JP3951889B2 - 熱延鋼材の製造方法及び製造設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延鋼材の製造方法及びその実施に好適な製造装置に関するものであり、より詳細には、熱延鋼材の素材である鋳片や粗バー(中間素材)の表面手入れに特徴がある熱延鋼材の製造技術に関するものである。
本発明が製造の対象とする主たる熱延鋼材は熱延鋼帯及び厚板であるが、製造の対象はこれらに限定されるものではなく、種々の熱延鋼材が含まれる。
【0002】
【従来の技術】
一般的な鉄鋼製品の製造工程では、まず、精錬された溶鋼を鋳型に流し込み、鋼塊を得る造塊法か、連続鋳造機にて鋳片を鋳造する連続鋳造法により鋳片を製造する。得られた鋳片は、必要に応じて表面を溶削や研削などの方法で手入れした後、加熱炉に代表される熱補償プロセスにより鋳片の温度を均一にし、しかる後、鋳片表面に生成したスケール(表面酸化膜)を高圧水の噴射などにより除去しながら熱間圧延する。この熱間圧延で熱延鋼材を得るには、高温の鋳片を粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとなし、次いで、この粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上圧延機において仕上圧延して所定の厚みの鋼帯とし、この熱延鋼材をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、コイラーで巻き取る。
【0003】
一方、近年の製品価格の下落や人件費の高騰などの理由により、製造コストを抑えるために、鋳片の表面手入れを行うことなく圧延を実施したり、加熱炉の在炉時間を短くするなどの、低コストの製造法が指向されている。一方、鉄鋼製品のユーザーの製品に対する要求のレベルは厳しさの一途をたどっており、特に、自動車の外板やスチール缶に代表される容器材料などでは、従来の基準を大きく上回る品質レベルを要求されている。なかでも、自動車の外板は熱間圧延、冷間圧延、焼鈍、めっきというプロセスを経て最終製品となるが、最終製品となってから欠陥が発見されると、多大な製造コストをかけたにもかかわらず、ユーザーの向け先を変更するか、最悪の場合は屑とせざるを得なくなるという大きな問題がある。このため、製造コストがあまりかかっていない早い段階で欠陥を発見するか、若しくは、欠陥の発生がゼロとなるようなプロセスの開発が望まれている。特に、鋳造段階での欠陥をなくすことは非常に重要である。
【0004】
鋳造段階で生じる欠陥(以下、これを「製鋼性欠陥」という)は、大きく分けて2つに分類される。その1つ目は、鋳型/鋳片間の潤滑や溶鋼表面の酸化防止、メニスカスの保温など様々な役割を持つモールドパウダーが、鋳型内の溶鋼流速が速いときなどに溶鋼中にトラップされ、それが鋼板まで圧延され或いはめっきされたときに発見されるパウダー性欠陥と呼ばれるものである。このパウダー性欠陥を防止するために、パウダーの物性を変更したり、浸漬ノズルの形状を最適化し、或いは鋳型内流動制御に使用されている電磁ブレーキや電磁攪拌を最適化することによって、パウダーの溶鋼中への巻き込みを防止する対策が採られている。
【0005】
2つ目は、溶鋼中に含まれる介在物がオシレーションマーク部にトラップされ、それが圧延されたときに表れる介在物性欠陥である。この欠陥については、精錬段階での介在物が凝集合体しないように精錬処理することや、連続鋳造の場合には、オシレーションマークが浅くなるような鋳造条件を選定するなどの防止対策が採られている。
【0006】
製鋼性欠陥に対しては、上述したような様々な防止対策が採られているが、欠陥の発生を完全には防止できず、このためすべての鋳片を無手入れで圧延し、欠陥のない鋼板を製造することはできないのが現状である。特に、連続鋳造された鋳片をそのまま圧延する直送圧延(ホットダイレクトローリング)や、連続鋳造した鋳片をその保有する熱を完全に放出しきる前に加熱炉で再加熱した後に圧延する熱片装入圧延(ホットチャージローリング)では、鋳片表層の一部は酸化してスケールとなって剥離脱落するものの、連続鋳造したままの表面状態で最終仕上圧延されるので、連続鋳造のモールドパウダーや介在物が圧延後の鋼帯表面に疵となって残る場合がある。
また、仮に製鋼性欠陥を完全に防止できたとしても、加熱炉内で発生する欠陥(以下、これを「加熱炉性欠陥」という)が存在する。すなわち、加熱炉で鋳片を昇温させると鋳片表層部に粒状酸化物が発生したり、表層部に鉄に固溶しない元素が濃縮したりする現象が起こり、これが圧延後の鋼帯の欠陥となる。
【0007】
従来、このような製鋼性欠陥や加熱炉性欠陥を防止するために、以下に述べるような鋳片手入れ法が行われている。
第一の鋳片手入れ法は、燃焼ガスを鋳片表面に吹き付けて加熱することにより、手入れを必要とする厚み(1mm〜4mm前後)を溶融させて取り除く溶削法である。しかし、この溶削法は生産効率に優れる反面、溶削量のコントロールが非常に難しく、また溶削開始部及び終端部に溶削した後のメタルと酸化物の混合体である“のろ”(溶削ダレ)が残り、これが製品の表面欠陥を引き起こすという問題がある。この“のろ”の問題に対しては、加熱炉でスケールを十分に成長させ、粗圧延前に行われる高圧水噴射(デスケール)の水圧を高くすることなどによって“のろ”の完全除去を図っているが、その効果は十分ではない。
また、溶削による手入れは主に連続鋳造機を出た後の鋳片に施されるが、特許文献1に記載のように鋳片端面に付着した溶削時のバリが圧延時に問題になることから、その端面のバリを除去するために溶削によってさらに手入れを施す必要があり、このため製造コストが増加する問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−123545号公報
【0009】
また、特許文献2には、製鋼性および加熱炉性の欠陥を解消するために、加熱炉抽出後の鋳片を溶削により手入れする方法が提案されている。この方法は、加熱炉で所定の温度まで均熱した鋳片を粗圧延機の前で溶削手入れし、1分以内に粗圧延を開始し、熱間圧延の各パス間の時間を1分以内とするものである。この方法の場合は、鋳片の温度低下を防止するために手入れの処理時間の短い溶削を採用しているが、溶削手入れでは上述したように“のろ”を完全に除去する必要がある。加熱炉装入前に溶削手入れするのであれば、溶削で生じた“のろ”は加熱炉で酸化が助長されてスケールが成長することにより、加熱炉抽出後の粗圧延機前に行われる高圧水噴射で除去することができる。しかし、この特許文献2の技術では、溶削手入れと粗圧延の間で従来のように加熱炉がないこと、また時間が1分と非常に短いことから、 “のろ”の剥離性を促進させることができないため、溶削手入れで発生する“のろ”を完全に除去することは困難である。特に、鋳片の切断面と鋳片先端部や後端部にはどうしても“のろ”が残ってしまい、これを完全に除去することは難しく、この結果、欠陥が発生してしまう。
【0010】
【特許文献2】
特開平6−315702号公報
【0011】
また、溶削法は、冷片を手入れするときでも手入れ量のコントロールが難しいが、高温鋳片の場合には手入れ量のコントロールが殆どできないことから、歩留まりが悪化してしまうという問題もある。さらに、溶削法では溶削後の表面に凹凸が生じることが避けられず、後の圧延で表面性状を平坦に仕上げることが難しい。また、溶削の際に溶けた地鉄内にスケールや溶削時に生成した酸化物が取り残され、これが後の圧延、酸洗、焼鈍等の工程で顕在化して表面欠陥となって表れ、表面性状の安定した鋼帯を得ることが難しいという問題もある。
【0012】
第二の鋳片手入れ法は、グラインダーなどを用いて研削する方法である。この研削法は、手入れ量のコントロールが可能である、削り取ったメタルや酸化物のダレが残存しない、など溶削法のような欠点はない。しかし、従来の研削手段では、一度に研削できる幅が高々30mm程度であるため生産性が低く、また、高温鋳片を手入れした場合は砥石の原単位が悪く、製造コストがかかるという問題がある。特に、温度の高い鋳片にグラインダーを適用すると、砥石が目詰まりを起こし、さらに砥石の原単位を悪化させる。
【0013】
第三の鋳片手入れ法は、小さな玉を鋳片に高圧で投射することによって、表層欠陥を除去するショットブラスト法である。しかし、このショットブラスト法は、削り取る厚みが1μm前後と非常に薄く、生産性が低いため不適である。また、柔らかい極低炭素鋼などにショットブラスト法を適用した場合、使用する小さなショット玉が搬送ロールと鋳片の間に入り込み、このショット玉が鋳片の自重によって鋳片面にめり込んでしまうことがあり、逆に欠陥の発生を助長させる結果となる。
【0014】
以上のように、従来のいずれの鋳片手入れ法も、削り取り量を適切にコントロールしながら鋳片表層を効率的に削り取ることができない、手入れした後の鋳片に欠陥のもとになる溶削ダレや鋳片表面へのショット玉の埋入が生じる、などの問題を有している。現在、多くの一貫製鉄所で行われている鋳片の手入れ法は、生産性を重視して溶削法が主流を占めている。しかしながら、自動車や缶用材料などの表面品質の厳格な材料では溶削による欠陥が問題になっており、このため研削法などによる表面手入れが望まれている。
【0015】
ここで、生産性を無視すれば、フライス加工や平削加工のような切削バイトを用いて鋳片表面の切削を行うという方法も考えられる。しかし、フライスなどの回転刃を用いる方式は、回転刃を高速で回転させて切削を行うものであるため、鋳片などのような大型の被切削物に適用した場合、設備コストや運転コストが非常に高くなる問題がある。また、駆動機構(モーター、油圧装置等)を含めた全体の設備が大きく、温度が800℃以上もあるような高温材料を切削するには、設備全体を冷却するための大掛かりな冷却設備が必要となるため、事実上適用が難しい。一方、平刃を用いる方式では、平刃は常におなじ刃面が被切削物と接触するため、高温の鋳片を連続的に切削すると刃面の温度が上昇し切削屑と平刃が溶着してしまう問題を生じる。
【0016】
一方、生産性だけでなく品質面においても重要な問題がある。すなわち、近年、TiやNbを単独又は複合添加した極低炭素鋼の使用が飛躍的に拡大し、この種の鋼板の安定した製造と高い表面品質が求められている。この極低炭素鋼は、材質上、仕上圧延終了温度をAr以上にする必要があり、Ar温度が高い極低炭素鋼の場合には仕上圧延終了温度がかなり高くなる。このため加熱炉における加熱温度と粗圧延及び仕上圧延での材料温度が高くなり、必然的にスケール発生が多く、スケール欠陥が多発しやすい。特に、極低炭素鋼の加熱炉におけるスケール生成の挙動は、結晶粒界に酸化が選択的に進行し、粒界酸化といわれる根の深い内部酸化が著しく、その深さは100μm程度、ときには数百μmにも及ぶ。このような根の深い内部酸化は、圧延前に高圧水を噴射してスケール除去を行なう従来のデスケーリングでは除去し切れず、製品の欠陥の原因となる。
