JPH083592A - 洗浄剤 - Google Patents

洗浄剤

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JPH083592A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】、油分の洗浄能力が高く、油分を溶解しないた
めに油分の分離が容易な低毒性の洗浄剤を得る。 【構成】水と任意の割合で相溶し得るプロピレングリコ
ールアルキルエーテルと、水と50容量%以下の割合で
しか相溶しないプロピレングリコールアルキルエーテル
と水との混合物、例えば、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテル10〜70容量%と、プロピレングリコ
ールモノブチルエーテル10〜70容量%と、水20〜
80容量%が均一に溶解する組成からなる洗浄剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属部品等に付着する
油脂、電子部品等に付着するフラックスや指紋等の汚れ
を洗浄する洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術】金属部品、電子部品、半導体部品等の被
洗浄物の脱脂洗浄には、不燃性で発火の危険性がないこ
と、洗浄力に優れていること等の理由から、フロン系溶
剤あるいはハロゲン系溶剤が使用されてきた。しかし、
最近、地球環境の破壊問題、人体への影響を懸念して、
界面活性剤、アルカリを主成分とする水系洗浄剤、炭化
水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、あるいは第三石油
類炭化水素を界面活性剤を用いて水に分散した準水系洗
浄剤への転換が進んでいる。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、水系
洗浄剤を用いた洗浄法においては、発泡性が高い、洗浄
性が不十分である、多量の廃水を処理しなければならな
い、被洗浄物を腐食する等の問題がある。炭化水素系洗
浄剤、アルコール系洗浄剤はいずれも可燃性であって、
高い引火点を持ち、発火の危険性を有するものである。
また、準水系洗浄剤は、相分離すると引火性を持つ、洗
浄性にむらがでる、多量の廃水処理をしなければならな
い等の欠点がある。
【0004】特開平5−51599号公報には、アルキ
レングリコールモノフェニルエーテルとグリコールエー
テル系溶剤と界面活性剤を主成分とする洗浄剤が提案さ
れている。しかし、この洗浄剤は充分な洗浄性が得られ
ず、不揮発成分を含んでいるため、被洗浄物に残存し、
影響を与える恐れがある。また、エチレングリコールア
ルキルエーテル系の化合物は、発育、生殖毒性への影響
があり、許容濃度が厳しく制限されつつあるので好まし
くない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、エチレング
リコールアルキルエーテルに比べて毒性が低くより安全
性の高いプロピレングリコールアルキルエーテルを使用
することを基本として、各種のプロピレングリコールア
ルキルエーテルの洗浄能力について研究を重ねてきた。
その結果、水に溶解し難いプロピレングリコールアルキ
ルエーテルは、洗浄能力が高いが引火性を有しており、
一方、水と任意の割合で相溶するプロピレングリコール
アルキルエーテルは水との混合物とすると引火性はない
が、洗浄能力に問題があることが判った。
【0006】そこで、本発明者らは、上記した洗浄能力
には優れているが、引火性をなくすのに十分な量ほど水
を溶解しないプロピレングリコールアルキルエーテル
と、それ単独では十分な洗浄能力を有さないが、水と任
意の割合で相溶するプロピレングリコールアルキルエー
テルと、さらに水を混合することにより、洗浄能力に優
れた、洗浄剤を開発するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(1)60℃で水と任意
の割合で相溶し得るプロピレングリコールアルキルエー
テル (2)60℃で水と50容量%以下の割合でしか相溶し
ないプロピレングリコールアルキルエーテル および (3)水 よりなり、これらが均一相を形成してなる洗浄剤であ
る。
【0008】上記した(1)の成分であるプロピレング
リコールアルキルエーテルは、60℃において水と任意
の割合で相溶するものである。この成分は、後述する
(2)の成分と(3)の水との相溶性を向上させる作用
を有する。このようなプロピレングリコールアルキルエ
ーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ト
リプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチ
ルエーテル等を挙げることができる。
【0009】次に、(2)の成分であるプロピレングリ
コールアルキルエーテルは、60℃において水と50容
量%以下の割合でしか相溶しないものである。この成分
は、主として洗浄能力を発揮する成分である。このよう
なプロピレングリコールアルキルエーテルとしては、プ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレン
グリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエー
テル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジ
プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレン
グリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。
【0010】上記した(1)と(2)のプロピレングリ
コールアルキルエーテルは、単独又は2種類以上組み合
わせて使用することができる。
【0011】これら(1)の成分と(2)の成分の内、
油分の洗浄力、乾燥性の点で本発明において好適に使用
できるものを例示すると、(1)の成分として、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメ
チルエーテルを挙げることができ、また、(2)の成分
として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールジメチルエーテルを挙げることができる。
【0012】本発明の洗浄剤の(3)の成分は水であ
る。水は上記した(1)の成分および(2)の成分の引
火性を低減する作用を有する。
【0013】上記した(1)の成分、(2)の成分及び
