JPH0834802A - バクテリアセルロース、その製造方法及び該バクテリアセルロースを用いた加工物 - Google Patents

バクテリアセルロース、その製造方法及び該バクテリアセルロースを用いた加工物

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JPH0834802A
JPH0834802A JP19106294A JP19106294A JPH0834802A JP H0834802 A JPH0834802 A JP H0834802A JP 19106294 A JP19106294 A JP 19106294A JP 19106294 A JP19106294 A JP 19106294A JP H0834802 A JPH0834802 A JP H0834802A
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saccharide
acetic acid
bacterial cellulose
branched
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JP19106294A
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Shoichi Hirooka
正一 広岡
Takashi Hamano
隆 浜野
Yuji Miyashita
雄次 宮下
Kunio Hanaue
邦夫 花上
Kiyoshi Yamazaki
清 山崎
Kazuyasu Shiichi
一康 私市
Fujiya Shiichi
冨士彌 私市
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Gun Ei Chemical Industry Co Ltd
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Gun Ei Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、従来、バクテリアセルロースの生産
における酢酸菌栄養培地の炭素源として全く用いられて
いないことは勿論、その着目、示唆さえもされていなか
った難発酵性糖類である分岐オリゴ糖含有糖類を主体と
する炭素源がバクテリアセルロースの生産のための優れ
た酢酸菌栄養培地であることを見出し完成されたもので
あり、バクテリアセルロースの生産における酢酸菌栄養
培地の炭素源として分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オリ
ゴ糖含有糖類を成分とする発酵物を用いることにより得
られるバクテリアセルロースを提供する。 【構成】本発明のバクテリアセルロースは、分岐オリゴ
糖含有糖類又は分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発酵
物を酢酸菌栄養培地の炭素源として用いてなるものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、バクテリアセルロー
ス、その製造方法及び該バクテリアセルロースを用いた
加工物に関し、詳しくは、難消化性食物繊維素材、腸内
菌叢改善剤、抗高脂血症剤、血圧上昇防止剤、免疫賦活
剤、抗腫瘍剤等としての利用、餌料、飼料、ペットフー
ド等として家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚等の飼育用
としての利用、果実、野菜、草花等の植物活性剤として
の利用、健康食品、特定保健用食品等としての利用、食
酢飲料、乳性飲料、果汁飲料等の飲料用としての利用、
口中清涼剤、うがい薬等としての利用、その他歯磨き、
洗髪料、洗剤、入浴剤等の各種日用品としての利用、或
いは、タバコ等々の各種広範囲な多分野における加工物
に用いることができるバクテリアセルロース及びその製
造方法に関する。
【従来の技術】セルロースは地球上で最も豊富に存在す
る高分子物質であり、人類との関わりも歴史的に古い。
セルロースは植物での二酸化炭素の固定機構である光合
成により、年間数千億トンが生産されている。セルロー
スは植物の骨格組織として重要であると同時に、紙、パ
ルプ、衣料用繊維などとして工業的にも広く利用されて
いるが、このセルロースは植物からだけでなく微生物
(菌)によっても生産されることが古くから知られてい
る。例えば、この微生物は食酢の醸造工程ではしばしば
汚染菌として現れ、コンニャク状の厚膜のセルロースを
作ることが珍しくなかった。このセルロースは一般に植
物のセルロースと区別するためバクテリアセルロース又
は微生物セルロース更にはバイオセルロースと呼ばれて
いる。バクテリアセルロースの大きな特徴は、従来の植
