JPH08337928A - 酸化スズ系繊維およびその製造方法 - Google Patents

酸化スズ系繊維およびその製造方法

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JPH08337928A
JPH08337928A JP14306895A JP14306895A JPH08337928A JP H08337928 A JPH08337928 A JP H08337928A JP 14306895 A JP14306895 A JP 14306895A JP 14306895 A JP14306895 A JP 14306895A JP H08337928 A JPH08337928 A JP H08337928A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸化スズ、並びに酸化アルミニウム、酸化ゲ
ルマニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグ
ネシウム、酸化ほう素等を含有させることによって得ら
れる引っ張り強度が30MPa以上の酸化スズ系繊維。 【効果】 酸化スズに酸化アルミニウム、酸化ゲルマニ
ウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウ
ム、酸化ほう素等を含有させることによって引っ張り強
度が向上した。機械的強度が向上した酸化スズ系繊維
は、帯電防止用フィラー等の導電性付与材料、センサ素
子材料、電極材料、電極活物質充填材料として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、強度が向上した酸化ス
ズ系繊維およびその製造方法に関する。
【従来の技術】酸化スズは、耐薬品性、耐熱性に優れ、
しかも導電性を広範囲において制御できる優れた材料で
あり種々の用途に用いられている。高分子材料において
は、導電性を付与する目的でカ−ボンファイバ−等の添
加が行われている。しかしながら、カ−ボンを用いた場
合、それ自体黒色のため材料の明彩色化が図れない、ま
た非常に軽いため飛散し易い等の問題点があった。この
ため、金属繊維や金属酸化物の粉末を添加することが行
なわれているが、金属繊維は高い導電性を有するものの
長時間経過すると表面が酸化あるいは腐食して導電性が
低下するという欠点がある。また従来の金属酸化物粉末
は導電性が金属繊維ほど高くないので高分子材料に導電
性を付与するためにはどうしても比較的多量に添加せざ
るを得ず、高分子材料が本来有する物性を低下させる欠
点があった。耐薬品性、耐熱性に優れる酸化スズにおい
ても導電性を付与した粉末形状での添加が試みられてい
る。ところで、導電性付与の効果は導電性付与材料のア
スペクト比が大きいほど、高くなることが知られてい
る。このため、導電性を有する酸化スズのファイバ−化
が求められていた。しかしながら、従来の固相反応法で
はファイバ−を製造することは困難であった。特開昭6
0−54997号、特開昭60−161337号、特開
昭62ー158199号において、溶融析出法によって
酸化スズのウィスカーを製造する方法が提案されてい
る。しかしながら、これらの方法では1000℃以上の
高温且つ何日にもわたる反応時間を必要とするため、実
験室規模で極少量作製することは可能であるが、工業的
に製造できるには至っていない。しかも得られる酸化ス
ズ系繊維の形状は直径1μm以下、長さが3mm以下で
アスペクト比も小さく、更に断面も矩形であることが多
いため複合材料として用いる場合、その機能を充分に発
揮させることができずその用途が限られてしまうという
問題があった。更に、長径が小さすぎるためペーパ状物
等を作製することが困難であった。また、得られる複合
材料の導電性等の物性値の再現性を高めようとすれば、
添加する酸化スズウィスカーの形状および大きさを再現
性よく制御することが重要である。しかしながら、酸化
スズウィスカーの形状を制御することは実際困難である
ので、添加する酸化スズの繊維径および長さを揃えよう
とすれば、偶然できたものを分級するしかなかった。そ
れ故、このような方法で作製したウィスカーはコストが
極めて高く、実際に使用できなかった。また従来、大気
中のガス成分を検出するためのセンサとして、一般に半
導体型のセンサが用いられている。このセンサにおいて
は、実際のガスの検出部である検出素子として酸化スズ
に代表される金属酸化物半導体が用いられている。その
際、ガス検出素子に一対の電極を接続させ、ガス検出素
子がガスを吸着したときに起こる抵抗変化を測定してガ
スを検出している。ところが、ガス検出素子は酸化スズ
等の焼結体から構成されており、検出感度が低い、応答
速度が遅い、あるいは消費電力が大きいといった問題が
あった。このため、従来の焼結体型の素子に代わって薄
膜型の素子を用いることが長年研究されているが、感
度、あるいは耐久性が低いといった重大な問題を依然と
して解決することができず、焼結体型に置き代わるに至
っていない。また、白金線のような金属線を芯にしてそ
の周囲にガス検出用の酸化物半導体を付着させた繊維状
タイプの素子を用いることが検討されている。しかしな
がら、該素子においては、金属線と酸化物半導体の付着
強度が小さく、酸化物半導体が脱落しやすい。また直径