(3)の成分とを混合すると、これら各成分の組成比に
よって均一相を形成する領域と二相に分離する領域とが
ある。図1に(1)の成分であるジプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、(2)の成分であるプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、および(3)の成分で
ある水の三成分系の相図を示した。図1における領域C
は三成分が均一に溶解せず、油相と水相の二相を形成す
る領域である。領域Aと領域Bは、三成分が相溶して均
一相を形成する領域である。本発明においては、上記の
領域Aおよび領域Bのいずれの組成の洗浄剤も使用可能
であるが、領域Aは水の量が20容量%以下と少ない組
成のため引火性を有する。したがって引火性を有しない
領域Bの組成の洗浄剤を本発明では好適に使用できる。
【0014】上記したように本発明の洗浄剤は、
(1)、(2)および(3)の成分が均一相を形成する
状態で使用される。前記した各成分の組成比は、各成分
の種類によって水への溶解性に多少の差があるために一
概には決定できないが、概ね下記の組成となる。即ち、
(1)の成分は20〜70容量%であることが好まし
く、さらに25〜50容量%であることが好ましい。
(2)の成分は10〜60容量%であることが好まし
く、さらに20〜50容量%であることが好ましい。
(3)の成分は20〜80容量%であることが洗浄剤を
非引火性にするために好適である。高い洗浄力を得るた
めには、(2)の成分の濃度は高いほうが好ましいが、
あまりの高濃度にすると相分離するために、均一相を形
成する濃度範囲で使用される。
【0015】本発明の洗浄剤を用いた洗浄方法は公知の
方法を何等制限無く採用することができる。例えば、洗
浄剤中に油脂の付着した被洗浄物を浸漬する方法、油脂
の付着した被洗浄物に洗浄剤をシャワー、スプレーする
方法等を採用することができる。このとき超音波洗浄、
揺動、撹拌等の手段を併用すると効果的である。
【0016】被洗浄物から除去された油の大部分は洗浄
剤に溶解せず、浮上油または沈澱油となって洗浄剤から
分離する。このため、洗浄に使用した後の洗浄剤を油水
分離装置等で処理することによって容易に油を分離する
ことが可能である。また、回収された洗浄剤は油に汚染
されず、長期間高い洗浄能力を保有する。通常の炭化水
素系溶剤、ハロゲン系溶剤、水と相溶しないプロピレン
グリコールアルキルエーテルのような油を溶解すること
によって高い洗浄能力を発揮する洗浄剤は、洗浄剤にと
け込む油濃度が被洗浄物の洗浄能力に影響するため、蒸
留によって洗浄剤と油を分離する必要がある。しかし、
本発明の洗浄剤はその必要がなく、高い洗浄能力を維持
できる。
【0017】本発明の洗浄剤は、脱脂を目的とする洗浄
槽に適用できることは勿論のことであるが、洗浄槽に続
くすすぎを目的とするすすぎ槽にも適用できる。また、
本発明の洗浄剤は被洗浄物に付着したまま乾燥されても
被洗浄物に何等悪影響を与えルことなく容易に乾燥され
る。また、洗浄された被洗浄物のすすぎに水を使用する
場合、水系洗浄剤あるいは準水系洗浄剤のように大量の
すすぎ水を必要としない。
【0018】
【発明の効果】本発明の洗浄剤は、被洗浄物の油分の洗
浄能力に富み、また、被洗浄物から洗い落とした油分を
溶解しないために洗浄剤からの油分の分離が容易であ
り、洗浄剤の液寿命も長い。また、水の配合量を適当に
選択することによって非引火性とすることができ、炭化
水素系洗浄剤やアルコール系洗浄剤を用いた洗浄装置の
ような防爆設備を必要とせず、安全に使用できる。
【0019】
【実施例】本発明を具体的に説明するために実施例を挙
げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0020】実施例および比較例 市販マシン油を50mm×80mm×1mmのアルミ板
に約50mg/枚付着させたものをテストピースとし、
表1に示す組成の均一相をなす洗浄剤1Lを用いて洗浄
を行った。洗浄は、表1に示す洗浄温度の洗浄剤中にテ
ストピースを2分間浸漬することによって行った。洗浄
後、テストピースを引き上げ、20℃の流水で1分間す
すぎ、80℃で20分間乾燥後、重量法で油分除去率を
評価した。
【0021】上記の操作を100回繰り返した後、洗浄
剤中の浮上油を除去し、洗浄剤中に残存している油分を
n−ヘキサン抽出法で分析した。この洗浄剤を用いて上
記と同じ条件で2回目の洗浄を行い、その時の油分除去
率を表1に示した。
【0022】さらに、洗浄剤の引火点の測定をJIS
K−2265 原油および石油製品の引火点測定試験法
で測定し、表1に併記した。
【0023】なお、表中の略号の意味は下記の通りであ
る。()内の数値は60℃での水への溶解度である。
【0024】 (1)の成分 DPGM :ジプロピレングリコールモノメチルエーテル TPGM :トリプロピレングリコールモノメチルエーテル PGE :プロピレングリコールモノエチルエーテル PGDM :プロピレングリコールジメチルエーテル PGM :プロピレングリコールモノメチルエーテル (2)の成分(()内は60℃での水への溶解度である。) PGP :プロピレングリコールモノプロピルエーテル(28容量%) PGB :プロピレングリコールモノブチルエーテル (6容量%) TPGDM :トリプロピレングリコールジメチルエーテル(24容量%) DPGDE :ジプロピレングリコールジエチルエーテル (5容量%) DPGB :ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(5容量%) DPGDM :ジプロピレングリコールジメチルエーテル (36容量%) その他の成分 EGPh :エチレングリコールモノフェニルエーテル (2容量%)
【0025】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル−プロピレングリコールモノブチルエーテル−水の相
図である。
【符号の説明】
A:3成分が均一に溶解するが、引火点を有する領域。 B:3成分が均一に溶解し、引火点を有さない領域。 C:3成分が均一に溶解しない領域。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)60℃で水と任意の割合で相溶し得
    るプロピレングリコールアルキルエーテル (2)60℃で水と50容量%以下の割合でしか相溶し
    ないプロピレングリコールアルキルエーテルおよび (3)水 よりなり、これらが均一相を形成してなる洗浄剤。
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