JPH0833964A - 高Ni鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

高Ni鋼の連続鋳造方法

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JPH0833964A
JPH0833964A JP19003794A JP19003794A JPH0833964A JP H0833964 A JPH0833964 A JP H0833964A JP 19003794 A JP19003794 A JP 19003794A JP 19003794 A JP19003794 A JP 19003794A JP H0833964 A JPH0833964 A JP H0833964A
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正之 中田
Hirohisa Nakajima
廣久 中島
Toshiaki Ishige
俊朗 石毛
Takashi Itakura
孝 板倉
Katsunori Suzuki
克紀 鈴木
Hiroshi Maeda
浩史 前田
Mitsuhiro Tada
光宏 多田
Shinichi Nishioka
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高Ni鋼の連続鋳造において、粒界割れを防
止し、表面の割れを防止する。 【構成】 Ni8〜10wt.%鋼を垂直−曲げ型連続鋳造機
によって連続鋳造するに際し、鋳型内での鋳片のコーナ
ー部表面温度の極小値(T1 )、鋳片が前記鋳型を出て
から上部矯正帯に至るまでの時間(t)および前記鋳型
を出てから前記上部矯正帯に至るまでの鋳片のコーナー
部表面温度の平均値(T2 )を算出し、算出した極小値
(T1 )、時間(t)および平均値(T2 )、および、
予め測定した当該鋳造高Ni鋼の絞り値から、当該鋳造
時における絞り値を推定し、この絞り値が50%以上に
なるように、鋳造速度(Vc )および2次冷却強度
(W)を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、垂直−曲げ型連続鋳
造機(vertical-bending type machine)による高Ni鋼
の連続鋳造方法に関し、詳しくは、鋳片表面割れを防止
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低温用容器の素材として知られるNiを
8〜10wt.%含有する高Ni鋼(JIS G 31
27 SL9N520、SL9N590に相当鋼種)
(以下、「9wt.%Ni鋼」という)は、凝固時にγ
相で凝固するため、高温延性に乏しく、従来は垂直−曲
げ型連続鋳造機(以下、「連鋳機」という)による操業
では、鋳片表面割れが発生し易いため鋳造が困難である
とされている。
【0003】前記の9wt.%Ni鋼は、凝固完了後の
γ粒界において、粒界割れが発生し易く、鋳片表面を重
点的に手入れする必要があり、製造コスト増につながる
要因になっていた。これを防止する技術としては、例え
ば、以下のものが知られている。
【0004】鉄鋼協会講演大会概要集 CAMP−IS
IJ VOL6(1993)−1121(以下、「先行
技術1」という):先行技術1には、9wt.%Ni鋼
では、700〜900℃において、割れ感受性が高いこ
と、連鋳機においては上部曲げ部、下部矯正部での引張
応力が加わる部分での脆化を防止するために、ミストノ
ズルを用いた低比水量および高速鋳造による鋳片温度の
高温化を指向することと、含有成分のうち、P、Sを予
め、P:0.0022wt.%、S:0.0005w
t.%まで各々低くすることで割れ感受性を低くできる
ことが述べられている。また、スラブ幅方向の均一冷
却、高速鋳造による曲げ矯正時の歪速度増大も、割れ防
止に効果があると定性的に述べられている。
【0005】特開昭57−32862号公報「発明の名
称;Ni鋼連続鋳造における二次冷却方法」(以下、
「先行技術2」という):先行技術2には、鋳片表面温
度が950℃に降下するまで、80〜40℃/minの
冷却速度に設定し、950℃以下については、20℃/
min以下の冷却速度に設定することで表面割れを防止
する方法について提案されている。
【0006】特開平1−228644号公報「発明の名
称;含Ni鋼の連続鋳造における表面割れ防止方法」
(以下、「先行技術3」という):先行技術3には、1
150〜950℃の温度域の冷却速度を20℃/min
以下にすることで、9wt.%Ni鋼の表面割れを防止
できることが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1〜3におい
ては、鋳片表面温度を鋳型内の凝固開始時から20℃/
min以下等の徐冷却で950℃迄冷却することによっ
て熱間延性を向上するとしている。しかしながら、実際
の連鋳機の鋳型出側での鋳片コーナー部(以下、「鋳片
コーナー部」という)の表面温度は、既に950℃以下
まで冷却されている。特に、本発明が対象とする9w
t.%Ni鋼は厚板用途であり、比較的鋳片断面寸法が
大きなスラブに鋳造することから、鋳造速度が0.7〜
1.0m/minであるため、鋳型出側でコーナー表面
温度が既に950℃以下に低下している。従って、先行
技術1〜3では、その後の表面割れ(特にコーナー部)
を防止することはできなかった。
【0008】9wt.%Ni鋼は、いわゆるγ相で凝固
するために、γ相の結晶粒界に、PおよびS等の不純物
元素が濃化するので、熱間において粒界が脆化し易く、
この状態において連鋳機内にて曲げ矯正を行うと、鋳片
表面に引張歪が加わるので、鋳片表面近傍で粒界割れが
生ずることがある。そのため、先行技術1においては、
PおよびSを実生産設備としては極限にまで低減する
(P:0.0022wt.%、S:0.0005wt.