物のセルロースと比較するとヘミセルロースやリグニン
を全く含まない純度の高いセルロースが得られることに
ある。加えて、物理的性質が優れ、種々の形状の不織布
として生産可能なこと、結晶化度、吸水性、重合度を生
合成過程でコントロールできることなど優れた特性を有
しているため、新素材として応用する研究が広範囲に進
んでいる。また、製紙材料となるセルロースを生産でき
るので森林資源の保護や生分解性を有する使い捨てプラ
スチックの材料とできるため、地球環境保護の面からも
関心を集めている。このバクテリアセルロースの価格は
現在のところ乾燥重量1Kg当り数万円もするため、そ
の利用は主に高付加価値製品に限定されている。例え
ば、特開昭59−120159号に開示されている医療
用パッド、特開昭61−281800号に開示されてい
る音響用振動板、特開昭62−36467号に開示され
ている高力学強度成形材料等に詳しく記載されている如
くである。バクテリアセルロースを得る方法は、一般的
には酢酸菌の存在下で行われるが、酢酸菌の代表的なも
のとしては、例えば、アセトバクター・アセチ(Ace
tobacter aceti)、アセトバクター・キ
シリナム(Acetobacter xylinu
m)、アセトバクター・パスツーリアネス(Aceto
bacter pastouriaus)等が知られて
いる。これらの酢酸菌を培養する栄養培地は、炭素源、
窒素源、無機塩類の他、微量のアミノ酸、ビタミン等か
ら成っている。炭素源としては、グルコース(ぶどう
糖)、シュクロース(砂糖)、マルトース、フラクトー
ス、マンノース、マンニトール、ソルビトール、エリス
リトール、転化糖、セロビオース、パルプスラッジ加水
分解物、澱粉加水分解物、各種モラセス(廃糖蜜)、そ
の他グリセリン、エタノール、酢酸、クエン酸等であ
り、5%前後を成分とする。窒素源としては、硫酸アン
モニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の
アンモニウム塩、硝酸塩、尿素、ペプトン等であり、1
%前後を成分とする。無機塩類としては、リン酸塩、マ
グネシウム塩、カルシウム塩、マンガン塩等であり、
0.5%前後を成分とする。アミノ酸、ビタミンに関係
する微量有機栄養素は、各種のアミノ酸、各種のビタミ
ンの他に酵母エキス、ペプトン、大豆蛋白質、カザミノ
酸、脂肪酸、核酸等であり、0.5%前後を成分とす
る。以上の成分等からなる栄養培地によりバクテリアセ
ルロースの生産が行われるが、この過程においては始め
に酢酸菌体が増殖し、この増殖した酢酸菌体によってバ
クテリアセルロースが作られる。ここにおいて重要なの
は炭素源と窒素源の比率である。即ち、炭素源に対して
窒素源の比率が高い場合、酢酸菌体の増殖の方が旺盛と
なってしまうことから、バクテリアセルロースの生産性
が悪くなる。従って、バクテリアセルロースの生産にお
いては如何なる炭素源を使用するかということが重要で
あり、高効率にセルロース転換できる炭素源を用いるこ
とができるならば、バクテリアセルロースの生産効率を
向上できることになる。従来知られていた炭素源として
は前記したものであるが、バクテリアセルロースの生産
効率を向上させるための様々な検討が加えられた中で、
従来、基本的な炭素源としてはグルコース及びシュクロ
ースが主体的に利用されている。例えば、特開昭59−
120159号の6ページに記載のシュラム(Schr
amm)−ヘストリン(Hestrin)の栄養培地の
炭素源はグルコース(2%)であり、特開昭62−26
5990号の3ページに記載の栄養培地の炭素源はシュ
クロース(5%)が使用されている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来において使用されている酢酸菌栄養培地の炭素源で
は、バクテリアセルロースの生産効率が必ずしも良いも
のとは言えないのが現状である。本発明は、バクテリア
セルロースの生産効率を向上するために鋭意研究を行っ
た結果、従来、バクテリアセルロースの生産における酢
酸菌栄養培地の炭素源として全く用いられていないこと
は勿論、その着目、示唆さえもされていなかった難発酵
性糖類である分岐オリゴ糖含有糖類を主体とする炭素源
がバクテリアセルロースの生産のための優れた酢酸菌栄
養培地であることを見出し完成されたものであり、その
目的とするところは、分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オ
リゴ糖含有糖類を成分とする発酵物を酢酸菌栄養培地の
炭素源として用いることにより得られるバクテリアセル
ロース及びその製造方法、更に当該バクテリアセルロー
スを素材として配合してなる加工物を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分岐オリ
