JPH0834869A - ポリイミドフィルムの接着性改善方法及び接着性を改善したポリイミドフィルム - Google Patents

ポリイミドフィルムの接着性改善方法及び接着性を改善したポリイミドフィルム

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JPH0834869A
JPH0834869A JP19201994A JP19201994A JPH0834869A JP H0834869 A JPH0834869 A JP H0834869A JP 19201994 A JP19201994 A JP 19201994A JP 19201994 A JP19201994 A JP 19201994A JP H0834869 A JPH0834869 A JP H0834869A
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polyimide film
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雅郎 中田
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孝介 片岡
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義秀 大成
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フィルム表面を安定的に親水化し、優れた接
着性改善効果を得ることのできるポリイミドフィルムの
接着性改善方法及び接着性を改善したポリイミドフィル
ムを提供することを目的とする。 【構成】 表面処理装置10においてポリイミドフィル
ム20を一定のラインスピードで走行させ、カップリン
グ剤槽26にその一部を浸漬させたバーコーター24に
よりカップリング剤溶液を塗布した後、フィルム表面に
付着した溶液を乾燥炉14において乾燥させ、その後、
プラズマ処理装置16に導入してプラズマ処理を施すこ
とにより、安定的に優れたポリイミドフィルムの接着性
改善効果が得られた。かかる方法により表面処理された
ポリイミドフィルムは、フィルム表面にカップリング剤
の皮膜が形成されて表面性状が均一化され、該表面にプ
ラズマ処理が施されているため、フィルム表面に接着剤
と親和性を示す親和性基と共に親水基を有し、優れた接
着性を示すものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリイミドフィルムの
接着性改善方法及び接着性を改善したポリイミドフィル
ムに関し、更に詳しくは接着剤に影響を与えず、安定的
に優れた接着性改善効果が得られるポリイミドフィルム
の接着性改善方法及びかかる接着性改善方法により接着
性を改善したポリイミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、ポリイミドフィルムは、接着剤を
用いて金属箔(主に銅箔)と張り合わせたり、蒸着法、
メッキ法、又はスパッタ法によりフィルム層と金属層か
らなる積層板に加工したりして、FPC(フレキシブル
プリント配線板)のベースフィルムとして使用される。
ところが、従来のポリイミドフィルムは表面の接着性に
乏しいことが問題になっており、そのままでは製品の不
良を生じる原因となる。このため、ポリイミドフィルム
の表面の接着性を改善することを目的に、プラズマ処理
を施して使用することが一般的になっている。
【0003】すなわち、ポリイミドフィルムの表面の接
着性が乏しいのは、フィルム表面の溌水性が高いためで
あると考えられることから、フィルム表面にプラズマ処
理を施すことにより、表面に親水性を付与し接着性を改
善するのである。プラズマ処理によって表面の親水性が
上がる理由は、フィルム表面に水酸基、カルボン酸基、
カルボニル基等の親水性を示す官能基が新たに生じるた
めとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ポリイミド
フィルムは溶液キャスト法で縮合重合により得られる
が、その表面は安定剤、添加剤等を混入した場合には、
これらが優先的にブリードし、表面脆弱層(WBL;We
ak Boundary Layer )を形成することや、この他にもW
BL形成物としてオリゴマー等の低分子重合体の表面へ
の移行が加速される場合があることが学術的に知られて
いる。また、製膜工程中の設備から発生したり、大気中
に存在する油分等の汚染物質がフィルムに付着し、汚染
層を形成する場合も考えられる。
【0005】これらの層の形成がポリイミドフィルムの
表面特性を決定し、その接着性を阻害する要因となるケ
ースが考えられる。また、このようにポリイミドフィル
ムの表面にWBLや汚染層が形成されていると、かかる
層の上からプラズマ処理を施したところで、プラズマ処
理により親水性の付与された表面は脆く剥離しやすいた
め、本質的に接着力を向上させることはできない。
【0006】特に、ポリイミドフィルムの表面は製膜時
の条件によって表面特性が著しく変化するものであり、
例えば、同時に製造した同じ特性のフィルムであって
も、製膜時の条件によってWBLや汚染層の形成が著し
くなる場合とそうでない場合がある。すなわち、ポリイ
ミドフィルムの表面性状は不均一となり、ポリイミドフ
ィルムの表面にプラズマ処理を施しても、充分な処理効
果が得られない場合があり、安定した表面改質を達成す
ることは難しいという問題がある。
【0007】そこで、本発明者らは、上記問題点を解決
し、安定して優れた接着性改善効果を得ることのできる
ポリイミドフィルムの接着性改善方法及び接着性を改善
したポリイミドフィルムを提供することを目的に鋭意研
