JPH0835000A - スプリットレザーおよびその製造方法 - Google Patents

スプリットレザーおよびその製造方法

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JPH0835000A
JPH0835000A JP19100494A JP19100494A JPH0835000A JP H0835000 A JPH0835000 A JP H0835000A JP 19100494 A JP19100494 A JP 19100494A JP 19100494 A JP19100494 A JP 19100494A JP H0835000 A JPH0835000 A JP H0835000A
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JP
Japan
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leather
skin layer
urethane resin
split
split leather
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JP19100494A
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Katsumi Osawa
克己 大沢
Masaaki Sato
正明 佐藤
Kazuo Mitsumura
一夫 三ツ村
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Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 風合いがソフトで、柔軟性に優れ、且つ天然
皮革に酷似したスプリットレザーおよびその製造方法を
提供する。 【構成】 タンブラー乾燥機などによって予め揉み加工
を施した床革に、ウレタン系樹脂表皮層を形成させたこ
とを特徴とするスプリットレザー、および、床革に揉み
加工を施す工程、ウレタン系樹脂表皮層を形成する工
程、ウレタン系樹脂表皮層または/および床革に接着剤
層を形成する工程、ウレタン系樹脂表皮層と床革を接着
剤層を介して積層一体化する工程、とからなるスプリッ
トレザーの製造方法。床革の揉み加工方法としては、回
転手段にて行うのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然皮革から銀面部分
を除いた床革の表面に、ウレタン系樹脂の表皮層を設け
た、所謂スプリットレザーに関し、詳しくは銀面付きの
天然皮革と酷似した外観を有し、かつ柔軟性に優れたス
プリットレザーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、皮革製品を製造するには、皮
革のうち、上表層である皮、銀面層、および網状層の上
部を切り剥がし、これをクロム等で鞣し処理をして染色
し、表面に樹脂類を塗布して得られるいわゆる銀面付き
の天然皮革を加工し、製品としていた。これらの天然皮
革は、加工工程中で、互いにくっつき合ったり、突っ張
ったりしているコラーゲン組織を、ステーキングマシン
により揉みほぐして柔軟性や弾力性を付与されている。
【0003】しかし、銀面付きの天然皮革は、動物資源
が限られていることから、高価であり、その代用として
天然皮革より上表層である皮、銀面層、および網状層の
上部を取り除いた床革の表面にウレタン系樹脂よりなる
表皮層を形成した所謂スプリットレザーが用いられるこ
ともあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の床革は、銀面付
きの天然皮革の副産物として得られるものであって、比
較的安価に入手することができ、天然皮革よりも安価に
上記の素材として用いることができるが、以下のような
要因により、風合が硬く、柔軟性に乏しいといった欠点
を有するものであった。
【0005】天然皮革から、上表層である皮、銀面層、
および網状層の上部を除いた床革は、太いコラーゲン繊
維束が三次元的に交絡しているが、上記の銀面付きの天
然皮革と比較すると、コラーゲン繊維束の交絡密度はか
なり粗となっており、そのために機械的強度に劣る。従
って、スプリットレザーに銀面付きの天然皮革と同等の
機械的強度を持たせるには、床革の厚さを銀面付き天然
皮革よりもかなり厚くしなければならないが、その結果
としてスプリットレザーは天然皮革よりも風合が硬くな
