糖等の糖類、澱粉水解物および乳化剤からなる混合物
を加熱し、これに精油風味剤、食用油脂等の香味成分を
混和したものを、冷たい溶媒中に押し出し、成形する。
【0004】(2) 特公昭34-5600号公報(米国特許
第2,809,895号明細書に対応) 加熱したコーンシロップ中に芳香油(香味成分)を分散
させ、押し出し成形する。 (3) 特開昭47-11978号公報(米国特許第3,736,149
号明細書に対応) ラクトース、親水性コロイドおよび澱粉水解物中に、香
味成分であるアセトアルデヒドを固定する。 (4) 特公昭52-37062号公報 マルトース、ラクトース、マルトトリオースまたラフィ
ノースと、コーンシロップ、デキストリン、マルトデキ
ストリンとが特定割合で分子状に混合された糖水溶液
に、フレーバー(香味成分)を添加混合後乾燥する。 (5) 特表昭61-501078号公報(米国特許第4,689,235
号明細書に対応) マルトデキストリンとハイドロジエンオクテニルブタン
ジオエートアミロデキストリンの特定割合混合物に水を
加え撹拌、煮沸して得られる基材で、果物エッセンス等
の香味成分をカプセル化する。
【0005】(6) 特開昭49-132251号公報および米
国特許第2,566,410号明細書 ソルビトール水溶液または溶融液で、粉末油脂や精油等
の香味成分を固定する。 (7) 米国特許第3,314,803号明細書 マンニトールで、香味物質中の揮発成分の一つであるア
セトアルデヒドを固定する。 (8) 米国特許第4,532,145号明細書 アセトアルデヒドを固定したアモルファス状組成物を、
(a) (a−1)10〜30重量%の水溶性結晶状低
分子量材料(例:マンニトール30重量%)および(a
−2)70重量%以下の水溶性マルトデキストリンから
なる水性溶液を得、(b) (a)の水性溶液にアセト
アルデヒドを加え、次いで(c) この水性溶液を噴霧
乾燥する、工程により製造する。 (9) 米国特許第3,041,180号明細書 固形コーンシロップと、グリセロールまたは無毒性グリ
コールを混合、加熱したもので、精油(香味成分)を固
定する。
【0006】(10) 米国特許第4,820,534号明細書 フルクトースのような水溶性炭水化物から選ばれる少量
成分と、DE20以上のマルトデキストリンのような高
分子炭水化物からなる基材を、水分を添加することなく
揮発性フレーバー(香味成分)と混合し、一軸型のスク
リューを有する押出機中で該基材のガラス転移点以上に
加熱し、次いで押し出し、冷却、成形してガラス質の封
入物を得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術中、
(1)の文献は蔗糖、すなわち、砂糖を主原料としたも
のであり、これらの技術による香味料含有カプセルは、
砂糖によるう蝕が懸念され、近年、特に低う蝕性が求め
られているキャンデーやチューインガム等の食品への利
用は制限されるようになってきている。
【0008】(2)〜(5)の各文献は、蔗糖以外の糖
類および多糖類を用いているので、低う蝕性の香味料含
有カプセルを得ることができるが、砂糖を原料としたカ
プセルと比較し、構造が弱い。すなわち、該カプセル
を、比較的高温で混合され、かつ、混合時に剪断力がか
かるチューインガムべース等の製造時に混入した場合、
その製造過程でカプセル構造が破壊されてしまうため、
食する時に香味を放出するカプセル本来の機能が発揮で
きなかった。
【0009】また、(6)〜(9)の各文献は、代表的
な低う蝕性材料である、ソルビトールやマンンニトール
のような糖アルコールやグリセロールを主原料として用
いているが、これらの技術により香味料含有カプセルを
製造するには、高温での加熱が必要である等の困難の操
作を伴う場合が多く、また、得られるカプセルは、原料
である糖アルコールやグリセロールの性質に起因する高
吸湿性を示し、長期保存が困難である等の欠点を有して
いた。
【0010】更に、(10)の文献も、蔗糖を用いずに
香味料含有カプセルを製造できるが、混合時の水分の無
添加や加熱温度等によって限定された工法のため、使用
される基材が制限され、それにより封入される香味成分
の量も制限(当該明細書中のいずれの実施例においても
基材に対する香味成分の量は5重量%以下)されてしま
うという欠点を有していた。
【0011】よって、低う触性で、かつ、ある程度の強
