JPH05345384A - スプリットレザー - Google Patents

スプリットレザー

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JPH05345384A
JPH05345384A JP18046592A JP18046592A JPH05345384A JP H05345384 A JPH05345384 A JP H05345384A JP 18046592 A JP18046592 A JP 18046592A JP 18046592 A JP18046592 A JP 18046592A JP H05345384 A JPH05345384 A JP H05345384A
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JP
Japan
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skin
leather
split leather
buffer layer
split
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JP18046592A
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English (en)
Inventor
Masaaki Sato
正明 佐藤
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然皮革から銀面を除いた床皮表面にウレタ
ン系樹脂表皮を設けたスプリットレザーで、該床皮表面
の微妙な凹凸によるスプリットレザー表面への悪影響を
無くし、銀面付きの天然皮革以上の外観特性を有するス
プリットレザーを提供する。 【構成】 床皮1とウレタン系樹脂表皮3との間に接着
剤41,42を介して合成樹脂緩衝層5を設ける。この
緩衝層5は、湿式樹脂フィルム、コラーゲン微粉末含有
層であってもよく、表皮3と接着剤41,42は、コラ
ーゲン微粉末を含有していてもよい。上記の緩衝層5
が、床皮1の表面の凹凸に対して緩衝し、該凹凸による
表皮3への悪影響を無くして、スプリットレザーの表面
平滑性、外観均一性等の外観特性を向上させる。緩衝層
5、表皮3、接着剤41,42を上記の構成とすること
により、透湿性が向上し、かつ天然皮革様のシワ入りを
容易とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然皮革から銀面を除
いた床皮の表面にウレタン系樹脂の表皮を設けた言わゆ
るスプリットレザーに関し、特に、このスプリットレザ
ーの床皮の表面性状の製品スプリットレザー表面への影
響をなくし、銀面付きの天然皮革以上の外観特性を有す
るスプリットレザーに関する。
【0002】
【従来の技術】天然皮革は、一般に、銀面と床皮とに分
割され、このうち銀面は、言わゆる天然皮革として、カ
バン類、靴類、家具類、事務用品、その他各種の分野に
おける表面材として使用される。
【0003】一方、床皮は、次のような各種の分野にお
いて使用される。 (i)前述のようにウレタン系樹脂の表皮が設けられ、
言わゆるスプリットレザーとして、上記の銀面と同様の
分野において使用される。 (ii)各種の手法で鞣され、安価なバックスキンとし
て、工業用の手袋、その他上記の銀面と同様の分野にお
いて使用されたり、これら分野の製品の部品として使用
される。 (iii)粉砕や抽出等の処理がなされて、コラーゲン、
ニカワ、ゼラチン等の原料として使用される。
【0004】このうち、(i)のスプリットレザーは、
従来、例えば図4に示すような構成を有しており、例え
ば次のようにして製造されている。先ず、銀面が除かれ
た床皮を鞣し、バフ掛けし、染色して床皮基材1を調製
する。次に、銀面の表面凹凸紋に似せた凹凸文様21を
表面に有する離型紙2の、該凹凸文様21の上にウレタ
ン系樹脂液(通常は一液型)を塗布し、乾燥させ、必要
に応じて熟成工程に送り、該ウレタン系樹脂塗布膜3′
の架橋反応を終了させる。続いて、該塗布膜3′上に、
ウレタン系樹脂の接着剤4(一液型、二液型いずれでも