究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るポリイミド
フィルムの接着性改善方法の要旨とするところは、ポリ
イミドフィルムの表面にカップリング剤溶液を付着させ
た後、該溶液を乾燥させ、該乾燥させられたフィルムに
プラズマ処理を行うことにある。
【0009】また、かかるポリイミドフィルムの接着性
改善方法において、前記カップリング剤溶液の濃度が、
0.005〜30wt%、更に好ましくは0.01〜5wt
%であることにある。
【0010】次に、本発明に係る接着性を改善したポリ
イミドフィルムの要旨とするところは、上記のいずれか
に記載するポリイミドフィルムの接着性改善方法により
表面処理して得られることにある。
【0011】
【作用】本発明に係るポリイミドフィルムの接着性改善
方法は、ポリイミドフィルムの表面にカップリング剤溶
液を付着させた後、該溶液を乾燥させてからプラズマ処
理を行うことを特徴とし、この方法による接着強度向上
の機構は明らかではないが、カップリング剤を付着させ
ることにより表面性状が均一化され、該均一化されたフ
ィルム表面にプラズマ処理を行うことにより親水基の導
入が安定し、接着強度が向上するものと考えられる。
【0012】詳しくは、カップリング剤溶液を付着させ
る方法として、例えばフィルム表面にカップリング剤溶
液を塗布する、フィルム表面をカップリング剤溶液でラ
ビングする、フィルム表面にカップリング剤溶液を吹き
付ける、フィルムをカップリング剤溶液に浸漬させるな
どの方法を挙げることができる。また、本発明でいうカ
ップリング剤としては、例えば、シラン系、チタネート
系、アルミニウム系、又はジルコアルミニウム系のカッ
プリング剤が挙げられる。これらカップリング剤は、分
子中にフィルムと反応性を持つ官能基と接着剤と反応性
を持つ官能基を合わせ持っており、フィルムと接着剤と
の親和性を高めるための仲介を努めるものである。従っ
て、フィルム表面にカップリング剤溶液を付着させるこ
とによりカップリング剤はフィルムの表面成分と反応
し、接着剤と反応性を持つ官能基を有するカップリング
剤の皮膜がフィルム表面に均一に形成され、表面性状を
均一化させることができる。
【0013】その後、該溶液を乾燥させてから、このよ
うに表面性状が均一化されたポリイミドフィルムの表面
にプラズマ処理を行うことにより、フィルム表面に安定
して親水基を導入することができ、優れた接着性改善効
果を得ることができる。
【0014】なお、前記カップリング剤溶液の濃度を、
0.005〜30wt%、更に好ましくは0.01〜5wt
%とすることにより、フィルム表面にむらなく均一にカ
ップリング剤を付着させることができ、カップリング剤
の効果も充分に発現させることができる。
【0015】
【実施例】以下に、本発明に係るポリイミドフィルムの
接着性改善方法を、図面に基づいて詳細に説明する。こ
こでいうポリイミドフィルムは、厚み数μmの薄膜か
ら、厚み数百μmのシート状物も含めて広義のフィルム
を意味し、ポリイミドフィルムの分子構造は問わない。
【0016】かかるポリイミドフィルムの接着性改善方
法は、ポリイミドフィルム表面にカップリング剤溶液を
付着させた後、該溶液を乾燥させてからプラズマ処理を
行うことを特徴とし、例えば、図1に示す表面処理装置
10を用いて実施することができる。この表面処理装置
10は、カップリング剤溶液を塗布するための装置1
2、乾燥炉14、及びプラズマ処理装置16を備えて構
成されている。そして、繰り出し装置18から送り出さ
れたポリイミドフィルム20は、カップリング剤溶液を
塗布するための装置12においてカップリング剤溶液が
塗布され、その後乾燥炉14においてフィルム表面に付
着した該溶液を乾燥させてから、引き続いてプラズマ処
理装置16内に導入されてプラズマ処理が行われ、表面
処理の施されたポリイミドフィルム20が巻取り装置2
2に巻き取られるように構成されている。
【0017】詳しくは、カップリング剤溶液を塗布する
ための装置12は、カップリング剤溶液を塗布するバー
コーター24、カップリング剤溶液を入れておくカップ
リング剤槽26、押さえロール28を備え、バーコータ
ー24はカップリング剤槽26内の溶液にその一部が浸
漬されている。また、乾燥炉14及びプラズマ処理装置
16は従来公知の装置が用いられ、プラズマ処理装置1
6は、装置16内にガスを導入するためのガス導入部3
0、装置16内に電流を流して放電を開始させるための
電源32を備えており、装置16内のガス雰囲気を一定
組成・一定圧力に保ってプラズマ処理を行うことができ
るように構成されている。なお、符号34は搬送ロール
であり、該装置10においてポリイミドフィルム20を
良好に走行させるものである。
【0018】さらに詳しくは、カップリング剤溶液を塗
布するための装置12において、ポリイミドフィルム2
0は押さえロール28によりバーコーター24に接触す
るように調整されており、従って、ポリイミドフィルム
20を繰り出し装置18から巻取り装置22へ一定張力
で走行させ、バーコーター24を回転させると、フィル
ム表面にカップリング剤溶液を塗布することができる。
このとき、バーコーター24を回転させる方向はフィル
ムの進行方向であっても、フィルムの進行方向とは逆向
きに回転させてもよい。また、バーコーター24の基材
は特に制限されず、不織布等の基材で作製したロール
や、ゴムロール、網目ロールなどを用いることができる
が、フィルム表面に実用上有害な傷を付けないものが好
ましい。
【0019】なお、かかる表面処理装置10において
は、カップリング剤溶液を付着させる手段としてバーコ
ーター24により塗布する方法を用いているが、その
他、例えば、図2に示す表面処理装置36のように、ポ