い構造を有し、長期保存可能な香味料含有カプセルを、
困難の操作を伴うことなく製造する改良方法が求められ
ていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決するため、低う蝕性の原料である糖類の水素添加
物に着目した。この原料は、一般に高い吸湿性を有し、
この性質を残したままでは長期保存可能なカプセルを得
ることは困難である。そこで、本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、特定の糖類の水素添加物と化工澱粉を、特
定の割合で含有せしめた炭水化物混合物を用いて香味料
を押し出し法によりカプセル化すれば、吸湿性の問題を
克服でき、低う蝕性で、かつ、ある程度の強い構造を有
し、長期保存可能なカプセルを効率良く得ることができ
ることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発
明は、化工澱粉と特定の糖類の水素添加物とが、固形分
で換算して15:85〜85:15の重量割合で含まれ
る炭水化物混合物で香味料を押し出し法によりカプセル
化することを特徴とする香味料含有シュガーフリーカプ
セルの製造法を提供するものである。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明を
実施するには、化工澱粉と糖類の水素添加物を含む炭水
化物混合物を加熱して溶融物とし、該溶融物に香味料を
添加し混合して均一な混合物を得、該均一混合物を押し
出しながら急激に冷却して固化させ、得られた固形物を
切断または粉砕する方法を採用することにより、連続的
に効率良くカプセルを得ることができる。
【0014】化工澱粉と糖類の水素添加物の混合割合
は、使用する香味料の性状や添加量にもよるが、固形分
で換算した重量割合で、15:85〜85:15、好ま
しくは15:85〜50:50、更に好ましくは15:
85〜30:70とすると良い。化工澱粉の混合割合
が、炭水化物混合物全体に対し85重量%よりも多くな
ると、加熱時の粘度が上昇し香味料の混合が困難とな
る。また、糖類の水素添加物の混合割合が、炭水化物混
合物全体に対し85重量%よりも多くなると、好ましい
強度の構造を有するカプセルを得ることが困難になる。
更に、後述するように、この炭水化物混合物は、得られ
るカプセルの水分に対する安定性を高めるため、予めそ
の水分含量がある程度低くなるまで加熱する必要がある
が、混合物中の糖類の水素添加物の割合が多すぎると、
水分が揮散しにくくなり、加熱温度を高温にする必要が
出てくる。
【0015】本発明で使用する化工澱粉は、固体であっ
ても液体であっても良い。化工澱粉とは、化学的に処理
した澱粉であり、例えば、酸で処理した澱粉(例:デキ
ストリン)、酵素で処理した澱粉(例:デキストリ
ン)、加熱した澱粉(例:α−澱粉)、酸化澱粉、架橋
澱粉およびその他の澱粉誘導体を挙げることができる
(Jhon M.deMAN著、「PRINCIPLES OF FOOD CHEMISTRY」
Second Edition,Van Nostrand Reinhold(ニューヨー
ク)発行、1990年、167-168頁参照)。
【0016】デキストリンとしては、DE(Dextrose E
quivalent=旋右糖等量)値が低いもの、特に約20以
下のものが好ましく用いられる。DE値が約20より大
きいものでは、水分に対する安定性が悪くなる。但し、
DE値が約5より小さいものであると香味料混合時の粘
度が高くなりすぎるおそれがある。
【0017】澱粉誘導体とは、澱粉の側鎖が親水基や疎
水基で修飾された、高度の化工が行われた澱粉であり、
具体的には、澱粉リン酸エステルのような澱粉エステ
ル、澱粉カルボキシメチルエーテルのような澱粉エーテ
ル、リン酸架橋澱粉のような架橋澱粉が挙げられる。こ
れらの澱粉誘導体は、その他の化工澱粉に比べ、得られ
るカプセルの保存中の水分に対する安定性に優れ、好ま
しく用いられる。
【0018】また、カプセルの水分安定性を高める他の
要素として、平均分子量が大きく、かつ、分枝した構造
を有する化工澱粉の使用が挙げられる。分枝構造を有す
る化工澱粉としては、アミロペクチンを高い比率で含有
する澱粉を化工したものが挙げられる。特に、アミロペ