り柔軟性に欠けるものとなる。
【0006】一方、スプリットレザーの風合をソフトに
し、柔軟性を付与する方法として、スプリットレザーを
揉み加工する方法もあるが、この方法では、スプリット
レザーの風合をソフトにし、柔軟性を付与する効果は得
られるものの、揉み加工によって床革表面の凹凸が、ス
プリットレザー表面に悪影響を及ぼし、スプリットレザ
ーの表面平滑性が損なわれると共に、スプリットレザー
表面に不自然な揉み皺が残る。また、揉み加工しない床
革を基材として使用したスプリットレザーに揉み加工を
施すと、床革基材の硬さ等が不均一のために、スプリッ
トレザー全体に均一な力が掛からず、部分的にウレタン
系表皮層が剥離したりする虞もあった。
【0007】本発明は、多量に得られ、かつ安価な天然
素材である床革の優れた特性、例えば裏面のスエード調
の美観や吸放湿性を生かすと共に、表面平滑性、外観の
均一性、柔軟性に優れ、しかも天然皮革の銀面に酷似し
た高級感のある表皮層を備えたスプリットレザーを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めになされた本発明のスプリットレザーは、予め揉み加
工を施した床革の表面に、ウレタン系樹脂表皮層を形成
したことを特徴とするものである。また、本発明のスプ
リットレザーの製造方法は、床革に揉み加工を施す工
程、ウレタン系樹脂表皮層を形成する工程、ウレタン系
樹脂表皮層上または/および床革に接着剤層を形成する
工程、床革とウレタン系樹脂表皮層を接着剤層を介して
積層一体化する工程、とからなることを特徴とするもの
である。
【0009】以下、図面に基づいて本発明を説明する。
図1は、本発明のスプリットレザーの一実施例を示す部
分拡大断面図であり、図中1は本発明のスプリットレザ
ー、2は床革、3はウレタン系樹脂表皮層、5は接着剤
層である。
【0010】本発明に使用される床革2は、従来のスプ
リットレザーに使用されているものと同様の、天然皮革
より銀面が除かれ、鞣され、バフ掛けされ、必要に応じ
て染色された床革に、タンブラー乾燥機、手動式揉み
機、機械式揉み機などの装置により揉み加工が施された
ものを使用することができる。また、床革2の厚さは
0.8mm以上のものが好ましく使用される。床革2が
あまり薄すぎると製品化したときの機械的強度に劣り、
加工時や使用時に破れが発生する虞がある。
【0011】上記の床革2表面に形成されるウレタン系
樹脂表皮層3を構成するウレタン系樹脂としては、従来
よりスプリットレザーの表皮層として用いられているウ
レタン系樹脂、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂、
ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ウ
レタン樹脂、ポリエステル/エーテル共重合系ウレタン
樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリアミノ酸
/ポリウレタン共重合樹脂などの一液型あるいは二液型
(通常は一液型)ウレタン系樹脂を使用することができ
る。また、上記のウレタン系樹脂として、スプリットレ
ザーの諸特性を損なわないものであれば、上記のウレタ
ン系樹脂以外の合成樹脂との共重合体や、ポリ塩化ビニ
ル、合成ゴムなどとの混合物を用いてもよい。
【0012】本発明のウレタン系樹脂には、必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、界面活性
剤、帯電防止剤、難燃剤、粘着防止剤、粘着付与剤、充
填剤、架橋剤などの各種添加剤を適宜の量で添加しても
よいし、必要に応じてコラーゲン粉末を添加してもよ
い。
【0013】上記のウレタン系樹脂表皮層3は、図1に
示すように、必要に応じて設けられる接着剤層5を介し
て床革2上に積層されている。接着剤層5を形成する接
着剤としては、従来のスプリットレザーに使用されてい
るものであれば、特に制限はないが、通常は二液型のウ
レタン系樹脂製の接着剤が使用される。接着剤として用
いられるウレタン系樹脂としては、表皮層を形成するウ
レタン系樹脂と同様に、例えば、ポリエステル系ウレタ
ン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカプロラク
トン系ウレタン樹脂、ポリエステル/エーテル共重合系
ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリ
