JP4545130B2 - 鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
スラブ表面の縦割れは、連続鋳造工程において鋼の温度不均一に起因する凝固遅れ部分に内部応力が集中することにより発生することが知られている。従来、連続鋳造工程における鋼の温度均一化を図るために、モールドパウダーの改善および鋳造時の冷却方法の改善等を行い、スラブにおける縦割れの発生をある程度減少させることによって、無手入れ圧延やHCR(ホットチャージ圧延)化が図られてきた。
そこで、圧延処理の前に鋳片の表面処理が必要かどうかを判断するために、精錬工程の操業データから算出された脱酸生成物(酸化アルミニウム)発生量を判定するための尺度となる判定尺度、連続鋳造におけるタンディッシュ内の溶鋼滞留量および温度等から求めたタンディッシュ内の介在物浮上量の判定尺度、および鋳型内のモールドパウダー巻き込み量の判定尺度を鋳片の合否基準と照合する技術(特許文献1)、厚板向けの含Nb、含V中炭素鋼の連続鋳造において、タンディッシュ内の溶鋼分析値よりTi/N比を算出し、Ti/N比≧3の場合割れが発生しないと予測して無手入れのまま圧延工程に送り、Ti/N比<3の場合表面手入れ分の付加重量を付加してスカーフィング等の表面手入れをした後に圧延工程に送る技術(特許文献2)、および、ボトム鋳片(鋳造開始時の鋳片)の表面欠陥等をなくすための表面手入れ方法と運用方法とを、タンディッシュ内での溶鋼加熱、溶鋼攪拌の有無、および地金付着量により定まる鋳造条件において鋳造開始時の鋳片の総酸素濃度のピックアップ量と酸化物系介在物の分離率とを予め測定しておき、この測定結果に照らし合わせてその後の鋳造開始時の鋳片の総酸素濃度と酸化物系介在物の分離率とを推定し、この推定値に基づいて決定する技術が開示されている(特許文献3)。
鉄と鋼(社団法人日本鉄鋼協会)、第86年(1982)第13号、第1764〜1770頁
すなわち、縦小割れは加熱炉取り出し時のスラブ表面温度と製品厚/スラブ厚が特定の関係を満足する場合は縦小割れが発生していても製品欠陥は発生しない。一方、特定の関係から外れる場合は縦小割れが製品の表面欠陥として残存し不良品となるのである。
本発明に係る鋼板の製造方法は、厚さ280mmのスラブを圧延して鋼板を製造する方法であって、圧延後の鋼板の目標製品厚とスラブ厚との比(D=目標製品厚÷スラブ厚)が0.018以上0.6以下かつ加熱炉から取り出した時のスラブの表面温度(T)が1335K以上1483K以下であってさらに(1)式を満たす場合に、前記スラブの表面を1.5mm以上2.5mm以下の範囲で除去した後に圧延を行う。
( 0.018≦D≦0.60 、 1335(K)≦T≦1483(K))
他の本発明に係る鋼板の製造方法は、厚さ280mmのスラブを圧延して鋼板を製造する方法であって、圧延後の鋼板の目標製品厚とスラブ厚との比(D=目標製品厚÷スラブ厚)が0.018以上0.6以下かつ加熱炉から取り出した時のスラブの表面温度(T)が1335K以上1483K以下であってさらに(2)式を満たす場合に、前記スラブの表面を無手入れのままで圧延を行う。
( 0.018≦D≦0.60 、 1335(K)≦T≦1483(K))
加熱炉2と粗圧延機5との間には、必要に応じてスラブを研磨するためのスカーファー8が設けられている。
図2において、溶鋼は連続鋳造機で鋳型から流れ出て帯状の鋼塊として凝固し(#11)、ガスカッターによって所定の長さのスラブに切断される(#12)。
スラブは、圧延に備えて加熱炉にて加熱される(#13)。加熱炉は回分式または連続式のものが使用される。スラブは、所定の温度に設定された加熱炉内で所定時間加熱された後に加熱炉から取り出され、表面温度が測定される(#14)。
表面温度の測定は、本出願人による特許出願(特願平5−14561)の願書に添付した明細書および図面に記載された装置および方法による(特開平6−229833号公報)。スラブの表面温度は、可搬式の放射温度計等により簡便に測定することもできる。
なお、溶削量のコントロールは、「山村直一ら、ホットスカーフ運転の自動化および歩留向上、材料とプロセス、VOL.9、No.5、1996、p.1035」、「加藤芳充ら、鋼片溶削量測定装置、材料とプロセス、VOL.5、No.2、1992、p.364」、および「鉄と鋼、Vol.78、No.8、p.T137-T140」に記載されている方法による。