よい)を介して、上記の床皮基材1に貼着し、必要に応
じて再び熟成工程に送り、接着剤4の架橋反応を終了さ
せる。最後に離型紙2を剥離すると、ウレタン系樹脂塗
布膜3′の表面に、離型紙2の表面に有る凹凸文様21
が転写され、該塗布膜3′が天然皮革の表面性状に近似
した表皮3となったスプリットレザーが製造される(こ
の製造方法を、一般に、「離型紙転写法」と呼ぶ)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして製造される従来のスプリットレザーは、床皮
1の表面に存在する凹凸が製品スプリットレザーの表皮
3の表面に悪影響を及ぼし、以下に記すような問題の要
因となっている。 (1)スプリットレザーの表面の平滑性が損なわれる。 (2)床皮1の腹部と背部において凹凸の状態が異な
り、この異なる凹凸がそのままスプリットレザーの表面
に現れ、スプリットレザーの腹部と背部においても外観
上の差を著しくする。 (3)これら(1),(2)のために、スプリットレザ
ーを各種の表面材として使用する際の歩留りを悪くして
いる。 (4)また、目視において、できるだけ平滑で、かつで
きるだけ均一な凹凸文様を有すると判断される部分を使
用したとしても、例えば、製靴用としてスプリットレザ
ーを型に吊り込んだ際に、ウレタン系樹脂よりなる表皮
3が引張されて薄くなり、床皮の微妙な凹凸がこの引張
られ薄くなった表皮3に影響を及ぼし、言わゆるアラビ
を発生させる。
【0006】しかも、上記のスプリットレザーは、天然
皮革の一部である床皮1を使用しているにもかかわら
ず、ウレタン系樹脂の表皮2により、透湿性ないしは吸
放湿性に欠けると言う問題もある。
【0007】以上のような諸問題を有していることか
ら、前述した(i)のスプリットレザーとして使用され
る量は、銀面の使用量に比べて、未だかなり少量であ
り、大部分が前述した(ii)や(iii)等の商品価値の
低いものに使用されているのが現状である。
【0008】そこで、本発明は、大量に得られる天然素
材である床皮を、該床皮が有している優れた特質(天然
のコラーゲン繊維によるスェード調の美観や、優れた吸
放湿性等)を裏面に生かすとともに、上述した問題を有
しない、言い換えれば表面平滑性、外観の均一性、引張
性(アラビの防止性)、透湿性ないしは吸放湿性等にお
いて優れ(特に、外観の均一性等の外観特性において
は、天然皮革以上に優れ)、しかも天然皮革の銀面に酷
似した高級な表皮を備えた言わば半天然皮革として再生
し得るスプリットレザーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のスプリットレザ
ーは、上記目的を達成するために、床皮とウレタン系樹
脂表皮との間に、接着剤を介して、合成樹脂緩衝層を有
してなることを特徴とする。また、本発明のスプリット
レザーは、上記の合成樹脂緩衝層が、湿式樹脂微多孔層
であることをも特徴とする。さらに、本発明のスプリッ
トレザーは、上記のウレタン系樹脂表皮および接着剤
が、コラーゲン微粉末を含有してなるものであることを
も特徴とする。このとき、上記の合成樹脂緩衝層もが、
コラーゲン微粉末を含有してなるものであることをも特
徴とする。
【0010】本発明において、床皮とウレタン系樹脂表
皮との間に介在させる合成樹脂緩衝層を構成する合成樹
脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテ
ル系ウレタン樹脂、エステル/エーテル共重合系ウレタ
ン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリアミノ
酸/ポリウレタン共重合樹脂等を挙げることができる。
【0011】これらの合成樹脂は、必要に応じて、それ
ぞれの合成樹脂に通常配合される種類の可塑剤、安定
剤、充填剤、発泡剤、着色剤等の添加剤を、適宜の量で
配合していてもよい。
【0012】これらの合成樹脂からなる緩衝層は、後述
するように、床皮表面の形状がウレタン系樹脂表皮の表
面に影響を及ぼすのを解消(緩衝)する作用をなすもの
であり、該層の厚みが薄すぎたり、密度が小さすぎる
と、この作用が発現せず、逆に厚すぎても、密度が大き
すぎても、この作用の発現効果が飽和して不経済となる