%)ことで脆化防止を試みている。
【0009】また、鋳片の熱間特性を考慮すると、上記
の脆化温度域を避けるようにして曲げ矯正を行えば、鋳
片に曲げ歪を加えても粒界割れが生じないものと推察さ
れる。
【0010】しかしながら、上記の不純物低減は、鋼の
溶製費用の上昇につながり、また、脆化温度域を避ける
ようにして曲げ矯正を加えるといっても、鋳片表面の熱
履歴によって熱間延性の挙動が大きく異なることが我々
の研究によって明らかになっており、安全な温度域を実
際の連続鋳片の熱履歴を反映させた状態で特定させてお
く必要があるにもかかわらず、従来は非常に大雑把な評
価法に基づいて製造条件が決定されており、そのため表
面品質の向上には限界があった。
【0011】従って、この発明の目的は、連続鋳造の際
の鋳片冷却過程において、実際の鋳片の健全性に及ぼす
熱履歴の影響を考慮した形で熱間延性を評価することに
よって鋳片の脆化挙動を明確にして曲げ矯正温度等の諸
条件を明らかにし、特に、PおよびS等の不純物成分を
前記の如く極限まで低減しなくても粒界割れを防止でき
るようにすることにより、表面の割れを完全に防止する
ことができる高Ni鋼の連続鋳造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の高Ni鋼の連
続鋳造方法は、Niを8〜10wt.%含有する高Ni
鋼を垂直−曲げ型連続鋳造機によって連続鋳造するに際
し、鋳型内での鋳片のコーナー部表面温度の極小値(T
1 )、鋳片が前記鋳型を出てから上部矯正帯に至るまで
の時間(t)および前記鋳型を出てから前記上部矯正帯
に至るまでの鋳片のコーナー部表面温度の平均値
(T2 )を算出し、算出した極小値(T1 )、時間
(t)および平均値(T2 )の値、および、予め測定し
た当該鋳造高Ni鋼の絞り値から、当該鋳造時における
絞り値を推定し、この絞り値が50%以上になるよう
に、鋳造速度(Vc )および2次冷却強度(W)を制御
することに特徴を有するものである。
【0013】また、鋳造速度(Vc )に依存して2次冷
却強度(W)を、 W<600×Vc −350 但し、 W :l/m2 ・min Vc :m/min となるように制御することに特徴を有するものである。
【0014】
【作用】次に、この発明を上記のように構成した理由
を、図面を参照しながら説明する。
【0015】鋳片の熱間延性の挙動を以下の方法で調査
した。表1に示すような化学成分組成を有する9wt.