ゴ糖含有糖類又は分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
酵物を酢酸菌栄養培地の炭素源として用いることについ
て種々研究を重ねた結果、前述の従来用いられていたグ
ルコース、シュクロース等の発酵性糖類よりも、その作
用機序は不明であるが、意外にも難発酵性糖類である分
岐オリゴ糖含有糖類を主体とする炭素源がバクテリアセ
ルロースの生産のための優れた酢酸菌栄養培地であるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。本発明のバク
テリアセルロ−スは、分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オ
リゴ糖含有糖類を成分とする発酵物より得られ、且つ、
イソマルトース、パノース、イソマルトトリオース等の
分岐オリゴ糖を主体とする成分をバクテリアセルロース
を得るための酢酸菌栄養培地の炭素源に利用するもの
で、このような炭素源は従来全く見あたらないものであ
り、本発明による開示がはじめてである。請求項1記載
のバクテリアセルロースは、分岐オリゴ糖含有糖類又は
分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発酵物を酢酸菌栄養
培地の炭素源として用いることにより得られるものであ
る。請求項2記載の加工物は、前記請求項1記載のバク
テリアセルロースを素材として配合してなるものであ
る。請求項3記載のバクテリアセルロースの製造方法
は、バクテリアセルロースの生産における酢酸菌栄養培
地の炭素源として、分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オリ
ゴ糖含有糖類を成分とする発酵物を用いてバクテリアセ
ルロースを製造する方法である。以下に本発明を詳しく
説明する。分岐オリゴ糖は、非発酵性糖類とも称せら
れ、特に日本古来の伝統的酒類である清酒中に存在する
オリゴ糖として詳細に研究されてきた。即ち、イソマル
トース(分子内にα−1,6グルコシド結合を有する二
糖類)、パノース(分子内にα−1,6と1,4グルコ
シド結合を有する三糖類)、イソマルトトリオース(分
子内にα−1,6グルコシド結合を有する三糖類)等で
ある。これらの分岐オリゴ糖は、清酒のうま味、こく味
に関与する成分であり、分岐オリゴ糖含有糖類製品にお
いてその糖成分が酒税法に適合するものは醸造用糖類と
しても利用されている。また、分岐オリゴ糖は、ビフィ
ズス菌因子であり、且つ、低う蝕性等の体調調節機能性
があることが知られている。分岐オリゴ糖の製造方法に
関しては、特開昭56−51982号、特開昭61−1
24389号、特開昭63−291588号、更に高純
度品に関する特開平1−98601号等多くの方法が示
されているが、本発明に用いる分岐オリゴ糖及びその製
造方法としての制限はない。分岐オリゴ糖の製法上の基
本は、マルトースを生成するアミラーゼを主体とし、こ
れに糖の転移作用を有する酵素を作用させるものであ
る。即ち、この反応は転移酵素がマルトースに作用分解
して生じたグルコースが受容体としてのグルコースやマ
ルトースに転移してイソマルトースやパノース等を生成
するものであるが、分岐オリゴ糖の生成が進行するにつ
れてグルコースが副生し、また、未反応のマルトースも
あるために、反応液は難発酵性糖類の分岐オリゴ糖を主
体とするが、発酵性糖類であるグルコース、マルトース
も副生糖分として含有するものである。また、クロマト
分離法により、分岐オリゴ糖含有糖類中の発酵性糖類の
グルコースを殆ど除去して、難発酵性糖類を高純度とし
た分岐オリゴ糖含有糖類もできる。下記表1に市販の分
岐オリゴ糖含有糖類[群栄化学工業株式会社製:グンエ
イオリゴ(登録商標)]の成分を示す。
【表1】 次に、本発明において用いる分岐オリゴ糖含有糖類を成
分とする発酵物は以下の例でつくられる。請求項4記載
の分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発酵物としての食
酢は、例えば、上記表1に示した市販の分岐オリゴ糖含
有糖類と醸造用アルコール(純度95%)との混合物を
純水にてアルコール濃度5.5%v/v、糖濃度20%
w/wに調製して、1000mlを原料とする。これに
酵母エキス1g、リン酸一カリウム0.5g、リン酸二
アンモニウム0.5gと種酢アセトバクター・アセチ
(Acetobacter aceti)の種酢発酵液
30mlを加えて、酸度1.5%に調整した後、温度3
0℃にて、25日間酢酸発酵を行った。発酵後の酢酸濃
度5.0%v/w、アルコール濃度0.3%v/vであ
った。これを濾過して菌体を除き、75℃で加熱処理し
て分岐オリゴ糖を成分とする食酢とした。この食酢は、
酸度5%、無塩可溶性固形分18.8%、食酢100m
l当りの糖成分はグルコース4.5g、マルトース1.