【0017】
したがって、上記のように要求性能が厳しい鋼板については、鋳造段階や加熱炉段階で生成した表面スケール、内部酸化スケールなどを鋳片の温度が下がった段階でオフラインにおいて研削や溶削する、いわゆる手入れ作業が定常的に行われている。しかし、これらの手入れ作業は、オフラインで行われるため作業能率が非常に悪く、また、鋳片温度が下がった段階で行われるため圧延前に再加熱が必要であり、燃料原単位が悪い。また、当然のこととして、直送圧延や熱片装入圧延には対応できない。さらに、オフラインで手入れをしても粗圧延直前に加熱炉で加熱してしまえば、上記粒界酸化の問題が再発してしまう。
【0018】
なお、生産性向上を狙いとした切削手入れ技術として、鋳片表面を複数個の平刃で切削する方法が特許文献3で提案されている。この方法では平刃を使用していることから、溶削法では溶削深さの制御が約1mm程度であるのに対して、切削深さの制御を0.1mmのオーダーで行うことができ、精度の高い切削深さ制御が可能である。しかしながら、切削に用いているバイトが平刃であり、常に同じバイト面で切削が行われるため、切削長が長くなるとバイトの表面温度が上昇し、切削屑とバイトが溶着するという問題が生じてしまう。また、この特許文献3の方法は、冷間のオフライン切削であるため、上述した粒界酸化の問題を解決できない。
【0019】
【特許文献3】
特開昭49−124685号公報
【0020】
一方、特許文献4には、バイトを回転させることにより、常に新しい切削面が鋳片を切削する回転工具の使用が提案されている。この方法は、切削チップを複数個取り付けた回転切削工具により粗バーの表面を切削するものである。しかし、この特許文献4はスケール除去のための技術であって、切削手入れ装置もそのような観点から構成されているし、スケール除去技術であるため、上述した粒界酸化の問題を解決できない。また、特許文献5には、回転ディスクの円周上に切削刃を設けることにより、回転ディスクの交換を容易にした技術が提案されている。しかし、この特許文献5は鋼材間の接合領域の隆起やバリを削除する技術であり、切削手入れ装置もそのような観点から構成されているし、一部の隆起除去技術では粒界酸化の問題に対応することはできない。また、上記特許文献4や特許文献5の技術では、回転工具の適用により切削屑とバイトの溶着の問題はなくなるが、この工具を回転させる動力は外部のモーターにより駆動させて切削させるために設備費が高くなる問題がある。なお、特許文献6には、溶接管のビード切削装置として、底面をすくい面とする無駆動の円形バイトを備え、この円形バイトの軸線に被削体の進行方向に対するスキュー角を付けることにより、被削体の切削反力によって円形バイトを回転させるようにした装置が提案されている。しかし、この装置は溶接ビードのような幅の小さい対象を切削するのは問題はないが、鋳片表面を切削するには切削幅が小さ過ぎ、このため鋳片表面の切削手入れ装置としては不適である。
【0021】
【特許文献4】
特開平8−103812号公報
【特許文献5】
特開平9−29528号公報
【特許文献6】
特開昭58−143908号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、鋳片などの被圧延材の表層部に存在している連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などをオンラインで確実に除去することができ、これにより欠陥のない高品質な表面性状を有する熱延鋼材を安定的に製造することができる、熱延鋼材の製造方法並びにその実施に好適な装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、鋳片などの被圧延材の表層部に存在している連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などを高速且つ確実に、しかも低コストに除去することができ、これにより欠陥のない高品質な表面性状を有する熱延鋼材を安定的に且つ高い生産性で製造することができる、熱延鋼材の製造方法並びにその実施に好適な装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下のとおりである。
【0024】
1 鋳造後の鋳片を粗圧延した後、仕上圧延して熱延鋼材を製造する方法において、
(A)鋳造後粗圧延前、(B)粗圧延途中、(C)粗圧延後仕上圧延前、のうちの少なくとも1つの段階において、熱間状態にある被圧延材の表面及び/又は裏面の一部又は全部の表層部を切削除去する切削手入れ工程を備え、該切削手入れ工程では、切削手段として円形の切刃を有する回動可能な切削刃を用い、該切削刃を被圧延材からの切削反力で回動させつつ、被圧延材の表層部を切削することを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
2 ]上記[ 1 ]の製造方法において、切削手入れ工程では、被圧延材の表面酸化膜を越えて100μm以上の厚さの鋼部分を切削除去することを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
3 上記 1 又は 2 の製造方法において、切削刃は、円形の切刃に続く周胴面がすくい面を構成することを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
【0025】
4 上記 1 3 のいずれかの製造方法において、切削刃は、その回動中心軸が被圧延材の被切削面に対する鉛直線から切削方向及び切削幅方向への傾きを有していることを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
5 上記 4 の製造方法において、被切削面に対する鉛直線からの回動中心軸の切削幅方向への傾きが10°以下、切削方向への傾きが30°以下であることを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
6 上記 1 5 のいずれかの製造方法において、切削手段として複数の切削刃を用い、該複数の切削刃は、切削幅方向で隣接して形成される切削部が互いに接するか若しくは一部が重り合うように、切削方向及び切削幅方向で間隔をおいて配置されることを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
【0027】
7 上記 1 6 のいずれかの製造方法において、切削手入れ工程では、定置された切削手段により搬送中の被圧延材の表層部を切削するとともに、被圧延材の搬送駆動力を切削駆動力として用いることを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
8 上記 1 7 のいずれかの製造方法において、切削手入れ工程で表層部を切削される際の被圧延材の表面温度が800℃以上であることを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
9 上記 1 8 のいずれかの製造方法において、切削手入れ工程で被圧延材の表面及び/又は裏面の一部を切削する場合には、被圧延材の先端近傍部分及び/又は後端近傍部分を切削することを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
10 上記 1 9 のいずれかの製造方法において、被圧延材がTi及び/又はNb添加極低炭素鋼であることを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
【0029】
11 連続鋳造された鋳片を粗圧延した後、仕上圧延して熱延鋼材を製造する設備において、
連続鋳造設備出側と熱間圧延設備の粗圧延機出側間における被圧延材搬送ラインの途中に、熱間状態にある被圧延材の表面及び/又は裏面の一部又は全部の表層部を切削除去するための装置であって、円形の切刃を有する回動可能な切削刃を備え、該切削刃を被圧延材からの切削反力で回動させつつ、被圧延材の表層部を切削する切削手入れ装置を設置したことを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
12 ]上記[ 11 ]の製造設備において、切削手入れ装置が、被圧延材の表面酸化膜を越えて鋼部分を切削除去することができる装置であることを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
13 上記 11 又は 12 の製造設備において、切削刃は、円形の切刃に続く周胴面がすくい面を構成することを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
14 上記 11 13 のいずれかの製造設備において、切削刃は、その回動中心軸が被圧延材の被切削面に対する鉛直線から切削方向及び切削幅方向への傾きを有していることを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
【0030】
15 上記 14 の製造設備において、被切削面に対する鉛直線からの回動中心軸の切削幅方向への傾きが10°以下、切削方向への傾きが30°以下であることを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
16 上記 11 15 のいずれかの製造設備において、切削手段として複数の切削刃を備え、該複数の切削刃は、切削幅方向で隣接して形成される切削部が互いに接するか若しくは一部が重り合うように、切削方向及び切削幅方向で間隔をおいて配置されることを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
17 上記 1 10 のいずれかの製造方法により得られた熱延鋼帯を冷間圧延して冷延鋼帯を製造することを特徴とする冷延鋼帯の製造方法。
18 上記 1 10 のいずれかの製造方法により得られた熱延鋼帯を冷間圧延した後、若しくは冷間圧延することなく、鋼帯をめっき処理し、めっき鋼帯を製造することを特徴とするめっき鋼帯の製造方法。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の方法について説明する。
本発明の第1の方法では、鋳造後の鋳片を粗圧延した後、仕上圧延して熱延鋼材を製造する方法において、(A)鋳造後粗圧延前、(B)粗圧延途中、(C)粗圧延後仕上圧延前、のうちの少なくとも1つの段階において、熱間状態にある被圧延材の表面及び/又は裏面の一部又は全部の表層部を切削除去する切削手入れ工程を備え、この切削手入れ工程では、被圧延材の表面酸化膜を越えて100μm以上、好ましくは1000μm以上の厚さの鋼部分(地鉄)を切削除去するものである。