リイミドフィルム20を2本のロール38、40で挟む
ようにし、ロール38に沿わせてポリイミドフィルム2
0を走行させ、ロール40を回転させてカップリング剤
溶液を塗布させる方法を用いてもよい。また、塗布方式
にはこのようなロールを用いるロールコータ方式の他に
もドクタナイフを用いるスプレッダ方式をはじめ、マイ
ヤーバーコティンググラビアロールコーティング、リバ
ースロールコーティング、ブラッシコータ方式、エアブ
レート方式、スプレーコータ方式、カーテンコータ方
式、浸漬コータ方式などその他種々の方式を挙げること
ができ、いかなる塗布方式により塗布してもよい。
【0020】また、本発明でいうカップリング剤として
は、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム
系、又はジルコアルミニウム系のカップリング剤が挙げ
られ、これらカップリング剤は単独で用いても、また数
種を混合して用いても良く、経験的に設定することがで
きるが、特にはシラン系のカップリング剤を用いること
が好ましい。中でも、アミノシラン系のカップリング剤
が更に好ましい。これらは、分子中にポリイミドフィル
ムの表面成分と結合性を持つ反応性基(メトキシ基、エ
トキシ基など)と接着剤成分と結合性を持つ反応性基
(アクリル基、アミノ基、エポキシ基など)を合わせも
っており、フィルムと接着剤の結合を仲介(カップリン
グ)し、両者間の親和性を高めることができる。
【0021】かかるカップリング剤を具体的に列挙する
と、シラン系カップリング剤においては、アクリルシラ
ン系では、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙
げることができる。
【0022】また、アミノシラン系では、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(フェニルメチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N,N,N−トリメチル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N,N,N−トリブチル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、N−ω(アミノヘキシル)γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N{N’−β(アミ
ノエチル)}−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0023】エポキシシラン系では、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができ
る。
【0024】又、チタネート系カップリング剤において
は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イ
ソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネー
ト、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェー
ト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホ
スファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジ
オクチルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジア
リルオキシメチル-1- ブチル)ビス(ジ- トリデシル)
ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチル パイロホ
スフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオ
クチル パイロホスフェート)エチレンチタネート、イ
ソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピル
ジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピ
ルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプ
ロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルト
リ(N-アミノエチル- アミノエチル)チタネート、ジク
ミフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステア
ロイルエチレンチタネート等を挙げることができる。
【0025】その他、アルミニウム系カップリング剤に
おいては、アルキルアセトアセテート- アルミニウム-
ジイソプロピレートを、ジルコアルミニウム系カップリ
ング剤においては、メタクリラトジルコアルミネートを
挙げることができる。
【0026】なお、上記カップリング剤は溶媒に溶解さ
せて溶液として用いるが、該溶媒としてはメタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はこれ
らの混合溶媒であるソルミクッス等のアルコール系溶
媒、アセトン、MEK、2−ペンタノン、3−ペンタノ
ン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶媒等が挙げられる。これらは単独で用いて
も、数種を混合させて用いてもよく、また水と混合して
用いてもよい。特にはメタノールが好ましく用いられ
る。
【0027】また、カップリング剤溶液の濃度は、0.