6g、分岐オリゴ糖であるイソマルトース3.1g、マ
ルトトリオース0.2g、分岐オリゴ糖であるパノース
3.1g、分岐オリゴ糖であるイソマルトトリオース
1.1g、その他の分岐オリゴ糖6.7g、分岐オリゴ
糖合計14.0gであった。請求項5記載の分岐オリゴ
糖含有糖類を成分とする発酵物としての食酢は、例え
ば、上記表1に示した市販の分岐オリゴ糖含有糖類を純
水にて30%w/wに調製して1000mlを原料とす
る。これに酵母サッカロミセス・エリプソイデス(Sa
ccharomyces ellipoideus)の
培養液10mlと酵母エキス1g、リン酸一カリウム
0.5g、リン酸二アンモニウム0.5gを加え、温度
25〜30℃にて、10日間アルコール発酵を行った。
上記発酵後のアルコール濃度は6.5%v/vであっ
た。これを温度65℃で、10分間加熱して酵母を殺菌
した後、アルコール濃度を5.5%v/vに調製した。
次に種酢アセトバクター・アセチ(Acetobact
er Aceti)の酢酸発酵液30mlを加えて、酸
度1.5%に調製した後、温度35〜40℃で、10日
間酢酸発酵を行った。発酵後の酢酸濃度4.5%v/
w、アルコール濃度0.3%v/vであった。これを濾
過して菌体を除き、75℃で加熱処理して分岐オリゴ糖
を成分とする食酢とした。この食酢は酸度4.5%、無
塩可溶性固形分20%、食酢100ml当りの糖成分は
マルトース1.1g、分岐オリゴ糖であるイソマルトー
ス3.9g、マルトトリオース0.8g、分岐オリゴ糖
であるパノース2.8g、分岐オリゴ糖であるイソマル
トトリオース2.2g、その他の分岐オリゴ糖10.8
g、分岐オリゴ糖合計19.7g、であり、グルコース
は含まれていなかった。請求項6記載に係る分岐オリゴ
糖含有糖類を成分とする発酵物としての混合物は、例え
ば、上記表1に示した市販の分岐オリゴ糖含有糖類30
0g、市販のアルコール酢(酸度10%)603g、水
30gを混合したものであり、この混合物は酸度5.0
%、無塩可溶性固形分18.8%、混合物100ml当
りの糖組成はグルコース4.8g、マルトース1.6
g、分岐オリゴ糖であるイソマルトース3.0g、マル
トトリオース0.2g、分岐オリゴ糖であるパノース
3.0g、分岐オリゴ糖であるイソマルトトリオース
1.0g、その他の分岐オリゴ糖6.7g、分岐オリゴ
糖合計13.7gであった。請求項7記載の分岐オリゴ
糖含有糖類を成分とする発酵物としての酒は、例えば、
上記表1に示した市販の分岐オリゴ糖含有糖類を純水に
て30%w/wに調製して1000mlを原料とする。
これに酵母サッカロミセス・エリプソイデス(Sacc
haromyces ellipoideus)の培養
液10mlと酵母エキス3g、リン酸一カリウム0.5
g、リン酸二アンモニウム0.5gを加え、温度25〜
30℃にて10日間アルコール発酵を行った。発酵液は
珪藻土を濾過助剤として濾過を行った後、65℃で10
分間加熱処理して酒とした。この酒はアルコール5.5
%v/v、Brix度25であり、固形分(Brix
度)あたり分岐オリゴ糖を92%含有していた。請求項
8記載に係る分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発酵物
としての混合物は、例えば、上記表1に示した市販の分
岐オリゴ糖含有糖類400g、醸造用アルコール(95
%)70g、水730gを混合したもので、この混合物
はアルコール5.0%v/v、Brix度25であり、
固形分(Brix度)あたり分岐オリゴ糖を67%含有
していた。請求項9記載に係るバクテリアセルロースの
製造方法は、前記請求項3記載の分岐オリゴ糖含有糖類
を成分とする発酵物を、分岐オリゴ糖含有糖類と醸造用
アルコールとの混合物を酢酸発酵することにより得られ
た食酢、分岐オリゴ糖含有糖類を用いてアルコール発酵
と酢酸発酵とを行うことにより得られた食酢、分岐オリ
ゴ糖含有糖類とアルコール酢との混合物、分岐オリゴ糖
含有糖類をアルコール発酵を行うことにより得られた
酒、分岐オリゴ糖含有糖類と醸造用アルコールの混合物