のみならず、微細な揉みジワが入らなくなり、天然皮革
に近似の外観にはなり難い。したがって、本発明では、
該層の厚みを0.15〜0.50mm程度とし、密度を
0.2〜0.5g/cm程度とすることが好ましい。
【0013】この合成樹脂緩衝層は、通常のコーティン
グ法で、すなわち上記の合成樹脂の液を種々の手段で、
ウレタン系樹脂表皮の裏面側または床皮の表面側に、接
着剤を介してコーティングして形成してもよい(以下、
この方法を「コーティング法」と言う)し、あるいは予
めフィルム状に形成しておいたものを、接着剤を介して
ウエットラミネート法またはドライラミネート法によ
り、ウレタン系樹脂表皮の裏面側または床皮の表面側に
積層して形成する(以下、この方法を「フィルムラミネ
ート法」と言う)こともできる。
【0014】本発明における合成樹脂緩衝層としては、
湿式法により形成する湿式微多孔層を使用することが、
次のような点から特に好ましい。すなわち、湿式微多孔
層は、合成樹脂の液をフィルム状にして水中に投入し、
溶剤が水中に移行することにより固化して形成されるも
のであって、溶剤の(合成樹脂フィルム中の)移動経路
が連続した気孔となって残り、連続多孔質となったもの
である。したがって、合成樹脂緩衝層として湿式微多孔
層を使用すれば、該層が透湿性ないしは吸放湿性を有す
るものとなる。
【0015】この場合の湿式微多孔層は、予めフィルム
状に形成した湿式微多孔フィルムを接着剤を介して積層
してもよいし、後述する「コーティング法」によって形
成してもよい。
【0016】また、合成樹脂緩衝層の透湿性ないしは吸
放湿性の程度は、JIS Z 0208に基づいて測定
する透湿度(以下の透湿度は全てこの測定方法によるも
のである)で500〜5000g/m・24Hr程度
とすることが、より天然皮革の透湿性ないしは吸放湿性
に近くなり好ましい。
【0017】さらに、上記の湿式微多孔フィルム中に形
成される気孔(図1の51参照)は大略縦長であり、横
長の気孔に比べて、揉み加工により良好なシワ(天然皮
革に近似したシワ)が入り易く、本発明のスプリットレ
ザーを、より天然皮革に近づけることができる。
【0018】また、合成樹脂緩衝層には、コラーゲン微
粉末を含有させることもできる。この場合、本発明のス
プリットレザーは、より天然皮革に近い構造となり、一
層良好な効果を得ることができる。合成樹脂緩衝層に含
有させるコラーゲン微粉末は、粒径が大きすぎたり、配
合量が多すぎると、上記した厚さの合成樹脂緩衝層を形
成することが困難となり、小さすぎたり、少なすぎる
と、上記のような作用・効果を発現することができな
い。したがって、本発明では、3〜50μm程度の粒径
さで、10〜50PHR(樹脂100重量部に対する重
量部のこと、以下同じ)程度とすることが好ましい。こ
の程度であれば、合成樹脂緩衝層を湿式微多孔層としな
くても、透湿度を500〜5000g/m・24Hr
程度とすることができる。
【0019】以上の合成樹脂緩衝層は、床皮と表皮の間
に接着剤を介して挿入されるが、このときの接着剤とし
ては、上記した合成樹脂緩衝層と床皮、合成樹脂緩衝層
と表皮との接着に適したもので、かつ合成樹脂緩衝層と
して湿式微多孔フィルムを使用する場合には、該フィル
ム中のセルを破壊しないものであればどのようなもので
もよい。ただし、表皮としてウレタン系樹脂を使用する
本発明では、合成樹脂緩衝層と表皮との接着にはウレタ
ン系樹脂接着剤を使用する必要があり、また合成樹脂緩
衝層としてウレタン系樹脂を使用する場合にあっては、
床皮と該層との接着の際にもウレタン系樹脂接着剤を使
用する必要があることは言うまでもない。
【0020】この場合のウレタン系樹脂接着剤として
は、一液型、二液型のいずれも使用することができる
が、合成樹脂緩衝層と床皮、あるいは合成樹脂緩衝層と
表皮をウエットラミネートにより貼着するのときは一液
型の接着剤を使用し、ドライラミネートにより貼着する
ときには二液型の接着剤を使用するのが一般的である。
【0021】上記のウレタン系樹脂表皮としては、前述
した従来のスプリットレザーと同様の、具体的には、ポ
リエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹
