JP4283500B2 - 油溶性化合物含有乳化組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品、医薬部外品、食品、食品添加物及びドリンクなど広範囲の用途に用いることができる油溶性化合物含有乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、医薬品、医薬部外品、食品及びドリンクなどの用途に用いる「油溶性化合物含有のソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール」の粉末或いは造粒物は、通常、水を添加して、一旦、乳化組成物を製造し、次に、スプレ一ドライ装置(SD装置)、流動層造粒装置等により、水を除去、乾燥して製造されている。
【0003】
しかしながら、この方法によって製造された油溶性化合物含有糖アルコ一ル粉末或いは造粒物は、香料の低沸点部の保留性に欠け、香味成分の発現性のコントロールにも限界があり、更に、口腔内において特有のざらつきがあるなどの課題がある。
【0004】
一方、特公昭34−5600号公報、特表平7−502187号公報等には、油溶性化合物含有ガラスカプセルが開示されている。これらの公報に記載される油溶性化合物含有ガラスカプセルは、密閉容器中で、香味料と固体マトリックス成分(タンパク質、ハイドロコロイド、変性セルロースなどの高分子重合体、デキストリン、コーンシロップ固形物、セルラン、マルトースシロッブ固形物、高フルクトースコーンシロップ固形物)などの中程度の分子量の化合物、水、アルコール、グリセロール、水素添加した糖類、砂糖、有機酸などの可塑化剤、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセロールエステル、中鎖トリグリセリドなどの乳化剤から選ばれる成分を混合し、加熱撹拌して溶融物を生成させ、少量物質の融点以上、基質のガラス温度以上で穴の開いたプレートを通して冷却したイソプロピルアルコールなどの溶媒中に押し出し、棒状粒子に成形し、ミルなどで整粒粉砕し、溶剤を遠心分離後、真空乾燥し、長期間保存しても結晶化しないガラス状物質として製造されている。
また、特開昭58−76062号公報には、キシリトールと少なくとも1種のフレーバーとの混合からなり、前記フレーバーがキシリトール内部に含有されていることを特徴とするフレーバー複合物、並びに、その製法はキシリトールを150℃以上、好ましくは150〜230℃の温度で加熱し、そのキシリトールを約80℃付近まで冷却し、この冷却段階のキシリトールに少なくとも1種のフレーバーを添加して、フレーバー複合物を回収することを特徴とするものである。
【0005】
しかしながら、上記前者の公報に記載される方法等により得られるガラスカプセルは、低沸点油溶性化合物の保留性が良いことはよく知られているが、香味成分がガラス質に封入されているため、その発現性に課題がある。更に、ガラスカプセル化法の欠点等は、脱水および冷却剤としてイソプロピルアルコール等の溶剤を用いることであり、冷却後、製品中に微量のイソプロピルアルコール等の溶剤が残留する点等に課題がある。
また、上記後者の公報に記載されるフレーバー複合物、並びに、その製法では、このフレーバー複合物を口腔内のモデルとなる水に浸漬すると、油分が水に浮く(油分が遊離する)ことからも明らかなように、口腔内に油の感触が広がり香味の発現性が悪い点に課題がある。更に、このフレーバー複合物は、油溶性化合物(フレーバー)がキシリトール結晶の間に吸着している構造であるため、保持できる油分の量は少なく、高含油の粉末香料を製造することができないという課題も有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、油溶性化合物をソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール中で均一に分散せしめてなる構造物からなる香味の発現に優れた油溶性化合物含有乳化組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、従来におけるガラスカプセル化法で使用する固体マトリックス成分としての高分子重合体や中程度の分子量の化合物、並びに、可塑剤としての水やアルコールなどを使用することなく、油溶性化合物を乳化剤と、糖アルコールとを含有する混合物中で加熱溶融後、特定の条件下等で処理することにより、上記目的の油溶性化合物含有乳化組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 精油類、アルコール類、アルデヒド類、フレーバー類から選ばれる少なくとも1種からなる油溶性化合物と乳化剤と、ソルビトール及び/又はキシリトールとからなる混合物を110〜150℃で加熱溶融後、5〜40℃で1日以上保持して得られる、油溶性化合物が乳化剤により被覆されて糖アルコール中に分散されてなる構造物からなることを特徴とする油溶性化合物含有乳化組成物。