の内から選ばれるいずれか1つとしたものである。本発
明に係るバクテリアセルロースの生産における培養条件
は、培地表面にセルロース膜を生産する静置培養法が望
ましく、培養温度25〜30℃、pH3〜7、培養時間
1〜90日間で、栄養培地あたり炭素源として分岐オリ
ゴ糖含有糖類又は分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
酵物を1〜25%含むことによりバクテリアセルロース
を効率的に得ることが出来る。また、本発明の原理を用
いれば、分岐オリゴ糖含有糖類以外の重合度2ないし1
0である各種オリゴ糖類、重合度11以上の各種多糖類
を酢酸菌栄養培地の炭素源として利用することが可能と
なる。本発明により得られるバクテリアセルロースは、
前述した通り、難消化性食物繊維素材、腸内菌叢改善
剤、抗高脂血症剤、血圧上昇防止剤、免疫賦活剤、抗腫
瘍剤等としての利用、餌料、飼料、ペットフード等とし
て家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚等の飼育用としての
利用、果実、野菜、草花等の植物活性剤としての利用、
健康食品、特定保健用食品等としての利用、食酢飲料、
乳性飲料、果汁飲料等の飲料用としての利用、口中清涼
剤、うがい薬等としての利用、その他歯磨き、洗髪料、
洗剤、入浴剤等の各種日用品としての利用、或いは、タ
バコ等々の各種広範囲な多分野における加工物に用いる
ことができる。
【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明はこの実施例に限定されるものではない。 [実施例1](食酢中の分岐オリゴ糖含有糖類の抽出調
製) 分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵と酢酸発酵して
得られた食酢をイオン交換樹脂[三菱化成工業製、ダイ
ヤイオン(登録商標)]を用いて脱塩、精製を行って、
食酢中の分岐オリゴ糖含有糖類を抽出調製した。市販の
分岐オリゴ糖含有糖類よりつくった食酢[私市醸造株式
会社製:発酵オリゴ酢(商標)]3000mlを、内径
5cm、長さ50cmのカラム3本に、「強酸性陽イオ
ン交換樹脂(PK218)」、「弱塩基性陰イオン交換
樹脂(WA30)」及び「強酸性陽イオン交換樹脂(P
K218)と強塩基性陰イオン交換樹脂(PA408)
との混床」の順に充填した後、空間速度(SV.h
-1)0.5で通液した。この操作を3回繰り返して完
全に脱塩、精製した後、更に活性炭にて精製後、固形分
75%(w/w)まで減圧濃縮して食酢中の分岐オリゴ
糖含有糖類を抽出調整した。この分岐オリゴ糖含有糖類
は、固形あたりマルトース5%、イソマルトース18
%、マルトトリオース4%、パノース13%、イソマル
トトリオース10%、その他の分岐オリゴ糖50%であ
り、難発酵性糖類であるイソマルトースやパノース、イ
ソマルトトリオース等の分岐オリゴ糖を計91%含有す
るものであり、グルコースは含んでいないものである。
この食酢より抽出調製した分岐オリゴ糖含有糖類とアル
コール酢を混合することにより、分岐オリゴ糖含有糖類
を成分とする発酵物を調製し、バクテリアセルロースの
生産における酢酸菌栄養培地の炭素源とした。この酢酸
菌栄養培地は酸度4%で、糖濃度は各々1%、5%、1
0%、20%を実験区とした。分岐オリゴ糖含有糖類を
添加しないものを標準として、比較のため含水結晶ぶど
う糖[群栄化学工業株式会社製:コーソグル群栄(商
標)]をアルコール酢に混合して同じ酸度で、同じ糖濃
度にした酢酸菌栄養培地を対照区とした。減菌した50
0ml容マヨネーズビン(径7cm×高さ13cm)に
酢酸菌栄養培地300gを入れ、斜面寒天培地で生育さ
せた酢酸菌アセトバクター・キシリナム(Acetob
acter xylinum)を移植し、温度25〜3
0℃で30日間静置培養した。培養後、表面に生成した
バクテリアセルロースの膜を取り出し、水洗、乾燥して
重量を測定した。その結果を表2に示す。