アミノ酸/ポリウレタン共重合樹脂、あるいはこれらと
ウレタン系樹脂以外の合成樹脂との共重合体や、ポリ塩
化ビニル、合成ゴムなどとの混合物などが使用できる。
また、接着剤層5には、必要に応じて上記したような各
種添加剤を添加してもよい。
【0014】本発明のスプリットレザー1は、図1に示
すような、ウレタン系樹脂表皮層3、床革2、接着剤層
5からなるものに限らず、図2に示すように床革2とウ
レタン系樹脂表皮層3の間に中皮層4を設けることもで
きる。
【0015】上記の中皮層4は、通常は表皮層3と同様
に、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテ
ル系ウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ウレタン樹
脂、ポリエステル/エーテル共重合系ウレタン樹脂、ポ
リカーボネート系ウレタン樹脂、ポリアミノ酸/ポリウ
レタン共重合樹脂、あるいはこれらとウレタン系樹脂以
外の合成樹脂との共重合体や、ポリ塩化ビニル、合成ゴ
ムなどとの混合物などに、必要に応じて酸化防止剤、紫
外線吸収剤、顔料、染料、界面活性剤、帯電防止剤、難
燃剤、粘着防止剤、粘着付与剤、充填剤、架橋剤などの
各種添加剤やコラーゲン粉末を添加したウレタン系樹脂
より構成される。
【0016】中皮層4は、単層であっても、複層であっ
てもよく、複層とする場合はそれぞれが異なる組成から
なるものであってもよい。また表皮層との積層は、接着
剤層5を介在させてもよいし、介在させなくてもよい。
更に、中皮層4は発泡層あるいは微多孔層であってもよ
い。
【0017】以上の層構成からなる本発明のスプリット
レザー1の製造方法としては、予め床革2に揉み加工を
施しておくこと以外は、従来のスプリットレザーと同様
の方法が採用される。図3は本発明のスプリットレザー
の製造方法の一例を示す工程図であり、離型紙転写法を
採用した場合の例を示す。
【0018】銀面の表面凹凸絞に似せた凹凸模様を表面
に有する離型紙6の該表面凹凸模様形成側に、上記ウレ
タン系樹脂および各種添加剤をメチルエチルケトン、ト
ルエン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤に溶かしたウ
レタン系樹脂溶液をドクターナイフ、コンマドクター、
ロールコーター、グラビアコーター、ロータリースクリ
ーン、その他適宜の塗布手段9にて塗布し、オーブン1
0で乾燥させて、ウレタン系樹脂表皮層3を形成させ
る。次いで、上記の表皮層3上に、接着剤層5形成用樹
脂溶液(通常は二液型ウレタン系樹脂溶液)を上記の塗
布手段9’にて塗布し、オーブン10’にて乾燥、ゲル
化させる。尚、図3ではウレタン系樹脂表皮層3の接着
面に接着剤を塗布しているが、接着剤を床革2の接着
面、あるいはウレタン系樹脂表皮層3の接着面と床革2
の接着面の両方に塗布してもよい。
【0019】次に、予め揉み加工を施した床革2とウレ
タン系樹脂表皮層3は接着剤層5を介してウエットラミ
ネート、あるいはドライラミネートでもって貼着され、
ロール8aと8bからなる圧着ロールによって積層一体
化されて離型紙と共に巻き込まれる。
【0020】床革2の揉み加工としては、特に限定され
ず、従来より採用されている方法で行うことができる
が、加温条件下での揉み加工を行う手段として、タンブ
ラー乾燥機等の回転式乾燥機のような回転手段によるの
が好ましい。また、製革用機械として使用される各種の
ステーキングマシンを使用することもできる。
【0021】揉み加工時の温度は、20〜90℃の範囲
から適宜選定すればよいが、揉み加工時の温度があまり
高いと、床革2中に含有されている水分が除去されると
共に、熱によるコラーゲン組織の収縮が発生して、かえ
って床革2の風合が硬くなる虞がある。
【0022】回転手段による揉み加工を施す場合、回転
速度が早すぎても遅すぎても揉み加工が充分に行われな
いため、回転速度については、より好適な範囲を選定す
る必要がある。例えば、タンブラー乾燥機にて揉み加工
を行う場合、20〜30rpm程度の回転速度とする
と、揉み加工を充分に行うことができて好ましい。ま
た、揉み加工の時間についても、使用する装置によって
適宜選定すればよい。例えば、タンブラー乾燥機を用い
て上記の回転速度とした場合の所要時間は30〜60分
程度である。
【0023】以上のようにして床革2とウレタン系樹脂
表皮層3が積層一体化され、離型紙と共に巻き込まれた
本発明のスプリットレザー1は、必要に応じて、図示し