ここで、被圧延材とは、粗圧延前では鋳片であり、粗圧延後仕上圧延前では所謂粗バーであり、また、粗圧延途中では鋳片が粗バーになるまでの圧延中間素材である。また、鋳片には、連続鋳造鋳片以外に、造塊後、分塊圧延して得られた鋳片も含まれる。この場合、造塊法で鋳造された鋳片を均熱炉に装入して所定の時間加熱均熱した後、分塊圧延して鋳片が得られ、この鋳片に対して表面手入れが行われる。
なお、本発明において、粗圧延とは、板厚方向を圧下する圧延だけでなく、これに先立って幅圧下圧延(鋳片幅方向を圧下する圧延)を行う場合にはこれを含むものである。
【0032】
本発明法の製造の対象となる熱延鋼材には、熱延鋼帯(熱延コイル)や厚板をはじめとする種々の鋼材が含まれるが、これらのなかで特に欠陥の無い高品質な表面性状が求められるのは熱延鋼帯であり、したがって、以下の説明では、この熱延鋼帯の製造を例に本発明の詳細と好ましい実施形態について述べる。
一般に、粗圧延前に切削手入れ工程を実施する場合は、下記(a)〜(c)のうちの少なくとも1つの段階で行われる。
(a) 鋳造された鋳片又は造塊後分塊圧延して得られた鋳片を、加熱炉で昇温させることなく粗圧延工程に直送し、粗圧延する場合(直送圧延法)において、▲1▼鋳造又は分塊圧延後直送前、▲2▼直送後粗圧延前、のうちの少なくとも1つの段階
(b) 鋳造された鋳片又は造塊後分塊圧延して得られた鋳片を、常温又はその近傍温度まで降温する前に加熱炉において昇温させた後、粗圧延する場合(熱片装入圧延法)において、▲1▼鋳造又は分塊圧延後加熱炉での昇温前、▲2▼加熱炉での昇温後粗圧延前、のうちの少なくとも1の段階
(c) 鋳造され又は造塊後分塊圧延され、常温又はその近傍温度まで降温した鋳片(冷片)を加熱炉において昇温させた後、粗圧延する場合(冷片再加熱圧延法)において、▲1▼鋳造又は分塊圧延後常温又はその近傍温度まで降温する前、▲2▼加熱炉での昇温後粗圧延前、のうちの少なくとも1つの段階
【0033】
鋳片や粗バーなどの被圧延材の表面には、鋳造から粗圧延に至るまでに生成し或いは圧延中に生成した表面酸化膜(スケール)が存在しているが、本発明の切削手入れ工程では、この表面酸化膜とともに100μm以上、好ましくは1000μm以上の厚さの鋼部分(地鉄)を同時に切削除去する。連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などが存在する被圧延材表層部は地鉄表面から地鉄内部にまで及び、その深さは100μm程度、ときには数百μm程度にも及ぶ。特に、加熱炉内での加熱により生じる粒界酸化には根が深いものが多い。本発明の切削手入れ工程では、このような根の深い粒界酸化物などを含めた被圧延材表層部の欠陥が確実に除去され、その結果、製鋼性欠陥や加熱炉性欠陥のない良好な表面性状を有する熱延鋼帯を得ることができる。
【0034】
切削手入れ工程の切削対象として最も効果的なのは、圧延必要温度を既に保持した粗圧延前の鋳片であり、その理由は鋳片温度が1200℃前後あるため、鋳片の変形抵抗が小さく、小さな荷重で切削が容易にできるからである。このような鋳片は、上記(a)〜(c)の▲2▼の段階で切削手入れされる鋳片である。また、特に(b)、(c)の場合において加熱炉での昇温後粗圧延前に切削手入れを行えば、製鋼性欠陥の原因となるモールドパウダーや介在物だけでなく、加熱炉性欠陥の原因となる粒界酸化物なども同時に除去することが可能になる。
【0035】
本発明の切削手入れ工程は、粗圧延後や粗圧延途中の被圧延材に対して実施してもよい。一般に粗圧延前には一次スケールの除去を目的として高圧水噴射などによるデスケーリングが行われるが、このデスケーリングでは1次スケールを完全には除去できない場合があり、この除去できなかったスケールは粗圧延において地鉄に押しこまれ、粗圧延後も地鉄上に局所的に残存している。そして、このような粗バーをそのまま仕上圧延すると、鋼帯上からスケールが局所的にはがれて凹凸ができたり、後の冷間圧延工程で疵になったり、溶融亜鉛めっき工程でめっき不良になったりする。したがって、粗圧延後や粗圧延途中で切削手入れを行うということは、上述した連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などの除去に加えて、上記のような1次スケールの残存物や粗圧延以降に生成した2次スケールを仕上圧延前に除去できるという意義がある。特に、この粗圧延後仕上圧延前に行う切削手入れは、高圧水噴射によるデスケーリングでは除去しにくいスケールを生成する、低P鋼や鉄よりも酸化しやすい元素を含む鋼、例えば、Ni、Si、Ti、Mnを低炭素鋼より多く含む鋼の表面性状を改善する効果がある。
また、粗バーに対して切削手入れを行った場合には、粗圧延中に割れが生じるような材料について、この圧延により生じた割れも同時に除去することができる利点がある。
【0036】
但し、切削長さを短くして作業能率を高めるという面では、粗圧延後や粗圧延途中で長尺な粗バーに対して切削手入れを行うよりも、粗圧延前の鋳片に対して切削手入れを実施した方が有利である。例えば、厚さ250mm、長さ6mの鋳片の場合、その全長に要する切削長さは当然6mであるが、この鋳片を粗圧延して得られる厚さ50mmの粗バーは、全長が約30mとなるため、その切削長さは鋳片の約5倍となる。なお、搬送中の粗バーは上下動が激しいため、粗バーを切削する場合には、切削手段が粗バーの上下動に応答性良く追従できる機構を設けることが好ましい。
【0037】
本発明の切削手入れ工程は、鋳造工程直後から熱間圧延の仕上圧延工程直前までのオンライン上で実施されることが好ましく、また、その場合、搬送中の被圧延材に対して実施されることが好ましい。被圧延材の搬送工程としては、例えば、連続鋳造設備から粗圧延機や加熱炉までの搬送工程、加熱炉から粗圧延機までの搬送工程などがある。
本発明では熱間状態にある高温の被圧延材に対して切削を行うため切削反力が小さく、安定した高速切削が可能となる。このため被圧延材があまり温度低下しないうちに被圧延材表層部の切削手入れを行うことができ、オンライン上での表面手入れが可能となる。また、この結果、鋳片などの表面手入れのために圧延能率が低下することもなく、熱延鋼帯を高い生産性で製造することができる。
【0038】
例えば、常温の鋳片の表層を1mmの厚さで切削するには、切削刃を鋳片表面に押し付けて切り込むのに大きな反力が生じ、仮に幅2mの鋳片の1面を一斉に切削する場合を想定すると、その反力は300トン程度にも及ぶ。したがって、実際には切削刃を複数回往復させて切削を行わざるを得ず、このため鋳片の1面を切削処理するのに10分〜1時間程度の時間が必要となる。これに対して本発明により表面温度が800℃を超えるような高温状態で鋳片を切削すると、高温では鋼の降伏応力が下がるので小さい反力での切削が可能となり、常温の鋳片を切削する場合に較べて1/6から1/10程度の小さい反力で切削が可能となる。この場合、例えば、長さ10mの鋳片を1分程度で手入れ処理することが可能となるので、鋳造工程直後から熱間圧延の仕上圧延工程直前までのオンライン上で鋳片温度があまり低下しない間に被圧延材表層部を切削することが可能となる。
また、切削手入れでは、溶削による手入れのような溶削ダレが残されることがなく、健全な地鉄表面が得られる。
【0039】
図1は、本発明が適用される熱延鋼帯の製造設備の一例を模式的に示すもので、Aは連続鋳造設備、Bは熱間圧延設備である。
連続鋳造設備Aの鋳型1で鋳造された鋳造体xは、冷却水スプレー2で冷却されつつ、鋳型下方のロール3により引き抜かれ、さらにロール3でガイドされた後、カッター4において所定の長さの鋳片xに切断される。ここで、上述した(a)の直送圧延の場合には、鋳片xは加熱炉に装入されることなく、そのまま熱間圧延設備Bに搬送(直送)され、圧延される。また、上述した(b)の熱片装入圧延の場合には、鋳片xは熱間状態(熱片)のまま加熱炉6に装入され、圧延に必要な温度まで加熱された後、熱間圧延設備Bに搬送され、圧延される。また、上述した(c)の冷片再加熱圧延では、鋳片xは一旦ライン外で常温又はその近傍温度まで冷却され(冷片)、その後、加熱炉6に装入されて圧延に必要な温度まで加熱された後、熱間圧延設備Bに搬送され、圧延される。
熱間圧延設備Bでは、鋳片xを幅圧下圧延機7により幅圧下圧延した後、高圧水噴射装置8により鋳片表面のスケールを除去し、しかる後、粗圧延機9により粗圧延し、さらに、仕上圧延機10で所定の厚みまで圧延して熱延鋼帯とする。製造された熱延鋼帯は、そのまま熱延鋼帯(熱延コイル)として出荷されたり、冷間圧延やめっき等の次工程を経て、冷延鋼板や表面処理鋼板として出荷される。
【0040】
ここで、粗圧延前に本発明の切削手入れ工程を実施するタイミングとしては、上述した(a)の直送圧延の場合は、▲1▼鋳造後、熱間圧延設備Bへの直送前の最も高温状態にある鋳片xを切削手入れ装置5aにより切削手入れするケース、▲2▼熱間圧延設備Bに直送された鋳片xを切削手入れ装置5aにより切削手入れするケース、若しくは▲1▼、▲2▼の両方で切削手入れを行うケースが考えられる。また、上述した(b)の熱片装入圧延の場合は、▲1▼鋳造後、加熱炉6に装入される前の高温状態にある鋳片xを切削手入れ装置5bにより切削手入れするケース、▲2▼加熱炉6から抽出された鋳片xを切削手入れ装置5bにより切削するケース、若しくは▲1▼、▲2▼の両方で切削手入れを行うケースが考えられる。さらに、上述した(c)の冷片再加熱圧延の場合は、▲1▼鋳造後の高温状態にある鋳片xを切削手入れ装置5cにより切削手入れするケース、▲2▼加熱炉から抽出された鋳片xを切削手入れ装置5bにより切削手入れするケース、若しくは▲1▼、▲2▼の両方で切削手入れを行うケースが考えられる。
【0041】
いずれのタイミングで切削手入れを行った場合でも、切削による切削屑を除去し、粗圧延の直前で高圧水噴射装置8により1次スケールの除去を行った後、粗圧延機9と仕上圧延機10で順次所定の厚みまで圧延して、熱延鋼帯を製造する。また、切削手入れによってスケールが咬み込む危険性がある場合は、切削手入れ前に高圧水噴射装置などによりスケールを除去した後に、切削手入れを実施してもよい。また、切削手入れにある程度時間がかかり、鋳片の温度低下が懸念される場合には、仕上圧延機10の上流側に誘導加熱装置を設置し、この誘導加熱装置で粗バー端部の温度を上昇させてから圧延するようにしてもよい。
また、粗圧延機9で粗圧延された後の粗バーxを切削手入れ装置5dにより切削手入れしてもよく、或いは粗圧延設備(幅圧下圧延機7、粗圧機9)の圧延スタンド間に切削手入れ装置を設け、粗圧延の途中で切削手入れを行ってもよい。さらに、これら粗バーxの切削手入れと先に述べた鋳片xの切削手入れを適宜組み合せて実施してもよい。
【0042】