【表2】 表2に示す通り、糖濃度1%、5%では含水結晶ぶどう
糖の方がバクテリアセルロースの得られる量は高かった
が、糖濃度10%、20%では分岐オリゴ糖含有糖類の
方がバクテリアセルロースの得られる量が高く優れてい
た。この理由については糖の浸透圧の影響等が考えられ
るも、いまのところ作用機序は不明であるが、糖濃度が
やや高い条件においては、炭素源として難発酵性の分岐
オリゴ糖含有糖類を成分とする方が効果的であることが
分かる。 [実施例2](難消化性食物繊維素材入りの乳性飲料) 前記実施例1における食酢中の分岐オリゴ糖含有糖類の
抽出調製のために用いた市販の分岐オリゴ糖含有糖類よ
りつくった食酢[私市醸造株式会社製:発酵オリゴ酢
(商標)]は請求項5記載の分岐オリゴ糖含有糖類を成
分とする発酵物としての食酢であり、製造方法、成分等
は前述した通りである。実施例2においても当該分岐オ
リゴ糖含有糖類を成分とする発酵物である食酢をそのま
ま酢酸菌栄養培地の炭素源として用いた。この酸度4.
5%、無塩可溶性固形分20%、食酢100ml当りグ
ルコースは含まず、分岐オリゴ糖19.7gを成分とす
る食酢を酢酸菌栄養培地とした。これに酢酸菌アセトバ
クター・キシリナム(Acetobacter xyl
inum)を移植し、温度25〜30℃で30日間静置
培養した。培養後表面に生成したバクテリアセルロース
(乾物換算)の収率は、酸度(酢酸として)及び無塩可
溶性固形分の合計量に対する比で求めたが5%であっ
た。このバクテリアセルロースを含む食酢を湿式超微粒
粉砕機で処理して、100ミクロン程度に微粒化したバ
クテリアセルロースを100mlあたり1.2g含む難
消化性食物繊維素材を得た。脱脂粉乳150g、本発明
に係る難消化性食物繊維素材400g、表1の分岐オリ
ゴ糖含有糖類1.0Kg、ステビア糖転移品4g、ペク
チン20gに水を添加し溶解して全量を10.0Kgと
した。これをホモゲナイザーで均一化した後、85℃で
30分間殺菌して冷却後、乳性飲料の製品を得た。この
製品は発酵乳のような爽快感のある酸味が特徴であり、
整腸効果を有するものであった。 [実施例3](難消化性食物繊維素材入りの植物活性
剤) ゴルフ場のグリーンよりベントグラスの株を採取した。
葉は2mm、根は1cm幅の立方体にカットした。これ
をサンドグリーン砂に植え、生育状態を観察した。前記
実施例2で調製した難消化性食物繊維素材を水で100
倍に希釈し、植物活性剤とした。ベントグラス1m2
たり本発明の植物活性剤1000mlの割合で、0日、
10日後、20日後の3回潅水して、温度15〜25℃
で30日間生育させた。対照としては市販の液肥(スト
レートタイプ)を同じ割合で用いて、ベントグラスの葉
と根の長さを比較した。結果は、市販の液肥の場合を1
00とすると、本発明の植物活性剤の場合は、葉長(草
丈)は116、根長は105で、葉、根ともしっかり伸
長した。難消化性食物繊維素材である微粒化したバクテ
リアセルロースを含む本発明の植物活性剤は、植物の成
長促進に有効であった。
【発明の効果】以上詳述した本発明は、難発酵性糖であ
るオリゴ糖類において特に分岐オリゴ糖含有糖類が、従
来から用いられている消化性糖類であるグルコース、シ
ュクロースよりも、バクテリアセルロースを生産するた
めに必要な酢酸菌栄養培地の優れた炭素源である知見よ
り導かれたもので、更にその効果を補強するために分岐
オリゴ糖含有糖類を成分とする発酵物を酢酸菌栄養培地
の炭素源として得られるバクテリアセルロースである。
また、バクテリアセルロースを生産するために必要な酢
酸菌栄養培地の炭素源として分岐オリゴ糖含有糖類を成
分とする発酵物を用いてなる本発明の製造方法により、
バクテリアセルロースを効率的に得ることができ、この
得られたバクテリアセルロースは天然高分子物質の新素
材として医薬、食品、飼料などの各種広範囲な多分野に
おける加工物に用いることができると共に、製紙材料と
なるセルロースを生産できるので森林資源の保護や生分
解性を有する使い捨てプラスチックの材料とできるため