) 乳化剤がレシチン、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセロールエステル、中鎖トリグリセリドから選ばれる少なくとも1種である請求項記載の油溶性化合物含有乳化組成物。
(3) 構造物全量に対して、油溶性化合物の含有量が1〜25重量%、乳化剤の含有量が0.05〜5重量%、ソルビトール及び/又はキシリトールの含有量が70〜98重量%である請求項1又は2記載の油溶性化合物含有乳化組成物。
(4) 5〜40℃に保持する保持時間が4日以上である請求項1〜3の何れか一つに記載の油溶性化合物含有乳化組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の油溶性化合物含有乳化組成物は、油溶性化合物と乳化剤と糖アルコールを含有する混合物を加熱溶融した後、5〜40℃に保持して得られる、油溶性化合物が乳化剤により被覆されて糖アルコール中に分散されてなる構造物からなることを特徴とするものである。
【0009】
本発明で用いることができる油溶性化合物は、特に限定されるものでなく、油溶性の天然抽出物及び合成香味料のいずれも使用することができる。
油溶性化合物としては、例えば、植物油、動物油、具体的には、オレンジ油、レモン油、ミント油、バニラのような精油類、メントールのようなアルコール類、バニリンのようなアルデヒド類、エチルヘキサノエートのようなエステル類、カニフレーバー、ビーフフレーバー、ポークフレーバー、チキンフレーバー、バターフレーバーのような各種フレーバー類の1種以上を挙げることができる。
これらの油溶性化合物の含有量は、得られる構造物全量に対して、1〜25重量%、好ましくは、2〜20重量%とすることが望ましい。
この油溶性化合物の含有量が1重量%未満であると、香味の力価が弱くなり、また、25重量%を越えると、油分のカプセル化が不十分となり、好ましくない。
【0010】
本発明で用いることができる乳化剤は、油溶性化合物を糖アルコール中に均一に分散せしめるために含有するものであり、種々の乳化剤を用いることができる。
乳化剤としては、例えば、食品添加物として許可されたものを任意に使用できるが、特に、油分の含有量を上げる点から、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセロールエステル、中鎖トリグリセリドなどを用いることが好ましい。
これらの乳化剤の含有量は、得られる構造物全量に対して、0.05〜5重量%、好ましくは、0.2〜3重量%とすることが望ましい。
この油溶性化合物の含有量が0.05重量%未満であると、油溶性化合物の分散効果が十分でなく、本発明の効果が得られず、また、5重量%を越えると、香味に影響を与えるもの、すなわち、香味の発現性が悪く、好ましくない。
【0011】
本発明方法に用いることができる糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、マンニトールから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
好ましい糖アルコールとしては、医薬品、医薬部外品、食品、食品添加物及びドリンクなどに用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、香味の点から、ソルビトール、キシリトールの使用が望ましい。
これらの糖アルコールの含有量は、得られる構造物全量に対して、70〜98重量%、好ましくは、75〜97重量%とすることが望ましい。
この糖アルコールの含有量が70重量%未満であると、油分のカプセル化が不十分となり、また、98重量%を越えると、香味の力価が弱くなり、好ましくない。
【0012】
その他の添加剤としては、必要に応じて、酸化防止剤、食用色素等を適宜含有することができる。