が大きくなりやすくて感度や応答速度が低く、更に消費
電力も十分に低減させることができないという問題があ
る。このため、前記ウィスカーをガス検出素子として用
いることが検討されているが、本質的に感度が低いとい
う問題がある。これは、ウィスカーのような単結晶に近
いものにはほとんど粒界が存在しないことによるもので
ある。即ち、半導体型ガスセンサは、ガスの吸脱着によ
る半導体の粒界部分の抵抗変化によってガスを検出して
おり、粒界が存在しない酸化物半導体ではガス吸着によ
る抵抗変化が小さくなる。従って、ウィスカーを検出素
子に用いた場合、本質的に感度が低くなり、貴金属成分
等の添加によっても感度を大幅に改善することは難し
い。実際、該センサは感度が低いため実用化には至って
いない。前述したように、一般に半導体型ガスセンサに
おいては、ガス感度を高めたり、ガスの種類に対して選
択性をもたせるために貴金属等の成分を添加する場合が
多い。しかしながら、溶融析出法に代表されるように高
温で溶融・気化させて低温部で析出させる方法で作製さ
れるウィスカーにおいては、融点の異なるものを定量的
に微調整して添加することが難しい。これも、貴金属成
分等の微妙な添加量によって感度およびガス種に対する
選択性が著しく変化するガスセンサにとっては、致命的
な欠点である。また、最近、酸化スズは、3次の非線形
光学材料としても研究が進められている。本発明者ら
は、上記課題を解決するために研究を重ねた。その結
果、上記目的に適した任意のアスペクト比の多結晶性の
酸化スズ系繊維が、安価なスズ化合物及びアルコ−ルを
主成分とする溶液を用いて紡糸、加熱することにより、
容易にしかもきわめて安価に得られることを見い出し、
特開平4ー352807号、特開平5ー117906
号、あるいは特開平5ー179512で既に提案した。
【発明が解決しようとする課題】上記方法は、連続繊維
までも容易にしかも安価に供給できる点で有用で画期的
な方法であり、その工業的価値はきわめて高いものであ
った。本発明者らは、更に機械的強度をより高めた酸化
スズ系繊維の製造方法について鋭意研究を重ねた。
【課題を解決するための手段】その結果、酸化アルミニ
ウム、酸化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化マグネシウム及び酸化ホウ素の成分を含有させ
ると得られる酸化スズ系繊維の機械的強度がより向上
し、しかも結晶方位に偏りがなく、繊維径及び形状も任
意にしかも容易に再現性よく制御することが可能であ
り、またガス感度、更には周期律表第V族元素の酸化物
を含有させることにより導電性付与効果が高い酸化スズ
系繊維が得られることを見い出し、ここに本発明を完成
するに至った。即ち、本発明は、酸化アルミニウム、酸
化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化
マグネシウム及び酸化ホウ素からなる群から選ばれた少
なくとも一種の酸化物、並びに酸化スズを主構成成分と
し、引っ張り強度が30MPa以上であることを特徴と
する酸化スズ系繊維である。他の発明は、酸化アルミニ
ウム、酸化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化マグネシウム及び酸化ホウ素からなる群から選
ばれた少なくとも一種の酸化物、酸化スズ、並びに周期
律表第V族元素の酸化物を主構成成分とし、引っ張り強
度が30MPa以上であることを特徴とする酸化スズ系
繊維である。更に他の発明は、アルコール可溶性のアル
ミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、
ジルコニウム化合物、マグネシウム化合物及びホウ素化
合物からなる群から選ばれた少なくとも一種のアルコー
ル可溶性化合物並びにアルコール可溶性スズ化合物を溶
解したアルコール溶液を紡糸し、次いで加熱処理を行う
ことを特徴とする酸化スズ系繊維の製造方法である。更
に他の発明は、アルコール可溶性のアルミニウム化合
物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム
化合物、マグネシウム化合物及びホウ素化合物からなる
群から選ばれた少なくとも一種のアルコール可溶性化合
物、アルコール可溶性スズ化合物、並びにアルコール可
溶性周期律表第V族元素化合物を溶解したアルコール溶
液を紡糸し、次いで加熱処理を行うことを特徴とする酸
化スズ系繊維の製造方法である。次に、本発明を更に具
体的に説明する。本発明の酸化スズ系繊維は引っ張り強
度が30MPa以上である。引っ張り強度が30MPa
以下であっても使用できるが、落下試験に代表されるよ
うな衝撃に対して充分に耐えるもの、激しい粉砕後にも
繊維形状を充分に保持させたい場合、電解用や電池用電
極材料、あるいはペーパ等の織物あるいは不織布の形で
使用される場合には、引っ張り強度等を高めることが効
果的である。機械的強度を高めるためには酸化スズ系繊
維の構成成分が重要であり、酸化スズ、並びに酸化アル
ミニウム、酸化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム、酸化マグネシウム及び酸化ホウ素(以下第二元
素酸化物ともいう)から選ばれた少なくとも一種の酸化
物を主構成成分とする。酸化スズは熱処理温度により、