クチンを約80重量%以上含有する澱粉を化工したもの
が好ましく用いられる。このような化工澱粉の具体的例
としては、アミオカ澱粉、タピオカ澱粉、ワクシーメー
ズ等由来の化工澱粉を挙げることができる。中でもワク
シーメーズ由来の化工澱粉が特に好ましい。
【0019】本発明において、最も好ましく用いられる
化工澱粉としては、ワクシーメーズ由来の化工澱粉であ
り、且つ、澱粉の側鎖間により強い相互作用を有するよ
うな嵩張った立体構造を有する澱粉誘導体を挙げること
ができる。このような化工澱粉の具体例としては、PURI
TY GUM 59、PURITY GUM BE、PURITY GUM 1773、N-LOK
(いずれも商品名、National Starch and Chemical Comp
any製食用化工澱粉)等を挙げることができる。
【0020】また、化工澱粉とともに、本分野で通常用
いられる天然澱粉やその他の多糖類も広く添加できる。
特に、ガム質、寒天、カラギーナン、アルギン酸、キチ
ン、キトサンのような粘質多糖等を併用すれば、その側
鎖間の相互作用により、得られるカプセルの水分に対す
る安定性の向上をさらに期待できる。ガム質の具体例と
しては、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビア
ゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム等を挙げることが
できる。しかし、これら粘質多糖の配合割合が多すぎる
と、炭水化物混合物の粘度が高くなりすぎて、香味料の
添加及び押し出しによる成形が困難になる。
【0021】一方、本発明で使用する糖類の水素添加物
としては、キシリトール、ラクチトール、マルチトー
ル、イソマルト(パラチノースの水素添加物=6−O−
α−D−グルコピラノシル−D−ソルビトールおよび1
−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニトールの
混合物)及び水素添加コーンシロップの中から一種以上
を適宜選択して用いることができる。水素添加コーンシ
ロップを用いる場合は、マルトース含有量ができるだけ
高いコーンシロップを原料としたものを用いると良い。
尚、これらの糖類の水素添加物を必須成分とすれば、他
の糖類の水素添加物、たとえばソルビトールなどを加え
ることもできる。
【0022】こうして選択された化工澱粉と糖類の水素
添加物を混合する際には、必要に応じて水を添加しても
良い。水を添加する場合、その量は、炭水化物混合物が
均一に分散する最低量とすることが望ましく、具体的に
は、炭水化物混合物に対し、約3〜40重量%とするの
が好ましい。水の添加量が多すぎると、後に加熱して水
分含量を低下させる際に時間がかかりすぎるため好まし
くない。また、化工澱粉と糖類の水素添加物に、さら
に、蛋白質(例えば、ゼラチン、ホエー、分離大豆蛋白
等)を添加してもよい。
【0023】化工澱粉と糖類の水素添加物との炭水化物
混合物の加熱温度は、その組成にもよるが、約110〜
200℃の範囲で、炭水化物混合物が溶融し、水分含量
がある程度低くなるまでまでとする。好ましくは、水分
含量が約0.5〜6重量%となるまで、煮詰釜等で煮詰
める。この時点で残留水分含量が多すぎると、得られる
カプセルの水分含量が多くなり、水分に対する安定性が
悪くなるので好ましくない。
【0024】次に、得られた溶融物に香味料を添加す
る。同時に、必要に応じて、その他の添加剤も添加する
ことができる。得られるカプセルの水分に対する安定性
は、水分、香味料、その他の添加剤等の含有量により変
化し、成形時にこれらの含有量が多いと安定性が悪くな
る。よって、香味料の添加量は、炭水化物混合物に対し
約20重量%以下とするのが望ましい。尚、約0.2重
量%より少ない添加量では、香味料の効果が得られな
い。即ち、炭水化物混合物に対する香味量の配合率は、
約0.2〜20重量%、特に好ましくは約1〜15重量
%とすると良い。
【0025】本発明で用いることができる香味料は、特
に限定されるものでなく、油溶性香味料、水溶性香味
料、あるいは、合成香味料、天然抽出物のいずれをも使
用することができる。用いることができる香味料の一例
として、オレンジ油、レモン油、ペパーミント油、バニ
ラのような精油類;アップルエッセンス、ストロベリー