地球環境保護にも効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花上 邦夫 群馬県高崎市宿大類町700番地 群栄化学 工業株式会社内 (72)発明者 山崎 清 千葉県鎌ケ谷市東道野辺6−7−46番地 私市醸造株式会社内 (72)発明者 私市 一康 千葉県鎌ケ谷市東道野辺6−7−46番地 私市醸造株式会社内 (72)発明者 私市 冨士彌 千葉県鎌ケ谷市東道野辺6−7−46番地 私市醸造株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オリゴ糖含
    有糖類を成分とする発酵物を酢酸菌栄養培地の炭素源と
    して用いてなることを特徴とするバクテリアセルロー
    ス。
  2. 【請求項2】分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オリゴ糖含
    有糖類を成分とする発酵物を酢酸菌栄養培地の炭素源と
    して用いてなるバクテリアセルロースを素材として配合
    してなることを特徴とする加工物。
  3. 【請求項3】分岐オリゴ糖含有糖類又は分岐オリゴ糖含
    有糖類を成分とする発酵物を酢酸菌栄養培地の炭素源と
    して用いることを特徴とするバクテリアセルロースの製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
    酵物は、分岐オリゴ糖含有糖類と醸造用アルコールとの
    混合物を酢酸発酵することにより得られた食酢である請
    求項1記載のバクテリアセルロース。
  5. 【請求項5】前記分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
    酵物は、分岐オリゴ糖含有糖類を用いてアルコール発酵
    と酢酸発酵とを行うことにより得られた食酢である請求
    項1記載のバクテリアセルロース。
  6. 【請求項6】前記分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
    酵物は、分岐オリゴ糖含有糖類とアルコール酢との混合
    物である請求項1記載のバクテリアセルロース。
  7. 【請求項7】前記分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
    酵物は、分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵を行う
    ことにより得られた酒である請求項1記載のバクテリア
    セルロース。
  8. 【請求項8】前記分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
    酵物は、分岐オリゴ糖含有糖類と醸造用アルコールの混
    合物である請求項1記載のバクテリアセルロース。
  9. 【請求項9】前記分岐オリゴ糖含有糖類を成分とする発
    酵物は、分岐オリゴ糖含有糖類と醸造用アルコールとの
    混合物を酢酸発酵することにより得られた食酢、分岐オ
    リゴ糖含有糖類を用いてアルコール発酵と酢酸発酵とを
    行うことにより得られた食酢、分岐オリゴ糖含有糖類と
    アルコール酢との混合物、分岐オリゴ糖含有糖類をアル
    コール発酵を行うことにより得られた酒、分岐オリゴ糖
    含有糖類と醸造用アルコールの混合物の内から選ばれる
    いずれか1つである請求項3記載のバクテリアセルロー
    スの製造方法。
JP19106294A 1994-07-21 1994-07-21 バクテリアセルロース、その製造方法及び該バクテリアセルロースを用いた加工物 Pending JPH0834802A (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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