酸化防止剤としては、食品添加物として許容されているもの、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ローズマリー、セージの抽出物等を用いることができる。
酸化防止剤の含有量は、油溶性化合物の重量に対し0.1〜2重量%とすると良い。
【0013】
本発明の油溶性化合物含有乳化組成物は、上述の油溶性化合物と乳化剤とを、ソルビトールやキシリトールなどの糖アルコール中100℃以上、好ましくは、110〜150℃で、10〜30分程度加熱溶融せしめて油溶性化合物と乳化剤とを、ソルビトールやキシリトールなどの糖アルコール中に満遍なく分散させる。
次いで、得られた加熱溶融物を取り出し、該加熱溶融物を5〜40℃にて冷却保持することにより、目的の構造特性を有する乳化組成物が得られることとなる。すなわち、上記温度範囲(5〜40℃の範囲)で加熱溶融物を保持することにより、油溶性化合物が乳化剤により被覆されて糖アルコール中に分散されてなる構造物が得られることとなる。
上記構造特性を有する乳化組成物は、上記温度範囲で24時間(1日)以上、好ましくは96時間(4日)以上保持すれば得られることとなる。
【0014】
上記構造特性を有する構造物は、医薬品、医薬部外品、食品、食品添加物及びドリンクなどの用途に応じて、粉砕機などにより所定の粒径になるように調製して目的の油溶性化合物含有乳化組成物を得ることができる。
上記加熱溶融物の保持温度が5〜40℃に保持することにより、初めて、本発明の構造物を得ることができ、特に、保持温度が40℃を越える場合には、構造物の生成時間が長くなり、好ましくない。
なお、上記温度範囲での保持時間が24時間(1日)未満であると、構造物が生成しないことがあり、好ましくない。また、この保持時間が24時間(1日)以上であれば、目的の構造物が得られるものであるが、目的の効果を得るためには結晶構造を確定、すなわち、結晶構造の変動がない状態にするために、好ましくは96時間(4日)以上保持することが望ましい。
【0015】
このように構成される本発明は、従来におけるガラスカプセル化法で使用する固体マトリックス成分としての高分子重合体や中程度の分子量の化合物、並びに、可塑剤としての水やアルコールなどを使用することなく、ソルビトールやキシリトールなどの糖アルコールと、乳化剤を用いて、油溶性化合物との加熱溶融物を得、次いで、5〜40℃で保持すれば、油溶性化合物が乳化剤により被覆されてソルビトールやキシリトールなどの糖アルコール中に均一に分散されている油溶性化合物含乳化組成物(構造物)が得られるものとなる。
この構造物は、従来のガラスカプセルや、キシリトールと少なくとも1種のフレーバーとの混合からなり、前記フレーバーがキシリトール内部に含有されているフレーバー複合物とは、その構造が相違するものであり、水中に浸漬しても油分が水に浮く(油分が遊離する)ものでなく、かつ香味の発現が強い油溶性化合物含有乳化組成物が得られるものとなる。
【0016】
本発明の構造物が従来のガラスカプセルと較べて、何故香味の発現に優れているかは、次の理由によるものと推察される。
すなわち、本発明では、油溶性化合物を乳化剤と共に、ソルビトールやキシリトールなどの糖アルコール中で加熱溶融すると、油溶性化合物が乳化剤により被覆されて糖アルコール中に分散された、O/W型様のエマルションが形成されるものとなる。この物は、水の添加によって油浮きの無いエマルションとなることからも判る。
これを急激に冷却固化すれば、従来の「ガラスカプセル」が生成することになるが、本発明では、5〜40℃の温度で保持することにより、「ソルビトールやキシリトールなどの糖アルコールが結晶化した構造物」が生成することとなる。
【0017】
本発明の油溶性化合物含有乳化組成物は、従来のガラスカプセルに較べて、口腔内で溶解性がよく、かつ、香味の発現に優れたものとなるものである。
上記の推察等は、本発明で得られた各構造物を電子顕微鏡(JSM−T220A、JEOL社製、3500倍)で確認したところ、径が0.1〜10μm (多くは1〜2μm)の穴が見られ、含油量に比例してその数が増加し、更に含油量が増えると、蜂の巣状に存在していた点からも整合するものである。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例等により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、「部」は重量部を示す。
【0019】
(実施例1)
配合処方:
(1) ソルビトール 96.5部
(2) メントール 2.5部