脂、エステル/エーテル共重合系ウレタン樹脂、ポリカ
ーボネート系ウレタン樹脂、ポリアミノ酸/ポリウレタ
ン共重合樹脂等のウレタン系樹脂(一液型、二液型のい
ずれでもよい)をそのまま使用することができる。
【0022】この表皮の厚みは、従来のスプリットレザ
ーの表皮の厚みと同様にしてもよいが、本発明では、表
皮の下側に上記した合成樹脂緩衝層が存在するため、用
途によっては従来の表皮よりやや薄くしても支障ない場
合がある。ただし、厚すぎると、コストが高くなるのみ
ならず、加工性も悪化する。したがって、本発明では、
10〜40μm程度とすることが好ましい。
【0023】このウレタン系樹脂表皮と上記の接着剤に
も、コラーゲン微粉末を含有させることができ、これに
よりウレタン系樹脂表皮と接着剤層においても、上記し
た合成樹脂緩衝層と同様に、透湿性ないしは吸放湿性を
具備させることができるとともに、天然皮革に近似した
シワの形成を良好に行うことができる。この場合のコラ
ーゲン微粉末の粒径および配合量は、上記した合成樹脂
緩衝層と同様でよく、したがってウレタン系樹脂表皮と
接着剤層の透湿度も合成樹脂緩衝層と同程度となる。
【0024】また、本発明における床皮としては、前述
した従来のスプリットレザーと全く同様の、銀面が除か
れ、鞣され、バフ掛けされ、必要に応じて染色された床
皮基材を、そのまま使用することができる。
【0025】なお、本発明のスプリットレザーにおいて
は、上記したウレタン系樹脂表皮の表面側に、通常の合
成皮革に使用されているエナメル塗料やヌメリ塗料等の
表面処理剤による層を設けることもできる。
【0026】以上の構成からなる本発明のスプリットレ
ザーを製造するには、前述した従来のスプリットレザー
の製造方法と同様に、例えば、離型紙転写法を採用し、
図1に示すように、銀面の表面凹凸紋に似せた凹凸文様
21を表面に有する離型紙2の、該凹凸文様21の上に
ウレタン系樹脂表皮3を構成する該樹脂液(コラーゲン
微粉末を含んでいてもよい)を、ドクターナイフ、コン
マドクター、ロールコーター、グラビアコーター、ロー
タリースクリーン、その他適宜の手段で塗布し、乾燥さ
せる。この乾燥塗布膜3′上に、接着剤41(コラーゲ
ン微粉末を含んでいてもよい)を塗布する。
【0027】合成樹脂緩衝層5をコーティング法により
形成する場合は、接着剤層41が乾燥した後、合成樹脂
緩衝層5を構成する合成樹脂液(コラーゲン微粉末ある
いは該微粉末とともに発泡剤を含んでいてもよい)を上
記と同様の手段で塗布し、乾燥させる。合成樹脂緩衝層
5をフィルムラミネート法により形成する場合は、ウエ
ットラミネートでは、接着剤層41がウエットの状態に
あるときに、別途形成したフィルム(湿式微多孔フィル
ム、コラーゲン微粉末含有フィルムあるいは発泡剤併有
フィルムのいずれであってもよい)を貼着し、ドライラ
ミネートでは、接着剤層41が乾燥した後に、別途形成
した上記のフィルムを貼着する。この後、必要に応じて
熟成工程に送り、ウレタン系樹脂の表皮3や合成樹脂緩
衝層5あるいは接着剤41の架橋反応を終了させる。
【0028】続いて、合成樹脂緩衝層5に、接着剤42
(コラーゲン微粉末を含んでいてもよい)を塗布し、床
皮基材1をウエットラミネートあるいはドライラミネー
トで貼着する。そして、必要に応じて再び熟成工程に送
り、接着剤42の架橋反応を終了させる。最後に、離型
紙2を剥離すれば、該離型紙2の表面に有る凹凸文様2
1が転写され天然皮革の表面性状に近似したウレタン系
樹脂表皮3を有する本発明のスプリットレザーが得られ
る。
【0029】以上の塗布、乾燥、貼着等の各工程は、一
連の連続した工程として行うことができるため、本発明
のスプリットレザーは、生産性の良好な構成を有するも
のと言える。
【0030】また、必要に応じて、上記の離型紙2を剥
離した後に、ウレタン系樹脂表皮3の表面側に、エナメ
ル塗料やヌメリ塗料等の表面処理剤を、上記した適宜の
手段あるいは吹き付け等によりコーティングしてもよい
し、あるいは離型紙2の剥離の後に、揉み加工等を行
い、本発明のスプリットレザー全体に天然皮革に酷似し
たシワを形成してもよい。
【0031】
【作用】本発明のスプリットレザーでは、床皮とウレタ