%Ni鋼の連続鋳片を、連鋳機によって鋳造した。次い
で、図1に示すように、鋳造した連続鋳片1から、鋳造
方向(矢印に示す)5と平行に、図2に示すような引張
試験片2を切り出した。図1において、3は中心偏析、
4は鋳片のL断面を示す。図2に示すように、試験片2
は、全長:110mm、寸法A:25mm、寸法B:2
0mm、寸法C:7.5mmφ、寸法D:5mmφ、R
部:5R以上の寸法を有していた。次いで、この試験片
に対し、加工フォーマスター試験機を使用し、熱間にお
いて種々の温度履歴を与えて引張試験を行った。図3
は、従来良く行われているものに近い条件の温度履歴
と、前記条件によって温度履歴を与えた試験片に対する
引張試験結果を示すグラフである。図3の温度履歴を示
すグラフ(右図)に示すように、試験片を1300℃の
温度で5分間保持した後に、約690℃/minの冷却
速度で冷却し、所定の温度で5分間保持した。そして、
このような温度履歴を与えた試験片を、10-3/sの歪
速度で引っ張った。なお、冷却速度690℃/minの
値は、鋳片コーナー部の鋳型(モールド)内における冷
却速度に相当するものとして与えており、また、歪速度
10-3/sの値は、連鋳機内における曲げ歪速度の概略
値を想定したものである。
【0016】
【表1】
【0017】図3の引張試験結果を示すグラフ(左図)
に示すように、9wt.%Ni鋼の場合、600〜85
0℃の熱間の絞り値(RA)が50%以下となっており
普通鋼と比較して著しく脆化していることがわかる。
【0018】しかしながら、鋳片の熱間延性の挙動は、
結晶粒界における不純物の蓄積状況、不純物の拡散消失
挙動およびAlN等の窒化物の挙動に大きく影響するも
のと考えられる。
【0019】図4は、表2に示す熱伝達条件により伝熱
計算で得られた連鋳機における鋳片コーナー部表面およ
び鋳片幅方向中央部(以下、「鋳片幅中央部」という)
表面の温度推移を示すグラフである。このときの連鋳機
の主要仕様および鋳造条件は表3に示す通りである。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】図4に示すように、鋳型(モールド)での
1次冷却により急激な温度降下があり鋳型出口(鋳型出
口と1次冷却設備出口とは厳密には一致しないので、正
確にいえば1次冷却設備出口である)で温度が極小値
(T1 )(以下、「極小値(T1 )」という)に達し、
次いで、鋳型出口を出た直後に大きく温度が上昇(以
下、「復熱」という)する(2次冷却スプレー設備との
冷却強度差による)。また、鋳片コーナー部の方が、鋳
片幅中央部よりも表面温度の絶対値が低い。更に、メニ
スカスから4m以後の位置においてはスプレー幅切り
(鋳片コーナー部のスプレー冷却を中止し幅方向中央部
のみスプレー冷却する)を実施しているので、上部矯正
帯付近においては、鋳片コーナー部の表面温度履歴は輻
射冷却によって滑らかな曲線状になっている。また、メ
ニスカスからの距離が14mの位置以後においては、ス
プレー幅切りのみならず全幅にわたってスプレーをカッ
トしている(スプレー冷却を中止している)ので、下部
矯正点付近においては、鋳片コーナー部のみならず、鋳
片幅中央部も滑らかな冷却曲線となっている。このよう
に、下部矯正点の前においては、十分な延性回復時間が
与えられているので、温度が850℃以上に確保されれ
ば、図3に示すような脆化を防止できることがわかる。
【0023】以上に述べたポイントを踏まえて、まず、
鋳型直下(鋳型出口を出た直後)における復熱を想定し
た熱履歴を与えて試験片2の熱間延性挙動を調査した。
図5は、鋳型出口から下流側約5mにわたって50l
(リットル)/m2 ・minの2次冷却強度(スプレー
水量)で冷却した場合において、鋳造速度が鋳片コーナ
ー部表面温度に与える影響を示すグラフである。図5か
ら、鋳造速度を遅くすることにより極小値(T1 )、お
よび、復熱後の鋳片コーナー部表面温度の極大値が低下
することがわかる。従って、上部矯正帯に至るまでは、
鋳造条件に依存した熱履歴が与えられていることがわか
る。
【0024】そこで、所定の熱履歴に基づいて熱間延性
を調査した。図6は、熱間延性調査の際の熱履歴を示す
グラフである。図6に示すように、連鋳鋳片1から切り
出した引張試験片2(図1、図2参照)を、加工フォー
マスターを用いてアルゴン(Ar)雰囲気圧下で昇温し
1300℃の温度で5分間保持した後に、690℃/m