非晶質あるいは結晶質のいずれの形態でも存在するが、
導電性の高いものを得たい場合には結晶質の方が好まし
い。また、酸化スズは第二元素酸化物を一部固溶、大部
分を混合物の形態で含有して存在しているものと推定さ
れる。固溶する場合には、アルミニウム、ゲルマニウ
ム、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、ホウ素元素
(以下第二元素ともいう)が酸化スズ中のスズ原子に置
き代わって存在する。また、固溶しないで通常の酸化物
として混合物の形態で存在する場合、第二元素は酸素が
存在する雰囲気下では大部分酸化物となるが一部酸化さ
れない状態で存在する場合もある。従って、本発明にお
ける酸化物は、本来の形態の酸化物のみならず極一部未
酸化状態で存在する場合、更には他酸化物中へ原子レベ
ルで固溶している場合もある。酸化アルミニウム、酸化
ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素等の成分
は、上述のとおり酸化スズに固溶するごく少量を除い
て、大部分酸化スズ中に通常の酸化物として混合物の形
態で分散して存在するものと推定される。酸化ゲルマニ
ウムおよび酸化チタンの場合には、固溶する範囲が更に
広くなる。また、約16〜約82モル%、あるいは約1
2〜約86モル%(該範囲は報告者によって多少異な
る)の酸化チタンを添加した場合には、スピノーダル分
解によって酸化スズがリッチな固溶体と酸化チタンリッ
チな固溶体に分離し、両相がミクロな構造で複合化され
て存在していると考えられる。その結果、機械的強度が
向上する以外に、新規な繊維状のコンデンサ材料、ガス
センサ素子のような半導体材料として有望なものとな
る。上記第二元素酸化物は、それぞれ単独で含有されて
もよく或は複数が同時に含有されていてもよい。該成分
の含有量は、特に制限されず目的に応じて適宜決定すれ
ばよい。特に引っ張り強度等を高めたい場合には、該成
分が多めに含有されていることが有効となる。通常、酸
化スズ20〜98モル%、第二元素酸化物は2〜80モ
ル%である。酸化スズ系繊維中の第二元素酸化物の構成
比率は、化学分析や蛍光X線分析によって確認できる
が、通常は原料比から理論的な計算で算出されたものと
大差を生じないので、製造原料比が明かな場合は該原料
比から算出することもできる。また、第二元素酸化物が
酸化ジルコニウムの場合には、酸化カルシウム、酸化マ
グネシム等のアルカリ土類酸化物、酸化イットリウム、
酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化
ガドリニウム、酸化ユーロピウム、酸化スカンジウム等
の希土類酸化物が含有されていることにより正方晶、あ
るいは立方晶が安定化、あるいは準安定化されて強度が
高くなったり、酸素イオン導電性が高くなることも可能
である。該成分の含有量は成分の種類によっても異なり
目的によって適宜決定すればよいが、一般には30モル
%以下である。また、酸化ジルコニウムには、原料の由
来の酸化ハフニウムが含有されていてもよい。酸化スズ
系繊維を電極材料、および低導電性材料の導電性を高め
るために添加する材料(導電性付与材料)等として用い
る場合には、酸化スズ系繊維の導電性が高いことが求め
られる。この場合には、周期律表第V族元素の酸化物
(以下、第V族元素酸化物という)を更に酸化スズ系繊
維に含有させることが好ましい。第V族元素酸化物の構
成比率は、目的とする導電性によって任意に変えること
ができる。導電性付与材料や電極用材料として用いる場
合には、酸化スズ系繊維の比抵抗は通常5x103Ω・
cm以下、好ましくは2x102以下が望ましく、この
ため酸化スズ20〜97.95モル%、第二元素酸化物
は2〜79.95モル%、第V族元素酸化物は0.05
モル%〜24.5モル%、好ましくは酸化スズ50〜9
4.95モル%、第二元素酸化物は5〜49.05モル
%、第V族元素酸化物0.05〜19モル%とする。第
V族元素酸化物は、通常酸化スズに固溶して存在する
が、含有量が過剰になると酸化スズに固溶しないで通常
の酸化物として混合物の形で存在する。酸化スズに固溶
する場合には、周期律表第V族元素が酸化スズ中のスズ
原子に置き代わって存在する。また、固溶しないで酸化
物として混合物の形態で存在する場合、周期律表第V族
元素は酸素が存在する雰囲気下では大部分酸化物となる
が極一部酸化されない状態で存在する場合もある。上記
第V族元素酸化物としては、酸化バナジウム、酸化ニオ
ブ、酸化タンタル、酸化アンチモン、酸化ビスマスの各
酸化物が挙げられ、このなかでも、導電性を高めるため
には酸化アンチモンが好ましい。酸化スズ系繊維の比抵
抗の下限は焼成雰囲気にも大きく依存し、空気中で焼成
した場合は平均1x10-2Ω・cmであるが、還元雰囲
気や不活性雰囲気中で焼成すると、平均1x10-4Ω・
cmの比抵抗のものを得ることも可能である。また、第
V族元素酸化物を添加しないで還元雰囲気、あるいは不
活性雰囲気中で焼成することによって、平均1x10-4
Ω・cmの比抵抗を有する酸化スズ系繊維を得ることも
できるが、高温等の使用条件下でも酸化スズ系繊維の比
抵抗を安定化させるためには、第V族元素酸化物が含有
されている方が望ましい。また、ガスセンサ、あるいは
コンデンサ材料等のように高い導電性が求められない場