005wt%〜30wt%であることが好ましく、更には
0.01wt%〜5wt%であることが好ましい。カップリ
ング剤の濃度が高過ぎるとポリイミドフィルム表面にむ
らが観られ外観上好ましくなくなり、逆にカップリング
剤の濃度が低過ぎると充分な効果が発現されなくなるか
らである。
【0028】このようにしてカップリング剤溶液をフィ
ルム表面に均一に付着させることにより、フィルムの表
面成分とカップリング剤とが反応し、フィルム表面にカ
ップリング剤の皮膜が形成され、フィルムの表面性状を
均一化させることができるのである。
【0029】次いで、上記処理工程によりカップリング
剤溶液が塗布されて表面性状が均一化されたポリイミド
フィルム20は乾燥炉14に導かれ、乾燥炉14におい
てフィルム表面に付着した溶液を乾燥させる工程が行わ
れる。乾燥条件としては特に制限はなく、経験的に適宜
設定して行われる。そして乾燥工程を経たポリイミドフ
ィルム20は、プラズマ処理装置16に導入され、該プ
ラズマ処理装置16内でプラズマ処理が施される。プラ
ズマ処理装置16はフィルムの導入口及び導出口がシー
ルされていて、ガス導入部30から適当な組成のガスが
導入され、所定のガス圧力に保持される。そして電源3
2のスイッチを入れると、放電が開始し、装置16内に
プラズマが発生するように構成されている。このときグ
ロー放電が得られるよう、ガス組成、ガス圧力を適宜選
択する。
【0030】ここで、プラズマ処理を行う雰囲気のガス
圧力は特に限定されないが、100〜1000Torrの範
囲の圧力下で行うことが好ましい。100Torr以下では
真空装置などが必要となるし、1000Torr以上では放
電がしにくくなるためである。特には、大気圧下で行う
ことによりプラズマ処理の作業性が良くなり、本発明に
係る接着性改善方法により表面処理して得られる、優れ
た接着性を有するポリイミドフィルムを生産性良く得ら
れるので好ましい。また、プラズマ処理のガス組成は特
に限定されないが、100〜1000Torr中での放電も
グロー放電(火花放電ではない)するよう、希ガス元素
の単独ガス又は混合ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
なお、装置内の空気を該希ガス元素で置換した状態が特
に好ましいが、グロー放電を阻害しない程度の空気が混
入していても構わない。
【0031】かかる処理工程により、フィルム表面を化
学修飾して親水性官能基(水酸基、カルボン酸基、カル
ボニル基等)を導入することができ、フィルム表面の親
水性が向上される。
【0032】このようにして、カップリング剤溶液を付
着させた後、連続してプラズマ処理を行うことにより、
フィルム表面にカップリング剤の皮膜が形成されて表面
性状が均一化されたフィルム表面にプラズマ処理を行う
ことができ、フィルム表面に親水基(水酸基、カルボン
酸基、カルボニル基等)を安定して導入することができ
る。すなわち、フィルム表面にはカップリング剤の分子
中の接着剤と親和性を示すアミノ基、アクリル基、エポ
キシ基などと共に、親水基(水酸基、カルボン酸基、カ
ルボニル基等)も安定して導入され、更に優れた接着性
改善効果を安定して得ることができるのである。
【0033】以上、本発明に係るポリイミドフィルムの
接着性改善方法の実施例を説明したが、上述のようにし
てカップリング剤溶液を付着させる前に、有機溶剤存在
下でフィルム表面に物理的機械力を加えたり、フィルム
表面をアルカリ処理することにより、予めWBLや汚染
層を除去する工程を設けてもよい。予めWBLや汚染層
を除去しておくことにより、フィルムの表面性状を更に
均一化させることができる。
【0034】また、カップリング剤溶液を付着させる手
段として、上述したように塗布する方法、浸漬させる方
法、吹き付ける方法などを用いてもよく、またカップリ
ング剤溶液でラビングする方法を用いてもよい。なお、
カップリング剤溶液でラビングするとは、カップリング
剤溶液存在下でフィルム表面に物理的機械力を加えるこ
とをいい、具体的にはカップリング剤溶液を含浸させた
布等でフィルム表面を擦る(又は拭く)ことや、カップ
リング剤溶液中でフィルム表面を擦ること、またカップ
リング剤溶液を付着させたフィルム表面を擦ることなど
が挙げられる。
【0035】例えば、図3に示す表面処理装置42は、
搬送ロール34によってカップリング剤槽26内にフィ
ルム20を導入して浸漬させ、フィルム20を不織布等