in(前述の鋳片コーナー部の鋳型内の冷却速度を想定
した値)の冷却速度で任意の温度(T1 )まで冷却し、
次いで、直ちに200℃/minの昇熱速度で任意の温
度(T2 )まで昇温し、その温度(T2 )で任意の時間
保持した。そして、このような熱履歴を持つ試験片に、
10-3/sの歪速度で引張試験を実施し絞り値(RA)
を調べた。なお、使用した前記昇熱速度“200℃/m
in”は、実際の連鋳機における復熱速度を想定した値
である{鋳造速度(Vc ):0.6〜1.0m/mi
n、および、鋳型出側での2次冷却水量:50〜100
l/m2 ・min、の条件における180〜220℃/
minの復熱速度}。
【0025】図7は、図6に示す熱履歴において、極小
値(T1 )を各種温度に変え、(T2 )を900℃と
し、(T2 )での保持時間(t)を0.5〜8分の間で
各種設定した場合の引張試験結果(絞り値)を示すグラ
フである。図7から、900℃(T2 )への復熱を想定
すると、極小値(T1 )の影響が大きいこと、および、
(T2 )における保持時間を長くすることによって延性
は回復する(絞り値50%以上となる)ことがわかる。
【0026】図8および図9も図7と同様に、図6に示
す熱履歴において、(T2 )を、図8は1000℃に、
図9は1100℃とした場合の、絞り値を示すグラフで
ある。図8および図9から、(T2 )の絶対値を高くす
ることによっても延性は回復する(絞り値50%以上)
傾向にあることがわかる。
【0027】以上の結果より、少なくとも絞り値(R
A)50%以上を満足するための鋳造条件を求める。図
10は、鋳型直下(鋳型出口)での鋳片コーナー部表面
温度{極小値(T1)に相当}、鋳造速度(Vc )、極
小値(T1 )が与えられた直後(鋳型出口を出た直後)
に温度が上昇してから上部矯正帯の入口に至るまでの時
間(t)(以下、「経過時間(t)」という)、極小値
(T1 )が与えられた直後(鋳型出口を出た直後)に温
度が上昇してから上部矯正帯の入口に至るまでの鋳片コ
ーナー部表面温度の平均値(T2 )、および、2次冷却
強度(スプレー水量)(W)、の相互関係をまとめたグ
ラフである。図10の〜のゾーンは、:極小値
(T1 )と鋳造速度(Vc )との関係、:経過時間
(t)に及ぼす鋳造速度(Vc )の影響、:極小値
(T1 )が与えられた場合の2次冷却強度(W)による
平均値(T2 )への影響、および、:経過時間(t)
および2次冷却強度(W)と平均値(T2 )への影響、
を各々示している。なお、連鋳機の主要仕様は前述した
表3に示す通りである。
【0028】図10に示すように、鋳造条件として鋳造
速度(Vc )を決めれば、極小値(T1 )が決まり、経
過時間(t)も自動的に決まる。なお、経過時間(t)
は、以下の式によって求まる。 t=VL/Vc 但し、 VL:鋳型下の垂直部長さ(鋳型出口から上部矯正帯入
口までの長さ)。
【0029】また、その際に、平均値(T2 )は、極小
値(T1 )および2次冷却強度(W)に依存して決定さ
れる。なお、この平均値(T2 )は、図6に示す
(T2 )に相当する。
【0030】図11は図10と同様の場合に、有効モー
ルド長さ(ML)を0.7mとした場合で、鋳型下の垂
直部長さ(VL)を4mまたは2mの2水準とした場合
の、極小値(T1 )と平均値(T2 )との関係、経過時
間(t)と平均値(T2 )との関係を示すグラフであ
る。図11から、鋳型下の垂直部長さ(VL)を短くす
ることで経過時間(t)が短くなるために鋳型出口から
上部矯正帯の入口までの鋳片コーナー部温度平均値(T
2 )は若干上昇することがわかる。
【0031】図12は図10と同様の場合に、鋳型下の
垂直部長さ(VL)を4mとし、有効モールド長さ(M
L)を0.6m、0.7mまたは0.8 mとした場合
の極小値(T1 )と平均値(T2 )との関係、経過時間
(t)と平均値(T2 )との関係を示すグラフである。
図12から、有効モールド長さ(ML)を短くすること
で、平均値(T2 )は若干上昇することがわかる。
【0032】これらより、鋳造速度(Vc )および2次
冷却の条件が決まれば上部矯正帯において歪が加わった
場合の絞り値が推定できることになる。即ち、鋳造速度
(Vc )および2次冷却の条件を決定すると、経過時間
(t)、極小値(T1 )および平均値(T2 )が算出さ
れる。そして、この算出した温度に対応する絞り値(R