このように本発明では、製造プロセスのどの段階で切削手入れを行ってもよいが、鋳造直後や加熱炉6からの抽出後のように、なるべく被圧延材温度の高い段階で切削手入れを行えば、切削の際の変形抵抗が小さいため、切削駆動力(例えば、切削手入れ装置に対する被圧延材の押し込み駆動力)を小さくできるばかりでなく、工具寿命も大幅に長くなる。また、特に、加熱炉6からの抽出後に切削手入れを実施すれば、上述したように、加熱炉6内での加熱により生成する粒界酸化も効率よく除去することができる。
【0043】
本発明の切削手入れ工程において、切削刃による被圧延材の切削は、被圧延材を定置し、切削刃の方を移動させて行ってもよいが、被圧延材をオンライン上で効率的に手入れするには、切削刃を定置し、搬送ラインで移動中の被圧延材に対して切削を行うのが最も好ましく、また、これにより切削手入れ装置などの設備も簡素化できる。また、この方式により搬送中の被圧延材の切削手入れを行う場合、搬送ライン上に切削手入れ装置を設置し、被圧延材の搬送駆動力を切削駆動力として用いるようにするのが好ましい。具体的には、この切削手入れ装置の入側にピンチロールなどの押し込み手段を設置し、この押し込み手段による切削手入れ装置への被圧延材の押し込み駆動力(搬送駆動力)を切削駆動力として用いるようにすればよい。また、粗圧延後や粗圧延途中で切削手入れを行う場合には、圧延機そのものを押し込み手段として用いてもよい。
【0044】
本発明で用いる切削手段の種類に特別な制限はないが、特に、後述する本発明の第2の方法で用いるような切削手段、すなわち、切削刃が円形の切刃を備え、切削刃を被圧延材からの切削反力で回動させつつ、被圧延材の表層部を切削できる切削手段を用いることが好ましい。
一般の機械加工などに適用される切削方法には、フライスなどの回転刃を用いる方式と平刃を用いる方式とがあるが、後述するように、前者は設備及び運転コストが高いだけでなく、駆動機構を含めた全体の設備が大きく、これを冷却するための大掛かりな設備が必要となるため高温材料の切削には不向きであり、また、後者は、常に同じ刃面で材料を切削するため刃面の温度が上昇し、切削屑が切削刃(平刃)に溶着してしまうという問題がある。
【0045】
これに対して、上記本発明の第2の方法で用いる切削手段は、円形の切刃を有する回動可能な切削刃を、回動用動力を与えることなく、切削形態としては平刃のような形態で用いるとともに、切削刃を相対移動する被圧延材(被切削物)からの切削反力で回動させることにより、被圧延材を切削する切刃の刃面が切刃周方向で常に更新されるようにしたものであり、切削刃の回動により被圧延材から離れた切刃部分が冷却されるため、切刃と切削屑との溶着が適切に防止される。この切削手入れ装置の具体的な構成及び作用は、本発明の第2の方法の説明において詳しく述べる。
【0046】
また、本発明の切削手入れ工程では、上記と同様の円形の切刃を備えた切削刃を外部駆動力で回動駆動させることにより、被圧延材を切削する切刃の刃面が常に更新されるようにした切削手入れ装置を用いることもできる。
図2及び図3は、そのような切削手入れ装置とこれによる切削状況の一例を示すもので、図2(a)は切削方向から見た正面図、図2(b)は図2(a)中のA−A線に沿う断面図、図3は切削刃の回動駆動手段を示す説明図である。図において、11は切削刃、12はこの切削刃11を保持する回動軸(回転軸)、13はこの回動軸12を回動可能に保持する固定軸(保持部材)、11cは切削刃の回動中心軸、14は被切削物である被圧延材、15はその被切削面、mは切削方向を示す。
【0047】
前記切削刃11は円盤状に構成され、前記回動軸12に保持されることによりフリーに回動(回転)可能である。切削刃11の下端周方向には円形状の切刃11aが形成されるとともに、この切刃11aに続く周胴面11bがすくい面(但し、図2では負のすくい角α′を有するすくい面となっている)を、底面11dが逃げ面をそれぞれ構成している。このように円盤状の本体の周胴面をすくい面とする切削刃であるため、下記のような前傾角を付けても必要な切削幅を確保することができる。
切削刃11の回動中心軸11cは、前記被切削面15に対する鉛直線15nから角度βだけ切削方向への傾き(以下、これを「前傾角」という)を有している。切削刃11の回動中心軸11cに上記前傾角βが付与されることにより、円形状の切刃11aはその周方向の一部のみで被切削面15を切削することになる(図2(a)に切削幅Wo、切削深さtを示す)。したがって、後述する駆動手段によって切削刃11を回動させることにより、被切削面を切削する切刃11aの刃面が切刃周方向で常に更新されることになる。ここで、上記のような前傾角βを設けないと、切削刃11の切刃11aと底面11b全体が被切削面15に接触することになるため、切削反力がいたずらに増大し、切削駆動力(例えば、被圧延材の切削手入れ装置に対する押し込み駆動力)を高める必要が生じるとともに、周方向の切刃11aのうち、切削に係っていない部分の冷却効果も減殺されてしまう。
【0048】
図3に示すように、前記回動軸12には、これを回動させるための駆動手段16が接続されている。この実施形態の駆動手段16は、回動軸12に設けられるギア17と、図示しない動力源からギア17に動力を伝えるチェンベルト18から構成されているが、この駆動手段の形式は任意である。なお、切削刃の回動は、フライスのように切削を目的としたものではないため低速での回動でよい。
また、図2では回動中心軸11cに前傾角βを設けたことによって、切削刃11の周胴面11bにより構成されるすくい面が負のすくい角(角度α′)有することになり、切削抵抗が増大する。このため、図4に示すように切削刃11の周胴面11bをテーパ状の傾斜面とし、これにより実質的なすくい角α(正のすくい角)を付与することが好ましい。但し、切削抵抗が特に問題とならない限度において、図2に示すような負のすくい角が形成されていてもよい。
【0049】
以上のような切削手入れ装置は、好ましくは被圧延材の搬送ラインの途中に設けられ、この切削手入れ装置に対してピンチロールなどによる押し込み駆動力(被圧延材の搬送駆動力)によって被圧延材が押し込まれ、この押し込み駆動力を切削駆動力として切削刃による被圧延材表層部の切削が行われる。この切削手入れでは、切削刃11が有する円形状の切刃11aの周方向の一部により切削幅Woで被圧延材14の表層部が切削される。回動軸12に保持された切削刃11は駆動手段16により回動(比較的低速での回動)し、これにより被切削面15を切削する切刃11aの部分が周方向で常に更新される。そして、被切削面15から離れた切刃11aの部分は冷却されることになり、これにより切削屑と切刃11aとの溶着を防止することができる。なお、被切削面15から離れた切刃11aの部分は、特別な冷却を加えなくても放冷により冷却されるが、必要に応じてエアや冷却水を用いた強制冷却を行ってもよい。
【0050】
切削手入れ装置が有する切削刃11が1つだけで、切削すべき被圧延材の幅がその切削刃の切削幅Woより大きい場合、被圧延材長手方向を一度切削した後、切削幅方向に一定量スライド(シフト)させて、再び切削するということを繰り返す、いわゆる走査が必要となる。しかし、このような切削手入れは時間がかかり、効率的なものではない。また、所定の切削幅に見合う大きな切削刃で切削する方法も考えられるが、被圧延材幅方向での切削深さが不均一になりやすい。
したがって、通常、切削手入れ装置には被圧延材幅方向を分担して切削するために複数の切削刃が設けられる。図5はその切削手入れ装置を示すもので、図5(a)は切削方向から見た正面図、図5(b)はその側面図である。
【0051】
ここで、図2に示すように切削刃11による切削幅Woは切削刃11の直径Dよりも狭いため、被圧延材14の全幅を同時に切削手入れする場合、複数の切削刃11を切削幅に並列的に配置したのでは、切削されない部分が生じてしまう。このため切削幅方向で隣接して形成される切削部が互いに接するか若しくは一部が重り合うように、複数の切削刃11を切削方向及び切削幅方向で間隔をおいて配置することが望ましい。図5は、切削幅方向で隣接する切削部どうしの一部が重り合った状態を示している。ここで、隣接する切削部のラップ代の大きさにより、切削後の被圧延材表面の粗さが決まる。この理由は、本発明の第2の方法に関して、図11を用いて説明している後述の理由と同じである。
【0052】
次に、本発明の第2の方法について説明する。
本発明の第2の方法では、鋳造後の鋳片を粗圧延した後、仕上圧延して熱延鋼材を製造する方法において、(A)鋳造後粗圧延前、(B)粗圧延途中、(C)粗圧延後仕上圧延前、のうちの少なくとも1つの段階において、熱間状態にある被圧延材の表面及び/又は裏面の一部又は全部の表層部を切削除去する切削手入れ工程を備え、この切削手入れ工程では、切削手段として円形の切刃を有する回動可能な切削刃段を用い、この切削刃には回動用動力を与えることなく、切削刃を被圧延材からの切削反力で回動させつつ、被圧延材の表層部を切削するものである。
ここで、被圧延材とは、粗圧延前では鋳片であり、粗圧延後仕上圧延前では所謂粗バーであり、また、粗圧延途中では鋳片が粗バーになるまでの圧延中間素材である。また、鋳片には、連続鋳造鋳片以外に、造塊後、分塊圧延して得られた鋳片も含まれる。この場合、造塊法で鋳造された鋳片を均熱炉に装入して所定の時間加熱均熱した後、分塊圧延して鋳片が得られ、この鋳片に対して表面手入れが行われる。
なお、本発明において、粗圧延とは、板厚方向を圧下する圧延だけでなく、これに先立って幅圧下圧延(鋳片幅方向を圧下する圧延)を行う場合にはこれを含むものである。
【0053】
本発明法の製造の対象となる熱延鋼材には、熱延鋼帯(熱延コイル)や厚板をはじめとする種々の鋼材が含まれるが、これらのなかで特に欠陥の無い高品質な表面性状が求められるのは熱延鋼帯であり、したがって、以下の説明では、この熱延鋼帯の製造を例に本発明の詳細と好ましい実施形態について述べる。
一般に、粗圧延前に切削手入れ工程を実施する場合は、下記(a)〜(c)のうちの少なくとも1つの段階で行われる。
(a) 鋳造された鋳片又は造塊後分塊圧延して得られた鋳片を、加熱炉で昇温させることなく粗圧延工程に直送し、粗圧延する場合(直送圧延法)において、▲1▼鋳造又は分塊圧延後直送前、▲2▼直送後粗圧延前、のうちの少なくとも1つの段階
(b) 鋳造された鋳片又は造塊後分塊圧延して得られた鋳片を、常温又はその近傍温度まで降温する前に加熱炉において昇温させた後、粗圧延する場合(熱片装入圧延法)において、▲1▼鋳造又は分塊圧延後加熱炉での昇温前、▲2▼加熱炉での昇温後粗圧延前、のうちの少なくとも1の段階
(c) 鋳造され又は造塊後分塊圧延され、常温又はその近傍温度まで降温した鋳片(冷片)を加熱炉において昇温させた後、粗圧延する場合(冷片再加熱圧延法)において、▲1▼鋳造又は分塊圧延後常温又はその近傍温度まで降温する前、▲2▼加熱炉での昇温後粗圧延前、のうちの少なくとも1つの段階
【0054】