合には、比抵抗を低下させる必要はない。ガスセンサの
場合には、むしろ金、銀、白金、パラジウム、ロジウ
ム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム等
を単独あるいは複数で含有させてガス感度、またはガス
に対する選択性を高めることが重要である。含有量は、
通常酸化スズに対して0.01モル%から10モル%の
範囲である。また、第V族元素酸化物は、ガス感度或は
ガスに対する選択性を高める効果を示すことも多く、こ
のような目的で第V族元素酸化物を含有させることもで
きる。本発明の酸化スズ系繊維において、結晶子サイズ
等を小さくするため、あるいは600℃以上の高温焼成
時における酸化スズの結晶成長を抑制して結晶子サイズ
を小さいまま維持させるために、更に酸化カルシウム、
酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化ネ
オジウム、酸化ニッケル、酸化ナトリウム、酸化ランタ
ン、酸化ガリウム、酸化サマリウム等を、通常全成分を
基準にして15モル%以下で含有させることもできる。
この、結晶子サイズの抑制は、ガスセンサとして用いた
場合にガス感度の増加にもつながり、また更には機械的
強度の保持にも有効となる。また、更に酸化スズ系繊維
を電解用電極として用いる場合には、更に白金、ルテニ
ウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、金、銀、オ
スミウム等の貴金属を金属あるいは酸化物の状態で含有
させることもできる。その場合の組成は目的に応じて適
宜決定すればよく、通常全成分を基準にして40モル%
以下で含有させることができる。紡糸方法として、紡糸
液を遠心力によって吹き飛ばして繊維にする方法が挙げ
られる。この場合、得られた繊維は繊維同志、あるいは
装置壁面との衝突等により、繊維表面に損傷、欠陥等が
生成するために引っ張り強度が低下する。また、ノズル
から押し出して高速の気流によって繊維を吹き飛ばす方
法もあるが、この場合も繊維同志あるいは装置壁面との
衝突等により、繊維表面に損傷、欠陥等が生成するため
に引っ張り強度が低下する。従って、繊維同志あるいは
装置壁面との衝突等により繊維表面に損傷や欠陥等が生
成しないような紡糸方法を採用することが好ましい。具
体的には、紡糸液をノズルから押し出して充分に乾燥さ
せた後、ボビンに巻き取る方法等が好ましく用いられ
る。本発明の酸化スズ系繊維の繊維径は通常5μm〜数
mm程度まで制御することができ、バラツキも±20%
以下、更には10%以下まで制御することが可能であ
る。更に、ファイバーの長さは、連続紡糸によりほぼ無
限長のものまで可能であり、切断することにより任意の
長さのものが得られる。従って、繊維長やアスペクト比
は自由に選択することができる。本発明の酸化スズ系繊
維の断面は、後述する紡糸時に用いるノズルの形状を選
択することにより任意に制御することができる。例え
ば、断面が円形あるいは楕円形等の略円形のもの、更に
は断面が矩形のものも得ることができる。マトリックス
に該酸化スズ系繊維を添加して強度を向上させたい場合
には、断面が矩形であると応力がエッジ部に集中しやす
いので、断面は略円形のものが好ましい。次に本発明の
酸化スズ系繊維の代表的な製造方法を例示する。アルコ
ールに、ハロゲン化スズ等のアルコール可溶性スズ化合
物、並びにアルミニウム、ゲルマニウム、チタン、ジル
コニウム、マグネシウム、ホウ素のアルコキシドあるい
はハロゲン化物等のアルコール可溶性化合物を、酸化ス
ズ系繊維の導電性を高めたい場合には更に周期律表第V
族元素のアルコール可溶性化合物を混合溶解させて均一
で透明な溶液にした後、濃縮することにより得られる曳
糸性を示す溶液(紡糸液)から酸化スズを含むゲルファ
イバーを紡糸して、加熱処理することにより容易に、し
かも安価に任意のアスペクト比の酸化スズ系繊維が得ら
れる。上記紡糸液用アルコ−ルの具体例として、メチル
アルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、
ブチルアルコ−ル、オクチルアルコール、2ーメトキシ
エタノール、2ーエトキシエタノール、エチレングリコ
ール、1ーメトキシー2ープロピルアルコール、メトキ
シエトキシエタノール、2ーフェニルエチルアルコー
ル、ベンジルアルコ−ル、アリルアルコール、2ーメチ
ルー2ープロペンー1ーオール、3ーメチルー3ーブテ
ンー1ーオール等を挙げることができる。特に、メチル
アルコール、エチルアルコールはアルコール可溶性スズ
化合物の溶解度が高く好ましい。上記アルコールは通常
単独で用いられるが、アルコール可溶性スズ化合物、及
び後述するアルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、
チタン化合物、ジルコニウ化合物、マグネシウム化合
物、ホウ素化合物との反応性、あるいは溶解性等を制御
するために2種類以上のアルコールの混合物を用いるこ
ともできる。また、溶解性、反応性を制御するためにア
ルコール以外の溶媒を補助的に用いることができる。一
例を挙げるとアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マ
ロン酸ジエチル、エタノールアミン等である。本発明に