の基材で作製されたラビング用ロール44でニップし、
ラビング用ロール44を回転させてフィルム表面を擦る
ように構成されており、フィルム表面をカップリング剤
溶液でラビングすることができる。なお、図3において
はスキーズロール46を設けて塗布面に均一性を出すこ
とができるように構成されており、このようにフィルム
をカップリング剤溶液に浸漬して処理する場合は、スキ
ーズロール46を設けた方が好ましい。このようにフィ
ルム表面をカップリング剤溶液でラビングしてカップリ
ング剤溶液を付着させることにより、カップリング剤を
フィルム表面に導入すると同時にフィルム表面のWBL
や汚染槽を除去することができ、表面性状をより均一化
させることができる。
【0036】また、上述のようにカップリング剤溶液を
付着させる処理とプラズマ処理を連続的に行わずに、別
工程で実施するようにしてもよい。その他、本発明はこ
れらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明は
その趣旨を逸脱しない範囲内で当業者の知識に基づき、
種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるも
のである。
【0037】なお、かかるポリイミドフィルムの接着性
改善方法により表面処理されたポリイミドフィルムは、
フィルム表面にカップリング剤の皮膜が形成されて表面
性状が均一化され、カップリング剤の分子中の接着剤と
親和性を示すアミノ基、アクリル基、エポキシ基などを
有するとともに、更にプラズマ処理によって安定的に親
水化されたフィルム表面を有しており、従来のプラズマ
処理のみによって表面処理されたポリイミドフィルムに
比べて優れた接着性を示し、接着剤を用いてフィルムと
金属箔(銅箔等)と強固に張り合わせることができる。
また、蒸着法、メッキ法、又はスパッタ法によってもフ
ィルム表面に均一に金属層を形成することができる。す
なわち、本発明に係る接着性を改善したポリイミドフィ
ルムは、FPC(フレキシブルプリント配線板)のベー
スフィルムとして好適に使用することができるものであ
る。
【0038】以下に実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例によって限定される
ものではない。
【0039】実施例 1 図1に示す装置を用い、4,4’−ジアミノジフェニル
エーテルに代表される芳香族ジアミンとピロメリット酸
二無水物に代表される芳香族テトラカルボン酸二無水物
とから公知の方法で得られた25μm厚のポリイミドフ
ィルムを用いて、カップリング剤溶液を塗布した後、連
続的にプラズマ処理を行い、ポリイミドフィルムの表面
処理を行った。処理条件はラインスピードを2m/min
とし、カップリング剤溶液としてγ−アミノプロピルト
リエトキシシラン(シランカップリング剤KBE90
3;信越化学工業(株)製)の0.1wt%メタノール溶
液をフィルムの進行方向と逆方向に250rpm で回転す
るバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた。
そしてプラズマ処理条件を、装置内のガス組成がAr/
He =6/4となるように置換し、圧力を760Torrと
し、電力密度を1500w・min /m2 としてフィルム
の表面処理を行った。
【0040】このように処理したポリイミドフィルムに
ついて、以下の方法で接着強度の評価を行った。アクリ
ル系接着剤(デュポン(株)製 "パイララックス”)を
用いて上記処理フィルムと銅箔(三井金属鉱業(株)製
電解銅箔 "3EC”35μm厚)とをラミネートし、1
85℃×1時間で接着剤の硬化反応を行い、FCCL
(フィルム・銅箔積層板)を作製した。得られたFCC
Lの銅パターン幅が3mmとなるようサンプルを切り出
し、引張試験器(島津製作所(株)製 "S−100−
C”)によりピールテストスピード50mm/min で90
°剥離の引張試験を行った。n=5の平均値による測定
結果を表1に示す。なお、引き剥がし後の破壊面は、す
べてフィルム/接着剤界面で発生した。
【0041】
【表1】
【0042】実施例 2 カップリング剤溶液として、チタネート系のイソプロピ
ルトリイソステアロイルチタネートの0.1wt%メタノ
ール溶液を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行