エッセンスのようなエッセンス類;β−カリオフィレン
のようなアルコール類、バニリンのようなアルデヒド
類、ギ酸ゲラニル、ギ酸ベンジル、酢酸エチルのような
エステル類;ビーフフレーバー、ポークフレーバー、チ
キンフレーバー、バターフレバーのような調合香料を挙
げることができる。
【0026】その他の添加剤としては、必要に応じて、
香味料を炭水化物に分散するための乳化剤、および、酸
化防止剤等を適宜添加することができる。乳化剤として
は、食品添加物として許可されたものを任意に使用でき
るが、特に、レシチン、蔗糖脂肪酸エステルであってH
LB値が約4〜12のものが好ましい。乳化剤を添加す
る場合、その添加量は、香味料の重量に対し約1〜7重
量%程度で十分である。また、酸化防止剤としては、食
品添加物として許容されているもの、例えば、ビタミン
C、ビタミンE、ローズマリーやセージの抽出物等を用
いることができるが、特に、炭水化物混合物と香味料と
の調和の面からビタミンEを用いることが好ましい。酸
化防止剤を添加する場合の添加量は、香味料の重量に対
し約0.1〜2重量%とすると良い。
【0027】その他の添加物としては、食用色素や栄養
物質等を挙げることができる。食用色素の例としては、
食用黄色4号(タートラジン)、食用黄色5号(サンセ
ットエローFCF)、食用青色1号(ブリリアントブル
ーFCF)、食用青色2号(インジゴカルミン)、食用
赤色2号(アマランス)、食用緑色(ファストグリーン
FCF)等を挙げることができる。栄養物質の例として
は、塩化コリンやフマル酸等を挙げることができる。
【0028】炭水化物混合物の溶融物と香味料等の香味
料等を混合する方法としては、均一な混合物を得ること
のできる方法であれば特に限定されるものではなく、例
えば、高速撹拌機(ホモディスパー)のような装置で炭
水化物混合物の溶融物を撹拌しているところに香味料等
を添加し、更に撹拌を続けて均一とすれば良い。
【0029】次いで、得られた均一混合物を、押出機
(エクストルーダー)に移し、密閉後、圧力をかけ、エ
クストルーダーの射出口(ダイ)から押し出す。エクス
トルーダーは予め加温しておくと、押し出しが滑らかに
なり好ましい。
【0030】また、加熱、混合、押し出しを同一の容器
で行うことのできる、押し出しプレート付きの耐圧容器
からなるエクストルーダーを用いることもできる。すな
わち、炭水化物混合物、添加水、香味料等を、定量ポン
プ等からなる供給装置(フィーダー)を用いてエクスト
ルーダー内にそれぞれ導入し、該エクストルーダー内で
これらの加熱、混合、次いで押し出しを行えば、一連の
工程を容器を変えることなく連続して行うことができ、
時間当たりの製造量を増やすことができるので好まし
い。特に、原料を搬送すると同時に加熱、混合を行うこ
とができる構造(以下、「バレル」という)を有するも
のが更に好ましい。
【0031】更に、二以上のスクリューを有する耐圧容
器からなるエクストルーダーが、好ましく用いられる。
二以上のスクリューを有するエクストルーダーは、単一
のスクリューからなるエクストルーダーと比較し、搬送
力・混合力が優れ、より安定な製造を可能とする。ま
た、二以上のスクリューを有するエクストルーダーは、
容器内の自己洗浄機能にも優れ、使用後の洗浄・保守が
簡便である。上記バレルに二以上のスクリューを有する
エクストルーダーが特に好ましく用いられる。
【0032】一方、冷却槽に冷媒を入れ、適宜低温に冷
却しておく。冷媒としては、食品衛生上害を与えないも
のであればよいが、炭水化物混合物を溶解しないもの、
かつ、得られるカプセルの表面から容易に除去すること
ができるものを選ぶことが望ましく、具体的には、エタ
ノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール等
を挙げることができる。これらの冷媒の冷却方法は、特
に限定されるものではなく、ドライアイス等による冷
却、またはクーラー等の装置による冷却等、設備に応じ
て自由に選択できる。
【0033】冷却温度は、エクストルーダーのダイから
押し出された均一混合物が急激に冷却され、固化するの
に十分な温度、かつ、得られた固形物が軟化しない温度
であり、具体的には、約−10〜−30℃とすると良
い。ここで得られる固形物とは、香味料を封入した炭水
化物混合物が急激に冷され固化したものである。尚、押