用いるアルコール可溶性スズ化合物としては、ハロゲン
化スズ化合物、アルキルスズ等が挙げられる。ハロゲン
化スズ化合物のハロゲンは、Cl、Br、I、F原子で
ある。このハロゲン化スズ化合物のなかでも、塩化ス
ズ、臭化スズが価格、安定性の点から好ましい。具体的
には、SnCl2、SnCl2・2H20、SnBr2、S
nI2、SnF2等が挙げられ、特に、SnCl2、Sn
Cl2・2H2O、SnBr2が好ましく用いられる。ま
た該ハロゲン化スズ化合物において有機化合物で修飾し
たもの、例えばSn(CH3)2Cl2等も使用できる。上
記アルコール可溶性スズ化合物とアルコールの配合割合
は、アルコール可溶性スズ化合物がアルコ−ルに均一に
溶解する範囲であれば、特に制限されない。ただし、あ
まりにアルコール可溶性スズ化合物の割合が低い場合は
曳糸性を示さないのでかなり濃縮する必要があり、アル
コ−ルが無駄になる。また、アルコール可溶性スズ化合
物の濃度があまりにも高いと沈澱が生じ均一な紡糸液が
得られない。従って、使用するアルコール可溶性スズ化
合物とアルコ−ルの種類によってその配合割合は異なる
が、一般的にはアルコ−ルに対するアルコール可溶性ス
ズ化合物の使用割合はモル比で0.01〜0.5が好ま
しい。この割合で配合して透明で均一な溶液とした後、
更にアルコールを蒸発させて濃縮し所望の粘度で曳糸性
を有する紡糸液とする。更に、酸化スズ系繊維の機械的
強度を高めるために含有させる第二元素酸化物の原料と
しては、アルミニウム、ゲルマニウム、チタン、ジルコ
ニウム、マグネシウム、ホウ素のアルコキシド、ハロゲ
ン化物、オキシ塩化物、硝酸塩、あるいは硫酸塩等のア
ルコールに可溶性の化合物(以下、第二元素化合物とも
いう)を用いる。酢酸塩もアルコールに可溶であれば用
いることもできる。アルコール可溶性アルミニウム化合
物の一例を例示すると、AlCl3、AlCl3・6H2
O、AlBr3、AlBr3・6H2O、AlI3、AlI
3・6H2O、Al(NO33・9H2O、Al(NO3
3・6H2O、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミ
ニウムのアルコキシド等が挙げられ、アルコール可溶性
ゲルマニウム化合物としては、GeCl4、GeBr2
GeBr4、テトラエトキシゲルマニウム等のゲルマニ
ウムアルコキシド等が挙げられ、アルコール可溶性チタ
ン化合物としては、TiCl4、TiCl3、TiC
2、TiBr4、TiBr4・6H2O、TiF4、テト
ライソプロポキシチタン等のチタンアルコキシド等が挙
げられる。アルコール可溶性ジルコニム化合物として
は、ZrCl4、Zr(NO34・5H2O、ZrOCl
2・8H2O、ZrOI2・8H2O、テトラブトキシジル
コニウム等のジルコニウムアルコキシドが挙げられ、ア
ルコール可溶性マグネシウム化合物としては、MgCl
2・6H2O、MgBr2・6H2O、Mg(NO32・n
2O、マグネシウムアルコキシド等が挙げられる。ア
ルコール可溶性ほう素化合物としては、H247、H3
BO3、HBF4、BBr2、トリメトキシボロン等のほ
う素アルコキシド等が挙げられる。また、上記化合物は
最初から、当該化合物である必要はなく、ハロゲン化ス
ズのアルコール溶液中で初期に当該化合物となるように
してもよい。例えば、塩化アルミニウムの場合には、金
属アルミニウムをハロゲン化スズのアルコール溶液に添
加して一部ハロゲン化してもよい。第二元素酸化物が酸
化ジルコニウムである場合の正方晶、あるいは立方晶を
安定化、あるいは準安定化させて強度を高くしたり、酸
素イオン導電性を高めるために含有させる酸化カルシウ
ム、酸化マグネシム等のアルカリ土類酸化物、酸化イッ
トリウム、酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸化サマリ
ウム、酸化ガドリニウム、酸化ユーロピウム、酸化スカ
ンジウム等の希土類酸化物を生成しめる原料としては、
これら各元素のアルコキシド、塩化物、オキシ塩化物、
硝酸塩、硫酸塩、あるいは酢酸塩等のアルコールに可溶
性の化合物を用いることができる。上記第二元素化合物
の添加量は、紡糸、加熱処理によって生じる最終形態の
第二元素酸化物が前記範囲内の構成比率になるように予
め算定して決定すればよい。通常、使用原料モル比から
の計算値が酸化スズ系繊維中の第二元素の酸化物のモル
比と一致する。酸化スズ系繊維に導電性を付与する場合
には、紡糸液中にアルコール可溶性周期律表第V族元素
の化合物(以下単に第V族元素化合物ともいう)を添加
して繊維とすることが好ましい。該第V族元素化合物
は、後述する加熱処理によって最終的には第V族元素酸
化物となって酸化スズ中に固溶するか或は混合物とな
る。。上記第V族元素化合物としては、アルコール可溶
性のバナジウム化合物、ニオブ化合物、タンタル化合
物、アンチモン化合物、あるいはビスマス化合物等が挙
げられる。具体的には、アルコール可溶性のバナジウム
化合物として、VBr3、VCl2、VCl3、VCl4
VOBr2、VOBr3、VOCl3、VF3、VF4、V
5、VI3・6H2O、バナジウムのアルコキシドが挙
げられ、アルコール可溶性のニオブ化合物として、Nb
Cl5、NbBr5、NbF5、NbOCl3、ニオブのア
ルコキシドが挙げられ、アルコール可溶性のタンタル化