い、その接着強度を評価した。n=5の平均値による測
定結果を表1に示す。なお、引き剥がし後の破壊面は、
すべてフィルム/接着剤界面で発生した。
【0043】比較例 1 比較のために、実施例1で使用した25μm厚のポリイ
ミドフィルムについて、表面処理を施さずに用い、実施
例1と同様にして接着強度を評価した。n=5の平均値
による測定結果を表1に示す。なお、引き剥がし後の破
壊面は、すべてフィルム/接着剤界面で発生した。
【0044】比較例 2 比較のために、実施例1で使用した25μm厚のポリイ
ミドフィルムについて、プラズマ処理のみを施して用
い、実施例1と同様にして接着強度を評価した。プラズ
マ処理は実施例1と同様の条件(ガス組成;Ar /He
=6/4、圧力;760Torr、電力密度;1500w・
min /m2 )で行った。n=5の平均値による測定結果
を表1に示す。なお、引き剥がし後の破壊面は、すべて
フィルム/接着剤界面で発生した。
【0045】
【発明の効果】本発明に係るポリイミドフィルムの接着
性改善方法は、カップリング剤溶液を付着させた後、プ
ラズマ処理を行うことを特徴とし、かかる方法によりフ
ィルム表面にカップリング剤の皮膜が形成されて表面性
状が均一化されたフィルム表面にプラズマ処理を行うこ
とができる。その結果、フィルム表面には、接着剤と親
和性を示す親和性基とともに親水基が安定して導入され
ており、優れた接着性改善効果を得ることができる。
【0046】また、かかるポリイミドフィルムの接着性
改善方法により接着性を改善したポリイミドフィルム
は、フィルム表面に接着剤と親和性を示す親和性基を有
すると同時にフィルム表面が安定的に親水化されている
ため、優れた接着性を示し、FPCのベースフィルムと
して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリイミドフィルムの接着性改善
方法を実施するための表面処理装置を示した説明図であ
る。
【図2】本発明に係るポリイミドフィルムの接着性改善
方法を実施するための他の表面処理装置を示した説明図
である。
【図3】本発明に係るポリイミドフィルムの接着性改善
方法を実施するための他の表面処理装置を示した説明図
である。
【符号の説明】
10、36、42;表面処理装置 12;カップリング剤溶液を塗布するための装置 14;乾燥炉 16;プラズマ処理装置 18;繰り出し装置 20;ポリイミドフィルム 22;巻取り装置 24;バーコーター 26;カップリング剤槽 28;押さえロール 30;ガス導入部 32;電源 34;搬送ロール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミドフィルムの表面にカップリン
    グ剤溶液を付着させた後、該溶液を乾燥させ、該乾燥さ
    せられたフィルムにプラズマ処理を行うことを特徴とす
    るポリイミドフィルムの接着性改善方法。
  2. 【請求項2】 前記カップリング剤溶液の濃度が、0.
    005〜30wt%、更に好ましくは0.01〜5wt%で
    あることを特徴とする請求項1に記載するポリイミドフ
    ィルムの接着性改善方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載するポリイ
    ミドフィルムの接着性改善方法により表面処理して得ら
    れることを特徴とする接着性を改善したポリイミドフィ
    ルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08143688A (ja) * 1994-09-20 1996-06-04 Ube Ind Ltd 改質されたポリイミドフィルムおよび積層体
WO2006129922A1 (en) * 2005-05-30 2006-12-07 Korea Research Institute Of Chemical Technology Method of surface modification of polyimide film using ethyleneimines coupling agent, manufacturing method of flexible copper clad laminate and its product thereby

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