切削手入れ工程の切削対象として最も効果的なのは、圧延必要温度を既に保持した粗圧延前の鋳片であり、その理由は鋳片温度が1200℃前後あるため、鋳片の変形抵抗が小さく、小さな荷重で切削が容易にできるからである。このような鋳片は、上記(a)〜(c)の▲2▼の段階で切削手入れされる鋳片である。また、特に(b)、(c)の場合において加熱炉での昇温後粗圧延前に切削手入れを行えば、製鋼性欠陥の原因となるモールドパウダーや介在物だけでなく、加熱炉性欠陥の原因となる粒界酸化物なども同時に除去することが可能になる。
【0055】
本発明の切削手入れ工程は、粗圧延後や粗圧延途中の被圧延材に対して実施してもよい。一般に粗圧延前には一次スケールの除去を目的として高圧水噴射などによるデスケーリングが行われるが、このデスケーリングでは1次スケールを完全には除去できない場合があり、この除去できなかったスケールは粗圧延において地鉄に押しこまれ、粗圧延後も地鉄上に局所的に残存している。そして、このような粗バーをそのまま仕上圧延すると、鋼帯上からスケールが局所的にはがれて凹凸ができたり、後の冷間圧延工程で疵になったり、溶融亜鉛めっき工程でめっき不良になったりする。したがって、粗圧延後や粗圧延途中で切削手入れを行うということは、上述した連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などの除去に加えて、上記のような1次スケールの残存物や粗圧延以降に生成した2次スケールを仕上圧延前に除去できるという意義がある。特に、この粗圧延後仕上圧延前に行う切削手入れは、高圧水噴射によるデスケーリングでは除去しにくいスケールを生成する、低P鋼や鉄より酸化しやすい元素を含む鋼、例えば、Ni、Si、Ti、Mnを低炭素鋼よりも多く含む鋼の表面性状を改善する効果がある。
また、粗バーに対して切削手入れを行った場合には、粗圧延中に割れが生じるような材料について、この圧延により生じた割れも同時に除去することができる利点がある。
【0056】
但し、先に述べたように、切削長さを短くして作業能率を高めるという面では、粗圧延後や粗圧延途中で長尺な粗バーに対して切削手入れを行うよりも、粗圧延前の鋳片に対して切削手入れを実施した方が有利である。なお、搬送中の粗バーは上下動が激しいため、粗バーを切削する場合には、切削手段が粗バーの上下動に応答性良く追従できる機構を設けることが好ましい。
本発明の切削手入れ工程は、鋳造工程直後から熱間圧延の仕上圧延工程直前までのオンライン上で実施されることが好ましく、また、その場合、搬送中の被圧延材に対して実施されることが好ましい。被圧延材の搬送工程としては、例えば、連続鋳造設備から粗圧延機や加熱炉までの搬送工程、加熱炉から粗圧延機までの搬送工程などがある。
【0057】
本発明では熱間状態にある高温の被圧延材に対して切削を行うため切削反力が小さく、安定した高速切削が可能となる。このため被圧延材があまり温度低下しないうちに被圧延材表層部の切削手入れを行うことができ、オンラインでの表面手入れが可能となる。また、この結果、鋳片などの表面手入れのために圧延能率が低下することもなく、熱延鋼帯を高い生産性で製造することができる。
また、切削手入れでは、溶削による手入れのような溶削ダレが残されることがなく、健全な地鉄表面が得られる。
本発明が適用される熱延鋼帯の製造設備の一例は、図1と同様であり、また、切削手入れ工程を実施するタイミングも、先に図1に基づいて説明した第1の方法と同様である。
【0058】
次に、本発明の切削手入れ工程における被圧延材表層部の切削方法について説明する。
一般の機械加工などに適用される切削方式には、フライス加工に代表されるような回転刃を用いる方法と、平削り加工に代表されるような平刃を用いる方式とがある。
このうちフライスなどの回転刃を用いる方式は、回転刃を高速で回転させて切削を行うものであるため、鋳片などのような大型の被切削物に適用した場合、設備コストや運転コストが非常に高くなる問題がある。また、駆動機構(モーター油圧装置等)を含めた全体の設備が大きく、温度が800℃以上もあるような高温材料を切削するには、設備全体を冷却するための大掛かりな冷却設備が必要となるため、事実上適用が難しい。一方、平刃を用いる方式では、平刃は常に同じ刃面が被切削物と接触するため、高温の鋳片を連続的に切削すると刃面の温度が上昇し、切削屑と平刃が溶着してしまう問題を生じる。一般の平刃を用いる切削加工では、切削刃に切削油を供給して冷却することにより切削屑との溶着を防止しているが、鋳片の手入れにおいて切削油を用いると、切削油が鋳片表面を冷却することになるため切削抵抗が増大し、また切削油により熱延鋼材の品質上の問題を生じさせる恐れもあり、このため切削油の使用は好ましくない。
【0059】
そこで本発明者らは、円形の切刃を有する回動可能な切削刃を、回動用動力を与えることなく、切削形態としては平刃のような形態で用いるとともに、切削刃を相対移動する被圧延材(被切削物)からの切削反力で回動させることにより、被圧延材を切削する刃面が切刃周方向で常に更新されるようにした切削方式を新たに創案した。このような切削方式によれば、切削刃に回動用動力を与えることなく切削を行うことができるとともに、切削刃の回動により被圧延材から離れた切刃部分が冷却されるため、切刃と切削屑との溶着が適切に防止される。
本発明の切削手入れ工程では、回動用動力を与えない切削刃の周方向の円形の切刃を被圧延材の被切削面に押し付けて切削を行うものであるが、切削刃による切削幅を適切に確保しつつ、切削刃を相対移動する被圧延材からの切削反力で回動させるためには、切削刃の回動中心軸が、被圧延材の被切削面に対する鉛直線から切削方向と切削幅方向への傾きを有する必要がある。
【0060】
図6は、本発明の切削手入れ工程で用いる切削手入れ装置とこれによる切削状況の一例を示すもので、図6(a)は切削方向から見た正面図、図6(b)は図6(a)中のA−A線に沿う断面図である。図において、21は切削刃、22はこの切削刃21を保持する回動軸(回転軸)、23はこの回動軸22を回動可能に保持する固定軸(保持部材)、21cは切削刃の回動中心軸、14は被切削物である被圧延材、15はその被切削面、mは切削方向を示す。
前記切削刃21は円盤状に構成され、前記回動軸22に保持されることによりフリーに回動(回転)可能である。切削刃21の下端周方向には円形状の切刃21aが形成されるとともに、この切刃21aに続く周胴面21bがすくい面(但し、図6では負のすくい角α′を有するすくい面となっている)を、底面21dが逃げ面をそれぞれ構成している。このように円盤状の本体の周胴面をすくい面とする切削刃であるため、下記のような前傾角を付けても必要な切削幅を確保することができる。
【0061】
切削刃21の回動中心軸21cは、前記被切削面15に対する鉛直線15nから角度γだけ切削幅方向への傾き(以下、これを「キャンバー角」という)を有するとともに、角度βだけ切削方向への傾き(以下、これを「前傾角」という)を有している。
切削刃21の回動中心軸21cにキャンバー角γと前傾角βが付与されることにより、被圧延材からの切削反力が切削幅方向における切削刃の片側にのみ作用することになるため、この切削反力が切削刃21に回動力を与えることになり、切削刃21は回動することになる。
なお、キャンバー角γは切削幅方向のいずれの側に設けてもよく、これによる違いは切削刃21の回動方向と切削屑の排出方向が逆向きになるだけである。
【0062】
以上述べた本発明における切削手入れの効果を確認するため、図6に示す構造の切削手入れ装置を有する試験設備を用い、以下のような実験を行った。
この試験では、鋳片(角ビレット)をボックスに固定し、このボックスをアキュムレーターによって切削手入れ装置に送り込み、切削刃21によりビレットの上面を切削をした(本発明例)。
鋳片としては、中炭素鋼(C:0.12mass%、Si:0.4mass%、Mn:1.2mass%、P:0.01mass%、S:0.01mass%、sol.Al:0.04mass%)からなる150mm角、長さ1mの角ビレットを用い、これを炉内温度が1250℃の電気加熱炉内で1時間保持して加熱した後、上記切削手入れを行った。切削手入れ装置の切削刃21は、直径:200mm、キャンバー角γ:7°、前傾角β:7°とした。また、鋳片の送り速度は500mm/秒、切削刃21の鋳片に対する押しつけ荷重は8MPaとした。
また、比較のために同様の鋳片について、溶削法により表面手入れを行った(比較例)。
【0063】
図12に、本発明例の切削手入れと比較例の溶削手入れにより、鋳片の表層部を深さ2mmに切削又は溶削した場合について、手入れ後の鋳片の表面粗さを測定した結果を示す。これによると、本発明例の切削手入れ後の鋳片表面は、比較例の溶削手入れ後のものに較べて表面粗さが非常に小さく、このため圧延時に疵の発生が抑制できることが示されている。また、図13に、手入れ後の鋳片表面から1mm深さの部分に存在する粒状酸化物の個数を測定した結果を示す。これによると、本発明例では鋳片表層部に加熱炉で生成したと思われる極く少量の粒状酸化物が存在しているだけであり、したがって粒状酸化を発生させることなく鋳片を手入れすることが可能であることが判る。これに対して比較例では、鋳片表層部に非常に多くの粒状酸化物が存在している。これは、加熱炉で生成した粒状酸化物に加えて、溶削により鋳片表層部に新たに粒状酸化物が生成した結果であると考えられる。
【0064】
次に、切削刃21の回動中心軸21cに付与されるキャンバー角γと前傾角βの好ましい条件について説明する。
切削刃21の回動中心軸21cに付与されるキャンバー角γは、その角度が大きいほど切削刃21は回動しやすくなるが、一方において、被切削面の切削深さが一定にならず、また切削刃1本当たりの切削幅が狭くなるため、所定の幅を切削するために切削刃の数を増やす必要が生じる。また、切削刃21の回動中心軸21cに付与される前傾角βを大きくすると、切削刃1本当たりの切削幅が狭くなる。したがって、実用的には前傾角βは30°以下、キャンバー角γは10°以下とすることが好ましい。
【0065】
キャンバー角γ及び前傾角βのより好ましい範囲を確認するため、以下のような試験を行った。図6に示す切削手入れ装置において、切削刃21の回動中心軸21cに付与されるキャンバー角γ及び前傾角βを種々変えて、約900℃に加熱された鋳片を切削手入れし、キャンバー角γ及び前傾角βの影響を調査した。切削刃21は直径250mmのものを用い、鋳片の表層部を2mmの深さで切削した。
まず、回動中心軸21cを前傾角β:6°、キャンバー角γ:4°に設定した切削では、切削刃21は確実に回動し、切削屑は切削刃に巻き込まれることなく切削幅方向に円滑に排出された。
図7は、上記試験において得られた、前傾角β及びキャンバー角γと切削幅Wo及び切削不可能領域との関係を整理して示したものである。図7中の切削不可能領域は、前傾角βが小さすぎるか若しくはキャンバー角γが大きすぎる場合に、図8に示すように切削刃21の周胴面21bが被切削面に大きく食い込み、正常な切削が不可能になる領域である。
【0066】