ない熟成工程に送られ、接着剤層5の架橋反応を終了さ
せた後、絞模様付き離型紙6を剥離される。このように
して、該離型紙6の表面に形成された凹凸模様がウレタ
ン系樹脂表面層3に転写され、天然皮革の表面意匠に近
似したウレタン系樹脂表皮層3を有する本発明のスプリ
ットレザー1が得られる。
【0024】以上の塗布、乾燥、貼着などの各工程は、
一連の工程として連続して行うことができるため、本発
明のスプリットレザーは生産性良好であり、従って、安
価にて提供することができる。
【0025】上記のようにして得られた本発明のスプリ
ットレザー1は、必要に応じて艶消塗料、エナメル塗
料、ヌメリ塗料等による従来のスプリットレザーに設け
られているのと同様の表面処理層を設けてもよい。これ
らの表面処理層の形成は、従来のスプリットレザーと全
く同様の方法にて形成することができる。
【0026】また、本発明のスプリットレザー1は、必
要に応じて床革2に揉み加工を施すときと同様の加工条
件にて揉み加工を施すこともできるが、本発明のスプリ
ットレザー1は予め床革2に揉み加工を施され、床革2
の硬さなどが均一化されているため、従来のスプリット
レザーのように不自然な揉み皺が入ったり、ウレタン系
樹脂表皮層が部分的に剥離したりする虞はない。
【0027】
【作用】本発明のスプリットレザーは、ウレタン系樹脂
表皮層形成前に床革に揉み加工を施しているので、ソフ
トな風合に仕上がり、銀面付き天然皮革と同様の外観と
柔軟性に優れたものとなる。また、基材として予め揉み
加工を施した床革を使用したスプリットレザーに、更に
揉み加工を施すと、基材となる床革の硬さ等が既に均一
化されていると共に、床革に柔軟性が付与されているた
め、スプリットレザー表面に均一でかつ細かな揉み皺が
入り、天然皮革と酷似した外観のスプリットレザーを得
ることができる。
【0028】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げ、本発明を更に
詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる実施例に限定
されるものではない。
【0029】〔実施例1〕毛穴絞模様付離型紙上に、着
色剤を含有した一液型のポリエステル系ポリウレタン樹
脂溶液(固形分20%)を、120g/m2 となるよう
に塗布し、100℃で3分間の乾燥を行って、乾燥厚み
24μmのポリウレタン樹脂表皮層を形成した。得られ
た表皮層上に、着色剤を含有しない二液型ポリエステル
系ポリウレタン溶液(固形分50%)を、140g/m
2 となるように塗布し、90℃で3分間乾燥を行い接着
剤層を形成した後、予めタンブラー乾燥機にて70℃に
加熱しながら回転速度25rpmで40分間の揉み加工
を施した厚さ1.5mmの床革を貼り合わせた。この
後、室温で48時間放置して、架橋反応を終了させ、離
型紙を剥離して、本発明のスプリットレザーを得た。得
られたスプリットレザーは、表面が均一で、風合が非常
にソフトであり、表面平滑性にも優れていた。また、得
られたスプリットレザーを、タンブラー乾燥機にて70
℃に加熱しながら回転速度25rpmで40分間揉み加
工を施したところ、表面に細かい揉み皺が入り、天然皮
革と酷似したものとなった。
【0030】〔実施例2〕皮絞模様付離型紙上に、着色
剤を含有した一液型ポリカーボネート系ポリウレタン樹
脂溶液(固形分20%)を、150g/m2 となるよう
に塗布し、110℃で3分間の乾燥を行って、乾燥厚み
30μmのポリウレタン樹脂表皮層を形成した。得られ
た表皮層上に、着色剤を含有しない二液型ポリカーボネ
ート系ポリウレタン溶液(固形分55%)を、130g
/m2 となるように塗布し、90℃で3分間乾燥を行い
接着剤層を形成した後、予めタンブラー乾燥機にて、6
0℃に加熱しながら回転速度20rpmで60分間の揉
み加工を施した厚さ1.2mmの床革を貼り合わせた。
この後、室温で48時間放置して架橋反応を終了させ、
離型紙を剥離して、本発明のスプリットレザーを得た。
得られたスプリットレザーは、表面が均一で、風合が非
常にソフトであり、表面平滑性に優れたものであった。
また、得られたスプリットレザーを、タンブラー乾燥機
にて70℃に加熱しながら回転速度25rpmで40分
間揉み加工を施したところ、表面に細かい揉み皺が入
り、天然皮革と酷似したものとなった。
【0031】〔実施例3〕皮絞模様付離型紙上に、着色
剤を含有し、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、