し出しを行う圧力は、原料の種類やエクストルーダーの
機種によって異なるが、香味料を封入した炭水化物混合
物がフィラメント状に連続的にエクストルーダーのダイ
から押し出される圧力であればよく、具体的には、押し
出しプレート付きの耐圧容器からなるエクストルーダー
を用いる場合には、該エクストルーダーを密閉後、窒素
ガスを導入する等の手段により約5〜50psigの圧力を
かけると良い。
【0034】均一混合物を押し出しながら急激に冷却し
て得られた固形物は、撹拌等の手段により、切断または
粉砕され、カプセルを形成する。得られたカプセルは、
遠心分離等の手段によってカプセルと冷媒とに分離さ
れ、更に、再固結を防止するため、ケーキング防止剤を
添加すると良い。ケーキング防止剤としては、二酸化ケ
イ素、第3リン酸カルシウム、α−乳糖等を用いること
ができる。ケーキング防止剤の添加量は、全重量に対
し、約0.1〜1重量%とすると良い。
【0035】次いで、カプセルの乾燥を行う。乾燥の方
法としては、特に限定されないが、カプセルの構造を破
壊しない方法を選択することが必要であり、好ましく
は、真空回転乾燥機等の手段による減圧乾燥を行うと良
い。こうして得られるカプセルの水分含量は、約6重量
%以下となるようにすることが好ましい。更に、必要に
応じて、篩別等を行い、目的とする香味料含有シュガー
フリーカプセルを得ることができる。こうして得られる
本発明の香味料含有シュガーフリーカプセルは、広範囲
の食品、例えば、キャンデーやチューインガム等に香味
を付与する目的で用いることができる。
【0036】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0037】実施例1 処方 重量部 [1] 食用化工澱粉 200 部 (PURITY GUM 59、商品名、 National Starch and Chemical Company製) [2] デキストリン(DE5) 50 部 [3] イソマルト 1000 部 [4] イオン交換水 380 部 [5] レモン油 150 部 [6] 乳化剤(ペースト状レシチン) 5 部
【0038】[1], [2]および[3]を[4]に溶解し、135℃
まで加熱して溶融物を得た。[5]と[6]を混合し、前記溶
融物に撹拌しながら添加し、均一となったところでエク
ストルーダーに移し、−25℃のイソプロピルアルコール
を入れた冷却槽中に20psigで押し出し、撹拌しながら20
〜60メッシュの大きさになるように切断し、表面のイソ
プロピルアルコールを除去した。更に、ケーキング防止
剤として、全体の0.15重量%の二酸化ケイ素を加え、真
空回転乾燥機で減圧乾燥した。得られたカプセルの水分
含量は、3.7重量%であった。
【0039】実施例2 処方 重量部 [1] デキストリン(DE20) 320 部 [2] アラビアゴム 30 部 [3] マルチトール 900 部 [4] イオン交換水 380 部 [5] レモン油 100 部 [6] 乳化剤(ペースト状レシチン) 4 部
【0040】[1], [2]および[3]を予め混合し、定量フ
ィーダーで、二つのスクリューを有するエクストルーダ
ーに投入した。同時に、[4]を定量ポンプを用い水量を
調節しながら添加した。エクストルーダー内の温度を約
135℃に設定し、[5]および[6]の混合液を別の定量ポン
プを用いて添加し、得られた均一混合物を、エクストル
ーダーの押し出しプレートの直径2.5mmの4個のダイか
ら、−25℃のイソプロピルアルコールを入れた冷却槽中
に押し出し、撹拌しながら20〜60メッシュの大きさにな
るように切断し、表面のイソプロピルアルコールを除去
した。更に、ケーキング防止剤として、全体の0.15重量
%の二酸化ケイ素を加え、真空回転乾燥機で減圧乾燥し
た。得られたカプセルの水分含量は、5.2重量%であっ
た。
【0041】実施例3 処方 重量部 [1] デキストリン(DE10) 190 部 [2] 食用化工澱粉 10 部 (PURITY GUM 59、商品名、 National Starch and Chemical Company製) [3] イソマルト 900 部 [4] イオン交換水 380 部 [5] レモン油 100 部 [6] 乳化剤(ペースト状レシチン) 4 部 [7] 食用黄色5号 1 部
【0042】[1], [2]および[3]を[4]に溶解し、押し出