次に、加熱後の温度およ圧下比を指標として加熱炉から取り出した後のスラブを圧延したときに製品表面にキズが残存するかどうかを予測する(#15)方法について説明する。
表1は無手入れで下記圧延条件により圧延を行った後の製品表面のキズの評価を製品厚みおよび製品幅等とともに整理したものである。また、図3は表1における加熱炉取り出し時の表面温度および圧下比と製品のキズの状態との関係を示す図である。
〔圧延条件〕
スラブの厚み:280mm
圧延製品の厚み:5〜168mm
製品厚/スラブ厚(=1/圧下比)(D):0.018〜0.6
加熱炉取り出し時のスラブの表面温度(T):1335〜1483K
図3における各点(キー)の圧延後の製品のキズの評価は下記の基準による。
□:キズの深さ0.1mm未満(補修可能、表1における△)
◇:キズの深さ0.1mm以上(補修不可能、表1における×)
(「補修」とは、圧延された製品に対して行われるキズ消去作業(表面手入れ)をいう。)
以下、Dは、製品厚みが圧延実績および圧延前の目標のいずれについても製品厚/スラブ厚を表すものとする。
D≧−19.334×(T÷1000)2+57.297×(T÷1000)−41.898 …(1)
D<−19.334×(T÷1000)2+57.297×(T÷1000)−42.033 …(2)
すなわち、表面温度Tが1335Kから1483Kの範囲、かつ製品厚/スラブ厚Dが0.018から0.6の範囲で行う圧延において、(1)式で規定される領域1の圧延条件では、ほぼ全ての圧延品の表面に製品として容認できないキズが観察された。つまり、(1)式を満足する圧延条件では、無手入れでは製品表面にキズの発生が予測される(#15)。
(1)式および(2)式の何れにも該当しない領域2の圧延条件では、製品表面に補修可能な軽微なキズが残存する場合が多い。このような圧延条件では、より確実に良好な製品の表面品質を確保できるように表面手入れを行った後に圧延を行うのが好ましい。
(1)式および(2)式に当てはめるスラブの表面温度Tは、実測値を使用するのが好ましいが、加熱炉の加熱条件と表面温度Tの実測値とが高い相関を有するときは、加熱条件から推定される表面温度を当てはめてもよい。
表2は、領域2および領域3における条件で圧延を行う前に、スカーファーによりスカーフ量が1.5mmとなるようにスラブ全面を研削する手入れを実施した場合の、圧延後の製品表面のキズ発生状況を示す表である。
なお、表2において、サンプルNo.151〜171は図3における領域1に含まれる条件、およびサンプルNo.172〜221は領域2に含まれる条件で圧延を行った結果である。
上述の実施形態において、連続鋳造工程から圧延工程までの間に他の工程を含ませてもよい。例えば、加熱工程の前に溶断ノロの除去工程を設けてもよい。
T 加熱炉から取り出した時のスラブの表面温度
Claims (2)
- 厚さ280mmのスラブを圧延して鋼板を製造する方法であって、
圧延後の鋼板の目標製品厚とスラブ厚との比(D=目標製品厚÷スラブ厚)が0.018以上0.6以下かつ加熱炉から取り出した時のスラブの表面温度(T)が1335K以上1483K以下であってさらに(1)式を満たす場合に、
前記スラブの表面を1.5mm以上2.5mm以下の範囲で除去した後に圧延を行う
ことを特徴とする鋼板の製造方法。
D≧−19.334×(T÷1000)2+57.297×(T÷1000)−41.898 …(1)
( 0.018≦D≦0.60 、 1335(K)≦T≦1483(K)) - 厚さ280mmのスラブを圧延して鋼板を製造する方法であって、
圧延後の鋼板の目標製品厚とスラブ厚との比(D=目標製品厚÷スラブ厚)が0.018以上0.6以下かつ加熱炉から取り出した時のスラブの表面温度(T)が1335K以上1483K以下であってさらに(2)式を満たす場合に、
前記スラブの表面を無手入れのままで圧延を行う
ことを特徴とする鋼板の製造方法。
D< −19.334×(T÷1000)2+57.297×(T÷1000)−42.033 …(2)
( 0.018≦D≦0.60 、 1335(K)≦T≦1483(K))
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