ン系樹脂表皮との間に存在している合成樹脂緩衝層が、
床皮の表面に存在する微妙な凹凸に対して緩衝作用を発
現し、該凹凸がウレタン系樹脂表皮に影響を及ぼすこと
はない。このため、本発明のスプリットレザーでは、前
述した従来のスプリットレザーにおける(1)〜(4)
の問題は生じない。
【0032】そして、上記の合成樹脂緩衝層を、湿式微
多孔層、あるいはコラーゲン微粉末を含有する層とすれ
ば、該層が透湿性ないしは吸放湿性を具備したものとな
るのみならず、揉み加工等により天然皮革に近似したシ
ワが入り、このシワがウレタン系樹脂表皮に影響を及ぼ
して本発明のスプリットレザーにより天然皮革に近い外
観ないしは風合いを呈しさせる。さらに、床皮、ウレタ
ン系樹脂表皮、合成樹脂緩衝層を互いに接着させる接着
剤層、およびウレタン系樹脂表皮にも、コラーゲン微粉
末を含有させれば、これらの接着剤層とウレタン系樹脂
表皮も、透湿性ないしは吸放湿性を具備したものとな
り、天然皮革と同様の透湿性、吸湿性を有するのみなら
ず、天然皮革に近似したシワが入り、天然皮革の優れた
特性と同様の特性を有するスプリットレザーとなる。
【0033】また、天然皮革においても(すなわち、銀
面側においても)、腹部と背筋部分の外観ないしは風合
の差はあり、これらの差により、裁断能率や歩留りを低
下させることがあるが、上記の合成樹脂緩衝層を備えた
本発明のスプリットレザーによれば、このような問題が
生じることはない。
【0034】
【実施例】
実施例1 離型紙(大日本印刷株式会社製商品名“DE86”)上
に、固形分が20%で着色剤を含有する一液型のポリウ
レタン樹脂を、50g/mとなるように塗布し、10
0℃×3分の乾燥を行って、乾燥厚み10μmのポリウ
レタン樹脂表皮を形成した。この表皮上に、固形分が4
0%で着色剤を含有しない二液型のポリウレタン樹脂接
着剤のトルオール溶液を、100g/mとなるように
塗布し、90℃×3分の乾燥を行った後、別途製造した
厚み300μmの湿式ポリウレタン樹脂微多孔フィルム
を貼り合わせた。この後、室温で24時間放置して架橋
反応を終了させた。
【0035】続いて、湿式ポリウレタン樹脂微多孔フィ
ルム上に、固形分が50%で着色剤を含有しない二液型
ポリウレタン接着剤のトルオール溶液を、150g/m
となるように塗布し、直後に厚み1.2mmの床皮基
材を貼り合わせた。この後、再び室温で24時間放置し
て架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して本発明のスプ
リットレザーを得た。このスプリットレザーの構成は、
図1に示すものと同様で、合成樹脂緩衝層5が縦長の気
孔51を内部に有する湿式微多孔フィルムよりなるもの
である。
【0036】以上のようにして得られたスプリットレザ
ーは、表面の平滑性が優れているのみならず、均一な外
観を有しており、透湿度は1000g/m・24Hr
であった。このスプリットレザーを製靴用の型に吊り込
んだところ、アラビの発生は皆無であった。
【0037】実施例2 実施例1と同じ離型紙上に、固形分が20%で、粒径3
〜5μmのコラーゲン微粉末を30PHRと着色剤を含
有する一液型のポリウレタン樹脂を、100g/m
なるように塗布し、100℃×3分の乾燥を行って、乾
燥厚み20μmのポリウレタン樹脂表皮を形成した。こ
の表皮上に、固形分が40%で、上記と同じ粒径のコラ
ーゲン微粉末を30PHR含有し、着色剤は含有しない
二液型のポリウレタン樹脂接着剤のトルオール溶液を、
100g/mとなるように塗布し、90℃×3分の乾
燥を行った後、別途製造した厚み300μmの湿式ポリ
ウレタン樹脂微多孔フィルムを貼り合わせた。この後、
室温で24時間放置して架橋反応を終了させた。
【0038】続いて、湿式ポリウレタン樹脂微多孔フィ
ルム上に、固形分が50%で、上記とおなじ粒径のコラ
ーゲン微粉末を30PHR含有し、着色剤は含有しない
二液型ポリウレタン接着剤のトルオール溶液を、150
g/mとなるように塗布し、直後に厚み1.2mmの
床皮基材を貼り合わせた。この後、再び室温で24時間
放置して架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して本発明