しプレート付きの耐圧容器からなるエクストルーダーに
投入し、140℃まで加熱して溶融物を得た。別に[5],
[6]および[7]を混合し、前記溶融物に添加し、均一とな
ったところで、押し出しプレートのダイから、−25℃の
イソプロピルアルコールを入れた冷却槽中に、20psig
(窒素ガスで加圧)で押し出し、撹拌しながら20〜60メ
ッシュの大きさになるように切断し、表面のイソプロピ
ルアルコールを除去した。更に、ケーキング防止剤とし
て、全体の0.15重量%の二酸化ケイ素を加え、真空回転
乾燥機で減圧乾燥した。
【0043】得られたカプセルの水分含量は、3.9重量
%であり、均一な黄色の円筒状を有していた。また、香
料の包接は良好で、イソプロピルアルコールの除去後の
表面からはごくわずかな香気しか匂わなかった。これを
体温以上の温度の温水に溶解したところ、瞬時に好まし
い香気を得ることができた。
【0044】実施例4 処方 重量部 [1] デキストリン(DE20) 320 部 [2] キトサン 30 部 [3] マルチトール 900 部 [4] イオン交換水 40 部 [5] レモン油 30 部 [6] 乳化剤(ペースト状レシチン) 2 部
【0045】[1], [2]および[3]を[4]に溶解し、押し出
しプレート付きの耐圧容器からなるエクストルーダーに
投入し、140℃まで加熱して溶融物を得た。別に[5]と
[6]を混合し、前記溶融物に添加し、均一となったとこ
ろで、押し出しプレートのダイから、−25℃のイソプロ
ピルアルコールを入れた冷却槽中に、20psig(窒素ガス
で加圧)で押し出し、撹拌しながら20〜60メッシュの大
きさになるように切断し、表面のイソプロピルアルコー
ルを除去した。更に、ケーキング防止剤として、全体の
0.15重量%の二酸化ケイ素を加え、真空回転乾燥機で減
圧乾燥した。得られたカプセルの水分含量は、3.9重量
%であった。加熱終了後の溶解物の粘度がやや高く、香
味料の添加および押し出しがやや困難であったが、水分
に対する安定性がきわめてよかった。
【0046】実施例5 処方 重量部 [1] 食用化工澱粉 550 部 (PURITY GUM 59、商品名、 National Starch and Chemical Company製) [2] AMIOCA 250 部 (National Starch and Chemical Company製 アミロペクチン主体の澱粉) [3] キシリトール 250 部 [4] ソルビトール 50 部 [5] イオン交換水 380 部 [6] レモン油 100 部 [7] 乳化剤(ペースト状レシチン) 4 部
【0047】[1], [2], [3]および[4]を[5]に溶解し、
押し出しプレート付きの耐圧容器からなるエクストルー
ダーに投入し、145℃まで加熱して溶融物を得た。別に
[6]と[7]を混合し、前記溶融物に添加し、均一となった
ところで、押し出しプレートのダイから、−25℃のイソ
プロピルアルコールを入れた冷却槽中に、20psig(窒素
ガスで加圧)で押し出し、撹拌しながら20〜60メッシュ
の大きさになるように切断し、表面のイソプロピルアル
コールを除去した。更に、ケーキング防止剤として、全
体の0.15重量%の二酸化ケイ素を加え、真空回転乾燥機
で減圧乾燥した。得られたカプセルの水分含量は、3.9
重量%であった。
【0048】実施例1〜実施例5で得られたカプセル
を、相対湿度53%, 30℃の条件で3週間保存した場合の
安定性を調べた。この結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1に示した通り、本発明により得られた
カプセルは、糖類の水素添加物よりも多糖類の配合割合
が多い実施例5のカプセルは流動性がやや低下したもの
の密閉状態の保存においては問題になる程度ではなく、
また、その他のカプセルはいずれも優れた安定性を有
し、長期保存が可能であることが分かった。また、実施
例3で得られたカプセルをチューインガムべースへ混入
したところ、黄色の結晶状組織が破壊されずに残ってい
た。更にこの成形ガムを室温で1か月保存したところ、
カプセルの溶解、色の滲み等はみられず、極めて良好で
あった。
【0051】実施例6〜9 以下の処方に従って、表2に示した種々の化工澱粉を用
いて、香味料含有シュガーフリーカプセルを得た。