(3) ショ糖脂肪酸エステル(HLB=2) 1.0部
上記(1)〜(3)の成分を混合してオートクレーブ(AC−40、アルブ社製)を用いて、120℃、30分間、加熱溶融した。
次いで、この溶融物を室温(15〜20℃)に96時間(4日間)放置して、構造物1を調製した。これをミルで、16〜60メッシュの大きさになるように粉砕し、粒子状構造物1を得た。
この粒子状構造物1を官能評価(パネラー8名、以下同様)したところ、メントールの苦みが少なく、香味の発現が強かった。また、0.14gの粒子状構造物1を5mlの水に溶解したところ、油の析出のない、均一な乳化組成物が得られたことが判った(以後、本方法を「水溶解試験」という)。
【0020】
(比較例1)
(比較例1、特開昭58−76062号公報に記載の方法に準拠したフレーバー複合物の調製)
一定量のキシリトールを120℃にて加熱溶融した。次に、このキシリトールを約82℃まで冷却し、この点で理論量で10%に相当する一定量のペパーミントフレーバーを急速に混合した。混合の間フレーバーの発散が認められた。その後、キシリト一ル/フレーバー混合物をキャンデートレーの中に注ぐと、1分以内で固体に凝集した。これをミルで、16〜60メッシュの大きさになるように粉砕し、比較例1のフレーバー複合物を得た。この比較例1を水溶解試験したところ、油の析出があり、不均一な乳化組成物であった。
【0021】
(比較例2)
上記実施例1と同じ配合量となるソルビトール、メントール、ショ糖脂肪酸エステルを混合して、120℃、30分間加熱溶融した後、0℃以下に急冷し固体を得た。これをミルで、16〜60メッシュの大きさになるように粉砕し、比較例2の粒子状構造物を得た。
この比較例2を官能評価したところ、メントールの苦味を強く感じ、香味の発現に欠けるものであった。
【0022】
(実施例2)
上記実施例1において、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=2)の代わりに、HLB=15のショ糖エステルを用いた以外は、実施例1と同じ条件で行い、粒子状構造物2を得た。
この粒子状構造物2を官能評価したところ、メントールの苦みが少なく、香味の発現が強かった。また、水溶解試験では、均一な乳化組成物となり、油やその固形物の析出は無く、粒子状構造物1の場合より、透明に近いエマルション状態になった。
【0023】
(実施例3)
配合処方:
(1) ソルビトール 84.0部
(2) メントール 12.0部
(3) ショ糖脂肪酸エステル(HLB=15) 4.0部
上記(1)〜(3)の成分を上記実施例1と同様に処理して粒子状構造物3を得た。この粒子状構造物3を官能評価したところ、メントールの苦味が少なく香味の発現が強かった。 また、水溶解試験では、均一な乳化組成物となり油やその固形物の析出は無かった。
【0024】
(実施例4)
配合処方:
(1) ソルビトール 78.0部
(2) メントール 20.0部
(3) ショ糖脂肪酸エステル(HLB=2) 2.0部
上記(1)〜(3)の成分を混合して上記実施例1と同様の装置を用いて、120℃、45分間、加熱溶融した。
次いで、この溶融物を室温(15〜20℃)に96時間(4日間)放置して、構造物4を調製した。これをミルで、16〜60メッシュの大きさになるように粉砕し、粒子状構造物4を得た。
この粒子状構造物4を官能評価したところ、メントールの苦みが少なく、香味の発現が強かった。また、水溶解試験を行ったところ、均一な乳化組成物となり、油や固形物の析出はなかった。
【0025】
(比較例3)
上記実施例4と同じ操作で得られた加熱溶融物を80〜90℃(>40℃)に冷却後、撹拌したところ、油成分が流出して構造物4は得られなかった。これは高含油の組成物を溶融後、結晶化前に機械的に撹拌すると、構造物が破壊され、その中の油分が流出するためである。
従って、本発明範囲となる実施例4で得られた構造物は、均一な状態のガラスカプセルではなく、結晶性の構造物であると考えられる。
【0026】
(実施例5)
配合処方:
(1) キシリトール 96.0部
(2) メントール 3.0部
(3) ショ糖脂肪酸エステル(HLB=2) 1.0部
上記(1)〜(3)の成分を混合して上記実施例1と同様の装置を用いて、100℃、60分間、加熱溶融した。
次いで、この溶融物を室温(15〜20℃)に96時間(4日間)放置して、構造物5を調製した。これをミルで、16〜60メッシュの大きさになるように粉砕し、粒子状構造物5を得た。