切削刃1本当たりの切削幅Woを大きくするには、前傾角βもキャンバー角γも小さいほどよいが、前傾角βを小さくしていくと上記の切削不可能領域に近づくため、微妙な角度誤差により切削が不可能とならないよう、角度設定を配慮する必要がある。一方、キャンバー角γを小さくしていくと、切削刃21の回転作用が小さくなって回転不能となるため、これについても切削刃21の回転作用が確実に得られるよう、ある程度の角度を付与する必要がある。
なお、前傾角β及びキャンバー角γと切削刃21に作用する回転力や切削屑の形状との関係は、切削刃の直径、鋼材温度、切削深さなどの影響も受けるため、これを考慮して角度設定を行うことが好ましい。
【0067】
図7の結果からして、前傾角βとキャンバー角γの設定は、所望の切削幅に応じて、最もキャンバー角γを大きくすることができ、且つ角度誤差によって切削不可能領域となる恐れがない前傾角とすればよい。例えば、切削幅Wo:100mmで切削したい場合には、キャンバー角γ:4°が最も大きい値で、そのときの前傾角βは6°であり、この前傾角は切削不可能領域である約3.5°からも余裕があるため、適切な角度であることが判る。
図7に示す前傾角β及びキャンバー角γと切削幅Wo及び切削不可能領域との関係は、切削刃の直径や切削深さなどによってある程度変化し、また、前傾角β及びキャンバー角γと切削刃に作用する回転力や切削屑の形状との関係は、切削刃の直径、鋼材温度、切削深さなどにより変化するが、図7の結果は実用上の大略の指標とすることができる。
【0068】
図7に示される適切な切削幅を確保し且つ切削刃に適切な回転作用を生じさせるという点で、前傾角β及びキャンバー角γの好ましい範囲は、前傾角β:1〜10°、キャンバー角γ:1〜8°である。また、より好まし範囲は前傾角β:2〜8°、キャンバー角γ:2〜6°であり、この範囲にすれば、所定の切削深さt(切り込み量)と切削幅Woの比(縦横比=アスペクト比)を大きくすることができるとともに、切削刃21の直径に対する切削幅Woの比を大きくすることができ、しかも切削刃21の回動作用を確実に得ることができ、また処理の容易な切削屑を得やすい。
なお、キャンバー角γが8°を超えると切削屑が切削刃を巻き込むようになるため、切削屑の処理に支障をきたすことがある。
【0069】
また、図6では回動中心軸21cに前傾角βを設けたことによって、切削刃21の周胴面21bにより構成されるすくい面が負のすくい角(角度α′)を有することになり、切削抵抗が増大する。このため、図9に示すように切削刃21の周胴面21bをテーパ状の傾斜面とし、これにより実質的なすくい角α(正のすくい角)を付与することが好ましい。但し、切削抵抗が特に問題とならない限度において、図6に示すような負のすくい角が形成されていてもよい。
【0070】
切削手入れ装置が有する切削刃21が1つだけで、切削すべき被圧延材の幅がその切削刃の切削幅Woより大きい場合、被圧延材長手方向を一度切削した後、切削幅方向に一定量スライド(シフト)させて、再び切削するということを繰り返す、いわゆる走査が必要となる。しかし、このような切削手入れは時間がかかり、効率的なものではない。また、所定の切削幅に見合う大きな切削刃で切削する方法も考えられるが、被圧延材幅方向での切削深さが不均一になりやすい。
したがって、通常、切削手入れ装置には被圧延材幅方向を分担して切削するために複数の切削刃が設けられる。図10はその切削手入れ装置を示すもので、図10(a)は切削方向から見た正面図、図10(b)はその側面図である。
【0071】
ここで、図6に示すように切削刃21による切削幅Woは切削刃21の直径Dよりも狭いため、被圧延材14の全幅を同時に切削手入れする場合、複数の切削刃21を切削幅に並列的に配置したのでは、切削されない部分が生じてしまう。このため切削幅方向で隣接して形成される切削部が互いに接するか若しくは一部が重り合うように、複数の切削刃21を切削方向及び切削幅方向で間隔をおいて配置することが望ましい。
図10及び図11は、切削幅方向で隣接する切削部どうしの一部が重り合った状態を示している。ここで、隣接する切削部のラップ代の大きさにより、切削後の被圧延材表面の粗さが決まる。すなわち、図11に示すように、切削刃により最も深く切削される箇所の切削深さをtmax、最も浅く切削される箇所の切削深さをtminとすると、上記ラップ代を大きくしていくと、tminが大きくなってtmaxとの差が小さくなるため、切削後の表面粗さが小さくなる。したがって、切削後の被圧延材の所望の表面粗さに応じて、上記ラップ代を調整することが好ましい。
【0072】
以上のような切削手入れ装置は、好ましくは被圧延材の搬送ラインの途中に設けられ、この切削手入れ装置に対してピンチロールなどによる押し込み駆動力(被圧延材の搬送駆動力)により被圧延材が押し込まれ、この押し込み駆動力を切削動力として被圧延材表層部の切削が行われる。この切削手入れでは、切削刃21が有する円形状の切刃21aの周方向の一部により切削幅Wo及び切削深さtで被圧延材14の表層部が切削される。回動軸22に保持された切削刃21は切削反力により回動するため、被切削面15を切削する切刃21aの部分が周方向で常に更新される。そして、被切削面15から離れた切刃21aの部分は冷却されることになり、これにより切削屑と切刃21aとの溶着を防止することができる。なお、被切削面15から離れた切刃21aの部分は、特別な冷却を加えなくても放冷により冷却されるが、必要に応じてエアや冷却水を用いた強制冷却を行ってもよい。
【0073】
図14及び図15は、本発明の切削手入れ工程のより具体的な実施形態を示すもので、図14は側面図、図15は図14中のB−B線に沿う矢視図である。
この実施形態では、切削手入れ装置5は搬送ロール29により構成される被圧延材の搬送ラインの上方に設置されている。この切削手入れ装置5は、切削幅方向に3個の切削刃21を配したユニット24を切削方向に3列設置した構成を有し、計9個の切削刃21を有している。各ユニット24の切削刃21及びその回動軸22等は1つの支持フレーム25に支持されるとともに、この支持フレーム25は昇降用油圧シリンダー26により昇降可能に保持されている。各ユニット24の切削刃21は、各ユニット24間で切削幅方向の異なる位置の切削がなされるよう、その切削幅方向で位置が選択されている。
切削手入れ装置5の入側には、切削手入れ装置5に被圧延材を押し込むためのピンチロール27が設けられ、また、このピンチロール27の上流側の搬送ライン上方には、被圧延材までの距離を測定するための位置検出センサー28が設けられている。
【0074】
このような実施形態では、昇降用油圧シリンダー26による切削手入れ装置5の昇降位置よって切削刃21による被圧延材表層部の切削深さが決まる。このように位置設定された切削手入れ装置5に対して、搬送されてきた被圧延材Xがピンチロール27により押し込まれることにより、被圧延材表面の切削が行われる。なお、位置検出センサー28により被圧延材Xまでの距離が測定され、この測定値と予め決められた手入れ量(切削深さ)に基づいて、昇降用油圧シリンダー26の昇降による切削刃21の高さが決められる。
このような実施形態では、被圧延材Xの搬送駆動力を切削刃21の切削駆動力としてそのまま利用できるため、切削刃21を駆動するための駆動力を必要としない。このため設備全体をコンパクトな構造とすることでき、狭いスペースでも設置可能であり、また設備コストも少なくすることができる。
【0075】
なお、以上述べた本発明の第1及び第2の方法における切削手入れ工程で切削の対象となる被圧延材(鋳片、圧延中間素材、粗バー)の表面部位は、被圧延材の表・裏面に限られず、側端面や切断面であってもよい。特に、垂直曲げ式の連続鋳造機で鋳造された鋳片は、鋳造時の矯正(上部矯正での曲げ、下部矯正での曲げ戻し)により表・裏面と側端面とのコーナー部にコーナー割れと呼ばれる割れが生じやすく、このようなコーナー割れが生じたものについては、特に、側端面を切削手入れすることが好ましい。
また、本発明法の切削手入れ工程で被圧延材の表面及び/又は裏面の一部のみを切削する場合、特に被圧延材の先端近傍部分及び/又は後端近傍部分を切削するのが有効である。これは、熱延鋼材(特に熱延鋼帯)の表面欠陥はその全長の至るところで発生するが、時としてその先端や後端近傍に集中して発生することがあり、このような被圧延材について特に先端近傍部分や後端近傍部分を切削手入れすることにより熱延鋼材の表面欠陥個数を著しく低減させることができるからである。
【0076】
本発明により得られた熱延鋼材は、そのままで最終製品となる場合と、冷延鋼帯や表面処理鋼帯の素材として利用される場合とがある。後者の場合、例えば、以下のような工程を経て冷延鋼帯や表面処理鋼帯(めっき鋼帯等)が製造される。通常、冷間圧延が施される熱延鋼材は1.2〜5mm程度の板厚を有し、冷間圧延工程で板厚0.6〜1.2mm程度に圧延される。また、この冷延鋼帯に各種めっき処理を施すことにより、めっき鋼帯が得られる。例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼帯は、連続溶融亜鉛めっき設備において、冷延鋼帯に片面当たり30〜100g/mの程度のめっき付着量で亜鉛めっきが施された後、亜鉛めっきを合金化することにより製造される。めっき処理鋼帯は、めっき皮膜を有することにより熱延鋼帯や冷延鋼帯では見られなかった表面欠陥が浮かび上がり、欠陥が顕在化してくる。したがって、本発明により、そのような表面欠陥の原因となる鋳片表層部のモールドパウダー、内部介在物、内部酸化物等を確実に取り除いておくことにより、優れた表面性状のめっき鋼帯が得られる。
【0077】
【実施例】
図1に示す熱延鋼帯の連続製造設備に図14及び図15に示す切削手入れ装置を設置し、被圧延材の切削手入れを行って熱延鋼帯を製造した。鋳造した鋳片は表1に示す極低炭素鋼又は低炭素鋼であり、鋳造サイズは厚さ250mm、幅1050mmであり、鋳造速度は2.5m/分とした。
【表1】
Figure 0003951889
【0078】
[実施例1]
本実施例(本発明例)は、モールドパウダーやアルミナなどによる鋳片の製鋼性欠陥を除去することを目的とし、製鋼性欠陥が特に問題となりやすい極低炭素鋼(表1)の熱延鋼材を製造した。
本実施例では、鋳造された鋳片を一旦常温近くまで冷却した後、この鋳片を加熱炉6で再加熱し、熱間圧延して熱延鋼帯を製造した。被圧延材の切削手入れは、鋳造後、鋳片表面温度が850℃となった鋳片の表面(片面)に対してのみ行った。
切削手入れ装置5は、切削刃の直径:200mm、切削刃数:12個、切削刃1個当たりの切削幅:約100mm、キャンバー角γ:3°、前傾角β:6°とし、複数の切削刃は、削り残しが生じないように切削幅方向で隣接する切削部どうしが一部重なり合うように配置した。また、切削刃の切削深さは、表面酸化膜(1次スケール層)と1500μmの厚さの鋼部分(地鉄)を切削するよう設定した。ピンチロールによる鋳片の搬送速度は500mm/秒、切削刃の鋳片に対する押し付け荷重は9MPaとした。なお、鋳片表面には凹凸が存在したが、切削刃の押し付け荷重を一定にすることで、切削刃は鋳片表面の凹凸に倣って所定深さの切削が可能であった。