【0052】 処方 重量部 [1] 表2に示した種々の化工澱粉 250 部 [2] イソマルト 750 部 [3] イオン交換水 400 部 [4] レモン油 100 部 [5] 乳化剤(ペースト状レシチン) 4 部 [6] 酸化防止剤(ビタミンE) 0.4 部
【0053】約50℃に加温した[3]に[1]を溶解し、撹拌
しながら[2]を加えた。溶解後、更に撹拌を続けながら
加熱して、145℃に達した所で加熱をやめ、速やかに130
℃まで冷却した。これを高速撹拌機で撹拌しながら、
[4], [5], [6] の混合液を1 加した。均一となったとこ
ろでエクストルーダーに移し、-25℃のイソプロピルア
ルコールを入れた冷却槽中に30psigで押し出し、撹拌し
ながら20〜60メッシュの大きさに切断後、表面のイソプ
ロピルアルコールを除去した。得られた各カプセルの評
価を表2に併せて示す。
【0054】
【表2】
【0055】比較例1 上記実施例6において、イソマルトの代わりにマンニト
ール(本発明で特定した以外の糖類の水素添加物、従来
の技術の欄に記載した米国特許第4,532,145号明細書に
記載されているもの)を用いてカプセルの製造を試みた
が、マンニトールを含む炭水化物混合物の加熱過程にお
いて、内部に粉末を有しているペースト状となってしま
い、均一物を得ることができず、押し出し成形によるカ
プセル化が不可能であった。
【0056】比較例2 上記実施例6において、イソマルトの代わりにソルビト
ール(本発明で特定した以外の糖類の水素添加物、マン
ニトールと類似の炭素数6の単糖類の糖アルコール)を
用いてカプセルの製造を試みたが、押し出し時の混合物
の粘度が低く、溶媒中に押し出された組織の大部分がガ
ム状(gammy)となってしまい、得られたものは、吸湿性
が非常に強く、チューイングガム等の食品に利用するに
は不適切であった。
【0057】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明によれば、低
う蝕性で、かつ、ある程度の強い構造を有し、長期保全
可能な香味料含有シュガーフリーカプセルを効率良く得
ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 田中 滋 アメリカ合衆国 ニュージャージー州 ウ ィッパニィー ロングビュー ドライブ 13 (72)発明者 チャールズ エイチ マンレー アメリカ合衆国 ニュージャージー州 リ ングウッド チャクトー トレイル 88 (72)発明者 長野 克己 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社 総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化工澱粉と糖類の水素添加物とが、固形
    分で換算して15:85〜85:15の重量割合で含ま
    れ、該糖類の水素添加物が、キシリトール、ラクチトー
    ル、マルチトール、イソマルトおよび水素添加コーンシ
    ロップから選ばれる一種以上のものである炭水化物混合
    物を、加熱して溶融物とし、該溶融物に香味料を添加し
    混合して均一な混合物を得、該均一混合物を押し出しな
    がら急激に冷却して固化させ、得られた固形物を切断ま
    たは粉砕することからなる香味料含有シュガーフリーカ
    プセルの製造法。
  2. 【請求項2】 炭水化物混合物に対する香味料の配合率
    が、0.2〜20重量%である請求項1記載の香味料含
    有シュガーフリーカプセルの製造法。
  3. 【請求項3】 化工澱粉が、アミロペクチンを80重量
    %以上含有する澱粉を化工したものである請求項1記載
    の香味料含有シュガーフリーカプセルの製造法。
  4. 【請求項4】 炭水化物混合物の加熱温度が、110〜
    200℃である請求項1記載の香味料含有シュガーフリ
    ーカプセルの製造法。
  5. 【請求項5】 均一混合物の押し出しが、二以上のスク
    リューを有する耐圧容器からなる押出機で行われるもの
    である請求項1記載の香味料含有シュガーフリーカプセ
    ルの製造法。
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