A)を図7〜図9により推定することができる。
【0033】図13はこれをまとめたグラフであり、熱
間絞り値に及ぼす鋳造速度(Vc )と2次冷却強度
(W)の影響を示している。図13に示すように、脆化
挙動の判断基準である絞り値50%以上を与えるための
鋳造速度(Vc )と2次冷却強度(W)が求められる。
図14は、このような絞り値(RA)50%以上を満足
することができる、限界2次冷却強度と鋳造速度
(Vc )との関係を示すグラフである。図14中に示す
曲線の右側であれば、鋳片コーナー部表面の50%絞り
値(RA)が確保されることになる。また、図14によ
れば、2次冷却強度(W)と鋳造速度(Vc )との関係
より、鋳片コーナー部の粒界割れを防止できる臨界条件
が定式化され、 W<600×Vc −350 但し W :l/m2 ・min Vc :m/min という条件を満足するように設定すればよいことにな
る。
【0034】なお、図13および図14中には、有効モ
ールド長さ(ML)を0.6m、0.7m、鋳型下の垂
直部長さ(VL)を2m、4mとした場合の結果も示し
ているが(ML:0.8、VL:4m、の場合は図面が
複雑となるため省略した)、これらの影響はこの水準の
範囲では大きい影響となっては現れて来ず、上記臨界条
件の汎用性が確認されている。
【0035】
【実施例】次に、この発明を図面を参照しながら説明す
る。前述した表3に示す仕様の連鋳機を用いて、表1に
示す9wt.%Ni鋼の鋳造を行い、表4に示す鋳造条
件によってスラブの供試体No. 1〜6を調製した。表4
には、P、SおよびNの含有量、鋳造速度、鋳型直下ス
プレー強度(スプレーによる2次冷却水量)、比水量、
および、下部矯正点における鋳片コーナー部表面温度等
の鋳造条件を示す。なお、供試体No. 5はP、S、Nの
含有量が表4に示すように他と異なっている。
【0036】
【表4】
【0037】調製した供試体No. 1〜6の各々の長辺面
を1.0mmの深さ分グラインダーにより切削除去した
後、磁粉探傷により表面に存在するキズを検出し評価し
た。どの鋳造条件においても(供試体No. 1〜6のいず
れにおいても)、鋳片の反基準面側(スラブの上面側)
にはキズが全く存在せず、基準面側のコーナー部にのみ
存在する場合があった。
【0038】前述の図14の限界条件の曲線の左右にお
いて、基準面側のコーナー割れの存在(キズ)の有無を
分類した結果を図15に示す。図15におけるキズの評
価方法は表5に示す通りである。
【0039】
【表5】
【0040】図15に示すキズの原因は、連鋳機の上部
矯正帯での基準面側引張応力が働いた際に、そこのコー
ナー部の熱間延性が劣化したためと思われる。また、反
基準面側において、どの条件も全く割れが存在しなかっ
た理由は、下部矯正点に至る前の数メートル分の熱履歴
が、比較的徐冷されており、最後に復熱してから十分に
時間があるため、図3に示した冷却条件に近い条件であ
ったものと考えられる。なお、下部矯正点直前の反基準
面側の測温結果は、いずれの場合も鋳片コーナー部を含
めて850℃以上の温度が確保されていたので、十分熱
間延性が高かったものと考えられる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、9wt.%Ni鋼の連続鋳造の際に、実際の冷却パ
ターンに近い熱履歴を与えて熱間延性挙動を評価したの
で、連鋳機内の割れ発生条件を高精度で求めることがで
きるようになり、PおよびS等の不純物成分を極限まで
低減しなくても粒界割れを防止でき、表面の割れを完全
に防止することが可能となり、かくして、工業上有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間延性調査用試験片の採取方法を説明する鋳
片の平面図である。
【図2】引張試験片の形状を示す平面図である。
【図3】従来良く行われているものに近い条件の温度履
歴と、前記条件によって温度履歴を与えた試験片に対す
る引張試験結果を示すグラフである。
【図4】表3の条件において伝熱計算で得られた連鋳機
における鋳片コーナー部表面および鋳片幅方向中央部表
面の温度推移を示すグラフである。
【図5】鋳型出口から下流側約5mにわたって50l
(リットル)/m2 ・minの2次冷却強度(スプレー
水量)で冷却した場合において、鋳造速度が鋳片コーナ
ー部表面温度に与える影響を示すグラフである。