合物として、TaBr5、TaCl5、タンタルのアルコ
キシドが、アルコール可溶性のアンチモン化合物とし
て、SbCl3、SbCl5、SbBr3、オキシ塩化ア
ンチモン、あるいはアンチモンのアルコキシドが、ま
た、アルコール可溶性のビスマス化合物としては、Bi
Cl3、BiI3、ビスマスのアルコキシド等が挙げられ
る。上記第V族元素化合物の配合割合は、目的とする導
電性を勘案して酸化スズ系繊維中の第V族元素酸化物量
を算出し、それに基づいて決定される。アルコール可溶
性スズ化合物、アルコール可溶性第二元素化合物、アル
コール可溶性第V族元素化合物等とアルコールの溶解方
法は、特に限定されない。攪拌下、各スズ化合物、第二
元素化合物、第V族元素化合物等の混合物にアルコ−ル
を滴下する方法、あるいは攪拌下、アルコールに各スズ
化合物、第二元素化合物、第V族元素化合物等を同時に
または順次溶解させる方法等を用いることができる。前
記紡糸方法で紡糸して得られるゲルファイバーの加熱処
理は、ゲルファイバーからアルコールなどの有機溶媒、
あるいは水などを除去してファイバーの骨格を強くし、
場合によっては、更に結晶化させる温度で行われる。紡
糸液から紡糸したままのゲルファイバーはそのままでは
十分な機械的強度を示さない。機械的強度はゲルファイ
バーを加熱処理することで発現する。該加熱処理温度は
得られるファイバーに機械的強度を付与できる温度範囲
内で有れば特に限定されない。加熱処理温度が低い場合
にはファイバー中にアルコール、水などが残存するため
に十分な機械的強度が生じない。また、加熱処理温度が
高すぎると酸化スズ等の分解が進行したり、あるいはフ
ァイバー中の結晶粒が成長し過ぎ強度が低下するなどの
問題が生じる。第V族元素化合物を添加して酸化スズ系
繊維の導電性を向上させるためにも加熱処理が必要であ
る。紡糸液から紡糸したままのゲルファイバーはそのま
までは絶縁体であり、導電性はゲルファイバーを加熱処
理することで発現する。該加熱処理温度は得られるファ
イバーに導電性および機械的強度を付与できる温度範囲
内であれば特に限定されない。一般に、加熱処理温度が
低い場合にはファイバー中にアルコールなどの有機物、
水等が残存するため、また第V族元素化合物が酸化物の
形態にならず酸化スズと充分に固溶しないため導電性が
生じない。また加熱処理温度が高すぎると、ファイバー
中の第V族元素化合物が揮散し導電性が低下する、酸化
スズの分解が進行する、ファイバー中の結晶粒が成長し
過ぎ強度が低下するなどの問題を生じる。上記理由によ
り、加熱処理温度として250℃〜1550℃の温度範
囲が好ましい。さらに好適には、300℃〜1500℃
の温度で加熱処理することが好ましい。また、加熱処理
は通常空気中で行われるが、特に導電性の高いファイバ
ーを得たいときには、窒素、アルゴン、水素、アルゴン
と水素の混合ガスなどの還元性雰囲気下や真空中で加熱
処理を行うことができる。更に、該加熱処理に際し、ゲ
ルファイバー中に存在する水、アルコール等の揮発成分
を、乾燥によって除去することが機械的強度が高くて良
好な酸化スズ系繊維を得るために望ましい。かかる乾燥
は、加熱処理と同時に行っても良いが、加熱処理前に予
め行う方が良好なファイバーを得るためには好ましい。
これらの場合、乾燥温度は得られるファイバーにクラッ
クが発生することを防止するために、出来るだけ低い温
度で行うことが好ましいが、溶媒に沸点の高いアルコー
ルを用いた場合には、余り低すぎると乾燥に長時間を要
し、効果的でない。一般的な乾燥温度は室温〜300℃
の範囲とすることが好ましい。この方法において酸化ス
ズ系繊維の構成成分が溶液状態で均一に混合されるた
め、得られる酸化スズ系繊維は均質性が高い。また、フ
ァイバーの直径も、用いるノズル径および紡糸液の粘度
を制御することにより任意にコントロールすることがで
きる。また、本発明によって得られる酸化スズ系繊維
は、結晶質、非晶質のいずれでもとりうるが、導電性の
観点からは結晶質の方が好ましい。
【発明の効果】本発明により、機械的強度が向上した酸
化スズ系繊維を提供できるようになった。この結果、粉
砕混合、あるいは落下等の衝撃を受けた後も繊維形状を
維持しやすく取り扱いが容易になった。このため、種々
の導電性付与材料、電極材料、電池活物質充填材、ある
いはセンサ素子等広範囲への応用が可能となった。
【実施例】本発明を以下実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。 実施例1 塩化第一スズ(SnCl2)10g(0.05モル)、
三塩化アンチモン(SbCl3)0.3g(0.001
3モル)をメタノール100ml(2.47モル)に溶
解させ均一で透明な溶液にした。その後塩化アルミニウ
ム六水和物(AlCl3・6H2O)3.18g(0.0
13モル)を添加溶解させ均一な溶液を得た。この溶液
を濃縮し、高粘性のゾルとした。このゾルを圧力を加え
てノズルから押し出し相対湿度55%の雰囲気下でドラ
ムに連続的に巻き取った。得られたファイバ−を室温で
1日放置後、2℃/minの速度で120℃まで昇温し
その温度で30分間保持した。その後10℃/minの
速度で800℃まで昇温しその温度で2時間保持して加
熱処理をおこなった。得られたファイバーは平均30μ
mの直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、