【0079】
鋳片切削手入れの終了した鋳片を一旦常温まで冷却した後、炉内温度が1250℃の加熱炉6に装入して約150分間加熱した後、加熱炉6から抽出して速やかに熱間圧延設備に搬送した。熱間圧延設備では、幅圧下圧延機7において幅圧下量50mm/パスで2パスの幅圧下圧延を行い、その後、高圧水噴射装置8によるスケール除去を行った後、粗圧延機9で圧延し、粗圧延終了時の表面温度が1040℃である厚さ50mmの粗バーを得た。この粗バーに高圧水噴射によるデスケーリングを施した後、7段の仕上圧延機10で板厚3.2mmまで連続的に圧延し、熱延鋼帯を得た。圧延後の鋼帯はランアウトで冷却し、所定の温度で巻き取った。巻き取り後は、コイルの状態で徐冷し、常温になった段階でその表面を検査した。
【0080】
比較例として、▲1▼鋳造された高温の鋳片をオフラインで溶削により手入れし、これを常温まで冷却した後、加熱炉に装入して再加熱し、圧延を行う方法(比較例1)、▲2▼鋳造された鋳片を常温まで冷却した後、フライス加工により表層を切削手入れし、しかる後、加熱炉に装入して再加熱し、圧延を行う方法(比較例2)、という2つの方法により熱延鋼帯を製造した。いずれの比較例も、鋳片を加熱炉から抽出した以降の工程は、本実施例と同様とした。
図16に、手入れした直後の鋳片を払い出し、その手入れした面の表面粗さを測定した結果を示す。また、図17に、手入れした直後の鋳片を払い出し、鋳片表層部から厚さ30mmのサンプルを切り出し、その表面を検鏡して粒状酸化物の個数を測定した結果を示す。
【0081】
図16、図17によれば、本発明法において切削手入れした鋳片の表面は、比較例1の溶削法で手入れした鋳片に較べて非常に平滑であり、且つ粒状酸化物も少ない。
また、本発明法において得られた熱延鋼帯は、スケールが噛み込んだ疵や、連続鋳造でタンディッシュから持ちこまれた介在物起因の表面欠陥は全く存在せず、非常に優れた表面性状を有していた。
なお、フライス加工で手入れを行った比較例2では、鋳片表面は本発明例に較べて平滑であり、且つ粒状酸化物も少ないが、この比較例2の方法は、▲1▼鋳片を常温まで冷却することが必須である、▲2▼本発明法では切削手入れ時間が鋳片1本当たり1分程度であるのに対して、鋳片1本当たりの手入れに150分もかかり、生産性が非常に低い、という問題がある。
【0082】
上記により得られた熱延鋼帯を板厚0.8mmまで冷間圧延し、その後、連続溶融亜鉛めっき設備において片面当たり50g/mのめっき付着量の溶融亜鉛めっきを施した後、合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。このめっき鋼帯コイルについて、コイル1本当たり生じている1mm以上の大きさの表面欠陥の個数を目視により計数した。図18に、めっき鋼帯1000m当たりの欠陥の個数を示す。これによれば、図16、図17の結果と同様に、本発明例で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯は、比較例1で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯に較べて表面欠陥の少なく、優れた表面性状が得られていることが判る。
【0083】
[実施例2]
本実施例は、加熱炉内での加熱中に鋳片表層に生じた粒界酸化と呼ばれる根の深い酸化部分を取り除くことを目的とし、特に加熱中に粒界酸化が発生しやすい極低炭素鋼(表1)の熱延鋼帯を製造した。
本実施例では、鋳造された鋳片を一旦常温近くまで冷却した後、この鋳片を加熱炉6で再加熱し、熱間圧延して熱延鋼帯を製造した。被圧延材の切削手入れは、加熱炉6での加熱後、粗圧延の直前で鋳片の表面(片面)に対してのみ行った。
切削手入れ装置5は、実施例1と同様のものを用い、切削刃の切削深さは、表面酸化膜(1次スケール層)と500μmの厚さの鋼部分(地鉄)を切削するよう設定した。切削刃の鋳片に対する押し付け荷重は3MPaとした。なお、鋳片表面には凹凸が存在したが、切削刃の押し付け荷重を一定にすることで、切削刃は鋳片表面の凹凸に倣って所定深さの切削が可能であった。
【0084】
鋳造された鋳片を一旦常温まで冷却した後、炉内温度が1250℃の加熱炉6に装入し、約150分間加熱した後、加熱炉6から抽出して速やかに熱間圧延設備に搬送し、幅圧下圧延機7において幅圧下量50mm/パスで2パスの幅圧下圧延を行った後、幅圧下圧延機7の圧延ロールによる搬送駆動力を切削の駆動力として、上述の切削手入れを行った。この際、幅圧下圧延機7の圧延ロールによる鋳片の搬送速度は1000mm/秒とした。次いで、粗圧延機9で粗圧延し、粗圧延終了時の表面温度が1040℃である厚さ30mmの粗バーを得た。この粗バーに高圧水噴射によるデスケーリングを施した後、7段の仕上圧延機10で板厚3.2mmに連続的に圧延し、熱延鋼帯を得た。圧延後の鋼帯はランアウトで冷却し、所定の温度で巻き取った。巻き取り後は、コイルの状態で徐冷し、常温になった段階でその表面を検査した。
【0085】
図16に、手入れした直後の鋳片を払い出し、その手入れした面の表面粗さを測定した結果を示す。また、図17に、手入れした直後の鋳片を払い出し、鋳片表層部から厚さ30mmのサンプルを切り出し、その表面を検鏡して粒状酸化物の個数を測定した結果を示す。
図16、図17によれば、本発明法において切削手入れした鋳片の表面は非常に平滑であり、且つ粒状酸化物も少ない。また、本発明法において得られた熱延鋼帯は、スケールが噛み込んだ疵や、連続鋳造でタンディッシュから持ちこまれた介在物起因の表面欠陥は全く存在せず、非常に優れた表面性状を有していた。
【0086】
上記により得られた熱延鋼帯を板厚0.8mmまで冷間圧延し、その後、連続溶融亜鉛めっき設備において片面当たり50g/mのめっき付着量で溶融亜鉛めっきを施した後、合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。このめっき鋼帯コイルについて、コイル1本当たり生じている1mm以上の大きさの表面欠陥の個数を目視により計数した。図18に、めっき鋼帯1000m当たりの欠陥の個数を示す。これによれば、図16、図17の結果と同様に、本発明例で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯は、比較例1で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯に較べて表面欠陥の少なく、優れた表面性状が得られていることが判る。
【0087】
[実施例3]
本実施例では、連続鋳造後の鋳片を高温のまま熱間圧延設備に搬送して熱間圧延(直送圧延)を行い熱延鋼帯を製造した。被圧延材の切削手入れは、粗圧延の直前で鋳片の表面(片面)に対してのみ行った。この際の鋳片の表面温度は1150℃であった。
切削手入れ装置5は、実施例1と同様のものを用い、切削刃の切削深さは、表面酸化膜(1次スケール層)と1500μmの厚さの鋼部分(地鉄)を切削するよう設定した。切削刃の鋳片に対する押し付け荷重は6MPaとした。なお、鋳片表面には凹凸が存在したが、切削刃の押し付け荷重を一定にすることで、切削刃は鋳片表面の凹凸に倣って所定深さの切削が可能であった。
【0088】
鋳造された鋳片を熱間圧延設備に搬送し、幅圧下圧延機7において幅圧下量50mm/パスで2パスの幅圧下圧延を行った後、幅圧下圧延機7の圧延ロールによる搬送駆動力を切削の駆動力として、上述の切削手入れを行った。この際、幅圧下圧延機7の圧延ロールによる鋳片の搬送速度は1000mm/秒とした。次いで、粗圧延機で粗圧延し、粗圧延終了時の表面温度が1040℃である厚さ30mmの粗バーを得た。この粗バーに高圧水噴射によるデスケーリングを施した後、7段の仕上圧延機10で板厚3.2mmまで連続的に圧延し、熱延鋼帯を得た。圧延後の鋼帯はランアウトで冷却し、所定の温度で巻き取った。巻き取り後は、コイルの状態で徐冷し、常温になった段階でその表面を検査した。
【0089】
図16に、手入れした直後の鋳片を払い出し、その手入れした面の表面粗さを測定した結果を示す。また、図17に、手入れした直後の鋳片を払い出し、鋳片表層部から厚さ30mmのサンプルを切り出し、その表面を検鏡して粒状酸化物の個数を測定した結果を示す。
図16、図17によれば、本発明法において切削手入れされた鋳片の表面は非常に平滑であり、且つ粒状酸化物も少ない。また、本発明法において得られた熱延鋼帯は、スケールが噛み込んだ疵や、連続鋳造でタンディッシュから持ちこまれた介在物起因の表面欠陥は全く存在せず、非常に優れた表面性状を有していた。
【0090】
上記により得られた熱延鋼帯を板厚0.8mmまで冷間圧延し、その後、連続溶融亜鉛めっき設備において片面当たり50g/mのめっき付着量で溶融亜鉛めっきを施した後、合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。このめっき鋼帯コイルについて、コイル1本当たり生じている1mm以上の大きさの表面欠陥の個数を目視により計数した。図18に、めっき鋼帯1000m当たりの欠陥の個数を示す。これによれば、図16、図17の結果と同様に、本発明例で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯は、比較例1で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯に較べて表面欠陥の少なく、優れた表面性状が得られていることが判る。
【0091】
[実施例4]
本実施例では、鋳造された鋳片を一旦常温近くまで冷却した後、この鋳片を加熱炉6で再加熱し、熱間圧延して熱延鋼帯を製造した。被圧延材の切削手入れは、粗圧延後の粗バーに対して行った。
切削手入れ装置5は、実施例1と同様のものを用い、切削刃の切削深さは、表面酸化膜(1次スケール層)と200μmの厚さの鋼部分(地鉄)を切削するよう設定した。切削刃の鋳片に対する押し付け荷重は1.5MPaとした。なお、鋳片表面には凹凸が存在したが、切削刃の押し付け荷重を一定にすることで、切削刃は鋳片表面の凹凸に倣って所定深さの切削が可能であった。
【0092】
鋳造された鋳片を一旦常温まで冷却した後、炉内温度が1250℃の加熱炉6に装入し、約150分間加熱した後、加熱炉6から抽出して速やかに熱間圧延設備に搬送した。熱間圧延設備では、幅圧下圧延機7において幅圧下量50mm/パスで2パスの幅圧下圧延を行い、その後、高圧水によるスケール除去を行った後、粗圧延機で粗圧延し、粗圧延終了時の表面温度が1040℃である厚さ50mmの粗バーを得た。この粗バーに上述の切削手入れを行ったが、この際、粗圧延機9の圧延ロールによる粗バーの搬送駆動力を切削の駆動力に利用した。具体的には、粗圧延機9の所定の圧延ロールの入側と出側の両方に切削手入れ装置5を取り付け、粗バーの全長を切削できるようにした。切削手入れが終了した粗バーを7段の仕上圧延機で板厚3.2mmまで連続的に圧延し、熱延鋼帯を得た。圧延後の鋼帯はランアウトで冷却し、所定の温度で巻き取った。巻き取り後は、コイルの状態で徐冷し、常温になった段階でその表面を検査した。