【図6】熱間延性調査の際の熱履歴を示すグラフであ
る。
【図7】鋳型直下での鋳片コーナー部表面温度(T1
を各種温度に変え、鋳型出口から上部矯正帯に至るまで
の鋳片コーナー部表面の平均温度(T2 )を900℃と
し、(T2 )での保持時間を0.5〜8分の間で各種設
定した場合の、絞り値を示すグラフである。
【図8】図7と同じ条件において、鋳型を出てから上部
矯正帯に至るまでの鋳片コーナー部表面の平均温度(T
2 )を1000℃にした場合の絞り値を示すグラフであ
る。
【図9】図7と同じ条件において、鋳型を出てから上部
矯正帯に至るまでの鋳片コーナー部表面の平均温度(T
2 )を1100℃にした場合の絞り値を示すグラフであ
る。
【図10】平均温度(T2 )に及ぼす鋳造速度(Vc
と2次冷却強度(W)との関係を示すグラフであり、
ゾーンは鋳型直下での鋳片コーナー部表面温度(T1
と鋳造速度(Vc )との関係、ゾーンは鋳型出口から
上部矯正帯の入口までの経過時間(t)に及ぼす鋳造速
度(Vc )の影響、ゾーンは(T1 )が与えられた場
合の2次冷却強度による(T2 )への影響、および、
ゾーンはtおよび2次冷却強度と(T2 )との関係を示
す。
【図11】図10において、有効モールド長さ(ML)
を0.7mとして鋳型下の垂直部長さ(VL)を4mま
たは2mの2水準とした場合の(T1 )と(T2 )との
関係、および、(t)と(T2 )との関係を示すグラフ
である。
【図12】図10において、(VL)を4mとして(M
L)を0.6m、0.7mまたは0.8 mとした場合
の(T1 )と(T2 )との関係、および、(t)と(T
2)との関係を示すグラフである。
【図13】熱間絞り値(RA)に及ぼす鋳造速度
(Vc )と2次冷却強度(W)の影響を示すグラフであ
る。
【図14】熱間絞り値(RA)50%以上を満足するこ
とができる、限界2次冷却強度(W)と鋳造速度
(Vc )との関係を示すグラフである。
【図15】図14の限界条件の曲線の左右において、基
準面側のコーナー割れの存在(キズ)の有無を分類した
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1:連続鋳片 2:引張試験片 3:中心偏析 4:鋳片のL断面 5:鋳造方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21D 9/52 102 C22C 38/00 302 Z 38/08 (72)発明者 板倉 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鈴木 克紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 前田 浩史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 多田 光宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 西岡 信一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを8〜10wt.%含有する高Ni
    鋼を垂直−曲げ型連続鋳造機によって連続鋳造するに際
    し、 鋳型内での鋳片のコーナー部表面温度の極小値
    (T1 )、鋳片が前記鋳型を出てから上部矯正帯に至る
    までの時間(t)および前記鋳型を出てから前記上部矯
    正帯に至るまでの鋳片のコーナー部表面温度の平均値
    (T2 )を算出し、算出した極小値(T1 )、時間
    (t)および平均値(T2 )、および、予め測定した当
    該鋳造高Ni鋼の絞り値から、当該鋳造時における絞り
    値を推定し、この絞り値が50%以上になるように、鋳
    造速度(Vc )および2次冷却強度(W)を制御するこ
    とを特徴とする高Ni鋼の連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 鋳造速度(Vc )に依存して2次冷却強
    度(W)を、 W<600×Vc −350 但し、 W :l/m2 ・min Vc :m/min となるように制御する請求項1記載の高Ni鋼の連続鋳
    造方法。
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