粒径3〜5μmのコラーゲン粉末30重量部含有する一
液型ポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分20
%)を、70g/m2 となるように塗布し、90℃で3
分間の乾燥を行って、乾燥厚み14μmのポリウレタン
樹脂表皮層を形成した。得られた表皮層上に、着色剤を
含有しない二液型ポリエステル系ポリウレタン溶液(固
形分40%)を、100g/m2 となるように塗布し、
90℃で3分間乾燥した後に、別途製造した厚さ270
μmの湿式ポリエステル系ポリウレタン微多孔フィルム
を貼り合わせた。この後、60℃で24時間保温して架
橋反応を終了させた。次いで、湿式ポリエステル系ポリ
ウレタン微多孔フィルムの上に、二液型ポリエステル系
ポリウレタン溶液(固形分50%)を、150g/m2
となるように塗布し、90℃で3分間乾燥した後に、予
めタンブラー乾燥機にて、60℃に加熱しながら回転速
度20rpmで50分間の揉み加工を施した厚さ1.0
mmの床革を貼り合わせた。この後、室温で48時間放
置して架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して、本発明
のスプリットレザーを得た。得られたスプリットレザー
は、風合が非常にソフトであり、柔軟性、表面平滑性に
優れ、均一な外観と、表面のドライタッチ性を有してい
た。また、得られたスプリットレザーを、タンブラー乾
燥機にて70℃に加熱しながら回転速度25rpmで4
0分間揉み加工を施したところ、表面に細かい揉み皺が
入り、天然皮革と酷似したものとなった。
【0032】〔比較例1〕揉み加工しない床革を使用す
る以外は、実施例1と同様にしてスプリットレザーを得
た。得られたスプリットレザーは、表面平滑性は良好で
あったが、風合いがハードであり、柔軟性に劣ってい
た。また、得られたスプリットレザーをタンブラー回転
乾燥機にて70℃に加熱しながら回転速度25rpmで
40分間揉み加工を施したところ、風合いはソフトとな
ったが、表面平滑性に劣り、不自然な揉み皺が入ったも
のとなった。
【0033】
【発明の効果】本発明のスプリットレザーは、ウレタン
系樹脂表皮層形成前に床革に揉み加工を施しているの
で、ソフトな風合に仕上がり、銀面付き天然皮革と同様
の外観と柔軟性に優れたものとなる。また、基材として
予め揉み加工を施した床革を使用したスプリットレザー
に、更に揉み加工を施すと、基材となる床革の硬さ等が
既に均一化されていると共に、床革に柔軟性が付与され
ているため、スプリットレザー表面に均一でかつ細かな
揉み皺が入り、天然皮革と酷似した外観のスプリットレ
ザーを得ることができる。従って、靴、鞄、袋物、雑貨
などの本体、あるいは付属品など、柔軟性を求められる
ような箇所においても好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプリットレザーの一実施例を示す部
分拡大断面図である。
【図2】本発明のスプリットレザーの他の一実施例を示
す部分拡大断面図である。
【図3】本発明のスプリットレザーの製造方法の一例を
示す工程図である。
【符号の説明】
1・・・スプリットレザー 2・・・床革 3・・・ウレタン系樹脂表皮層 4・・・中皮層 5・・・接着剤層 6・・・離型紙 8・・・圧着ロール 9,9’・・・塗布手段 10,10’・・・オーブン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床革の片面にウレタン系樹脂表皮層が形
    成されてなるスプリットレザーにおいて、床革がウレタ
    ン系樹脂表皮層形成前に揉み加工が施されていることを
    特徴とするスプリットレザー。
  2. 【請求項2】 床革に揉み加工を施す工程、ウレタン系
    樹脂表皮層を形成する工程、ウレタン系樹脂表皮層上ま
    たは/および床革表面に接着剤層を形成する工程、ウレ
    タン系樹脂表皮層と床革を接着剤層を介して積層一体化
    する工程、とからなるスプリットレザーの製造方法。
  3. 【請求項3】 床革の揉み加工を、回転手段により行う
    ことを特徴とする請求項2記載のスプリットレザーの製
    造方法。
JP19100494A 1994-07-21 1994-07-21 スプリットレザーおよびその製造方法 Pending JPH0835000A (ja)

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