のスプリットレザーを得た。このスプリットレザーの構
成は、図2に示すように、合成樹脂緩衝層5が湿式微多
孔フィルムよりなるもので、ポリウレタン樹脂表皮3お
よびポリウレタン樹脂接着剤層41,42はコラーゲン
微粉末6を含有するものである。
【0039】以上のようにして得られたスプリットレザ
ーも、実施例1で得られたスプリットレザーと同様に、
表面平滑性に優れ、かつ均一な外観を有していた。透湿
度は、実施例1で得られたスプリットレザーより良好
で、2500g/m・24Hrであった。このスプリ
ットレザーを、実施例1と同様にして製靴用の型に吊り
込んだところ、アラビの発生は皆無であった。
【0040】実施例3 湿式ポリウレタン樹脂微多孔フィルムを貼合わせ、架橋
反応を終了させるところまでは実施例2と同様にした。
この湿式ポリウレタン樹脂微多孔フィルム上に、固形分
が50%で、コラーゲン微粉末も着色剤も含有しない二
液型ポリウレタン接着剤のトルオール溶液を、150g
/mとなるように塗布し、直後に厚み1.2mmの床
皮基材を貼り合わせた。この後、室温で24時間放置し
て架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して本発明のスプ
リットレザーを得た。このスプリットレザーの構成は、
図2に示すものと略同様であるが、合成樹脂緩衝層5と
床皮基材1とを接着する接着剤層42は、コラーゲン微
粉末6を含有していない層である。
【0041】以上のようにして得られたスプリットレザ
ーも、実施例1〜2で得られたスプリットレザーと同様
に、表面平滑性が優れ、均一な外観を有していた。透湿
度は、実施例1で得られたスプリットレザーと実施例2
で得られたスプリットレザーの中間の、2000g/m
・24Hrであった。このスプリットレザーを、実施
例1〜2と同様にして製靴用の型に吊り込んだところ、
アラビの発生は皆無であった。
【0042】実施例4 艶消しの離型紙(リンテックス社製商品名“CPM−
5”)を使用する以外は、該離型紙を剥離するまで実施
例1と同様にした。この離型紙を剥離した後のポリウレ
タン樹脂表皮の表面に、二液型のポリウレタン樹脂エナ
メル塗料を、乾燥厚みで10μmとなるように吹き付
け、室温で24時間放置して架橋反応を終了させ、本発
明のスプリットレザーを得た。このスプリットレザーの
構成は、図3に示すように、実施例1で得られたスプリ
ットレザーに酷似した基本構造(図1参照)を有し、該
基本構造のポリウレタン樹脂表皮3の表面側に、ポリウ
レタン樹脂エナメル塗料層7が形成されたものである。
【0043】以上のようにして得られたスプリットレザ
ーは、実施例1〜3と同様に優れた表面平滑性と均一な
外観を有しており、さらに優れた光沢を有するものであ
った。このスプリットレザーを実施例1〜3と同様に製
靴用の型に吊り込んだところ、アラビの発生は皆無であ
った。
【0044】比較例1 離型紙(大日本印刷株式会社製商品名“DE95”)上
に、固形分が20%で着色剤を含有する一液型のポリウ
レタン樹脂を、200g/mとなるように塗布し、1
00℃×4分の乾燥を行って、乾燥厚み40μmのポリ
ウレタン樹脂表皮を形成した。この表皮上に、固形分が
50%で着色剤を含有しない二液型のポリウレタン樹脂
接着剤のトルオール溶液を、150g/mとなるよう
に塗布し、70℃×3分の乾燥を行った後、厚み1.2
mmの床皮基材を貼り合わせた。この後、室温で24時
間放置して架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して比較
のスプリットレザーを得た。このスプリットレザーの構
成は、図4に示すものと同様である。
【0045】以上のようにして得られたスプリットレザ
ーは、表面平滑性に劣るのみならず、床皮の腹部と背筋
部分での外観の差もあった。また、透湿性については、
表面平滑性を向上させるべく、ポリウレタン樹脂表皮3
の厚みを増加させたため、該表皮3の厚みに影響され
て、余り良好とは言えない。このスプリットレザーを製
靴用の型に吊り込んだところ、アラビの発生も認められ
た。
【0046】以上の各実施例および比較例で得られたス
プリットレザーの諸物性をまとめて表1に示した。同表