アルミが仕込組成通りファイバー中に存在していること
が確認された。また、X線回折の結果、酸化スズのピー
クと酸化アルミニウムの弱いピークがみられたが、酸化
アンチモンなどのピークはみられず酸化アンチモンは酸
化スズ中に固溶していることが確認された。得られたフ
ァイバ−の比抵抗は平均3X106Ω・cmであり、引
張強度は平均170MPaであった。 実施例2 実施例1において、回転紡糸によりノズルからゲルファ
イバーを吐出させて相対湿度55%の雰囲気下で堆積さ
せること以外は、同様に行った。得られたファイバ−を
室温で1日放置後、2℃/minの速度で120℃まで
昇温しその温度で30分間保持した。その後10℃/m
inの速度で800℃まで昇温しその温度で2時間保持
して加熱処理をおこなった。得られたファイバーは平均
10μmの直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチ
モン、アルミナが仕込組成通りファイバー中に存在して
いることが確認された。また、X線回折の結果、酸化ス
ズのピークと酸化アルミニウムの弱いピークがみられた
が、酸化アンチモンなどのピークはみられず酸化アンチ
モンは酸化スズ中に固溶していることが確認された。得
られたファイバ−の比抵抗は平均3X106Ω・cmで
あり、引張強度は平均30MPaであった。 実施例3 塩化アルミニウムの代わりに、テトラエトキシゲルマニ
ウム[Ge(OC254]3.29g(0.013モ
ル)を添加すること以外は実施例1と同様に行った。得
られたファイバ−を室温で1日放置後、2℃/minの
速度で120℃まで昇温しその温度で30分間保持し
た。その後10℃/minの速度で800℃まで昇温し
その温度で2時間保持して加熱処理をおこなった。得ら
れたファイバーは平均30μmの直径を有し、ケイ光X
線分析により、アンチモン、ゲルマニウムが仕込組成通
りファイバー中に存在していることが確認された。ま
た、X線回折の結果、酸化スズのピークを有し、わずか
に酸化ゲルマニウムのピークが観察された。また、アン
チモンの酸化物などのピークはみられなかった。これ
は、酸化ゲルマニウムは大部分酸化スズに固溶し、一部
が酸化ゲルマニウムとしても存在しており、酸化アンチ
モンは酸化スズ中に固溶していることが確認された。得
られたファイバ−の比抵抗は平均2Ω・cmであり、引
張強度は平均150MPaであった。 実施例4 塩化アルミニウムの代わりに、オキシ塩化ジルコニウム
八水和物(ZrOCl2・8H2O)4.19g(0.0
13モル)を添加すること以外は実施例1と同様に行っ
た。得られたファイバ−を室温で1日放置後、2℃/m
inの速度で120℃まで昇温しその温度で30分間保
持した。その後10℃/minの速度で800℃まで昇
温しその温度で2時間保持して加熱処理をおこなった。
得られたファイバーは平均30μmの直径を有し、ケイ
光X線分析により、アンチモン、ジルコニウムが仕込組
成通りファイバー中に存在していることが確認された。
また、X線回折の結果、酸化スズのピークと、単斜晶系
と斜方晶系の酸化ジルコニウムのピークがみられたが、
アンチモンはその酸化物などのピークはみられず酸化ア
ンチモンは酸化スズ中に固溶していることが確認され
た。得られたファイバ−の比抵抗は平均1X104Ω・
cmであり、引張強度は平均150MPaであった。 実施例5 塩化アルミニウムの代わりに、テトライソプロポキシチ
タン[Ti(O−i−C374]2.27g(0.0
08モル)を添加すること以外は実施例1と同様に行っ
た。得られたファイバ−を室温で1日放置後、2℃/m
inの速度で120℃まで昇温しその温度で2時間保持
した。その後10℃/minの速度で800℃まで昇温
しその温度で30分間保持して加熱処理をおこなった。
得られたファイバーは平均30μmの直径を有し、ケイ
光X線分析により、アンチモン、チタンが仕込組成通り
ファイバー中に存在していることが確認された。また、
X線回折の結果、酸化スズのピークはみられたが、アン
チモンおよび酸化チタンの酸化物などのピークはみられ
ず、酸化アンチモンおよび酸化チタンが酸化スズ中に固
溶していることが示唆された。得られたファイバ−の比
抵抗は平均2X105Ω・cmであり、引張強度は平均
150MPaであった。 実施例6 塩化アルミニウムの代わりに、塩化マグネシウム六水和
物(MgCl2・6H2O)2.64g(0.013モ
ル)を添加すること以外は実施例1と同様に行った。得
られたファイバ−を室温で1日放置後、2℃/minの
速度で120℃まで昇温しその温度で30分間保持し
た。その後10℃/minの速度で800℃まで昇温し
その温度で2時間保持して加熱処理をおこなった。得ら
れたファイバーは平均30μmの直径を有し、ケイ光X
線分析により、アンチモン、マグネシウムが仕込組成通
りファイバー中に存在していることが確認された。ま
た、X線回折の結果、酸化スズとMg2SnO4のピーク
がみられたが、アンチモンの酸化物などのピークはみら
れず酸化アンチモンは酸化スズ中に固溶していることが
確認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均20Ω
・cmであり、引張強度は平均150MPaであった。 実施例7 塩化アルミニウムの代わりに、トリメトキシボロン1.