【0093】
図16に、手入れした直後の粗バーを払い出し、その手入れした面の表面粗さを測定した結果を示す。また、図17に、手入れした直後の粗バーを払い出し、この粗バーの表層部から厚さ30mmのサンプルを切り出し、その表面を検鏡して粒状酸化物の個数を測定した結果を示す。
図16、図17によれば、本発明法において切削手入れされた粗バーの表面は非常に平滑であり、且つ粒状酸化物も少ない。また、本発明法において得られた熱延鋼帯は、スケールが噛み込んだ疵や、連続鋳造でタンディッシュから持ちこまれた介在物起因の表面欠陥は全く存在せず、非常に優れた表面性状を有していた。
【0094】
上記により得られた熱延鋼帯を板厚0.8mmまで冷間圧延し、その後、連続溶融亜鉛めっき設備において片面当たり50g/mのめっき付着量で溶融亜鉛めっきを施した後、合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。このめっき鋼帯コイルについて、コイル1本当たり生じている1mm以上の大きさの表面欠陥の個数を目視により計数した。図18に、めっき鋼帯1000m当たりの欠陥の個数を示す。これによれば、図16、図17の結果と同様に、本発明例で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯は、比較例1で得られた熱延鋼帯を素材とするめっき鋼帯に較べて表面欠陥の少なく、優れた表面性状が得られていることが判る。
【0095】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の第1の方法によれば、鋳片などの被圧延材の表層部に存在している連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などをオンラインで確実に除去することができ、これにより欠陥のない高品質な表面性状を有する熱延鋼材を安定的に製造することができる。
また、本発明の第2の方法によれば、鋳片などの被圧延材の表層部に存在している連続鋳造のモールドパウダー、介在物、粒界酸化物などを高速且つ確実にしかも低コストに除去することができ、これにより欠陥のない高品質な表面性状を有する熱延鋼材を安定的に且つ高い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される熱延鋼帯の製造設備の一例を模式的に示す説明図
【図2】本発明の第1の方法の切削手入れ工程で用いられる切削手入れ装置とこれによる切削状況の一例を示すもので、図2(a)は切削方向から見た正面図、図2(b)は図2(a)中のA−A線に沿う断面図
【図3】図2の切削刃の回動駆動手段を示す説明図
【図4】図2で用いる切削刃の他の形態例を示す側面図
【図5】図2の切削刃を複数基有する装置における切削刃の配置例を示すもので、図5(a)は切削方向から見た正面図、図5(b)はその側面図
【図6】本発明の第2の方法の切削手入れ工程で用いられる切削手入れ装置とこれによる切削状況の一例を示すもので、図6(a)は切削方向から見た正面図、図6(b)は図6(a)中のA−A線に沿う断面図
【図7】切削刃の回動中心軸に付与されたキャンバー角γ及び前傾角βと切削幅及び切削不可能領域との関係を示す図面
【図8】切削刃の周胴面が被切削面に大きく食い込んだ状態を示す説明図
【図9】図6で用いる切削刃の他の形態例を示す側面図
【図10】図6の切削刃を複数基有する装置における切削刃の配置例を示すもので、図10(a)は切削方向から見た正面図、図10(b)はその側面図
【図11】図6の切削刃を複数基有する装置において、切削刃による切削部のラップ代を示す説明図
【図12】試験において、本発明の切削手入れと従来の溶削手入れを実施した鋳片の表面粗さを比較して示すグラフ
【図13】試験において、本発明の切削手入れと従来の溶削手入れを実施した鋳片の表面に残存する粒状酸化物の個数を比較して示すグラフ
【図14】本発明の切削手入れ工程の具体的な一実施形態を示す側面図
【図15】図14のB−B線に沿う矢視図
【図16】実施例において、本発明の切削手入れと比較例の手入れを実施した鋳片の表面粗さを比較して示すグラフ
【図17】実施例において、本発明の切削手入れと比較例の手入れを実施した鋳片の表面に残存する粒状酸化物の個数を比較して示すグラフ
【図18】実施例において、本発明の切削手入れと比較例の手入れを実施した鋳片から得られた表面処理鋼板の表面欠陥の個数を比較して示すグラフ
【符号の説明】
1…鋳型、2…冷却水スプレー、3…ロール、4…カッター、5,5a1,5a2,5b1,5b2,5c,5d…切削手入れ装置、6…加熱炉、7…幅圧下圧延機、8…高圧水噴射装置、9…粗圧延機、10…仕上圧延機、11…切削刃、11a…切刃、11b…周胴面、11c…回動中心軸、11d…底面、12…回動軸、13…固定軸、14…被圧延材、15…被切削面、16…駆動手段、17…ギア、18…チェンベルト、21…切削刃、21a…切刃、21b…周胴面、21c…回動中心軸、21d…底面、22…回動軸、23…固定軸、24…ユニット、25…支持フレーム、26…昇降用油圧シリンダー、27…ピンチロール、28…位置検出センサー、29…搬送ロール

Claims (18)

  1. 鋳造後の鋳片を粗圧延した後、仕上圧延して熱延鋼材を製造する方法において、
    (A)鋳造後粗圧延前、(B)粗圧延途中、(C)粗圧延後仕上圧延前、のうちの少なくとも1つの段階において、熱間状態にある被圧延材の表面及び/又は裏面の一部又は全部の表層部を切削除去する切削手入れ工程を備え、該切削手入れ工程では、切削手段として円形の切刃を有する回動可能な切削刃を用い、該切削刃を被圧延材からの切削反力で回動させつつ、被圧延材の表層部を切削することを特徴とする熱延鋼材の製造方法。
  2. 切削手入れ工程では、被圧延材の表面酸化膜を越えて100μm以上の厚さの鋼部分を切削除去することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼材の製造方法。
  3. 切削刃は、円形の切刃に続く周胴面がすくい面を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼材の製造方法。
  4. 切削刃は、その回動中心軸が被圧延材の被切削面に対する鉛直線から切削方向及び切削幅方向への傾きを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼材の製造方法。
  5. 被切削面に対する鉛直線からの回動中心軸の切削幅方向への傾きが10°以下、切削方向への傾きが30°以下であることを特徴とする請求項に記載の熱延鋼材の製造方法。
  6. 切削手段として複数の切削刃を用い、該複数の切削刃は、切削幅方向で隣接して形成される切削部が互いに接するか若しくは一部が重り合うように、切削方向及び切削幅方向で間隔をおいて配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼材の製造方法。
  7. 切削手入れ工程では、定置された切削手段により搬送中の被圧延材の表層部を切削するとともに、被圧延材の搬送駆動力を切削駆動力として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱延鋼材の製造方法。
  8. 切削手入れ工程で表層部を切削される際の被圧延材の表面温度が800℃以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱延鋼材の製造方法。
  9. 切削手入れ工程で被圧延材の表面及び/又は裏面の一部を切削する場合には、被圧延材の先端近傍部分及び/又は後端近傍部分を切削することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱延鋼材の製造方法。
  10. 被圧延材がTi及び/又はNb添加極低炭素鋼であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の熱延鋼材の製造方法。
  11. 連続鋳造された鋳片を粗圧延した後、仕上圧延して熱延鋼材を製造する設備において、
    連続鋳造設備出側と熱間圧延設備の粗圧延機出側間における被圧延材搬送ラインの途中に、熱間状態にある被圧延材の表面及び/又は裏面の一部又は全部の表層部を切削除去するための装置であって、円形の切刃を有する回動可能な切削刃を備え、該切削刃を被圧延材からの切削反力で回動させつつ、被圧延材の表層部を切削する切削手入れ装置を設置したことを特徴とする熱延鋼材の製造設備。
  12. 切削手入れ装置が、被圧延材の表面酸化膜を越えて鋼部分を切削除去することができる装置であることを特徴とする請求項11に記載の熱延鋼材の製造設備。
  13. 切削刃は、円形の切刃に続く周胴面がすくい面を構成することを特徴とする請求項11又は12に記載の熱延鋼材の製造設備。
  14. 切削刃は、その回動中心軸が被圧延材の被切削面に対する鉛直線から切削方向及び切削幅方向への傾きを有していることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の熱延鋼材の製造設備。
  15. 被切削面に対する鉛直線からの回動中心軸の切削幅方向への傾きが10°以下、切削方向への傾きが30°以下であることを特徴とする請求項14に記載の熱延鋼材の製造設備。
  16. 切削手段として複数の切削刃を備え、該複数の切削刃は、切削幅方向で隣接して形成される切削部が互いに接するか若しくは一部が重り合うように、切削方向及び切削幅方向で間隔をおいて配置されることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の熱延鋼材の製造設備。
  17. 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により得られた熱延鋼帯を冷間圧延して冷延鋼帯を製造することを特徴とする冷延鋼帯の製造方法。
  18. 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により得られた熱延鋼帯を冷間圧延した後、若しくは冷間圧延することなく、鋼帯をめっき処理し、めっき鋼帯を製造することを特徴とするめっき鋼帯の製造方法。
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