から明らかなように、実施例1〜4で得られた本発明の
スプリットレザーは、比較例1で得られた従来のスプリ
ットレザーに比して、表面平滑性、外観の均一性、透湿
度、製靴用型への吊り込み時のアラビの発生防止性のい
ずれにおいても、顕著な効果があることが判る。また、
本発明によれば、透湿度の調整が適宜可能であり、スプ
リットレザーの用途に応じて、最適の透湿度を発現させ
得ることも明らかである。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のスプリッ
トレザーによれば、ウレタン系樹脂表皮と床皮との間に
合成樹脂緩衝層が存在しているために、床皮の表面すな
わちウレタン系樹脂表皮側表面に存在する微妙な凹凸に
よる該表皮への悪影響が皆無となり、(1)表面平滑性
が良好となり、(2)床皮の腹部と背筋部分との外観な
いしは風合い上の差に起因する製品スプリットレザーの
外観ないしは風合い上の差が無くなって、均一な外観を
呈し、(3)したがって、靴やカバン等の表面材として
使用する際の裁断特性や歩留りが向上し(なお、天然皮
革の銀面側においても、腹部と背筋部分の外観ないしは
風合上の差はあり、これにより、裁断能率や歩留りが低
下することがある)、(4)製靴用の型に吊り込んでも
アラビの発生は極めて効果的に解消できる。
【0049】しかも、上記の合成樹脂緩衝層はもちろ
ん、ウレタン系樹脂表皮や接着剤層においても、コラー
ゲン微粉末含有層とする等して透湿性ないしは吸放湿性
を具備させれば、本発明のスプリットレザーにおいて、
天然皮革と同様の透湿性ないしは吸放湿性を備えたもの
となる。そして、この透湿性ないしは吸放湿性を発現す
るこれら各層の構成が、同時に揉み加工等により天然皮
革に酷似した良好なシワの形成を容易にし、該シワが本
発明のスプリットレザーをより天然皮革の外観ないしは
風合いに近づける効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプリットレザーの一実施例の構成を
模式的に示す図である。
【図2】本発明のスプリットレザーの他の実施例の構成
を模式的に示す図である。
【図3】本発明のスプリットレザーのさらに他の実施例
の構成を模式的に示す図である。
【図4】従来のスプリットレザーの構成を模式的に示す
図である。
【符号の説明】
1 床皮 2 離型紙 21 離型紙表面の凹凸 3 ウレタン系樹脂表皮 3′ ウレタン系樹脂表皮を構成する樹脂液の塗
布膜 41,42 接着剤層 5 合成樹脂緩衝層 6 コラーゲン微粉末

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床皮とウレタン系樹脂表皮との間に、接
    着剤を介して、合成樹脂緩衝層を有してなることを特徴
    とするスプリットレザー。
  2. 【請求項2】 合成樹脂緩衝層が、湿式樹脂微多孔層で
    あることを特徴とする請求項1に記載のスプリットレザ
    ー。
  3. 【請求項3】 ウレタン系樹脂表皮および接着剤が、コ
    ラーゲン微粉末を含有してなるものであることを特徴と
    する請求項1または2に記載のスプリットレザー。
  4. 【請求項4】 合成樹脂緩衝層が、コラーゲン微粉末を
    含有してなるものであることを特徴とする請求項3に記
    載のスプリットレザー。
JP18046592A 1992-06-15 1992-06-15 スプリットレザー Pending JPH05345384A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009119551A1 (ja) 2008-03-24 2009-10-01 株式会社クラレ スプリットレザー製品及びその製造方法
JP2012229515A (ja) * 2012-04-19 2012-11-22 Sosu International Co Ltd エナメル革製品の製造方法
CN103231576A (zh) * 2013-04-08 2013-08-07 江阴骏华纺织科技有限公司 一种胶原纤维再生皮表面处理方法

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