この粒子状構造物5を官能評価したところ、メントールの苦みが少なく、香味の発現が強かった。また、水溶解試験を行ったところ、均一な乳化組成物となり、油や固形物の析出はなかった。
【0027】
(比較例4)
水150gにアラビアガム30g及びデキストリン(DE10)50gを加えて撹拌し、80℃で溶解殺菌後、40℃まで冷却した。
これにメントール20gを添加し、クレアミックス(エムテクニック社製)を用い、30〜40℃を維持しながら18000rpmにて1分間撹拌することにより乳化を行った。
得られた乳化液をスプレードライヤー(大川原化工機社製)を用い、送風温度150℃、排風温度80℃で噴霧乾燥し、90gのメントール粉末香料、比較例4を得た。
【0028】
(実施例6)
上記実施例5において、メントールをペパーミントオイルに代えた以外は実施例5と同様に、粒子状構造物6を得た。
この粒子状構造物6を官能評価したところ、ペパーミントの香味の発現が強かった。また、水溶解試験を行ったところ、均一な乳化組成物となり、油や固形物の析出はなかった。
【0029】
(試験例1:タブレット試作品の官能評価)
上記で得たメントール粉末香料(実施例3、比較例4)のオイルの量が一定(メントール賦香率:2.5%)になるように調合したタブレットを下記表1の処方にて行った。ソルビトール粉末、及び上記で製造したメントール含有乳化組成物などを添加し、常法に従って、打錠機にて、滑沢剤にショ糖脂肪酸エステルを用いて、錠菓を各々調製した。
この各錠菓(タブレット)を専門パネラー8名にて、香気香味の官能評価を行った。
これらの結果を下記表2に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004283500
【0031】
【表2】
Figure 0004283500
【0032】
(試験例2:ガム試作品の官能評価)
下記表3の処方にて(上記試験例1と同様のメントール含有乳化組成物などを用いて)、板ガムの香気香味評価を下記方法で行った。
まず、ガムベース、砂糖、ブドウ糖、コーンシロップを混合し、これに上記で得たメントール含有乳化組成物など(実施例3、比較例4)の量が一定(メントール賦香率:2.5%)になるように添加し、常法に従って高剪断ミキサーを用いて約50℃で混和し、冷却後ローラーにより圧展成形し、1枚3gとなる各々の板ガムを調製した。
この各板ガムを専門パネラー8名にて、香気香味の官能評価を行った。
これらの結果を下記表4に示す。
【0033】
【表3】
Figure 0004283500
【0034】
【表4】
Figure 0004283500
【0035】
上記表1〜4の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例3のメントール粉末香料含有の錠菓(タブレット)、板ガムは、本発明の範囲外となる比較例4のメントール粉末香料含有の錠菓(タブレット)、板ガムと比較して、香味の発現に優れているものであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬品、医薬部外品、食品及びドリンクなどの用途に用いることができる香味の発現に優れた油溶性化合物含有乳化組成物が提供される。

Claims (4)

  1. 精油類、アルコール類、アルデヒド類、フレーバー類から選ばれる少なくとも1種からなる油溶性化合物と乳化剤と、ソルビトール及び/又はキシリトールとからなる混合物を110〜150℃で加熱溶融後、5〜40℃で1日以上保持して得られる、油溶性化合物が乳化剤により被覆されて糖アルコール中に分散されてなる構造物からなることを特徴とする油溶性化合物含有乳化組成物。
  2. 乳化剤がレシチン、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセロールエステル、中鎖トリグリセリドから選ばれる少なくとも1種である請求項記載の油溶性化合物含有乳化組成物。
  3. 構造物全量に対して、油溶性化合物の含有量が1〜25重量%、乳化剤の含有量が0.05〜5重量%、ソルビトール及び/又はキシリトールの含有量が70〜98重量%である請求項1又は2記載の油溶性化合物含有乳化組成物。
  4. 5〜40℃に保持する保持時間が4日以上である請求項1〜3の何れか一つに記載の油溶性化合物含有乳化組成物。
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