35g(0.013モル)を添加すること以外は実施例
1と同様に行った。得られたファイバ−を室温で1日放
置後、2℃/minの速度で120℃まで昇温しその温
度で30分間保持した。その後10℃/minの速度で
500℃まで昇温しその温度で30分間保持して加熱処
理をおこなった。得られたファイバーは平均30μmの
直径を有した。ケイ光X線分析により、アンチモンは仕
込組成通りファイバー中に存在していることが確認され
たが、ほう素は仕込組成よりも約5%減少していた。ま
た、X線回折の結果、酸化スズと酸化ほう素のピークは
観察されたが、アンチモの酸化物などのピークはみられ
ず酸化アンチモンは酸化スズ中に固溶していることが確
認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均10Ω・
cmであり、引張強度は平均130MPaであった。 比較例1 塩化アルミニウムを添加しないこと以外は実施例1と同
様に行った。得られたファイバーは平均30μmの直径
を有し、ケイ光X線分析により、アンチモンが仕込組成
通りファイバー中に存在していることが確認された。ま
た、X線回折の結果、酸化スズのピークを有すること、
アンチモンはその酸化物などのピークはみられず酸化ス
ズ中に固溶していることが確認された。得られたファイ
バーの比抵抗は、平均9×10-1Ω・cmであり、引っ
張り強度は、平均22MPaであった。 比較例2 塩化アルミニウムを添加しないこと以外は、実施例2と
同様に行った。得られたファイバーは平均10μmの直
径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモンが仕込組
成通りファイバー中に存在していることが確認された。
また、X線回折の結果、酸化スズのピークを有するこ
と、アンチモンはその酸化物などのピークはみられず酸
化スズ中に固溶していることが確認された。得られたフ
ァイバ−の比抵抗は平均9×10-1Ω・cmであり、引
張強度は平均8MPaであった。 比較例3 三塩化アンチモンおよび塩化アルミニウムを添加しない
こと以外は実施例1と同様に行った。得られたファイバ
ーは平均30μmの直径を有し、X線回折の結果、結晶
質の酸化スズであることが確認された。得られたファイ
バーの比抵抗は、平均8×104Ω・cmであり、引っ
張り強度は、平均14MPaであった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウム、酸化ゲルマニウム、
    酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム及び
    酸化ホウ素からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸
    化物、並びに酸化スズを主構成成分とし、引っ張り強度
    が30MPa以上であることを特徴とする酸化スズ系繊
    維。
  2. 【請求項2】 酸化アルミニウム、酸化ゲルマニウム、
    酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム及び
    酸化ホウ素からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸
    化物、酸化スズ、並びに周期律表第V族元素の酸化物を
    主構成成分とし、引っ張り強度が30MPa以上である
    ことを特徴とする酸化スズ系繊維。
  3. 【請求項3】 アルコール可溶性のアルミニウム化合
    物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム
    化合物、マグネシウム化合物及びホウ素化合物からなる
    群から選ばれた少なくとも一種のアルコール可溶性化合
    物並びにアルコール可溶性スズ化合物を溶解したアルコ
    ール溶液を紡糸し、次いで加熱処理を行うことを特徴と
    する酸化スズ系繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルコール可溶性のアルミニウム化合
    物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム
    化合物、マグネシウム化合物及びホウ素化合物からなる
    群から選ばれた少なくとも一種のアルコール可溶性化合
    物、アルコール可溶性スズ化合物、並びにアルコール可
    溶性周期律表第V属元素化合物を溶解したアルコール溶
    液を紡糸し、次いで加熱処理を行うことを特徴とする酸
    化スズ系繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103726130A (zh) * 2013-09-12 2014-04-16 上海大学 利用静电纺丝工艺制备锗酸钙(CaGeO3)短纤维的方法

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